【剣誓】洞穴に蠢くは蒼鱗
ウケッキ
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シナリオID:1852
オープニング
エラトゥーン都市同盟、北部の山岳地帯にある小さな村【エイアーネ】ではちょっとした会議が行われていた。
村の集会所に集まった村人たちは険しい顔で頭を悩ませているようだ。
その話題の中心は隣村でそこそこ大きい魔獣の頭部――狩猟トロフィーが飾られたという話だった。
「あの村の連中がそんなもんを仕留められるとは思えん。何かの間違いじゃないのか?」
怪訝そうな顔をした中年の男性が若い男性に尋ねる。だが帰ってきた答えは望んだものではない。
「いや、間違いなんかじゃない。実際に行って俺は見たんだ。大きな蛇の頭みたいだった。きっと冒険者に依頼して狩ってもらったんだろう」
この村【エイアーネ】と隣村【シルアーネ】は昔から競い合う間柄である。
その理由は村の始まりまで遡る。始まりの祖であり兄弟でもあったそれぞれの村の村長たちはある時、自分の村こそが一番だと兄弟喧嘩を始めたのだ。
それは次第に村同士の対立の火種となり、あわや村同士の武器によるぶつかり合いまで発展する所だったがそれを良しとしなかった者らの尽力によって【狩猟トロフィーを披露し良い方の勝ち】という決まりが作られたのだった。
それからというもの、毎年一回。互いの村から狩猟トロフィーを持ち寄り、それらの優劣を決める場が設けられているのだった。今年もその日が近づいている。
「どうするんだ、披露の場で負けてしまったら向こう一年はあっちの村の奴らにデカイ顔をされちまう。ああ、くそっ、想像しただけでも嫌になるぜ!」
「だがあの狩猟トロフィー以上の物なんてそう簡単に見つかるもんじゃないぞ」
ああでもない、こうでもないと言い合う村人の一人がある魔獣の話を始める。
「おい、あの山の上に巣穴があるトカゲ型魔獣なんかどうだ? この間、あいつらの中に青くてでかいやつがいるのを見たんだ。あれなら今年はウチの勝ちになるってもんだろ!」
興奮して話す男性の隣にいた女性が立ち上がる。
「そのトカゲ型魔獣の事なんだけど、あいつら一昨日の夜に村の近くまで降りて来てたの。いつものやり方で追っ払ったけど……」
「なんだって? 村の近くまで来ていたのか……先週は村から離れた伐採用の木々の辺りまでだったはずだ。ふむ、どんどん近づいてきている気がするな。早急に何か手を打たねばなるまい」
初老の男性は杖を掲げ、村人たちを一瞥する。
しかし彼と目を合わそうとする者はいない。誰もが俯いたままだ。
「情けない。だが……我らだけで強力な魔獣に対抗できるとも思えんのは事実か、どうしたものかのう」
ひげを弄りながら男性が悩んでいると一人の若い女性がある提案を持ちかけた。
「あの、今、私の経営する宿に冒険者の方がいるんです。その方に頼んでみては?」
「ほほう……それはいい考えだな。狩猟トロフィーの件も含めて少し相談してみるとしよう」
宿の一室。小さな木造の部屋には簡素なベッドと机、椅子が備え付けられている。
その椅子に座っているのは授恵者の少年【レアス】だった。彼はもっと強くなりたいという願いを叶える為、村を出て様々な冒険者向けの依頼を受けているようだった。
とは言え、まだまだ駆け出しの身。その力量はお世辞にも高いとは言えない。それは彼自身が一番わかっていた。
村長である初老の男性【スート】の話を聞いたレアスは一呼吸おいてから話始める。
「……事情は分かったよ。その厄介なトカゲ型魔獣を討伐してくれって話なんだな?」
「ええ、その通りです。毎度追い払いはするのですが、奴らは徐々に村に近づいています。このままではいずれ村に侵入されるのも時間の問題。ですのでその前に討伐して頂きたいのです。そして可能であれば頭部を持ち帰って頂きたい」
