【甘壇】カカオと宝石は謎解きの後で
岩岡志摩
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シナリオID:2792
オープニング
●依頼発生
突然だがエドゥノーグダンジョンがストライキを始めた。
その結果、迷宮産のカカオや宝石が採れなくなり、エドゥノーグの街は大慌てになる。
その間にも各地に存在するカカオ農園や宝石の産地、チョコや宝石の代わりとなる商品を売り込みたい者達が甘輝祭を盛り上げようと奮闘している。
そしてある日。エドゥノーグダンジョンに新たな枝場が発見された。
――疲れた。甘味を捧げよ。
枝場にはそんな文言の書かれた祭壇がいくつもあるという。
枝場に足を踏み入れた人が試しに甘味を祭壇へ捧げたところ、「ヒト」の姿をした迷宮神エドゥノーグが現れ、甘味を捧げた人物へカカオと宝石を授けてくれた。
――これは甘味を捧げなければ。
事情を知ったエドゥノーグの街は祭壇に甘味を捧げ、カカオや宝石を得るために冒険者ギルド支部へ様々な依頼を出していく。
今回冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスが担当する依頼も、その1つだった。
依頼人から話を聞いたアルヒは、必要な手続きを済ませると依頼の斡旋に動く。
「みんなに頼みたいのは、ダンジョンのある枝場で甘味を捧げ、カカオと宝石を入手してもらうことだが――」
依頼に興味を持った皆様に向け、アルヒが説明を始める。
エドゥノーグダンジョンに存在するその枝場はかなり特殊で、ダンジョンにはつきもののモンスターがそこには現れないらしい。
あるのは『謎かけ』と、間違えたら強制的に入り口に戻されるワープのような仕掛け。
どうやらここではモンスターを倒す力よりも、謎を解く知恵が必要らしい。
●最初の謎かけ
その枝場にも、迷宮神エドゥノーグ――正確には意識体の1つがいた。
「もう疲れた。我に甘味を捧げよ」
その意識体は、とにかく甘味を求めていた。
今回の依頼人に当たる商人は、意識体にカカオや宝石を出してくれるよう懇願する。
「ヤダ~! 甘味くれないとヤダ~!」
宙に浮かぶ意識体は全身で要望を断り、盛大に宙を転がり手足をばたつかせて甘味を要求した。
商人は知らなかったが、意識体はなぜかメドゥの指先幹部『黄の小指』ロコの姿をしていた。
そのため商人は大慌てて近隣の町で甘味となるものをかき集め、祭壇に捧げた。
その結果、落ち着きを取り戻した意識体は商人の求めに応じ、条件付きでカカオや宝石を出すと告げた。
――カカオと宝石を手に入れたければ、2つの謎を解いてみて。
そして意識体の左右に新たな部屋が1つずつ出現し、それぞれの入り口に謎かけの内容が記されていたらしい。
依頼人や同行していた人達は謎かけで間違えた答えを出し、いずれも強制的に入り口へと戻されている。
「これは2つの部屋共通でそうなるようだ」
アルヒの説明はそれぞれの謎かけに移る。
意識体が示した部屋のうち右側では、四方の壁に同じ大きさのタイルが敷き詰められているが、東西南北それぞれで色が違う。
東側は青。西側は白。南側は赤。北側は黒色のタイルが並び、中央の床には黄色のタイルが敷かれている。
そしてこのタイルを謎かけの答えになる数だけ押し込み、最後に部屋の中央にある台座の上にある突起を押し込めば、次の部屋への扉が解放されると、入り口に書かれた文章には記されている。
その謎かけは以下の通り。
ある屋敷で宝石が盗まれる事件が起きた。
屋敷の主は衛兵と共に捜査を進めた結果、犯人は屋敷で働く使用人のうち5人に絞られた。
「宝石を盗んだ犯人は誰だ!」
衛兵の問いに、容疑者5人(赤、青、黄、黒、白)が答えた。
赤は言った。
「私が犯人ではありません。黄でもありません」
青は言った。
「犯人は私ではありません。赤でもありません」
黄は言った。
「犯人は赤か黒です」
黒は言った。
「犯人は黄か白です」
白は言った。
「犯人は青か黒です」
この中に犯人が1人、嘘をついた人が2人いる。
犯人は誰で、嘘をついたのはどの2人か当てなさい。
正直者を示す色のタイルは1つ押せばいい。
犯人ではないが嘘つきを示す色のタイルは2つ押す。
犯人を示す色のタイルは3つ押す。
正しければ、奥に繋がる扉が開きカカオを手に入れることができる。
「不正解で入り口に強制ワープさせられる際に、なぜか海産物や肉が手に入るらしい」
入り口にワープさせられると、目の前には鮭の切り身やロブスター、鶏肉にイノシシ肉、牛肉の固まりが紙に包まれた状態で置かれていたという。
いずれも日持ちはしないので、食べるなら早い方がいいようだ。
●2つ目の謎かけ
次にアルヒは左側の部屋と、入り口に書かれた謎かけについて語る。
「左側の部屋では、数字を当てる形になるそうだ」
部屋の中央には台座があり、その台座の上で正解を当てる形となる。
「台座の上には何かをはめ込む窪みが3つあり、その横には赤い突起があった」
謎かけに挑戦した人たちによると、窪みの上にはそれぞれK(キング)、Q(クイーン)、J(ジャック)の文字が書かれており、その下にはめ込むことができるのは、周囲の壁に貼られた数字のパネルだという。
少し力を入れればパネルは壁から容易に外れるので、後は窪みにパネルをはめ込み、赤い突起を押せばいいようだ。
こちらの謎かけは以下の通り。
KKK+QQQ+JJJ=KQQJ。これに当てはまるK、Q、Jの各数字は?
