【人馬】長腕のトロル【ソーレ】
紀藤トキ
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シナリオID:1857
オープニング
突如現れたクリーパーに居留地を襲われ、かろうじて逃げ延びた人馬の一隊が居た。戦士たちは足止めに残り、守られた弱き者は行く先がどこへ向いているかも分からずひたすらに駆ける。疲労で足取りが鈍るころに、追手がいない事に気づいて呼び笛を鳴らした。
『……生き延びたのはこれだけか?』
『別の方角に逃げた者もいたはずだ。戦士たちとて時間を稼いだ後には離脱したであろう』
ロスガリアの人々と異なる言葉で長老たちが語り合うのを、女子供が不安げに見る。戦士が勝てる相手には見えなかった。せめて逃げ延びてくれている事を誰もが望み、しかし望みは薄いとも感じてはいる。日が昇り、開けた土地をゆっくり歩きだした。今はただ、怪物から距離を取りたい。休息は最低限にして移動を重ねたところで。
『トロルだ。行く手にトロルがいる』
『あれは長腕か! まさか、生きておったとは……』
かつて、人馬たちの集落に近い場所に住み着いていたこのトロルは、帝国滅亡の煽りを受けて姿を消していた。人馬たちは仇敵が死んだと思っていたのだが、場所を変えてこの一年を生き延びていたのだ。そして今、新たな住処を人類に追われたトロルは昔馴染の土地を目指して戻ってきた。
『老いたりとはいえ、まだ貴様に遅れは取らぬぞ、長腕よ!』
『我が槍を此度も馳走してやろうぞ!』
己を奮い立たせるように、長老達が吠える。かつては平原を争った仇敵なれど加齢は残酷で、おそらくそう長くは持ち堪えられぬ。老いた戦士自身がそれを理解していた。
『良いか。奴を迂回して先を目指せ。その先にはヒトどもの領域がある』
『人と長腕に挟み撃ちになるのでは!?』
『うまく立ち回れ。長腕の相手はお前たちには無理だ。どうか一族の血を繋いでくれ』
短く言い交し、老人は槍を手に鬨の声を上げる。それに背を押されるように、若い人馬達は駆けだした。投擲される石を、老戦士の槍が相殺し、武器を失った所に突進してきた人馬が腕を振るう。別の人馬が槍をつけるも、悲しいほどに浅い。
『叔父上、爺様……!」
若者のリーダー格の、まだ青年に届かぬ少年は涙を拭い、ひたすらに足を動かした。老戦士たちの声が聞こえなくなる事の意味は考えず、後ろを駆ける少女が足を転倒するのにも振り返らず。逃げて、逃げて。
●
「例のトロルだが、北東へ向けてゆっくりと動いているらしい。痕跡を帝国の巡回隊が発見し、私もそれを確認した」
アロイスは以前に作った雑な地図を広げ、その更に先、テーブルの外側の辺りを指した。とうに森は途切れ、平原となっているあたりだ。
「移動のペースは遅く、このまま遠くへ去る保証はない。行く手を確認できたなら、討ち取っておくのが最善だと思い、君達に集まってもらった」
依頼内容は、トロルの討伐。以前ほどに地の利はないだろうが、慎重な足取りからみて自分に不利な場所に迷い込むとは思いにくい。一定程度開けた場所で、かつ投げる為の石などは用意されているだろう。ただ、前回の対敵で敵の手の多くは割れている。
「極端な生命力と再生力。堅い皮革。そして巨体の割には身軽な動き。体格の差から、スキルなどの手立てを借りねば我々が足止めする事は困難だが、相手は我々の動きを容易に阻害、牽制しうる」
彼我の一歩の歩幅と手の届く長さが違い、そしてその差を利用する程度には聡い。投げる石は狙い鋭く、届く距離は長弓に匹敵する。接近しての殴打は投石以上のダメージを与えてくる上に間合いは人の剣より長く、相手の数で強打と振り回しを使い分けてくる。妨害術への抵抗も低くはなく、外皮は魔法に対しても一定の防御力を持つようだ。
