魔獣の街道
広大野人
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シナリオID:2889
オープニング
頭のおかしい(武)芸者ことファンゾムは帝国領から山を越えて王国内に入国していた。
「……これはぁ~……迷子かしらぁ~」
王国を目指し、行商人や旅人らと共に街道を通っていたのだが、出現したクリーパーを退治していたら、戦闘のどさくさで街道に戻れなくなってしまい、なんとなく南に行けば王国に辿り着けるだろうという事で歩き続けたのだ。
「帝国に比べたらぁ、とっても肥沃な土地ねぇ」
畑が広がっている訳ではないが草原が続いており、景色は悪くなかった。
道なき道をズンズンと進んでいると、一つの人影。
呆然と立ち尽くしている……という訳ではなさそうだが、ファンゾムの姿を認めると、サッと外套を深く被った。
「こんにちわぁ~」
「……何者か?」
気軽に話しかけたのが失敗したようで、その人物は警戒心剥き出しで返してきた。
声からして女性のようだが……その佇まいは普通ではない。もっとも、それは相手から見たファンゾムも同じようなものだろうけど。
「そうねぇ~。迷子かしらぁ? 君もかなぁ?」
「迷子ではない。フィルエス大森林の方に向かっている……人間……ではないのか」
チラリと見えるファンゾムの蛇鱗にその人物が言った。
少しは態度を軟化させたようだ。
「私わぁ~見たままよぉ。お名前を聞いてもぉ?」
「ミュルコレオだ。そなたは?」
「ファンゾムよぉ。君って素敵なのを持っているのにぃ、隠しちゃうのねぇ」
敵意が無い事を示すように満面の笑みを浮かべてミュルコレオの隣に並び立つ。
それは気に入らなかったようで、ミュルコレオと名乗った人物はファンゾムを置いてタタタと歩き出した。
「街道までであるぞ。わらわは迷い子を案内しているほど、お人よしではないからの」
「いやだわぁ、子って私ぃ、こう見えてずっとずっと年上よぉ」
「……そうであろうな。だが、蛇の者と話す事は何もない」
「そうよねぇ~。蟻と蛇って、合わなそうだしぃ」
ファンゾムはフフっと微笑を浮かべると、黙ってミュルコレオの後ろをついていくのであった。
●
街道に到着したのはそれから丸一日歩き通してからだった。
ミュルコレオという人物は疲れを知らないのか、あるいは頑健なのか、休憩を取らなかった。人間ではない……と、同じく人間ではないファンゾムはそう感じる。
(蟻亜人の特異個体というべき存在かしらぁ)
それも、かなりの力量の持ち主とファンゾムは見た。もっとも、興味はない。この人物は『人』ではないのだから。そこはファンゾムが期待する所ではないから。
「あらぁ? 何かしら?」
街道の先で土煙が見えた。
手を翳して目を細める……一台の馬車がかなりのスピードで向かって来ている。どうやた、何かに追われているようだ。
――と、思った矢先、馬車の車輪が街道の窪みにハマって荷台が横転。
命からがらリザードマンの一家が支え合いながら立ち上がっている。
「お人よしじゃないのよねぇ?」
向かって行こうとしたミュルコレオに向かってファンゾムが言った。
彼女は外套を深く被ったまま振り返る。
「……状況が変わった。あれは放置しておくと後で邪魔になる」
土煙の先、幾つもの魔獣の姿が見えたのだ。
●
冒険者達はその日、討伐依頼を受けた帰り道だった。帰りの便が待っている集合地点までは依頼主が馬車を出してくれて、疲労した体にはありがたかった。
「この辺りは魔獣がよく出没するってよ。まぁ、国境付近だし仕方ねぇのだろうけど」
行商と紹介業を営む依頼主の男はそんな言葉を発した。
もちろん、王国としても街道の安全を確保するのは当然の事。だが、全ての街道に兵士を常駐させる訳にはいかないのだ。ましてや、それが国境外となると尚の事。そんな訳で貴重な品を交易品として扱う依頼主にとって、王国外の街道に出現する魔獣は商売の敵だった。
「それにしても、やっぱり、冒険者ってのは強いねぇ。まぁ、でも冒険者ってのは命掛けなんだろ? 冒険者を引退したいと思ったら声を掛けてくれよ。良い所、紹介するぜ」