正解となる数字のパネルをそれぞれの窪みへとはめ込み、正解となれば奥の部屋への扉が開き、中にある宝石を入手できるようだ。
ただしこちらも不正解の場合、挑戦した人は強制的に入り口へとワープさせられる。
こちらの場合では、入り口に強制ワープさせられる際、なぜか手には『残念賞』とばかり、宝石の欠片が握られていたという。
といっても今回の依頼人が求めるような品質ではなく、売り物にならない低品質の欠片ばかりだという。
不正解の場合、赤色の石、青色の石、黄色の石、緑色の石、紫色の石の5種類がランダムで手に入り、そちらは持ち帰っていいようだ。
そして台座の上ではめ込んだパネルも元の場所に戻るので、挑戦するにはもう一度壁に向かい、数字のパネルを取り出す必要がある。
以上がこの枝場における謎かけとなる。
今までに食材と宝石の欠片こそ手に入るが、肝心のカカオや宝石は入手できていない。
そういう経緯のもと、今回の依頼人は冒険者の助けを借りることにしたようだ。
今回カカオや宝石を回収するための道具や箱といった、回収に必要なものは全て商人が用意してくれる。
また依頼人は追加の報酬を提示していた。
――冒険者の皆様が手に入れた食材を使った料理を楽しむ場と、宝石の欠片を加工してアクセサリーにする機会をご用意いたします。
ダンジョンの外に調理場を用意し、雇った料理人達の手で皆様が手に入れた食材で料理を作り、提供する。
もちろんその場で食べきれないものは、皆様の手で持ち帰ることも可能で、必要な容器も提供する。
また宝石の欠片をアクセサリーに加工したい場合、臨時の工房を設置して必要な道具や素材の類を貸し出す。
アルヒはそれが皆様への追加報酬だと明らかにした。
この依頼では、モンスターを倒す力は特に必要ではない。
謎かけを解く知恵と、料理を味わう舌や胃袋、あるいはアクセサリーへと加工するための美的センスが必要になるだろう。
ということで、謎かけに挑戦しカカオと宝石を回収してくれる冒険者を求む。
突然だがエドゥノーグダンジョンがストライキを始めた。
その結果、迷宮産のカカオや宝石が採れなくなり、エドゥノーグの街は大慌てになる。
その間にも各地に存在するカカオ農園や宝石の産地、チョコや宝石の代わりとなる商品を売り込みたい者達が甘輝祭を盛り上げようと奮闘している。
そしてある日。エドゥノーグダンジョンに新たな枝場が発見された。
――疲れた。甘味を捧げよ。
枝場にはそんな文言の書かれた祭壇がいくつもあるという。
枝場に足を踏み入れた人が試しに甘味を祭壇へ捧げたところ、「ヒト」の姿をした迷宮神エドゥノーグが現れ、甘味を捧げた人物へカカオと宝石を授けてくれた。
――これは甘味を捧げなければ。
事情を知ったエドゥノーグの街は祭壇に甘味を捧げ、カカオや宝石を得るために冒険者ギルド支部へ様々な依頼を出していく。
今回冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスが担当する依頼も、その1つだった。
依頼人から話を聞いたアルヒは、必要な手続きを済ませると依頼の斡旋に動く。
「みんなに頼みたいのは、ダンジョンのある枝場で甘味を捧げ、カカオと宝石を入手してもらうことだが――」
依頼に興味を持った皆様に向け、アルヒが説明を始める。
エドゥノーグダンジョンに存在するその枝場はかなり特殊で、ダンジョンにはつきもののモンスターがそこには現れないらしい。
あるのは『謎かけ』と、間違えたら強制的に入り口に戻されるワープのような仕掛け。
どうやらここではモンスターを倒す力よりも、謎を解く知恵が必要らしい。
●最初の謎かけ
その枝場にも、迷宮神エドゥノーグ――正確には意識体の1つがいた。
「もう疲れた。我に甘味を捧げよ」
その意識体は、とにかく甘味を求めていた。
今回の依頼人に当たる商人は、意識体にカカオや宝石を出してくれるよう懇願する。
「ヤダ~! 甘味くれないとヤダ~!」
宙に浮かぶ意識体は全身で要望を断り、盛大に宙を転がり手足をばたつかせて甘味を要求した。
商人は知らなかったが、意識体はなぜかメドゥの指先幹部『黄の小指』ロコの姿をしていた。
そのため商人は大慌てて近隣の町で甘味となるものをかき集め、祭壇に捧げた。
その結果、落ち着きを取り戻した意識体は商人の求めに応じ、条件付きでカカオや宝石を出すと告げた。
――カカオと宝石を手に入れたければ、2つの謎を解いてみて。
そして意識体の左右に新たな部屋が1つずつ出現し、それぞれの入り口に謎かけの内容が記されていたらしい。
依頼人や同行していた人達は謎かけで間違えた答えを出し、いずれも強制的に入り口へと戻されている。
「これは2つの部屋共通でそうなるようだ」
アルヒの説明はそれぞれの謎かけに移る。
意識体が示した部屋のうち右側では、四方の壁に同じ大きさのタイルが敷き詰められているが、東西南北それぞれで色が違う。
東側は青。西側は白。南側は赤。北側は黒色のタイルが並び、中央の床には黄色のタイルが敷かれている。
そしてこのタイルを謎かけの答えになる数だけ押し込み、最後に部屋の中央にある台座の上にある突起を押し込めば、次の部屋への扉が解放されると、入り口に書かれた文章には記されている。
その謎かけは以下の通り。
ある屋敷で宝石が盗まれる事件が起きた。
屋敷の主は衛兵と共に捜査を進めた結果、犯人は屋敷で働く使用人のうち5人に絞られた。
「宝石を盗んだ犯人は誰だ!」
衛兵の問いに、容疑者5人(赤、青、黄、黒、白)が答えた。
赤は言った。
「私が犯人ではありません。黄でもありません」
青は言った。
「犯人は私ではありません。赤でもありません」
黄は言った。
「犯人は赤か黒です」
黒は言った。
「犯人は黄か白です」
白は言った。
「犯人は青か黒です」
この中に犯人が1人、嘘をついた人が2人いる。
犯人は誰で、嘘をついたのはどの2人か当てなさい。
正直者を示す色のタイルは1つ押せばいい。
犯人ではないが嘘つきを示す色のタイルは2つ押す。
犯人を示す色のタイルは3つ押す。
正しければ、奥に繋がる扉が開きカカオを手に入れることができる。
「不正解で入り口に強制ワープさせられる際に、なぜか海産物や肉が手に入るらしい」
入り口にワープさせられると、目の前には鮭の切り身やロブスター、鶏肉にイノシシ肉、牛肉の固まりが紙に包まれた状態で置かれていたという。
いずれも日持ちはしないので、食べるなら早い方がいいようだ。
●2つ目の謎かけ
次にアルヒは左側の部屋と、入り口に書かれた謎かけについて語る。
「左側の部屋では、数字を当てる形になるそうだ」
部屋の中央には台座があり、その台座の上で正解を当てる形となる。
「台座の上には何かをはめ込む窪みが3つあり、その横には赤い突起があった」
謎かけに挑戦した人たちによると、窪みの上にはそれぞれK(キング)、Q(クイーン)、J(ジャック)の文字が書かれており、その下にはめ込むことができるのは、周囲の壁に貼られた数字のパネルだという。
少し力を入れればパネルは壁から容易に外れるので、後は窪みにパネルをはめ込み、赤い突起を押せばいいようだ。
こちらの謎かけは以下の通り。
KKK+QQQ+JJJ=KQQJ。これに当てはまるK、Q、Jの各数字は?
