【謀都】壁の外の悲哀
革酎
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シナリオID:2395
オープニング
リーンエス王国の中心にして最大の都市、王都グランスパーダ。
町も街路も、道行くひとびとも全てが垢抜け、非常に洗練されている王国きっての大都市である。夜になっても大通りや商業区などでは煌びやかな灯がひとびとの笑顔を誘い、賑やかな時間がゆっくりと流れてゆく。
その一方で、町の中心から外れてゆくと次第に闇が濃くなってゆくのは、どの都市、どの町でもおなじみの光景であろう。それぞれの家庭では団欒を楽しみ、明日に備えて活力を養う。
そんな中にあって、とある路地の端に一台の馬車が停まっていた。周辺では人目につかぬ形で、何人もの護衛が陰に紛れて控えている。
やがて、長身の影が別の路地からのっそりと姿を現し、件の馬車の中へと吸い込まれていった。
馬車内はこれまた薄暗く、照明紋具で僅かにお互いの位置が分かる程度の光を灯しているに過ぎない。
長身の人物はレオポルド・グラハイム伯爵。この初老の男性はカペル侯爵家の寄子貴族であり、諜報組織『青薔薇』のグランスパーダに於ける活動支援担当のひとりでもあった。
そして、グラハイム伯爵をこの馬車内に招き入れた側の人物は、メアリー・リーンエス王女だった。
「こんな夜分遅くにお呼び立てしてしまって、申し訳ございませんわね」
「何をおっしゃいますか。殿下からのお声がけとあらば、いつでもどこでも馳せ参じましょうぞ……で、私めに御用ということは、青薔薇を投入しなければならぬ案件でございましょうか?」
グラハイム伯爵は挨拶もそこそこに、すぐさま本題に入った。相手が王族ならば挨拶の口上にもそこそこの時間、そこそこの言葉数を要するのが貴族の礼儀というものであろうが、グラハイム伯爵は何の遠慮も無く、いきなり用件へと切り込んでゆく。
彼は領地持ちの貴族でありながら、法衣貴族にも劣らぬ実務型の人物でもあった。社交場であるのならば兎も角、メアリーが態々人目を忍んで呼び出してきた以上、仕事以外に話すべき内容は無いと踏んだらしい。
そしてそこは、メアリーも重々承知の上であった。彼女は気分を害する様子など欠片も見せず、寧ろ話が早い相手だとして気楽に言葉を交わすことが出来た。
「ここ最近、スラム街での行方不明者が桁違いに増えてきていることはご存知?」
「流石は殿下……もう、お耳に入れておられましたか」
ここでいうスラム街とは、街壁に守られた王都内部の話ではなく、その外側に広がる貧民街のことを指す。
王都グランスパーダは堅牢な街壁と堀に守られた市街地だが、その周囲には日々の生活もままならぬ極貧の民が勝手に住み着いて、異なる世界を形成していた。
それが、メアリーが口にした『スラム街』である。この異質なコミュニティでは王都内に住まうひとびとからは到底想像も出来ない様な事件が、度々発生する。
行方不明者が出る出ないなどは日常茶飯事であり、それはある意味、スラムの当たり前の光景でもあった。
ところがここ二週間程、このスラム街での行方不明者数が爆発的に増えてきているのだという。
何か裏に事件が潜んでいる――メアリーの嗅覚は、何者かの介在を嗅ぎ当てていた。
「調べて頂けるかしら?」
「御意。しばしの御猶予を頂戴したく」
そこでグラハイム伯爵は言葉を切り、馬車を降りた。
●テロリストの気配
青薔薇諜報員イオレア・シュデルが率いる小隊は、大半が青薔薇入団半年未満の若者で構成されている。
やっと部隊としての総合訓練を終えたシュデル隊はまだまだ経歴が浅く、余り特殊な状況には投入出来ない。しかしながら王都の外に広がるスラム街での行方不明者追跡調査ならば特に難しい技術も要らず、彼らにはうってつけだとして、グラハイム伯爵から着任の指示が出された。
