シャルガネの味を楽しもう!
夜月天音
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シナリオID:3348
オープニング
快晴の朝、辺境都市群、シャルガネ居住区の一角、食事処。
本日営業を始めた食事処『フジヤマ』の軒先で黒髪のヒューマンの店員達が大きな声で宣伝をしていた。
「おにぎり、煮物、味噌汁、焼き魚、漬物、混ぜご飯、清酒に緑茶とシャルガネ料理を楽しみませんか?」
「本日は初営業の記念につきたてのお餅を1個、サービスしますよ! きなこ、チョコ、あんこなどお好きなお味で楽しんで下さい!」
「当店のおすすめはおにぎりです! お客様のお好きな具を包みますよ。お肉、煮物、梅干し、味噌、チョコ、果物、野菜と一般的な物から変わった物まで何でもありですよ!」
営業初日を盛り上げるために。
店内は、
「シャルガネ料理は癖になるなぁ」
「おすすめだけあって、おにぎりは美味しいなぁ」
「お餅にはきなこでしょ!」
初の営業という触れ込みに釣られた客達で賑わっていた。
本日営業を始めた食事処『フジヤマ』の軒先で黒髪のヒューマンの店員達が大きな声で宣伝をしていた。
「おにぎり、煮物、味噌汁、焼き魚、漬物、混ぜご飯、清酒に緑茶とシャルガネ料理を楽しみませんか?」
「本日は初営業の記念につきたてのお餅を1個、サービスしますよ! きなこ、チョコ、あんこなどお好きなお味で楽しんで下さい!」
「当店のおすすめはおにぎりです! お客様のお好きな具を包みますよ。お肉、煮物、梅干し、味噌、チョコ、果物、野菜と一般的な物から変わった物まで何でもありですよ!」
営業初日を盛り上げるために。
店内は、
「シャルガネ料理は癖になるなぁ」
「おすすめだけあって、おにぎりは美味しいなぁ」
「お餅にはきなこでしょ!」
初の営業という触れ込みに釣られた客達で賑わっていた。
解説
シャルガネ居住区で営業を始めた食事処に入店して、シャルガネ料理を存分に満喫してお店を盛り上げて下さい。
営業時間は朝から夜までになります。お好きな時間に訪れてみて下さい。
【食事処『フジヤマ』について】
木造平屋のそこそこ広い店です。
料理から飲み物までほぼシャルガネ料理です。
店員はほぼ黒髪のヒューマンです。
営業時間は朝から夜になります。
【初営業記念について】
つきたての餅を1個、無料でご馳走となります。
きなこ、味噌、醤油などタレはお好きな物を選び使う事が出来ます。
※活動時間やこういう人と交流したいや楽しみたい料理や飲み物など、希望などがありましたら、プレイングに記載をお願いします。
※活動時間は朝から夜までになります。
※公式NPCとは交流出来ません。
マスターより
オープニングを読んで頂き、ありがとうございます。
食事処を訪れ、食べたり飲んだりお喋りに興じたりと初営業を盛り上げて下さい。
リプレイ
青空の下、辺境都市群、シャルガネ居住区の一角、食事処『フジヤマ』では、初営業とあり朝から夜まで、大層賑わっていた。
「見て、シャルガネ料理だって」
偶然シャルガネ居住区を通りかかったアリエッタは、軒先で宣伝する店員を発見し好奇心にキラキラする目で指さし、隣の2人に言った。
「新しく開店した食事店かぁ。どういう料理があるのか気になるわね」
気付いたテュリン・ヴィングは、示された先を見るや興味津々の顔に。
「しかも開店記念でお餅1個サービスみたいだよ」
ララベル・サン・ディーベルも楽しそうに話に加わった。
「色んな味があるみたいだけど、もし食べるならきな粉がいいわね」
「あたしも!」
テュリンとアリエッタは、『もし』を前提に餅の味をあれこれと話す。
「それなら食事をしていかない? テュリン姉、アリエッタ」
彼女達の様子に堪らなくなったララベルは愛らしい笑顔で、最高の提案をした。
「今?」
想定外だったのか、テュリンとアリエッタの声が見事にハモった。
「当然! ほら行くよ」
構わずララベルは愛しい2人の手を取りそのまま食事処『フジヤマ』に入店し、