正解となる数字のパネルをそれぞれの窪みへとはめ込み、正解となれば奥の部屋への扉が開き、中にある宝石を入手できるようだ。
ただしこちらも不正解の場合、挑戦した人は強制的に入り口へとワープさせられる。
こちらの場合では、入り口に強制ワープさせられる際、なぜか手には『残念賞』とばかり、宝石の欠片が握られていたという。
といっても今回の依頼人が求めるような品質ではなく、売り物にならない低品質の欠片ばかりだという。
不正解の場合、赤色の石、青色の石、黄色の石、緑色の石、紫色の石の5種類がランダムで手に入り、そちらは持ち帰っていいようだ。
そして台座の上ではめ込んだパネルも元の場所に戻るので、挑戦するにはもう一度壁に向かい、数字のパネルを取り出す必要がある。
以上がこの枝場における謎かけとなる。
今までに食材と宝石の欠片こそ手に入るが、肝心のカカオや宝石は入手できていない。
そういう経緯のもと、今回の依頼人は冒険者の助けを借りることにしたようだ。
今回カカオや宝石を回収するための道具や箱といった、回収に必要なものは全て商人が用意してくれる。
また依頼人は追加の報酬を提示していた。
――冒険者の皆様が手に入れた食材を使った料理を楽しむ場と、宝石の欠片を加工してアクセサリーにする機会をご用意いたします。
ダンジョンの外に調理場を用意し、雇った料理人達の手で皆様が手に入れた食材で料理を作り、提供する。
もちろんその場で食べきれないものは、皆様の手で持ち帰ることも可能で、必要な容器も提供する。
また宝石の欠片をアクセサリーに加工したい場合、臨時の工房を設置して必要な道具や素材の類を貸し出す。
アルヒはそれが皆様への追加報酬だと明らかにした。
この依頼では、モンスターを倒す力は特に必要ではない。
謎かけを解く知恵と、料理を味わう舌や胃袋、あるいはアクセサリーへと加工するための美的センスが必要になるだろう。
ということで、謎かけに挑戦しカカオと宝石を回収してくれる冒険者を求む。
解説
●目標
ダンジョン枝場に存在する謎を解き、カカオや宝石を回収する
副目標:食事(とアクセサリー作り)を楽しむ
今回の選択肢は以下の通りになる。
1:右側の部屋から謎解きする。
2:左側の部屋から謎解きする。
登場
迷宮神エドゥノーグ(の意識体)
遥か昔にエドゥノーグのダンジョンを創造したダンジョンの神様。
今回現れたのはその意識体だが、何故かメドゥの指先幹部『黄の小指』ロコの姿をとっていた。今は姿を消している。
商人
今回の依頼人でもある商人。知り合いと一緒にこの枝場の謎かけに挑戦したものの、失敗している。
謎を解きカカオや宝石を持ち帰ってくれれば、皆様に報酬の他にも料理を提供し、アクセサリーを作成できる場と必要な素材を用意すると確約した。
カカオや宝石
今回の回収対象。それぞれの部屋にある謎かけに正解すれば手に入る。
回収用の道具類は全て商人が用意してくれる。
状況
ダンジョンに存在する枝場の一つ。入り口には複数ある謎かけの内容とヒントがそれぞれ書かれている。
原理は不明ながら、壁や床が発光しており、視界は十分確保されている。
謎解きに失敗した場合、右の部屋では食材が手に入り、左の部屋では宝石の欠片を入手した後、その部屋の入口までワープする。
いずれも規則性はなく、ランダムで手に入る模様。
なおカカオや宝石を回収した後、食事はダンジョン外に臨時の調理場が設けられ、調理器具や座席、料理人といった料理に必要なものは全て商人が用意してくれるので、カカオや宝石を回収した後、皆様は食べることに集中してくれて問題ない。
料理は希望がなければ牛肉のステーキ、イノシシ肉のロースト、鶏肉の串焼き、鮭のムニエル、茹でロブスターが提供される予定。
希望すれば容器を提供してくれるので、料理の持ち帰りも可能。
アクセサリー作りは希望者がいればの話なので、強制ではない。
以下は各部屋大まかな見取り図。右の部屋には入り口以外の四方に北側が黒色、東側が青色、南側が赤色、西側が白色のタイルが同じ大きさと形で敷き詰められており、部屋の中央に台座がある。
左の部屋は中央に台座があるのは共通だが、四方の壁には0から9までの数字が書かれたパネルが複数敷き詰められている。
北↑
壁壁壁壁壁壁壁
壁 壁
壁 壁
壁 台 壁
壁 壁
壁 壁
壁壁壁入壁壁壁
マスターより
【甘壇】へようこそ。
謎解きが主となるシナリオになりますが、正解を引き当てカカオや宝石を回収した後でも台座での操作は可能なので、正解後もあえて不正解を選ぶことで、食材や宝石の欠片を手に入れることができます。
意識体はこの場から姿を消しているため、皆様の方で関わる必要はありません。
なお犯人と嘘つきを当てる謎かけでのヒントですが、嘘つきは犯人ともう1人を合わせた2人になります。
数字を当てる謎かけへのヒントですが、Kは1でQ、Jはいずれも1ではなく別の数字になります。
不正解を選び入手したものにつきましては、皆様の方でどのように扱われても問題ありません。
料理ですが、皆様の方で何か作りたいものがございましたら、必要な調理道具や調理場は用意できます。
ご不明な点がございましたら出発36時間前まででしたらギルド職員アルヒ・ラスカスが答えられる範囲は答えます。
リプレイ
●分かれます
カカオと宝石を回収する依頼を受けた冒険者達が、エドゥノーグ迷宮内のとある枝場に足を踏み入れる。
この枝場では通路を挟む形で2つの部屋が存在し、右側の部屋でカカオが手に入り、左側の部屋で宝石を入手できるという。
――あることを達成できるのであれば。
「謎かけですか、頭を捻るのは些か不得手ではあるのですが」