村長の話によれば、その魔獣は硬い鱗と強靭な尻尾を持つ二足歩行のトカゲ型魔獣だという。その巣穴は村から離れた山の方にあるようだった。
「我らは昔から隣村の奴らと一年に一回、互いの優劣を決める為に狩猟トロフィーを見せ合うのです。今年は向こうの村には大きな狩猟トロフィーが飾られたらしく……我らが勝つ為にはその魔獣の頭がどうしても必要なのです」
魔獣の討伐だけでなく、頭部を持ち帰る。レアスにはその重要性がわからなかったが、村人たちにはきっと必要なことなんだろうと彼は思った。
「本来であれば我々が自ら狩猟すべきなのですが……そこまで強力な魔獣となると流石に」
「だったら冒険者ギルドに依頼を正式に出してくれ。俺だけじゃそんな魔獣は手に負えない。少しでも狩猟の可能性を上げる為に応援は欲しいしな」
「わかりました。そういうことでしたらギルドの方へ、狩猟トロフィーのことも含め村の安全確保の為の魔獣討伐依頼を出すとしましょう」
村長が部屋から出た後、レアスは椅子の背もたれに体重を預けながら息を吐く。
「自分の力を理解し、相手の力量差を把握する……こういうのが大事なことなんだよな、先輩」
彼は自信を助けてくれた先輩冒険者たちの顔を思い浮かべる。彼らが助けるだけでなく、彼に冒険者の先達として生きる術を教えてくれたのだ。
まだそれほど時間は経っていないが、彼は彼なりに先輩に追いつこうと必死に努力を続けていた。
その甲斐もあってか、彼単独でも小型魔獣三体程度なら倒せるぐらいには成長している。
腰から下げた父親の形見の剣の状態を確かめる。使い込まれて古びてはいるが、まだまだ現役の良い逸品だ。授恵者であった父から受け継いだ物である。
本来、授恵者用の武器というのは他者用には適合しない。だが幼き日からこの剣で修練を続けていた彼にこの剣は馴染み、適合したのだ。
「魔獣討伐の依頼……必ず達成してやる。困っている誰かの為の剣に……俺はなるんだ」
翌日の早朝。
応援の冒険者たちが来るまでの間にレアスは村にて情報を収集していた。これも先輩から学んだことの一つだ。敵を知らなければ勝つことなどできないのだから。
「あのトカゲ野郎はな、群れで狩りをするんだ。攻撃役と囮役って感じに分担してやがる。それが厄介なんだ」
「役割分担するのか。うーん、厄介な相手みたいだな……」
元冒険者だった村人に聞いたことをメモしながらレアスは別の村人にも話を聞いてみる。
「トカゲの魔獣はな、稀に村近くまで降りてくることがある。そういう時はコレを使うんだ」
村人が差し出したのは細長い草の束だった。かなり強い独特な香りがする。
「これは?」
「こいつはメニメニ草だ。これを火の中に放り込むと強い香りの煙が出る。あいつらはそれを嫌がるんだ。追っ払うぐらいならこれで十分ってわけだよ」
それからしばらく聞き込みを続けていたレアスはメモを懐にしまう。
「ざっとこんなものかな。話を聞く限りだと、一筋縄ではいかない相手のようだ……ちゃんと準備していかないと」
レアスは一応の保険にと、村人からメニメニ草を少し分けてもらうと自分の鞄へとしまうのだった。
数日後。集まった数人の冒険者と共にレアスはトカゲ型魔獣の巣穴の前にいた。
山肌にぽっかりとあいた自然の洞窟。奥は暗く、何かが動く音ががさがさと時折響いている。
吸い込まれそうになる程に昏い闇を見てレアスは息を飲んだ。
額から流れる汗を手の甲で拭うと彼は腰に下げたランタンに火を灯し、冒険者たちと共に洞窟の中へと足を踏み入れていくのだった。
解説
マスターより
リプレイ
エラトゥーン都市同盟、北部の山岳地帯。
その山肌にぽっかりと空いた洞窟の内部にて冒険者たちはある魔獣の討伐依頼を行っていた。
