それは誰かが前に進む為に

広大野人

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シナリオID:2588

オープニング

●
 パンクリアース学園で臨時講師として勤務しているロハンは本日の業務を終えて帰り支度をしていた。
 昼休みなので、あちらこちらから学生達の賑わいが聞こえてくる。
 自身もどこかで食事をしようかなと思っていた、その矢先の事だった。

 ガラガラガラ――

 唐突に開く扉。
 そこには一人の女学生の姿。三つ編みの赤毛が特徴的だった。
「あっ! す、すみません!」
「大丈夫ですよ。もう帰る所ですので……部屋は空きますから」
「あ……ありがとう、ございます……」
 恐縮している女学生にロハンは微笑み返すと、足早に部屋を明け渡すのであった。

 ――というやり取りを、ここ最近、幾度かロハンは繰り返していた。
 授業が遅くなってしまった時もたまにはあるようで、毎日ではないのだが……女学生はいつも一人で此処に来るのだ。
 どうやら、昼ご飯を一人で食べているらしい。
 学園は広いので他にも食べる場所はどこもあるだろうに……それが、何故、人目につかなそうな臨時講師に割り当てられた空き部屋で、それもたった一人で食べるのか。

「君はいつも一人で昼ご飯食べているようだけど、なんでかな?」

 けれど、そんな一言がロハンから発する事は無かった。
 昼食を一緒に食べる友人や学友がいない理由……色々とあるだろう。
 どうして一人なのか、どうして此処に来るのか、訊ねてもいいかもしれない。
 だが、ロハンはただの臨時講師だ。学園で何かを出来る立場でもない。結局、話を聞いても何も出来ないのだ。

「暖房がない部屋だけど陽だまりは暖かいはず。椅子とか動かして良いから」

 結局、ロハンはそれだけを言うのが精一杯だった。

●
 臨時講師としての学園で鞭撻を振るうのも、残り僅かな時、ロハンは意外な人物から声を掛けられた。
 学園長フォルトゥナにも近いと評価されるテーニルだった。
 普段、全く接する事がないので呼び出された時は授業でなにかやらかしたのではないかと思ってヒヤヒヤしたが……。

「『休憩室』……ですか?」
「そう。ある学園生から『学園内に休憩室の設置を』との要望を受けました」

 手渡された要望書にミア=リゼルと名前が記されていたが、ロハンが受け持っている生徒ではないし、部屋に訪れていた女学生でもないようだ。

「テーニル様、なぜ、私が呼ばれたのでしょうか? 私の専門は古文でありますし……」

 話の接点が全く無いのだ。
 そもそも常勤の先生は幾人もいる。教養優れた人物を多いだろう。

「ロハン先生はボランティアで市井の子供達に読み書きを教えているとお聞きしました」
「はい。色々な事情があって勉強できない子供が王都にも多くいますので」
「その取り組みは大変素晴らしいものと思います。私がロハン先生にこの件をお願いする理由は、そこにあるのです」

 金銭や人間関係や環境……様々な要因が、市井の子供達だけではなく、この学園に通う者達にもある。
 状況は全く同じではないものの、ロハンが経験してきた事は、パンクリアース学園にとっては貴重な事なのだろう。

「……私にどこまで出来るか分かりませんが」
「分かっています。学園長にお見せするにはもう少し具体的にしないといけませんので」
「はい」
 ロハンの脳裏に、いつも一人で昼ご飯を食べている女学生の姿が浮かぶのであった。

●
『学園も多様な立場、種族、価値観が入り乱れる状況。私も平民出身という意味では、軋轢の元でしょう。そして貴族には貴族の価値観があり、彼らもまた思い悩むことがある…誰もがそういった悩みを打ち明けられる場所、ただ静かに過ごせる場所が必要だと思います』

