【鬼哭】喧嘩するなら外でやれ
岩岡志摩
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シナリオID:2591
オープニング
シルトラース帝国の中で、レイウェスト・バルダスらの支配地域である帝国南部鎮守都市ヴィント付近には、幾つかの移住ゴブリン達の村がある。
かつてヴィントを奪還したレイウェストらが直面したのは、帝国の領域を今後奪還していくには、各国へ避難した難民達の帰還も織り込んだとしてもなお、帝国民の生き残りは少なすぎるという現実だった。
そんなレイウェスト達に対し、ドン・ゴーフルはある取引をもちかける。
ゴーフルはゴブリン達がゴールディ以外の場所では人間扱いされない現状に思うところがあり、帝国に移住する権利と引き換えにゴブリン達が帝国復興を援助することを、レイウェストたちに提示した。
申し出を受けた帝国側だが、今の帝国への移住を希望する者がそう多くいないという実情もあり、ゴーフルの申し出を受け入れる。
その結果、ヴィント付近にゴブリン達が移住を始めた。
村は種族的な問題に配慮し、ゴブリンのみで構成されているところが多いが、人とゴブリンの混在する村もある。
住民はブラックデスの構成員か関係者で占められ、ドン・ゴーフルの指示のもと帝国民とは決して諍いにならぬよう、慎ましく生きていた。
――はずであった。
●あるゴブリン達の現在
――良き帝国臣民として信用されるよう行動せよ。
移住を推し進めるゴーフルの言いつけを、移住したゴブリン達はよく守っていた。
しかし最近になって、その言いつけを無視するゴブリン達も現れるようになる。
今も言いつけに忠実なゴブリン達とは考え方の違いから意見が対立し、小さなもめ事を重ねていく。
もともと荒くれ者が多かったのか、言いつけに忠実なゴブリンとの間で一触即発の状態になることも増えてきた。
このまま放置すれば諍いとなり、死人がでるのは確実だろう。
そんな不穏な空気が漂い始める中、いち早く動いたのは帝国の生き残りであり、近隣に配備された帝国兵の指揮官を兼ねる元帝国貴族だった。
元がつくのは彼の所領が未奪還地域にあるためだが、今の彼は帝国兵の一指揮官として職務に精励している。
「争いは小さなうちに鎮めるべきだ。死人が出てからでは遅すぎる」
配下である帝国兵より報告を聞いていた元貴族は、さらに情報を集めた上で、自分達が出来る範囲で対処を始め、冒険者ギルド支部にもある依頼を出していた。
●喧嘩だ!
ヴィントに程近い場所に存在するその村では、宿屋を兼ねた酒場が常ならぬ活気に沸いている。
ゴブリンとゴブリン以外の人間達が混在するこの村では、商機をかぎつけてやって来た商人たちや、復興作業に携わる人々がよく出入りしている。
この酒場では村で暮らす人々だけでなく、そういった人々にも酒や食事を提供している。
そんな宿屋兼酒場にある食事スペースに、皆様は集っていた。
皆様がここにいる理由は、ある依頼を受けたためだ。
依頼主である元貴族は、冒険者ギルド支部を介して皆様冒険者達に、このような依頼を出している。
――この村で発生すると思われる騒動を鎮圧してほしい。
――手段は問わないが、死傷者を出さないことが条件だ。
元貴族を含めた帝国兵の調査によれば、この村にいるのは全員一般人で授恵者はいないため、騒動が起きても冒険者達の手にかかれば容易に鎮圧できるようだ。
そこまで判明しているのならば、帝国兵だけでも対処ができそうだが、既にあちこちの村でゴブリン同士の喧嘩と思われる騒動が発生し、その対処や鎮圧に依頼主側も奔走しているため、冒険者達に助力を求めたというのが実情のようだ。