魔獣の名前はホルデオラ。デオラという魔獣を引き連れた少しデオラよりも大型の二足歩行するトカゲの魔獣だ。
暗い洞窟の中を進みながら緊張した様子のレアスへハーヴィが声を掛ける。
「大丈夫だよ、レアス。僕らもいるんだ、一緒にホルデオラをやっつけようっ」
ハーヴィに声を掛けられたレアスの表情が多少緩み、言葉を漏らした。
「俺、みんなみたいに強くなりたいんだ……もっと強くなるには、どうしたらいいんだろうな」
それを聞いたグレイブ・ヤードが視線は前に向けたままで答える。
「そうですね、大事なことは【何処を目指すのか】という事ですよ。得たその力で何を成し何を目指すのか、奪われる側から奪う側となった貴方が考えねばならないことです」
「奪う側、得た力で何をするか……」
考えるレアスにハーヴィは辺りを注視しながら話す。
「ゆっくり考えていけばいいと思うよ。まずはこの依頼を完遂させよう! 僕はキャスターで防御力が低いから、前に立って守ってくれる人の力が必要不可欠なんだ。ウォーリアの君の力、頼りにしてるよ!」
笑いかけるハーヴィにレアスは力強く頷く。
その時、ホルデオラの咆哮が洞窟に木霊した。
「どうやらお出ましのようですね、照明はお任せを。暗視持ちの方は光が届かない所をお願いします」
そういうとグレイブはエンライトを放った。明るい光が彼らの周りを照らした。
●猛威を振るうは闇蜥蜴
冒険者たちと魔獣の戦闘が始まってから少しの時間が経っていた。現状、途切れぬ増援の前に冒険者たちと魔獣は拮抗した戦況を繰り広げている。
ホルデオラが闇の中でひと鳴きし、その声に合わせてデオラたちが一糸乱れぬ連携を見せる。
闇を走るデオラたちを弓を構え狙っているのは綺麗な銀髪の女性ラティア・ミゼリア。自信なさげな表情を浮かべる彼女ではあるが、その弓の狙いは精確。彼女が放った矢はまっすぐにデオラの群れへと飛来する。暗視によって視界を確保した上で捜波によって位置を察知している彼女にとって闇の中で動き回るデオラを狙うことはそう難しい事ではない。
飛来した矢はデオラの群れの眼前で炸裂すると光の破片を撒き散らす。光の破片は駆けるデオラたちを貫き、数体を地に沈めたがそれを抜けたデオラたちは走るのをやめない。
「突進する群れの数は半数以下になりました、残りを頼みますっ」
「OK、レディ。任せてくれていいよ」
ラティアが次の矢を用意するタイミングでキオルティスが闇の中を走る。そのキオルティス目掛けクルタルが輝刃を放った。キオルティスの武器が淡い光で包まれる。
「いってこいっ、そいつで蹴散らしちまえ!」
「支援、助かる! それじゃ……思いっきり行くよ」
駆けるデオラの前で空中へ跳んだキオルティスは身を翻しデオラたちへ大きなエーテル塊を振り下ろす。放たれたエーテル塊はデオラたちを残さず粉砕し彼らの突進を止めた。
倒れたデオラたちの死骸を横目で確認するとキオルティスは奥の暗闇へ捜波・改を放つ。暗視のおかげで日中のように見えている視界の先から、まだ複数の群れがこちらに向かっているようだ。
「ふふ、どうやら俺たちは大人気みたいだね。人気者は大変だ」
敵の群れの増援を前に軽口を言うキオルティスへナキルが反応する。
「そうだなっ! じゃ、人気者の力って奴を見せつけてやるとするか。行くぜ、レアス! 出遅れるなよッ!」
蒼き剣【蒼剣アルサリア】を構えるとナキルはレアスに声を掛けて走り出す。彼に遅れないようにとレアスは懸命にその後を追った。
暗視で捉えているホルデオラへ急接近するとナキルは思いっきりシーザーロアを放った。エーテルに乗せられた殺気が魔獣の意思を刺激し、その注意をナキルへと向ける。
ナキルはアルサリアの切っ先をホルデオラに向けるとニヤッと笑った。
「さあ、俺とやり合おうぜ! 魔獣の大将さんよっ!」
