【暗都】誰がウサギを救ったの?
久生夕貴
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シナリオID:1389
オープニング
最後の言葉は、聞き取れなかった。
否、聞き終えるまでにとどめを刺した。
仕事で殺す相手に言葉はかけない。
ただただ、無感動に命を奪うだけだ。
深紅の瞳が、後方で震える女へ向いた。たった今、兄を殺された女の目は、絶望と慟哭と恐怖が目まぐるしく入れ替わり――虚無へと塗り替えられてゆく。
足元に伏した死体に視線を落とす。兄と呼ばれた男の指は、8本が欠けていた。
コランダム商会の商売敵が、男を拷問するときにやったのだろう。
その商売敵が聖真教によって壊滅させられたため、今度は標的をこちらへ変えてきたらしい。
弱者から巻き上げた金を取り返そうとして、2度も失敗した哀れな男。
何もせずひっそりと生きていれば、命を落とすこともなかっただろうに。
「見事な手際ですね」
かけられた声に振り向く。赤髪のエルフが、いつもの張り付いた笑みを浮かべていた。
「アルニラム様!」
女が驚きの声をあげる。
「私を助けに来てくださったんですね! 聖人にお手間をおかけして――」
「それは少し違いますね」
「え……?」
「僕はそこの彼を救いに来ましたから」
一筋の光を見出したはずの瞳が、驚愕に染まる。
アルニラム・コンドル――聖真教幹部を前に、アルネブは苦笑を漏らした。
「アンタって本当に酷いね。この兄妹は信者だろうに」
そうですか? とアルニラムは不思議そうに、屠られた遺体を見やった。
「正義を貫くには、知恵と力が必要です。彼にはそれが無いだけでなく、妹までをも巻き込んだ。愚かなことです」
「で、でも兄は必死で悪と戦おうと……!」
「責任を伴わぬ正義には、これが相応しい結末です」
明るい声が、絶望を落とす。
これほど冷酷な正論があるだろうか、とアルネブは思った。
初めて声をかけてきた時から、この男は己の信念に恐ろしいほど忠実で。
「……もう、いい」
女の掠れた声が届いた。
虚ろな瞳はアルネブを通り越し、どこか遠くを見ている。
「早く殺して。もう……疲れたから」
すべてを諦めた女は、脱力したようにしゃがみこむ。
その白く細い首筋、うっすらと浮き出た青い膨らみへナイフをすべらせた。
冷えた刃が薄い皮膚を切り裂こうとした、刹那。
「――ありがとう、兄さん」
私を愛してくれて。
絶望と虚無に支配されたはずの女は、微笑っていた。
その瞳に映る自分の姿と、亡くしたばかりの妹が重なり、アルネブの手は凍り付いたように動かない。
「どうしました? 殺さないんですか」
アルニラムの声で我に返り、はじかれたように女から離れる。
はじめて躊躇した自分の『底』を知り、悄然と立ち尽くす。
「俺は――」
言葉を発した瞬間、溢れだした衝動がアルネブを蹂躙した。
激情に怯え、震え、己を抑え込むようにうずくまる。
もう、十分だろう?