当初は然程の困難も伴わない楽な任務だと高を括っていたシュデル隊だったが、思わぬ障害にぶつかった。
メドゥの指先と思しき集団が、スラム街周辺で目撃されたのである。
イオレアは自身の隊だけでは対処出来ぬと判断し、密かにグランスパーダ内の冒険者支部へと駆け込んだ。
「潜入任務が得意な冒険者ですか?」
応対に出た受付嬢カリュー・オロストは、思わず考え込んだ。
イオレア曰く、スラム街の住民に成りすまして潜入し、根無し草のひとびとを大勢拉致している連中の懐に飛び込んで欲しいというのが、今回の依頼内容であった。
但し飛び込む相手がどうやらメドゥの指先らしく、住民拉致組織のトップとその周辺には授恵者らしき影が垣間見えるのだという。
「こうなってくると、流石にうちの隊だけじゃ手に余る。潜入技術に長け、そして授恵者相手でも十分に戦える冒険者の助力が必要だ」
勿論イオレアの隊も最大限のサポートはする。だが授恵者が敵として立ちはだかる場合には、矢張り冒険者の戦闘力を頼りにしたいというのがイオレアの弁であった。
「心配なさらずとも、そういう任務が好きな冒険者さん、きっと大勢居ますよ。すぐに募集かけますから、少し待ってて下さい」
拝む様な仕草を見せてから受付ロビーを去ってゆくイオレアを視線だけで見送ったカリューは、カウンター裏から依頼票を取り出し、必要事項を埋めてゆく。
するといつの間にかカウンター前にひとりの中年戦士が佇み、カリューが記入している依頼票をぼんやりと眺めていた。
「あらアーギスさん、いらっしゃったんですか? あ、良かったらこの依頼、受けます?」
「ん~、そうだなぁ……どうせ暇だし」
その戦士アーギス・マーレイの名が早速、依頼票の応募者欄に書き込まれた。
解説
マスターより
リプレイ
一見すると華やかな都であるグランスパーダ。
リーンエス王国の王都として、その絢爛豪華な佇まいは他の都市と一線を画す。
ところが一歩街壁の外に出てしまえば、世界が一変する。
寄せ集めの資材で無理矢理造り上げた汚らしい家屋が不規則に建ち並び、町と呼んで良いのかどうかすらも分からない、貧困の世界。
住民は揃って不健康で、饐えた体臭や排泄物の異臭、腐ったゴミや獣小屋の如き悪臭が漂っている。
餓死した遺体が道端に打ち捨てられたまま放置されていることなど珍しくもなく、まさに底辺のスラム街といった様相を呈していた。
そんな中にあって、スラム街住民に扮したシルヴィア・A・カペルは言葉を失っている。貴族令嬢たる彼女は地獄の様な貧民街の実情は、知っているつもりでその実、何ひとつ分かっていなかった。
(王都の外は……こんなにも酷い有様だったのか)
夕闇が迫る薄汚い路地。
妹探しを口実にスラム街を訪れたシルヴィアは、任務を一瞬忘れてしまう程の衝撃を受けて立ち尽くすことが何度かあった。
今までは遠目に眺めるだけで、足を踏み入れることの無かった世界。それがいざ、こうして直接目の当たりにしてみると、彼らが如何に悲惨な生活を余儀無くされているのかを改めて思い知った。
(シルヴィアには少々、刺激が強過ぎたかも知れない)
傍らに立つ用心棒兼お手伝い役のエル=バ=ノイアンは、驚いて言葉を失っているシルヴィアに気の毒そうな視線を流した。
この少し前、ノイアンとシルヴィアは青薔薇諜報員イオレア・シュデルと簡単な打ち合わせの場を設けた。ふたりはイオレアとの再会を喜んだ一方、今回の潜入調査は中々に厳しい旨を聞かされていた。
それはスラム街の住民を拉致しているのがどうやらメドゥの指先関係らしいという話だけではなく、王都外のスラム街の悲惨さが想像以上に凄まじいことに驚かされるだろうという点であった。
底辺に近しい生活を知るノイアンにはどうということは無かったが、侯爵令嬢として華やかな世界で育ってきたシルヴィアにはいささかインパクトが強過ぎるかも知れない――イオレアはその様な意味の台詞を口にしていた。そしてそれは、紛うこと無き事実であった。