言葉が止まらない男は次から次へと話を続ける。
話上手かどうかは兎も角、場を白けさせない話術を身に付けているのは流石、商売人という事か。
「特にこのご時世だ。腕利きを探している所なんて、いくらでもあるからな」
その時、依頼主の馬車の進路を横切るように別の馬車が猛スピードで走り抜ける。衝突するような距離ではなかったものの、依頼主は驚いた。
「なんてこった! ありゃ、リザードマンのサンジュルじゃねぇか! 魔獣に追われてるのか!?」
魔獣から必死に逃げているのは依頼主の知り合いであるようだ。
もうもうと立ち込める土煙を追いかけるように進路を変える依頼主。
「狼型の魔獣か。厄介ってもんじゃねぇぞ!」
叫んだ直後、リザードマンが乗っていた馬車が派手に横転した。執拗に追い駆けていた狼型の魔獣が甲高く吠えながらチャンスを伺うように囲む。
「た、大変だ、サンジュルがやられちまう! 彼奴は行商仲間なんだ! 追加の報酬は支払うから、助けてやってくれ!」
依頼主の懇願に冒険者達は武器を手に取るのであった。
解説
マスターより
リプレイ
初手、土煙に包まれた馬車へとナハティガル=ラーとルベア・ベルニが授恵者の力にて、文字通り跳躍した。
「土煙で周囲の様子がよく分からないな……」
「そうね。それでも、疲れてるなんて言ってられない。絶対に、助けなきゃ。親も子も、皆」
バチバチっと何かが弾ける音が響く中、リザードマン一家の姿を確認できた。土煙が狼型魔獣の目を遮る形となったのだ。
「魔獣の包囲から離脱する。妻子が先でいいか?」
「あ、ありがとうございます! 私は身を潜めますので!」
リザードマンの商人の返事にルベアは意識朦朧としているリザードマンの子を抱える。
「すぐに助けが来るから、待ってて」
狼型の魔獣に襲われている親子の姿が……父と離れてしまった時の己と重なっていた。
必ず救い出すという決意と共に視界に広がる土煙を睨む。いつ、狼型魔獣が姿を現すか分からないが、一先ず、安全な所まで突破しなければならない。
万が一の時は敵の攻撃を受けなければならないが……多少ばかりは耐えられる自信があった。駆け付ける直前、トゥーリがエーテルを絞り出して回復魔法を掛けてくれたからだ。
ナハティガルとルベアの二人は無言で頷き合うと、土煙の中へと駆けた。
●
シルヴィア・A・カペルは一番近い狼型魔獣……つまり、先行した二人の脱出ルート上の敵に向かって光弾を放った。
跳躍後、要救助者を即抱えて全力で帰ってくるというのは、授恵者とはいえ難しかったようだが、作戦の流れに大きな支障はない。
「この状況なら、後詰は私が受け持つよ」
状況は一人の行動でも刻々と変わる。
仲間の申し出にルイドは練り上げられたエーテルの闘気を放ちつつ出来るだけ馬車に近づいてから、土読して最後の距離を詰めた。
そして、横転した馬車の荷台の隙間に入ったリザードマンの商人を狼型魔獣から隠すように位置を取る。
「俺達はウージィンの依頼で助けに来た」
「本当に感謝です。皆様の邪魔にならないようにここで静かにしています」
知っている名を出されて少し落ち着いたのか、リザードマンの商人は小さくなるように蹲る。下手に逃げ回られるよりかは助けやすいというものだ。
一方、トゥーリとミア=リゼルの二人は馬車に近づく為、前進。幾体かの狼型魔獣が新たな脅威を知り、唸り声をあげる。
「雷を纏っているのは、攻撃や防御以外にも意味がありそうだね」
「大変です……早く助けないと!」
正確な数は不明ながらも冒険者達よりも多いのは間違いない。
まだ先行組が戻って来ない為、トゥーリが光弾を撃ち、ミアはエーテルが宿った一撃を振るった。
異変があったのは直接攻撃したミアの方だった。
疑似的なカウンター効果と言うべきか、狼型魔獣に打撃を与えた瞬間、電撃が迸ったのだ。
「っ!? びっ……くりしましたが、これぐらいなら大丈夫です」
痛みと若干の痺れが残るが、戦闘には支障はない。
経験の浅い冒険者ならば苦戦する能力かもしれないが、少なくともここに集っているメンバーであれば多少は耐えきれるようだ。