「……3人、お願いするね!!」
席まで案内して貰った。ちなみに時間はお昼時であった。
「おにぎりがお勧めらしいけど、どの料理も美味しそうだよね」
席に着いたララベルは、ちらちらと他の席に並ぶ料理を偵察する。
「そうね。あの焼き魚も美味しそう」
「あのお味噌汁も美味しそうだよ」
テュリンとアリエッタも釣られるように周囲をきょろきょろ。
「2人とも今日は僕がおごるから、思いっきりシャルガネ料理楽しもうね♪ 偶にはこんなデートもいいだろうし」
ララベルがにこっと太っ腹な事を言った。
「じゃぁ、お言葉に甘えて。まずは、おすすめのおにぎりは外せないよね。後は……」
アリエッタが愛らしいおねだりの眼差しで、食べたい料理を挙げた。
「味噌汁と焼き魚に煮物と清酒もお願いしたいわね」
アリエッタの言葉を継いだのはテュリンだ。
「いいね♪」
アリエッタは全力で賛成する。
「それでおにぎりに何を入れて貰う?」
ララベルがおにぎりの具材を訊ねた。
「定番と聞いている梅干しは外せないわね」
「お肉とお味噌も!」
テュリンとアリエッタは、口々に食べたい具材を挙げた。
「……具にチョコとか果物だって、珍しいね。どんな味になるか想像つかないな……デザートかな?」
ララベルは、お品書きに書かれている奇特な具材に眉を寄せた。
「かもしれないわね。でもあるって事は、頼む人が一定数いるって事じゃないかしら」
テュリンは肩を竦めながら返した。
その時、
「いた! あのお客さん、チョコのおにぎり食べてる」
アリエッタのくるくるよく動く大きな緑の瞳が、離れた席でチョコおにぎりを頬張る男性客を発見した。
「いたんだ」
「いたのね」
同時に振り返ったララベルとテュリンは、意外そうな顔。美味しそうに食べられているので余計に。
「折角だから、チョコや果物のおにぎりをデザートに食べてみようか」
一層興味を抱いたララベルは、デザートとして注文する事に決めた。
「きな粉のお餅も楽しみだね!」
アリエッタは餅も楽しみにする。
頼む料理が決まった所で、通りかかった店員を呼び止めて注文をした。
それからしばらく待った所で、注文した料理が運ばれた。
早速、食事開始である。
「味が染み込んで美味しい」
ララベルは煮物を口に運び、心地よい甘さを堪能するも、
「さすが、定番だけあって梅干しのおにぎりは美味しいわね。こうも料理が美味しいとお酒も進むわ」
「お味噌汁も美味しいよ」
テュリンとアリエッタの幸せそうに料理を堪能する様を前に、
(美味しそうに食べてるなぁ。一緒に来れて良かった)
いつの間にやら心が魅入られてしまう。
「ん、ベル?」
不意に視線に気付いたテュリンは振り返り、
「もしかして、これ食べたかった?」
次に食べようと思っていた肉のおにぎりを示した。
「……これ……?」
突然声を掛けられたララベルは、訳が分からない。
「いいわよ。あげる。後でおかわり頼めばいいし」
構わずテュリンは肉のおにぎりを手に取り、
「あーん」
ララベルの口元に持って行く。
「あ、あーん」
意を決しララベルはパクリ。頬は朱に染まっていた。
「どう?」
にこにこと味を訊ねるテュリン。
「うん、凄く美味しいよ。ありがとう」
ララベルは笑顔で答えた。
そこに、
「焼き魚も美味しいよ! 食べてみて!」
アリエッタが『美味しい』を共有したくて入って来るなり、
「あーん!」
これまた同じようにララベルの口元に焼き魚を持って行く。
「えと、貰おうかな……あーん」
退けぬララベルはこれまたパクリ。
そして、
「焼き魚も美味しいね。というか、2人が食べさせてくれるから、なおさらだよ」
ララベルは愛らしく微笑んだ。料理以上に嬉しいのは2人との時間。
「じゃあ、僕もお返しに……あーん」
今度はララベルの番だ。
そうして、3人はいちゃいちゃと食べさせ合いをした。
存分にシャルガネ料理と大切な人達との時間を過ごす中。
(そういえば、何時もは必ずと言っていいレベルで起こる筈のベルのラキスケが起きてないわね……。まぁでも、そういう日があっても良いよね。というより、寧ろそういう日が珍しいって、よくよく考えたらおかしいけど……)