同じ頃、アラン・スミシーとレピド・クロサイトのコンビはスラム街に幾つもある広場のうちのひとつで、聞き込みを進めていた。
いずれもシルヴィアの変装術の助力を得て立派な貧民に扮しているが、高貴な生まれのシルヴィアとは違い、スラムの住民として溶け込むのは然程の困難を伴わなかった。
アランは破産者を装い、レピドは病が原因で表社会を脱落した病人をそれぞれ装って、スラム街新人住民としてさりげなく居ついていた。
聞き込みを進めてゆくうちに、ふたりは拉致沙汰は起きていないという旨の情報が多いことに気づいた。その一方で、冒険者を思わせる格好の戦士が時折、スラム内各所の広場に姿を見せ、何かの働き口の人員募集をかけているらしい情報を得ることが出来た。
中々にキツい仕事だが給金も悪くないという触れ込みで、比較的体力のある者が応募し、スラム街を出てゆくのだという。
そして帰ってきた者は、ひとりも居ない。だがそれは当然だろうと考える向きが大半だ。折角働き口を得たというのに、態々スラム街の如き底辺生活に舞い戻る物好きは居ないだろうという理屈だ。
(ま、それも確かに一理あるか)
アランは拉致者の口実には無理が無いことを認めた。誰もこんな地獄に留まりたいとは思わない。メドゥの指先はスラム街住民の切なる思いを巧みに利用しているともいえる。
「……拙いな。少し広過ぎる」
バンダナとフードで顔を隠したまま、レピドは渋面を浮かべた。念の声での連絡が他の仲間と通じない、というのである。それも仕方の無い話で、テレパスの有効範囲は僅か100メートル以内。
一方、このスラム街は王都の街壁周辺に広大な面積で広がっており、その範囲は数百メートルにも及ぶ。テレパス程度の連絡手段では、とてもではないが賄い切れない。
その時、レピドが腰を下ろしている壁際の隙間から、一匹の栗鼠が顔を出した。
ヴァン・ローラントがエーテルリンクを繋いでいるペットだった。テレパスと異なり、エーテルリンクは最大1キロメートルまで維持が可能だ。直接的な連絡手段としては最長距離を誇るといって良い。
レピドは栗鼠に、自身が収集した情報を小声で語りかけた。栗鼠の聴覚はヴァンとも繋がっている。ヴァンからの報告は貰えないにしても、自身が得た情報をヴァンに伝えることは可能だった。
●連れ込まれた先は
レピドからの報告を栗鼠の聴覚経由で受け取ったヴァンは、スラム街住民に扮したアーギス・マーレイとベルク・オスマットの両名に、矢張り広場で網を張る方向で間違い無いと頷きかけた。
「拉致している連中は仕事斡旋を名目に住民を釣り出しているらしい。俺達も、それに乗ろう」
いってから、ヴァンは分身の栗鼠を近くの屋根上に待機させ、広場に接近してくる非住民の姿を探した。
「この演技で引っかかってくれれば良いが……しかし久しぶりに木の根を齧ったが、凄まじく不味かったな」
小さくぼやきながら、尚も手にした木の根を齧り続けるベルク。スラム街住民は大半が無気力な為、暴力沙汰を引き起こすという策は不発に終わっていたが、そもそもの目算が誤っていた。敵は働き口斡旋の名目で動いているのである。下手なトラブルは却って連中を遠ざける結果になりかねない。
そして、現れた。
三人が屯している路地近くの広場に、冒険者風の戦士三人が現れ、仕事を斡旋するから希望者はついて来いと声をかけているのである。
ここでアーギスの、それまでやる気の無さそうだった瞳が僅かに煌めいた。
「やっぱり、あいつだったか」
イオレアから斡旋仲介者の人相を聞いた時から、確信を抱いていたらしい。
募集に現れた戦士の内のひとりは、大剣を背負った女戦士だ。その人物はアーギスのよく知る人物だった。
「エリスリシア・トルド……青の中指の配下で、今もメドゥの指先として行動しているんだったな」
ヴァンはイオレアから貰った人相書きと広場に現れた女戦士の横顔を見比べた。イオレアもエリスリシアの存在を知っていたからこそ、今回の大量失踪にメドゥの指先が絡んでいることを即座に見抜いたとの由。
