【泥乱】仮面の小隊と赤眼の雲霞鳥
おおくまねこ
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シナリオID:3030
オープニング
「ディズル大湿原のギシュム族からまた依頼が出ています。今度は、雲霞鳥の巣に向かう『帝国近衛連隊』の露払い。何度も帝国過激派……こほん、ヨゼフ一派と戦ってきた我々としては、少々複雑な依頼ですね……」
ギルドの受付嬢は依頼書を張り出し、難しい顔をした。現在、ディズル大湿原には、シルトラース皇帝ヨゼフの送り込んだ百余名の授恵者集団、「帝国近衛連隊」が滞在している。彼らは第三の征竜の巫女イネスと、ギシュム族の若者に頼まれ、ディズル大湿原に住むリザードマン達の宿敵である『泥血啜る月吸蟲』を討伐するために湿原に赴いたのだという。
ちなみにヨゼフ派は現在レイウェスト派と休戦しており、レイウェスト達は「湿原に今干渉することは内政干渉に当たる」という理由で、事態を静観している。
「ご存じの通り、冒険者ギルドは政治的には中立です。ですから、この依頼も他の依頼と同様に扱います。冒険者ギルドは違法な依頼……例えばウィリアム王子暗殺とか、レイウェスト皇子から征竜の虹宝剣を盗んで来いとかだったら依頼の受諾をお断りしますが、この依頼の内容には特に違法性はありませんからね。もちろん、現地で帝国過激派……じゃなかった、ヨゼフ一派に攻撃を仕掛けることも、ギルドから処罰を受ける行為となります」
そう言って、レイウェスト推しの受付嬢はため息を吐いた。
「さて、そういったしがらみはともかく、『泥血啜る月吸蟲』の討伐が成功すれば、ディズル大湿原のリザードマンの方々は万々歳ですよ! 毎回大量の戦死者が出る『封印の儀式』もやらなくて済むようになりますからね! さあ、この依頼、受けてみませんか?」
●
作戦当日。冒険者に出された依頼とは別に、帝国近衛連隊の本隊の露払いを命じられた小隊があった。「仮面の小隊」と名付けられた「はぐれ者」の三人組は、集まってブリーフィングをしていた。
「近衛連隊本隊の作戦の露払いか……で、ターバスはともかく、なんでこのオジサンと組まされることになったわけ?」
仮面の女諜報員は、『ティーチャー』を名乗る仮面の不審者たちを指差し、ため息を吐いた。
「HAHAHA! そうガッカリするな、ユズリハ君! 同じ仮面仲間じゃないか! ギシュム族の若者に授業をするのもそれなりに楽しかったが、今度のはなかなかハードワークのようだ!」
三人のティーチャーは朗らかに笑った。ティーチャーは『分身の術』を習得している。一人で三人分の戦力となるのだ。戦力としては申し分ないのだが、性格があまりにエキセントリックなので、帝国近衛連隊の中ではかなり浮いていた。ちなみに戦闘訓練の指導方針はスパルタだが、訓練マニアのギシュム族とは噛み合い、分かりやすいと好評だ。
「俺達は正式な近衛連隊の隊員ではないからな。一まとめにしておいた方が都合がよかったのだろう」
ターバスも嘆息した。
「まあ、私が来たからには大船に乗ったつもりでいたまえ。露払いの任務、見事こなして見せようではないか。たまには任された仕事もしないと、私の上司もうるさいことだしね!」
●
三人のティーチャー、ユズリハ、ターバスの五名は大きな荷物を抱えて移動する五十人余りの帝国兵達に随伴し、雲霞鳥の巣へと進んでいった。そして、帝国兵達が巣の間近にまで迫った時、異変が起こった。
「何か来るぞ! 注意したまえ!」