「――しかし堅すぎて誰の刃も通らぬと言う程ではなさそうだ。多勢の攻撃であれば再生力を上回る事も可能。高いという抵抗も、十分に高めた授恵者の術を防ぎきる程ではない。鋭い投石も、回避に注力した身軽な者ならば、分が悪いとはいえないだろう」
要するに、対策を練れば対処できるということだ。今回もアロイスは現地へ同行し、配下の弓兵たちは村に残る事となった。
●
――そして、現在。馬車に乗り、痕跡を追ってきた一行は、こちらに向けて走る馬影を見た。
「ケンタウロス? 子供ばかり、3頭か。トロルが追ってきているようだが……」
投擲。投げつけられた物は、先頭の人馬を掠めてその行く手に着弾し、砕けた。
『ウワアアアアアア!!!!!!』
駆けていた馬の脚がとまり、トロルを睨む。少年人馬の足元で砕けたのは、人とよく似た頭だった。トロルの腰には拾った物であろう袋が下がり、そこから無念そうな顔の首が覗いている。一頭が足を止めたのに釣られ、残りの子馬も少し先で足を止めた。敵わぬ迄も迎え撃とうという覚悟を感じたのか、トロルは投石をやめた。――いや、新手であるアロイスらを視界にとらえ、無力な人馬をひとまず後回しにしたのだろう。
「……おそらく、他の人馬の首を弾にしているな、悪趣味極まる。人馬には構わず、まずはトロルを討つ」
帝国にとって、ケンタウロスは厄介な敵、あるいは蛮族の如き御しえぬ隣人であるが、トロル程に明確な敵ではない。何より、無力な子供でもある。アロイスは遺恨あるトロルを優先し、ケンタウロスの対処は二の次、あるいはケースバイケースで動く方針を、授恵者たちに示した。
解説
マスターより
リプレイ
投げつけられ、砕ける人型の頭部。集まった冒険者達は、蛮行の源たるそのトロルに遺恨があった。
「お前はあの時の!! ここであったが暫くぶり……お前の相手は僕達だ!」
ララベル・サン・ディーベルがそう声をあげれば、それは長腕の側も同様で、戦いでは勝っていたのに小賢しくも自分から逃げた相手を忘れてはいない。中でも口惜しさと共に記憶に残ったのは2人。ちょこまか周りを飛び回りながら幾度も刻んできた人間と、追撃の為の脚を奪った小柄なゴブリンを見据えて、吠え声をあげる。
「む。こちらを見ているのだ? ……敵の死体は食料にして武器か。悪辣だが合理的なのだ」
長腕の殺気を受け止めつつも乗せられはせず、ストレガ・L・リベルガストラは冷静に相手をそう評した。
「もはや猶予はありません。ここで処さねば!!」
「ああ。今度こそ、奴の首を刎ねる」
同じく再戦となるハリス・アル・ターミルとフェイサル・セイフは覚悟を短く口にする。
「一度見た顔は、特に苦戦した相手なら覚えてたりするんじゃないかな?」
「可能性は有るね。しかし手の内を知っているのは此方も同じ。戦の準備としては上出来だ」
そのハリスを兄とも慕うトゥーリは、精悍な横顔を見上げつつそう意見を述べた。ルチル・プルメリア・グレイハーツが状況を整理するのを少し複雑な気分で見やる。頼もしい思考の持ち主だが、それをハリスに頼りにされているのは少しうらやましい。自分には自分なりのやり方がある、と切り替えて敵を見据えた。
「さっきの指示通り、あの人馬達には構わない。できれば戦いから遠ざけるという事で良いかな」
「ああ。それで構わない」
ストレガ同様、再戦の機にも冷静さが前に出るヨル・スレイマンは、アロイスに改めてそう確認する。仲間たちにもその指示に特に異論はないようだ。
「……リベンジ、ですね」
ハルハン・ツァガーンナルは静かに口元を引き結んだ。先の対戦を悔いる心情は、再戦の面々に共通ではある。しかし、正面で対した彼女はひと際あの顛末への責任を感じていた。その気負いを察してか、ハリスは皆に聞こえるように言う。
「あの時の想定不足は私も、他の皆も同様です。冷静に、落ち着いて処理しましょう」
「ああ。勝利を以て前回の雪辱を晴らし、そしてあそこで首を晒されている者達への詫びとするべきだ」
