【再起】ピンクの首輪と復讐の魔獣
馬車猪
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シナリオID:3009
オープニング
セニャは差別主義者である。
ヒューマンが上、それ以外が下。
例外は認めても社会全体がそうなるべきと思いそうなる努力を欠かさない。
だから彼女の担当地域ではヒューマン以外の待遇は悪い。
「今日も3食たっぷりか」
「味はともかく腹一杯にはなれるんだよな……」
言葉を交わしているのはゴールディからはるばる帝国までやって来たゴブリン達だ。
小さな畑を耕す自作農になれたら最高、現実的には少しましな生活ができる小作農になれれば良いなと思っていた。
実際には放棄されていた農地を与えられ、必死に手入れしてなんとか春の種植えた直後が現状だ。
「夏の収穫に成功すれば自作農って言われてもな」
「詐欺の方が安心できるぜ」
上司の上司の顔を思い出してぶるりと体を震わせる。
あの目はマフィアの幹部と説明されても納得できるほどの冷たさだった。
命令に逆らうなど考えることも恐ろしい。
「言われた通りに休憩するぞ」
「おう。午後の作業もきついもんな。野菜の畑もとんでもなく広いし」
最初に命令されたときは冗談かと思ったが代官は本気だ。
家畜ですら大事に使えばよく働く。
だから、つい最近人類になったばかりとはいえ人類ではあるのだからゴブリンも大事に使う。
「差別はされてるんだよな。南隣のヒューマン夫婦は俺達より補助が多いらしいし」
ゴブリン達は己の体を見る。
過酷な労働と栄養的には十分な食事により、ゴールディに居た頃のようなやせぎすではなく筋肉質体型だ。
相変わらず金はないが農具という財産もできた。
「差別ってなんだろうな」
木陰に座り込んで今日の昼飯を手に取る。
革の水筒に入った水に少量の岩塩、燻製肉ととれたて葉物野菜を挟んだ古いパンという、味を除けばなかなかの代物だ。
「はへー」
「ははってふへ」
黙々と食事兼休憩に集中していると、ここ数ヶ月ですっかり見慣れてしまったものが遠くに見えた。
ピンクの首輪をした狼の群れだ。
「今日もか」
「一応準備しとくか」
ゴブリン達はよっこらせと立ち上がる。
そうしている間も狼達は軽やかに動いている。
気配を消して忍び寄り、臭いがなければ狼でも見つけ辛い巣穴を力任せに破壊しようとする。
破壊される間に飛びだしてきたのは薄汚れた兎達だ。
大部分は畑から離れる方向へ走って逃げる。
狼達はそれを追わない。
飼い主に命じられた通りに、畑に向かった兎を最優先で追いかけ体当たりで吹き飛ばし立ち上がる前に首を砕いて仕留める。
「あの兎でかいな。魔獣の血が混じってるのかもしれん」
「おーい、向こうへ運ぶから仕留めたら離れてくれ」
ゴブリン達は慣れた手つきで兎の死体を抱え上げる。
狼の毛並みは良く肉付きも良い。
明らかに飼われている狼だが、獲物を渡すときに非常に不機嫌になっている。
「横取りはしねえよ。あんた等がここで食ったら地面が血を吸っちまうだろ」
正直怖いがゴブリン達も引き下がれない理由がある。
血は肥料にはならない。今年中に開拓する予定の土を汚される訳にはいかない。
にぎやかに解体場へ向かって行くゴブリンと狼の群れを、大きな兎が憎悪の目で遠くから睨み付けていた。
●
「帝国復興関連依頼です!」
冒険者ギルドで受付嬢が依頼の紹介を始めた。
「場所は帝国南部の、このあたりにある農地ですね」
広げた地図には真新しい書き込みがある。
地図では小さく見えるが実際にはかなりの面積になるはずだ。
「代官の部下の人や狼……いえほんとに狼なんです。狼の群れとかが害獣や魔獣を狩っているのですが最近は魔獣が増えたみたいで」
今問題になっているのは兎の魔獣だ。
雑食で人間を意図して狙うことはないが、野草とは比べものにならないほど栄養たっぷりな野菜は良く狙われる。
