【学祭】理解はお茶とお菓子と共に
夜月天音
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シナリオID:2454
オープニング
パンクリアース学園に毎年恒例の学園祭の時期がやって来た。
強制参加ではないにも関わらず、様々な出し物で大いに賑わっており、今年のテーマ『各国文化の理解』にぴったりであろうとなかろうと学生達は皆、楽しんでいた。
とある出し物でも華やかにかつ賑わっていた。
その出し物とは、
「いかがかですか? お茶とお菓子を召し上がって行きませんか?」
「アフタヌーンティーを楽しんで行きませんか?」
「お取り寄せのお菓子や手作りのお菓子もありますわよ」
「お茶も色々ありますわよ。百合茶に紅茶に……」
「身分や種族が違っていても甘いお菓子を食べると、幸せな気分になるのは同じのはずですわ」
アフタヌーンティーが大好きな有志によって催された物だ。
アフタヌーンティーとあり、教室は美しく装飾されており上品なテーブルと椅子に奥にはお茶のおともにぴったりなお菓子や軽食が何種類も揃っていたりそれらを載せるティースタンド、簡易調理スペースやら様々な茶葉と必要な道具が品よく用意されている。
「お好きなお菓子を私達がティースタンドに載せて、お好きなお茶をティーカップに淹れておもてなししますわ。もちろん、希望があればおもてなしをする側も出来ますわ」
「作法は色々ありますが、本日は気にする事はありません。大事なのは楽しむ気持ちです!」
「我らアフタヌーンティー有志の会とひとときを楽しみませんか」
有志達は、簡単に楽しみ方を説明するなり客寄せやお菓子とお茶の準備など、仕事に戻って行った。
強制参加ではないにも関わらず、様々な出し物で大いに賑わっており、今年のテーマ『各国文化の理解』にぴったりであろうとなかろうと学生達は皆、楽しんでいた。
とある出し物でも華やかにかつ賑わっていた。
その出し物とは、
「いかがかですか? お茶とお菓子を召し上がって行きませんか?」
「アフタヌーンティーを楽しんで行きませんか?」
「お取り寄せのお菓子や手作りのお菓子もありますわよ」
「お茶も色々ありますわよ。百合茶に紅茶に……」
「身分や種族が違っていても甘いお菓子を食べると、幸せな気分になるのは同じのはずですわ」
アフタヌーンティーが大好きな有志によって催された物だ。
アフタヌーンティーとあり、教室は美しく装飾されており上品なテーブルと椅子に奥にはお茶のおともにぴったりなお菓子や軽食が何種類も揃っていたりそれらを載せるティースタンド、簡易調理スペースやら様々な茶葉と必要な道具が品よく用意されている。
「お好きなお菓子を私達がティースタンドに載せて、お好きなお茶をティーカップに淹れておもてなししますわ。もちろん、希望があればおもてなしをする側も出来ますわ」
「作法は色々ありますが、本日は気にする事はありません。大事なのは楽しむ気持ちです!」
「我らアフタヌーンティー有志の会とひとときを楽しみませんか」
有志達は、簡単に楽しみ方を説明するなり客寄せやお菓子とお茶の準備など、仕事に戻って行った。
解説
お好きなお菓子とお茶を食べたり飲んだりと、優雅にアフタヌーンティーを楽しんで下さい。
食べたり飲んだりする側だけでなくお菓子を用意したりお茶を淹れる側を体験する事も出来ます。
【アフタヌーンティー体験について】
上品な内装にテーブルと椅子があります。
教室の奥にはロールケーキ、マドレーヌ、タルト、マフィンやスコーン、サンドイッチ、クロワッサンなどのお菓子や軽食、茶葉が種類豊富に揃えられています。
淹れたてのお茶が飲めるように簡易調理スペースもあります。
【活動について】
下記は活動例になります。
アフタヌーンティー有志の会の迷惑にならない事でしたら下記以外の活動も可能です。
・1人でまったりとお茶を飲んでお菓子や軽食を食べる。
・複数人で賑やかにお喋りをしながらお菓子や軽食を食べる。
・有志の会の学生に混じって、接客をしたりティースタンドに食べ物を載せたりお茶を淹れたりとおもてなしをする。
・教室の前でアフタヌーンティーの良さを宣伝して客寄せを行う。
※活動時間やお好みのお菓子や紅茶やこういう学生と交流したいなど、希望などがありましたら、プレイングに記載をお願いします。
※アフタヌーンティーを楽しめるのは、朝から夕方までとなっております。
※公式NPCとは交流出来ません。
マスターより
オープニングを読んで頂き、ありがとうございます。