 要望書に記された一文にはこう書かれおり、ロハンは差し当たって、この学園生が提案してきた『休憩所』の具体的な内容について確認しようと思った。
 その為には要望してきた生徒以外にも幾人かの学生達を集めて、意見を出し合って貰うしかないだろうか。
 もちろん、纏めた要望を提出した所で認められるかどうかは分からない。
 テーニルは学園長に見せる……とは言っているが保障の限りはないだろう。

 だが、行わなければ何も進展しないのもまた事実だ。
 あの女学生が何を思っていたのか、どんな思いでいるのか、言いたい事があったのではないか。
 もしかして、その解決の糸口に繋がるかもしれない。

 そんな希望を抱きつつ、ロハンは依頼書を手にギルドへと向かうのであった。

解説

●目的 パンクリアース学園内に『休憩室(生徒相談室)』を設置する為の話し合い。 ●内容 目的内容に即した意見を発言いただきます。 纏める作業はロハンが行います。 具体的な部屋などはまだ決まっておりません。 ハード面、ソフト面も含め『休憩室(生徒相談室)』の設置に必要な事を語り合って下さい。 (プレイングで意見を統一して出す必要性はありません。あくまでもフリートークです) なお、『休憩室』の設置は確定されているものではありません。 ●注意事項 学園の中の話ですが、学園生ではない冒険者の参加を妨げるものではありません。 (学園生ではない場合、アドバイザー的な立ち位置としての意見という扱いになります) (卒業生や学園関係者であっても同様です) ●NPC ロハン 非常勤講師。30台後半の大人しい感じの男性(実際、大人しい)。 専門は古文。普段は別の研究所で働き、休日はボランティアをしている。 他、学園内のNPCについては原則、リプレイで描写されません。

マスターより

 おはようございます。当依頼にて59作目となった広大野人です。  またもやリクエストシナリオを担当させていただきます。期待に応えられるように頑張らせていただきます!  今回は学園内でのお話。休憩室が設置されるかどうか分かりませんが、意見を出す事は大事! という事で皆さんの想い、聞かせていただければと思います!

