【甘壇】ねこがなでたい

白葉うづき

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シナリオID:2773

オープニング

●迷宮エドゥノーグの気まぐれ
 一昨年にはカカオ、昨年には宝石を数多く輩出した迷宮エドゥノーグ。迷宮に潜れば、それらは当たり前に採取できるものとなっていた。
 けれど今年は、ぱったりとそれが止まる。
 潜っても潜っても、迷宮産のカカオも宝石も採れることが無くなった。本当に突然だ。そもそも迷宮の気まぐれだったと言われればそれまでだが、他の素材は採取できることから、カカオと宝石だけがその対象となるのも不思議に思えた。エドゥノーグの人々が首を捻っているうちに、迷宮はまた姿を変えていく。新たな枝場の発見があり、そこからカカオと宝石が採れるようになったのだが――

●ねこ(なんでもいい)
「新しく見つかった枝場の奥に祭壇があるんだって。そこに文字が書かれてるんだ。『疲れた、甘味が欲しい』とか! これ誰が言ってるかーってしばらく話題になったんだけど、本当に祭壇に甘いものを備えるとカカオとか宝石たっくさんくれたんだよね。それで迷宮神からのお願いじゃないか! って結論になったんだ。だから『新しい枝場の祭壇にある色んなお願いを叶えてカカオと宝石を取ってきてほしい』ってエドゥノーグからすっごい量の依頼が出されたんだよー」

 そう説明しながら慣れたように迷宮を歩くヴィンツ・ラッテ。彼は冒険者ではなく、一目その祭壇が見たいと迷宮に潜っていたらしい。こんなに詳しいのは新しい素材や面白いことを探し回ってよくエドゥノーグに訪れるからだとか。
 冒険者たちは、エドゥノーグからギルドに出された依頼でここにいる。ちょうど行きあったヴィンツと迷宮の新しい枝場を進んでいると、その祭壇を見つけた。

「あ! これだね、迷宮神からのお題!」

 お題というと軽いものに聞こえるが、間違ってはいないだろう。楽しそうに近付くヴィンツの前に――突如人影が現れた。

 その長身の人物は、黒いローブを纏っていた。
 白地に金の装飾が成されたような荘厳な角や鱗を持ち、竜人(リザードマン)特有の切れ長の瞳が射貫くようにこちらを向いていた。
 語らずの智者エフレム、その姿だ。
 語らずの智者は緩慢な動作で皆を見回した後――口を開く。

「猫が撫でたい」

「ねこ?」
「そう。猫だ」
「それって動物の?」
「そう、あのふわふわとした生き物だ。迷宮にあんな生き物はいない。ぜひ撫でたい。色んな猫がいるとなお良い、さすれば望むものをやろう」

 冒険者たちが沈黙する代わりに、ヴィンツがどんどんと話を前に進めていく。今はその好奇心(空気をあえて読まない心)がありがたかった。彼はその姿がどんな意味を持つのか知らないだけかもしれない。

「んー、でもここまで猫連れてくるのもなあ。ふわふわならいいの? 猫っぽいのは?」
「ふわふわもいいし猫っぽいのもまあ許そう。猫を感じたいのだ」
「あ! それならこれはどうかな!」

 何を思ったのか、ヴィンツはエフレム(?)の側に寄ってじっと見つめる。
 それから、頭を摺り寄せた。

「にゃーん!」
「おお、猫……」

 それでいいらしい(なんてこった)。
 鋭い瞳が柔らかく細まっている。

「この人たぶん、迷宮神だよ。エドゥノーグ。誰かの姿を借りて色んな要求してくるっていう話もあったんだ。要求を満たせば依頼品をくれるって」
「猫は喋るのか?」
「にゃんにゃーん!」

 恐ろしいことにそれで話が通っている。ヴィンツを撫でながら、次は? みたいな顔で迷宮神(エフレムのすがた)が見てきていた。
 これは、仕事だ。
 一部の冒険者は覚悟を決めたとか、決めなかったとか。

解説

●目標  迷宮神エドゥノーグに満足してもらう ●エフレム(偽)  エドゥノーグに新しく出来た枝場の祭壇に突如現れた、エフレムの姿をした偽物。正体は、迷宮神エドゥノーグ神が姿だけ借りて喋っているのに過ぎない意識体。  猫が撫でたいらしい。本物でも冒険者でも何でも。猫みたいなふわふわで温かいものを撫でたり、猫っぽい姿を見られれば満足。 ●ねこ ・猫になる ・他の動物になる ・どうにかしてこの窮地を脱する  猫(動物)を連れ込むのは迷宮が危ないのでだめです。 ●NPC(絡みがなければ登場しません)  ヴィンツ・ラッテ   授恵者でダンジョン好き。一部の人に地獄みたいな状況を作り出した張本人。猫になることに慣れている。