皆様に同伴し、この酒場で皆様と同じ席につく冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスは、一連の経緯を改めて説明した上で、注意点を告げる。
「死人が出ると事態が悪化する危険があるので、手加減はしてほしい」
殺傷力のある攻撃スキルではなく、身動きを封じるようなスキルを使った方がいいとアルヒは皆様に助言する。
すでに夜となり、皆様はこの酒場に付随する宿に部屋を取っている。
皆様にとってある意味幸運だったのは、この酒場が料理に力を入れていることだろうか。
この店でのお薦めは野牛の窯焼きロースト。
じっくりと肉の中に火を入れた肉は丁寧な処理のせいか、程よいところで噛み切れた。
野生らしい風味を薄くするためか、添えられたソースに込められた僅かな酸味と香辛料の香りが口内で混じり、肉を噛む度にしみ出す肉汁と混じり合い、うまみを舌に残していく。
アルヒや冒険者達は、出された料理をじっくりと味わっていく。
しかし冒険者達の楽しい時間も、複数の皿や酒瓶が割れる音、テーブルの倒れる音で台無しとなる。
音の方角へと視線を向けると、ゴブリン達が2つに割れて言い争いを始めている。
酒の酔いに任せてのことか、鬱屈した思いが爆発したのか不明だが、互いにギャーギャーと喚き、やがて手や足が出て殴り合いに発展する。
興奮したのか、ゴブリン達は周囲にある皿やジョッキを互いに投げつけ合い、酒瓶や椅子をぶつけ合う大きな音を店内に響かせる。
その様子を見た皆様は食事を中断すると、周辺にいる客達を外へ逃がすため、避難誘導を始める。
そこへ料理や酒を載せたテーブルが、避難誘導を続ける皆様のもとへ飛んできた。
とっさにアルヒや皆様が客達を庇い、テーブルや飲食物の群れを防ぎ止める。
客達を守ることはできたが、アルヒの頭に命中したスープ入りの深皿が滑り落ち、床で割れた。
「さて。これで介入の口実はできたな」
アルヒは残りの客達が全員店の外へ避難したことを確認すると、頭や顔の汚れを軽く拭い取る。
そのままアルヒは厨房へと避難した店の従業員達に向け、声をかける。
「これから鎮圧を始める。いいと言うまで避難を続けてほしい」
従業員達にそのまま避難を続けるよう伝えたアルヒは、皆様に告げる。
「鎮圧する際にゴブリン達が何か訴えてくるかもしれないが、耳を貸すか否かの判断は任せる」
既にアルヒは喧嘩の仲裁ではなく、問答無用で全員を無力化するつもりでいる。
「見たところ授恵者はいないようだ。手足や骨の数本が折れるくらいなら許容範囲だが、死者は出さないで欲しい」
依頼主側は「多少の怪我はやむなし」との判断を示しているが、禍根を残さないためには手加減する必要があると、アルヒは皆様へ注文を付ける。
「店への被害が拡大する前に、鎮圧するぞ」
そして皆様とアルヒは、争い合うゴブリン達のもとへ向かっていった。
解説
マスターより
リプレイ
その日ヴィルヘルミナは他の冒険者達と共に、同じ酒場内でのんびりと食事や酒を楽しんでいた。
しかし店内で突如発生した喧嘩を見て、ヴィルヘルミナは食事を中断する。
「乱闘騒ぎですか、あまり関わり合いになりたくない所ですが」
そう言いながらもヴィルヘルミナは、ゴブリン達が暴れている酒場中央へ向かい、他の冒険者達もそれぞれ動き出す。
その中でグレイブ・ヤードは、酒場内にいた客達を厨房近くの出入口へと誘導し、避難させていた。
(個人単位ならともかく集団単位での暴走、となるといささか人為的な影響があるような気が)
グレイブ目の前で起きている喧嘩が尋常ではないと考えながらも、ゴブリナ草を詰めたパイプに火打箱を使って火をつけ、煙を周囲へ吐き出す。
「とりあえずさっさと動いてヒュプノシス一択か」
同じ酒場にいたサイラスも、喧嘩の鎮圧に乗り出す。
「戦闘が本格的になる前にこの札切らんと使えなくなるし」
