【澹世】激動の矛先【求和】
崎田航輝
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シナリオID:1779
オープニング
扉を蹴破る衝撃と、それに続く幾つもの足音。
混乱の声と、それを上からかき消す怒号。
ウォーグスファミリーの事務所――そこへ若い衆が突入していく中、ジーモン・グレンダは誰より先頭に立って踏み込んでいた。
机を蹴り飛ばし、慌てながらも行く手を阻もうとする相手構成員を薙ぎ払い。靴のまま床を踏みしめ、最奥の部屋へ入ってゆく。
だが――そこは既にもぬけの殻。
ウォーグスの影も形もなかった。
立ち尽くすジーモンに、若い衆の一人が歩んでくる。
「ボス。ウォーグスはどこにも……」
「ああ、だろうな」
ジーモンは低めた声で応えた。
判ってはいた。
「あいつらの言う通り。ウォーグスはもう、街を捨てやがったんだろう。今頃、新しい組織に尻尾を振って新たな門出さ」
吐き捨てるように言いながら、その部屋を見回す。
金品の類は、一切残っていなかった。
あるのは運ぶ事が出来なかったらしい、アンティークの家具だけだ。
ジーモンはそれを叩き割る。
「……ドネルズを、舐められねぇ街にするんじゃなかったのかよ」
てめぇが義理もメンツも潰すような真似をしてどうする、と。
そう呟きを零しながら。
●依頼
「奪われた金は取り返す。ツケは支払わせる。コケにされたら――とっ捕まえて、自分が何をやったのか知らしめる」
それが稼業人ってもんだ、と。
ジーモンは事務所に招いた冒険者達へ、そう言ってみせた。
そして真っ直ぐの視線を向ける。
「その手伝いを、してもらいてぇ。判ってるだろ……ウォーグスの件さ」
ジーモンは前回の調査結果を受け、即座にウォーグスファミリーの事務所へ殴り込んだのだという。
だがウォーグスは既にそこに居らず――事務所にいたのは事情も知らされぬまま捨て置かれた、下っ端達だけだった。
「お前らの情報通り、ターブって街へ逃げたんだろう」
首を振るジーモンは、それが未だに信じられぬような様子でもある。
握る拳には、力が込められていた。
「判るか。やつは、自分の部下すら捨てた。一度杯を交わしたはずの仲間にすら何も言わず……切り捨てるみたいにして去ったんだ」
一緒に連れて行ったのは、力があるか知恵があるか……何にせよ、自分の思い通りに動く奴らだけなのだろう、と。
「やつにはもう仁義も何もねえ――少なくとも、ファミリーを従えてボスを名乗るようなやつだとは、俺が認めねえ」
それを知らしめてやる、と。
ジーモンは用件を端的に告げた。
「ターブに殴り込みだ」
情報によれば、ゴールディの街ターブは――現在、“商会”という組織に牛耳られている状態らしい。
つまりは犯罪の温床という訳だ。
「だが、そんな事はどうでもいい。こっちは、ウォーグスに用事があるんだ。文句をつけてくるやつは俺が叩き潰す」
それは即ちジーモン自身も冒険者と共にターブに赴くということだ。
「雑魚なんて無視でいい。ウォーグス達だけを探すぞ」
ただ、と。
ジーモンは冷静さも残しているように続ける。
「ウォーグスがターブにいるかどうかは、実際、確証がねえ」
ウォーグスは、街も部下も捨てるような人間に成り下がってしまった。自分だけは更に別の場所で安全を確保している可能性もある、と。
それは単なる推測ではなく、前回冒険者達がスラムで手に入れた情報にも関係している。
「ウォーグスは、“商会”の軍門に降ったって訳じゃないらしいからな」
エンゾファミリーを名乗っていた、嘗てのウォーグスの配下は……ウォーグスが“商会”とは違う「何か別の勢力」に繋がっていると証言していた。
「これは推測だが……“商会”がそもそも、その別の勢力って奴に関わってるんだろう」
だからウォーグスは一時的に“商会”に身を寄せたのかも知れない、とジーモンは言う。
