【屍涯】エレウシスの階【畢命】
炙りとろ左門
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シナリオID:3270
オープニング
セウェルスは夜天に向かって真っ直ぐと伸びる光を見上げた。階というには登らせる気が全くない。とはいえ仮に文字通りの構造だったとして、律儀に登ってたどり着けるような場所ではないのは確かだ――空の底など。
手を伸ばす。そこから、我々ヒトはどれほどはっきりと見えるのだろうか。そこで、求める魂を見つけることができるだろうか。
空へ伸びた光の終端が歪む。ぽっかりと開いた黒い穴に星々の光が飲み込まれた。
死した魂の揺籃へと続く途。
「……つながった」
鏖殺、灰葬、変換、ようやく――この光景を掴もうと連ねた者たちを、殆ど喪って。
悲しみよりも、『ようやく辿り着いた』という安堵を覚えている。
未練が擦り切れるには十分な時間を経て尚、諦められない理由はひとつ。
自らの創造物に致命傷を負わされながら、最期に太陽を仰いで死ぬことを受け入れた師父の考えを、知りたかった。
自分は師父の一番で、ゆえに彼女が選ぶ途の意味を教えてもらえるか、あるいは理解できると思っていた。結局、弟妹たちと共に取り残されてしまったが。
その時の感情が、願いが、愚昧で在ってはじめて望むことを許されるものだという限り、セウェルス=マルキアスという死霊術師は止まれない。
だがそこへ行くには、体が邪魔だ。数百年を永らえるためのそれも、後継も最早必要ない今、迷う理由はないはずだ。
「……」
ふと、セウェルスは空に伸ばしていた手を降ろし、いつか噛みつかれた首筋に触れる。
この髪や瞳の色が好ましく、ずっと見ていたいと告げた少女が残した痛みを、誰にも譲らずにしまっていた理由がなんなのか、ついぞ分からなかった。
「惜しいのか?」
セウェルス自身もわからないことについて、常に絶対の回答を有していた師父はすでに亡い。そうして彼は再び疑問に蓋をする。
「……セウェルス=マルキアス」
その名を告げれば、思考はいつでも明瞭に切り替わった。
災厄、墓掘り人、ほかさまざまな異名を纏うそれは、師父からの最初の贈り物だ。
『名前は、世界にとって所在標識に過ぎない。■■■■■、君はこの事実から、多くの魔法を編み出せるだろう』
死霊術ではなく、初歩的な呪い避けだった。真名を隠しておくことは、魂を守ること。考えようによっては、魂を肉体の軛から解き放つ符号とすることもできる。
向こう側へと行くためにそれを口にしようとした、一瞬。歪む空の様子にわずかに違和感を覚えた。
あの穴は、今どこに繋がっている?
● 最後の祝宴
クレオンの案内を受け、冒険者たちは想定より早く隠れ里へと辿り着いた。
見渡す限りの砂海の中、ゆっくりと風化するだけの遺跡を守っていたその一族は、しかし、死霊術師の力に屈して遺跡を明け渡した。今息をしている者たちは、セウェルスが儀式の準備を終えたがゆえに見逃されただけにすぎないのだろう――。
血で穢された石畳を見てそう悟り、キーリは表情を歪める。クレオンを喪い、もう一歩到着が遅れていたらと思うとぞっとする。
「……負傷者の救援と退避は任せてください」
監視哨に留まらずに無理を言ってついてきた理由だ。ただ伏して涙に暮れるだけのお姫様にはならないと決めたから。
「ぼ、僕も、手伝う。でも……」
ロドスは身を這う悪寒にぶるりと震えた。
「すごく、嫌な感じだ……あの穴から、感じる」
エーテルの変化を敏感に感じ取ってしまうロドスの顔色は悪い。冒険者たちもまた、空から落ちてくる得体の知れない何かを感じていた。
「……魔獣たちが集まってる。これは血の臭いにつられてだろうけど……そっちは僕たちでなんとかしよう」
アレクシスはそう言ってすらりと剣を抜いた。クレオンもまた矢をつがえる。