ホルデオラはナキルの声に応えるかのように咆哮をあげる。どうやら向こうもかなりやる気のようだ。きっと受けて立つ、といった所だろう。
ナキルとホルデオラが戦闘を開始する近くでレアスはデオラ目掛けて剣を薙ぎ払う。しかし踏み込みが浅く、その斬撃は空を切った。
直後、デオラの蹴りを剣を盾代わりにレアスは受け止め、衝撃で少し後ずさる。デオラはヒットアンドアウェイの要領で闇の中へ姿を眩ませた。
痺れる腕をさすりながらレアスはデオラの消えた闇の中を見る。
そんなレアスの腕の痛みが淡い光に包まれて消えていく。それは負傷の回復と行動阻害解除を受け持っていたグレイブの放ったヒールの光だった。
「あんなに動きが速いなんて……」
「そういう時は音にも耳を澄ませてみてください。生物である以上、音は消せませんからね。目だけでなく、五感全てで敵を“視る”のですよ」
「音で敵を視る……か。わかった、やってみる!」
剣を握り直し、やる気十分に闘志をみなぎらせるレアスへグレイブは言う。
「その意気です。ここには貴方の手本とする先輩が大勢います。その動きを知り、自分の最適解を探す、これもまた強くなる道です」
(駆け出しの時は誰しも標のない道に迷うもの……ですがそれを抜けた先に、見える景色があるのですから)
レアスの動きを見ながら仲間を支援するグレイブはそう思うのであった。
パヴェル・A・サムルガチェフに援護されながら、サイラスは拾っていたデオラの素材を使って鳥獣戯を発動させる。エーテルによって構成されたデオラたちが現れ、それらはデオラの群れへ殺到する。
フェロモンに引き寄せられ、こちらへ向かってくるデオラの一団と彼のエーテルで作り上げた偽デオラの集団が衝突する直前、サイラスはホルデオラの声を真似た。
急に飛ばされた別の指示に混乱し、足を止めたデオラたちはサイラスの偽デオラの集団に蹂躙される。
「はっはっは、こういったからめ手も中々に有効だな。エーテルによる再現だけじゃちっと不安だったが……声真似も混ぜれば一瞬の撹乱にはなりそうだ」
確かな手ごたえを感じ、サイラスは満足そうな表情を浮かべる。戦闘中だが、簡単に拾えそうな素材は拾うのを忘れない。
●鳴り響くは咆哮
戦闘の最中、グレイブはサルベーションを飛ばし、味方の行動阻害の解除を行っていた。
「やはり敵の数が多いですね。皆さん、囲まれないように注意を。数というのは脅威ですから」
グレイブの言葉を聞き、洞窟の奥を眺めながらハーヴィは難しい顔を浮かべる。
戦闘開始当初、ハーヴィは鉄壁を駆使して洞窟の最奥を塞いだ。これは増援を防ぐ為の物だったが、洞窟内には細い穴がいくつもあり、それら全てを封鎖することはできなかった。とはいえ、メイン通路である部分を封鎖した為に数で押し潰される事態は避けられていた。封鎖していなければ、殺到するデオラの群れによって戦闘は一方的な展開になっていたかもしれない。
メイン通路が塞がれ、ホルデオラはデオラの最小限の群れを横穴から徐々に投入することしかできず、増援を生かした立ち回りはしにくくなっているようだった。
「あそこ、増援が来てるよ! サイラスさん、お願いっ!」
デオラの増援に気付いたハーヴィはサイラスの声帯模写に合わせ、幻影でホルデオラの姿を増援のデオラたちの前に見せつける。
動かない幻影だが声帯模写で真似されたホルデオラの咆哮もあってデオラたちは混乱し、その足並みが一瞬乱れた。
「逃しませんよ、私の矢は……あなた方を……ッ!」
低い姿勢からダマスカス鋼の短弓を引き絞り、ラティアは炸光矢を放つ。闇を裂く様に放たれた光の矢はデオラの群れの中で炸裂する。放たれた光の破片がデオラを次々と引き裂いていく。光が収まる頃には立っている群れのデオラはいなかった。辺りには絶命し動かなくなったデオラが倒れ伏している。