「“商会”もただ腰掛けの可能性があるって訳だ」
ジーモンがそう考える理由は単純だ。
ウォーグスはドネルズを捨てた。それは既にゴールディに興味がなく……国外への脱出を狙っているからかも知れない、と。
「はっ、汚い田舎から、順調にステップアップを狙ってるのかもな」
何にせよ、ウォーグスは狡猾。
こちらが出来るのは……迅速な行動だけだと言った。
「最悪、ウォーグスがターブにいなくても構わねえ。向こうの守りが固まる前にカチコんで、ウォーグス以外のファミリーを全滅させりゃいい」
一時的にしろ、ファミリーの拠点になっているなら……ウォーグスは右腕のような存在を絶対に置いているはずだから、と。
「そいつを倒せばウォーグスの居場所も判るだろ」
ターブの現状について、詳細な情報はないけれど。
「調べてる時間はねえ。速度が命なら……攻めるだけだ。お前らには面倒をかけるが――もう少しだけ、力を貸してくれ」
●重なる争い
それから冒険者達とジーモンは、荒れた地を駆け抜けてターブへ向かった。
そしてその街が近づいてくる――と。
ジーモンは森林の中から、違和感に気付いた。
甲高い剣戟のような音。切羽詰まった呼び声に、叫声。ターブから幾つもの音が聞こえてくるのだ。
「こいつは……何かの争いが起こってやがるな」
どうやら、こちらとは別の勢力がターブに攻め込みでもしたのか――街全土に混乱が波及しているようだ。
はっ、とジーモンは笑う。
「この機を逃す手はねぇ」
ジーモンは一行へ言ってから走り出す。
「ウォーグスの拠点だけを目指して進むぞ」
解説
マスターより
リプレイ
伸びる木々にも傾斜がつく、急峻な山道。
枝葉を縫って進みながら、ハヤト=ガラン=ヴォルファングはその先にある街――ターブからの音を聞いていた。
「まだ混乱が続いてるみてぇだな」
響くのは、人々の叫び声や呼び声だ。
ターブに大きな勢力が攻め込み、戦いが起きたのはつい先刻の事。とって返す形で合流したハヤトには……その騒ぎが未だ収束していないのだと判る。
「色々と裏が見えて来たが――どーにもデカぇ山に当たっちまったって事だな」
「あの騒ぎを知ってるのか」
と、そう問うのは同道するジーモン。
それでも今は深く問う事はなく、前方を見据える。
「後で話でも聞かせてくれよ」
今はただウォーグスを捕まえる事が最優先だから、と。
その言葉には、イズレンディル・パラリムも頷く。
「そうですね。国外で“ステップアップ”だなんて、されると困ります――ただでさえ、今はどの国も大変な時期ですから」
「ええ」
一つ相槌を打つオゴスは、坂の頂上に差し掛かると……皆を止めて街を観察した。
オゴスにとってもそこは戦いを経験したばかりの場所だが――
「確かに荒れていますね」
街の東は、人々が慌ただしく行き交っている。
状況を知らぬ者も多いようで、混沌としていた。
「これなら入っても問題なさそうだな」
ナハシュが口を開くと、ヨル・スレイマンも「ああ」と頷く。
「犯罪者に、荒くれ。無法者の商人……うろついているのはそんなところだね。隠れ家を探すのは楽ではなさそうだけれど」
それでも迷う由はない。
「行こうか」
ヨルが言って街へ滑り出すと、オゴスも頷いて続く。
他の組織というものの影響を別にしても、オゴスはウォーグスを逃せないと思っていた。
杯を交わした相手への裏切り。それが如何な行いであるかは、オゴスにも想像の出来る事だから。
「――相応のケジメを」
思いと共に、走り出す。
持てる限りの家財を抱え逃げる者がいる。
着の身着のままで状況の確認に奔走する者がいる。
街は騒々しく、そして乱暴な不穏さに包まれていた。
その中でも不審に思われぬよう、イズレンディルは薄汚れたマントで現地の人間を装いながら――視線を走らせる。
「どなたか、この辺りに詳しい方がいればいいですが」
「だな。今の所怪しい場所もなさそうだし――」
ナハシュはエーテルの波動を走らせ、地形を把握しながら言った。