直接、攻撃した場合の放電カウンターをトゥーリは予想していたが、狼型魔獣が雷を纏っている他の用途も見抜く。
「気を付けて! 個体同士の放電が繋がっているようだよ!」
原理がよく分からないが、ある一定の距離になると纏っている雷が別の個体と繋がるようだ。
雷は天から落ちる……が、実は地表からも合わせるように放電される。所謂、お迎え放電という現象だ。似たような現象が個体同士で発生しているのだろう。
トゥーリの注意は今まさに、リザードマンの母子を抱えて後方に下がろうとしたナハティガルとルベアの耳に届いた。
「危うくそのまま突破する所だった」
「ホライゾナルは使い切っちゃうけど、後はルイドさんに任せるかな」
電撃のフェンスのように行く手が塞がれている所を、二人は授恵者の力で跳躍した。強引に突破した時の威力がいか程か微妙だが、リザードマンの母子もダメージを受けてしまう事を考えれば、やむを得ないだろう。
リザードマンの母子に回復魔法を施しながらシルヴィアが二人に告げる。
「母子は一度、ここで預かろう。ナハティガルとルベアはサンジュルの元へ」
本来であればもっと安全な後方に下がらせるべきだろうが、ホライゾナルジャンプを行使するエーテルを使い切った以上、一刻も早く戦線を維持して残った一人を守るべきと判断した。
「それと、狼型ということは群れのボスがいるかもしれないね」
シルヴィアの忠告にナハティガルが白顎を構えつつ応える。
「簡単に見分けが付きにくいが、気には掛けておく」
前衛の負担軽減も兼ねて立ち回るつもりなので、群長と遭遇する可能性は高い。
少し晴れてきた土煙に向かって駆け出したナハティガルの後ろにルベアも続く。
(あの時は助けがなかったから、父さんが身を挺するしかなかった……リザードマンの親子の助けに……今の私は、なれていたら良いな……)
胸元を抉るような心の痛みに自身でそう応えながら短剣を手にしっかりと握るのであった。
●
一、二回の攻防後、土埃の影響が無くなってきた所で、ルイドは自分達以外にも狼型魔獣と戦っている存在が居た事に気が付いた。
外套を被った少女……に見覚えはないが、もう一人も女性はそれなりに知った相手だった。
巫女服を模したワンピース姿の武芸者、ファンゾムが外套の少女よりもやや下がった所でやる気なく戦っている。
「よぉ、暇してるなら、ちょい手伝ってくれね? こっち来て、近付いてくる奴らを相手してもらいたいんだが」
その呼び掛けに、ファンゾムが気怠そうに視線を向け――パッと一瞬で表情が変わった。
「ルイド君、私とぉそんなに戦いたいのぉ?」
「違う。俺らは魔獣と戦っているんだ。今度、飯や酒くらいなら奢るんで、どうよ」
二人のやり取りに気が付いたミアも頭を下げる。
「ご協力をお願いします。何か対価が必要であれば、できる範囲で応えますので」
「まぁ、そこまで言われたらぁ~。手伝ってあげないとねぇ~。でぇ~も、勢い余ってぇ、当たっちゃったらぁごめんなさいねぇ」
確信犯みたいな笑顔を浮かべるファンゾム。俄然、やる気が出たようで、スカートの裾がひらりと際どい所を見せつけながら強烈な蹴りを繰り出した。その様子にミアが慌てる。
「私に当てても構いませんが、隠れているリザードマンの方には当てないで下さいね。あと、見えそうで心配です」
本気は出していないようだが、ファンゾムの加勢により状況は良くなりそうだった。
もう一人、外套の少女の存在に気が付きつつも、トゥーリは狼型魔獣に回復手段がない事を察し、複数体を巻き込めるように光弾を放ち続けていた。
「集団戦術は使わせないんだよ!」
狼は脅威だが、そもそも、そのような戦術を取られなければ比較的、対処はしやすいと言える。
狙うべき対象を定める指揮者……群長と思われる個体が大きく吠えた。
「群長の存在は、もう明らかだよね」
僅かに一回り程大きい、狼型魔獣が全身を激しく帯電させながら飛び掛かって来た。
派手に立ち回っていた為か、群長に合わせるように別方向からも狼型魔獣がトゥーリに攻撃を仕掛けてくる。
