キャベツ畑をまもれ!

馬車猪

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シナリオID:2091

オープニング

「猪がでたぞー!」
 鐘が打ち鳴らされる。
 家々の扉が内側から開き、カマやクワで武装した農家の皆さんが目を血走らせて畑(戦場)へ向かう。
 だが既に陥落寸前だ。
 亜人ゴブリンの猛攻にも耐えるはずの丸太柵は助走をつけたイノシシに跳び越えられ、畑で育ちに育ったキャベツが無惨に食い荒らされている最中だ。
「やれー! ころせー!!」
 怒り狂っていても体に染みついた技術は消えない。
 体格の良い男達が重厚なクワを構えて槍衾をつくり、女性陣や未成年が息をあわせて石を投げる。
 技術も根性もない亜人ゴブリンなら、石が体に当たる前に士気が砕ける猛攻だった。
 だが敵は野獣(イノシシ)だ。
 強靱な毛と分厚い筋と脂肪が天然の鎧となり石を防ぐ。
 ふごぉ、ふごぉと鳴る激しい呼吸は厳つい男達も怯えさせ、畑を食い荒らした野獣(イノシシ)が去る時間を与えてしまう。
「またやられたぁっ」
 リブラネスタ近郊の村に、野太い悲鳴が響いていた。

●
「みなさんおはようございます」
 薄ら霧が漂う早朝に、冒険者ギルド主催の説明会が始まった。
「朝早くからお集まり頂き感謝します」
 相手が今朝手続きを終え冒険者になったばかりの新人でも、世界の行方を左右する決戦に何度も参加した熟練でも態度は変わらない。
「今から、冒険者ギルド主催の依頼説明会を開始いたします」
 おー、と物珍しげに集まっていた農家のみなさんが拍手をする。
 なお、一般的には早朝でも農家にとっては一仕事終えて一休みの時間であった。
「この依頼は戦闘依頼です。敵は猪。猪型魔獣でも猪型クリーパーでもない普通の動物です」
 ギルド職員は全体を見てもいるが幼い外見のホムンクルスを意識している。
「魔獣はクリーパーより弱く、普通の獣は魔獣より弱いです」
 熟練冒険者ならスキルを使わなくても楽勝です、と断言するが表情は冷静なままだ。
「ただしそれは戦闘に限るならです。ご覧下さい」
 職員の背後には広々としたキャベツ畑が広がっている。
 収穫が終わったのは半分ほど。
 しかし残った半分の2割ほどには無惨に食い荒らされた大玉キャベツが数十で転がっている。
「キャベツを守りながら、畑に必要以上の被害を与えないよう気を付けながら戦う場合は普通の(簡単ではない)依頼になります。みなさんがリブラネスタで食べたキャベツ料理もここのキャベツが使われているかもしれませんね」
 キャベツに被害が出たら値段が上がって少ししか食べられなくなるかもしれませんよと、かつてあったはずの知識が消えてしまったホムンクルスに説明する。
「以上の前提に基づき冒険者ギルドから提案します。熟練のみなさんにとっては常識でしょうが……」
 村人には安全な場所を守るか警戒してもらい、冒険者が囮になったり敵が襲いそうな畑を冒険者だけで防衛したりする。
 頻繁に使われる作戦であり、つまり陳腐でも有効な作戦ということだ。
「もちろん、依頼に参加されるなら自由に行動して下さって構いません」
 依頼成功のための行動なら、少し危険であっても許される。
 これまで冒険者が積み上げてきた信用のおかげだ。
「重要なのは依頼を成功させること。今回ならイノシシを倒し、その上で被害を大きくしないことです」
 大玉キャベツを育んだ土は豊かで畝も美しくすらある。
 ここは農家の財産であり、リブラネスタの食を支える場所の1つなのだ。
「依頼に参加して頂ければ幸いです」
 ご清聴感謝しますと、深々と頭を下げるのだった。