入り組んだ道や、小さな家も多い一帯だ。だけに、行き交う人々も多いが――現状では怪しい影は見えない。
ただ、犯罪者らしき人物が察知出来る事は少なくなく――今もまた、何か道の奥へ声を荒らげてから走ってくる男の姿が見えていた。
その男は喧嘩沙汰を経てきたのか、脇腹から血を流している。ナイフを持っていて、どこかへ逃げるつもりだろう、布の袋を担いでいた。
こちらに目を留めると、道を空けさせるつもりか、ナイフの柄に手をかけるが――ハヤトが一歩前へ出て。
「よう、ちょっと待ってくれよ」
その手を押さえるようにして声をかけた。
驚く男は、警戒を浮かべる。
「何だ、てめぇら」
「争うつもりはありません」
イズレンディルがそう言葉を告げると……オゴスもその男の力量が大したものではないと感じ取って言った。
「問題ないでしょう」
それにハヤトも頷いて……威圧感を発揮しながら向き直る。
「話が聞きてぇんだ、いいか?」
「話?」
「この近くにいるマフィアについてです。只で、とは言いません。逃げているのでしょう?」
イズレンディルが聞くと男は、こちらの様子を窺いつつも「ああ」と応えた。
「“商会”がやられたって聞いた。こんな所にはいられねぇ」
「でしたら、口利きが出来ますので、身の安全を保障できますよ」
「……何もんだ、てめぇら」
イズレンディルは手早く事情を説明した。有用な情報を提供出来るなら……エルムポート側に便宜を図る事も可能だ、と。
男は半信半疑ではあったが……最後には頷いた。
「……向こうの段を上った先だ。あの辺りにマフィアがうろつくようになったとは、聞いた」
「少なくとも嘘を吐いている様子ではないね」
洞察力を活かして注意していたヨルも、保証するように頷いた。
「じゃ、行くしかねえな」
周囲を警戒して回っていたナハシュも言うと――皆も同意する。
オゴスが最後に聞いた。
「街の者であるという、証明のようなものは?」
「……そういうものは無え。お目通りが叶って街に入ったら、後は相互監視さ」
息苦しくもあったというように男が語るとオゴスは頷いた。
周辺の人間が互いの顔を知っているなら、こちらは目立ってしまう可能性はある。皆は一層周囲に注意を払いつつ、その方向へ走った。
すると段を上った先で……すぐに不審な気配を見つける。
こちらの様子を角から窺おうとしている、一人の人影だ。
それを察知していたナハシュは、ジーモンへと視線を送る。フードをずらして人影の顔を見やったジーモンは――
「見覚えがある。間違いねえ」
それを機に、皆は迷わず走り出す。
その男――ウォーグスファミリー構成員は、はっと気づいて下がろうとした。
が、ヨルが模造銀貨を指で弾く。エーテルを張り巡らされたそれは強烈な威力を伴って命中し、男をよろめかせた。
「……っ」
「諦めるんだな」
と、その間に距離を詰めていたのがナハシュ。
抜き放った短剣を躊躇なく振るい、脚へ。血潮を噴出させながら貫通させ、男を派手に転倒させていた。
傷は深く、もう戦えない。
それを確認してナハシュは皆へ顎をしゃくった。
「いいぜ」
頷いたヨルが男を拘束すると……皆も歩んでくる。
イズレンディルは視線を下ろして尋ねた。
「ウォーグスファミリーの構成員の方ですね」
「……」
男は最初、黙そうとする。
ハヤトはその襟首を掴んで上げた。
「話さないなら、どうなるかは判るんじゃねぇか?」
その威圧感に、男も抗えないだろう。息を呑む様子を見せてから……言葉を零した。
「どうするつもりだ」
「拠点が知りたい。ちゃんと吐いてくれたら命だけは助けるよ。ヒールだって吝かじゃない」
ヨルが言うと、男は迷いを浮かべたようだ。
それは仲間を売る事になるからだ。
ただ、もはや選択の余地がない事は理解していたろう。
「……、もう一段上がった先の、四差路の北。……土壁の建物だ」
「そこにファミリーが?」