「そこの黒いの。上手くやれるんだろうな?」
ロヴェルを警戒するクレオンはそう尋ねたが、ロヴェルは否定も肯定もせずに、空を見上げた。
「可能な限り速やかに儀式を中断させる。あの穴……あれ以上大きくなると、まずそうだ――行こう」
促され、冒険者たちは祭殿を目指して走る。
古びた祭殿からは、光の柱が立ち上っていた。故に、夜だというのに見通しが利く。その手前にセウェルス=マルキアスは佇んでいた。
「……どうして君たちは、間に合っちゃうのかな」
冒険者くん、と言って人懐っこい無邪気な笑みを見せていた彼は、今や表情を消して冷たく言い放つ。
足元に描かれた魔法陣は、【ガゼルタの星】によく似て、しかし非なるものだった。
「冒険者殿が確保した分を、やはり無理矢理に補ったか。術の維持には繊細なコントロールが必要だろう」
ガゼルタで冒険者たちが奮戦していなければ、より甚大な被害をもたらしていたに違いない。ロドスが生き延びたことも、ロヴェルが対抗策を編み出せたことも含め、全ての結果がここに収束している。無論、セウェルスは面白くないようだったが。
「ロヴェルは……もういらない」
セウェルスが挨拶がわりに放った魔法を、ロヴェルは抜き放った剣で弾き落とす。
「求めに応じた覚えはない」
セウェルスの甘言に惑わされることはあっても、彼のためと動いたことはなかった。そしてその支配下から逃れることができた今、従う理由もない。
「邪魔をしないで欲しいな」
セウェルスはふたたび、冒険者たちに語りかける。
「いや……君たちの物語は、ここで終わりだ。はじめよう、冒険者」
解説
マスターより
リプレイ
「手数でオレをどうこうしようってンなら甘えよ」
「ほんっと戦士型ってのは、馬鹿力だよね……!」
鍔迫り合いの合間に毒づき、セウェルスは勢いを殺すために後方へ飛び退く。
砲台のような火力を有する魔術師とはいえども、そもこの流派は真正面から近接職を相手にできるような力は有していない。【屍涯宮】の死霊術師たちは通常の魔術師とは異なる特性を有しているが、理そのものが覆るわけではないのだ。
とはいえ、アーテミシアの今回の役回りは「盾」――どちらかといえば「壁」に近いだろうか。
「めんどくせえ……」
アーテミシアは間合いから出たセウェルスを睨みつける。上から押さえつけられる――否、下へ下へと落ちていくような圧力が、アーテミシアの足運びを制限している。加えて回復魔法の影響力も減衰しているときた。
「こっちはテメーも、テメーのやってることもどうでもいいんだ。黙ってさっさと死ね」
「甚だ同感だよ。すごく邪魔」
そう応じるセウェルスの魔術は、本来それなりに遠くまで届く。しかしアーテミシアや他の冒険者が目の前にいるせいで、目当ての術者を狙いにくい。踏み込めば範囲魔術の領域に巻き込めるが、アーテミシアが間に割り込む形で立ち塞がっていた。
「ちょっとどいてくれるだけでいいんだけどな」
セウェルスが招くように差し出した右手を中心に、禍々しいエーテルが収束する。アーテミシアは重心を落とすと、降り注ぐであろうエーテルの雨に備えた。
放たれる魔術のひとつひとつが〈厄災〉の名に相応しく、天災とは比べ物にならないほどの威力だった。荒れ狂っているのはエーテルなのだから当然と言えば当然だが。
「おっと」
スー・ルーはセウェルスの矛先がロヴェルに向く瞬間を見抜き、撃ち合うように【爆炎】を発火させる。ようやくの機会を潰されたセウェルスはあからさまに眉を顰めた。
スールが知る彼は常に飄々とした狂言廻しだったが、いまや表情を繕う余裕もないのだと分かる。スールがセウェルスへ放った阻害魔術も、随分と不愉快な足枷に感じられることだろう。
「ハッ」
スールは口角を持ち上げた。【屍涯宮】とそれに関わる事象において、そこには常に強者との渡り合いがあった。セウェルス本人にこれといった恨みはないが、どうせなら一発殴りたい――