解説

●目的  イノシシ5頭以上の撃破 ●戦場  柵に囲われた畑とその周辺。キャベツがいっぱいです。天気は晴れ。微風。時間は朝から夕方までのいつか  畑にいれば確実にイノシシと戦えます  柵の外で戦う場合は罠を仕掛けることも可能ですが、イノシシを探したり追いかけたり追い込んだりする工夫が必要かもしれません  戦場になる畑以外の畑は、地元の農家のみなさんが守ってくれます ●敵  よく育った猪達です  体長1.2~1.6メートル。移動4  生命が高く、物理防御と物理攻撃が高めで、抵抗と知性がとても低く連携は皆無です  助走をつけて大きく跳躍して柵を跳び越えることができます  これは攻撃にも転用可能ですが、命中が大きく低下します  畑に対する襲撃は、十数頭で行われます

マスターより

 熟練冒険者の参加も大歓迎です

リプレイ

●
「帝国という方々への復興助力と研修を除けば、今回が初仕事となります。よろしくお願いいたします」
 貴金属を思わせる光沢の白髪がさらりと揺れた。
 礼儀正しく純真(正直者)が頭を上げる前に、無骨な手による温かな拍手が送られた。
「まるい植物。「きゃべつ」というのですね。珍しい形状をしています」
 フローライトは受け取ったそれを裏返し、爽やかな青の瞳を忙しく瞬かせる。
「はんぶん」
 乱雑に囓られている。
 牙と咀嚼の跡も生々しく、これまで無意識に感じていた獣臭さの正体にも気付く。
「これが餌に使えるのかよ」
 記憶がある程度戻っているのか、あるいは記憶がないからこそ踏み込めてしまうのか、同じくホムンクルスであるルイドは少々荒荒しい。
 村人は怯えはしないが驚いて、少し早口になって弁明じみたものを口にする。
「良いのは街に送って金に換えるし少々駄目なもんでも食っちまえば同じだから」
 罠の材料として依頼された品も質・量ともに乏しい。
 刃も鉄製ではなく木製。
 再利用できるものはぎりぎりまで再利用するので、基本的に物は余らないのだ。
「礼は言っとくぜ」
 ルイドは目を見て彼なりの感謝の言葉を伝え軽く頭を下げる。
 賢者の石が、朝日を浴びてきらりと光った。
「猪がやって来る方向に心当たりはありませんか」
 アムールが穏やかにそして手際よく情報を聞き出している。
(何故仮面を? 地元の風習? 大きな怪我があるのじゃろうか)
 仮面の理由は恥ずかしがり屋なだけである。
「なるほど。猪は思っていた以上に頭が良い……」
 アムールは詳しく聞いて正直困った。
 猪は餌が多く守りが薄い畑を狙っているようだ。
「普通の獣こそ生きる事に強かなのだ。武装してない人間はあしらえる。魔獣ではないから無理と解ればさっさと逃げ出すと思うのだ」
 ストレガ・L・リベルガストラの言葉は穏やかで、しかし内容は決して甘くない。
「キャベツ分の落とし前はつけてもらうのだ」
 猪は、恵み(資源)である。
 だから当然、適切に数を減らすついでに徹底活用するつもりだ。
 ストレガは学者であると同時に猟師でもある。
 まだ無事な畑の近くに、猪による偵察の跡を見つけるのも簡単だった。
「時間との勝負なのだ」
 戦闘なら猪魔獣の大群も蹴散らせるストレガが、強い危機感を抱いて依頼にあたっていた。
「畑の護衛、ですか。生産力が落ちるのも野生の動物が育つのもよくありませんね……それに、私は狩りは好きですからね」
 ストレガほどの猟の知識はなくてもガルシアには力がある。
 熟練の前衛授恵者の腕力と体力は素晴らしく、本来なら馬が使うような大型農具で柵の外側に速度優先で穴を開けていった。
「リブラネスタに影響が出てしまうことだし……それに興味本位で村の子ども達が近づいて襲われたら危ないものね」
 背の高いシルディスが少し高くなった場所へ立てば、遠くにリブラネスタが見える。
「ありがとうございます」
 農家の若い男からバケツを受け取る。
 申し訳無さそうに渡されたそれは、文字通りの出来損ないで一部は腐ってしまった野菜達だ。
「有効に使わせて頂きますね」
 照れる男をその場に残し、罠作成班と合流した。
(ここが跳躍したときの足跡であそこが着地したときの足跡か。これは手強いぞ)
 ルイドは敵の評価を一段上に変更する。
 過って転落すれば授恵者でも怪我をしそうなガルシア作の穴(罠)に、途中で耐えても皮膚と肉を抉る位置に杭や刃を仕込んでいく。
 要所に、そして餌に気をとられた猪が触れそうな場所に。
 冒険者数人がかりの罠は、短い時間で凶悪さを急激に増していた。
「猪の討伐は手段であり、目的は「畑への被害抑制」と理解しました」
 フローライトの中から多くの知識が消えてしまったが知恵は残っている。
 柵の補強だけでなく、ロープを継いだ高さ延長など、専門知識がなくても有効に機能(猪が跳び越えようとしても困難に)する策を実行している。
「これで」
 アムールは罠(大穴)の上に細い枝や草を被せた上で、目立つ色の枝を×印にして置く。
 冒険者なら大丈夫だが普通の農家の皆さんならうっかりが有りそうなできばえなのだ。
 人間なら罠に気付ける工夫は本当に重要だ。
「!」
 餌として使う元野菜の臭さに、少し毛が硬くなったりもしたアムール(ハリネズミ型ハーフビースト)であった。
「仕留めるにしても数十匹同時に押し寄せられたら守りきれませんからね。多少足止めになれば」
 ガルシアは、魔獣ですらない相手にも決して油断しない。
 自ら持ち込んだ食料で腐った野菜の臭さをごまかし、ちいさく砕いて堀と柵の間に撒いておく。
「来たのだ」
 のどかでもあった準備は、ストレガの言葉で終わった。