サイラスはこちらに向かってくるゴブリンへとヒュプノシスを使い、近距離でサイラスと視線を合わせたゴブリンはそのまま昏倒する。
「で、その次は声上げて注意引いて威圧感を出すか。出来ればさっさと折りたいが」
サイラスは現在の状況を考慮して、持参した母蜘蛛糸のロープではなく、予め依頼人より借り受けていたロープで眠ったゴブリンを捕縛しながら、より迅速に鎮圧できる手段を選んでいく。
サイラスとしては、迅速な鎮圧が出来るなら多少手荒な手段を使うことも視野に入れていた。
「話があるなら伺いましょう」
その近くでは、ヴィルヘルミナがゴブリン達に向けて話を聞く態度を見せる。
争っているゴブリン達の中には、ヴィルヘルミナの態度を気に掛ける様子も見られたが、別のゴブリンが椅子を振り上げヴィルヘルミナへと迫る。
ヴィルヘルミナは避けることなくゴブリンを見つめ続け、ヒュプノシスを使う。
そのまま距離を詰めてきたゴブリンは途中で足がもつれて床に転倒し、椅子を床に放り出して眠りにつく。
「多少の言い分なら聞きますが、暴れていい事にはなりませんので鎮圧を優先します」
予め依頼主より貸与されたロープを使い、眠らせたゴブリンを捕縛しながら、ヴィルヘルミナは周囲のゴブリンたちに向け、宣告する。
「わっ、危ないよ?」
トゥーリは飛んできた皿を器用にキャッチすると、マジカルポケットに収納する。
(テーブルとか割れ物なんかは優先的に収納だよね)
今のところ、テーブルを放り投げるまでには至っていないが、テーブルの上に置かれたと思しき皿や酒瓶はゴブリン達が互いに投げ合い、酒場内を飛び交っている。
そのためトゥーリは、できる範囲で周囲にある割れ物をマジカルポケットへと収納していく。
「ここ最近の類似案件の多さ……ゴールディのゴブリンを人たらしめていたのは樹海ゴブリンの血筋ではなく、ゴールディのような樹海近域……?」
ベルク・オスマットはゴブリン達の異変について、場所が関係しているのかと考察する。
その一方でゴブリンたちを取り押さえる動きは淀みなく、威圧感スキルを駆使してベルクへと酒瓶を手に襲いかかるゴブリン達を威圧する。
「もとい樹海の地による影響かドンが何かしらの波動を発しており、それに影響されていた?」
怯むゴブリンもいれば、そのまま突っ込んでくるゴブリンもいるが、ベルクは酒瓶を躱すとその懐へ踏み込み、加減した一撃を加える。
衝撃で顔色が失せたゴブリンは、その場に倒れて意識を失う。
「だとするなら、今までもゴブリンがゴールディを離れることは少なからずあったはずだが」
――帝国ではそれを上回る何かが悪影響を及ぼしている?
依頼主より貸し出されていたロープで無力化したゴブリンを捕縛しながら、ベルクの考察は続く。
「今はこの混乱をおさめることに注力だよね」
トゥーリもまたゴブリンの暴れ具合が異様だと懸念しつつも、鎮圧を優先するため意識を切り替えると、形成した霧状のエーテルを1体のゴブリンへと撃ち放つ。
魔霞4を受けたゴブリンは命中精度が低下し、投擲した皿は誰もいない方角へと逸れて、壁に当たって砕け散る。
そのゴブリンへ向け、既にグレイブが迫っていた。
「後でゴールディの方々に色々言われないように気を付けていきましょう」
――事態が事態とは言え、無暗に傷つけられて良い気分はしないでしょうね。
グレイブは鎮圧後のことも視野に入れながら、竜鉄の棍でゴブリンの足元を加減して打ち据え、転倒させる。
「下手に武器で受け止めるとあちらが怪我をしそうですからね」
グレイブは足を押さえて呻くゴブリンを捕縛するため、ロープを取り出しながらそう言った。
●制圧
サイラスは出入口の前に立ち塞がることで、ゴブリン達の逃走を阻んでいた。
そしてサイラスは真殺界を発動すると、竜牙の細剣にエーテル光を纏わせて長大な刃を形成して構え、不可視のエーテルを周囲に張り巡らせる。