「はい。せめて、今手に届くものは、絶対に守りきってみせます!」
続くフェイサルの言葉を聞いて、ツァガーンナルはぴしゃりと頬を平手で叩いてから兜を閉める。目の前で震えながらも槍を手にトロルへ向いた人馬の子らに、己を重ねる事もあった。あの時は、背の高い彼女をさらに見下ろす高さから、遠慮なく振り下ろされる鉄槌を耐えるしかなかった。受け止めた者にしか分からぬ、死の恐怖。しかし。
「……トロルを乗り越えて、その恐怖もねじ伏せて見せます……! 黒壁の名に懸けて、ただの臆病者には、なりません!」
自身の中の恐怖を認めつつ、ツァガーンナルはそう吠えた。
●
冒険者達は一斉に駆け出した。まずは間合いを詰めねば話にならない。初手、ヨルが仲間に蒼いエーテル光の加護を与えた後、足が並の者は全力で走り、ハリスとツァガーンナルはスキルを用いて距離を稼いだ。支援の分だけで足が遅れたヨルとルチルは弓の届く距離で足を止め、残りの冒険者は一塊になって更にまっすぐ進む。
「シュタイナーさんは、ストレガさんについて!」
「了解した」
トゥーリの指示は、狙われるだろうストレガと共に囮役になれという事だ。
『……人間。骨?』
『そう言う部族なのか』
幼い少女人馬が首を傾げ、最初に長腕へ向いた少年人馬が駆け寄る冒険者達を俯瞰して納得したように言う。相変わらず、不思議なファッションの集団ではあった。
「敵意は無さそうですね。大丈夫、ボク達は敵ではありません」
「できたらここから離れていてほしい。大丈夫、仇は取るよ」
ツァガーンナルは兜をあげて笑顔を見せ、身振りと手ぶりで下がるように促す。少し離れた位置から掛けられたヨルの声が穏やかだったことも功を奏したのか、人馬達の警戒心はそこまで高くはないようだ。
『人間たちは長腕に挑むのか。……なら長老の指示通り、利用させて貰うさ』
先頭の人馬少年は言葉とは裏腹に歯噛みしつつ槍を下した。自分が挑めないのが悔しいのかもしれない、と聞いていたツァガーンナルは思う。実際にはそこまで細かい言葉が分かる訳ではないのだが、ニュアンスは伝わった。
「む。下がるようなら助かったのだ」
最悪、念写でこちらの意志を伝える必要があるかと思っていたストレガが安堵する。不要な戦闘を防ぐためとはいえ、戦いに直接関わりない行動に手を取られるのは避けたいところだった。そのストレガめがけて長腕の弾丸が飛ぶ。
「来るのが分かっていれば……!」
カバリングが無くとも、ツァガーンナルがストレガへの軌道を塞ぐように盾を構えていた。同様に、フェイサルの前にはハリスがいる。エーテルの力も借りて受け流した事でダメージはさほどないが、盾を構えた腕に嫌な感触が伝わった。
「煙幕を放つよ。良いように使うといい」
宣言の後、ルチルは長腕へと濃煙炸弾を放つ。エーテルで作られた煙幕は視界を遮断する。それを待ってから、ララベルは全力で駆けだした。
「こっちが見えていない、今のうちに……!」
左に迂回して後方へ抜ける。アロイスはストレガと共に魔術師の距離まで歩を進めた。盾を構えたツァガーンナルもストレガと足並みを揃えて止まる。更に前へ、煙幕のすぐ近くまで出たフェイサルとハリスの近くまで、全力疾走のヨルが追いついてきた。
「……来るぞ」
「ハリスさん!」
サーマルアイを用意していた者もいたが、濃い煙の中は赤外線視力でも見通せない。長腕が引くか攻めるかをルチルの洞察が読み、天眼で俯瞰していたトゥーリが煙幕の揺らぎを一瞬早く察知した。ハリスとフェイサルへはトロルの腕が僅かに届かず、ならばと投げ放った弾丸はツァガーンナルの盾にまたも阻まれストレガに届かない。
『ちくしょう……!』
背後から、悔し気な少年のうめき声が聞こえる。
●
長腕の斜め後方、視界の外からララベルが先手を取った。
「お前の頑丈さと、再生を上回る攻撃なら……喰らえ、闇に潜み岩をも穿つこの一撃を!!」