リプレイ

●
「……その様な訳で、提案者であるミアさんと生徒会のお二人から、先に話を聞いていこうと思ってね。よろしくお願いするよ」
 落ち着いたロハンの台詞にミア=リゼルは頷く。
「この度はお引き受けくださり、ありがとうございます。今、生じている問題に対処していければと……ただ、設置までに必要な事もあると思います。実現性とあわせて、学園長の目に留めていただける段階まで持って行きたいです」
「そうだね。健やかな学園生活を過ごす上でも、大事な事だと思っている。それは生徒会としても同意見で良いのかな?」
 ロハンはミアの想いに同意しつつ、生徒会メンバーであるジュスト・ヴェルジーとローザリカ・L・ディオールに意見を求めた。
 生徒会全員の意見では無いにせよ、この場に二人が出てきている以上、生徒会の意向がある程度、汲まれているだろうとロハンは思っているからだ。
「休憩室兼相談室、俺も良い案だと思うな」
 ジュストはミアが用意した資料を手に取ったまま率直に言った。
 生徒からの相談先の一つとしての生徒会ではあるものの、今期は貴族役員が多い。平民や多文化クラスの生徒には敷居が高いかもしれないので、生徒会以外の窓口はあった方が良いという訳だ。
「また、貴族でも派閥の関係で相談しにくいという生徒もいると思う」
 貴族だからこそ、相談できないという事もあるだろう。ジュストの言葉にミアが続いた。
「学園内の実情を見るに、『身分を問わず』という部分も、人との繋がりや生活の大きな壁になっていると思います」
「身分を問わないからこそ、それぞれの立場や生まれなどの事で悩みがある……とすると悩みを聞く者も、考える所だね」
 ロハンのそんな感想にジュストが応えた。
「派閥に関係ない平民の教員や中立の立場にある人に管理者兼相談員として置ければよいんだけど。それと、目安箱のようなものも」
 それはミアも同意見だったようだ。ロハンに強い眼差しを向ける。
「私も同意見です。匿名で悩みを書き込んで、利用者や担当員が、また匿名でそれに返事を書く『ノート』みたいなものも欲しいです。相談員の方は……学生間では限界がありますので、やはり経験の豊富な方に様子を見てもらいたいです」
「それなら、便箋やノートに筆記用具を置いておくというのも良いかもね。経済的に余裕がない生徒もいるだろうから」
 二人の話にロハンはメモを取り続けている手を止めた。
「なるほど。では、大体の方向性としては、その様な所を煮詰めていこうと思う。それと……場所の方は……備品も含めて検討の余地が大きい所と思うけれど……」
「内装や調度品なども華美ではない範囲で居心地よいように揃えられると良いかな。丁度、会計のロゼもいるから予算の相談もできるだろうし」
 副会長(ジュスト)から頼りにされた事が、ローザリカの気持ちを持ち上げたようで、彼女は胸を張って応える。
「備品について、相場でいえばざっとこれくらい――という目算は付けられると思う。それに休憩室兼相談室の設置には僕も賛成なんだ。僕からも学園への提案時に力添えできればと思う」
「それは頼もしい」
「相談ごとがある生徒の緊張を解くことにも繋げられそうだし……調度品を豪華にしない分で確保したい。例えば、お茶を淹れられる設備や備品だ」
 緊張を解く……という意味であれば、飲み物や軽食の提供はあっても良いだろう。
「ただ、やはり問題なのは費用か……」
 ロハンの懸念にローザリカも頷く。
「持ち込みや実家に伝手があるものからの提供でも良いだろうが、何か面倒事が起きても困るし……匿名の寄付を募るのも手だと思う」
 購入資金を抑えつつ、面倒事が発生しないような手段としては妙案だ。
 きっと声を掛ければ良心的な人達からの寄付は十分に望めるだろう。ジュストは会計(ローザリカ)の考えに微笑みを浮かべる。
「種族や出自関係なくリラックスできる場所として機能できる空間になればいいね」
「その一環として、休憩室をちょっとしたギャラリーとしても活用するのはどうだろうか? その方が休憩室を訪れるに憚りがある人物の理由作りに使いやすそうだとも思う」
「展示する為の活動と動機付けも生徒に必要な事ですし、良いと思います」
 当然の事ながら、展示室ではないのでスペースの配慮は必要だろう。けれど、何もない場所に足を運ぶよりも、少しでも足を運びやすい環境作りという意味では大事な事だ。
「問題があるとすれば、広さだけど……そっちに関してはミアさんの方から提案があったね」
「はい。『開放的な場所』と『閉鎖的な場所』の両方が必要かと思っています。ひとりになりたい人もいれば、誰かと話したい人もいると……悩みは人それぞれですから」
「具体的なイメージはあるのかい?」
「間仕切りで半個室のような空間を作ったり、庭に出て行ける場所や共用テーブルを置いて……1階で空いている部屋があれば良いのですが……」
 学園内は広いので探せばどこかあるかもしれない。
 ローザリカが思い出すように呟いた。
「どこか使っていない貴賓寮があるかもしれない」
「生徒会の方からも、学園側に提案すれば場所や人員の確保もし易いと思う」
 補足したジュストの言葉にロハンは安堵した様子でメモに赤文字で聞き取った内容を書き込んだ。
 提案者に生徒会の二人が賛同している事は、要望の提出に大きな影響があるからだ。