(ほぼ確実にテーブルや椅子の脚とか巻き込むやろ? 店に被害出るわ)
サイラスは射程内にいるゴブリン達の移動を阻害する一方で、攻撃を控えている。
その間にも移動を阻害されたゴブリン達が何か喚いているが、サイラスは耳を貸す真似はしない。
「主張? 聞かんよ? お仕事は鎮圧だしお話聞くのはお仕事に入っておりませーん」
サイラスはゴブリン達の話を聞くつもりなどなかったが、ゴブリン達からの罵声や喚き声が続くので、威圧感スキルを駆使してゴブリン達を牽制する。
「ていうか喋るな。絶対話を聞いた別の奴が逆上して(騒動が)終わらないだろうが。言いたきゃ黙れ。止まれ。ステイ」
真殺界の効果が消えた後、細剣の鞘で殴るべきかサイラスは思案する。
「とりあえず殴るでいいなと。つっても手足優先するし手加減はするよ? 逆にいうと死ななければねぇ? 回復もあるし」
サイラスはゴブリン達に向け、これ以上抵抗するならそうすると予告し、牽制する。
その間にもサイラスが展開した真殺界の外側では、皿や酒瓶に加え殴られたと思しきゴブリンも宙を舞う。
ヴィルヘルミナは飛んできたゴブリンを受け流す際に、ヒュプノシスを使ってそのゴブリンと視線を合わせると、ゴブリンは意識を失い床へと転倒する。
その一方でヴィルヘルミナは、皿や酒瓶といった割れ物が飛んできた時には、可能な限り受け止めていた。
「この後の掃除が大変ですし、金銭的被害も多いとバカにならないので」
そのまま遠い場所へと回収物を避難させると、トゥーリがヴィルヘルミナによって集められたものも含めてマジカルポケットで回収し、被害の抑制に努める。
「疲れるのを待って捕縛したり、頃合を見て気絶させたりするのが妥当なのかな?」
トゥーリはゴブリン達の様子を見ながら、次の行動を思案する。
「こっちに殴りかかってくるなら、デコピン程度でも入れておきます」
ヴィルヘルミナはそう言い残すと、酒瓶を繰り出してきたゴブリンの懐へと踏み込み、その顔を中指で強く弾く。
痛かったのか、ゴブリンは酒瓶を取り落として顔を押さえ、その隙にトゥーリがロープでゴブリンの身を絡めとる。
「これ以上暴れたら痛い目を見るだけだよ」
トゥーリはゴブリンに抵抗を止めるよう忠告するが、ゴブリンは捕縛から逃れようと抵抗を続けるため、手加減したノービスタクトの一撃を加えて無力化する。
その間にも、ベルクは貸与されていたロープで仲間達が昏倒させたゴブリン達を1人ずつ捕縛し、離れた場所へ引きずっていく。
(どう考えても、あり得るとすれば帝都だろうなぁ)
証拠はないものの、ベルクはシルトラース帝国が何らかの形で関わっていると予測し、内心頭を抱えている。
搬送を終えたベルクは威圧感スキルを駆使して、向かってくるゴブリン達を威圧するも、全員が怯んだわけでもなく奥から椅子を抱えたゴブリンがベルクのもとへ向かってくる。
「殺さないように、手加減するのは必須だよな」
ベルクはそう心がけて横に飛び退き、振り下ろされる椅子を躱すと、鞘に納めた状態の暗爪刀「狐爪」で軽く一撃を加え、ゴブリンの意識を刈り取る。
そのゴブリンを、グレイブが手際よくロープで絡めとる。
「そのまま縛ると爪などでロープが切れる可能性も考えられるので、テーブルに縛り付けるやり方で捕縛します」
途中でロープが切れる事態も考慮して、グレイブは近くにあるテーブルへと捕縛したゴブリンを縛り付ける。
「確たる犯罪をしたわけではないですから」
――いや、暴れているけれど。これは酔っただけとまだ対外的に言い張ることができるレベルなのでね。
その一方でグレイブは自身が口にくわえているパイプより、ゴブリナ草の煙を周囲へと吹かし、ゴブリン達がどう反応するのかを確認していた。