マスターより

お世話になっております。白葉うづきです。白葉初のコメディです。 たいへんなことになりましたね。 迷宮神エドゥノーグが満足すれば、カカオや宝石といった依頼の品を授けてくれるようです。 頑張りましょう! 何かご質問・雑談があればヴィンツが掲示板にてお答えしますが、 にゃんにゃんしか言わない可能性もあります。 ご縁がありましたらよろしくお願いいたします。 皆さんのアニエピカライフが素敵なものになりますように!

リプレイ

 迷宮神のお願いを知った冒険者たちの反応は種々だった。
「ねこさん、可愛らしいですものね……!」
「猫は可愛い。異論は認めない」
 ゲルダ・クライン、レピド・クロサイトは猫の可愛さに頷き合い、
「ふわふわもふもふ好きなのは理解するが、冒険者の猫真似で満足出来るものだろうか」
 ナハティガル=ラーは至極もっともな思考で迷宮神に対する謎を深め、
「婚約者殿不在、ヨシ!」
 指差し確認で同行者をチェックするローザリカ・L・ディオール、
「…………」
「なっちまえばいいじゃん。猫に」
 依頼であるから仕方ないと必死に自分を納得させるカイン・ステラの肩を、既に答えを出したシャドウがぽんと叩いていた。
「その前に、お話が」
 すっと迷宮神の前に出たスィーリーンは、真剣な光を瞳に宿す。
「何だろうか」
「何故、『語らずの智者』エフレム様のお姿を借りていらっしゃるのですか」
 静かに語り出したスィーリーンの気迫が増していく。
「何故! よりによって! 神々しいエフレム様のお姿を! 真似たのですか!!」
 スィーリーンの目がカッと見開いた。
「いえ、神である以上神にも近い存在であるエフレム様のお姿をお選びになるのはわからなくも(略)けれど何故エフレム様の神々しいお姿をご存知なのでしょうか!」
 神を相手にしてもぐいぐい詰め寄るスィーリーンは止まらない。そう、彼女はエフレムを信奉に近い形で尊敬していた(厄介な強火エフレム担)。
「この姿はエフレムという者なのか、なるほど」
「もしや知らずに?」
 鋭い眼光が向けられる中、迷宮神は説明してくれた。いわく、この姿を選んだのは偶然、訪れる探索者が話題にしたり思い浮かべた姿を適当に作ったらしい。その辺りを不思議がっていたナハティガルも納得した。
「願いを聞き入れてもらいやすそうな姿を選んだのはあるかも」
「そ、そんなことにエフレム様を!」
「そういえば見覚えのある姿だな、かなり昔だが」
「昔……は! もしかして修行時代にここを!?」
 激昂しかかったスィーリーン(強火エフレム担)だが、新たなエフレム情報に沈静した。
「疑問は氷解したようだ。ならば俺たちがやることはただひとつ、だな」
「そのようだ。まさかこれが役立つとは思っていなかったが……」
 愛猫であるショウガとお揃いを誂えた時は、まさか仕事に役立つとは思わなかった。人生はわからないものだ、と猫の着ぐるみ(赤い首輪付きのキジトラ模様の猫)に身を包んだレピドはふっと笑う。シャドウとレピドが揃って迷宮神に向かい合い――
「にゃぁ、にゃう」
「くるるぅ……ゴロゴロ(愛猫の鳴き真似は声帯模写で完璧)」
 ごろごと転がり始めた。床に背中を擦りつけたり、猫パンチを繰り出したり、二人でじゃれあったり。途中でヴィンツ・ラッテも乱入してきて、なかなかにカオスな絵面となる。
「おお……猫……」
「どうやら満足している……ようだな」
「わたしたちも頑張りましょう!」
 ナハティガルとゲルダも猫耳のカチューシャを頭にかぶる。
 ――依頼を受けた後、甘いもの以外にもふわふわで可愛いらしいもののお供えをしたら喜ばれるのでは、題して『エドゥノーグ様をたくさんのぬいぐるみさんで囲んでふわふわのぬくぬくにしてしまおう大作戦!』がゲルダから提案されていた。その際、次々にけも耳カチューシャを装備する仲間たちを見習い(?)、ナハティガルも装着している。
「にゃにゃ~」
 ゲルダは可愛らしい猫の姿を思い浮かべながら、一生懸命それっぽく振る舞った。猫の手で顔を洗ってみたり猫パンチをしてみたりしていると、エフレム(偽物)が隣にしゃがみ込む。
「猫……おお、よしよし、!」
(あ、つい!)
 猫の真似をするのはいいけれど、撫でられるのは抵抗がある(年頃の乙女なのだ!)。咄嗟に持ち込んだぬいぐるみをガードにしてしまった。気分を害していないか恐る恐る見ると。
「なるほど、これが気まぐれ……!」
「に、にゃあ」