1人また複数人で、まったりとアフタヌーンティーを満喫してみて下さい。
リプレイ
よく晴れた午後、パンクリアース学園恒例の学園祭が賑やかに開催されていた。
そんな中、アフタヌーンティー有志の会が催すお茶会体験も大層華やいでいた。
「……すてきなへや」
聴講生のミゼリア・L・ステュクスは、室内の上品な内装を眺めた。最近ギルドでの教育を終えたばかりで、見るもの聞くもの全てが珍しく興味深いようだ。
「……おかしがたくさん……」
並ぶお菓子と向き合ったミゼリアは甘い物が好きなためか、特に興味津々だ。無表情な人形然とした冷たい風情だが。
「これとあれと……」
心惹かれるお菓子をティースタンドに載せて、有志の学生に頼んで淹れて貰った好みのお茶が入ったティーセットと共に席へ。
そして、茶会を楽しむかと思いきや、
「…………さっぱりわからないですね……」
ミゼリアは茶会の流儀が分からず戸惑いの言葉。
「……きいてみましょう」
そんな彼女の解決策は、助けをお願いする事だ。
「……あの……おちゃかいのマナーをおしえてもらえませんか」
ミゼリアは、おずおずと近くの席にいたヒューマンとゴブリンの2人組に声を掛けた。
「ナハシュ、アフタヌーンティーだって、せっかくだから見ていこう」
ヨル・スレイマンは宣伝に心惹かれ、足を止めた。
「あー、アフタヌーンティーってあれだろ? 貴族連中の茶会で出る……」
隣を歩いていたナハシュも立ち止まり、自身が持つ知識を検索する。
その隙にヨルは入室し、
「ゴールディの食堂とはだいぶ違うはずだよ。ほらほら」
ナハシュを手招きし急かす。
「って、行くのはえぇな!?」
凄まじい行動力に驚き、ツッコミを入れるナハシュ。
「まあ、うまいもん食べられそうだし、いっか」
反対する理由は無いため、ナハシュは遅れる形でヨルに続いた。
「おお、巻物みたいなケーキがある……隣のお菓子はどうやって作ったのかな」
教室に入ったヨルは真っ先に、奥に並ぶお菓子や軽食に移動していた。
「ヨル、もしかして……」
遅れて来たナハシュはヨルの視線が主にお菓子に注がれている事に気付き、入室した理由を推測し始めた。
だが、
「ここに入ったのは、別に目新しい甘味に釣られたわけではないよ……多分!」
ヨルが力強い弁解で遮った。実は甘い物が好物なのだ。
「多分って」
ナハシュは呆れたように肩を竦めて返した後、
「で、どれを食べるか決めたのか?」
物色の結果を訊ねた。
「迷ってるね。どれも美味しそうで」
ヨルの返事は芳しくなかった。
「だったら、全部食べようぜ!! 菓子も軽食も制覇しよう!! なんだったらおかわりもしてさ」
ナハシュはカラカラと最高の提案をした。
「それはいいね。次は紅茶なんだけど、ナハシュは飲みたい種類とかある? これも迷っててね」
ヨルは提案に賛成し、もう1つの問題として飲み物を挙げた。
「んーー、解んねんだよな! だいたいどれも淹れ方がうまけりゃうまいだろ」
これもナハシュの意見を受け、有志の学生おすすめを飲む事にした。
という事で、お菓子をティースタンドに載るだけ載せてから適当な席に陣取り、有志の学生におすすめの紅茶を振る舞って貰った。
紅茶を振る舞って貰った後。
「ん、美味い。こういう柔らかい生地はどうやって作ってるんだろうな」
ヨルは、身に着けている礼儀作法を発揮させつつ紅茶よりも好物の甘い物を中心に少しずつ食べる。
(文化とか違うな……知る機会がなかっただけに興味深い。まあ、こういう育ちの良いヒューマンが基本的に苦手だが……本当にお菓子は美味しいな)
周囲を軽く見回し自分の文化圏にある茶会と比べ、普段接する事が無い貴族文化圏との違いを知り興味津々だ。ただ、貴族や位の高い者が苦手な意識、対・貴族装甲を胸中で少し展開していた。
「ナイフの使い所がわからないな……」
ナイフを手に持つヨルは困ったのか、動きを止める。
「そうかー?」
あっけらかんなナハシュは、礼儀なんぞ気にする事無く手づかみで食べている。
「ナハシュ、ここはゴールディとは違うんだよ。ほら」
ヨルはすぐさま周囲を見るように促した。
「んーあー、つまり静かな宴会ってことだな」
食べる手を止めてナハシュは周囲を確認し、得心の声を上げた。
「そうそう」
分かって貰えたと思いヨルが頷いた瞬間、
「よし、此処はちょっくら、鳴らしとくか?」
ナハシュはごそごそと、打楽器(小型)であるカスタネットを取り出した。
「そういう事じゃないんだよ。そもそも、食事処に楽器が置いてあるのは古今東西見てもゴールディくらいだからね……!」
ヨルは思わずツッコミを入れ、