●
 土煙を立てて猪の群れが突撃を開始する。
「お困りでしょうから、できるだけ次の被害がないよう殲滅したいですね」
 柵の外で格好をつけるレコーディアはある意味で困った存在だ。
 日に当たりピンクに輝くさらさらな長髪に、エルフらしい(今はホムンクルスな)美麗な顔立ちにすらりとした長身痩躯。
 賢者の石がお洒落に見えてしまうほど見事な色男っぷりだ。
 だから若い娘さんから熟練の娘さん(子持ち農婦)まで安全な場所から応援したりしている。
「一瞬でも隙が出たらその時に殴れますもんね!」
 彼が仕掛けた野菜に気を取られ、野生の本能と身体能力でぎりぎり堀を突破してきた猪に大剣を振り下ろす。
 重戦士見習い用の支給品だが授恵者の腕力があれば凶器と化す。
 強靱な毛と皮膚を切り裂き半ばまで埋まる。
 猪が前進を止められずしてずるりと刃が抜けると、脂肪の筋肉の層が一瞬見えてすぐに赤い鮮血がこぼれた。
「攻撃を当たらないようにできればこっちのものですからねイタタタタタァ!!」
 猪が柵越えを狙わずレコーディアを狙ったのはシーザーロア(殺気をのせたエーテル)に囚われたからだ。
 だから執拗にレコーディアを狙い、まだそれほど頑丈ではないレコーディアがちょっと苦労する。
「もう! 凶暴なんだから! でも私だって負けませんよー!」
 記憶を失った影響なのか、精神年齢は低いし倫理と知識は少し足りないが天真爛漫(元気で真っ直ぐ)だ。
 習った通りに盾で受けて鎧で耐え、大剣にエーテル(状態異常)をまとわせ執拗に猪の下半分(脚と腹)を狙っていた。
「今年の新人も豊作ですね」
 普通に生きている男と一部女性にとって刺激が強すぎるシルク・メイプルリーフが、柵の内側からレコーディアを見守っている。
 彼が怪しいピンクのオーラに包まれているのはシルクのせい(おかげ)だ。
 複数の能力が2割増しという恐るべき援護(バフ)魔法だが、彼を含めて初実戦の者は気づきにくいし気づかず戦闘に集中するのが一番良い。
「元気ですね」
 微かに唇を開く。
 一瞬見えた舌は、艶めかしいを通り越して人を狂わせる魔性の一部だ。
 新人冒険者の防衛戦を突破し跳躍した1頭の猪に対し、自らの胸から豊かな曲線を描く暖かく柔らかなエーテル光を放つ。
 猪を包み込んだ光が呼吸を阻害する。
 魔獣ですらない獣は抵抗にことごとく失敗し、食肉になる運命が確定した。
 堀(大穴)を中心に土煙が発生する。
 血のにおいも混じってはいるが、焦りと驚愕からの汗と気配のにおいが強い。
「獣の割に知恵が回る」
 ルイドは己の手札を思い浮かべる。
 エーテルブレードで射程を伸ばしての殺界(足止と攻撃)に、突撃(チャージング)に、遠当て(衝撃刃2)。
 どれも悪くはないが今選ぶのは大太刀に纏わせる特大光塊(闘気槌2)だ。
「その程度ではなぁ!」
 ルイドはホムンクルスではあるが既に何度も実戦を経験している。
 順調に成長した腕力と体力とそれで装備可能になった剣の力を十全に活かし、罠にも柵にも野菜にも影響を与えない武力(光の塊)を旋回させる。
 たった1度の旋回で、分厚い骨が砕けて絶命する音がいくつも響く。
「そっちにも来てるぞ!」
 警告しながら殺気を伸ばす。
 逃げ損ねた猪が、絶望で体を震わせていた。