「普通の兎と一緒に行動しているが面倒なんですよね。現地の防衛戦力が魔獣と戦っている間に普通の兎が畑を荒らすらしくて」
だから冒険者ギルドに依頼されることになった。
「目的は兎魔獣の撃破です」
普通の兎は放って置いても構わない。
臭いに気付いたピンク首輪の狼達が勝手に集まって狼を狩るだろうし、畑を狙われた農民達も兎相手なら戦意も戦力も十分だ。
もちろん、ただ兎に勝つだけでなく肉にしてしまっても構わない。
「復興は進んでいますがまだまだ大変なはずです。農民のみなさんを是非助けてあげてください!」
受付嬢は勢いよく頭を下げ、机に頭をぶつけかけていた。
解説
マスターより
リプレイ
「兎魔獣め! 貴様を斬る!」
大重量の剣と盾と分厚い鎧を着て走りながらの大声である。
直後、黒い刃が魔獣の深い部分まで切り裂いた。
婚約者と違って人類を種族で差別しないアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトは、その高潔な志とは逆に人類の優秀さの証明でもあった。
小作農のゴブリン兄弟は感嘆と呆然が半々の状態で見守っている。
音がなければ軽くすら感じられる両手剣サイズの剣が、黒い稲妻のように魔獣の頭から腹まで切り裂いた。
「同胞、一応安全ではあるが必要のない危険は避けるべきなのだ」
ストレガ・L・リベルガストラの声が響く。
ゴールディではかなり下の階層にいた2人ではあるが、相手がゴールディの知識階級に属することくらいは分かるので自然と敬意を向ける。
「さぼると待遇が下がるのだ」
ストレガはため息未満の息と一緒に術を放ち、真昼でも目立つ稲光を集めて大蛇のごとき流れを作る。
「いいから仕事をするのだ」
驚く兄弟に強く言ってから次の術を使う。
大蛇の中にはとても大きな兎の群れだけでなく体積は成人男性かそれ以上に達する魔獣がいる。
それに巻き付いた白蛇と続いて糸が徹底して動きを邪魔し、魔法の威力だけでなく精度も優れているストレガにとっての的へと変える。
(戦闘後の魔獣から血を抜くのは大変なのだ)
猟師としても料理人としても達人級のストレガだから大変で済んでいるだけで、普通の猟師や料理人にとっては調理も食べるのも罰ゲームに近かった。
兎魔獣は闘志を失わない。
全身の力を込めた頭突きを盾で防がれると、全身から血と汗とそれ以外を流しながら力以外を込めた牙で噛みつこうとする。
「セニャが俺達を呼ぶ訳だ」
アルベルトは盾を巧みに使い衝撃の大部分を受け流す。
彼の反撃の一撃は初撃よりは弱かったが、兎に止めを刺すには十分の威力があった。
「啓示によれば『敵を倒すのは簡単ですが、効率良く倒すのは難関』と出ています。もちろん倒すだけでなく、その他の問題もありますが……」
フリーダ=ブロムヴィストは物理にも魔法にも強く剣の技と威力も大したものだ。
つまり全力を出すと食肉に加工可能な肉がゴミに変わる。
「助けは必要ありません」
狼に言葉は通じない。
しかしここに来る前に触れ合って意思疎通したのでお互い何を伝えたいかは……残念ながら獣側は分からない。
まかせろ! という面をした狼達が援護するつもりでフリーダについて来ている。
「セニャ様は彼等をどう使って……多少の失敗と賠償を前提で動かす? お金持ちですね」
啓示かフリーダの無意識での判断かは分からないが事実に近い。
フリーダは兎にとっては不意討ちなつもりの襲撃をひょいひょい躱しながら干し肉を複数まとめて投擲する。
「乱入したら兎肉はあげません」
フリーダは実力で狼に命令を正しく認識させた。
「向こうは派手にやってるなー……」
1つ1つが特大の畑を複数超えた場所で、ハーフリングの中でも特に小柄なアルマ・ヴァレンタインが馴れた手つきで対兎の罠を仕掛けている。
「狼さんは走り出したら止まらないし魔獣じゃない兎も結構やるみたいだしー」