捜波で周囲の気配を探っていたティーチャーは二人にそう警告した。
「ピエーッ!!」
その直後、巣の中から物凄いスピードで赤い影が飛び出してきた。オウムのように派手なカラーリングと、吸血鬼のように赤い眼が特徴的な雲霞鳥だ。
「特異個体だ! あんなの見たことないぞ!」
道案内として同行していたリザードマンが叫んだ。
「ピエーッ!」
「ぐあああっ!」
次の瞬間、巨大な火柱が噴きあがり、帝国兵達を飲み込んだ。特異個体の周りには次々と雲霞鳥が集まり、摩訶不思議な形状の群れを形成していく。
「あの特異個体はこっちで引き受けるわ! 貴方達は先に行って! ……ターバス!」
「応!」
ユズリハが叫ぶと、ターバスは使役していた鳥魔獣達を特異個体にけしかけた。雲霞鳥達とターバスの鳥魔獣は空中で激しく争う。その間に、帝国兵達は雲霞鳥の巣の方へと移動していく。
ジジジジジジ……。
数百体の群れを率いた赤い眼の雲霞鳥は体の輪郭をぼやけさせ、次第に別の生き物の姿を象っていく。そして、雲霞鳥の姿が完全に変化した時、そこには、ビッグオウムほども大きさがある、炎を纏った巨大な蛾の姿があった。
「あれは、紅炎蛾! この湿地帯に住む魔獣の中でもかなり強力なやつだ! あの特異個体は他の魔獣に変身する能力があるのか!?」
道案内役が叫んだ。
怒りに身を震わせる雲霞鳥達は篝火のように燃える静かな殺意を以て、侵入者達に告げる。
――誰一人として、生きては帰さない、と。
●
「あっちで特異個体と帝国兵の方が戦っています! 急いで援護を!」
冒険者達を呼びに来たのは、道案内役として帝国兵達についてきていたギシュム族の若者だった。すぐに現場に向かった冒険者達が見たものは、仮面をつけた怪しい授恵者達が、巨大な蛾の化け物と激しく戦う姿だった――。
解説
マスターより
リプレイ
ギシュム族から雲霞鳥の巣に向かう帝国近衛兵らの援護の依頼を引き受けた冒険者達は、巣に近づいてきた外敵を討ち滅ぼさんと荒れ狂う雲霞鳥達に対し、応戦を開始した。
「あそこで孤立している帝国兵達がいる! 援護に行ってくれ!」
ギシュム族の戦士が指差した方向には、四人の帝国兵らしき人物が、巨大な蛾のモンスターと交戦していた。遠目だったので顔の判別まではつかなかったが、冒険者達はすぐに救援に向かった。
「鱗粉を撒いてるみたいだね。マスクをした方がいいかもしれない」
ディレイン・オールドケイジは頭に装備していたバンダナを取り外し、口元を覆った。
「強盗みたいですけど、仕方ないですね」
ルアンナ・ミュラーとレピド・クロサイトもバンダナを取り外し、口元に取り付けた。
「よし。俺も。バンダナねえからこれでいいや」
ナハシュは、バンダナは持っていなかったので、マントの端をちぎって口元を覆った。
「多少ふせげりゃマシってとこだろうけどな……!」
「なんでこんな所に……いや、それよりなんで増えてるんだ……?」
レピドは言葉を失った。孤立していた帝国兵の正体はレピドに執着する因縁のストーカー、ティーチャーだったのだ。しかも、なぜか2人もいる。
(双子か? いや、以前のように変身という可能性もあるが……? どういうことなんだ)
レピドはただただ困惑した。ティーチャー増殖が衝撃的過ぎたが、よくよく見ると、他の二人もたいがい奇天烈な恰好だ。
「普通に複数存在してるって何なのあの変態仮面……てことはこの前倒したのもそういう存在だったってこと?」