 頷き、納得してぬいぐるみを撫でて去っていってしまった。堪能しているらしい。
「にゃん、にゃうぅ(ニャドウ)」
「にゃ、にゃ(ニャハティガル)」
 シャドウと戯れるナハティガルは堂々たるものだった。完璧に仕事と割り切り、猫になるというオーダーに応えている。
 その一方。
(これは仕事、仕事なんだ)
 だから恥ずかしくない、と言い聞かせてもなかなか行動に移せないカイン。猫耳カチューシャは着けた。偶然持っていた尻尾(道具屋のおばちゃんの希望で作っていた試作品)もをベルトに装着し、首輪代わりのバンダナを巻いた。
 今の俺は猫、猫と言い聞かせながら僅かに出た鳴き声は。
「……にゃ」
(違うだろ俺! 猫ならばにゃんと言うものだろ!!)
 ――カインも立派な猫好きだった。ウチの猫(シア)最高尊い。だがその良さを知っているだけに、自分の中途半端さが許せなかった。猫だけじゃない、大鼬、栗鼠、狼(もふもふ)の良さだって知っている。
(けど、こんだけ俺がやる必要はあるのか?)
 もふもふ最高なのはわかるが、なら短毛種でごつごつな自分はそこに当てはまらなくないか? 俺でも本当に問題ねぇ? それはねぇよな?
 頭の中で自問自答を繰り返しながら、ひたすら猫っぽく振る舞う。迷宮神が手を伸ばせば大人しく撫でられ、「にゃん」と鳴いた。
「にゃう、ごろごろ……(ニャピド)」
「猫……」
 レピドはエフレム(迷宮神)の膝に乗り撫でられていた。エフレム自体に面識がないため戸惑いが無かったのもあるが。
(撫でられるのはこんなにも心地よいものなんだな……)
 幼い頃も含めそういった記憶のないレピドは、ことさらに気持ちよく感じる。瞳を細め、うとうととしていた。
(何で恥ずかしくないんだ……)
(恥ずかしい? 何が?)
 遠くから注がれていたカインの視線にはくぁ、と欠伸をすることで答える。記憶を頼りに完璧な猫になりきっていた。眠気に負けて瞳を閉じかけた瞬間――
「まだまだ、満足されるには早いですわよ!」
 部屋の入り口に、もう一人の冒険者が到着した。猫耳に尻尾まで備えているシルエットの持ち主――ネーヴェ・グラヌローザはにゃーん、と可愛らしく鳴く。その全身は白く、猫の毛並みのような柔らかい毛の服を纏い、顔も猫のような特殊なメイクを施した――本気の変装だ(キ○ッツも驚きのマジ猫メイク)。
(エドゥノーグ様も猫ちゃんがお好きなのは嬉しいですわ。道具や衣装を借りたり準備に手間取りましたが、私も毎日見ている猫ちゃん。なりきるのは任せて下さいまし!)
 姿も心も気合い十分のネーヴェは早速猫たちの輪の中に飛び込む。
「にゃ、にゃっ(ニャーヴェ)」
「にゃ!? にゃ、……にゃん(ニャイン)」
 尻尾にじゃれつかれ、戸惑うように猫で対応するカイン。楽しそうに笑顔を浮かべながら気まぐれに、楽しげに部屋を歩き回り、迷宮神の膝に乗るレピドにちょっかいをかけたりナハティガル、ゲルダと猫パンチをしあったり。猫ガチ勢の愛くるしい猫の仕草は見惚れるほどだ。
「はは、仲良くするのだぞ」
 迷宮神も気に入ったようでもうにっこにこだった(にこにこエフレム)。
 ――その傍ら、一人自身を高める猫がいた。
(何だ、この感覚は……)
 猫に、猫にと振る舞ってきたシャドウはある一つの境地に達しようとしていた。この感覚を逃すまいと、シャドウはイマジネーションをひたすら高め続ける。
 その結果、背後にひとつの像がぼんやり浮かび上がった(ように感じた)。
 さらに高める。
 シャドウは手応えを得ていた。今、自分の背後には確実に猫の姿がある(イメージです)!
「にゃ、にゃにゃ!?(猫が乗り移ってるのか……!?)」
「にゃにゃにゃにゃーん!!(猫が背後に見える気がしますわッ!)」
 レピドとネーヴェが驚き、ただならぬ気配にカインが物陰に飛び込むよう隠れ、完全に猫を引き出した(気がする)シャドウが静かな迫力で迷宮神に迫った。
 いまやシャドウの気迫に皆が気圧されていた(そんな気がする)。どうしてこんなにも猫という存在になりきれたのかシャドウにも分からなかった。けれど今重要なのはそれが出来るという事実他ならないッ(すべてイメージでお送りしています)!
 若干戸惑う迷宮神が手を差し出す。
「にゃぅ……」
 顎を撫でられ、シャドウも背後に感じていた猫も満足した。
「にゃにゃ! にゃんにゃん!(何それ! キミ面白い!)」
 なおその後ヴィンツにものすごく興味を持たれ、らんらんと光る目に追いかけ回された。