ちらりと振り向く。
とても小柄なアルマを心配したヒューマン夫婦が、無骨な農具を構えて覚悟の決まった表情をしている。
(うーん)
口車でも武力でも言うことを聞かせることはできるがアルマのいるここは特に安全だ。やさしく接する余裕はあるし友も喜ぶだろう。
「道具が大きいから協力してくれないかなー?」
開錠道具は小さくてもセニャから預かった道具は大型なので嘘ではない。
アルマは得物を背中に隠そうとして隠しきれないまま、兎の突破を防ぐ盛土を増やしていった。
なお、ストレガ達の死闘は性質を変えてまだ続いている。
「狼も巻き込むのだ」
素知らぬ顔で兎に近づいて来た狼が白蛇に絡め取られてほとんど移動できなくなる。
その間もアルベルトが背後から襲いかかり魔獣の体に深い傷を負わせている。
ストレガは狼の脚が止まったのを確認してから、光球を何度か撃ち込みトドメと死亡確認を終わらせた。
「結果的に1番有効だった訳ですが……」
フリーダは輝きで覆われた剣を振り下ろさない。
普通の兎は軽く触れただけで骨片入りミックスジュースになりかねないし、わざと外して乾いた固い地面を砕いて散弾にすると肉に不潔なものが入り込みかねないからだ。
彼女から吹きつける殺気が兎の動きを封じているので時間はある。
「待て」
フリーダが命じると、これまで以上の速度と素早さで狼が整列する。
この狼達は飼い慣らされていて、主と五分の付き合いをしている戦士には結構忠実なのだ。
「今のうちにお願いします」
仕留めるのと運び出すのは非常に順調に行われた。
●
(中年……俺と同じ年頃かなあ)
ディレイン・オールドケイジと農家と草臥れ具合は同じように見えるが、農家の理由とディレインの理由が同じかどうかは分からない。
(仲良くやれそうだなあ)
お互い全く同じことを考えている。
「あのね君達」
ディレインは、怯えた中年を宥めながら彼にしては珍しく非難する目で見る。
狼達は暴力の気配が濃すぎる。
「お気持ちは分かります」
キリアン・フィッツジェラルドと彼に従う狼が、高速でやって来て馬鹿狼と被害者を隔てる。
「狼は社会性と規範を重んじる生き物です。貴方が惧れを抱けば、彼らは驕る。だからこそ、親愛なる隣人として付き合いたいのであれば心身ともに強く在って、彼らに対して毅然と臨まねばなりません。信賞必罰の徹底、というべきでしょうか」
ここで農民を続けるなら獰猛な家畜との付き合いも避けられない。
リンクしていない狼相手に強く出て黙らせるのは狼に任せ、キリアンは看破の技術と高位授恵者の五感と狩猟の知識を使いこなして兎の行動を予測する。
「オールドケイジさん」
「え、そういうこと? 困ったね」
ディレインは驚いても慌てない。
殺気を放つような荒々しさはなく、しかし非授恵者から見れば攻撃と勘違いしてしまいそうな濃厚なエーテルを放つ。
「青い?」
自らから立ち上る青さと若い頃よりも充実した体力に気付き中年が農具を荒っぽく構えた。
「大きな兎に当たると危ないからねー。おじさんでも無事ですまないかも」
ディレインの言葉を聞いて中年農民の足がすくんだ。
「来ます」
開戦の合図はキリアンの矢だ。
よく狙って放つ矢はバフの効果でさらに強化される。
兎は凹みの上にいきなり現れた矢に気付けない。
首に近い肩を射抜かれ重要な神経をいくつか破壊される。
「良い子です」
名残惜しげに去って行く狼に目を向けずに見送って2本目の矢を放つ。
兎は痛みに耐えて防ごうするが、急所に当たるのは防げても回避は無理だった。
壮絶な覚悟で突撃する。
しかし竜鱗製の防具を使いこなすディレインを短時間で倒せる力はない。
「とりあえず死にさえしなきゃ、他の畑が片づき次第そこの担当が来てくれるはずだから、おじさんは粘るだけっ……っと」
ディレインと兎を包む薄い霧を目がけて天から光が落ちてくる。