ディレインも首をひねる。以前ティーチャーと交戦した際は、ティーチャーは死んだ直後に死体が消え、新品になって逃げ去るという奇妙な技を披露したことがある。見た目からして怪しい人物ではあるが、謎は深まるばかりだ。
「なんだ? 仮面同盟組んでんのか??? そのナリで何でギジュム相撲に出なかったんだ????」
ナハシュは全員が仮面をつけた変な帝国兵達を見て率直な疑問を口にした。
「なんですかこの集まり? みんな仮面付けて変態なんですか……?」
(あの仮面先生は何故か増えてるし)
ルアンナは眉をひそめた。ティーチャー二名以外にも。帝国兵はそれぞれ仮面をつけている。女性らしき人物はシャルガネ風の動物の面。リザードマンらしき人物は全然似合っていない派手なライオンのマスクを着けていた。はっきり言ってかなり怪しい集団だった。
「ちょっと、変態なのはティーチャーだけだから! 一緒にしないでもらえる!? というか、キミ達もバンダナで顔隠してるじゃない! ……って救援?」
動物仮面は抗議の声を上げた後、安堵のため息を吐いた。
「ブラッドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!! 君が来てくれるとは!!」
レピドの姿に気付いたティーチャー達は歓喜の叫び声を上げた。二人いたので、とてもやかましかった。
「ようやく記憶を取り戻したのだね! 私のこれまでの教育は無駄ではなかった!」
「違う。俺達は仕事できただけだ。協力はするがブラッドとは呼ぶな」
レピドはティーチャーに告げると、魔獣に近づいて行った。
「ただ共通の敵を相手にする、というだけで共闘とかそういうつもりではないです」
冷え切った瞳でルアンナもティーチャーに断ると、あいさつ代わりのメテオライトを炎の蛾へと叩きこんだ。光の雨に撃ち抜かれ、ダメージを受けた蛾の魔獣の輪郭が一瞬だけぼやける。蛾の魔獣の正体は、赤い眼を持つ雲霞鳥の特異個体、通称『アカメ』を核にした、雲霞鳥の集合体だった。
「冒険者の増援とはな。因縁の相手ではあるが、俺達にトドメを刺しに来たわけではなさそうだ」
ライオン仮面のリザードマンは一瞬冒険者達に目をやると、すぐにユズリハにヒールをかけた。
「そっちのリザードマンさんはヒーラーってことでいいのかな? できたら他の人達のクラスも教えて欲しいんだけど」
ディレインは祭刀で蛾に斬りかかりながら、ターバスに問いかけてみた。意外なことに、タ―バスは応答した。
「ターバスだ。俺はヒーラーだ。ユズリハは一応、シューターだ。ティーチャーは知らん」
「タ―バス、ちょっと」
「どうせ冒険者ギルドには交戦記録があるはずだ。今更隠す意味はない」
「むう……」
タ―バスの反論に、ユズリハは黙った。
「私のクラスかね? もちろん、『教師』だとも!」
「ありがとう、ターバス君。参考にさせてもらうよ」
ディレインは(ティーチャーは無視し)、礼を言った。なお、『クラス』の概念は厳密には冒険者ギルドの概念であり、国や地域によっては異なる区分や、冒険者ギルドでは開発されていないスキルが組織的に運用されているケースも存在する。
(仲間同士なのに能力を知らされていない? どういうことなんだろうね。仮面たちはどうにも胡散臭いけど、人手足りないし、頑張ってもらうとしよう)
「あれも……雲霞鳥……ですか?」
ミゼリア・L・ステュクスはどう見ても雲霞鳥には見えない炎の蛾を見て首をかしげた。が、すぐに黒いエーテルを纏って高速移動し、仮面軍団と蛾の間に割って入る。ミゼリアは「紅眼淫香」を蛾に向けて浴びせたが――。
(手ごたえが、なんだかおかしい……?)