「すまない。俺達の住むとこ特有の文化なんだ」
慌てて周囲の学生に謝った。
「そういうもんか?」
ナハシュは、納得出来ぬ面持ちで聞き返した。
「そういうもの。まあ、社会勉強と思ってさ。仕事で貴族と食事する機会もあるかもしれないし」
ヨルは言葉は荒げず、静かに窘めるように言った。
「……まあ、ありえるちゃありえるか」
少し逡巡してからナハシュは受け入れ、エーテルイミテイトを使い、所作と知識を自身の体に写し込むために使う標的の物色を行う。
(他のティーを嗜んでる奴らはお茶仲間だ……誰に……隣の席の学生、喋ってる内容から授恵者だな。だったら……)
程なくして、ナハシュはよさげな相手を発見し、エーテルイミテイトを使用する。
感覚で気付いた相手は抵抗を試みるが、
(すまねぇ、使わせてくれ)
ナハシュの手振りを交えたお願いに応じる事に。
結果、
「驚いた。そうしてるとなかなか様になっているよ、君」
ナハシュはヨルも驚くほど優雅な振る舞いで、茶を楽しみお菓子を食べるのだった。
「だろー」
ナハシュはカップ片手にドヤ顔で返した。
「あぁ」
頷くヨルは心なしか嬉しそうであった。
そこに、
「……あの……おちゃかいのマナーをおしえてもらえませんか」
ミゼリアがおずおずと声を掛けて来た。
「おう、任せろ!」
ナハシュはにかっと笑ってから、
「まずスコーンは手でつかんでいいんだぜ。ただし、クリームはシルバーで掬って塗らなきゃだめだ」
懇切丁寧にレクチャーを絡めて教える。
「ナイフはこうやって使う」
ドヤっと得意げに。
「お茶の淹れ方はな……」
ナハシュは説明をしながら華麗にお茶を淹れる。
「……上手く先生をやってるな」
ヨルはロールケーキをちまちま食べながら、温かくナハシュの先生ぶりを見守っていた。
「……そのおかし……」
ミゼリアは何か気になったのか、ヨルが頬張るお菓子に視線を向けた。
「あぁ、美味しいよ。ふわふわのかぼちゃ生地に中身は甘さ控えめの生クリームが入っていて、生地との相性が絶妙だ」
視線に気付いたヨルは手を止めて、食べかけのお菓子を見せながら味を批評した。
「……そうですか」
ミゼリアは静かにこくり。
「もしかして、君もこのお菓子を選んだのかい?」
ヨルはもしやと質問の理由を訊ねると、
「……はい」
ミゼリアはこれまた頷いた。
「……もしかして、甘い物が好きなのかい?」
甘い物が好きなヨルは同類の匂いを感じたのか訊ねると、
「……はい」
ミゼリアは頷き、自身のテーブルに視線を向けた。
「あぁ、俺と同じだね」
ヨルは、ミゼリアのテーブルにあるお菓子たっぷりのティースタンドに甘い物好きとしての親しみを感じた。
「次、いいか?」
話が一区切りした所でナハシュが間に入り、指導を再開した。
あれやこれやと指導が終わると、
「…………ありがとうございました」
ミゼリアは丁寧に礼を言ってから、自分の席に戻り茶会を再開した。
ナハシュとヨルも飲食物のおかわりをしたりと、のんびりと過ごした。
「……おいしい」
席に戻ったミゼリアは指導通り茶を淹れ、ヨルが食べていたのと同じロールケーキを美味しく頬張った。
「…………せっきゃく……」
ミゼリアは周囲をきょろきょろ。茶会の次に興味を持ったのは、給仕をするアフタヌーンティー有志の会の学生達の様子。
結果、
「……つぎは」
ミゼリアは、お茶とお菓子を平らげてから有志の学生に声を掛けた。
「……アフタヌーンティーかぁ。甘い物もあるという事だけど……」
宣伝を聞いたサイラスは、教室の前に足を止めて考え込み始めた。
(うーん、ヒューマンはあんまり好きじゃ無いしなぁ。気持ちは同じでもそれまでうけた経験は至上主義の対象と外で違うしな。それに、あんまり粗相をして知り合いの評判にダメージが行くのもなぁ。副会長をしているはずだからなぁ。大福に土産を持って帰りたいし、持ち帰るものがないのに餌の匂いがあると知ったら拗ねそうだしなぁ)
経験から来る思い、知り合いの立場、ご飯と寝る事が好きなペットの犬の事と考える事は多い。
「静かに目立たないように1人でのんびり楽しもうか。折角の学園祭だし」
逡巡した結果、ノリも多少あってかサイラスは参加する事に決めた。
「……というか、座れる椅子とかあるのかが心配だな。だからと言って立ったまま茶会はマナー的によろしくないような気がするし……」
ただ気掛かりなのは、リザードマンである自身の特徴と体重に対応出来る椅子があるかどうかである。
「…………椅子の問題はなさそうだ」
室内に入ったサイラスは有志の学生により大柄な種族向けの優雅かな席に案内され、参加前に抱いた危惧に関して安堵した。