着弾と同時にディレインから衝撃刃から飛んで来て毛と皮膚に深い傷をつけた。
「まず人を襲う兎というのも凶暴が過ぎますが、人間がいないとこれほどの凶暴化するとは」
アウレーリア・フォン・ネーベルベルクの爆炎は魔獣に甚大な被害を与える。
「わあ」
魔獣を食い止めていたディレインも、農具を振り回して兎を牽制していた中年も、感嘆の声を同時にあげる。
魔獣が逃げるか進むか決断できない間もキリアンの矢は次々に着弾し、逃げ始めてから100メートルも走れず力尽きたのだった。
●
爆炎が炸裂する数分前のことである。
圧倒的な速度と野生生物相手なら死神を演じられる攻撃力を兼ね備えたベルク・オスマットが、猟師としてその武力を振るっていた。
はわわ、とヒューマン夫婦が手を握り合って混乱している。
散々苦渋を舐めさせられた兎の首がぽんぽん飛んでいく様は、脳味噌が現実を認識しづらくなるほどの衝撃的光景だった。
「傷口に土埃が着く前に吊してくれ。安全重視で」
そう伝えるベルクを巻き込む形で光の罠が戦場を覆っている。
「対多戦闘は本懐とは言え直接戦闘火力を当てては炭も残らない」
統治者側の人間として生きてきたアウレーリアは、兎がどれだけ役立つかよく知っているのだ。
「畑を狙うなら話は別だけどね」
兎に対して光弾を1つずつプレゼント。
圧倒的な打撃で即死するだけでなく体の一部が激しく壊れ、しかしその程度ならまだ資源として利用可能だ。
縄を持って待機するようアウレーリアから言い含められていた夫婦が、田舎の農家らしい慣れた手つきで兎の体を吊していく。
「あ、向こうが大変みたいだし援軍に行く? 農民の夫婦さんは僕がスケープセイントを使える距離にいるからだいじょうぶだよー」
むん、とアルマが胸を張る仕草は非常に可愛らしいが兎からの警戒は非常に強い。
十字型鈍器を覆う魔力は濃厚かつ高密度で、巨大な光塊をまとわせるとちっちゃな体で特大武器を使う強い戦士に見えるし実際そうでもある。
「だからよろしくー……」
アウレーリアは増援に向かい、ベルクは帝国を支える基礎の基礎である畑を守るためアルマを遠巻きに警戒する兎を淡々と処理していった。
●
フリーダの干し肉を勝ち取った狼は味の濃さにショックを受け多少は大人しくなる。
(大きな兎ですが数人がかりならなんとかなりそうですね)
フリーダも農村出身なので解体作業に忌避感はない。特に殺界を使ったものの状態が良く高く売ることもできそうだ。
ストレガの刃物の扱いは恐るべき水準にある。
人間にとっての可食と狼にとっての可食を素早く見分けて、内蔵大目に狼へ提供する。
特に肝臓も狼には人気だ。
「……うむ」
戦闘でも解体でも調理でも頑張ったので、兎魔獣の頭蓋は正当な報酬である
キリアンはもう1体の兎魔獣に刃物を入れる。
シグルラン謹製のナイフは頑丈な魔獣の体に負けず、内側を外気に触れさせる。
(兎達も生きる為の糧を求めるのに必死だったのでしょう……)
感傷ではなくけじめだ。
これを軽視すると行き着く先は指先じみた何かだ。
「分けるのは共闘の対価分だけですよ」
全力で媚びを売る狼に、キリアンは厳しく対応していた。
「解体場で遊ばないー……!」
アルマは狼よりも小さいが迫力は群れ1つを軽々圧倒できる。
「毛皮は今は安いけどここ帝国だからねー」
友人は有能さと残念さを兼ね備えている。
アルマ達が戦闘でもそれ以外協力しないとセニャの担当地域はとっくに拙いことになっていただろう。
「供給が害獣の兎さん頼みで不安定だけど自前の防寒素材としては使えると思うしー……」
野生の動物の存在が前提の策なので大規模にするのは危険。しかし農家にやり方を見てさせて覚えさせる程度の規模なら非常に有効だった。
●
授恵者と狼が集まっている。
「セニャ、ヒューマンのみを優遇するのではなく全ての人類に公平に接するんだ。全ての人類がともに歩んでいく仲間なんだ」