「……顔に出ているぞ」
ロヴェルに呆れ半分で諌められ、スールはぴくりと耳を動かした。
「出番が来るまでは大人しくしてる。ハーヴェ、」
次は尾が揺れた。
「……ロヴェルが落ちたらロドス、ロドスが落ちたら俺。そうだよな」
「ああ。……とはいえ、助かった。今の私は防御に意識を割けないからな」
その割に口は動いているが、とスールが横目で振り返ると、ロヴェルは視線だけで「前を向け」と示す。
「これで半分」
ロヴェルがそう宣言すると、青白い光の杭が祭殿に突き立った。祭殿に根を伸ばす魔術式が一部書き換えられると同時に、ロヴェルは血の気の引いた顔でその場に膝をつく。
「伯爵!」
反対側からイズル・M・ヴォルゴールが叫んだ。彼があらかじめロヴェルにかけておいた【ライフアンカー】の効果が消えた。イズルはすぐに回復魔法を唱えようとして考え直し、待機していたロドスを振り返る。
「交代を!」
「そうだね。いい判断だと思う」
重要なのは儀式を成立させることだ。そして回復魔法は一回たりとも無駄撃ちできない。イズルの意図を汲んだロドスはロヴェルを下がらせ、指示された場所に立つ。
自らを臆病者だと自嘲し、杖を握る彼の手は震えていた。それでも背筋を伸ばしているのは、彼なりのけじめなのだろう。
イズルは思わず言葉をかけようとして、本人に視線で制された。
「僕たちは、目的のために街ひとつ滅んでも構わないと考えるような奴らだ。……迂闊に覗き込めば、君も呑まれるよ」
吹き荒れるエーテルに負けじと、ローザリカ・L・ディオールはたたらを踏んだアーテミシアの元に駆けつけ、その背を支えた。
「もう一手、耐えられるだろうか?」
「二手で倒れるほどやわじゃねえよ」
ローザリカの問いに、アーテミシアは獰猛な笑みで応える。ローザリカもそれに微笑みを返すと、さらに踏み込み、セウェルスの懐に潜り込んだ。
「退け、治療の邪魔だ!」
ロドスが倒れないよう、押し込まれた戦線を押し戻す。そのために振り抜かれた蹴りを、セウェルスは大きく後退して避けた。回避に専念するであろうことは予想していたが、あっさり退いたことにローザリカは疑念を覚える――が、すぐに理解した。
セウェルスにまっすぐ向かう赫い風。フリューリングスルフト=ティエラだった。
「会いに来たさぁ、アンちゃん」
セウェルスにそう語りかけるフリューの声音は、戦場に似つかわしくないほど穏やかなものだ。対するセウェルスは口を噤み、神経を尖らせている。
「君に伝えたいことがあるんよ」
セウェルスは無言のうちに、尚も語りかけるフリューを振り払った。両者が振るう刃が擦れて、耳障りな音を立てる。
「俺にはない」
そう拒絶するセウェルスへ、シルヴィア・A・カペルがエーテルを纏わせた軍刀を一閃、滑らせた。
「おや、つれないな……相変わらず悪い人だね、ファウロス?」
シルヴィアがセウェルスをそう呼ぶのは、過日の意趣返しだ。セウェルスの防隔術式に阻まれて霧散したエーテルに煽られて、あるものが腰元で揺れる。剣帯に括り付けられたそれは、戦いの前にロドスに預けようとして固辞されたものだ。彼なら共に戦うことを選ぶだろう、と。
「確かに、イェリアスは君を気に入ってたな。良い子ちゃん同士、通ずるものがあるらしい」
「そうかもね。だから私たちは君を止めるよ。力尽くでも」
前方で火花が散る。セウェルスがフリューを警戒して後退した分をシルヴィアが詰め、安全地帯が確保された。今のうちだとイズルは即座に立て直しをはかる。
回復魔法のために支払えるエーテルも有限だ。そして戦況は、一手でも読み違えれば崩壊するだろうという薄氷の上――はっきり言ってしまえば、余裕はない。使える知識を総動員して一瞬のうちに判断を下さねばならないという状況で、イズルの呼吸は知らず上がっていく。
そしてスールに位置取りの変更を提案した直後、前方で光が弾けた。