テュリンはふとララベルの『ラッキースケベ』がまだ発揮されていない事に気付き、胸中で自分にツッコミを入れていた。
「どうかした?」
考え込むテュリンが気になったのか、ララベルは気遣い声を掛けた。
「ううん、何でもないわ。シャルガネの美味しいお酒を知っておくのも悪くないと思ってね」
声を掛けられ我に返ったテュリンは、清酒を飲んだ。
「おにぎりもお味噌汁も煮物も、全部、美味しいね!」
アリエッタは忙しなくもぐもぐしながら、楽しそうに2人に笑い掛けた。
食事の最後を飾るのは、デザートである。
「お餅にきな粉はぴったりね」
「だね♪」
テュリンとアリエッタは、きな粉がたっぷりかかった餅を美味しく食した。
「どんな味かな」
ララベルは、チョコおにぎりや果物が入ったおにぎりに手を伸ばした。
「……初営業記念……」
シャルガネの観光に来ていたティトは、偶然耳に入って来た軒先の宣伝に心奪われ、食事処『フジヤマ』に入店し、お品書きを物色中だ。ちなみに賑やかなお昼時である。
「……いい匂い」
物色しつつ時折ティトは店内を見回し、鼻をクンクン。有する『超嗅覚』は、どんどん醤油や味噌の香ばしさを鼻へとお届し、料理への期待値を上げていく。
「……どんな料理があるんだろうな」
ティトに同伴していたセロンガード・シュタインドルフも向かいに座って、お品書きに目を走らせるも、
(……シャルガネ料理はあまり食べた事がなく、少し物珍しいというかどんな料理だか分からないし……そもそも、人づてで得た知識でしか知らないからな)
参考に出来るのは、シャルガネに詳しい後輩から昔に聞いた知識なので少し頼りなかったり。
結果、
「任せる。ハズレを引きたくないからな」
美味しい物を食べるため、セロンガードは無難な道を選んだ。
(何より、ティトの嗜好を知るのにちょうどいい)
優しい思惑を胸に抱きながら。
「それなら、覚悟、して」
ティトは、言質を取ったとばかりに緑の瞳に不敵な色を煌めかせるやいなや、
「おにぎり、塩とおかかと味噌とこんぶと梅と炊き込みご飯とお肉と鮭のほぐしと醤油味の焼きおにぎりと大根の漬物と無料のお餅はきな粉にして……」
遠慮のない怒涛のおねだりが始まる。
「待った」
想定外の猛攻にセロンガードは、待ったをかけた。
「ん?」
おねだりを中断されたティトは、不思議そうに小首を傾げた。
「そんなに頼んで大丈夫か?」
セロンガードは、あまりの注文量に心配になったようだ。
「それは食い意地が張っているって言いたいの? 違うんだよ? これは記念の日で、めでたいからいいんだよ……少しくらい食べ過ぎても、ね」
ティトは、不名誉だと愛らしく口を尖らせて返した。
「大丈夫なら何も言わない」
セロンガードは本人が良しとしている様子から、それ以上言うのをやめた。
「飲み物は温かいお茶に梅干しをいれたやつが飲みたい、な」
ティトは飲み物も抜かりなしだ。
「……ティトの注文に乗っかろうか」
セロンガードはティトの注文に便乗する事に決めた。
無事に注文する料理が決まった所で、2人は通りかかった店員を呼び止め、注文を伝えた。
それから、程なくして料理が運ばれた。
「……これは壮観だな」
セロンガードは、卓いっぱいに並ぶおにぎりを見て、感嘆めいた感想をこぼした。
「いただきます」
ティトは、いざ実食を開始とばかりに力強く手を伸ばし、おかかのおにぎりを取りパクリ。
「……美味しい」
ティトは、口内にふわっと広がる醤油とおかかの絶妙さに舌鼓を打つ。
「いい塩加減だ。大根の漬物の食感も最高だ」
セロンガードは、塩おにぎりと漬物の食感を堪能する。
「いくらでも、食べられるよ」
ティトは漬物をぽりぽりと軽やかに齧り、
「……味噌の匂い、たまらない」
味噌おにぎりの香ばしさに心を躍らせ、
「セロン、このおこげの部分、美味しいよ」
炊き込みおにぎりのおこげを堪能する。何とも忙しい。
「……確かに」
釣られてセロンガードは、おこげ部分を狙ってパクリ。