飛び上がったホルデオラがナキルへの攻撃を外したタイミングでキオルティスが至近距離へと接近した。
接近したキオルティスに気付いたホルデオラは振り向きざまに尻尾を薙ぎ払う。
しなる尻尾を身を翻してかわし、キオルティスは斬撃を放った。彼の刃がホルデオラの皮膚を裂く。
ひと鳴きするとホルデオラは後方に跳躍し、自身を守らせるようにデオラの群れを展開した。恐らく、デオラが戦闘している間に体勢を整えるつもりなのだろう。
だがそれをクルタルが許さない。
ダマスカス鋼の祭刀を振り上げるとクルタルはエーテルを集中させる。淡いエーテルが祭刀へ集まり、それが一層激しく輝いた。
するとナキルの武器が透明な淡い光に包まれる。
「レアス、ナキルの道を作ってやるぞっあいつらを蹴散らす!」
「ああ、任せてくれっ!」
駆けるクルタルと共に武器を構えてレアスは走る。彼に教わった洞窟内での行動方法は既に彼の頭に入っていた。それらは確かな経験となり、実戦での運用と噛みあってレアスの動きは洞窟に足を踏み入れた時とは別人のように変わっていた。
迫るデオラを斬り裂き、レアスはホルデオラを守るように展開するデオラを冒険者と共になぎ倒しながらナキルへと声掛けをする。
「こいつらは俺たちに任せてくれっ! 大きいのを頼む!」
「へへ、お前らが作ってくれた道、ありがてえぜ。さあ、ホルデオラッ! これで最後にしてやるぜッ! 全てを薙ぎ払え、レグ・フルグスッッ!」
倒れるデオラたちの屍の間を抜け、雷鳴の如くナキルは洞窟の闇を駆ける。大切な人の為に最高の剣士を目指す彼だけの剣技。開闢の轟雷と称される雷神剣/レグ・フルグス――それが放たれ、闇で煌めく無数の剣閃がホルデオラを斬り裂いた。
ぐらりと揺れたホルデオラの身体が大きな地響きと共に床に倒れた。少しだけぴくぴくと動いた後、ホルデオラはその生命活動を停止する。
ホルデオラが倒れたのを見て完全に浮足立った残りのデオラたちを一掃する。捜波を駆使して探知するが、これ以上の増援はないようだ。
「よし! 俺たちの勝ちだっ! さあ、みんな、村に凱旋と行こうぜ!」
ナキルの元気のいい声に冒険者たちの歓声があがった。
素材を回収し、グレイブのヒーリングオーラを受け回復した一行は帰路に着く。
ふうっと息を吐いて少々気を抜いたレアスの方をぽんっとクルタルが叩いた。それと同時にレアスの傷がクルタルのヒールによって回復する。
「いいか、まだ気を抜くなよ? 敵を一掃しても帰り道が安全とは限らない。別のに出くわすことがあるからな。それから、武器の持ち手を拭くといい。血や汗で滑りやすくなってるはずだからな。よし、じゃあ帰ろうか。お前の活躍、かっこよかったぜ」
クルタルの言葉にレアスは久々に少年らしい嬉しそうな表情を見せるのだった。
●彼のこれから
冒険者たちがホルデオラの首を持ち帰ると村人たちは大いに喜んだ。
ホルデオラの首は狩猟トロフィーとして非常に大きく、村人たちはこれで隣村に誇ることができると興奮しているようだった。
村人から借りた部屋の一室にて、サイラスは持ち帰った素材を持ち帰りやすく洗浄、加工している。肉片や血をそのままにはできないからだ。そういうものは不純物として何をするにも邪魔になる。
「さて、そろそろ反省会が始まってるころか。よし、俺も行くとするか。試したいこともあるし」
素材の洗浄と整理にひと段落を付けたサイラスは部屋を後にする。
「いいか、むぐむぐ、ああいう暗闇ではな――」
村の外れにて、回収したデオラの肉を焼いた串焼きをかじりつつナキルや他の冒険者たちによる反省会が行われている。
「連携を取るって中々に難しいんだな。正直、あの目まぐるしく状況が変わり続ける戦闘の中で、適切な行動を取り続けられる先輩たちがすごいなって俺は思うよ」