席が決まった所で、サイラスは飲食物を選びに行った。
「ロールケーキとかタルト辺りをメインに食べていくかな。飲み物は紅茶にして」
甘い物好きなサイラスはお菓子を中心にして選び、次々とティースタンドに載せて行く。
有志の学生に許可を貰ってから、
「持ち帰りにはクロワッサン辺りがベストか?」
ペットの大福のためにお持ち帰りを物色。
(サンドイッチ辺りは玉葱とか入ってたりするとねー、後ケーキもだが太る。犬からボールになる。このままだと……)
元気に食べる大福の姿を想像し、少し溜息を吐いた。
とにもかくにも、物色を終えたサイラスは、紅茶は有志の学生に任せてお菓子と共に席に戻った。
「……これだけ平和だと何にも無いだろ」
席に着いたサイラスは、周囲をきょろり。
(ここで何かあると学園の評判自体が傷つくしなぁ……排斥派でも自分の今後考えたら狙わんやろ)
平和な様子に安堵。
「…………こうちゃをおもちしました」
給仕体験中のミゼリアがティーセットを持って現れた。端から見たらまるで料理を運ぶ自動人形のようだ。
「あぁ、ありがとう」
サイラスは視線をミゼリアに向け、礼を言った。
「……おいれしましょうか?」
ミゼリアが訊ねた。
「……頼むよ」
サイラスは一切を任せ、
「……見事だね」
ミゼリアの手際に感心した。
(……あのおかし……)
ミゼリアは紅茶を淹れつつ、ティースタンドにある自身が美味しく食したロールケーキが選ばれている事に気付き、甘い物好きとして共感をしていた。
「……しつれいします」
紅茶を淹れ終えたミゼリアは、そっと邪魔にならぬように離れた。
ミゼリアが去った後。
(こういうのはマナーまで含めて楽しむ物だからな。礼儀作法はきっちりしないと)
サイラスは、取得している礼儀作法を発揮させて優雅に紅茶を飲み、
「このロールケーキ、生地がカボチャか。中身の生クリームも甘すぎなくて悪くない」
ロールケーキを美味しく食した。
「次はこのタルトも食べてみようか」
続けてタルトも頬張る。ちなみに、大福へのお土産クロワッサンは有志の学生に頼んで綺麗に包んで貰っている。
「……美味しい」
サイラスは、マナーと共に紅茶とお菓子を存分に満喫した。
サイラスへの給仕を終えた後。
「……どうぞ、ごゆっくり」
ミゼリアはあちこちのテーブルで給仕に励んでいた。
そんな中、
「……では」
ティースタンドをテーブルに置き、離れようとした時、
「なぁ、一緒にお菓子を食べようよ。お仕事、少し休んでさ?」
見るからにチャラそうなヒューマンの男子学生にナンパされてしまった。ミゼリアが纏う人を惑わす色気といい匂いを発するフェロモンが効いている事は一目瞭然。
「……はい」
ミゼリアは盾型ホムンクルス兼愛玩用ホムンクルスでもある故の従順さで、誘いを受けちょこんと椅子に座った。
「君はさー、どのお菓子が好き? このチョコレートはどうだい?」
男子学生がお菓子を勧める。
「……いただきます」
勧められるままミゼリアはチョコレートをパクリ。
「美味しい?」
男子学生は、にこにこと味を訊ねる。
「……おいしいです」
ミゼリアは静かに答えて、もぐもぐする。
そこに、
「場も和やかになった事ですし、ここでわたくしのバイオリンに耳を傾けて下さいませ」
アフタヌーンティー有志の会の女子学生が中央に立ち、バイオリンを優雅に弾き始めた。
「へぇ、生演奏か。贅沢だなぁ」
サイラスは聞き惚れつつ紅茶を飲む。
「これが終わったら次は俺達の番だな」
ナハシュは何やらやる気である。
「…………賑やかな事になりそうだ」
ヨルはちらりとナハシュを見やり、この先の展開を予想してか溜息を吐いた。
程なくして演奏は終わり女子学生が挨拶をして舞台を降りた所で、
「次は俺が演奏するぞー!」
ナハシュがカスタネットを手に立ち上がった。
「……ナハシュ」
ヨルは止めようとしつつ、有志の学生に意見を求めてちらり。
「歓迎しますわ」
先ほど演奏を披露した女子学生が笑顔で許可を示した。
「よっしゃ! やるぞ!」
ナハシュは意気揚々と中央に向かった。
「やるのはいいけど、場に合った曲を選ぶんだよ」
ヨルは止めるのは無理と察し、選曲の助言をした。
「分かってるさ!!」
ナハシュはにかっといい顔で言うなり、中央に立った。
「おれもいいか」
暇となったサイラスもハープの竜花琴を手に登場だ。
「いいぜ!!」
ナハシュは歓迎し、カスタネットを構え、
「みんな、手拍子を頼むぜ」
演奏前に皆にお願いをしてから叩き鳴らした。
(折角だ、ここは陽気な曲を披露するぜ!)