口の中に満ちる醤油を味わいつつ、
(それにしても美味しそうに食べるな。後で作り方を調べてみようかな)
セロンガードはティトの観察も忘れないどころか、最高の食べっぷりに作り方を調べる気満々だ。
おにぎりを食べに食べて、
「お茶と梅干って、合うね」
合間にティトは梅干し入りの茶でまったり。シャルガネ独特の茶と梅の相思相愛ぶりににっこり。
「あぁ、合うな」
セロンガードも梅干し入りの茶で喉を潤してまったり。
この後も2人はおにぎりを駆逐した所で、ついに突き立ての餅の出番だ。
「次はいよいよ、お餅の番、いただきます」
ティトは、喜々ときな粉がたっぷりかかった餅を口に入れた。
「……のびる、のびる」
ティトは、餅ののびっぷりを楽しみつつ、
「……きな粉、美味しい」
きな粉の優しい味わいに心をときめかせた。
「……凄いのびるな」
セロンガードは、のびる餅を上手い事対応しながらきな粉との相性を存分に味わった。
そうして、ティトとセロンガードは餅と茶でまったりと締めた。
「……シャルガネ料理はあまり食べる機会がありませんでしたが……」
偶然夜のシャルガネ居住区に訪れたヴィルヘルミナは、食事処『フジヤマ』の宣伝に惹かれて入店し、現在お品書きを手に物色していた。
「……色々ありますが、ここはおにぎりでも頂きましょう。おすすめという事ですし」
物色の末に宣伝文句に従う事にした。
「具は……焼き魚があるから多分あると予想した通り魚のほぐし身がありますね。それと、高菜、大葉、大根葉に……野菜の具というのも面白そうですね。合わないという事はないでしょう」
沢山ある具の中から、
「鮭のほぐしのおにぎりと大葉に……飲み物はお酒を頂きましょう。餅は食事の後におやつとして持って来て貰うとして……味はきな粉が良さそうですね」
何とか決めて、通りかかった店員に注文をした。
程なくして注文した料理が運ばれ、実食となった。
「ドワーフの作る酒とはまた違ってよいものですね。仕込み方が違えば個性もまた変わって、これはこれでアリではないでしょうか」
『うわばみ』ぶりを発揮と、景気よく味わったり、
「……美味しいですね」
おにぎりを頬張ったりと忙しくする。
最中、
「……そうなんですね」
隣の客と男性店員のやり取りが耳に入ったヴィルヘルミナは、常なる柔和な笑みと共に話に加わった。
散々語った後、
「……きな粉がよく合いますね」
きな粉の餅で美味しく締めた。
「……つきたての餅1個が無料か……なかなかの大盤振る舞いだな」
宣伝に足を止めたシャルガネ風の着物を纏うナハティガル=ラーは、即座に入店しお品書きに夢中である。何せ、シャルガネ文化に興味があり、特にシャルガネの食事は気に入りだ。
お品書きとの睨めっこの末、
「……ここはオススメの『おにぎり』とやらにしてみようか……具は梅干しと肉……ところで何の肉なのか気になるんだが」
通りかかった店員を呼び止め、店先の宣伝を参考に注文を行う。
「その日に用意出来た肉を使っています。今日は鶏肉ですね」
女性店員は快く答えた。
「それは楽しみだ……付け合わせに味噌汁と漬物、あと晩酌も兼ねて清酒を熱燗で、餅は持ち帰り用に包んで貰えるか? 味付けはお任せで」
ナハティガルは料理への期待を胸に、注文を終わらせた。
それから程なくして、料理が運ばれ食べたり飲んだりの末、
「シャルガネは酒も食い物も美味い……ような気がする。ゴールディとは大分違うな」
ナハティガルは改善傾向にはあるが、いまだ自身の味覚には自信が無い。だが、故郷で食していた物とは大きく異なっている事は分かる。
「しかし、おにぎりは携帯食としても優秀そうだ」
ナハティガルがふとこぼした瞬間、
「お客さん、分かってますね!」
近くで片付けをする男性店員が、嬉しそうに言ってきた。
「あぁ。おにぎりは非常にシンプルな料理だが、それ故に素材と作り手の技量によって大分味に差が出るように思うが。実際の所はどうなのだろうか?」
ナハティガルは訊ねた。