「にゃん、にゃぁ」
「ん? これを被れというのか」
 ネーヴェがちょいちょいとつついて持ってきたそれを迷宮神が頭に装着する。ふわふわ猫耳がエフレムの頭で揺れ、スィーリーンが目を輝かせた。彼女は先ほどからずっと迷宮神(エフレムの姿)を見つめている。
 装着したのを確かめ、ネーヴェがにこりと笑った。
「にゃ、これでエドゥノーグ様も猫ちゃんなのですにゃ。だから私たちの言うことも聞こえますのにゃ」
「な、なるほど!」
「そう、ここにいるのは皆様愛らしい猫ちゃんにゃのですから!」
「確かに!」
 そんなことはない、と他の冒険者から聞こえてきそうなネーヴェのとんでも理論に納得し、他の猫も喋らないかそわそわと見てくる。
「――迷宮神、様」
 ナハティガルが優雅な猫を模して近付き、流し目を送ってみせる。そのまま尻尾を纏わりつかせるかのごとく足元に擦り寄り、見上げた。
「カカオと宝石が沢山欲しい、にゃーん」
「いくらでもやろう!!」
 蠱惑的な雰囲気に手を伸ばしたが、そこは軽い身のこなしで避けてしまう。撫でたそうな迷宮神を見てナハティガルはまた妖しげに笑った。猫と言うよりは気高く美しい黒豹にも似ていた。
(こ、こ、こ、こ、これは!!!!)
 その一部始終をゲルダはガン見していた。釘付けになっていた自分に気付くとぶんぶん頭を振る。今は仕事中なのだ!
(ナハティガル様のにゃはとっても心臓に悪いです)
 本人はわかっているのだろうか、いやわかっていなくてもいいけれど不用意に聞こえてしまえば意識を持っていかれそうになり、必死に耐えるゲルダの姿があった。
「とてもよくお似合いです。にゃん」
 スィーリーンも猫耳カチューシャを被り、この期に乗じて話しかけた。
「迷宮神様も猫なので、猫らしくお振舞いください。にゃん」
 ――ひとつ断っておくが、こう提言したのは決して私欲のためではない。決して猫になるエフレム様を見たいとかそう言う気持ちではない。決して。
「そうか……ふむ、なるほど道理だ。――にゃん」
「ええ、お上手です! にゃん」
「さすが迷宮神様ですにゃ!」
「にゃん(なかなかやるな)」
「にゃご(ついてこい、教えてやる)」
「にゃ……にゃん(頑張ろうな)」
 レピドとシャドウ、カインもじゃれつき、ナハティガルとゲルダもにゃあにゃあと絡み、不慣れながらも迷宮神も猫として振る舞う。猫(概念)に囲まれながら試行錯誤しつつ猫になりきるエフレム(迷宮神)の姿がそこにあった。