全てを捌ききれない……が、致命的なダメージを受ける前にルベアが割って入ると、エーテルを込めた強力な一撃をドスンと叩き込む。
最前線に戻りながら、全体を良く把握して密集地帯に向けて闘気槌を放つ準備をしていた事が、予想以上の成果を呼び込んだのだ。
「直接斬りつけるには放電カウンターが怖いけど、これならね」
もっとも、スキルを行使できるエーテルは限られているけれど。
そして、視線を外套の少女に向ける……チラリと覗かせている顔と蟻外殻に、少女がメドゥの指先『赤の親指』ミュルコレオだと記憶が告げていた。
ミュルコレオは淡々とした表情でルベアとトゥーリの二人を見……何も言わずに戦いに専念している。
「どうして魔獣を焚きつけるでもなく殺すようなことを……?」
ルベアはそんな疑問を尋ねた。
冒険者ギルドで危険人物だと名指しで知られている人物が、何故、リザードマンの親子を助け、積極的に魔獣を倒しているのか……。
手の内から出現させた針で狼型魔獣の急所を貫きつつ、ミュルコレオは答える。
「この手の魔獣は使役されると面倒な事になる」
「狼の使役……魔獣使い?」
しかし、少女からは返事は無かった。次の獲物を定め、背中を向けたから。
心の中から突如湧いた得体のしれない感情の揺れがルベアに隙を生じさせた。
首元に向かって飛び掛かって来る狼型魔獣……だが、割って入る事でスペースを埋めたトゥーリのフォローにより難を逃れた。
「集団で戦うのはワタシ達も同じだよ」
「ありがとう。助かったわ」
「お互い様ですから」
勝敗の差を分けたのは、冒険者達の方が連携面で一枚上手だったという所だろう。
徐々に追い込まれる群れを支えている群長に向かって、ナハティガルが肉薄する。それを援護するようにシルヴィアが魔法攻撃の為、エーテルを練り上げていた。
そして、近くで戦うミュルコレオに告げる。
「ミュルコレオ。君は狼を排除したいようだと察する。此方はリザードマンを助けたい。ここは組まないかい?」
断る理由は特に無いはず……が、ミュルコレオはシルヴィアに一瞥向けただけで返事もせずに戦いを続けてた。
(貴族が嫌われるのは正直よくある事……私個人の言動に由来せずとも、一括りに見られるのも当然……か)
立場が有利になる場合もあれば不利になる場合もある。
特にミュルコレオという人物は王国や支配層に対して敵対的という話なので、声掛けに応えないのは仕方のない事かもしれない。
しかし、少女は戦うのを止めた訳ではないので、それはそれとして自身が成すべき事を行おうとシルヴィアは片羽を振り上げた。
「援護するよ、ナハティガル。きっとその個体が群長だ」
「だろうな。此奴はここで抑える」
タンク役であるルイドは馬車脇に隠れているリザードマンを守っており、これ以上、負担は掛けられない。
群長が吠えると幾本もの電撃が迸った。
「来ると分かっていれば大した事ないぞ」
大きく避けてしまうとスペースを空ける事になるので、最小の動きだけでナハティガルは電撃を凌ぐと、軽くステップを踏んで白顎を高速で繰り出す。
「どの道、カウンターを受けるのなら遠慮はしない」
直接攻撃すれば狼型魔獣が身に纏っている帯電を受ける――が、それは1度の攻撃に対して1回のみだ。三連撃を叩き込めば、大きなダメージが見込める。それに、冒険者達は回復手段が僅かとは言え残されている事も心理的な支えとなった。パーティーの構成上、ヒーラーが3人もいれば心強いものだ。
群長が今一度、吠える。
先ほどよりも本数が増えた電撃を、ナハティガルは掻い潜るように避けると姿勢を回しつつ白顎を高速で突き出した。帯電によるダメージをシルヴィアが回復。更に死角からルベアが強襲。続いたトゥーリの追撃に群長はいよいよ力尽きて大地に横たわるのであった。
●
群長を失って急激に連携の質が低下した狼型魔獣は次々に各個撃破されていく。
結局、最後の一頭まで戦い果てて終わった。倒してしまえば、もはや、ただの狼の亡骸。
リザードマンは一家が抱き合って無事を確認している様子を認めながら、ルイドは一仕事終えた仕草をなまめかしく魅せるファンゾムに声を掛けた。