確かに効いたと思うのだが、なんとも奇妙な手ごたえだった。実際、蛾はこちらに注意している様子もない。
「なんで……?」
ミゼリアが首を捻っていると、ユズリハが答えを口にした。
「こいつらの正体は特異個体を頂点とする雲霞鳥の群れよ。体の奥に核となる赤い眼の個体がいる。なんとかそいつを引きずり出して!」
ユズリハは叫びながら、雲霞鳥へと矢を射かける。
(そうか……本体が……見えていないから……)
ミゼリアは紅眼淫香が無効化された理由を理解した。
「ピィイイイイ!」
燃える蛾は鱗粉を巻き上げながら、エーテルの火柱を噴き上げた。炎の柱に呑まれたのはルアンナだ。
「やりましたね! 怒りますよ!」
しかし、ルアンナはピンピンしており、猛然とメテオライトで反撃した。
●
冒険者と仮面の小隊たちが集中攻撃を仕掛けると、少しずつ雲霞鳥の群れは小さくなっていった。そして、群れのサイズが3割ほど減少したタイミングで、突然雲霞鳥達の様子がおかしくなった。雲霞鳥達は突然バラバラに拡散したかと思うと、別の形態へと変化したのだ。巨大なガマガエルの姿となった雲霞鳥達は体から霧を吹き出し、自らの体を隠し始めた。たちまち蝦蟇の周囲には濃霧がたちこめ、1メートル先も見えない状態になってしまった。
「蛾がカエルに変身しやがった……! 霧に紛れて逃げる気か!? 逃がさねえぞ!」
変態仮面の背中から飛び出したナハシュは正確に蝦蟇の位置を捕捉して後を追う。姿を変える前から宗波でマーキングを施していたナハシュは蝦蟇を見失うことはなかった。霧を切り裂いて蝦蟇に接近したナハシュは、香水の瓶を叩きつけた。
「みんな、香水の匂いを辿れ! そこにこいつがいる!」
「匂いだな!」
レピドは嗅覚に意識を集中させた。
「そこか」
レピドは弓を置いて短刀を取り出すと、香水の香りがする場所へと突進した。蝦蟇らしき輪郭を捉えたレピドは、その額に真・死齎刃を突き立てた。だが、ぬるぬるした手ごたえにレピドはダメージが浅いことを直感した。
(粘液で刃が滑るな。だが、エーテルは叩き込めたはずだ)
「エクセレントだ教え子よ! 成長したな!」
「やかましい。他の二人はともかく……まさかアンタが近衛連隊の関係者だったとは」
(強いのは確かだが、この男に近衛兵が務まるのか?)
謎は深まるばかりであった。
「私よ! 蝦蟇の位置はあそこだ!」
二人のティーチャーのやりとりが聞こえる。どういう手段かは不明だが、ティーチャーは蝦蟇の位置を掴んでいるようだ。ティーチャーの片方は蝦蟇ににじり寄ると、ステッキを頭部へと叩きつけた。
「音的に、だいたいあの辺かな?」
ユズリハは霧の中に突っ込んでいった。レピドのすぐ近くまでやってきたユズリハは、蝦蟇の背を苦無で切り裂いた。
「この霧じゃ連携がとりにくいね。まだ回復は大丈夫かな?」
ディレインはレピドを追い、霧の中に入っていく。祭刀で蝦蟇を攻撃してみたが、外れてしまった。
「ゲロゲロ、ゲロゲロ」
蝦蟇は長い舌を振り回し、周りに群がってきた冒険者達をまとめて攻撃した。ナハシュ、レピド、ティーチャー、ユズリハは攻撃を回避したが、ディレインは舌をわき腹に喰らってしまった。
(痛……けっこうきついな。後ろに下がろう)
「私は鼻は利きませんが、耳は利きます!」
ルアンナは戦闘音を聴覚で捉え、アシッドブリッドを蝦蟇に向けて放つ。緑色の光弾は蝦蟇に命中し、蝦蟇のシルエットが乱れ始めた。
「よし、手ごたえありです!」
「仲間は……傷つけさせません」
ミゼリアはクンクンと鼻を鳴らし、香水の香りを頼りに蝦蟇へと近づく。防御に意識を集中しつつ、処刑剣を蝦蟇の背に叩きつけた。つるん、と剣の刃は滑ったが、刃は蝦蟇の背に少し食い込み、雲霞鳥が数匹地面に落下していった。
「スキルでダメなら……暴れて……目立ちます……」
●
「ミゼリアちゃん、大丈夫?」
「はい、大丈夫、です……」
ディレインからヒールを受け、ミゼリアはコクリと頷いた。蝦蟇形態となった雲霞鳥の群れとの激しい戦いが続いている。蝦蟇が水流や舌の鞭を振るうたびに負傷者が出たが、冒険者達はなんとか脱落者を出さず、蝦蟇を追い詰めていった。そして、蝦蟇が最初の蛾の3分の1ほどの大きさにまで小さくなった頃、突然辺りに立ち込めていた霧が消え、蝦蟇の形が崩れた。
ビシュッ!