「俺はあいつに面が割れてるから、お前ら、行って来い」
アーギスの指示を受けて、ヴァンとベルクが広場へと向かうべく腰を上げた。
当初、ヴァンは先手を打ってメドゥの指先に攻撃を仕掛ける腹だったが、ここで騒ぎを起こしてしまえば真相は闇の中だとアーギスに窘められた。
「まずは敵の懐ん中に飛び込め。ベルクもついていく気満々なんだし」
その様な訳で、ヴァンはベルクと共に敵のアジトを目指すこととなった。
そして軽い身体検査が実施されることを見越し、ふたりの得物はアーギスが預かった上で、彼が後から距離を置かずについてくるという算段となった。
この直前、ヴァンはノイアンに念の声を送り付けて敵内部に潜入する旨を知らせている。敵のアジトに辿り着いたら、後は暴れ回るだけだった。
「栗鼠を配置していく。一匹はレピド班に張り付かせてあるから、シルヴィア経由で彼らに連絡が行ったら、そのまま案内させよう」
それだけいい残して、ヴァンはベルクと共に広場へと走った。
ヴァンとベルクが他のスラム街住民と共に案内されたのは、王都郊外の豪奢な別荘地だった。
広々とした邸宅の敷地内へと呼び込まれると、今度は母屋とは異なる別棟へと連れ込まれた。そこは妙に寒々しい空間で、何の調度品も無く、ただ単に広いばかりの一室だった。
エリスリシアを含む戦士達はそこで、更に別の、三つの人影と言葉を交わしている。
ひとりは、やけに身なりの良い中年男性。そして残るふたりは、黄色味がかった肌と黒い髪、黒い瞳が特徴的な人種で、衣装も黒づくめであった。
(まさかあのふたりは、シャルガネ居住区民か?)
黒衣のシャルガネ居住区民、そしてメドゥの指先。この繋がりに、ベルクは脳裏で嫌な予感を覚えた。
「今回も中々、活きの良さそうなのを集めて下さいましたな。流石はゴルティエ・アウトソーシング。いつもながら確かな仕事振りに御座る」
ふたりのシャルガネ居住区民のうち、年嵩の黒衣の男がにこやかに頷きかけた。
身なりの良い中年男は、いつもご利用ありがとうございますと貴族の礼を以って返礼。その優雅な仕草を見れば、この男の立ち位置というものが大体、察することが出来た。
年嵩の黒衣の男は続けて、もうひとりの若い黒衣の男に対し検品せよと指示を出す。若い黒衣は何もいわずに連れてこられたスラム街住民のひとりを手招きで呼び寄せ、衣服の上から手を触れたり顔を覗き込む等して、健康状態をチェックしている様子だった。
ひと通りの確認を終えてから、若い黒衣は年嵩の黒衣に視線だけを向ける。
「申し分無う御座る。屍餓鬼の素材としては、十分かと」
直後、年嵩の黒衣は前開きの衣服の懐に入れていた右手をさっと抜き出し、何かを投擲する仕草を見せた。
咄嗟に拙いと判断したヴァンとベルクはすんでのところでしゃがみ込んで難を逃れたが、何も分かっていない他のスラム街住民達は、喉に小さな刃の飛来を受けて、血飛沫を迸らせながらその場に昏倒した。
「……エリスリシアさん、これは、どういうことですか?」
ヴァンとベルクの回避行動に、身なりの良い中年男は明らかに動揺していた。エリスリシアを含む三人の戦士達は、苦虫を噛み潰した様な表情でそれぞれ得物を抜き払う。
「冒険者が紛れ込んでいたみたいね。もしかして王家の手先か何か?」
エリスリシアが一歩踏み出した瞬間、別棟の窓の外から幾つかの影が飛び込んできた。
シルヴィア、ノイアン、そしてアーギス達だった。
●絢爛豪華の都、その正体
得物を構えて屋内に飛び込んだ時、シルヴィアは喉の奥で思わずあっと叫んだ。
黒衣のふたりがいずれも、天陽道の唱紋士であると咄嗟に見抜いたのである。
「皆、警戒して! あのふたり、多分天陽道だ! かなり手強いと思う!」
だが、シルヴィアが警鐘の声を放つよりも先に、アーギスが大型戦斧を振りかぶって年嵩の黒衣へと一気に迫ろうとしていた。