それはすでに二回冒険者たちを襲い、傷を負わせてきた攻撃だ。目を開いた先に見えた光景にイズルは息を呑む。最初に立ち上がったアーテミシア以外は、膝をついて息をしている。
ここを立て直すことができなければ、ひとりずつ確実に討ち取られるだろう。イズルは戦槌を軽く掲げ、しかし、迷った。
(治癒術師全員が回復に回っても押し切られる可能性は高い。全員で攻撃に回ったとしても、仕留め切れるかどうかわからない。【聖別】はもう使えない。遅滞に移ったとして、術式の上書きを終えるには何人必要になる? 順番は――)
「ほら、だから呑まれるって言ったでしょう? ……あと一本!」
ロドスの声がイズルの思考に割り込んだ直後、光の杭が祭殿の床に打ち込まれた。その衝撃によろめいたイズルの肩を、スールが脇を駆け抜けざまにぽんと叩く。
「アレ、頼んだ」
「あっ、ああ!」
イズルは慌てて最後の【ライフアンカー】をスールにかける。そしてスールは握り込んだ杖にありったけのエーテルを乗せて、セウェルスに向かって振り抜いた。
「ただの一発じゃねえからな」
スールがセウェルスを殴りつけたのを見て、アーテミシアは小首を傾げる。
「……阻害魔法ってよ、あんなんだったか?」
その問いは近くにいたローザリカが応じることになった。
「そういうこともあるだろう。それに、拳で語ることには大いに賛成だな」
アーテミシアとローザリカはそれぞれ立ち上がると、互いの損耗を確認する。ぼろぼろだが、見た目ほどダメージは深刻ではない。
「ま、相手がアレじゃ死に甲斐もねえし、なんとかなンだろ」
アーテミシアの言葉にローザリカは頷き、体内のエーテルを手繰り寄せた。次の手はすでに決まっている。
「ところで、そっちは耐えられンのか?」
「問題ない。仲間のために体を張るくらいは、安いものだ」
ローザリカがアーテミシアに対して【ソウル・ピュリファイア】を発動させたのを確認したフリューは、先ほどスールに付与された阻害魔法を解除しようと試みるセウェルスに肉薄した。
防隔術式を打ち切れば、セウェルスが身を守る術は、回避に徹するか、一撃で盤面を破壊するかだ。そしてスールの【魔糸】によって回避力が落ち、その解除に移っているている今こそ、好機である。
「アンちゃん――セウェルス」
どんな名前も、かつて彼が言ったように、所在標識にすぎないのだとしても関係ない。
セウェルスの瞳に自分が映っているのを確認して、フリューは込み上げる思いをそのまま吐露した。
「君だけが、うちの運命って決めたから」
「――は?」
セウェルスは瞠目するが、今更そのような言葉に虚を突かれるような性格ではない。フリューの三連撃は一撃を除いて躱される。
「何を、」
「こっち見ろ、っさぁ!!」
しかしこれまで幾度となく求められ、応じてきたその言葉に関しては、気を取られた。
その一瞬に踏み込んで、シルヴィアが下段に構えた軍刀を抜き放ち、セウェルスの背中を深く斬りつける。
「……良い子ちゃんは背後から斬りつけたりしない、からね」
だが彼女らは、その選択ができる。
シルヴィアを睨みつけつつも、セウェルスはどうにか踏みとどまった。しかし体内のエーテルはすでに、急場を凌ぐための回復と儀式を維持する分しか残っていない。
セウェルスが一矢とシルヴィアに振り上げた短剣は、間に入ってきたアーテミシアのガントレットに阻まれる。
「我慢比べは、オレの勝ちだ」
この戦いのために守りを固めたアーテミシアではあるが、満身創痍の魔術師ひとりを叩きのめすのはわけもないことだ。アーテミシアの反撃をまともに食らったセウェルスは意識を手放し、落雷の如く最後の杭が打ち込まれた。
● 招かれざる者
エーテルの供給が絶たれたためか、それとも術者が気を失ったせいなのか、天に伸びていた階が消える。眩い光源を失い、周囲は闇に包まれた。