●
 次、ロハンの元に訪れたのはルベア・ベルニとシルヴィア・A・カペルの二人だった。
 先の組との細やかな挨拶を交わして入れ替わるようにテーブルへと座る。
「依頼の概略は聞いているだろうから、早速、聞かせて貰えるかな?」
 ロハンの言葉にシルヴィアはとある文集にそっと触れていた手をテーブルの上に置いた。
 続くようにルベアもやや身を乗り出す。
「いずれは全ての学園生が笑える空間を作りたい」
「私は、もし出来たのなら、利用したいかな」
「その為にも、設置に向けて問題点を洗い出しておきたい所で……差し迫って、立場や身分の点はどうでしょうか?」
 そんな問いかけに先にルベアが獣耳をピクっと動かしながら応える。
「改革の一環で多文化クラスができて半年経つし……そろそろ、『肩身の狭さ』も目に見えてくる頃合いだとは思うのよね」
「『肩身の狭さ』?」
 繰り返された質問に対し力強く頷くルベア。
「私なんかは特に種族的に未だに珍しがられたり、見下されたり……まぁ、慣れてるから正直、気にしてないけど……それに、ヒューマンもヒューマンで、貴族や商人の家同士で色々ありそうだし」
 チラリと横に座るシルヴィアに視線を向けると彼女が続ける。
「貴族の学生はほぼ派閥や組織に属するから、部活やサロンがあるのに休憩室へ行くのは不満表明と取られかねない。相談が知られた場合も厄介だ……ましてや下位貴族は上位貴族が『行くな』と言えば従うほか無いからね」
 種族的な偏見に加え、貴族間の力関係もあるようだ。
 そして、これらの問題が根深い事はロハン自身もよく分かっている。
「その辺りに対する配慮は必要そうだね」
 スラスラとメモを書き出した彼にルベアとシルヴィアの二人は補足する。
「寄り子関係にあることでの圧力だとか、取引相手の足元を見るような態度だとか……結局、そういう気苦労を負って、しかも発散する場所がないのは弱い立場なのよね……」
「貴族も場合によっては悩みを口外出来ないものだったりする……誰かに向かって発散する前に、息抜きの場は欲しいと思う」
「その為にはどうすべきだろうか?」
 誰もが利用できるようにする――と、どうしても色々な人々が集まる事になって、気軽に相談できるという状況が難しくなる。
「集団での利用は禁止する前提にしたほうが良いと思う……出来ればすみ分けも……あと、鉢合わせた人の個人情報をネタにするのもナシにした方がいいと思う、かな」
「ルベア嬢の懸念はもっともだ。何かしらのルールは設けた方が良さそうだね」
 学園内に設置するのだから、ルールに関してはある程度、学園側でコントロールする必要があるだろうか。
「貴族への根回しとして『静かに過ごせる場所』という面を押し出した宣伝。開放的なスペースと個別面談が出来るスペースに、お茶やお菓子、テーブルゲームも置きたい所だよ」
 シルヴィアはそこまで告げて一度区切るとロハンのメモが追いつくように待ってから再び話す。
「訪れる生徒達の中から希望者を募って通信の作成。雑談ノートや先生から返事があるノート、筆跡を見られたくない生徒向けの目安箱などの設置も良いと思う」
 要望書を形にするには、まだまだ話を詰めないといけないかとロハンは感じながら、時間いっぱいまで二人と話した内容を書き残し続けるのであった。