年嵩の黒衣はアーギスの接近を許す前に、豪炎の壁を作り出した。炎はほとんど一瞬で消えたが、その時には既に、黒衣のふたりは姿を消していた。
「確か、桐蓬忍道の堰辺火遁とかいう離脱術か」
ノイアンは過去の天陽道関連の報告書から、記憶の断片を蘇らせた。
天陽道のふたりは取り逃がしたが、しかし真相は大体、分かった。これまで行方不明となった大量のスラム街住民は、恐らく屍餓鬼と呼ばれるアンデッドの素材にされていたのだろう。
しかしシャルガネ居住区民の彼らが直接動き回ったのでは、余りに手間がかかる。そこでメドゥの指先を仲介として、スラム街から多くの素材を掻き集めていたに違いない。
分かってしまえば、どうという話でもなかった。
後は目の前に残っている連中を成敗し、青薔薇を通じて王家に真相を知らせれば、任務完了である。
エリスリシアには、ベルクが背後から奇襲を仕掛けた。が、流石に青の中指のもとで数々の戦いを生き残ってきただけのことはあり、そう簡単に仕留めることは出来なかった。
一方、ノイアンはシルヴィアの魔術支援とヴァンの援護射撃を受けながら、残るふたりの戦士を相手に廻している。この戦士達はエリスリシア程の技量は無く、まずひとりをものの数合で斬り伏せた後、更にもうひとりは手足に斬撃を加えて、動きを封じた。
戦いの趨勢が決したところで、シルヴィアは慌てて逃げ出そうとしている身なりの良い男の前に立ちはだかった。その男の顔つきに、シルヴィアは見覚えがあった。
「貴殿は確か、ゴルティエ侯爵殿の筆頭家士ではなかったかな?」
「ひ……カ、カペル家のご令嬢殿か!」
ゴルティエ邸筆頭家士の男は踵を返して別方向へ逃げ出そうとするも、それより早くシルヴィアが動き、あっという間にこの男を戒めた。
残るはエリスリシアただひとり。だがベルクは高機動戦闘力で優位に戦いを進めつつも、決定打に持ち込むことが出来ない。そしてエリスリシアはノイアンとヴァンが参戦してくるタイミングを見計らい、懐から閃光塗弾を取り出して炸裂させようとした。
目潰しであることは明白だった。相手の動きを直前に察知したノイアンはエリスリシアの手から閃光塗弾を叩き落とし、最後の逃走手段をも封じた。
ここに至って、エリスリシアも観念した。それまで構えていた大剣を放り出し、両手を挙げて降参のポーズを示した。
ゴルティエ邸筆頭家士とエリスリシア達を捕縛したところで、アランとレピドが屋外から引き返してきた。ふたりは逃走した唱紋士達を追跡しようとしていたのだが、実力的には明らかに敵の方が格上であり、余りに危険であった為、追跡は断念せざるを得なかった。
「でも、こっちは上手くいったみたいだね。さてそれじゃあ、メドゥの指先さんは何をしたかったのか、おじさんにもじっくり話て貰おうかなー?」
やけに凄みのある笑顔を浮かべるアラン。
中年の筆頭家士は恐怖で縮み上がっていたが、エリスリシアはふんと鼻を鳴らしただけだ。授恵者としての経験や技量では、アランはエリスリシアには到底及ばない。こういう手合いには、凄みを利かせても意味が無いことを、アランはよく分かっていた。
「はいはい、OK、OK。おじさんが悪かったよ。訊き方を改めるべきだね。君の名はエリスリシア・トルド。青の中指の部下ってことは、こちらのゴルティエ邸筆頭家士さんも同じ穴の貉ってことなのかな?」
「あたしは折衝担当じゃなく実働部隊だからね。詳しい話はそっちの家士さんに尋ねた方が手っ取り早いよ」
エリスリシアの言葉に、嘘は無かった。
ゴルティエ邸筆頭家士の男は、自身がメドゥの指先と繋がっている事実を認めた。
ニコラ・ゴルティエ侯爵。
始まりの百家以来の格式を持つ壮年の法衣貴族。ニコラは王の直轄領の商業的な差配を司る内務官僚であり、現在の商業面の長官に当たる人物である。
その公平な態度と国王への忠勤は法衣貴族の鑑だと称えられ、彼を悪くいう貴族は稀だとさえ噂される。