しかし授恵者の順応は早い。星明かりのもと、すぐに闇の濃淡を見分けられるようになる。空に開いた穴は徐々に小さくなっていった。
イズルは戦闘でぼろぼろに荒れた祭殿を見渡して、意識を集中させる。
先刻ロドスからは忠告されたが、己を危うくするものを知ることは大切だ。確かにイズルの【残留思念感応】が拾い上げるのは、苛烈なものだったが。
(……優しくて、寂しがりの人たちだ。誰よりも愛情深くて、想いが強い)
自分の命も他人のそれも、時間も、営みでさえ簡単に投げ捨てて、境界に穴を開けてしまうほど。
魂の在り処に限りなく近づいたそれを記憶にとどめようと、イズルは空を見上げ、そして異変に気づく。
「……何?」
イズルが不安そうに呟いたため、冒険者たちも顔を上げた。そして誰かが叫ぶ。
「散開!」
次の瞬間、今まさに閉じようとしている穴から、大量の泥のようなものがこぼれ落ちてきた。
冒険者たちは四方に散る。本能が「あれから離れろ」と警告を発していた。落ちてきた泥は冒険者たちを飲み込む勢いで、祭殿を覆うほどに広がっていく。
「アンちゃん!」
「だ、だめだ! 巻き込まれるよ!」
フリューは気絶したまま泥に飲み込まれたセウェルスに手を伸ばしたが、ロドスによって間一髪、大きな瓦礫の上に引き上げられる。他の冒険者たちも同様にして難を逃れていた。
「おい、なんだってんだ?」
空に開いた穴が閉じているのを確認してから、スールは祭殿を汚す泥を見下ろした。ぼこぼこと泡立ち始めたそれは、明らかにただの泥ではない。
「……そうか」
闇の中で蠢くそれを見て、シルヴィアは結論を導く。
「魂の揺籃である世界から這者なんて考えにくい。もしかして、別の場所につながっていたんじゃないかな」
「這者……これが?」
ローザリカは疑問を呈しつつも、油断なく周囲に視線を巡らせた。かろうじて残った足場は狭く、冒険者たちはそれぞれ分断されている。
その時、痙攣するように蠢いていた泥がゆっくりと隆起した。まるで頭をもたげるように、あるいは体を起こすように――そのような認識を周囲に与えた直後、弾ける。
「くっ……!?」
様子を見ていたシルヴィアは飛沫を躱し、祭殿の外に降り立った。そして手近な岩に飛び乗り周囲を俯瞰する。
「これは……」
体を弾けさせた這者は、また泥溜まりに戻りつつも蠢いている。それは体の一部を切り離された軟体系の魔物が、新たに形を取ろうとしている姿を彷彿とさせた。
「……穴を閉じることができなければ、もっと大きな個体を呼び寄せていたかもしれない」
そう呟いたシルヴィアの見立ては間違っていない。だが肉片でさえ油断はできないのが這者だ。心臓だとか頭だとかいう分かりやすい生物の急所が存在するなら、ヒトはこれまで這者に手こずっていない。
「まだのろい」
同様に這者の様子を観察していたアーテミシアは、そう呟く。この異様な存在から手足が生えるまではもう少し時間がかかりそうだ。同じ結論に至ったスールは、岩に背を預けていたロヴェルを迎えに踵を返した。
這者であれば、エーテルを求めてじきに見境なく暴れ出す。敵が現界直後で思うように動けていない今しか、体勢を立て直す時間はない。
冒険者たちは各々祭殿から離れる。その中で瓦礫の上に座り込んだまま動かないフリューのそばへ、ローザリカは駆けつけた。ロドスは小柄なため、フリューを連れていけないと助けを求めたのだ。
「さあ、君も」
「まだ……一緒に、見たいものが」
わずかに声を震わせるフリューの肩を、ローザリカは優しく抱く。
「……体はわからないが、少なくとも存在はまだ感じ取れると死霊術師が言っていた。彼らは互いに魂を繋げているというから……信じていいと思う」
ローザリカの言葉に、フリューの瞳に光が戻る。
「だが、這者はエーテルを貪る。あれが活動をはじめたら多分……だから早く戻って、準備しよう。傷も手当てしなくては」
「……うん」