「それはありますね。料理人によって、塩加減が多少違ったりとか味の違いは」
男性店員が答えてくれた時、
「……そうなんですね」
隣の席のヴィルヘルミナが柔和な笑みと一緒に参戦。
「……そのおにぎりは鮭のほぐし、か」
ナハティガルは、ヴィルヘルミナのおにぎりに興味を持った。
「味付けは塩だけですが、十分に美味しいです。大葉の香りもいいですよ」
ヴィルヘルミナは喜々と自身が選んだおにぎりを語ってから、
「甘辛い匂いがいいですね。何のお肉ですか?」
鼻孔をくすぐる甘辛い匂いが心地良く、ナハティガルのおにぎりを気にする。
「鶏肉だ」
ナハティガルは答え、猪口に清酒の熱燗を注ぐ。
「それはお酒にも合いそうですね」
ヴィルヘルミナは茶目っ気をちらつかせつつ、猪口に清酒を注ぐ。
「食事処の開店を祝って」
「シャルガネ料理の美味しさに」
ナハティガルとヴィルヘルミナは、同時に猪口を掲げてからゴクリ。
語り終えた3人は、それぞれやるべき事に戻った。
食事を終えた後、
「……趣のある夜景だ」
ナハティガルは店を出てシャルガネの街並みを眺めつつ、
「……これはのびる……ん、この餅は餡子か……食感は粒あんのようだな……」
景気よくのびる土産の餅を堪能しながら歩き去った。
「見て、シャルガネ料理だって」
偶然シャルガネ居住区を通りかかったアリエッタは、軒先で宣伝する店員を発見し好奇心にキラキラする目で指さし、隣の2人に言った。
「新しく開店した食事店かぁ。どういう料理があるのか気になるわね」
気付いたテュリン・ヴィングは、示された先を見るや興味津々の顔に。
「しかも開店記念でお餅1個サービスみたいだよ」
ララベル・サン・ディーベルも楽しそうに話に加わった。
「色んな味があるみたいだけど、もし食べるならきな粉がいいわね」
「あたしも!」
テュリンとアリエッタは、『もし』を前提に餅の味をあれこれと話す。
「それなら食事をしていかない? テュリン姉、アリエッタ」
彼女達の様子に堪らなくなったララベルは愛らしい笑顔で、最高の提案をした。
「今?」
想定外だったのか、テュリンとアリエッタの声が見事にハモった。
「当然! ほら行くよ」
構わずララベルは愛しい2人の手を取りそのまま食事処『フジヤマ』に入店し、
「……3人、お願いするね!!」
席まで案内して貰った。ちなみに時間はお昼時であった。
「おにぎりがお勧めらしいけど、どの料理も美味しそうだよね」
席に着いたララベルは、ちらちらと他の席に並ぶ料理を偵察する。
「そうね。あの焼き魚も美味しそう」
「あのお味噌汁も美味しそうだよ」
テュリンとアリエッタも釣られるように周囲をきょろきょろ。
「2人とも今日は僕がおごるから、思いっきりシャルガネ料理楽しもうね♪ 偶にはこんなデートもいいだろうし」
ララベルがにこっと太っ腹な事を言った。
「じゃぁ、お言葉に甘えて。まずは、おすすめのおにぎりは外せないよね。後は……」
アリエッタが愛らしいおねだりの眼差しで、食べたい料理を挙げた。
「味噌汁と焼き魚に煮物と清酒もお願いしたいわね」
アリエッタの言葉を継いだのはテュリンだ。
「いいね♪」
アリエッタは全力で賛成する。
「それでおにぎりに何を入れて貰う?」
ララベルがおにぎりの具材を訊ねた。
「定番と聞いている梅干しは外せないわね」
「お肉とお味噌も!」
テュリンとアリエッタは、口々に食べたい具材を挙げた。
「……具にチョコとか果物だって、珍しいね。どんな味になるか想像つかないな……デザートかな?」
ララベルは、お品書きに書かれている奇特な具材に眉を寄せた。
「かもしれないわね。でもあるって事は、頼む人が一定数いるって事じゃないかしら」
テュリンは肩を竦めながら返した。
その時、
「いた! あのお客さん、チョコのおにぎり食べてる」
アリエッタのくるくるよく動く大きな緑の瞳が、離れた席でチョコおにぎりを頬張る男性客を発見した。
「いたんだ」
「いたのね」
同時に振り返ったララベルとテュリンは、意外そうな顔。美味しそうに食べられているので余計に。