「助かったぜ。数の差は簡単には埋められなかったからな」
「フフ。お礼を楽しみにしているわぁ、ルイド君」
「……で、ここで何してんだ?」
最後に出会ったのは帝国領内だ。なぜ、街から遠く離れた場所に居たのか……状況的にメドゥの指先であるミュルコレオと共にしていたようにも思える。
「ナニってぇ……ただの迷子よぉ」
敵意の無い笑顔に追及するだけ無駄のようだ。ファンゾムがここで嘘をつく理由もないから、居合わせたのは『偶然』なのだろう。
その時、大きな音を響かせて横転した馬車が元に戻る。ナハティガルとトゥーリの二人が馬車を転がすようにして直したのだ。
「これは修理が必要だな。軸にヒビが入っているぞ」
馬車の状態を確認したナハティガルが告げた言葉にトゥーリも覗き込んだ。
「本当だね……この状態で動くのは危ないかな」
無理して突然、車輪が折れたら危険極まりない。何より、魔獣に襲われたリザードマン一家の事を思えば、まずは安心できる所に連れていきたい所だ。
「ウージィンの馬車になんとか全員乗れそうか?」
「ワタシ達が歩けばきっと大丈夫だよ」
思わぬ連戦でエーテルは消耗しきっているが、ただ歩く分に関しては問題ないだろう。
戦いの後始末が付いた事でウージィンがホッとした様子だった。
「道に迷った武芸者さんと一緒に最寄りの街まで乗せていきます。ちょうど、腕利きを探している人が居たので、一石二鳥ですし」
近くの街までいけば、リザードマンの馬車を修理する手配も取れるだろう。
「とにかく、無事で良かった。最近、この辺りも物騒になってきたから。皆さんも忙しいかと思いますが、またよろしくお願いします」
商人の言葉にナハティガルとトゥーリは頷いて応えた。
外套を深く被った少女がメドゥの指先幹部だと知らなかったミアはシルヴィアから正体を教えてもらって驚いていた。
「メドゥの指先……私も、深い関わりのあった組織ですから。是非とも、お話を伺いたいところですけど……」
チラリと視線を向けるが、素っ気ない態度を見ると近寄り難い。
「情報通り、ヒューマンの私達はなかなか相手にはしてもらえないようだ」
「残念です……対話すらも閉ざされては……」
シュンと肩を落とすミアを慰めるようにシルヴィアがポンと手を置いた。
「ミュルコレオの欠落にきっと関わる所かと思う。だけど、この先、接する事が出来る機会はきっとくるよ」
そうでなければ、一時的とはいえ、共闘のように戦いはしないのだろうから。
狼型魔獣が確実に死んでいる事を1体ずつ確かめているミュルコレオにルベアが警戒しながら近づいた。
「そんなに確かめないといけないものなの?」
もし瀕死の生き残りが居たとしても群れとしての力が失われている以上、大きな脅威にはならないはず……だから、ルベアの質問は一つの可能性を示唆していた。
「異なる能力を持つ個体を掛け合わられると厄介であろう」
「狼の魔獣を使役できる者が、この付近に居るって事なのね」
「その言葉を肯定しよう。半獣のそなたも気を付けた方が良い。もっとも、わらわからすれば、そなたも敵ではあるが……さらばだ」
用事が済んだとばかりにミュルコレオは踵を返す。不意に吹いた風が頭を覆っていた外套を外し、特徴的な蟻触角が姿を見せた。
「…………」
立ち去る少女の後ろ姿をルベアはただ見送るのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2023年04月09日 22時05分18秒 公開
相談掲示板
トゥーリだよ、よろしくね! 敵の数が比較的多くて、護衛対象がいて、こっちは消耗してるんだね。 ネームドNPCはちょっと共闘を依頼する感じでもなさそうだし、自衛してくれるっていうならとりあえずそれにお任せするのがいいのかな? いっつもだったら初手インフィニティロアとかが定石なんだけど、今回は使えないからなあ…… ワタシが持ち込むのはハイパーヒーリングオーラと……せめても範囲攻撃かなあ。 電撃は近接攻撃へのカウンターにもなりそうだね。近づいて攻撃するひとは注意してね!