帝国の侯爵家出身のアルベルトは、複雑な現実を認識した上で理想を目指している。
ヒューマン以外の人類と共に復興のために汗を流すことを厭わず、セニャのヒューマン優先主義を少しでも弱めるため説得を続ける。
「ここの復興を進めていく思いは全ての人類は一緒のはずなんだ」
言行が一致したアルベルトには強い説得力があった。
「地位に差があっても協力はできるわよ」
セニャの返事に反発や悪意があるならまだマシだった。
「仮に素質が同じなら努力し易い体制の方が有利だし、私達の子孫が有利になるよう動くのは当然でしょ」
他種の血が混じっていたとしても高確率でヒューマンが産まれるからね、とそこだけは照れながら言う。
「ねえ?」
セニャはストレガに話を向ける。
「同種族を贔屓したくなる感情は普通だと思うのだ」
何を揶揄されているか理解した上で平然と応える。
かつての先祖同様に成り上がれるよう、後でゴブリン兄弟を励ます予定だ。
ちら、とアルベルトから援護を求める視線と気配に気付きはしたがベルクは気付かないふりをする。
「露骨は露骨なのだが……例外を除けば旧帝国基準でも下手すれば偏見が少ない方なだけに、否定がしずらい」
ベルクはうめくようにつぶやく。
露骨なヒューマン優遇策に対して言いたいことは山のようにあるが、セニャが元が王国貴族なのを知っているし統治状況は帝国基準でも相当温厚かつ小格差なので反論しづらい。
「圧倒的にヒューマンの数が多い王国と違い、多種族国家の帝国で不満を溜めすぎると面倒の元だぞ?」
露骨な優遇は百歩譲って我慢はできるが、少しは不満解消の飴を振りまいてやれとベルクは言外に要求していた。
「まぁ正直、他領の運営が差別主義だろうと構わないのですが」
アウレーリアの視線は冷たい。
「昨今情勢の中、あまり大っぴらに王国のイデオロギーを持ち込まれると困るわ」
帝国は帝国、という建前が崩れると帝国の体制が脆くなる。
「実態がどうかというより掲げる看板の問題よ。まぁ、あまり捻じれた運用は良いことないわよ」
政治の理論面に精通するアウレーリアが勧めても、実務に自信があるセニャは検討はしても行動を大きく変えるつもりはない。
だが次の瞬間表情を制御しきれず口元が引きつる。
「ここまでお国の顔見知りが踏み込んできたら困るのは、貴女も同じではなくて?」
殿下と王女の婚約発表からの輿入れは既定路線である。
「大きな話も重要じゃがな」
ベルクが合図を出す。
ピンク首輪の狼達が、きゅぅんと情けなく泣いた。
「棒に縛り付けて躾直しを要求しようかと思ったぞ」
戦闘中はあれでも真面目にやっていた。
冒険者が解体していると徐々に調子に乗って、ベルクが雷を落とすことになった。
「褒めるのも叱るのもボスがやることじゃろ。畑で働く者達にも負担をかけてる分少しは補助を増やしておけ」
権利や立場とは関係のない、利益と負担の均衡の理屈から出る説得力のある言葉だ。
(格差是正というより不満解消のガス抜き……時間稼ぎじゃな)
思わずため息をついてしまうベルクであった。
●
保存に向かない部位の肉を肴に農民達と酌み交わす。
そしてディレインだけが、遠くから微かに響いた声を聞いた。
(しかしまあ……ヒューマンとヒューマン以外とで、そりゃ違いは色々とあるけどね。ヒューマンが格上だって何をもって言ってるのか、おじさんにはわかんないなあ)
セニャの理屈は整っているかもしれないが、セニャの欲を正当化するための理屈だ。
(意思疎通できて相互理解もできるし、文明や文化もある。……わかんないよ、ほんとに。当人にどうしようもないことで命に序列つけるなんて)
初夏の風が、冷たく感じられた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2023年06月12日 01時17分18秒 公開
参加者
相談掲示板