●
(手強……くないわね)
 柵で堀の手前という非常に困難な地形であるのにシルディスの姿勢は安定している。
 常人にとっては躱し辛く当たれば大量出血になりかねない牙による攻撃(突撃)を、回避に集中することで確実に躱していく(100上回れば超高確率成功)。
 回避のタイミングで刃についた赤いエーテルを猪になすりつける。
 それは高速の猪から外れず皮膚と筋の中に吸い込まれ、猪の反応速度も移動速度も動きのキレも鈍らせる。
「ワタシだけでは時間がかかるわね」
 毒撃に切り替えて攻めながら、少し困った表情をしていた。
「資料である程度の情報は頭に入れましたが、実物は大きいですね。高さだけでも私より大きく……少し、おそろしいです」
 恐れるフローライトを馬鹿にする冒険者はいない。
 恐れる(危険を知る)ことも、恐れた上で判断と行動を誤らないのも重要なのだ。
 フローライトは自身の守りを固めつつ味方の武器を淡い光で包む。
 効果時間が切れる前に再度術を使うので結構忙しい。
(これで敵の被害は私が攻撃するより多く……いけません)
 熟練冒険者から逃げてきたのかは分からないが、おそらく明日になれば収穫が済んでしまうだろう畑へ複数の猪が突撃する。
 だからこうする。
(よろしくお願いします)
 祈りを起点に光の柱が出現する。
 魔法攻撃ができない猪には絶対に壊せない、絶望的な障害物であった。
(肉に血がまわるのだ)
 猟師としての自分(ストレガ)が焦っているのを自覚する。
 だが今は冒険者としての役割が優先だ。
「足止めするのだ。残り時間は……」
 戦場の一部に活きの良い稲妻が生じる。
 見た目とは違ってダメージなしで移動速度半減。逃げなければ狩られる猪にとっては大規模破壊魔法に匹敵する脅威だ。
「穴に嵌まっているのは後回しで良いのだ」
 近付いてエンライトで照らしだしても、首を上げてストレガに目を向けることもできないようだった。
(農家の皆さんに倒してもらうのは……)
 アムールの思考は逃げではない。
 猪の弱さを体で知った故の判断だ。
「いえ。どうせなら好評価を狙いましょう」
 追い抜きざまにダガーを当てる。
 力の入りきらない筋肉では防御しきれず、鋭い切り口から血が流れるが既にアムールは遠くにいる。
「どうしました。私なら倒せるかもしれませんよ」
 挑発だ。
 そして事実の一部も含まれている。
 冒険者による包囲を崩そうと、顔の形が似た猪が2頭、息をあわせて跳躍して大威力の体当たりを試みる。
(壁に登って)
 壁歩きで柵に横向きに登る。
(振り切る!)
 全身を使ってダガーを振り回す。
 そこまでしても頭に致命打は与えられない。しかし猪の体勢を完全に崩して首から地面に激突させるには十分だ。
 首が曲がった猪は息絶え、残った1頭は改めて正面から挑んだアムールに圧倒されていた。
「シシに語る言葉はありませんが……まぁ、斃させていただきますね」
 ガルシアは1人で広い範囲を担当している。
 迎撃に向かって来る野獣に対し、速度の微調整と姿勢の変更だけで牙はもちろん毛も触れさせない。
 そして一撃。
 刃から直線上に伸びるエーテル光が太い血管と骨を破壊し戦闘不能へ陥らせる。
 仲間を捨て駒に仕掛けた猪(シシ)は、攻撃の向きと速度を見切られて何も掴めずガルシアの前を通り過ぎていった。
「まったく」
 殺意を解放する。
 遠ざかる野獣も近寄る魔獣も区別無く怯えて棒立ちになる。
 一欠片の容赦もなく、ガルシアがキャベツ畑を荒らした経験のある獣を狩る。
「美味しく食べているところ申し訳ありません。ですがこれも戦いですので」
 隠れて餌を食べているつもりの猪(シシ)も手当たり次第に処理し、しかし最後の2頭は止められる。
「減りすぎると別の害獣が増えるかもしれないのだ」
 ストレガは猟師としても学者としても、殲滅は推奨できない。
 命を拾った雌猪は、2度と人間に近付かなかった。