ウォーリア、ルイド。良しなに。 >戦闘 スキルの使用回数減がかなり痛ぇな。 カバリングも一回分しか残ってねぇが……サンジュルに加えその妻子もいるんなら、保険としても持っていった方が良さげか。 俺は基本的に救出対象の近くに位置取ろうかと思う。攻撃面は杖で範囲魔法中心にしようかと。 >電気 カウンターはあり得るな。単純に飛ばしてくるって可能性もあるか。 ダメージもだが、状態異常もあっておかしくはねぇかもしれないんで気を付けたいとこ。 戦闘中もなんか気付いたことありゃすぐに共有するわ。 >NPC 俺もとりあえず戦闘中はほぼ放置の予定。声くらいはかけると思うが。 ミュルコレオがメドゥの指先だってのはたぶん気付くが、それもひとまず俺は後回しにすっかな。
シルヴィアだ。今回はよろしくね。 トゥーリとルイドが言ってくれたように、NPCには各自自衛して貰う形で良さそうだ。ただ狼型魔獣の数が多いから、もし手を借りられるなら借りられたら、とも。 ミュルコレオとは目的がある程度一致しているようだから、共闘や分担を呼び掛けるのは有りだと思う。ファンゾムは……知人の参加者さんがいたら、口説き落として連携する手もある、かな……? いずれにせよ土煙が収まってからになるけれど。 >戦闘 サンジュル達の救助役、狼型魔獣対応役と別れた方が良さそうかな。 家族三人は横転した馬車から何とか這い出した所だから、骨を折っている可能性も有るか。とりあえず状態を見て、戦線離脱して貰うか、せめて狼型魔獣から射程を取って貰いたい。ウォーリアのルイドが彼らの傍にいてくれるなら心強い。よろしく頼むよ。 狼型という事は、群れのボスがいるかもしれないね。 攻撃する時、ボスを狙ってみるつもりだ。 >持って行くスキル ヒーラーの皆とスキルを分担したいな。一応、今の所はリヴァーオブヴァイタルとスケープセイントを持って行って、サンジュル達の救助に行こうと思っている。相談次第で変更するよ。 >ミュルコレオ 「赤の親指」については知っている事にする予定だ。
ヒーラー、ミア=リゼルです。よろしくお願いしますね。 すでに出ているように、回数制限が厄介ですね…強力なスキルは回数が限られていて、今回使用回数が1回のみのスキルは使えない…むう。 コモンブラッドによる範囲バフ、光縛封による緊急安置も設置できないとなると…うーん。採用スキルが悩ましいですね。 ひとまずサイドヒール改と、1回単体のみになりますがリジェネレーション…でしょうか。アクションは回復のほか、範囲攻撃で露払いをと考えています。 あとはそうですね…狼ということですから、血の臭いに釣られる可能性はありますので、何か…香水などを利用して、誘導までとはいかずとも、妨害はしてみます。
(考え直した箇所があったので一旦削除) シーフのルベアよ、宜しく。 >回数制限 レベルが低いほうが使用回数が多いスキルは、そっちを持っていく…というのも手かもね。 というわけで闘気槌は2、見切りは無印で持っていく予定(使用回数はどちらも実質2) あとは衝撃刃かな…これは4でも使用回数変わらないし(使用回数は実質3) アクションのもう1枠はフェザーステップで埋まるかな。 特性はホライゾナルジャンプ、真トリプルファングの予定。 トリプルファングは回数制限の影響受けないしね。 >戦闘 真っ先に親子のところに行って、担いでホライゾナルで離脱しようかなって思ってる。 問題は1人しか運べないと思われることなんだけど…優先順位的には子供かしらね。