どうも、シューターのキリアン・フィッツジェラルドです。 畑とかも関わるからには姉とどちらで参加しようか迷いましたが、住民たちへの狼の見方を変えたり狼の扱いが要されたり兎の解体云々もあって僕で。 兎の解体といいますか取扱いに関しては狩猟とサバイバル知識で上手い具合に肉を確保致します。 あとは魔獣の隠密能力に備えて捜波を使い、遮蔽物を上手い具合に利用しているというなら曲射で仕留める次第ですが。 折角ですので狼との接し方の手本を兼ねて、今回狼同伴で行ってみようかと思います。
ヒーラーのディレイン・オールドケイジだ、よろしく。 相手が3手に分かれてるってことは、こっちも分かれた方がいいのかねえ。 狼も活用したほうが良さそうかなあ…ただ、誰かそばにいないとダメっぽいけど。 キリアン君が適任なのかな? 自分の行動としては、ハーフビーストの畑かヒューマンの畑で、祈雷の設置か衝撃波かなーって考えてる。 …祈雷だと焦げるか?
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 戦闘エリアの大きさも考慮すると、やはり3方向に分かれる形がベストでしょうか。 見たところゴブリン兄弟・ハーフビーストの所は魔獣もいるみたいですし、 3・3・2で分かれるとしたら3の方をそれぞれゴブリン兄弟とハーフビーストに仕分けるべきでしょうか。 ただ、ヒューマンの所は普通の兎害獣しかいない様子ですし、 あらかじめ罠等を仕掛ける事でこちらが出向かずともなんとかなる可能性はありそうですが。 とりあえずこちらはゴブリン兄弟のところに行こうかと思います。
すみません、捜波と曲射に加えて狼の使役ですとエーテルリンク2も要される事になるので2つまでしか特性を持っていけないんですよね。 改めて曲射とリンク2にして、加えて看破とホークアイで索敵を致します! では僕はハーフビーストの所に向かいましょう。 兎を上手い具合に解体するのも仕事の1つですので。
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 では私はゴブリン兄弟のほうに。 重力踏ませても動けるからアーケインテンペストで範囲重視にするのだ。 獣の解体は私もやるのだ。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー ゴブリン兄弟さんとハーフビーストさんのところに行く人はいるみたいだし とりあえずボクはヒューマンさん夫婦のところに行ってみるね 武器も新調はしたけどミンチよりひでぇ状態になりそうなので 控えめのに持ち替えと相談に出ている罠設置や解体に狩猟スキルもっていったり あとは動物交感で狼さん達が獲物の血で農地を汚さないようにとか できるだけ農民さん達を怖がらせないように伝えるのもやってみようかなと
ウォーリアのアルベルトだ。 よろしくな。 俺は、ゴブリン兄弟の所に行くつもりだぜ
キャスター、アウレーリアです。宜しく。 では、私はヒューマン夫婦のもとへ向かいましょう。 対多戦闘は得意ですが、あまり真面目にやると丸焼きさえも残りませんので。 攻撃は十分加減するとして、足止めに専念しようかと。 あとは、セニャとお話などでも。
アルマちゃんがヒューマン夫婦のところなら、おじさんはハーフビーストのところにしようかね。 魔獣対策に一応バフ持ってくよ。 ・ゴブリン兄弟:フリーダ、ストレガ、アルベルト ・ハーフビースト中年:キリアン、ディレイン ・ヒューマン夫婦:アルマ、アウレーリア
あれ?打ったはずなのに打ててなかった? シーフのベルクだ、よろしく頼む。 我はハーフビーストのところに行こうと思うので、よろしく頼む。 索敵と解体のつもりだ。 ・ゴブリン兄弟:フリーダ、ストレガ、アルベルト ・ハーフビースト中年:キリアン、ディレイン、ベルク ・ヒューマン夫婦:アルマ、アウレーリア