「はははは! 最初はそういうもんだって。俺なんかむやみやたらに突っ込んだりしてたからなー。へへ、こういうのは段々と身に付いていくもんだから、少しずつ出来るようになっていけばいいと思うぜ」
ナキルの励ましの言葉にレアスの表情は少し明るくなった。
クルタルが肉を咀嚼し、話す。
「明かりについてだが、入る前に教えた通りランタンをはじめ、明かりは居場所を敵に伝えることにもなる。たいまつしかり、油が燃える匂いを嗅ぎつける奴もいるからな。状況に応じて点けたり消したり判断できるようになれ。それだけで生存率がぐっと上がる」
「そうだね、明かりに敏感な魔物や匂いを察知しやすい奴が相手だったらそれを理解していれば特性を逆手に取ることもできる。そうだ、レアスはシーフとウォーリア、どっちが強いと思う?」
少々意地悪な質問をキオルティスはレアスに向かって問う。
レアスは、うーむと悩んだ表情を見せた後、それに応えた。
「えっと、パワーではウォーリアの方が上だから……接近すればウォーリアの方が強かったり?」
「ふふ、そうじゃないんだ。スキルの構成や装備、経験も加味するとどっちが強いなんてことはないんだよ。正解がないってことなんだ。戦闘は試合じゃないからね」
レアスは頷いて傍らにあったデオラの串焼きを頬張った。
ラティアがおずおずと口を開く。背も胸も大きく、あらゆる意味で目立つ綺麗な銀髪の彼女だが目立ちたくないのか背を丸めて小さくなっている。
「あの、その、どんな状況でも、工夫次第できっと……覆すことだってできると思うんです。だから、色んな知識、経験をして取れる手を増やしておくのがいいと、思います」
「ええ、取れる手が多いということはそれだけあらゆる敵に対応できますからね。以前、砲口に石を詰めてみたら暴発、なんてこともありました。何事も経験しておいて損はないということですよ」
グレイブたちの言葉をレアスはしっかりとメモを続けている。
「よく見とけ、これもいい知識になるだろ」
サイラスはデオラの素材を使ってエーテルで数体のデオラを作り出して見せる。レアスはそれを見て目を丸くした。
「えっ、呼び出したってことか!?」
それを聞いたサイラスは口を開けて笑う。
「はっはっは! 違う違う。こいつは素材を使ってエーテルで再現した偽物だ。まあ、ある技の変化形ってところ。いずれレアスも違った形だろうけど、こういうのもできるようになるだろ」
「俺にも……そういう技の変化ができるように……」
クルタルがレアスと肩を組んで笑う。片手でレアスの頭をわしゃわしゃと撫でる。
「その為にも、修練あるのみだ。ハーヴィ、行こうぜ。早速、レアスと訓練だ」
「あはは、わかったよ。僕も今回は付き合うね。クルトだけじゃ絶対無茶するから。それじゃ行こうかレアス」
ふふっと笑ったハーヴィとやる気十分のクルタルや冒険者に連れられ、レアスは訓練へと向かうのだった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い8 / 4〜8人
2022年01月30日 16時12分32秒 公開
相談掲示板
「ナキルだ、よろしくな!! いや、ちょっと手が滑って……消した。 さて、オレも駆け出し時代があったからなって思うと ちっと懐かしいのと親近感湧きつつ。 ホルデオラって方か、そっちぶん殴っていこーと思うぜ レアスにトドメは刺して貰うって流れの方が良さそうかな。」
No.3
サイラスだよろしくなー とりま提案としては ・草少し貰って大物来たら奥の方に火をつけて放る(増援止め) ・殺界とか拘束出来るスキルで動きを止める ・とりあえず灯りか暗視必須 ・エリアサイレンスとかサウンドボマーとかで鳴き声潰して指示を崩す とか?後はトドメささせるんでええのけ?とか?