ナハシュは、軽やかにカスタネットを叩き動物達が跳ね回るような陽気で軽快なリズムを生み出す。
(……リズムに合わせて)
サイラスは見事な演奏技術を見せつけ、明るくも美しい音色を奏でる。
「……てびょうしですか……」
ナンパな男子学生と一緒にいるミゼリアは、言われた通りに手拍子をした。表面ではそうとは思えないが、胸中ではしっかりと音楽への参加を楽しんでいた。
皆を巻き込んだ陽気な演奏はあっという間に終わり、
「……演奏も悪くなかったなぁ」
サイラスは演奏の余韻と共に茶を楽しみ、
「……いま、いきます」
ミゼリアは、有志の学生に手伝いとして呼ばれそちらへと行く。
「美味しかったよ、ありがとう」
「楽しかったぜ」
ヨルとナハシュは、お礼を言って教室を出た。
こうして、優雅でありながらも陽気なお茶会のひとときはあっという間に過ぎて行った。
そんな中、アフタヌーンティー有志の会が催すお茶会体験も大層華やいでいた。
「……すてきなへや」
聴講生のミゼリア・L・ステュクスは、室内の上品な内装を眺めた。最近ギルドでの教育を終えたばかりで、見るもの聞くもの全てが珍しく興味深いようだ。
「……おかしがたくさん……」
並ぶお菓子と向き合ったミゼリアは甘い物が好きなためか、特に興味津々だ。無表情な人形然とした冷たい風情だが。
「これとあれと……」
心惹かれるお菓子をティースタンドに載せて、有志の学生に頼んで淹れて貰った好みのお茶が入ったティーセットと共に席へ。
そして、茶会を楽しむかと思いきや、
「…………さっぱりわからないですね……」
ミゼリアは茶会の流儀が分からず戸惑いの言葉。
「……きいてみましょう」
そんな彼女の解決策は、助けをお願いする事だ。
「……あの……おちゃかいのマナーをおしえてもらえませんか」
ミゼリアは、おずおずと近くの席にいたヒューマンとゴブリンの2人組に声を掛けた。
「ナハシュ、アフタヌーンティーだって、せっかくだから見ていこう」
ヨル・スレイマンは宣伝に心惹かれ、足を止めた。
「あー、アフタヌーンティーってあれだろ? 貴族連中の茶会で出る……」
隣を歩いていたナハシュも立ち止まり、自身が持つ知識を検索する。
その隙にヨルは入室し、
「ゴールディの食堂とはだいぶ違うはずだよ。ほらほら」
ナハシュを手招きし急かす。
「って、行くのはえぇな!?」
凄まじい行動力に驚き、ツッコミを入れるナハシュ。
「まあ、うまいもん食べられそうだし、いっか」
反対する理由は無いため、ナハシュは遅れる形でヨルに続いた。
「おお、巻物みたいなケーキがある……隣のお菓子はどうやって作ったのかな」
教室に入ったヨルは真っ先に、奥に並ぶお菓子や軽食に移動していた。
「ヨル、もしかして……」
遅れて来たナハシュはヨルの視線が主にお菓子に注がれている事に気付き、入室した理由を推測し始めた。
だが、
「ここに入ったのは、別に目新しい甘味に釣られたわけではないよ……多分!」
ヨルが力強い弁解で遮った。実は甘い物が好物なのだ。
「多分って」
ナハシュは呆れたように肩を竦めて返した後、
「で、どれを食べるか決めたのか?」
物色の結果を訊ねた。
「迷ってるね。どれも美味しそうで」
ヨルの返事は芳しくなかった。
「だったら、全部食べようぜ!! 菓子も軽食も制覇しよう!! なんだったらおかわりもしてさ」
ナハシュはカラカラと最高の提案をした。
「それはいいね。次は紅茶なんだけど、ナハシュは飲みたい種類とかある? これも迷っててね」
ヨルは提案に賛成し、もう1つの問題として飲み物を挙げた。
「んーー、解んねんだよな! だいたいどれも淹れ方がうまけりゃうまいだろ」
これもナハシュの意見を受け、有志の学生おすすめを飲む事にした。
という事で、お菓子をティースタンドに載るだけ載せてから適当な席に陣取り、有志の学生におすすめの紅茶を振る舞って貰った。
紅茶を振る舞って貰った後。
「ん、美味い。こういう柔らかい生地はどうやって作ってるんだろうな」
ヨルは、身に着けている礼儀作法を発揮させつつ紅茶よりも好物の甘い物を中心に少しずつ食べる。