ヴィルヘルミナの言う通り、それぞれの部屋でカカオと宝石を回収するためには、部屋の前に書かれている謎かけを解く必要がある。
「まあ、違うなら違うでいいでしょう。その時は他の方がなんとかしてくれると思います」
間違えたとしても、謎かけのある部屋では食材や宝石の欠片がそれぞれ手に入る。
そのことを知っているヴィルヘルミナは、穏やかな心持ちで謎かけに挑むため、まず通路右側の部屋へ向かう。
「謎解きであれば危険はないので、腕っ節が散々な私でも、安心して仕事ができますね……」
ラティア・ミゼリアは危険のない依頼内容と知り、この依頼に参加した。
「危険のない仕事ばかりならいいのに……」
そんな願いを抱きつつも、ラティアはヴィルヘルミナと同じく右側の部屋へ足を運ぶ。
「俺は右側の部屋へ行く」
シャドウは部屋の前に書かれている謎かけの内容を見比べ、思案の後に右側の部屋を選ぶ。
(正解の場合はその後にわざと不正解の操作をして、食材を手に入れるのもいいだろうな)
シャドウは不正解の場合、手に入るものにも視野を向けていた。
「失敗しても良いとは言え、折角ですし正解を目指したいですね……!」
トーラは両手の拳をぎゅっと握り、強い意気込みを語ると1回での正解を目指す。
トーラやシャドウが口にしたように、今回の謎かけは不正解だった場合、再び挑戦できなくなるというようなペナルティはない。
不正解のときには残念賞として、食材や宝石の欠片が手に入るだけだ。
「迷宮の摩訶不思議ぶりは昔から見てきたつもりだが、よもや生き神様だな」
ナタリア・フィッツジェラルドは、この依頼を受けるにあたって説明を受けた内容を頭の中で反芻する。
「冒険者が命を落とすのは自業自得だが、欲に目が眩んで神への敬意を忘れた事への怒りとでも?」
少なくともナタリアが知る限り、エドゥノーグ迷宮の意識体が何かを要求してくたことは今までなかった。
「謎解きも学者たる私の知見が試される局面。持っている限りの甘味を布施としようじゃないか」
今回ナタリアはレーズンワインチョコレートにオランジェット(砂糖漬けのオレンジピールをコーティングしたチョコレート菓子)、パウンドケーキといった甘味を持参し、備えを万全にしている。
これだけ揃えれば、甘味を欲しがるエドゥノーグ迷宮(の意識体)も満足するはずだ。
ナタリアはトーラと共に左側の部屋へと向かい、それぞれの部屋で謎解きが始まる。
●右側
右の部屋にある謎かけは、5人いる容疑者(赤・青・黄、黒、白)の中から犯人を見つけ出すというものだ。
「赤の証言によれば、犯人は赤でも黄でもないですよね」
まずラティアは5人がそれぞれ証言した内容から、犯人を絞り込んでいく。
青の証言では、犯人は青でも赤でもない。
黄の話では、犯人は赤か黒。
黒の言い分では、犯人は黄か白。
白の供述では、犯人は青か黒。
「これらを踏まえて考えると、赤が犯人とすると――」
ラティアは5人がそれぞれ犯人であった場合、残る4人の証言に対する真偽を当てはめていく。
「俺の推理はこうだ」
シャドウは謎かけに書かれていた「犯人は嘘をつく」という文言に着目していた。
「犯人は嘘をつくから、他人を犯人ではないと言う赤と青は犯人ではない」
まずシャドウは赤と青を犯人から除外し、残る3人の証言も嘘をついているか否かで考えてみる。
「犯人は嘘をつくので、犯人に赤と青を指定している黄白が嘘つきである」
シャドウが黄と白を嘘つきだと推理し、最後に黄の証言から犯人を絞り込む。
「黄も白も黒が犯人だと言っているので犯人は白である」
シャドウがそう語ると、ラティアも犯人に辿り着く。
「白が犯人とすると、5人の証言がそれぞれ真真偽真偽となり、嘘つきが2人という条件が成立します」
――嘘をついたのは白と黄の2人で、犯人は白です。
ラティアやシャドウの出した答えに、ヴィルヘルミナも賛意を示す。
「私も白が犯人で黄が嘘つきだと思います」
ヴィルヘルミナも同じ見解に至ったようだ。
そしてシャドウやラティア、ヴィルヘルミナは手分けしてタイルを押し込んでいく。
「犯人ではない嘘つきは黄。犯人は白。正直者は赤と青と黒。これに基づいてタイルを押すとしよう」
シャドウの言葉にラティアも頷きを返す。
「白を3つ、黄を2つ、赤青黒を1つ押せばいいはずです……よね?」
――間違ってないですよね……?
内心不安に思いながらも、ラティアはシャドウ、ヴィルヘルミナと共に、タイルを押していく。
そして3人が部屋中央にある台座へと向かい、突起を押し込むと、部屋の奥へと通じる道が出現した。
「無事正解できましたので、後は不正解の周回をして食材集めのお手伝いをします……」
ラティアはカカオの回収をヴィルヘルミナやシャドウに託すと、再びタイルの張られた壁に向かう。
ラティアは不正解の時に入手できる食材集めを行うつもりだったが、シャドウも食材集めに加わる。
最初の操作で鮭の切り身と牛肉の固まりを入手できたラティアとシャドウは、他の食材も手に入れるため不正解を重ねていく。
「では私の方で回収作業を行います」
ヴィルヘルミナは食材集めをラティアとシャドウに任せると、自身は借りてきた道具を駆使してカカオの回収作業を進めていった。
●左側
トーラとナタリアが挑む謎かけは、3つの数字を当てるという内容だ。
部屋の前に書かれた謎かけは、以下の通り。
――KKK+QQQ+JJJ=KQQJ。
これに当てはまるK、Q、Jの各数字は?
「未来に生きているが活きる局面か……」
ナタリアは自身のスキルから何かを導き出そうとする。
(Kの部分が、そこはかとなく1に見えるとか?)