ヒーラー、クルタルだ。よろしく頼む。 さて… 懸念していた洞窟の幅は、狭いとはいえ武器は振り回せるってことだから助かるな。暗いから、暗視や探波と合わせて、横穴なんかに注意しないとな。挟み撃ちはされたくない。 レアスはウォーリアだから、道中スキルの使い方やこういう場所での戦い方を教えながらになるかな。いろんな視点からアドバイスが必要だと思うし、みんなで気にかけてやれるといいと思う。 エリアサイレンスに関しては、範囲は1mだから複数を相手取るのには向いてない、と感じた。洞窟内はかなり気密性が高いから、火を投げるのはあまり気が進まないんで、サイラスのいう通り、殺界や光縛封などで隔離の線がいいと思う。
ヒーラー、グレイブ・ヤードです。 >洞窟 天井、壁も注意でしょうねぇ。貼り付けるかわかりませんがないとも言い切れませんし 物陰というのもありそうですし >トドメ等 うーん・・・どうなんでしょう? 彼の行動指針(目的)は功名心とかというものではなく、より実用的な…実利的な感じがします。 結果が同じならどちらでもいい、みたいな。 終了後に反省会…とまでは言いませんが、振り返り会みたいなものを行ってみるなど、彼自身の力を伸ばす方のお手伝いがよいかと思うのです。
シューターのラティア・ミゼリアです、よろしくお願いします…… >トドメ そうですね……今回、レアスさんは村からの依頼を受けているだけで、レアスさんの訓練依頼というわけでもないので…… グレイブさん同様、そこはあまり気にしないでいいように思います。経験を積ませるという観点で見ても、今この場で、実戦をすること自体が十分な経験になるはずですし…… >洞窟 明かりや暗視などが必要になるのは当然として、捜波を使いながら進むことで奇襲を防げないかと思っています……
シーフのキオルティス。キオでもルティスでもお気軽に。 今回は宜しくね。 >蜥蜴 基本的に蜥蜴は天井なんかにはくっつけないとは思うけど 用心に越したことは無いよね。何せ魔獣だし…。 ラティアさんの言うように捜波活用しつつ、進軍が基本かな? 基本的に、暗視と捜波(希望が有れば双波)は持ってくね。 >トドメ これは皆と同意見、かな。 今回のレアスさんは私怨でも何でも無く、一冒険者として きちんと依頼を請けた形だから、一番良いのは俺たちと 肩を並べて戦うことが大事なのかな…って。 グレイブさんの言ってる反省会みたいなのも開けると良いね。
キャスターのハーヴィだよ。よろしくね。 >トカゲ ラティアさんとキオさんの言う通り、捜波を活用して進むのが良さそう。 あとホルデオラの鳴き声だけど、逆にこっちが声帯模写で真似して鳴くことで混乱させたりも出来るかな? ……と言いつつ、声帯模写スキルは持ってないんだけど。幻影スキルで鳴き真似の補強は出来ると思う。 隔離するならアーケインも有効かなって思ってる。 >トドメ そだねー、レアスだって僕らと同じ授恵者なんだし、共闘って形できちんと自分の役割を負って戦うのがいいと思う。 本終了後に気がついたことがあればそれぞれがアドバイスしてくと良いかもね。勿論、レアス自身がそれを望めば、って言う前提は必要だと思うな。
No.9
りょうかーい。殺界持ってこうか そして声帯模写持ってけば良いのかー?あるぞ。 視界は首飾りで確保の予定
>声帯模写 丁度持って行こうかと思ってたけれど、サイラスさんが持って行くなら 俺はまた違う方向から攻めてみようかな。 まぁ、違う方向から別々の指示が飛ぶ…って言う状況も面白い混乱を 引き起こせるかもしれないけれど、もうちょっと考えてみるね。