「――可愛らしい猫たちを思う存分堪能してくれたね、迷宮神君」
 猫の戯れに声を掛けたのはローザリカだ。彼女の耳にもふわふわとした猫耳カチューシャが付いている。
(婚約者殿も居ない(さすがに恥ずかしいからね)、猫は僕も好きだから猫耳も悪くない)
 似合っているか自分で見られないのは惜しかったが、さておきそれが自然体であるという場は歓迎すべきものだった。
 何故ならローゼリカには、為すべきことがある。
「それに猫たちがこうして喋るのも悪くないだろう」
「うむ、気まぐれを経験できるのもいいが意思疎通が出来るのはいい、にゃ」
「なあ、迷宮神君。こうは思わないか? あんなにもふもふで、可愛らしいネコチャンが鳴いたり動いたりするんだ。なら――」
 ローザリカは巨大な塊を引っ張り出す。それは全長二メートルもある巨大なうさぎのぬいぐるみ(どうやって迷宮に持ってきたか? 気合いだ!)だった。
「この猫のように愛らしいもふもふのぬいぐるみ達が動かないのはむしろおかしいのでは? 動いてしかるべきなのでは??」
「そ、そうか?」
 ローザリカの熱弁は続く。その女王兎のごとくもふもふで愛らしい塊が動く素晴らしい光景、こういったぬいぐるみたちがもふもふ動き探索者を癒す休憩スポットがあれば、迷宮神を崇める者も増えるしさらなるもふもふ可愛らしいものを持ち込む人間も増える、と!
「ローザリカ様の意見に賛成ですにゃ」
「ぬいぐるみが動く休憩所が出来れば、確かに人も増えそうです……にゃ!」
「愛くるしい猫ちゃんを存分に愛でていただきましょう。にゃん」
 あれよあれよという間に、迷宮神が皆の持ち込んだぬいぐるみで埋まった。ねこ、ふわふわねこ、猫に溺れる姿にスィーリーンは何度も頷いている。
「おお……これはなかなか良い」
「だろう!? ぜひ、ぜひとも一考してくれ!」
「それはそうと」
 ふと迷宮神がローザリカを見る。
「にゃ、を言っていないぞ」
「えっ」
「にゃあ(言うよな?)」
「にゃああ(俺たちは猫だ)」
「にゃんにゃん(恥ずかしいのはわかる、頑張れ)」
 レピド、シャドウ、カインの応援(?)を受け、ローザリカは頬を染めながら視線を逸らし、呟く。
「お願いする、……にゃー」

「ありがとう、冒険者たち。非常に満足したぞ」
 冒険者、ぬいぐるみを撫でまわした迷宮神はぬいぐるみを抱きしめながら満足そうに笑顔を浮かべる。依頼品であるショコラと宝石は大量にもたらしてもらった。
「これを俺達の代わりに供物として置いて行きます、にゃーん。――もふもふが恋しくなったら、このぬいぐるみ達を撫でてくれ、にゃ?」
「うむ、受け取ろう」
「お気に召していただけたら、とっても嬉しいです」
 にこにこと抱きしめる迷宮神に、神も温もりが恋しくなることもあるのだろう、とナハティガルは思う。今回の願いも寂しさに起因しているかもしれない。未だに猫耳を付けるナハティガルをゲルダはちらちら見る。もう必要ないのだが指摘するべきか葛藤していた。
「俺たちがずっと供えられているわけにはいかにゃいからな。……そういえば、ヴィンツは猫になるの慣れていたにゃ」
 レピドも認めるほどの形態模写をこなしていたヴィンツも猫を飼っているかもしれない。そう軽く考えていたのだが。
「オレのパトロンさんにね、よく猫になれーって言われるんだ! それで!」
「お、おう」
 思ったよりディープめの話題だった。
「私からはこれも。どうぞ猫ちゃんのぬいぐるみたちと食べてくださいな」
 可愛らしい猫のアイシングクッキーをネーヴェは贈り。
「満足していただけたようで何よりです」
「忘れないでくれ、楽しみにしているよ」
 一番満足したかもしれないスィーリーン、ローザリカも挨拶をするその傍ら、カインはしゃがみ込んでいた。
「死ぬほど恥ずかしかった」
 耳を真っ赤にし崩れ落ちている。出来れば先程までの記憶を失くしたい。
「依頼はわかってるし仕方ねぇけどもう似合わねぇのわかってるんだよ俺も地味に年頃なんだよ」
 慰めるようシャドウやがぽんと背を叩いてくれて、やっと立ち上がる。帰ったら皆めっちゃモフろ。