それ程の人物の部下が、メドゥの指先と繋がっていたというのである。
後にイオレアから報告を受けたレオポルド・グラハイム伯爵は、渋面を浮かべたまま何もいわなくなったという話であった。
今回は飽くまでも筆頭家士が関わっていただけに過ぎず、ゴルティエ侯爵本人が黒という訳ではない。
リーンエス王家は難しい舵取りを迫られた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2022年08月20日 23時44分46秒 公開
相談掲示板
レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 ひとまず俺はホムンクルスとバレると変に目立ちそうだし、賢者の石は隠して行動しようかと思っている。
アラン・スミシー、ヒーラーだ!どうぞよろしく! 変装と話術はある程度心得ているよ、基本的にスラム街の人に 聞き込みが中心になると思うけれど、 具体的な方策は練って行こうと思う~。
探偵をやっているヴァンだ。 俺はスラム街の住人に成りすましてみようと思う。エーテルリンクでリスの視界から怪しい奴がいないか監視しよう。 それで運よく人さらいの現場を見つける事が出来たらテレパスで連絡を取り合いたいんだが、他は誰か持っていける人はいるか?
シルヴィアだ。今回はよろしくね。 暴力を使って拉致している訳ではないということは、攫われた人間の関係者を見つけられれば誘き出された状況や狙われている人間の傾向、犯行場所を掴むことは出来そうかな。 上記を含め、メドゥの指先と思しき集団についてイオレアから詳しく話を聞いてみたいと思ってるよ。 スキルについては、今のところは変装と演技を持っていこうと思っている。攫われている人間に合わせて変装・演技して、敵さんを誘き出せたらと思って……まぁ、私と全く要素が合致しない可能性もあるのだけど(汗 テレパスも必要だと思うし、一緒に動いてくれる人がいると有り難い。 >ノイアン という訳で、もし良かったら一緒に行動しないかい? 君の変装のサポートも出来ると思う。 設定としては、訳有りの娘と傭兵とか……テレパスを持っていって貰えたらヴァンと連絡も取りやすいし助かるんだけど、どうかな(スキルのお願いもしてしまっているし、難しい場合は遠慮なく断ってね)
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 何処かから逃げ出してスラムに居ついた逃亡獣人奴隷の設定でスラムに入り込もうと思う。 何処かに消えても誰も気にしない、おかしくない存在なら標的にしてもらえそうなのでな。
遅参すまない、ウォーリアのノイアンだ。よろしく。 さて…そうだな、俺は変装の技術を習得していないから、シルヴィアの世話になることにしよう。それと、連絡用にテレパスがいるということであれば持っていく。 >シルヴィア …というわけで、よろしく頼む。 拉致されている人々のプロットもしたい。年代、性別、種族…共通点が見つかればいいんだが。 それから戦闘部分…市街地戦闘となるのなら留意すべき点も上がってくる、か。それらに備えてマッピングもしておこうと思う。
こちらは変装と話術使うからテレパスについてはゴメン! 拉致されている人の共通項か……こちらも気をつけて 聞いていこうと思う、情報聞く人は多い方が良いだろうし。 こちらはスラムに入りたての落ちぶれた人間とかそのあたりかな。 すぐに戦闘に入れるように武器諸々隠し持っとこうと思う~。 それとねぇ……「何のために拉致されてるか」を知りたいんだよね。 深い情報を知りたいけど、果たして自白するかねぇ……。 相手が情につけいるスキがある相手ならなんとか 説き伏せるんだけども。