『グゴォォッ!?』
長腕は前回の攻防でララベルを警戒してはいたのだが、煙幕で一度見失った直後の奇襲を察しえない。致命の一撃は分厚い外皮を易々と貫き、長腕の長い人生でかつて受けた事が無いような衝撃が全身を震わせた。
「まずはその足を潰させてもらうのだ。重力場! 然して足絡之呪!」
気が逸れた所へ、ストレガが敵対者のみを捕える重力の檻が設置し、畳みかける様に青藍に光る錨を打ち出す。その攻撃は見た。警戒もしていた。しかし、ストレガが術を放つ前に阻止できなかった長腕には、前回と同じく防ぐ手段はなかった。その束縛を確かなものとすべく、更にヨルが己の指先を噛んで血を飛ばす。
『グルルゥッ!』
「そう旨くはいかないか」
深淵から立ち上る呪詛の腕は、しかし長腕の脚に踏みつぶされて消えた。
「こっちだよ! ……って、それどころじゃないかな?」
トゥーリはララベルと逆、長腕の右側へ回りこみつつ、エーテルを放ってツァガーンナルの傷を癒す。
「……ハリス、どうする」
「これは僥倖。相手の脚を首尾よく奪えたとあれば、このまま圧し潰しましょう」
判断を仰ぐフェイサルに、ハリスは状況を解釈して強硬策を指示した。光縛封で仕切りなおすまでもなく、想定としては最上に近い形で事態は推移している。巨躯のリザードマンが彼我の間合いを潰して前へ出ると、様子を見ていたルチルが鋭い一矢で援護を入れた。しかし、生命を蝕むエーテル毒まではその身に届かない。
「これ以上、この周辺を脅かさせはしません!」
フェイサルから武器へとエーテルが飛び、光を帯びたハリスの農具が脚部を狙う。鍬の攻撃は堅い外皮を抜き、長腕の力を更に削る。じわりと傷口が塞がるも、受けたダメージが大きすぎて焼け石に水だ。
『グルルルル』
重力に阻まれ、錨に絡みつかれた上にハリスに受けた傷も深い。脚を半ば潰された局面で長腕が頼ったのは、もう一つの矜持たる剛腕だった。自慢の体力の半ばを一瞬で奪ったララベルへ、鋭い弾丸を投擲する。
「く、はっ……!」
寸前で見切りを掛けたが、長腕の狙いの良さが上回った。重戦士すら盾の上から削る強打を受け、細身の少年の身体がくの字に折れ、倒れる。
「前に、出ます!」
ここまでストレガと足並みそろえて来たツァガーンナルが飛び出し、エーテルの波動を叩き付ける。以前は通じなかった挑発は、今回は長腕の意志をしかと捕えた。
●
「ララベル君はこちらで起こそう。攻め手の支援を頼んだよ」
「承知した」
ヨルとフェイサルがそう会話を交わし、倒れたララベルへヒールが届く。焦る長腕だが、ツァガーンナルへの敵意が理性を蝕んでいた。その視界をストレガが仕掛けた魔霞が歪め、ルチルが再度エーテルの屍毒を射込む。今度はじわりと傷口がエーテルに蝕まれた。
「畳みかけます」
「わかった!」
ハリスの鍬とトゥーリの魔法の矢がダメ押しを加えるも、長腕はまだ倒れない。
「ハルハン、耐えれるな」
「もちろん……!」
この場面で、フェイサルがツァガーンナルへ飛ばしたのは、装甲を固める支援ではなく斧槍シルーン・サルヒへ力を宿す物。動けぬ長腕は剛力の限りを込めた弾丸を投げつける。盾の上から芯へと響く衝撃に眉を顰めつつも耐え、彼女は自分から間合いを詰めた。輝きの籠った得物が弧を描き、傷だらけの長腕の肩口から斜めに斬り下げる。
「……っ。トロルは!?」
飛び起きたララベルの視線の先、白目を剥いた長腕が崩れ落ちるのが見えた。
●
「トドメはしっかり確認するのだ。死んだふりから逆転は御免なのだ」
「では、私が……。ふんっ!」
ストレガの言に念を入れて、長腕の様子を確認する。もう一撃、ハリスが鍬を叩き込んでも動く様子はなかった。
『死んだ……のか。あの化け物が』
『うわぁああん! ああぁぁん!』