(文化とか違うな……知る機会がなかっただけに興味深い。まあ、こういう育ちの良いヒューマンが基本的に苦手だが……本当にお菓子は美味しいな)
周囲を軽く見回し自分の文化圏にある茶会と比べ、普段接する事が無い貴族文化圏との違いを知り興味津々だ。ただ、貴族や位の高い者が苦手な意識、対・貴族装甲を胸中で少し展開していた。
「ナイフの使い所がわからないな……」
ナイフを手に持つヨルは困ったのか、動きを止める。
「そうかー?」
あっけらかんなナハシュは、礼儀なんぞ気にする事無く手づかみで食べている。
「ナハシュ、ここはゴールディとは違うんだよ。ほら」
ヨルはすぐさま周囲を見るように促した。
「んーあー、つまり静かな宴会ってことだな」
食べる手を止めてナハシュは周囲を確認し、得心の声を上げた。
「そうそう」
分かって貰えたと思いヨルが頷いた瞬間、
「よし、此処はちょっくら、鳴らしとくか?」
ナハシュはごそごそと、打楽器(小型)であるカスタネットを取り出した。
「そういう事じゃないんだよ。そもそも、食事処に楽器が置いてあるのは古今東西見てもゴールディくらいだからね……!」
ヨルは思わずツッコミを入れ、
「すまない。俺達の住むとこ特有の文化なんだ」
慌てて周囲の学生に謝った。
「そういうもんか?」
ナハシュは、納得出来ぬ面持ちで聞き返した。
「そういうもの。まあ、社会勉強と思ってさ。仕事で貴族と食事する機会もあるかもしれないし」
ヨルは言葉は荒げず、静かに窘めるように言った。
「……まあ、ありえるちゃありえるか」
少し逡巡してからナハシュは受け入れ、エーテルイミテイトを使い、所作と知識を自身の体に写し込むために使う標的の物色を行う。
(他のティーを嗜んでる奴らはお茶仲間だ……誰に……隣の席の学生、喋ってる内容から授恵者だな。だったら……)
程なくして、ナハシュはよさげな相手を発見し、エーテルイミテイトを使用する。
感覚で気付いた相手は抵抗を試みるが、
(すまねぇ、使わせてくれ)
ナハシュの手振りを交えたお願いに応じる事に。
結果、
「驚いた。そうしてるとなかなか様になっているよ、君」
ナハシュはヨルも驚くほど優雅な振る舞いで、茶を楽しみお菓子を食べるのだった。
「だろー」
ナハシュはカップ片手にドヤ顔で返した。
「あぁ」
頷くヨルは心なしか嬉しそうであった。
そこに、
「……あの……おちゃかいのマナーをおしえてもらえませんか」
ミゼリアがおずおずと声を掛けて来た。
「おう、任せろ!」
ナハシュはにかっと笑ってから、
「まずスコーンは手でつかんでいいんだぜ。ただし、クリームはシルバーで掬って塗らなきゃだめだ」
懇切丁寧にレクチャーを絡めて教える。
「ナイフはこうやって使う」
ドヤっと得意げに。
「お茶の淹れ方はな……」
ナハシュは説明をしながら華麗にお茶を淹れる。
「……上手く先生をやってるな」
ヨルはロールケーキをちまちま食べながら、温かくナハシュの先生ぶりを見守っていた。
「……そのおかし……」
ミゼリアは何か気になったのか、ヨルが頬張るお菓子に視線を向けた。
「あぁ、美味しいよ。ふわふわのかぼちゃ生地に中身は甘さ控えめの生クリームが入っていて、生地との相性が絶妙だ」
視線に気付いたヨルは手を止めて、食べかけのお菓子を見せながら味を批評した。
「……そうですか」
ミゼリアは静かにこくり。
「もしかして、君もこのお菓子を選んだのかい?」
ヨルはもしやと質問の理由を訊ねると、
「……はい」
ミゼリアはこれまた頷いた。
「……もしかして、甘い物が好きなのかい?」
甘い物が好きなヨルは同類の匂いを感じたのか訊ねると、
「……はい」
ミゼリアは頷き、自身のテーブルに視線を向けた。
「あぁ、俺と同じだね」
ヨルは、ミゼリアのテーブルにあるお菓子たっぷりのティースタンドに甘い物好きとしての親しみを感じた。
「次、いいか?」
話が一区切りした所でナハシュが間に入り、指導を再開した。
あれやこれやと指導が終わると、
「…………ありがとうございました」
ミゼリアは丁寧に礼を言ってから、自分の席に戻り茶会を再開した。