「何ッ!?」
胸のど真ん中を触手で貫かれ、ティーチャーの一人がばたりと倒れた。地面には赤い染みが広がっていく。
――死んだ?
冒険者達は思わず倒れたティーチャーの方に目をやるが、ティーチャーの死体はフッと跡形もなく消えてしまった。
「安心したまえ、ブラッド。私はお前を置いて逝ったりはしない」
「その名で呼ぶなと言ったはずだ」
最後の一人になったティーチャーに冷たく告げ、レピドはまた別の存在を模した姿になった雲霞鳥を睨んだ。
「虫……今度はクリーパーか?」
「うおお、アレ、見たことあるぞ! 『でいけつすするナントカチュー』だ! でもちっこいな!」
過去に本物と対峙したことがあるナハシュが叫んだ。
「え、あれが? 『泥血啜る月吸蟲』だって?」
「そう! それだ!」
ディレインはナハシュへと聞き返した。『泥血啜る月吸蟲』と言ったら。帝国近衛兵達とギシュム族が討伐しようとしている大型クリーパーの名だ。本物は封印されている状態だが、近いうちにギシュム族と帝国近衛兵による総攻撃が実施されるはずだ。そもそも、今回の冒険者達による雲霞鳥の露払いも、帝国近衛兵が雲霞鳥と月吸蟲に攻撃を仕掛けるための下準備の手伝いだと聞いている。
「コアも露出したみたいだし、正念場だね」
ディレインはハウリング・オブ・ブルーフレアを解き放ち、味方にバフをかけた。もちろん仮面たちをハブるようないじわるはしていない。
「あれが月吸蟲……の偽物ですか。ちょっと小さいですが、手ごわそうではありますね。あの先生も即死でしたし」
ルアンナは息を呑んだ。
「あれが、有名な……。あ……やっと……見えました……核……」
ミゼリアは月吸蟲形態となり、ついに露出した特異個体に向け、『紅眼淫香』をかける。しかし、動きが速過ぎてアカメを捉えることはできなかった。
(速い……なら次は……)
ミゼリアは重心を上げ、前のめりになった。
「あ、ほんとだ。あの赤いのが特異個体だよ! あれを倒せば雲霞鳥達は一気に弱体化するはず!」
ユズリハは叫びながら矢をアカメに射かけたが、アカメはひらりと矢を躱してしまった。
「あれが本体か!」
レピドはアカメを狙い、弓矢を放つ。しかし、アカメは素早く、矢は群れの別の個体に突き刺さった。
「集中攻撃だ! ここが肝心だぞ!」
「小隊長、ターバスなんだけどな……」
ティーチャーの指揮にぼやきながら、ユズリハはアカメを射る。アカメはギリギリで矢を回避し、また群れの別の個体が墜落した。
「かなり激しいね。油断すればやられそうだ」
ディレインはミゼリアとヒールをかけた。ターバスはディレインとは異なり、タンクタイプのヒーラーらしく、相当肉体は頑丈なようだ。自力でヒールもできるため、ディレインはミゼリアの回復に専念していた。
「とっておきです!」
ルアンナが月吸蟲に杖を向けて魔力を解き放つと、月吸蟲を巻き込んで空間が大爆発を起こした。爆風に大地が抉られ、湿原に巨大なクレーターができる。もちろん仲間達は無傷である。
「やったかな?」
土煙が晴れると、そこには体が半分ほどのサイズになった月吸蟲がぷるぷると震えていた。
「あーん! 惜しい!」
●
ビュビュビュ!