呆然とする少年人馬と、声を上げて泣く少女人馬。槍を手にした年長の少年人馬は、切っ先を下に向けたままゆっくり歩いてくる。武器を仕舞い、両手を開けて敵意の無さを示したララベルへ、人馬は窺うようにトロルの方へ目を向け、何やら話しかけてくる。
「何だろう。あいつを倒してくれてありがとう?」
「それだけではないのだ。この遺体は、彼らの物なのだ。弔わせてやりたいのだ」
可愛らしく首を傾げたララベルへ亜人語を解したストレガがそう補足し、ヨルもなる程と言うように頷いた。
「確かに、彼らを何とかしてあげたいね。首から下が、どこにあるのか分からないけれどせめて頭だけでも」
腰の袋から覗く生首を、少年人馬は悲しげに見つめ、トロルの死体を憎々し気に睨んでいる。ルチルが背後を指し、弓を振って他の敵がいないのかを問うと少し考えてから首を振った。
『誰も追ってはきていない。たぶん。……駄目だ、やめろ』
『兄さん、何で止めるんだ』
幼い少年人馬がトロルの死体を蹴りつけようとするのを、彼は槍で遮る。これを倒したのは彼らであって自分達ではない。一族の誇りを忘れるな、と諭している様子を、ツァガーンナルやストレガ、ハリスは大まかながらに把握した。
「……幼くとも戦士ではありますか。しかし、力はない。あえて事を構える必要は感じません」
「うん。逃げるなら追いかける事はしなくていいかな」
「彼らは、少し前のゴブリン族と同じなのだ。おそらく何か危険が起きて女子供まで逃げざるを得なかったのだ」
ハリスは彼らに気を許す事こそないが、ひとまず見逃すことを提案しトゥーリもそれに同意した。ストレガは彼らの事情を想像しながら、一歩踏み込んで保護までを言及する。
「ソーレ村か、砦に保護して欲しいのだ。ソーレ村は困った者を助ける、そういう場所であって欲しいのだ」
「それは私の立場では答えられない。村長はボウノだ」
アロイスは困ったようにそう答えた。亜人への忌避感は魂に刻まれており、容易に払拭できるものではない。帝国民のボウノにとって、人馬といえば敵であろう。判断としては、ハリスやトゥーリの方が正道ではある。
「……人馬という種族は脅威だ。しかしこの子らは警戒には値しない。それに我らがトロルを逃したのが遠因となって、遺骸が辱められている事へは責任を感じはするが……」
フェイサルは複雑な心情を吐露した。この場にいる授恵者たちは強さが故に異分子を受け入れる事もできようが、村で待つ者たちがそうとは限らない。それ以前に、人馬達がそれを望むのかもわからない。
「そうか。保護して欲しいと思ってない場合もあるよね。でも、殺されてなおこの仕打ちは、ちょっと許せないから。保護とは別に、弔いは僕もしてあげたいな」
ララベルは保護したい側であったが、それもこれも相手次第だ。それより辱められた死者が気になると話を戻す。
「……ひとまず穴を掘るのは、手伝おうかね」
ヨルとルチルが身振りで穴を掘る様子を見せ、首を指さす。人馬一般の流儀は定かでないが、弔いの作法として土に埋めるという事は理解できたらしい。少年は感謝の意を示すようにまた頭を下げた。冒険者が穴を掘り、人馬達が首を一つ一つ確認しては弔っていく。呟いているのは故人の名か、祈りの言葉でもあろうか。
「この先には人里がある故、向かうのなら我々と共に行く。そうでなければ立ち去る。という提案で良いかな」
「それで構わないのだ」
ルチルが取りまとめた二択を、念写なども駆使して伝えられた幼い人馬達は何とか理解したようだ。もう一度頭を下げ、しかし彼らの目は北を向いていた。
「弔ったのとは別に、まだ行方の分からない家族がいるんですね。……会えると、いいですね」
ツァガーンナルは立ち去る彼らを勇気づける様に、笑顔で見送る。
「保護を拒めば、死ぬだけなのだ……」
「冬はもう終わりだからね。そこまで悲観したものでもないのかもしれないよ」