「折角だから、チョコや果物のおにぎりをデザートに食べてみようか」
一層興味を抱いたララベルは、デザートとして注文する事に決めた。
「きな粉のお餅も楽しみだね!」
アリエッタは餅も楽しみにする。
頼む料理が決まった所で、通りかかった店員を呼び止めて注文をした。
それからしばらく待った所で、注文した料理が運ばれた。
早速、食事開始である。
「味が染み込んで美味しい」
ララベルは煮物を口に運び、心地よい甘さを堪能するも、
「さすが、定番だけあって梅干しのおにぎりは美味しいわね。こうも料理が美味しいとお酒も進むわ」
「お味噌汁も美味しいよ」
テュリンとアリエッタの幸せそうに料理を堪能する様を前に、
(美味しそうに食べてるなぁ。一緒に来れて良かった)
いつの間にやら心が魅入られてしまう。
「ん、ベル?」
不意に視線に気付いたテュリンは振り返り、
「もしかして、これ食べたかった?」
次に食べようと思っていた肉のおにぎりを示した。
「……これ……?」
突然声を掛けられたララベルは、訳が分からない。
「いいわよ。あげる。後でおかわり頼めばいいし」
構わずテュリンは肉のおにぎりを手に取り、
「あーん」
ララベルの口元に持って行く。
「あ、あーん」
意を決しララベルはパクリ。頬は朱に染まっていた。
「どう?」
にこにこと味を訊ねるテュリン。
「うん、凄く美味しいよ。ありがとう」
ララベルは笑顔で答えた。
そこに、
「焼き魚も美味しいよ! 食べてみて!」
アリエッタが『美味しい』を共有したくて入って来るなり、
「あーん!」
これまた同じようにララベルの口元に焼き魚を持って行く。
「えと、貰おうかな……あーん」
退けぬララベルはこれまたパクリ。
そして、
「焼き魚も美味しいね。というか、2人が食べさせてくれるから、なおさらだよ」
ララベルは愛らしく微笑んだ。料理以上に嬉しいのは2人との時間。
「じゃあ、僕もお返しに……あーん」
今度はララベルの番だ。
そうして、3人はいちゃいちゃと食べさせ合いをした。
存分にシャルガネ料理と大切な人達との時間を過ごす中。
(そういえば、何時もは必ずと言っていいレベルで起こる筈のベルのラキスケが起きてないわね……。まぁでも、そういう日があっても良いよね。というより、寧ろそういう日が珍しいって、よくよく考えたらおかしいけど……)
テュリンはふとララベルの『ラッキースケベ』がまだ発揮されていない事に気付き、胸中で自分にツッコミを入れていた。
「どうかした?」
考え込むテュリンが気になったのか、ララベルは気遣い声を掛けた。
「ううん、何でもないわ。シャルガネの美味しいお酒を知っておくのも悪くないと思ってね」
声を掛けられ我に返ったテュリンは、清酒を飲んだ。
「おにぎりもお味噌汁も煮物も、全部、美味しいね!」
アリエッタは忙しなくもぐもぐしながら、楽しそうに2人に笑い掛けた。
食事の最後を飾るのは、デザートである。
「お餅にきな粉はぴったりね」
「だね♪」
テュリンとアリエッタは、きな粉がたっぷりかかった餅を美味しく食した。
「どんな味かな」
ララベルは、チョコおにぎりや果物が入ったおにぎりに手を伸ばした。
「……初営業記念……」
シャルガネの観光に来ていたティトは、偶然耳に入って来た軒先の宣伝に心奪われ、食事処『フジヤマ』に入店し、お品書きを物色中だ。ちなみに賑やかなお昼時である。
「……いい匂い」
物色しつつ時折ティトは店内を見回し、鼻をクンクン。有する『超嗅覚』は、どんどん醤油や味噌の香ばしさを鼻へとお届し、料理への期待値を上げていく。
「……どんな料理があるんだろうな」
ティトに同伴していたセロンガード・シュタインドルフも向かいに座って、お品書きに目を走らせるも、
(……シャルガネ料理はあまり食べた事がなく、少し物珍しいというかどんな料理だか分からないし……そもそも、人づてで得た知識でしか知らないからな)
参考に出来るのは、シャルガネに詳しい後輩から昔に聞いた知識なので少し頼りなかったり。
結果、
「任せる。ハズレを引きたくないからな」