確証はないものの、ナタリアはKの数字を1と仮定して、トーラと話を進める。
「Kは1と仮定した場合は、111+QQQ+JJJ=1QQJですね」
トーラもナタリアの仮定をもとに、QとJに当てはまる数字を考え始める。
「うーん、これだけだと難しいですけど、他にヒントも無いので考えてゆきましょう」
トーラは合計した時、桁が変わることに注目する。
「3つを足すと3桁から4桁の数字になるので、1とQとJの合計は10以上という事になりますよね……?」
そう分析したトーラは、次にJの数字を当てはめていく。
「更に、1の位はJになるので、1とQの合計は1の位が0になる数字……つまり10です。ということはQに当てはまる数字は9ですね!」
Qの数字を9と定めたトーラは、壁に張られたパネルを集めていく。
「ここまで来ればJに適当な数字を入れていっても良さそうです」
トーラは1、9、そして0と書かれたパネルを壁より取り外し、台座へと向かう。
「とりあえず0を入れてみたら……?」
そう言いながらトーラはパネルを差し込み、突起を押す。
「あっ?」
次の瞬間、トーラの姿が部屋の入口へと転移した。
――その手に赤い宝石の欠片を握り締めて。
「うう……1の位のJは何の数字を入れてもJの数字になりますけど、10と100の桁をQの数字である9にしないといけないんですよね」
元の位置へと戻りながら、不正解の原因を突き止めたトーラは宝石の欠片を仕舞い、計算を再開する。
「不正解でも、それなりに褒章を出す……気前がいいのか面倒臭いのか分からん神様だな」
一連の流れを見ていたナタリアは、複雑な表情のまま自身も数字のパネルを壁から拾い上げ、台座へ持ち込み操作する。
なお今回ナタリアは宝石の欠片を手に入れるため、あえて不正解の数字を選んでいる。
そして突起を押したナタリアの姿がその場から消え、次の瞬間部屋の入口へと転移する。
「有難いけど、今エドゥノーグで求められているブツはコレジャナイというか」
ナタリアは入手した青い宝石の欠片を仕舞い込むと、今度は正解と思しき数字を壁より拾っていく。
「これが正解のはずだ」
そう呟いたナタリアが台座へ行こうとすると、トーラは少しの間だけ台座に近づかないよう頼み込む。
「すみません、もう少し考えれば解けそうなので待って貰えますか?」
トーラの要請に応じたナタリアが足を止めると、トーラは壁へと駆け寄り3つの数字を取り外していく。
「ここへ向かいながら計算して来ました。Jを8にすれば、111+999+888=1998になります!」
トーラがKの下に1を差し込むと、QとJの下にもそれぞれ9と8を差し込んでいく。
「そうだね。私と同じ答えだ」
ナタリアもトーラの答えが正解だと告げる中、トーラの操作によって部屋の奥にあった壁の一部が消え、さらに奥――宝石を入手できる部屋への通路が姿を見せる。
「余裕があれば右側の部屋で謎解きに参加したいところです」
トーラはナタリアと共に貸与された道具を使い、宝石の回収を進めながらも、もう片方の部屋にある謎解きへの意欲を見せていた。
●食事とアクセサリ作り
やがて左右の部屋に分かれていた冒険者達が合流し、お互いの結果を話し合う。
「やはり左側の部屋での正解は、Kが1、Qは9、Jは8でしたか」
答え合わせをしていたヴィルヘルミナは、自身の答えが正解だったと知る。
トーラは右側の部屋に向かい、自身も操作を始めていた。
「犯人は黒。嘘つきは黒と白の組み合わせで入力してみます」
そしてトーラがタイルを押して台座の突起を押すと、トーラの姿は入口へと戻され、その前にはロブスターが置かれていた。
トーラに続き、他の冒険者達もそれぞれの部屋で不正解を積み重ね、食材や宝石の欠片を全種類揃えることができた。
既にカカオや宝石の回収も終えていた冒険者達は、ダンジョンを後にすると、ダンジョン外に設けられた臨時調理場へと向かう。
既に調理場では依頼人の手配した料理人たちが準備を終えており、到着した冒険者達より食材を受け取ると、それぞれ調理を始める。
「僭越ながら不正解品の有効活用に名乗りを上げたい」
ここでナタリアが自身も調理に参加する旨を伝え、料理人達より承諾を得て食材の調理に取り掛かる。
「肉が多めだが、どうせなら麺類も欲しいところだな」
――折角だ、ナタリアン・スパゲティをこしらえようじゃないか。
ナタリアは料理人たちの持ち込んだ食材も活用し、調理スキルを駆使して料理へと仕上げていく。
やがて冒険者達の前に、湯気を上げる皿の大群が運ばれ、どの料理からも素晴らしい香りが立ち込め、冒険者達の嗅覚と食欲を刺激する。
そして食事が始まると、皿の上はぞれぞれのフォークが飛び交い、冒険者達の口へと料理が運ばれていく。
「……せっかくの機会なので、いろんなものを、たくさん食べたいとは思うんですが……」
今ラティアが食しているのは鮭の切り身で作られたムニエル。
ムニエルはまだ熱を持ち、塩みと香辛料の辛みも程よい加減で、熱さと鮭の旨味とちょうどよく混じり合った。
「……あとで、ダイエットしなくちゃ……」
ラティアの手は止まらず、その舌はより多くの美味を欲していた。
「これは美味だな。味がはっきりしている」
シャドウは自分達が回収した食材で作られた料理を堪能していく。
(俺はこの料理から舌鼓を打つぞ)
今シャドウが食しているのは、程よい厚みでカットされたステーキ。
噛めば予想以上の軟らかさで、甘い肉汁とソースの旨味がシャドウの口内にほどける。
クセも脂っぽさもない素直な肉の味を、シャドウは楽しんでいる。
「入力作業は終わりましたので、私も食事を楽しむことにします」
それはヴィルヘルミナも同じようで、まず鶏肉の串焼きを手に取り、食す。
塩と香辛料で整えられた風味がヴィルヘルミナの舌に広がり、噛むごとに旨味を含む肉汁が肉よりあふれてきた。
ヴィルヘルミナがさらに咀嚼すれば、口の中で味は程よくまとまっていく。
目の前にある料理を平らげたシャドウとヴィルヘルミナは、次の料理へとフォークを伸ばす。
そしてトーラは茹でたロブスターを手に取り、殻を剥いで中身を取り出す。
むき身となったロブスターはまだほんのり温かく、薄い湯気が立ち上っている。
トーラが口に運び、長く咀嚼して飲み込めば、ふわりと残る味がトーラの舌を楽しませる。
「汁気は逃げていません。塩気も強くないですね」
自身が入手したロブスターで作られた料理を、トーラはしっかりと味わう。