イズレンディルが目を向けると、男は「ああ」と言いつつも何かを含んだ様子だ。
「全員いる、という訳ではないのでしょうね。その様子では」
オゴスの言葉が真実なのだろう。それを男は否定しなかった。
ヨルが続ける。
「なら、人員についても教えてもらいたいね」
「……喧嘩を売る気か」
「先に売ったのは、ウォーグスファミリーの方では?」
オゴスが返すと、男はそれに反論をする事が出来なかった。
ハヤトが促す。
「早く言っちまった方がいいぜ。何人いる? ウォーグスがいねぇなら、誰が纏めてる?」
「……」
男は苦渋を見せながら……それでも最後には全てを話した。
イズレンディルは皆へ向き直る。
「拠点にいる人数は多くはないですね。まずは外に出ている方々に対処出来れば――」
「なら、さっさと済ませるか」
ハヤトが言うと、皆も賛同。
男は縛り付けたままにしておき、素早く次の行動へ移ってゆく。
●突入
(……居ましたね)
オゴスが建物の陰から見据える先。
拠点への道の一角に立ち、周囲を窺う男の姿が見えていた。
刀を佩いて、相応の実力を感じさせるそれは……ウォーグスファミリーが雇う殺し屋だろう。構成員から得た情報とも、身なりは一致していた。
距離は近いが――オゴスは気づかれてはいない。無音の領域を展開する事で、自身が立てる音を殺しきっているからだ。
同時に、時折領域を解いて周囲の音を確認してもいる。
そうして、その殺し屋が気づかぬまま、横道に一歩逸れた所で――オゴスが合図。
直後にはヨルが腕を真っ直ぐに突き出して……銀貨を放つ。一直線に飛んだそれは、吸い込まれるように殺し屋の足に命中した。
「……っ!」
殺し屋は自身を支える力を失ったように、大きくふらつく。
その一瞬の隙に――ハヤトとナハシュが肉迫。打突と斬閃の雨を降らせるように連撃を加え、一息で体力を奪い去っていた。
それから気絶したその殺し屋の体を物陰に横たえて……全員で改めて拠点へと近づく。
「向こうが事態に気づく前に、仕掛けた方がいいね」
ヨルの言葉にも皆は頷く。
この殺し屋だけでなく、あれから更に外にいた構成員三人を打倒していた。それぞれに尋問も行って、後の戦力は全て拠点内にいる事も判っている。
中にいる敵が、構成員が帰らない事に勘付くのは時間の問題だろう。故にイズレンディルは素早く拠点の建物に走り寄り……透視能力を発揮した。
(中の人員は、情報通り――)
纏め役のバーグらしき男の他、構成員と殺し屋。合わせて八人が確認出来る。
ファミリーとしては既に風前の灯火とも言える人数だろう。それでも侮れない相手ではあるだろうが――こちらも手を抜くつもりはない。
(始めようか)
小声を使ったヨルが、まずは胸の前で十字を切り……エーテルを共鳴。皆の能力を引き上げていく。
同時にイズレンディルの長杖に淡い光を纏わせ、攻撃力を高めると――そこで各自が位置につき、準備を整えた。
後は、攻勢。
それは静かな一瞬から始まった。
イズレンディルが一度瞳を閉じ、意識を集中すると――天地のエーテルが凝集されてその杖に巡り出してゆく。
直後、イズレンディルは湛えた膨大な魔力を、開いていた窓の隙間から撃ち込んだ。
中の構成員達が何を起こったのかを、確認するだけの時間もない。刹那、透明な波紋が拠点内の空間に広がり――衝撃波が放射状に爆裂する。
建物が揺れ、窓枠がへし折れて吹き飛んだ。
同時に幾つもの苦渋の声が重なり、家具と人の倒れた音が響いてくる。
(構成員は……全員倒せましたね)
イズレンディルは素早く中を確認。四人の構成員が倒れているのを見て取った。
バーグと殺し屋はまだ健在だが――
「まだ終わりませんよ」
残る敵に脱出の判断をさせる間もなく、オゴスが魔導書の頁から無数の光球を宙に顕現している。
位置は反対側の窓。既に硝子も割れてなくなっていた、その空間から……浮かべた球を全て降り注がせていた。
その衝撃もまた、眩く鋭い。