●
 野菜の旨味と肉の脂が絶妙に絡まり、噛むたびに口の中に溢れていく。
 しゃきしゃきした野菜の歯ごたえと猪肉の弾力の違いが面白く、気付いたときにはそれらを包むパンごとお腹の中に消えていた。
「いかがですか?」
 慣れた様子で鉄鍋を振るシルクに問われ、感動のあまり意識が半ば飛んでいたフローライトが戻ってくる。
「美味しい、ですね」
 戦闘後の体に染みこむようだった。
 ストレガは忙しい。
 猪の死体を冷やして良い水場と解体作業をして良い場所の確保交渉に始まり、死体の運搬まで行った後も20を超える数の解体作業が待っている。
 優れた猟師であり料理人であり高位の授恵者であるストレガでも大変だ。
「わ! やらせてくださいやらせてください!」
 近くのお嬢さん(農家の子)達と話していたレコーディアが戻ってくる。
 骨から肉を外して料理の下ごしらえまでを楽しく歌いながらするレコーディアは、文字通りに血生臭い作業を少し明るくしていた。
「こうやって誰かとご飯なんて、いつぶりになるのかしら……」
 シルディスは鍋をかき混ぜる動作で、忘れさせられた記憶が刺激される気がした。
「仕留めたシシの一匹、いえ一部くらいは……貰ってもいいのですよね」
 体力と猟師の心得を兼ね備えたガルシアは、ストレガと同水準に働くことになってしまっている。
 枝肉を2頭分持ち帰れる約束にはなっているが手間賃としては格安である。
「可食部を潰さねぇよう注意はしたんだがな」
 ルイドは見た目にも臭い的にも苛酷な解体と血抜きと処分を担当している。
 戦闘の最中に命を絶たれた後の肉は壮絶だ。
 運悪く内臓を裂いてしまった場合は糞尿が飛び散り食用には使えなくなっているし、そうでなくても強張った肉に血が入り込んでいる。
 子供には少々以上に刺激が強すぎるので率先して引き受けている。
「折角なんでなるべく美味く味わいてぇからな」
 焼けましたよー、という声が遠くに見える野外調理場から聞こえた。
 材料は多いが時間制限付きだ。
「料理を作るのは得意というわけではありませんが、お手伝いは孤児院でよくやっていたわけでありまして」
 アムールは食べるのはエネルギー補給のための最低限で野菜を洗って切って窯に薪を足す。
 時間があればもっと丁寧に作れる自覚はあるが、肉を保存できる冷暗所には既に野菜がいっぱいなのだ。
「しかしこの食材は……」
 新鮮レバーの味が、料理が終わっても舌と記憶に残っていた。
「骨や糞がそのように使用可能なのですか? 皆さまは博識でいらっしゃいますね」
 フローライトは間違ってはいないが正しくもない知識を農家のおっちゃんから教わっている。
「正確には毒(ゴミ)を加工して害のない肥料にするのだ。食事時にその話題はどうかと思うのだ」
 ストレガは農家に一言注意し、水分補給を素早くすませて解体作業に戻る。
「余す事無く使う事が供養となるのだ」
 なるほどなー、と直前まで師匠ぶっていたおっちゃん達も素直に頷いていた。
「なかなか良いお仕事でした! 幸先が宜しいことです」
 レコーディアが空になった深皿に匙を置く。
 猪という脅威から解放された村は暖かな気配で満ち、これからの冒険者生活を祝福しているよう感じられた。