「この香りについては彼らの生活に染みついているものだと思いますし、それで何らかの影響があれば少なくても種族的にこの200年は失われていないという証左になりますしね」
――彼らの200年の歩みが無に帰す事は、とても悲しいことだからね。
グレイブはできる範囲で、ゴブリン達を傷つけないよう務めていた。
●後始末
やがて冒険者達は暴れているゴブリン達の捕縛を続け、酒場での騒動を鎮圧した。
それまで厨房に避難していた酒場の従業員達も、アルヒ・ラスカスより安全が確保されたとの連絡を受け、店内に戻り始める。
「しかし、一人くらいは大人しい者もいると思いましたが、全員ですか」
当初ヴィルヘルミナは、1人くらいは自主的に喧嘩を止めるゴブリンがいるのでは、と期待していた。
しかしゴブリン達は、その全員が冒険者達に捕まるまで大人しくなることはなかった。
サイラスが真殺界で移動を阻害していたゴブリン達も、効果が消えると再び暴れだしたため、サイラスや他の冒険者達によって捕縛されていた。
その結果に、ヴィルヘルミナはため息をつく。
「我は何故暴れるに至ったのかを調べる。ある程度のことはわかるはずだ」
ここでベルクが残留思念感応を使い、ゴブリン達が暴れていた時の思念を読み取ろうとする。
その結果ベルクは、何らかの感情を読み取ることに成功した。
「大まかに言えば、暴れたいと止めたいの両極端だよな」
ベルクは読み取ることができた感情から、ゴブリン達の中で一方が暴れたくなり、もう片方は制止を試みた結果、乱闘になったようだ。
このあたりはトゥーリが聞き出した話と一致する。
しかし何故暴れたくなったのかは不明のままだ。
このあたりからゴブリン達は意識を取り戻し始める。
神妙にするゴブリン達もいる中、いまだ口汚く怒鳴り散らす者達もいる。
「話を聞けそうなら聞こうか? 精神干渉系しそうな人いるしねぇ?」
サイラスは何らかの精神的な干渉がゴブリンに作用したのではと、推測を立てる。
(ゴブリンに烙印つけた人とかもいたし、ぶっちゃけ後出しで何が出てきても有り得るしな)
そしてサイラスにはある程度心当たりがあるようだ。
「解呪などを使い、何かの影響なのか調べてみることにします」
グレイブはそう告げると、いまだ喚き散らしているゴブリンに向け抵抗力を増幅させる光を放つ。
光を受けたゴブリンのエーテルが活性化されるが、グレイブが見る限り目立った変化はないようだ。
「あとはお任せします。私は後片付けの手伝いにまわります。暴れた後ですから、色々と壊れたり汚れたりした部分もあるでしょうし」
効果を確認したグレイブは仲間達に後を託すと、従業員達のもとへ向かい手伝いを申し出ると、後片付けの作業に加わる。
「ワタシは怪我した人をヒールで治療しながら、話を聞いてみるよ」
トゥーリは己のエーテルを操ると、負傷を癒す光を形成して、負傷した状態で捕縛されたゴブリン達へと撃ち放つ。
その光を受け、負傷が癒えたゴブリンは素直に頭を下げ、トゥーリに礼を述べる。
「アナタは詳しい事情を知っている人なのかな?」
トゥーリはそのゴブリンが正気だと判断して、話を聞く。
トゥーリが聞き出した話では、それまで一緒に食事をしていたら、何の前触れもなく暴れだす者が現れたため、止めようとして喧嘩になったらしい。
ここでベルクが事情聴取に加わり、一連の経緯を改めて聞き出しながら、アルヒより借用した紙や筆記用具を使い記録していく。
「余程癇に障ったのか、それとも何か別の原因か」
一連の話を聞いていたヴィルヘルミナは、両方の可能性を考慮しつつも、グレイブや店の従業員達が行う作業に自身も加わった。
●後始末
グレイブは後片付けを行うと共に、できる範囲で店内をもとの状態に戻せるよう試みている。
(ちょっと悪酔いしただけと残る程度のほうが、彼らにとっても良いだろう?)