気力を取り戻したフリューは、ローザリカに肩を抱かれながら立ち上がる。
闇夜の砂漠を渡る風は冷たく、負った傷のみが熱を持っていた。
マスターコメント
ショートシナリオ非常に難しい 報酬:多い6 / 4〜6人
2023年11月03日 13時51分07秒 公開
相談掲示板
…このような場で見えるのは随分と久しぶりだな、冒険者殿。この長い旅路にこれまで付き合ってくれたこと、礼を言う。 さて……情報の追加は難しいが、わかりにくい部分の補足は可能だ。聞きたいことがあれば冒頭に【Q】をつけて投稿してくれ。
……まさに。あとはケリをつけるだけ、といったところだね。 ヒーラーのローザリカ。此度もよろしく頼もう。 行動回数が多い分、かなりの火力が予想されるラインナップだが…… それに加えてヒールでの回復量が60%低下させられたり、回復されたりする 〈ダウンフォール〉のパッシブスキルがかなり厄介に思う。 あまり大人数がBSにかかると立て直しが難しいし、 接近戦を行う人数を絞り(盾役として抑える役を決めるなど)するのもいいだろうか? 半径2へクスの効果範囲外からBS解除やソウル・ピュリファイアでの肩代わり出来たらと思った。 僕自身は前で抑える役でも、BS解除役でも遠距離から攻撃する役でも何でも動けそうだから 皆のやりたいことや作戦次第、不足する役割などで動こうと思う。
イズル・ヴォルゴールです。 よろしくお願いします。 そうですね…まずはPC、NPC問わずキャスターを脱落させないようにしたいですね。 敵を戦闘範囲ギリギリまで追い詰め〈ダウンフォール〉の効果範囲を縮小し被害を抑える他、〈星喰み〉使用者を〈ダウンフォール〉効果範囲に入れない等、考えたほうがいいかもしれません。 ホーリー・リチュアルやリジェネが役立つ戦場だと思います。 個人としては前回と同じく回復とバステ解除に全振りし、〈星喰み〉担当キャスターにライフアンカー付与を考えています。 まだ話合いは始まったばかりなので柔軟に対応しようとは思っていますが、16日が決戦の反映なのでその前に仮でも方針が決められたらと思います。
ウォリアーのアーテミシアだ 6*6のエリアで2マスとなると真ん中に陣取られるだけで割と範囲に入っちまうのが面倒だな。 オレの場合どうやってもバステ範囲に入っちまうし、突っ込んで抑え込む感じでいくか。ガード固めてれば4回攻撃連続で食らってもやられはしねえだろ。
シルヴィアだ。今回もよろしく頼むよ。 流石最後の戦い、セウェルスも容赦のないスキル構成だね。此方も全力で戦いつつ、星喰み宣言を維持するために術者を守っていきたい。イズルが術者にライフアンカーを使ってくれるなら有難いよ。 >ダウンフォール ローザリカが言ってくれたように、流血を解呪出来ても罹患人数が多いと立て直しが難しい。【流血】【移動阻害】には付与判定があるけれど、キャスターにBS判定勝負は結構厳しいし。霊魂変換や神言+クアドラプルエッジを使って確実に戦闘不能に追い込まれる可能性も有る。 ダウンフォールの効果範囲外から解呪やソウル・ピュリファイアでの肩代わりをするのは良い案だと思う。 接近戦を行う人数を絞るのも。状況によっては前衛をスイッチする手もあるし(セウェルスが標的を決めるスキルについてなら、彼の注意を逸らして庇えるかも)。戦闘範囲の隅に追い詰める・星喰みの術者をダウンフォールの効果範囲に入れないようにするというのも同じ意見。ドラゴンチャリオッツ等のスキルならセウェルスの方を動かす事も出来そうだ。 私は今回は、アーテミシアと同じく前に出て戦いたいと思っているよ。出来る限り回避を上げていきたい。
あ、特性スキルについては、持続ラウンド10のウェイブ・オブ・インフィニティロアは持って行きたいと思っている。もう一つはハイパーヒーリングオーラかサルベーションオールか、接近戦ならエーテルリヴァイヴもありかな、とか……まだ考え中だ。