襲う強烈なダメージに、殺し屋も耐えきれず……三人が倒れ込んでいた。
残るは既にバーグ一人。流石に体力はあるのか、未だ苦しむ様子も見せず、冷静に刀に手をかけようとしているが――
「遅いぜ!」
そこでハヤトが扉を蹴り破って突入。
跳躍して家具の瓦礫を飛び越えると――縦に廻転しながら天井を蹴り、頭上からバーグの至近へ。
「うるぁ!」
声と共に、速度を乗せた蹴り落としを直撃させた。
肩から鈍い音を零しつつ、バーグは揺らめいて膝をつく。ハヤトはそこへ更に拳打と斬撃を加えて血潮を噴かせていた。
「……っ、何だお前らは――」
零しながらも、バーグは破れた扉の向こうにジーモンの姿を見つける。
それで状況を察したろう。裏口へ下がって逃げる態勢を取ろうとするが――
「残念、行き止まりだよ」
そこから踏み込んでくるのが、ヨル。
「君にはウォーグス君の居場所を吐いてもらわないといけないからね。逃さないよ」
言いながらも祭刀を抜き放って一閃。足元を斬り抉り、エーテルで肉体を蝕んで動きを鈍らせていた。
その頃にはナハシュも接近。もう片足を斬り裂いてバーグを崩折れさせると――更に斬撃と暗器での刺突を重ねて体力をこそぎ取る。
再び膝をつくバーグは、それでも反撃の一刀を振るおうとした、が。
「悪ぃが、これで終わりにさせてもらう」
それよりも早く、ナハシュが次手を取る。
相手の刃を逸らすようにしながら短剣を脇腹に突き刺して――よろけたところへまた二連の衝撃を浴びせ、バーグを気絶させた。
「さて、それじゃあ話してもらおうか」
目覚めたバーグを、ヨルが見下ろす。
拠点の屋内。外の騒乱が響いて聞こえるそこで――皆は構成員達を捕縛していた。
それはバーグも例外ではない。幾重にも縄を巻きつけた状態で、尋問の様相だ。
「……」
バーグはすぐに状況を理解したろうが、それでも始めは反抗的に口を開く。
「ファミリーの崩壊を招くような事を、わざわざ漏らすと思うか」
「判ってねえな」
対するナハシュは、息を吐いて視線を下ろした。
「ファミリーはもう、崩壊してんだ。残るはウォーグスだけなんだろ」
「……」
バーグはそれに口を噤む。
その様子で、指摘が真実であるのだとヨルには判った。
イズレンディルはそっと言葉をかける。
「私達の目的はウォーグスさんです。話さえして頂ければ、この場でそれ以上は望みません」
「逆に言えば、そうするより他はありませんよ」
オゴスの静かな言葉に、バーグは再び床を見る。
だが時間稼ぎも無駄だと悟ったろう、話し始めた。
「……ボスは、“上”に行きたがってた。小汚えゴールディの田舎じゃねえ、もっと上を、ってな」
「それでドネルズを捨てたのか」
ハヤトの言葉に、バーグは小さく歯噛みする。
「俺も最初は反対した。だがボスは聞いちゃくれなかった。そしていつからか、“商会”と……もっと厄介な奴らとやり取りを始めたようだった」
「厄介な奴、ってのは?」
ハヤトが尋ねると、バーグは周囲を一度見回すようにしてから声を低めた。
「メドゥの指先だ。確証はねぇが、俺は間違いねぇと思ってる」
冒険者達はそれに一度、視線を合わす。
イズレンディルが問うた。
「ウォーグスさんからはどの程度、話を?」
「……詳しくは、俺にもほとんど教えなかった。ただ、そいつらの企てに手を貸す事で、見返りが手に入ると言ってた」
「見返り?」
イズレンディルが聞き返すと、バーグ自身、半信半疑のように言った。
「領地だ、と。リーンエス王国の領地……その一部が手に入るんだと、そう言ってた」
それは俄には信じがたい事でもある。
ただ、冒険者の中には『或いは』と心当たりを感じる者もいる。
ハヤトは聞いた。
「で、居場所は?」
「……王国の南西。そこで手伝いをしてるらしい。おそらく……メドゥの指先の事だと思う」
「メドゥの指先が、その辺りで何かを企んでるって事か」
ヨルは呟く。