ノイアンはお誘いの快諾ありがとう。よろしく頼むよ。 >テレパス ノイアンにもOKを貰っておいて心苦しいんだけど、参加人数6人のうち2人がテレパス不所持の方向というのと、スラム街の広さ・テレパスの効果範囲を考えると、今回はテレパスは持っていかずに時間を決めて情報共有の方が良いかもしれないね。 >緊急事態での連絡方法 強引に連れ去っているわけでは無いらしいから、敵に「考えさせて欲しい」と頼んで日時と場所を改める手もありそうだ。 不意打ちで薬を使う……というのは暴力だから無いと思うけど、その時は大声で叫ぶ、逃げるも有効かな? 誘き出すなら囲い込みも出来そうだと思った。 攫われる人の共通項は調査していくうちに分かると思うんだけど、「何のために拉致されてるか」は下っ端だと知らない可能性もあるかも。戦闘で集団のリーダーを戦闘不能にして捕縛、自白させるのが良いかな。
俺もスラムに来たての新人風に装う感じかな…… 顔色が常時悪いから病気かなにかで社会からはみ出した人間、みたいなイメージで。 スラムで大勢、騒ぎにもならずに消えるとなると職を斡旋するとか都合の良い事を吹聴して連れ出してるのかな……?とぼんやり考えてる。 まあこの辺は情報収集でわかっていくのだろうけども。 >テレパス 一応習得はしてる。 時間を決めて情報共有にしても6人……いやアーギスもいるから7人か。 とにかく一度に集まると怪しまれそうだし、そういう意味ではまずテレパス同士で情報共有→持たない仲間に個別で情報共有と段階を踏むのはどうだろう。
「何のためにしているか」、もし口を割らない相手なら サイコメトリーもまぁまぁ手だから悩ましいなこれ……。 戦闘力が低いってことは 精神感応系もそれほど強くないんじゃないかと思って。 他に変装持っている子がいるのなら変装させてもらって 話術と残留思念感応を持つのもいいかなと。 口を割らない相手に尋問して、 隠そうとしていることを読み取る形だね。 10分以内ならそれなりに鮮明なものが読み取れるはずだから、 尋問しながらサイコメトリーする感じになるー。
相手の現在の感情を知るならエンパシーも良さそうだと思った。 今回、持って行きたいスキルが多くて迷うね……。 >テレパス 確かに一度に集まって情報共有は怪しまれそうだね。テレパス同士で情報共有→持たない仲間に個別で情報共有という流れに賛成だよ。 >変装 アラン、もし良かったら私が変装のサポートをしようか? 「変装の助力が欲しい人がいたら手伝う」という感じでプレに書いておくよ。 他にも手伝いが欲しい人がいたらプレに書いて貰えたら。
シルヴィアくん、ありがとう! じゃあお言葉に甘えて変装させていただくね。 そうすると今回は話術と残留思念感応使おうと思うから、 テレパスとエンパシー使えるひとがいたら助かる~。 エンパシー、持ってるんだけど枠がね……! 具体的に考えていることなら残留思念思念使いつつ尋問が 良いラインかな~。エンパシー併せたら嘘と本当が わかりやすくてよさそうだから、ご一考いただけると幸いだ。
……エンパシー取ってみた。 テレパスも持っていくつもりだから汎用はこの二つになるかな。 情報共有のこともあるし、アラン、今回組まないか?良ければだが。
お、レピドくんと組む、いいよ、了解! 変装させてもらって、情報引き出して、 そんで拉致集団ポコポコしたあとは 聴取タイムってところかな。 自害とか物騒なことしないと良いんだけどね……。
ふふ、了解だ。変装はLv5にしている。皆の希望に添う出で立ちに出来るよう尽力しよう。 レピドのエンパシーとテレパスも助かるよ。敵への尋問や情報共有でも頼りにさせて貰うね。 流れはアランが言ってくれたもので良いと思う。 敵の捕縛用にロープを持って行こうかな。 >ノイアン 少しメタ的な話になってしまうのだけれど、MSさんによっては出自による所作や雰囲気への対策をしていないと怪しまれてしまう事があるから、出来れば演技も持って行きたいなと思っている。変装と同じく演技も助言できればとも。 それと同じ位、話術や洞察も欲しいと思って悩んでいる。ショップで売っている宝石を握らせて交渉スキル活用という手段も使えると思うし……ノイアンの持って行くスキルに合わせて考えたいから、もし良かったら予定スキルを教えて貰えると助かるよ。