 依頼を完遂した後日。レピドは仕事時に猫語や猫のような仕草がうっかり出たり、とある枝場に動くぬいぐるみが抱き付いてくる部屋が発見されたと報告が上がったそうな。

マスターコメント

お疲れ様でした! にゃんにゃんたくさん書けてにゃんにゃんでした。 MVPは迷宮神様を最後まで満足させる案を出していただいた方へ。 ご参加いただきありがとうございました!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2023年02月16日 13時30分32秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. レピド・クロサイト

    レピド・クロサイト、ねこだ。よろしく頼む。にゃー。

  2. ネーヴェ・グラヌローザ

    ネーヴェ・グラヌローザと申します。 猫を飼っておりまして、一度アーテルのように振る舞ってみたかったので参加致しました。(?) 宜しくお願い致しますにゃー。

  3. シャドウ

    ニャドウだ。よろしく。(「 ゚Д゚)「 ニャー

  4. ヴィンツ・ラッテ

    にゃあにゃあ、にゃんにゃにゃにゃー。 にゃんにゃーにゃんっにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃー! にゃーんっ!

  5. カイン・ステラ

    (耳まで顔真っ赤) にゃにゃ・にゃにゃにゃ、ぐるにゃーん。 にゃにゃっ。 … …… ……… (ぷるぷる)

  6. スィーリーン

    ……ええと、にゃん? スィーリーンと申します。よろしくお願いします。にゃ。

  7. ナハティガル=ラー

    ナハティガル=ニャーだ。――宜しく頼む、にゃ。

  8. ゲルダ・クライン

    にゃ~~♪ ゲルダです。よろしくお願いします。 えへへ、ねこさんのかわいらしさを表現できるようにがんばりますね! ひとつ提案なのですが、エドゥノーグ様にぬいぐるみをプレゼントしたら喜んでくださるかなと思いまして、 ええと、たくさんのぬいぐるみさんに囲まれたら、もふもふぬくぬくで可愛らしいかなって……! もしよければ、皆様でぬいぐるみを持ち寄って、エドゥノーグ様にプレゼントしませんか?

  9. レピド・クロサイト

    >ぬいぐるみ いいんじゃにゃいか? 俺達自身がずっと迷宮にお供えされるわけにもいかにゃいわけだし。

  10. シャドウ

    >ぬいぐるみプレゼント 了解した。 最後に置き土産的に渡す感じにしようと思うがそれで大丈夫だろうか?

  11. ローザリカ・D・ケレス

    くっ、皆もう猫になっているのか。 僕はどちらかというと撫でる側に回りたいくらいなんだが致し方ない。 ……努力は、する。……にゃ。 ぬいぐるみの贈り物は良いと思う。 僕も個人的に持ち込もうかとは思っていたから、あげられるものも何か考えよう。

  12. カイン・ステラ

    (無言で縫物をしている) にゃーん。 にゃにゃ。 (ぬいぐるみの材料も脇に置いた)

  13. ネーヴェ・グラヌローザ

    ぬいぐるみのプレゼント、とても宜しいと思いますにゃ。 私も持ち込んでお供え致しますにゃね。 ご一緒に、ご自身も猫ちゃんになりきれるよう、けも耳カチューシャ(猫)も贈るつもりですわ。 皆様の猫ちゃん、楽しみですわね。にゃーん。

  14. ゲルダ・クライン

    にゃにゃ~~。 みなさま、ありがとうございますっ ぬいぐるみさん、わたしのほうでも用意しておきますね! お渡しするのはどんなタイミングでも大丈夫だと思います! 最初にぬいぐるみアタックするのもよさそうですしっ そして、けも耳カチューシャの存在をネーヴェ様のお陰で思い出しました……っ ありがとうございます! ハーフビーストさんみたいに動物のお耳ではないわたしですが、これで安心ですね! にゃ~~。

  15. ナハティガル=ラー

    迷宮神への供物として、ぬいぐるみを持ち寄るのだな? 了解した、にゃ。 (ドンぐるみ(ドン・ゴーフルを象ったぬいぐるみ。オリジナルアイテム)が今は手元に無いのが残念だな……等と思いつつ)← けも耳カチューシャも装備して行くつもりだ、にゃん。

  16. スィーリーン

    けも耳カチューシャとぬいぐるみ、用意いたしました。にゃ。 喜んで頂けるといいですにゃん。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0