>スキル 俺も回数優先で、アクションスキルは少しレベル下げていくわ。 今んとこ攻撃用にメテオライトと魔弾、馬車へ駆け付ける用にチャージングを予定。あと1枠はもうちょい考えるな。 特性はカバリングと……どうすっかな。パッシブで能力底上げするか、真殺界で保険重ねるか、あたりになるかね。 >戦闘 先に離脱させられるならそうだな、子供からでいいと思うぜ。 親2人もなるべく魔獣から離すってことで異論ねぇ。近付いてくる奴らを迎撃しつつ、後ろに下がるか…… もしくはNPCを盾にするように位置取るのもありか? 無断だとちょっとあれなんで、その場合声かけてからだが。 ミュルコレオは魔獣退治の方に行きそうな感じがあるが、ファンゾムはあんま動きそうにねぇし自衛ついでに盾役頼まれてくれねぇかな……言うだけ言ってみるか。
>持って行くスキル 成程、レベルが低い方を持って行けば回数が増えるね。 私は今の所、メテオライト2(2回)、ヒール3(3回)、毒撃2(3回)。もう一つは回数が関係無い治療強化4の予定だ。 >戦闘 私も子供優先に賛成。ルベアが家族を離脱させてくれるならとても助かるよ。 NPCを盾にする位置取りについては……声を掛けてからなら大丈夫だと思う。ただ魔獣が弱っている者から優先的に狙う可能性も有るから、とにかく急いで家族を隔離したいな。家族はウージィンに預けるのが良さそうだ。 家族を救出次第、魔獣対応に参加するよ。その頃には土煙も収まっているだろうし、私はミュルコレオに声を掛けてみよう。あ、もし嫌がられたら戦闘に集中する予定だ。
遅参申し訳ない。 シーフのナハティガル=ラーだ。――宜しく頼む。 >スキル 特性:【真トリプルファング】と【ホライゾナルジャンプ】。 アクション:【フェザーステップ】【疾風足】。(残り2枠は考え中) 上記のスキル構成を考えている。 >戦闘 ルベアが子供から離脱させるなら、俺は残りの大人――妻>夫の順に離脱させようと思う。 >ミュルコレオ/ファンゾム 俺はどちらとも面識はない為、特に接触する予定はないな。 場合によっては共闘を打診する位だろうか?
>戦闘 悪ぃ、言葉足らずだった。安全位置まで問題なく下がれそうならそっちを最優先にするぜ。 しかしそうだな、危うい時に盾役願うにしてもファンゾムの後ろまで行こうとするとウージィンの方向からは離れちまうか……呼び掛ける場合、こっちに来てくれねぇかと頼む形にしてみるか。 妻から離脱してくれるのも了解、助かるわ。 ひとまずサンジュルだけならカバリングで一回は攻撃受けても防げそうなんで、特性もう1枠はアダマントボディあたりにしておく。
ナハティガルが大人達を離脱させてくれる事、有難い。よろしく頼むよ。 >戦闘 私も勘違いしてしまってごめんね。 ファンゾム達に呼びかける場合は此方側に来て貰うというのも賛成だ。 サンジュル一家全員の離脱までは、私は三人にスケープセイントを使える位置で回復や範囲攻撃をするね。
すみません、背後が不測の事態の対応に追われていまして…諸々了解しました!手が足りなそうであれば、救出離脱に回りますね。