ティーチャーを一撃で絶命させた月吸蟲の触手が、ミゼリアの体を打ち据える。しかしミゼリアは黒いエーテルの盾でダメージを減衰させ、眉一つ動かさずに堪えた。
(見てる方がハラハラするよ、全く)
ディレインはすぐにミゼリアにヒールをかけた。なんだか世話焼きのおじさんのようになっているディレインである。
「捉えたぜ! こいつで仕舞だ!」
気配を絶ち、死角から飛び出したナハシュの斬撃がついにアカメを捉えた。アカメは一撃で断ち割られ、真っ二つになった。
「ピィイイイイ!!」
甲高い絶叫と共に月吸蟲は霧散し、残された雲霞鳥達は散り散りになって逃げていく。
「よっしゃ! 退治完了だな!」
ナハシュはニッと笑った。
「終わったか。ティーチャー君、ちょっと一緒に――」
ディレインがティーチャーがいた方を見ると、いつの間にかティーチャーは忽然と消えていた。当てが外れ、ディレインはため息をつきつつも、負傷者の手当を始めた。
「あ、逃げられた! 出たり消えたり……あの仮面先生は何なんでしょうね」
ルアンナはため息を吐いた。
「ティーチャー……いずれ決着は付けるぞ」
レピドも大きく息を吐いた。
「ありがとう。お礼は言っとく」
「俺も礼を言おう。我々は軍人だ。皇帝がギシュム族と共に戦えと命じたならそれに従うのみ」
ユズリハとタ―バスはそれだけ告げると、足早にその場を去った。
「帝国のひとたち……撤退……していくようです……わたしたちも、引き返しましょう……」
ミゼリアの言葉に冒険者達は頷き、彼らも撤収を始めた。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:多い5 / 4〜8人
2023年07月01日 15時42分31秒 公開
相談掲示板
なんでこんなところにいてさらに増えてるんだアイツ(ティーチャー)は……? それはともかくレピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 今のところはアカメの変身内容とかを見るに、近接戦闘より弓の方がいいのだろうか……?とか考えていた。 作戦にもよるだろうから武器についてはもう少し考えてみる。
キャスターのルアンナです。なんで増えてるんですかあの謎仮面先生……。 アカメ達はどんどん姿を変えていきますが、個体数は減っているので大きさ自体はだんだんと縮んでいるという認識で良いんでしょうか。一番攻撃が苛烈になる最終形態の時はコアを狙って短期決戦で倒したい所です。 私は攻撃スキルに加えて第二形態の防御面を崩すBSを持って行く予定です。
はい、ヒーラーのディレインおじさんですよっと。 普通に複数いるのおかしくない?というかあれが複数存在するの怖くない?? とりあえずバステ解除は必須だなって思ってる。 第一形態でまかれた束縛が第二や第三まで累積で残ってると厳しくなりそうだし。 あと、範囲バフは第三形態に入ってからにするつもり。
仮面ばっかでおもしれえな!シーフのナハシュだ。今回はよろしく。 敵も単純に面倒くせえな。 バステ解除は助かるし、第三は格が露出した時点でいい感じに仕留めたいのも確かにそうだ。 第二形態の視認し辛さも面倒だが、これは個人では最悪宗波でマークつけちまうのは考えてたな。後は視覚以外の匂いもしくは音か・・? あとは最初の第一形態は鱗粉なんだろ。口や鼻を布で覆ったりなんかしたら多少はマシにならねえかな。