●
「来てくれて、ありがとう。早速だけど、それぞれ、意見や想いを聞かせて貰っていいかな?」
 ロハンは菓子を並べ、お茶を出しながら言った。
 まだ日は高いので寮の門限まで時間はたっぷりある。
「わたしは冒険者になる前、ずっとひとりでした。けど……実は、その事であまり思い悩んだ事はなくて」
 そう言いだしたのはゲルダ・クラインだった。
 学園で学ぶ事の楽しさと同時に、異種族で平民だったからこその環境が当たり前だと思っていた事もあったと話す。
「……ただ、大丈夫じゃない人もきっといて、それは不思議なことなんかじゃなくて。だから――そういった方々にとって、この学園が『苦しい場所』じゃなくなる事は、きっと……良い事だと思います」
「基本的な方向には『賛成』という事だね?」
 確かめるように言ったロハンの問いにゲルダは頷くと視線をリサ・ベイカーへと向けた。
 リサは胸に手を当て、ハキハキと自らの考えを述べる。
「平民や異種族が貴族の多い学園で安心できる場所にするには、生徒以外の教師や職員などが常駐してくれる事かなと思います」
「他の組でもその意見は強く出ているね」
「少なくとも、第三者の目がある事で、貴族からの無理難題を押し付けられる予防になりますし、うっかり貴族の異性と二人っきりになって変な誤解を招くとかも避けられますし」
 問題があるとすれば、先生や学園職員のマンパワーといった所だろう。
 トラブルを未然に防ぐという意味合いでは、学園側としても重要な意味を持つので、後は交渉次第……かもしれない。
「コルネリウスさんも同意見かな?」
 ロハンからの問いかけにコルネリウス・アーラは小さく頷いた。
「無派閥にいると、派閥の勧誘など声を掛けられる事がありまして……それはありがたい事でもあるのですが……そこには様々な想いや壁が見え隠れしています」
 自身の経験を思い浮かべながらコルネリウスは続ける。
「静かに時間を過ごしたい時や考え事をしたい時もありますし、書記をしていた時は生徒会室でひとり、昼食を取る事もありました。似たような経験や想いをしている人が、他にもきっといると思うのです」
「悩みがあってもなくても、確かに誰にでも一人でいたい時というのもありますからね。わかります」
 うんうんとロハンは頷く。
 もしかして……あの女学生もそうなのかもしれないと、ふと、そんな事が過った。
「具体的にはどうすべきかな?」
「具体案としては、一度に利用可能な人数を少数にするなど、ですが……タイミングが悪いと利用できない……という事は避けたいですし、かといって、利用時間を区切ったり、予約制などにすると……ふらりと来られる場所になりませんので……難しいですね」
 苦笑を浮かべたコルネリウスの返し。
 確かに難しい課題だったが、リサがフォローするように話す。
「テラスというか、天気のいい日はすぐに外に出られて、そこに机と椅子を置き、ランチとか出来たら良いですね」
「ある程度の広さが確保できれば、一応の対策になりそうだね」
「はい。複数の席があるなら、出来れば距離を広めにとって、小声なら聞こえないくらいの距離があると、色々安心できるかもしれません。あと、お湯を沸かせる魔導具とかあればお茶も出来ますが……ちょっと贅沢ですかね?」
 お茶を手に持ちながら言った台詞にロハンは微笑を浮かべる。
「備品については、目途もつけられそうです。ただ……やはり、それだけでは単に集まれる場所になってしまいそうでしょうか」
 悩みながら書類にペンを走らせるロハンにコルネリウスも同じ想いだった。
「人が集まり賑やかに談笑をする空間とは、また違った場所であると良いと思います。カウンセラーの常駐などもあれば、悩み事の相談などが出来るでしょうか」
 学園生活に不安を抱えている生徒、気持ちを吐露できない人や誰かにお話を聞いて欲しい人もいるはずなので、やはり、カウンセラーやセラピストがいると安心できる空間になるのだろう。
「……となると常駐するスタッフにカウンセラーがいる事を前面に出すべきか……」
 ロハンは首を傾げた所へゲルダが真剣な眼差しを向ける。
「休憩室が必要な理由としては理解していますけれど『悩みを打ち明けられる場所』『思い悩んだ時の逃げ場』という目的を休憩室の設置理由として前面に出す事は少し危険だと思います」
 そんな意見にロハンはペンを止めて唸る。
 ゲルダの言葉は思いもしなかったからだ。
「貴族の方々も、貴族以外の方々も『悩みがある』という事を周囲に悟られることに抵抗があるはずです。休憩室に入っていく姿を見られただけで、そういう目で見られてしまう――というリスクも、無視はできないと思います」
「……思えば、私も似たような事があったよ。読み書きを教える活動の中、教える事を大々的に掲げても逆に来なくなる子もいた……そうか……そうだったんだね……」
「……ですので。悩みがある人ない人、関係なくその場所に居られるような……『悩みを打ち明ける』ではなく『悩みを忘れられる』ような、そういう居心地の良さが、必要なんじゃないかなって思いました」
 ゲルダの紡いだ言葉にロハンは深く感銘したようだった。
 改めて3人を見渡す。想いは色々あるだろうけど、皆、願っている根底は一緒だった。
「どうやら、良い形で要望書を仕上げる事が出来そうです」
 そして、深々と頭を下げるロハンであった。