そしてナタリアは自身が作成したナタリアン・スパゲティ(命名ナタリア)を仲間や料理人達にふるまった後、自分も食していく。
ナタリアがフォークを回すごとに麺が巻きつき、具やソースと絡めて口に運べば、程よい歯ごたえと共に滋味が舌へと広がり、喉を通過する。
出された料理を一通り味わい、全員が満足したところで、ナタリアとヴィルヘルミナはアクセサリ作りにも手を付ける。
「ちょっとしたアクセサリでも作りますか。宝石の加工や彫金、手細工なら多少はできますし」
ヴィルヘルミナが借りた道具や素材と共に、今しがた入手した宝石の欠片を用いてアクセサリ作りを始める。
ヴィルヘルミナの彫金スキルと手細工スキルがその効果を発揮し、宝石の欠片はその姿を変えていく。
「手に入れた宝石の欠片は、蝶や蜻蛉、妖精をあしらった飾り物の核にでも使うとしよう」
そしてナタリアもモチーフとなるものを決めると、借りた道具や素材をうまく使いながら、宝石の欠片をアクセサリへと加工し始めた。
●依頼は無事完了しました
そしてヴィルヘルミナとナタリアが、それぞれ満足のいく品を作成したところで、ダンジョン外で開催されていた食事会は終わりを迎える。
この頃には今回の依頼人も冒険者達のもとへ姿を見せ、カカオと宝石を入手してくれたことへの感謝を冒険者一人一人に伝えていく。
そして冒険者達からカカオや宝石が依頼人へと引き渡されたところで、依頼は完了扱いとなった。
アルヒ・ラスカスより完了扱いとなったことを聞かされた冒険者達は、そのまま帰路に就く。
エドゥノーグダンジョンのストライキがいつまで続くのかは不明だが、ここから先はカカオや宝石を受け取った依頼人が奮闘する番だ。
甘輝祭は皆様冒険者の協力によって、さらに盛り上がっていく。
カカオと宝石を回収する依頼を受けた冒険者達が、エドゥノーグ迷宮内のとある枝場に足を踏み入れる。
この枝場では通路を挟む形で2つの部屋が存在し、右側の部屋でカカオが手に入り、左側の部屋で宝石を入手できるという。
――あることを達成できるのであれば。
「謎かけですか、頭を捻るのは些か不得手ではあるのですが」
ヴィルヘルミナの言う通り、それぞれの部屋でカカオと宝石を回収するためには、部屋の前に書かれている謎かけを解く必要がある。
「まあ、違うなら違うでいいでしょう。その時は他の方がなんとかしてくれると思います」
間違えたとしても、謎かけのある部屋では食材や宝石の欠片がそれぞれ手に入る。
そのことを知っているヴィルヘルミナは、穏やかな心持ちで謎かけに挑むため、まず通路右側の部屋へ向かう。
「謎解きであれば危険はないので、腕っ節が散々な私でも、安心して仕事ができますね……」
ラティア・ミゼリアは危険のない依頼内容と知り、この依頼に参加した。
「危険のない仕事ばかりならいいのに……」
そんな願いを抱きつつも、ラティアはヴィルヘルミナと同じく右側の部屋へ足を運ぶ。
「俺は右側の部屋へ行く」
シャドウは部屋の前に書かれている謎かけの内容を見比べ、思案の後に右側の部屋を選ぶ。
(正解の場合はその後にわざと不正解の操作をして、食材を手に入れるのもいいだろうな)
シャドウは不正解の場合、手に入るものにも視野を向けていた。
「失敗しても良いとは言え、折角ですし正解を目指したいですね……!」
トーラは両手の拳をぎゅっと握り、強い意気込みを語ると1回での正解を目指す。
トーラやシャドウが口にしたように、今回の謎かけは不正解だった場合、再び挑戦できなくなるというようなペナルティはない。
不正解のときには残念賞として、食材や宝石の欠片が手に入るだけだ。
「迷宮の摩訶不思議ぶりは昔から見てきたつもりだが、よもや生き神様だな」
ナタリア・フィッツジェラルドは、この依頼を受けるにあたって説明を受けた内容を頭の中で反芻する。
「冒険者が命を落とすのは自業自得だが、欲に目が眩んで神への敬意を忘れた事への怒りとでも?」
少なくともナタリアが知る限り、エドゥノーグ迷宮の意識体が何かを要求してくたことは今までなかった。
「謎解きも学者たる私の知見が試される局面。持っている限りの甘味を布施としようじゃないか」
今回ナタリアはレーズンワインチョコレートにオランジェット(砂糖漬けのオレンジピールをコーティングしたチョコレート菓子)、パウンドケーキといった甘味を持参し、備えを万全にしている。
これだけ揃えれば、甘味を欲しがるエドゥノーグ迷宮(の意識体)も満足するはずだ。
ナタリアはトーラと共に左側の部屋へと向かい、それぞれの部屋で謎解きが始まる。
●右側
右の部屋にある謎かけは、5人いる容疑者(赤・青・黄、黒、白)の中から犯人を見つけ出すというものだ。
「赤の証言によれば、犯人は赤でも黄でもないですよね」
まずラティアは5人がそれぞれ証言した内容から、犯人を絞り込んでいく。
青の証言では、犯人は青でも赤でもない。
黄の話では、犯人は赤か黒。
黒の言い分では、犯人は黄か白。
白の供述では、犯人は青か黒。
「これらを踏まえて考えると、赤が犯人とすると――」
ラティアは5人がそれぞれ犯人であった場合、残る4人の証言に対する真偽を当てはめていく。
「俺の推理はこうだ」
シャドウは謎かけに書かれていた「犯人は嘘をつく」という文言に着目していた。
「犯人は嘘をつくから、他人を犯人ではないと言う赤と青は犯人ではない」
まずシャドウは赤と青を犯人から除外し、残る3人の証言も嘘をついているか否かで考えてみる。
「犯人は嘘をつくので、犯人に赤と青を指定している黄白が嘘つきである」
シャドウが黄と白を嘘つきだと推理し、最後に黄の証言から犯人を絞り込む。
「黄も白も黒が犯人だと言っているので犯人は白である」
シャドウがそう語ると、ラティアも犯人に辿り着く。
「白が犯人とすると、5人の証言がそれぞれ真真偽真偽となり、嘘つきが2人という条件が成立します」
――嘘をついたのは白と黄の2人で、犯人は白です。
ラティアやシャドウの出した答えに、ヴィルヘルミナも賛意を示す。
「私も白が犯人で黄が嘘つきだと思います」
ヴィルヘルミナも同じ見解に至ったようだ。
そしてシャドウやラティア、ヴィルヘルミナは手分けしてタイルを押し込んでいく。
「犯人ではない嘘つきは黄。犯人は白。正直者は赤と青と黒。これに基づいてタイルを押すとしよう」
シャドウの言葉にラティアも頷きを返す。
「白を3つ、黄を2つ、赤青黒を1つ押せばいいはずです……よね?」
――間違ってないですよね……?