悪い、間が空いてしまった。 >テレパス 流れは把握した。テレパスの連絡域も網状にすれば広範囲をカバーできるから…うまく動くとしよう。 >変装 こちらも忘れずに書かせてもらおう。助かる。 エンパシーは上手くハマれば面白そうだ。俺はもうひとつの汎用をどうしようか迷っているんだが…洞察も組み込んで、エンパシーの補助ができればと思っている。 あ…と戦闘だな。 基本的に盾役として立ち回ることが多いんだが、今回は相手を逃さないように殺界などで囲っていこうと思う。
うっかり更新を忘れて発言が被ってしまった、すまない( 予定スキルは上げた通りだ。威圧も使えそうか悩むが…スキル枠3つにならないか?(ならない) というわけでもろもろ了解、だ。
可能であれば演技持ちたいところだから スキル枠3つにならないかな!?ならないかー! 話術でカバーできるようにするけど基本的に怪しまれないラインで 放浪することにするね、メインは聴取担当になろうと思う! 戦闘の時はおじさんレベルの通りだけど ヒーラーとしてなんとかできる…はず!よろしく!
っとと、丁度同じくらいの時間に見てたね。 ノイアンはテレパスと洞察だね。頼りにさせて貰うよ。 スキル枠は確かに3欲しい……!( 実は別の潜入依頼で突っ込まれたことがあって……>出自による所作や身だしなみ 変装・演技で皆をサポートする方向にしようと思う。私自身も演技で所作や言葉遣いを変えてスラム街に溶け込めるようにするね。調査の時はノイアンの洞察も頼りにさせて貰いつつ、プレで話術をカバー。スラムにも顔役や情報屋がいるだろうし、その人たちにも当たってみようと考えている。交渉・万が一の口止め用にショップの宝石(低品質)も持って行くつもりだ。 先述通り、攫われている人間に合わせて変装・演技して敵さんを誘き出せたらとも思っている。ベルクや別の一般人の方が適任になるかもしれないし、一応想定しておく位で。 >戦闘 戦力は未知数、トップとその周辺には授恵者も居るけれど冒険者数名程度で対処出来る強さ、か……あまり長引くのも目立つかな。回復と識別範囲攻撃、逃走防止用に光縛封を持って行く予定だよ。
考えてる内にスラムに居る闇商人をする方が それっぽい気もしてきたな……演技は持てないので、 演技じゃないことやるならうさんくさいトークしてる方が良い気がしてきた…… というのはともかく、 演技持ちの子を中心頑張って情報引き出して拉致の正体突き止め、↓ 発見次第戦闘↓ 捕縛して尋問 の流れで相違はなさそうなら、頑張って尋問担当するね!
あ、勿論演技スキルについては必須じゃないと思うよ……!それぞれのプロフィールでも補正がかかると思うし、何より一番重要なのはプレイングだから。尋問も頼りにしているね。
俺もモブパワーとか……持っていきたかった……二つはなかなか厳しいよな。 >変装 シルヴィアを頼りにさせてもらう、どうかよろしく頼む。 >戦闘 逃走しようとする奴がいたら疾風足で追いかけて縛糸刃で束縛を狙おうかと。 逃がさないようにきっちりカタをつけたいな。
ありがとう!演技があると強いかなって思ってるだけだけど、 念には念をってところだ! そしておじさんの肝心の尋問パートが心配だな…… どう切り出した方がいいとかあったら言っておくれー頑張って話すよー
了解、レピドの変装も全力で手伝わせて貰うよ。 尋問か……戦闘後になるから相手にやましい事情があるのは分かっているし、ストレートに集団の正体、メドゥの指先について聞いてしまっても良さそうだと思う。 明日出発だね。皆、現地ではよろしく。
おっけー了解! じゃあプレイングみんな忘れずにねー!