マスターコメント

 お疲れ様でした。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2022年04月20日 09時56分39秒 公開

成功

相談掲示板

  1. No.1

    シスターシルクです 今回はどちらかというと慣れてない人たちのフォローに回らせていただきますね ブルーフレアでの能力底上げと万が一突破されたとき2体までなら何とかしましょう お仕事が終わった後は美味しい猪なべですよー

  2. No.2

    ヒーラー、フローライトと申します。 帝国の復興助力(DA)と研修を除けば、今回が初仕事となります。どうぞよろしくお願いいたします(ぺこり) 依頼内容は『猪の討伐』となっていますが、大目的は『畑への被害抑制』とのことで理解しました。 柵は跳躍により越えられることで役を果たせぬようでしたら、一部の柵を回収して他の柵の上へロープで継ぎ、高さを増すなどすれば簡易的な壁として機能しませんか。 私ができること……。 光縛封や祈雷での足止めやルート誘導、および魔矢での討伐になると思われます。

  3. アムール

    シーフのアムールと申します。 ハーフビーストの身でありますが、まだ若輩者の冒険者故、 皆様と共に勉強させていただければと思い、馳せ参じさせていただきました! 目的はフローライト様の言うように、畑への被害抑制を第一にしながら、 イノシシを退治するのが一番のように思われます。 一部の柵を高くするのは、イノシシが来るまでの間にやっておくと良さそうに思われますね。 問題なくできそうなら、私もお手伝いします故! もし罠を仕掛けるのであれば、落とし穴などが効果的でしょうか。 もし作るのであれば、目印をしておけば我々がうっかり落ちることもなさそうです。 私としては、効果があるなら罠は作っておいて損はないと思われます。 私の個人の行動といたしましては、 縛糸刃や毒撃などを使い束縛やスリップダメージを狙いたいと思います。 それと移動力を生かして上手くイノシシを誘導できればと思います。 エアーライドあたりでイノシシに乗っかってみる事も考えてみようと思います!