内心不安に思いながらも、ラティアはシャドウ、ヴィルヘルミナと共に、タイルを押していく。
そして3人が部屋中央にある台座へと向かい、突起を押し込むと、部屋の奥へと通じる道が出現した。
「無事正解できましたので、後は不正解の周回をして食材集めのお手伝いをします……」
ラティアはカカオの回収をヴィルヘルミナやシャドウに託すと、再びタイルの張られた壁に向かう。
ラティアは不正解の時に入手できる食材集めを行うつもりだったが、シャドウも食材集めに加わる。
最初の操作で鮭の切り身と牛肉の固まりを入手できたラティアとシャドウは、他の食材も手に入れるため不正解を重ねていく。
「では私の方で回収作業を行います」
ヴィルヘルミナは食材集めをラティアとシャドウに任せると、自身は借りてきた道具を駆使してカカオの回収作業を進めていった。
●左側
トーラとナタリアが挑む謎かけは、3つの数字を当てるという内容だ。
部屋の前に書かれた謎かけは、以下の通り。
――KKK+QQQ+JJJ=KQQJ。
これに当てはまるK、Q、Jの各数字は?
「未来に生きているが活きる局面か……」
ナタリアは自身のスキルから何かを導き出そうとする。
(Kの部分が、そこはかとなく1に見えるとか?)
確証はないものの、ナタリアはKの数字を1と仮定して、トーラと話を進める。
「Kは1と仮定した場合は、111+QQQ+JJJ=1QQJですね」
トーラもナタリアの仮定をもとに、QとJに当てはまる数字を考え始める。
「うーん、これだけだと難しいですけど、他にヒントも無いので考えてゆきましょう」
トーラは合計した時、桁が変わることに注目する。
「3つを足すと3桁から4桁の数字になるので、1とQとJの合計は10以上という事になりますよね……?」
そう分析したトーラは、次にJの数字を当てはめていく。
「更に、1の位はJになるので、1とQの合計は1の位が0になる数字……つまり10です。ということはQに当てはまる数字は9ですね!」
Qの数字を9と定めたトーラは、壁に張られたパネルを集めていく。
「ここまで来ればJに適当な数字を入れていっても良さそうです」
トーラは1、9、そして0と書かれたパネルを壁より取り外し、台座へと向かう。
「とりあえず0を入れてみたら……?」
そう言いながらトーラはパネルを差し込み、突起を押す。
「あっ?」
次の瞬間、トーラの姿が部屋の入口へと転移した。
――その手に赤い宝石の欠片を握り締めて。
「うう……1の位のJは何の数字を入れてもJの数字になりますけど、10と100の桁をQの数字である9にしないといけないんですよね」
元の位置へと戻りながら、不正解の原因を突き止めたトーラは宝石の欠片を仕舞い、計算を再開する。
「不正解でも、それなりに褒章を出す……気前がいいのか面倒臭いのか分からん神様だな」
一連の流れを見ていたナタリアは、複雑な表情のまま自身も数字のパネルを壁から拾い上げ、台座へ持ち込み操作する。
なお今回ナタリアは宝石の欠片を手に入れるため、あえて不正解の数字を選んでいる。
そして突起を押したナタリアの姿がその場から消え、次の瞬間部屋の入口へと転移する。
「有難いけど、今エドゥノーグで求められているブツはコレジャナイというか」
ナタリアは入手した青い宝石の欠片を仕舞い込むと、今度は正解と思しき数字を壁より拾っていく。
「これが正解のはずだ」
そう呟いたナタリアが台座へ行こうとすると、トーラは少しの間だけ台座に近づかないよう頼み込む。
「すみません、もう少し考えれば解けそうなので待って貰えますか?」
トーラの要請に応じたナタリアが足を止めると、トーラは壁へと駆け寄り3つの数字を取り外していく。
「ここへ向かいながら計算して来ました。Jを8にすれば、111+999+888=1998になります!」
トーラがKの下に1を差し込むと、QとJの下にもそれぞれ9と8を差し込んでいく。
「そうだね。私と同じ答えだ」
ナタリアもトーラの答えが正解だと告げる中、トーラの操作によって部屋の奥にあった壁の一部が消え、さらに奥――宝石を入手できる部屋への通路が姿を見せる。
「余裕があれば右側の部屋で謎解きに参加したいところです」
トーラはナタリアと共に貸与された道具を使い、宝石の回収を進めながらも、もう片方の部屋にある謎解きへの意欲を見せていた。
●食事とアクセサリ作り
やがて左右の部屋に分かれていた冒険者達が合流し、お互いの結果を話し合う。
「やはり左側の部屋での正解は、Kが1、Qは9、Jは8でしたか」
答え合わせをしていたヴィルヘルミナは、自身の答えが正解だったと知る。
トーラは右側の部屋に向かい、自身も操作を始めていた。
「犯人は黒。嘘つきは黒と白の組み合わせで入力してみます」
そしてトーラがタイルを押して台座の突起を押すと、トーラの姿は入口へと戻され、その前にはロブスターが置かれていた。
トーラに続き、他の冒険者達もそれぞれの部屋で不正解を積み重ね、食材や宝石の欠片を全種類揃えることができた。
既にカカオや宝石の回収も終えていた冒険者達は、ダンジョンを後にすると、ダンジョン外に設けられた臨時調理場へと向かう。
既に調理場では依頼人の手配した料理人たちが準備を終えており、到着した冒険者達より食材を受け取ると、それぞれ調理を始める。
「僭越ながら不正解品の有効活用に名乗りを上げたい」
ここでナタリアが自身も調理に参加する旨を伝え、料理人達より承諾を得て食材の調理に取り掛かる。
「肉が多めだが、どうせなら麺類も欲しいところだな」
――折角だ、ナタリアン・スパゲティをこしらえようじゃないか。