ウォーグスは、その仲間になったという事だろうか。或いは、ドネルズから盗んだ金銭もそちらに流れているのだろう。
「だったら、行って確かめるしかねえな」
ナハシュの言葉に皆は頷く。
街の騒乱は、続いている。その音がわんわんと、空にまで響き渡っていた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い5 / 4〜8人
2022年01月06日 15時52分47秒 公開
相談掲示板
エルフのキャスター、イズレンディル・パラリムと申します。 まだ二人しかいませんが、出発時間も徐々に近づいて参りましたので、所感だけ記載させて頂きますね。 状況としては別依頼の【暗輸】の面々がターグへと攻め入っている只中、という事のようですね。 【暗輸】は参加者以外に授恵者が8人、非授恵者の傭兵が50人、と大所帯で、北区画奥の「商会」を目指すようですね。 こちらの動きは、ざっくりとこの3段階、でしょうか。 ①街への潜入 ②ウォーグスファミリーの拠点捜索 ③拠点への突入、構成員の撃破 ①に関しては東からが最短ルートとのこと。基本は此方で良いと思いますが、人数が揃えば、東と【暗輸】と一緒に突入、の二手に別れても良いかもしれません。 ②は拠点外に居る『犯罪者』か『構成員』を捕まえて情報を引き出す、あるいは【暗輸】で戦闘不能になった「商会」関係者を捕まえて聞き出すのも良いかもしれません。 ③は、裏口等から逃げられないように注意、でしょうか。逃走路を抑えた上で突入したい所です。 ひとまず思いつく所が以上です。何か他のアイデア等ありましたら是非お聞かせ下さい。
シーフのオゴスと申します。どうぞよろしくお願い致します。 【暗輸】にも参加してんですが、同時参加も問題ないとのことなので参加させていただきます。【澹世】の行方も見届けたいですからね。 この解説の内容だと、ウォーグス本人はいなくてバーグって野郎と会うことになるようです。裏切られたジーモンさんは歯痒いでしょうね……。 『犯罪者』に協力者や利用価値のある相手だと思わせることができりゃ、戦わずに手っ取り早く情報を得られるかもしれませんね。 イズレンディルさんが挙げてくださったように『構成員』や「商会」関係者も、良い情報源になりそうです。
ヒーラーのヨル・スレイマン。今回も宜しく。 なるほど、オゴス君は忙しそうだ。どっちも上手くいくといいね。 >潜入 異論なし。とりあえずは東からで考えておいて良さそうだ。 >拠点捜索 ここでの戦闘にこちらの手札を使いすぎたくないし、避けられそうな戦闘は避けたい気がするね。 『犯罪者』については交渉で情報を取得できると良さそうだ。でも外にいる『構成員』については、帰すわけには行かないかもな。戦闘になったら倒しきるつもりで情報も得たい⋯⋯。 商会関係者からの情報収集も良いと思う。 >拠点への突入 ウォーグス君の居場所情報を得るためにも、バーグ君の捕縛はきっちりやりたいね。 逃げられる可能性が高そうだし、逃走路を抑えるのも賛成だよ。複数に分かれて複数経路から制圧してもいいかもしれない。 こっちの人数にもよるけど、外からの見張りをジーモン君にやって貰うのも手かなあ。シーフなら索敵ができるんじゃなかったっけ。1名離脱に気付いたところで合図をもらえれば、保険にはなるかもしれないね。
オゴスさん、ヨルさん、宜しくお願い致します。 どちらも参加は大変ですね…!【暗輸】の成功も祈っております。 >潜入 ではひとまず私は東から入りますね。 オゴスさんは【暗輸】側に支障ない形にして頂ければと。南からが自然でしょうか? >拠点捜索 そうですね、『犯罪者』は交渉で、『構成員』は撃破、が良さそうですね。 『構成員』に関しては出来れば外で数を減らせると嬉しいですね。拠点内にはバーグと見張りを含めて13人ですのでまとめて戦うのは大変そうです。 【交渉】スキルは持参可能です。