ナハシュとヨルも飲食物のおかわりをしたりと、のんびりと過ごした。
「……おいしい」
席に戻ったミゼリアは指導通り茶を淹れ、ヨルが食べていたのと同じロールケーキを美味しく頬張った。
「…………せっきゃく……」
ミゼリアは周囲をきょろきょろ。茶会の次に興味を持ったのは、給仕をするアフタヌーンティー有志の会の学生達の様子。
結果、
「……つぎは」
ミゼリアは、お茶とお菓子を平らげてから有志の学生に声を掛けた。
「……アフタヌーンティーかぁ。甘い物もあるという事だけど……」
宣伝を聞いたサイラスは、教室の前に足を止めて考え込み始めた。
(うーん、ヒューマンはあんまり好きじゃ無いしなぁ。気持ちは同じでもそれまでうけた経験は至上主義の対象と外で違うしな。それに、あんまり粗相をして知り合いの評判にダメージが行くのもなぁ。副会長をしているはずだからなぁ。大福に土産を持って帰りたいし、持ち帰るものがないのに餌の匂いがあると知ったら拗ねそうだしなぁ)
経験から来る思い、知り合いの立場、ご飯と寝る事が好きなペットの犬の事と考える事は多い。
「静かに目立たないように1人でのんびり楽しもうか。折角の学園祭だし」
逡巡した結果、ノリも多少あってかサイラスは参加する事に決めた。
「……というか、座れる椅子とかあるのかが心配だな。だからと言って立ったまま茶会はマナー的によろしくないような気がするし……」
ただ気掛かりなのは、リザードマンである自身の特徴と体重に対応出来る椅子があるかどうかである。
「…………椅子の問題はなさそうだ」
室内に入ったサイラスは有志の学生により大柄な種族向けの優雅かな席に案内され、参加前に抱いた危惧に関して安堵した。
席が決まった所で、サイラスは飲食物を選びに行った。
「ロールケーキとかタルト辺りをメインに食べていくかな。飲み物は紅茶にして」
甘い物好きなサイラスはお菓子を中心にして選び、次々とティースタンドに載せて行く。
有志の学生に許可を貰ってから、
「持ち帰りにはクロワッサン辺りがベストか?」
ペットの大福のためにお持ち帰りを物色。
(サンドイッチ辺りは玉葱とか入ってたりするとねー、後ケーキもだが太る。犬からボールになる。このままだと……)
元気に食べる大福の姿を想像し、少し溜息を吐いた。
とにもかくにも、物色を終えたサイラスは、紅茶は有志の学生に任せてお菓子と共に席に戻った。
「……これだけ平和だと何にも無いだろ」
席に着いたサイラスは、周囲をきょろり。
(ここで何かあると学園の評判自体が傷つくしなぁ……排斥派でも自分の今後考えたら狙わんやろ)
平和な様子に安堵。
「…………こうちゃをおもちしました」
給仕体験中のミゼリアがティーセットを持って現れた。端から見たらまるで料理を運ぶ自動人形のようだ。
「あぁ、ありがとう」
サイラスは視線をミゼリアに向け、礼を言った。
「……おいれしましょうか?」
ミゼリアが訊ねた。
「……頼むよ」
サイラスは一切を任せ、
「……見事だね」
ミゼリアの手際に感心した。
(……あのおかし……)
ミゼリアは紅茶を淹れつつ、ティースタンドにある自身が美味しく食したロールケーキが選ばれている事に気付き、甘い物好きとして共感をしていた。
「……しつれいします」
紅茶を淹れ終えたミゼリアは、そっと邪魔にならぬように離れた。
ミゼリアが去った後。
(こういうのはマナーまで含めて楽しむ物だからな。礼儀作法はきっちりしないと)
サイラスは、取得している礼儀作法を発揮させて優雅に紅茶を飲み、
「このロールケーキ、生地がカボチャか。中身の生クリームも甘すぎなくて悪くない」
ロールケーキを美味しく食した。
「次はこのタルトも食べてみようか」
続けてタルトも頬張る。ちなみに、大福へのお土産クロワッサンは有志の学生に頼んで綺麗に包んで貰っている。
「……美味しい」
サイラスは、マナーと共に紅茶とお菓子を存分に満喫した。
サイラスへの給仕を終えた後。
「……どうぞ、ごゆっくり」
ミゼリアはあちこちのテーブルで給仕に励んでいた。
そんな中、
「……では」
ティースタンドをテーブルに置き、離れようとした時、