「ワリィ、ちっと間が空いた! >トドメ あ、そんな気にしなくて良さそうか! 分かったぜ! >声帯模写 あぁ、それは面白そうだな!前に敵のボスをマネた時は…そうだ、亜人語適正と声帯模写の合わせ技で 指示を偽装して撹乱してなー。 アレ、なんて言ってたか全然わかんねーけど! >壁や天井 張り付いたり物陰ってのは要警戒だな。 戦術眼で予見できれば注意は促すぜ! あとは暗視持って行くかな。」
わ、良かった! そしたらサイラスさんにお願いしちゃおっかな。 僕はサイラスさんの声帯模写に合わせて、幻影でホルデオラの姿を作り出してみるよ。上手く行けば更に混乱させられるかも。 あとは「あっ!?」も持ってるけど、併用したら更に良いかも?と思ったりしてる。 暗視と二者択一になっちゃうから、そこはちょっと悩みどころだけどね。
皆よく思いつくな…なるほど 面白そうだ とりあえず俺は、バフとかも単体のしかないもんで…でもそれとブルーフレアとかのGSは重ねがけできるから、輝刃と堅甲かな グレイブが持っていくものに合わせるが、どうする?
私は回復のみを気にすることにしますので、それ以外はお気になさらず。 人も増えましたしね
>グレイブ わかった、じゃあこっちはバフを積んでいこう >ALL ちょっと所用で明日プレを書くことになりそうだから、俺に持っててほしいスキルとかあったら言ってくれ。ギリギリまで対応はできると思う。レベルがレベルだから、あんまつえーのは積んでいけないんだが…
っと悪い、ちょっと確認させてもらいたいんだが、暗視じゃなくて灯り持ってくやついるか? 全員暗視だと、レアスが暗視持ってない場合にあいつだけ周り見えねえなと思って。まあ誰か持ってくと思うんだが…誰が持ってんのか把握したくてさ。
>灯り あ……一応、私が……ランタンを持ち込むか、エンライトで代用するかは迷ってますが…… ただ、私は……シューターという性質上、ウォーリアのレアスさんよりも、やや後方に位置取ることになると思いますので…… より広い視界を確保するには至らないかも……
No.18
他の人のとこまでは夜光石の首飾りなので届かんね
>灯り レアスさん自身が腰にランタンを付けているようだけれど それだけじゃダメなのかな? もしもっと広範囲に灯りを…とのことであれば、斥候的な行動を取る者以外の 全員が暗視を止めて、明かり持参にした方が良い…のかな?
>エンライト 一応私は準備しておきました。 半径6hexまでは光が届くようですし、「その先」や「影」のところを暗視持ちの方に確認していただく形がよいのでは?と思います。
>ラティア、サイラス、キオルティス、グレイブ 皆ありがとう。レアスの腰にランタンがあるのは見落としてた…! その場合でも、レアスだけ灯り持ってると狙われたりしねえかなって。それぞれ明かりを持ってってくれるなら、グレイブの言う通りのかんじでいいと思う。 ギリギリの確認になっちまって悪い! ありがとな。
僕もランタン装備で行くのと、あとメテオライトや爆スキルは一瞬の明かり代わりにもなるって聞いたから大丈夫かなって。僕自身は後衛職だしね。 とりあえずプレはもう提出済み。アーケインデで奥を塞ぐ動きにしたけど、他と被った時の為に位置とか調整する旨記載したから、上手く拾って貰えるといいな。 何かあれば出発3時間前くらいまでに言ってもらえれば対応出来るから遠慮なくどうぞ。 現地でもよろしくね!
ごめん訂正。アイアンウォールがあったんで鉄壁作って奥塞ぐ動きにしてみた。 アーケインの方が良ければ変えるから言ってね。アーケインも持ってくよ。
「ちっとギリギリだな… ちょっと(パソコンなのかサイトなのか)調子悪くてな… ランタンは持って行くのと、レアスのフォロー中心に前衛で動くぜ!」