交渉材料は……『犯罪者』が「商会」と無関係であれば【暗輸】側に口利きをして捕縛されないようにする、というのはありでしょうか。 >拠点突入 構成員を数名逃がす程度なら良いのですが、バーグさんは逃がさず捕縛をしたいですね。 索敵と言えば…シーフかシューターの捜波、ですね。【マーク】状態(現在位置がわかる)が10ターン持続するので、出来ればお願いしたいです。追跡も可能になりますね。 私自身は、突入前には透視で拠点内の構造や配置を確認しますね。 特性スキルは、少々悩むのですが……火力上昇と空間爆砕(爆・直径5の範囲識別)で、建物外から内部を敵をまとめて、というのもありかなと思っております。 今の参加人数ですと敵数の多さが気になりまして、初手で減らしておきたい気もしまして。 もしくは足止め系のスキル…参加人数が増えましたら足止め系に切り替えようと思います。
すみません、一点書き忘れてしまいました…。追記となります。 >拠点の見張り 「見た目には判りにくい形」で見張りをしている1名、が厄介です。 出来れば発見して仕留めておきたいですね。
……ああ。発言で噛んでしまいました。恥ずかしいので修正です。 >【暗輸】の成功 イズレンディルさんありがとうございます。ハヤトさんも同時参加組のようですね。張り切って参りましょう。 >潜入 なんとなくですが【暗輸】参加者も、一度皆さんと合流して再潜入するってな風に思っておりました。 こう……。メタ的な公平性だとかの都合で。 拠点に近い東から向かおうと思います。 >拠点捜索 俺は隠蔽の高い敵も見つけやすいよう捜波・改を用意していきましょう。 透視なら捜波だけではわからない状況も見えるので、あると大変助かります。 『犯罪者』への見返りについては逃走ルートを教えることもできそうですね。 東の山から侵入した際に俯瞰でターブを見下ろせそうなのでその情報から。 俺は交渉スキルの用意は難しそうです。イズレンディルさんが交渉スキルをお持ちなら、対応をお願いしても宜しいでしょうか? その代わり、俺はモヒカンセンサーを用意し『犯罪者』の中でも弱そうな奴に目を付けて、お話がスムーズに進むようお手伝いできたらと思っております。 見た目には判りにくい見張り対策としては、位置がわかりにくい場合は捜波。 外見が非戦闘員風でわかりにくい場合は、モヒカンセンサーで殺し屋かどうか判断できないかやってみますね。
ぜんっぜん顔出せなかったな申し訳ねえ!! シーフのナハシュだ。よろしく。 潜入ルートについては東からだな、オーケーオーケー。 >拠点捜索 代わりにトリプルファング辺りで手数を増やしておくつもりだ。ジーモンやオゴスが捜波を持つならソッチは任せちまうかな。もしくは双波で地形の確認を行うかどうかか。考えておく。 『犯罪者』と『構成員』についての対応も異論はない。交渉中心に動く奴がいるなら、構成員の方に比重をかけておくかね。 >突入 空間爆砕はしちまってもいいと思うな。 捜波と透視の情報を合わせりゃある程度的を絞るのも出来るんじゃねえの。 外から逃走者が出ないか張るのも賛成だが、其処をジーモンというかNPCだけに任せるのはちと怖いもんがあるな。どちらにしろ裏口方面から行くやつか、そっちの出口で待ち構える奴がいた方がいいんじゃなかろうか。空間爆砕で一発派手にかますなら、この人数でも行けると思うがどうだろね。その場合俺がそっちから行ってもいい。
>拠点捜索 構成員の方にちょっと比重を置こうかな。 >突入 空間爆砕、頼りになるね。それで相手が建物内から外に出てきてくれたらしめたものだ。 マークとか索敵も助かる。メンバー的に考えても、一度バーグの存在をこちらが視認さえしてしまえば問題なさそうだと思うね。 足止めとしては光縛封を持っていける。もしバーグ君が単身で逃げるのであれば、一緒に入って適当に殴っておくことも多分できる。これはとりあえず持って行っておくね。 問題はバーグ君が最初から一度も確認できない場合かなと思うので、表と裏から分かれて突入後、指揮を取る人間がいない場合は俺が外へ引き返してもいいかも知れない。 突入せずに外で待機の方が良さそうなら待機にするよ。索敵はジーモン君に頼めばいいものね。