  4. レコーディア

    ウォーリアのレコーディアと申します。 お仕事はこれが初めてでございます。どうぞどうぞよしなに! 宜しくお願いしますね。 メイン戦場を柵の中にするか外にするかは決めた方が宜しいでしょうか。 柵の中で戦うなら猪が入ってくるまで大人しくしたほうが良いのかもしれませんし、外で戦うなら十数頭を一箇所に追い立てたり誘い込んだりする必要がありそうな気がします。 畑の中に誘い込んで、キャベツを守りながら戦うのが一番楽かもしれませんね。 そもそも畑に入らせない方なら⋯⋯外側の一箇所に果物とか置いておくとそっちに誘われてくれたりしませんかね⋯⋯。 >柵や罠 畑の外側で戦う場合、戦闘場所への誘導を行うなら、そこに面する柵を高くしておくことは大変有効そうですね(頷く 罠も同じく、作っておくのはとても良いと思います。手伝えそうなことがあれば手伝います。 >個人の行動 シーザーロアで単体の引きつけ、カバリングでキャベツを守ったりきっとできますね! 外側で戦う場合、畑に入ってしまった猪や単体で離れてしまった猪を、こちらが戦いたい場所までちまちま誘導することはできるんじゃないかなーと思っております。

  5. ルイド

    ウォーリア、ルイド。 よろしく頼むわ。 猪を畑の中に入れつつキャベツ守って戦うのは、できないとは言わねぇが、 場合によっちゃ多少の被害は呑む形になるかもしれねぇな。 フローライトが言うところの大目的を第一とするなら柵の外で始末したくは思う。 柵の外で戦う場合は柵の延長なり強化なり、罠の設置なり誘導なり、 やれることはやっておくのに賛成するわ。 餌で釣るのもいいと思うぜ、メシ食いに来てんなら腹減った状態だろうしな。 落とし穴作るんならついでに底に刺さりそうな刃物なり仕込んでおくのも良さげだが、 まぁそこらは材料あるかにもよるか。やるなら現地人に聞いてみっかね。 個人行動はそうだな……寄って斬るかちょい離れて斬るか、 あとは殺界とエーテルブレードでキャベツに近付くやつを一時止めるくらいか。 柵の外の場合、現状チャージング頼りの移動力なんで追い込み役はたぶん向かねぇが、 超聴覚や超視覚での警戒役はできっかな。

  6. ガルシア

    ウォーリアのガルシアです 策という策があるわけでもないですが…策の前に掘りみたいに穴をあければ飛び越えもしにくくなるのでないかと

  7. ストレガ・L・リベルガストラ

    ストレガなのだ。獣の解体は任せろなのだ。 事前偵察があるだろうからがっちり固めて入り込めないと解るとそのまま帰っちゃう可能性あるのだ。 なので、柵の補強はしつつ、綻びをわざと作って入り込める余地を作り、誘い込むといいと思うのだ。 その上で外か内かで戦うのは自由なのだ。リーダー含めて大きい個体を五頭。子はできるだけ逃すとよいのだ。

  8. シルディス

    シーフのシルディスよ。リブラネスタに影響が出ることだし……それに興味本位で子どもが近づいて襲われたら危ないものね。 まだ経験はとっても浅いけれど、頑張らせて貰えたらって思うわ。 ……ふふ、良いわね、イノシシ鍋。ワタシも料理の心得はあるし、皆無事に戻って一緒に囲みましょうね。 >柵の外か内 そうね……ワタシもできる限りは外で仕留められたらと思うわ。失敗したら元も子もないし、無理にとは言わないけれど。 ともかく、事前に準備するなら手伝うわね。餌は……そうね、農家さんから売りに出さない物を分けてもらうのが一番良さそうだけれど、それ以外なら何かの根っことかがいいかしら……? >個人行動 ワタシもバッドステータス狙いね。外で戦うなら誘導に回らせてもらうわ。