●
 ロハンは賛同した生徒会役員の連名がされた要望書を今一度確認していた。
 最終的に学園長の手に渡るだろうが、どんな判断が下されるかは分からない。けれど……形になったと思う。
 利用の際には『相互尊重』を求める場とする事。使わなくなった貴賓寮や備品などを匿名の寄付で募る事。庭と繋がっており、屋内外への移動ができる事。セラピストを含めた常駐するスタッフがいて、お茶や軽食が楽しめる事……それは休憩室というか、学園公認のギャラリーカフェのような、そんな場所になりそうだった。
「あの女学生も来てくれるといいな……」
 最後にそう願いながら、ロハンは要望書に署名するのであった。

マスターコメント

 お疲れ様でした&ご依頼にご参加いただき、ありがとうございました。  当初はこじんまりとした相談室みたいな感じを想像していたのですが、プレイングが届き、判定しているうちに、あれもこれも、皆さまの素晴らしい意見が集まり、学園内に相応しい形での提案になったのではないかなと思います。MVPは最後まで甲乙つけがたく迷いましたが、一人ひとりの意見自体の価値は等しくあると思っています(ロハンが提案書を仕上げるにあたって特に有効と判定した人にMVPを選定致しました)。  それでは、改めて、依頼へのご参加、ありがとうございました。
ショートシナリオR

ショートシナリオR易しい 報酬:標準8 / 4〜8人

2022年11月15日 14時44分00秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ミア=リゼル

    こんにちは、2年生のミア=リゼルです。シナリオを担当してくださったMSと、お誘いを受けてくださった皆さん、ありがとうございます。 今回はあくまでフリートークで、ご意見はロハンさんがまとめてくださるということですので、自由に書いていただけたらと思います。休憩室の詳細についてはOPをどうぞ。 空いている席はご自由に埋めていただいて構いません。よろしくお願いしますね。

  2. シルヴィア・A・カペル

    6年のシルヴィアだ。今回はよろしくね。 フリートークということで、楽しく案を出させて貰おう。学生が気軽に訪れる事が出来る休憩室を目指して考えてみるよ。

  3. ジュスト・V・ケレス

    5年、今期生徒会の副会長を務めさせて貰っているジュストだ。 場所の確保など実現に向けて生徒会でも支援できる所があると思って意見を出させて貰おうかと思っている。 よろしくね。

  4. ルベア・ベルニ

    2年のルベアよ、宜しく。 私もまぁ、種族的な話では未だに色々思うところあるし…。OPの女学生の気持ち、なんかとても分かる気がするわ。 そういう視点から気軽に行きやすい休憩室っていうのに何か言えればいいかなって。

  5. コルネリウス・アーラ

    2年生のコルネリウスです。 種族間の壁についてはまだ大きな課題ですし、私も色々と考えることがありますので、参加させて頂きました。 よろしくお願いします。

  6. ローザリカ・D・ケレス

    そこのジュストと同じく5年、生徒会会計に就任したローザリカだ。 貴族側の視点など何か少しでも手を貸せることがあれば幸いだ。 よろしく頼もう。

  7. リサ・ベイカー

    2年のリサです、遅くなりました。 よろしくお願いしますね。

  8. ゲルダ・クライン

    はわわわ、遅くなりました……! 5年生のゲルダです。 異種族の平民として短くない時間を学園で過ごしてきましたので、そういった観点からなにかお伝えできることがあればいいな、と思います。 よろしくお願いしますね。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0