第一形態は飛行された時に備えて弓、他形態の時は短剣に持ち変えて前に出て戦おうかと。 第二形態は感覚で追うなら匂い、かな……マークが有効なのはそうなんだが、特性枠を使うのが悩みどころで。 あえて宗波を持たずに第二形態のうちに入れられるだけBSを入れるかなとも考えていた。 >鱗粉 口や鼻を覆うのは良案だと思った。 触れただけで効果がある可能性もなくはないが、それでも吸い込むよりはマシな筈。
あーなるほど。鱗粉を吸い込まないようにするのね。 バンダナでも巻きますか。 バステ解除するにも限りはあるし、対策はするに越したことないよね。 そうか、ウォーリアいないから防御が手薄なのかな。 バフ、デバフ解除、ヒールでスキル枠埋まっちゃうと思う。 ユズリハはヒール使えるらしいし、ターバスはヒーラーみたいだし…あ、いや、これ殴り系かな…?となると前衛枠かな…?
ならしっかり布巻いていくぜ!やらないよりはきっとマシだ。 鱗粉は確かに触れたらの場合もヤバそうだな。一応服かマント着ておこうかな。 >ウォーリアがいない そうなんだよな、その分ティーチャー?とか他の奴らに頑張ってほしいところ。 タ―バスはどうなんだろな。流石にヒールくらいは盛ってんじゃねえかと思うが‥。 個人としては近接前衛の予定でいる。三連撃主体で行くか、第三形態時の速攻を見越してタナトスバイトで一撃の威力を上げるかは考え中だ。 第一形態は飛ばれたら弓と魔法使える奴らに任せる! 第二は一人くらいは確実に場所を押さえられた方がいいだろうから、宗波のマークを持って行こうと思う。ついでに発酵食品ぶつけるなり発酵塗料塗るなりで認識しやすく出来ねえかもやっておこうと思うぜ。
既に囮の鳥とティーチャー1体がやられてるから、仮に仮面達に前衛で頑張って貰っても第一形態までかな……と考えていた。 だから第二形態からは俺も前に出ようかと。 あ、ちなみに第二形態時に付与しようと考えてるのは縛糸刃(束縛)と真・死齎刃(スリップ毒)だ、誰かと被りがあるようならまた別の手段を考える。 >ナハシュ マーク助かる。それ以外の認識しやすくする工夫も面白いな、頼りにしてる。
今回は前に出ると当たるだけ当たって耐えられない気がするので、申し訳ないけど一歩後ろにいさせてもらうね。 仮面の人たちは遊撃というか、ほっといていいのかな? そっちのヒールはなるべくそっちで賄ってほしいなあ、っていうのが正直なところなんだよね。 まあもちろん、賄いきれない部分は手を出すけど。
……ウォーリアの、ミゼリア……です。 シーザーロアで、アカメの攻撃を、ひきつけて……タンク役を、させていただけたら……と。 攻撃は、あまり得意ではないので……とにかく耐えるだけ……なかんじに、なってしまうかも……ですが、よろしく、おねがいします……ね。
おや、ミゼリアちゃん! ありがたいねえ。 耐えてくれるのは大歓迎、フォローはおじさんが頑張りますんでね。
フォロー、心強い……です。 こちらこそ、ありがとう、ござい……ます。 耐えるだけ、でお役に立てるなら……わたしも、うれしいので……がんばります、ね。
おっと、助かる!!そしたらミゼリアに隠れるようにしつつ、側面や背後を突く感じで行くかな。 隠蔽で隠れやすそうにもなったと思うから持って行くのはタナトスバイトにしておく。 ギリギリになっちまったがよろしく頼むぜ。