しゅんとしたストレガに、ルチルは淡々と告げた。ケンタウロスは種族としては強靭だ。幼い子でも、ヒトよりもよほど逞しいかもしれない。少なくとも、この場の冒険者に幼い人馬達のこれ以上の苦難を願う者はいなかった。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準8 / 6〜8人
2022年01月31日 10時00分18秒 公開
相談掲示板
キャスター、ストレガなのだ。よろしくなのだ。 前回機動力を見誤ったので今回は瞬間の足止めを重点したいと思うのだ。 具体的にはグラビティとスネアーなのだ。 スネアーが1番嫌だったらしいしぶち当てにいくのだ。 人馬は今後の布石として保護していいと思うのだ。ソーレ村の成り立ちに沿うのだ。 言葉は通じないから念写で画像出して視覚によるコミュニケーションを図ろうと思うのだ。
前回は不覚を取りましたが、今回こそは仕留めましょう。 どうぞ宜しくお願い致します。 >機動力 あの跳躍は非常に厄介ですね。対策は必須です。 重力で距離を潰した上でスネアで脚を絡め、破脚砕などで破壊できれば効果的かとは。 >攻撃 下劣ですがあの投擲は後衛にとっては脅威になり得ます。 射程についての情報はありませんが相当な遠距離からも届くようですね。 できるだけ前衛が注意を引きつけるのは勿論ですが、頭もそれなりに回るようですから スネアを担当するストレガ殿には直衛を付けるなどの対策が必要になるかもしれません。 >ケンタウロス 各地での狼藉の噂は聞いていますが、逃げてきたことを見るに非戦闘員でしょう。 それを攻撃したとあれば、互いにさらに無駄な血が流れる事になるやも知れません。 ……捕らえて情報を聞き出すことも今は控えておいたほうが良いでしょう。 彼らが一枚岩である保証もない現状、ここでの対応が蟻の一穴となる可能性はあります。
フェイサル・セイフだ。 今度こそ確実に仕留めよう、宜しくお願いする。 >対策 既に挙げられている通り、あの機動力は非常に大きな脅威だな。 以前の交戦時は文字通り翻弄された状態で、奴の思い通りに戦わせてしまった気がする。 グラビティフィールドやスネアージャベリン、破脚砕は確かに有効であろうし、 前回は攻撃準備に使おうとした光縛封での足止めや、我々が接近するまでの反撃封じも期待はできるだろう。 ……が、相手にとっても既に一度は受けた経験のあるスキル、警戒される事を考えるべきかも知れぬな。 >ケンタウロスへの対応 あえて厳しい意見を述べるとすれば、この場で助けた彼らが後々他の誰かの脅威となる可能性もある。 素朴な善意でこれを助けるのも良いが、我ら全員が後々悔恨に苛まれる事も覚悟せねばならん。 ――と言ってはみたが、確かにソーレ村の成り立ちに沿うと言われてはその通りだな。 それに……あのケンタウロスの死者達が「あのような扱い」を受けているのには、 我々があのトロルを討ち損じた事にそれなりの責任がある、とも考えられる。 いくら亜人相手でも、我々はあのように死者の遺したモノを弄ぶことはしない。 ……その分の筋を通すと思えば、それくらいの心の整理は安い物だとも。
情報屋のルチルだ、よろしく。 前回はいなかったが諸々は把握しているので心配はいらない。 >対策 弓と同程度の射程に高い機動力はやはり脅威だな。 シーザーロアも確実に効くとは限らないし、どうにか懐に入り込んで後衛への気を逸らす布陣も安定とは言い難い。 確か、前回の戦闘では煙幕系のスキルを使用しなかった記憶がある。一時的にではあるが目晦まし程度にはなるだろうかね。 >ケンタウロス ただでさえ難敵を相手するのだから余計な諍いを起こして三つ巴状態に持ち込むのは得策ではないだろうね。 向こうとしても、現状此方と争う気はないだろう。 やり取りをするなら…ストレガが送信役であれば、エンパシー等で受信役になろうかね。