グレイブとしては、被害を酒の席での失態程度に抑えることで、騒動を起こしたゴブリン達への非難を減らす狙いがあった。
やがて連絡を受けた帝国兵達が酒場に到着し、事態の収拾にとりかかる。
「これは我が事情聴取を行った時の調書だ」
ベルクは正気と思われるゴブリンより聞き出し、記録した内容の控えを借りていた残りのロープと共に帝国兵へと渡す。
ベルクとしては、後で帝国兵達も行うであろう事情聴取の内容と照らし合わせ、齟齬がないかを確認することで原因究明につなげたいところだ。
「ワタシが回収できたのは、これで全部だよ」
トゥーリはマジカルポケットに収納できた割れ物を、酒場の従業員達に返却していた。
「私の方で回収したものは、こちらになります」
それまで後片付けを手伝っていたヴィルヘルミナも、鎮圧時に自身が回収できたものを従業員達に渡す。
「本当にありがとうございます!」
無事だった品を受け取った従業員達は頭を下げ、トゥーリやヴィルヘルミナ達に感謝する。
別のところでは、サイラスが帝国兵よりゴブリン達の処遇について、意見を求められていた。
「処分? 帝国法とか政治の判断とかあるでしょ。それに則るで良いやろ」
――俺の判断だと誰も救われんぞ。
サイラスは自身の本音を内心での呟きに留め、この村が属している国の法に照らし合わせ、帝国とゴブリンの協調という政治的な要素も考慮しながら、騒動を起こしたゴブリン達を裁くべきとの意思を示していた。
「おっしゃる通りです」
サイラスの意見に帝国兵側もそう答え、貴重な意見として記録する。
そして依頼人である帝国兵の指揮官も酒場に到着し、現状を一通り確認したうえで、冒険者達に依頼の完了を伝えた。
それを受け、冒険者達はそれぞれ現場を後にし始める。
「何はともあれ、変な所に火が点かなければいいのですが」
帰路に就く中、ヴィルヘルミナはそのようなことを危惧していた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜6人
2022年11月22日 09時58分00秒 公開
相談掲示板
ヒーラー、グレイブ・ヤードです。 一応救護「も」しますので、多少の無茶は大丈夫ですよ
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 鎮圧した後になんで暴れたのか情報を引っこ抜くとしようかね。
移動不能、行動不能などの効果があれば束縛はそこまで難しくはなさそうなのですよね。 個々人の能力はさして高くないようなので ただ周りに当たる可能性もありますので、防衛面も考えないと駄目でしょうか
>客と思われるゴブリン達が争いを始め、殴り合いの喧嘩に発展したので、残りの客達を全員店の外へ避難させたところからスタート。 とあるから防衛面は考えなくていいんじゃないかな? 後は威圧スキルとかが使えそうか。
まぁ不要であればそれはそれでいいのですが ある意味素手での制圧術(捕縛術?)が試されますね。 >威圧など そうですね、そういったものがあれば動きを止めやすかったりしそうです
成立してなかったから入ったよ。よろしくね! ワタシは素手と回避特化でスキルは全部ヒール関連にしておくね。 ひとりひとり、ゆっくり大人しくさせていけばいいかな…… 一応薙ぎ払い2とかを使えば物理攻撃力を-10できるけど、そこまでする意味があるか(わざわざ取得するか)はちょっと考え中(
アルヒ・ラスカスだ。 今回は集まってくれて本当にありがとう。 現地ではよろしく頼む。
さてと着替えて 一応アイテムとして「ゴブリナ草」を準備。 今のところ考えていること ・ゴブリナ草の香りで何か彼らに影響があるか ・聖別による「何らかのバッドステータスの影響」の調査 ・武器を使わずできるだけ徒手空拳で対応、但し武器がないとスキルは使えないので要注意。 ・相手は一般人であることはよくよく注意。 ・ロープはあればあるほどよさそう、縛り方はご自由に?需要はさておき ・終わったら掃除を手伝うと心証は良さそう ・とに拷はしょっ引いた後に考えよう ・戦闘スキルは「結局武器の威力が乗る」辺り実質マイナス補正さんは息してないと思う
気づいたら成立してましたね。 ヴィルヘルミナです。今回はよろしくお願いします。 私はヒュプノシスでも試してみようかと。 人類にしか効果ないと記載されているので、効くか分かりませんが。 ゴブリンがどういう括りに入るのかよく分からない所もありますし。
No.10
サイラスだ、まあギリギリだがよろしくなー とりあえずヒュプノシス、威圧と殺界持ちこもか。攻撃しなければ足止めにはなるやろ 後は怯ませる手段として閃光、臭い物用意しとくわ。後一つにロープ