  9. アムール

    私としては柵の外で戦う方がよさそうに思えます。 人数は申し分ないですし、畑をむやみに荒らす事もなくなりそうなので。 ただ柵の外で戦うのであれば、中に入ってきた時のことを考えて、 すぐに柵の中に入れるような対策などは考えておいた方がよさそうでしょうか。 >柵や罠 特に問題もなさそうですので、私はイノシシ退治が始まるまでの間に落とし穴を作っておこうと思います。 目印として木の枝によるバツ印を落とし穴の前に置いておこうと思います。 私としては落とせればよいと思っていたので、落とし穴の中に何か仕込むのはお任せしてしまおうと思います。 柵の前に堀を作るのも良さそうですね。 一か所に誘うのであれば、あえて堀を作らないところも用意しておくとよさそうです。 柵にあえて綻びを作るのと合わせる感じでしょうか。 餌を用意するのであれば、シルディス様の言うように農家の方に分けてもらうのが良さそうに思います。

  10. No.10

    > 柵の内外 私も可能ならば柵の外でイノシシを対処できればと思いますが、やはり侵入される可能性も十二分にあり。 ひとつの案ですが、「柵の外側にいる班」と「柵の内側に控えておき、柵外のイノシシへ遠距離攻撃などで柵越しに対処する班」のように分かれることも可能ではないかと感じました。 > 地形仕込みや罠 堀や落とし穴も有効性が期待できますね。 囮餌は農家の方に分けていただくのが良いと思われますが、それ以外ですと職人通りで販売されているらしい「動物のおやつ」を用いるなどでしょうか。 私はイノシシ襲撃開始前の事前準備として「一部柵を回収し、他の柵の上へ継いで高さ延長をする」方向で動こうと考えています。 現地では準備時に「守るべき地点」「誘導地点」など認識合わせを行う時間をいただけますと幸甚です。 いのしし……。討伐後は食肉としての利用以外に、畑の肥料になっていただくことも可能なのでしょうか。

  11. No.11

    では私は柵の内側で控えていましょう ヒールの準備がありますので怪我人があれば癒しますし 魔矢で援護も可能です

  12. ルイド

    そんじゃひとまず戦闘は柵の外、で予定しておくな。 内側から外側へ干渉する場合、延長した柵が視界や射線を一部遮る可能性もありそうなんで、 そこだけ気を付ける必要があっかね。 個人の動きとしては、 →現地人に材料分けてもらえるか確認(落とし穴用仕込みとついでに餌も) →誘導位置確認しつつ落とし穴作りの手伝い&仕込み →周囲見渡し易いとこで猪が来るまで警戒、見付けりゃ連絡 →畑近くに位置取って近付いて来る個体を撃破、もしそのままで防げなさそうなら殺界 こんな感じのつもりだが、何か他に担当した方が良けりゃ変更するわ。 ……調理面はあんま手伝えることなさそうだが、血抜きや解体ならやれることもあっかな。 美味いんなら食いてぇし、可食部潰さないようには気を付けて狩るか。

  13. レコーディア

    では、私も最初は柵の中にいることと致します。 カバリングで野菜を守ったり、そのまま外に誘導できるように頑張ってみますね。 猪が中に入ってくる様子がなければ一旦外に出たりもするかもですが。 >野菜を分けて貰う そうですね! 猪に襲われてしまった傷物野菜や売りに出せない野菜もあるかもです。聞いてみましょう! 料理は私も手伝えることは手伝いたいです。楽しみだなあー!

  14. シルディス

    カバリング持ちの人が中に居てくれるのはとってもありがたいわ。 内側だと向かってこられるまで届かないし、ワタシは外で戦わせてもらうわね。束縛付与でうまく妨害出来たら良いのだけれど……。

  15. ガルシア

    では私は柵の外で穴掘りと、殺界で足止めいたします

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0