>空間爆砕 強力な魔法であると同時に対象識別で精緻な狙いも出来るのが強みですね。 バーグや手掛りがありそうな場所を巻き込まず他の奴らを一挙に攻撃できそうです。 ヨルさんの懸念を踏まえ……バーグの居場所を特定できた際は空間爆砕。 透視で見えにくい位置にいるなどバーグ特定が困難な場合は突入しちまうのはどうでしょう? 捜波で位置がわかれば敵の待ち伏せをまんまとくらうってなことも避けられるので。 窓があるのなら壁歩きで攻め入るってのもできそうですが、敵の数が多い部屋に単身で突っ込むのはさすがに危険な気がします。 シーフ数名で動きを合わせるか、あるいは外壁に張り付き魔法を撃つ時だけ窓に近づきフェザーステップで窓から離れるならまだ安全でしょうか。 >探波 建物をぐるりと見回らなくとも出入口の箇所を把握するのに便利そうですね。 ナハシュさんに双波で確認してもらうのも助かりますし、もし別のスキルを持っていきたいなどがありましたら俺が捜波・改を双波に変更もできます。
俺のプレイングの抜粋です。スキルは捜波・改にしました。 手が回っていないのはジーモンさんへの作戦説明。窓以外の逃走妨害。ウォーグスの手掛り調査です。 これ以降は相談掲示板が見れない可能性があります。皆様の動きと齟齬や支障がないと良いのですが。 仲間と共に東から潜入。山道からターブの様子を把握。不審な動きやどこが激戦地か 街内で会う者にモヒカンセンサーで力量把握。格下の犯罪者がいれば交渉を行う仲間に伝達 強い犯罪者には嘘で構成員への敵意を掻き立て 拠点の目処が付き次第、見張りを警戒。入り組んだ道を利用し隠れエリアサイレンス。時々停止して無音解除し音を聞きます 遠方から建物>外の順に捜波で敵の位置確認。仲間に伝達 外の見張りを想定し物陰に注意。非戦闘員風の見た目ならセンサー 俺自身は戦わずエリアサイレンスで見張りと至近距離を維持します 建物に窓が見えれば壁歩きで外壁に張り付き、魔法を撃つ時だけ窓に近づき離脱。敵複数にメテオ。単体に魔弾。攻撃集中 窓からの敵逃走も警戒。迎え撃ちます 窓なしならドアから突入。敵の待ち伏せを喰らいにくい場所から バーグを殺さないよう注意 負傷者にヒール
>空間爆砕 ご確認ありがとうございます!現状5名のようですので、空間爆砕で行きますね。 そうですね、バーグの居場所というのは確かに重要です。 ではバーグの居場所が判明した場合は突入直前に。判明しない場合は、まずは逃走路を抑えた後に使用、という形に致しますね。 >突入 オゴスさん、捜波のご担当助かります。 見張りさえ見つけてしまえば拠点への突入を奇襲的に行えますし、裏口等も押さえておけばバーグが逃げたした際にも対処できそうですね。 裏口はやはり私達の誰かがしっかり抑えておきたいですよね。 ナハシュさんに裏から突入して頂けるのは助かります。 では私は、正面担当という事で空間爆砕後に正面から突入しますね。 足止め系のスキルはあった方が良いかなとは思っていましたので、光縛封があるのもとてもありがたいです。逃げ出しても大丈夫なように備えますが、出来れば逃がさず捉えたいですからね。
おーっす! ギリギリになっちまってすまねぇ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 諸々の作戦は了解したぜ! 東から潜入してオゴスとナハシュの索敵頼りで標的まで突っ走るぜ! 壁歩きで地形の複雑さは対処するつもりだ。 犯罪者は威圧感でビビらせて情報聞き出すつもりだ。 あとはイズの魔法で敵が弱ったところを討ち漏らししねーよーに倒して回るな!