ヒーラーのヨル・スレイマン。宜しくね。 >対策 広くて開けた場所なのも、今回良くはないね。 機動力を削ぐのは賛成。俺も招霊呪怨縛を持っていこうかなと思ってる。 束縛も付くが、呪いで他BSを長持ちさせることができる。 あとは、距離を詰められる可能性を考えると、遠距離攻撃する人間は多少散ったほうがいいかな。 再生があるから攻撃の手も休めたくない⋯⋯と思うとなかなか難しいのだけど。 煙幕はジャンプで後方へ抜けられてしまうかもだけど、その直後を攻撃できるならありかもしれない。 ジャンプはメインアクションだから、直後の行動はだいぶ制限されるはずだ。 >ケンタウロス 保護が可能そうだったら保護で良いと個人的には思うな。 アロイス君達が抑えられないくらい暴れてどうしようもない時は無理だと思うけど。 この辺は俺としては別に、ヒューマンもケンタウロスも変わんない感じ⋯⋯。 意思の疎通ができるようには、心がけてみるよ。
トゥーリだよ、よろしくね! >対策 とりあえず強引に(ルールで)機動力を削ぐってなるとヒーラーの出番かな? 置き場所間違えなければ判定いらない光縛封とかもあるし。 スネア―とか、破脚砕とか。あとは地道に脚を狙って攻撃するとか。 >ケンタウロス とりあえず後回しかな? 対話をするにしてもトロルがいる状況だとあまり落ち着かないし。 討伐の邪魔をするなら……うん、しょうがないよね。 どっちにしても再生持ちだから、盤面整えてから集中砲火が必要かな……?
僕は、シーフのララベル・サン・ディーベル。 皆、宜しくね! 今度こそあいつを…。 僕はあの機動力について言って、なんとか致命傷をという動きになるんだけど。
光縛封は足止めにも反撃封じにも使えるが最大射程は6。やはり一方的に撃ちっ放しにされる状況を防ぎつつ、敵を全員の射程内に収める事が肝要だろう。 バックアップ込みでウォーリアの後ろへ耐久力が心許ないキャスター、ヒーラーを置いて接近。極力回避の高いシーフで攪乱。 強力な足止めスキルやオブジェクトを当てられる距離に入ったら発動、集中攻撃で早期撃破辺りが固いだろうか。 シーザーロアが入れば後衛の安全が上がるが…弾かれる可能性もあるので過信は禁物だね。 まとめてやられないように立ち位置はバラけておく、でいいと思う。 見通しのいい場所だから立ち位置に気を配ればまとまらないと攻撃しづらい場所でもないと思うね。
出発が近づいて来たな。ケンタウロスの子供達への対応は概ね一致か。 >流れ・行動 とにもかくにもまずは接近、そして何としても足を止める、だな。 基本的な流れとしてはルチルの挙げている物で良いかと思う、 一度接近した後であれば煙幕などを用いて数名が不意を突くのも良いだろう。 そこで、こちらのスキル構成としては既に何度か提示されている光縛封を用意していく。 戦闘開始後は射程に入り次第これを使用、敵の移動と遠距離攻撃を封じて皆の接近を補助しよう。 接近後は可能であれば【破鎧砕】で防御力を下げられないか試みるつもりだ。 ……今回は恐らく、可能な限り短時間で決着をつけるべき戦いかと思う。 私を含めてヒーラー三名という構成でもある、個人の回復スキルは最低限として攻撃力を重視して行きたい。
顔を出せずにすみません! ウォーリア、ツァガーンナル。再戦にきました! ウォーリアが壁となって後衛を守るように配置。ですね。把握しました! 機動力封じは、色々思案しましたが、付与を少しでも上げてシーザーロアを狙っていきます! 殺界も検討しましたが、強行突破されそうでした
付与は45あるからスネアが入ればなんとか、というところなのだ。 初発が当たらなかったら魔糸から入るのだ。 他にバリアとヒールを使うが自力では1発軽減が精々て感じなので護りはお頼みするのだ。 あと、人馬達は此方を見ているならアロイス殿の方に退がるようにかけてみるのだ。