美味しい物を食べるため、セロンガードは無難な道を選んだ。
(何より、ティトの嗜好を知るのにちょうどいい)
優しい思惑を胸に抱きながら。
「それなら、覚悟、して」
ティトは、言質を取ったとばかりに緑の瞳に不敵な色を煌めかせるやいなや、
「おにぎり、塩とおかかと味噌とこんぶと梅と炊き込みご飯とお肉と鮭のほぐしと醤油味の焼きおにぎりと大根の漬物と無料のお餅はきな粉にして……」
遠慮のない怒涛のおねだりが始まる。
「待った」
想定外の猛攻にセロンガードは、待ったをかけた。
「ん?」
おねだりを中断されたティトは、不思議そうに小首を傾げた。
「そんなに頼んで大丈夫か?」
セロンガードは、あまりの注文量に心配になったようだ。
「それは食い意地が張っているって言いたいの? 違うんだよ? これは記念の日で、めでたいからいいんだよ……少しくらい食べ過ぎても、ね」
ティトは、不名誉だと愛らしく口を尖らせて返した。
「大丈夫なら何も言わない」
セロンガードは本人が良しとしている様子から、それ以上言うのをやめた。
「飲み物は温かいお茶に梅干しをいれたやつが飲みたい、な」
ティトは飲み物も抜かりなしだ。
「……ティトの注文に乗っかろうか」
セロンガードはティトの注文に便乗する事に決めた。
無事に注文する料理が決まった所で、2人は通りかかった店員を呼び止め、注文を伝えた。
それから、程なくして料理が運ばれた。
「……これは壮観だな」
セロンガードは、卓いっぱいに並ぶおにぎりを見て、感嘆めいた感想をこぼした。
「いただきます」
ティトは、いざ実食を開始とばかりに力強く手を伸ばし、おかかのおにぎりを取りパクリ。
「……美味しい」
ティトは、口内にふわっと広がる醤油とおかかの絶妙さに舌鼓を打つ。
「いい塩加減だ。大根の漬物の食感も最高だ」
セロンガードは、塩おにぎりと漬物の食感を堪能する。
「いくらでも、食べられるよ」
ティトは漬物をぽりぽりと軽やかに齧り、
「……味噌の匂い、たまらない」
味噌おにぎりの香ばしさに心を躍らせ、
「セロン、このおこげの部分、美味しいよ」
炊き込みおにぎりのおこげを堪能する。何とも忙しい。
「……確かに」
釣られてセロンガードは、おこげ部分を狙ってパクリ。
口の中に満ちる醤油を味わいつつ、
(それにしても美味しそうに食べるな。後で作り方を調べてみようかな)
セロンガードはティトの観察も忘れないどころか、最高の食べっぷりに作り方を調べる気満々だ。
おにぎりを食べに食べて、
「お茶と梅干って、合うね」
合間にティトは梅干し入りの茶でまったり。シャルガネ独特の茶と梅の相思相愛ぶりににっこり。
「あぁ、合うな」
セロンガードも梅干し入りの茶で喉を潤してまったり。
この後も2人はおにぎりを駆逐した所で、ついに突き立ての餅の出番だ。
「次はいよいよ、お餅の番、いただきます」
ティトは、喜々ときな粉がたっぷりかかった餅を口に入れた。
「……のびる、のびる」
ティトは、餅ののびっぷりを楽しみつつ、
「……きな粉、美味しい」
きな粉の優しい味わいに心をときめかせた。
「……凄いのびるな」
セロンガードは、のびる餅を上手い事対応しながらきな粉との相性を存分に味わった。
そうして、ティトとセロンガードは餅と茶でまったりと締めた。
「……シャルガネ料理はあまり食べる機会がありませんでしたが……」
偶然夜のシャルガネ居住区に訪れたヴィルヘルミナは、食事処『フジヤマ』の宣伝に惹かれて入店し、現在お品書きを手に物色していた。
「……色々ありますが、ここはおにぎりでも頂きましょう。おすすめという事ですし」
物色の末に宣伝文句に従う事にした。
「具は……焼き魚があるから多分あると予想した通り魚のほぐし身がありますね。それと、高菜、大葉、大根葉に……野菜の具というのも面白そうですね。合わないという事はないでしょう」
沢山ある具の中から、
「鮭のほぐしのおにぎりと大葉に……飲み物はお酒を頂きましょう。餅は食事の後におやつとして持って来て貰うとして……味はきな粉が良さそうですね」