「なぁ、一緒にお菓子を食べようよ。お仕事、少し休んでさ?」
見るからにチャラそうなヒューマンの男子学生にナンパされてしまった。ミゼリアが纏う人を惑わす色気といい匂いを発するフェロモンが効いている事は一目瞭然。
「……はい」
ミゼリアは盾型ホムンクルス兼愛玩用ホムンクルスでもある故の従順さで、誘いを受けちょこんと椅子に座った。
「君はさー、どのお菓子が好き? このチョコレートはどうだい?」
男子学生がお菓子を勧める。
「……いただきます」
勧められるままミゼリアはチョコレートをパクリ。
「美味しい?」
男子学生は、にこにこと味を訊ねる。
「……おいしいです」
ミゼリアは静かに答えて、もぐもぐする。
そこに、
「場も和やかになった事ですし、ここでわたくしのバイオリンに耳を傾けて下さいませ」
アフタヌーンティー有志の会の女子学生が中央に立ち、バイオリンを優雅に弾き始めた。
「へぇ、生演奏か。贅沢だなぁ」
サイラスは聞き惚れつつ紅茶を飲む。
「これが終わったら次は俺達の番だな」
ナハシュは何やらやる気である。
「…………賑やかな事になりそうだ」
ヨルはちらりとナハシュを見やり、この先の展開を予想してか溜息を吐いた。
程なくして演奏は終わり女子学生が挨拶をして舞台を降りた所で、
「次は俺が演奏するぞー!」
ナハシュがカスタネットを手に立ち上がった。
「……ナハシュ」
ヨルは止めようとしつつ、有志の学生に意見を求めてちらり。
「歓迎しますわ」
先ほど演奏を披露した女子学生が笑顔で許可を示した。
「よっしゃ! やるぞ!」
ナハシュは意気揚々と中央に向かった。
「やるのはいいけど、場に合った曲を選ぶんだよ」
ヨルは止めるのは無理と察し、選曲の助言をした。
「分かってるさ!!」
ナハシュはにかっといい顔で言うなり、中央に立った。
「おれもいいか」
暇となったサイラスもハープの竜花琴を手に登場だ。
「いいぜ!!」
ナハシュは歓迎し、カスタネットを構え、
「みんな、手拍子を頼むぜ」
演奏前に皆にお願いをしてから叩き鳴らした。
(折角だ、ここは陽気な曲を披露するぜ!)
ナハシュは、軽やかにカスタネットを叩き動物達が跳ね回るような陽気で軽快なリズムを生み出す。
(……リズムに合わせて)
サイラスは見事な演奏技術を見せつけ、明るくも美しい音色を奏でる。
「……てびょうしですか……」
ナンパな男子学生と一緒にいるミゼリアは、言われた通りに手拍子をした。表面ではそうとは思えないが、胸中ではしっかりと音楽への参加を楽しんでいた。
皆を巻き込んだ陽気な演奏はあっという間に終わり、
「……演奏も悪くなかったなぁ」
サイラスは演奏の余韻と共に茶を楽しみ、
「……いま、いきます」
ミゼリアは、有志の学生に手伝いとして呼ばれそちらへと行く。
「美味しかったよ、ありがとう」
「楽しかったぜ」
ヨルとナハシュは、お礼を言って教室を出た。
こうして、優雅でありながらも陽気なお茶会のひとときはあっという間に過ぎて行った。
マスターコメント
参加者の皆様、参加して頂き大変ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
優雅なお茶会を体験して頂いたり給仕をして頂くだけでなく、楽器の演奏でお茶会を盛り上げて頂き、大変ありがとうございました。
ほんの僅かでも楽しんで頂ければ、幸いです。
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜10人
2022年10月01日 00時46分58秒 公開
大成功
参加者
相談掲示板
気がついたら1日切ってしまってたな。 多文化クラスのヨル・スレイマン。宜しくね。 こういうのの作法はよくわからないけれど、程よく楽しめたら良いなと思うよ。
No.2
サイラスだ、これで足りるなー とりま一人で好きにしてようかと
ミゼリアです、よろしく、お願いします。 わたしも、作法とかは、よくわかりませんが……お茶とか、おかしとか、楽しみたい……です。
ナハシュだ!なんかうめぇの食えるんだって? まーよろしくな。