ロヴェルさーん!ほんと……ほんとに久しぶりさぁ……(手を振りながらよかったよかったと頷き簡単に挨拶を済ませる) シーフのフリューさぁ、よろしくね! うちも星喰み宣言の維持・継続の為に動いていきたいと思うさぁ。 ただうちも接近戦しか出来んからセウェルスのバステ範囲に入ってしまう事が多いかも? 自分の攻撃後は距離をあけることを意識はしてみるつもりさぁ。
No.8
おっし、やっとあいつをぶん殴れるな……………… ……………… ………………ぶん殴れないのか……?(ジョブ構成を見た)
キャスターは一人だけか。 ……よかったな。VIPだぜ とりあえずオレは耐えるタイプだから今回ドラチャリ使うのはちと辛いか。 ヒーラーが多いし、前衛は細かく出入りしてまめに回復したほうがいいか? 接触に1,2人。予備に1人。回復に2人。VIP1人。か
この状況だからね、作戦の成功に尽力するのは大前提としても 皆のやりたいことも悔いのないように出来たらいいよね。 ……殴るのは、倒した後にもう一発くれてやるとか……?いや、なんでもない。 よし、それじゃあ僕も回復専念に近い動きがいいかな。 〈ダウンフォール〉の範囲外に位置するようにして、攻撃も衝撃刃で範囲外から。 主な行動はソウル・ピュリファイアと解呪、ヒール。 解呪後に即座に回復を飛ばせるようにサイドヒールも積んでいこう。
ローザリカ、悔いの無い様にと気に掛けてくれる事……本当にありがとう。出来る限りを尽くすよ。 ドラゴンチャリオッツを持って行く事が難しいのも了解だ。私は回避型だし、防御型のアーテミシアの事も頼りにしている。 キャスターのスールは確かにVIP待遇だけれど← セウェルスと対峙したいという気持ちは私にもよく分かる。ここは〈星喰み〉の初期詠唱者であるロヴェルの万が一の戦闘不能に備えて、ロドスに参戦を依頼しておくのはどうだろう。今のキーリなら一人でも避難誘導出来るだろうしね。私のプレに協力依頼について書いておくよ。 前衛がスイッチするのは大賛成だし、もし前衛予定の誰かが下がる時はスールにセウェルスと接近戦をして貰いたいな。ローザリカにも是非お願いしたい所だけれど……くっ、回復解呪も有難いから悩ましい……!( もし私が下がった時は、解呪回復と射撃攻撃で援護するね。
No.12
倒した後のへろへろのヤツ殴っても楽しくねぇだろうが…… ……いいよ、てめぇらが俺の分まで殴るってくれんだろ。 つっても俺ァそこまででけぇ責任取れねェから、ちゃんとロドスも連れてけよ。 この前の奴は俺と似てたから上手いこと入ったけど…… あいつは性格悪い感じだから……BSが通るかわかんねぇんだよな。 移動阻害はそもそもいらねぇだろうし。いっそ防御に振った方がいいか? まあけどその、ほら。殴っていいというか、殴ってほしいならそれはもちろん、殴るし…… 殴って良いなら教えろ。殴るから。
ディオール嬢が回復に来ていただけるのは心強いです。 回復の他、かかるバステが二種なのでBS解除に聖別を持ちました。 回復不要な手番に出来ることとして、なにかBS付与スキルを持とうと思ってます。 内容は未定ですがなにかあればこちらにご意見お願いします。
防御はそこそこは固められるし、元より盾は持ち込むつもりだったから 前衛が下がる際にスイッチして僕が前に入るのでも問題ないよ。 BS・回復をメインに動きつつ、前衛が下がりスールー君が殴りに前に行く時に 僕も一緒に前に行って盾役を担うようなイメージでいいだろうか? BSはいろいろと悩ましいが、長期戦が不利かつBS解除等に手番が取られる分 足りなくなりそうな攻撃の補助……物防低下などがありがたいだろうか? 悪魔で僕の思い付き、ひとつの参考までに。