ナタリアは料理人たちの持ち込んだ食材も活用し、調理スキルを駆使して料理へと仕上げていく。
やがて冒険者達の前に、湯気を上げる皿の大群が運ばれ、どの料理からも素晴らしい香りが立ち込め、冒険者達の嗅覚と食欲を刺激する。
そして食事が始まると、皿の上はぞれぞれのフォークが飛び交い、冒険者達の口へと料理が運ばれていく。
「……せっかくの機会なので、いろんなものを、たくさん食べたいとは思うんですが……」
今ラティアが食しているのは鮭の切り身で作られたムニエル。
ムニエルはまだ熱を持ち、塩みと香辛料の辛みも程よい加減で、熱さと鮭の旨味とちょうどよく混じり合った。
「……あとで、ダイエットしなくちゃ……」
ラティアの手は止まらず、その舌はより多くの美味を欲していた。
「これは美味だな。味がはっきりしている」
シャドウは自分達が回収した食材で作られた料理を堪能していく。
(俺はこの料理から舌鼓を打つぞ)
今シャドウが食しているのは、程よい厚みでカットされたステーキ。
噛めば予想以上の軟らかさで、甘い肉汁とソースの旨味がシャドウの口内にほどける。
クセも脂っぽさもない素直な肉の味を、シャドウは楽しんでいる。
「入力作業は終わりましたので、私も食事を楽しむことにします」
それはヴィルヘルミナも同じようで、まず鶏肉の串焼きを手に取り、食す。
塩と香辛料で整えられた風味がヴィルヘルミナの舌に広がり、噛むごとに旨味を含む肉汁が肉よりあふれてきた。
ヴィルヘルミナがさらに咀嚼すれば、口の中で味は程よくまとまっていく。
目の前にある料理を平らげたシャドウとヴィルヘルミナは、次の料理へとフォークを伸ばす。
そしてトーラは茹でたロブスターを手に取り、殻を剥いで中身を取り出す。
むき身となったロブスターはまだほんのり温かく、薄い湯気が立ち上っている。
トーラが口に運び、長く咀嚼して飲み込めば、ふわりと残る味がトーラの舌を楽しませる。
「汁気は逃げていません。塩気も強くないですね」
自身が入手したロブスターで作られた料理を、トーラはしっかりと味わう。
そしてナタリアは自身が作成したナタリアン・スパゲティ(命名ナタリア)を仲間や料理人達にふるまった後、自分も食していく。
ナタリアがフォークを回すごとに麺が巻きつき、具やソースと絡めて口に運べば、程よい歯ごたえと共に滋味が舌へと広がり、喉を通過する。
出された料理を一通り味わい、全員が満足したところで、ナタリアとヴィルヘルミナはアクセサリ作りにも手を付ける。
「ちょっとしたアクセサリでも作りますか。宝石の加工や彫金、手細工なら多少はできますし」
ヴィルヘルミナが借りた道具や素材と共に、今しがた入手した宝石の欠片を用いてアクセサリ作りを始める。
ヴィルヘルミナの彫金スキルと手細工スキルがその効果を発揮し、宝石の欠片はその姿を変えていく。
「手に入れた宝石の欠片は、蝶や蜻蛉、妖精をあしらった飾り物の核にでも使うとしよう」
そしてナタリアもモチーフとなるものを決めると、借りた道具や素材をうまく使いながら、宝石の欠片をアクセサリへと加工し始めた。
●依頼は無事完了しました
そしてヴィルヘルミナとナタリアが、それぞれ満足のいく品を作成したところで、ダンジョン外で開催されていた食事会は終わりを迎える。
この頃には今回の依頼人も冒険者達のもとへ姿を見せ、カカオと宝石を入手してくれたことへの感謝を冒険者一人一人に伝えていく。
そして冒険者達からカカオや宝石が依頼人へと引き渡されたところで、依頼は完了扱いとなった。
アルヒ・ラスカスより完了扱いとなったことを聞かされた冒険者達は、そのまま帰路に就く。
エドゥノーグダンジョンのストライキがいつまで続くのかは不明だが、ここから先はカカオや宝石を受け取った依頼人が奮闘する番だ。
甘輝祭は皆様冒険者の協力によって、さらに盛り上がっていく。
マスターコメント
今回は皆様全員が、それぞれの謎かけに対する正解にたどり着いていました。
正解をご承知の上で、あえて不正解を楽しまれる方もいらっしゃいましたので、特にデメリットもないことから出来る限り採用させて頂きました。
素材回収の後行われた食事会、宝石の欠片を用いたアクセサリ作りなど、思い思いの形で楽しまれていたので大成功と判定しました。
今回はご参加くださりありがとうございました。
また機会がございましたらよろしくお願いいたします。
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜6人
2023年02月20日 10時38分47秒 公開
大成功
相談掲示板
今回に関してはあまり関係ありませんが、シューター、ラティア・ミゼリアです……よろしくお願いします…… ……予行練習よし、これで誰か来ても大丈夫……!
(声をかけた方が良いのかな?) (とりあえず謎解きに向かう)
ヴィルヘルミナです。よろしくお願いします。 あと一人ですか。外れてもいいみたいなので気楽ですね。
(ボケッと突っ立って見ている) シャドウだ。よろしく。 謎解きはサッパリなので料理食って見ていることになると思う。
ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 右か左かでいいというなら、謎かけは左の数字に関わるやつに挑むつもりだ。
冒険者ギルド支部職員、アルヒ・ラスカスだ。 今回は参加してくれてありがとう。 現地ではよろしく頼む。
一応、左右両方解けた……はず、たぶん……なのでひとまず、ナタリアさんが左から行かれるのでしたら、私は右から行ってきますね……