何とか決めて、通りかかった店員に注文をした。
程なくして注文した料理が運ばれ、実食となった。
「ドワーフの作る酒とはまた違ってよいものですね。仕込み方が違えば個性もまた変わって、これはこれでアリではないでしょうか」
『うわばみ』ぶりを発揮と、景気よく味わったり、
「……美味しいですね」
おにぎりを頬張ったりと忙しくする。
最中、
「……そうなんですね」
隣の客と男性店員のやり取りが耳に入ったヴィルヘルミナは、常なる柔和な笑みと共に話に加わった。
散々語った後、
「……きな粉がよく合いますね」
きな粉の餅で美味しく締めた。
「……つきたての餅1個が無料か……なかなかの大盤振る舞いだな」
宣伝に足を止めたシャルガネ風の着物を纏うナハティガル=ラーは、即座に入店しお品書きに夢中である。何せ、シャルガネ文化に興味があり、特にシャルガネの食事は気に入りだ。
お品書きとの睨めっこの末、
「……ここはオススメの『おにぎり』とやらにしてみようか……具は梅干しと肉……ところで何の肉なのか気になるんだが」
通りかかった店員を呼び止め、店先の宣伝を参考に注文を行う。
「その日に用意出来た肉を使っています。今日は鶏肉ですね」
女性店員は快く答えた。
「それは楽しみだ……付け合わせに味噌汁と漬物、あと晩酌も兼ねて清酒を熱燗で、餅は持ち帰り用に包んで貰えるか? 味付けはお任せで」
ナハティガルは料理への期待を胸に、注文を終わらせた。
それから程なくして、料理が運ばれ食べたり飲んだりの末、
「シャルガネは酒も食い物も美味い……ような気がする。ゴールディとは大分違うな」
ナハティガルは改善傾向にはあるが、いまだ自身の味覚には自信が無い。だが、故郷で食していた物とは大きく異なっている事は分かる。
「しかし、おにぎりは携帯食としても優秀そうだ」
ナハティガルがふとこぼした瞬間、
「お客さん、分かってますね!」
近くで片付けをする男性店員が、嬉しそうに言ってきた。
「あぁ。おにぎりは非常にシンプルな料理だが、それ故に素材と作り手の技量によって大分味に差が出るように思うが。実際の所はどうなのだろうか?」
ナハティガルは訊ねた。
「それはありますね。料理人によって、塩加減が多少違ったりとか味の違いは」
男性店員が答えてくれた時、
「……そうなんですね」
隣の席のヴィルヘルミナが柔和な笑みと一緒に参戦。
「……そのおにぎりは鮭のほぐし、か」
ナハティガルは、ヴィルヘルミナのおにぎりに興味を持った。
「味付けは塩だけですが、十分に美味しいです。大葉の香りもいいですよ」
ヴィルヘルミナは喜々と自身が選んだおにぎりを語ってから、
「甘辛い匂いがいいですね。何のお肉ですか?」
鼻孔をくすぐる甘辛い匂いが心地良く、ナハティガルのおにぎりを気にする。
「鶏肉だ」
ナハティガルは答え、猪口に清酒の熱燗を注ぐ。
「それはお酒にも合いそうですね」
ヴィルヘルミナは茶目っ気をちらつかせつつ、猪口に清酒を注ぐ。
「食事処の開店を祝って」
「シャルガネ料理の美味しさに」
ナハティガルとヴィルヘルミナは、同時に猪口を掲げてからゴクリ。
語り終えた3人は、それぞれやるべき事に戻った。
食事を終えた後、
「……趣のある夜景だ」
ナハティガルは店を出てシャルガネの街並みを眺めつつ、
「……これはのびる……ん、この餅は餡子か……食感は粒あんのようだな……」
景気よくのびる土産の餅を堪能しながら歩き去った。
マスターコメント
参加者の皆様、参加して頂き大変ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
シャルガネ料理を堪能して食事処の初営業を盛り上げて頂き、ありがとうございました。
ほんの僅かでも楽しんで頂ければ、幸いです。
ショートシナリオ普通 報酬:標準7 / 4〜8人
2023年12月12日 13時18分28秒 公開
大成功
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