ロヴェルさんの戦闘不能に備えて、ロドスさんに参戦を依頼するの良いと思うさぁ。 保険にもなるし、そうしたらスーさんもセウェルス殴りに行けるもんね。 殴りたい気持ち分かるさぁ、うちも殴りに行くから(こくり、頷いて 前衛とのスイッチはローザリカさんのイメージで良いんやないかなと思うさぁ。
ああそうだ。オレは基本的によほど余裕がある時以外は殴らねえでずっと防御してるからな。ウォリアーの火力は期待すンなよ。 その代わり他のメンツの2、3倍は長く留まれるハズだ。自前のヒールもあるから、BS以外の回復の優先度は下げていいぞ。
背後が体調を崩してしまって、間が空いて申し訳ない……! ローザリカが言ってくれたように、前衛が下がる時にローザリカとスールにセウェルスを殴って貰えるならとても助かるよ。セウェルスは通常のキャスターのスキルも使える&今回持っているスキルのダメージ量が高いのもあって、回復が間に合わない場合もあるかもしれないと思って。 アーテミシアも防御に尽力してくれるし、フリューと一緒に出来る限り戦闘不能にならないよう耐えるつもりだけれど、スイッチにも備えておいてもらえると有難いな。反応が遅くなってしまって申し訳ないけれど、もし間に合うようならどうかよろしく頼むよ。 了解だ、ロドスに参戦を頼んでおくよ。基本的にはロヴェルの護衛、もしロヴェルが倒れた場合は〈星喰み〉詠唱引継ぎをしてもらうという形にしておくね。他にも何か彼に頼みたい事があれば言って欲しい。 BSについては、私も物防低下が良いと思う。既に言って貰っている様に、回復等で攻撃手番は少なくなってしまうだろうし……勿論他のBSも良いと思うから、あくまで参考までに。
決戦お疲れ様。皆に大事なくてよかったよ。 シルヴィアくんの背後さんはどうぞお大事に。あまり無理はなさらず。 スイッチについての認識合わせに反応ありがとう。行動に盛り込むよ。 シルヴィアくんがしてくれる参戦依頼や内容なども助かるよ。 >アーテミシアくん 余計な世話だとは思ったんだが、別件で重体を負ってしまっているようだし もしプレイング提出がまだで大事をとるなら盾役は代われるから気軽に言って欲しい。
能力は落ちちゃいねえからやるこた変わらねえよ。多少安全マージンは多めに取る必要はあるかもしれねえけど、相手があの程度じゃイマイチ死に甲斐もねえしな まあ、コトが起きたとしても戦士ってのはそんなモンだ。
ちょっち誤字ってたから再投稿。 決戦おつかれさまーー! シルヴィアさんの背後さん、お大事にさぁっ アーテミシアさん重体なんっ?! むむ、心配やけど防御の方、お願いできるなら任せたさぁ うちも出来る限り攻撃で気を引いて避けて避けて避けまくって耐えるさぁ あと、後悔ないよう言いたい事言って殴る(ぐっと拳握って
決戦お疲れ様でした。 特性ですが、サイドヒールを仮に入れていましたがリジェネーションに変更します。 これをアーテミシアさんに付与します。 ダウンフォールの範囲の広さからも星喰いのキャスターに回そうとも思っています。
背後の体調を気に掛けてくれてありがとう。大分熱が下がって来たよ。 決戦、本当にお疲れ様。皆が無事に帰って来られて良かった。 アーテミシアは別件で重体か……!心配だけれど、防御の方をお願いできるなら有難いよ。私も出来るだけ回避盾になれるようにするし、回復スキルも持って行くね。イズルのリジェネレーションも助かる。 フリュー、後悔の無いよう、セウェルスに言いたい事を言ってやろうね。 ローザリカ、スイッチについて快諾してくれてありがとう。今回も頼りにさせて貰いたい。 私の特性スキルについては、ウェイブ・オブ・インフィニティロアとハイパーヒーリングオーラを考えている。解呪とヒールも持って行くよ。 被ダメが多く〈ダウンフォール〉クリンナップが厳しい生命力の人がいた場合は、移動阻害を優先解除して一旦距離を取ってもらうつもりだ。 (誤字に気付いて書き直したよ。ごめんね)