頭の中で何かが叫ぶ。
失うものなど、とっくに無くなった。
壊れた心の欠片をすり潰しながら、それでも生きていた理由は、彼女たちにいつか与えられる死で己の無力を断罪するためだ。
願いは叶った。
だから、もう。
「苦しそうですね、黒兎のアル」
嗚咽を漏らすアルネブの頭上から、静かな声が降ってきた。
震えながら見上げた先で、紅鷹が微笑む。
「君の救済は近い」
ようやくその時が来たのだと、彼の目は告げていた。
やがて慟哭は静まり、微かに光を戻した深紅の瞳は、動けずにいる女を見つめた。
たったひとつの望みを果たしたのは、ダグザでも同朋でもなかった。
失くしたはずの”心”に触れてこようとしたのは――
「アルニラム。アンタに頼みがある」
●リブラネスタ冒険者ギルド
陳列された遺体を前に、リゲル・ルースティカは歯噛みした。
リブラネスタ郊外で、明け方四件目のバラバラ死体が発見されたのだ。
的確に分けられ、洗われ、陳列された手法は、アントマンの仕業とみて間違いない。
「……あれ。今回は指が八本も欠損していますね。アルネブが持ち帰ったのかな」
同行した職員に、リゲルはかぶりを振った。
「この指はずっと前に切断されたものだのう。傷口がすっかり塞がっておる」
つまりこの人物は過去に何らかの理由で指を八本も失った。事故でないならば、それなりに訳ありということなのだろう。
遺体の身元資料を見て、リゲルは目を見張る。そこには『聖真教信者』と明記されていたからだ。
どうやら身元確認に来たのが教団の人間らしく、その人物によれば被害者の妹であるハンナという女が、現在行方不明だという。
(またしても聖真教か……)
嫌な予感は拭えないが、五人目が出る前に何としてでもアルネブを止めなければならない。
リゲルはすぐさま冒険者を集める手配をした。
●
1時間後、緊急招集された冒険者達は、ハンナ救出を目指していた。
ギルドを出発した彼らの前に、突然何者かが現れる。
「ハンナさんを探しているのでしょう? いえ、もっと言えばアントマンを探している」
とび色の瞳を持つ、赤髪のエルフ。
聖真教幹部のアルニラムが、にこにこと笑みを浮かべ歩み寄ってきた。
「ああ、警戒しないでください。僕は君たちを邪魔しに来たわけではありません。アルネブ君のところに連れていきますよ」
この男は何を言い出すのか。
冒険者が問う間もなく、一方的な話が続く。
「なぜそんなことをするのか? 僕は彼を救わねばなりません。ですが僕が救済を執行するのでは、足りないんです」
そう告げる顔は残念そうな、それでいて何かを期待するような、相反の情が入り混じっている。
「彼に最も相応しい救い手は、君たちです」
冒険者がアルニラムの言葉の意味を考えるより早く、彼はどこかへ向かい始めた。
一瞬迷ったものの、冒険者たちはついていくことにする。
救出対象は聖真教信者であり、この男が教団幹部である以上、互いの利害は一致していると言える。
アルネブへの救済が何を意味するのかは不明だが、ピレネーの殺害が聖真教の救済執行だったことからすると――
着いたのは、霧が立ち込める荒地だった。
朝靄の中で、黒い人影が立っている。
折れた兎耳と深紅の瞳が、アルネブ――アントマンの存在を示していた。
「本当に俺がいて驚いた?」
冒険者一人一人の顔を眺め、男は微笑った。
その瞳は場違いなほどに、ひどく凪いでいて。
いつの間にか、アルニラムの姿は見えなくなっていた。
「アンタらが探している女は、俺を殺せば助けられるよ」
アルネブは静かに、しかしはっきりと言い切った。
「今から俺と殺りあって、アンタらが生き残れば女は助かる。俺が生き残れば、女は死ぬ」
ああそれと、とアルネブは含めるように告げた。
「どちらも生き残った場合、俺も女も死ぬから」
そんなことがあり得るだろうかと、ある者は思った。
しかし別の者は理解した。
手を下すのはアルニラムであり、あの男なら本当にやるだろうということを。
「ここまでしなきゃ、アンタらは本気で俺と殺り合ってくれないだろ?」
微笑と哀切の狭間、正気と狂気が入り乱れた純粋なる本懐。
「俺は自分のやって来たことを後悔しない。後悔するつもりもない」
彼は告げていた。
自分は救いようのない、悪だと。
「最後に見せてよ。アンタらの”心”がどこにあるのか」
心を失くしたウサギはわらっていた。
解説
マスターより
リプレイ
――それはあなた、とウサギがこたえた。
●
立ちこめる霧の中で、折れた兎耳と紅い瞳はやたらとその存在感を示していた。
正気と狂気の狭間。
歓喜と哀切が入り混じる異様な気配は、この地が切り離された空間であるような錯覚さえおぼえさせる。
ナイフを引き抜いたアルネブの表情は酷く凪いでいた。
そこに悲愴は無くむしろ安堵に近い色を感じ、エルファリアはあからさまにため息をついた。
「はあ……面倒臭いのと胡散臭いのが合わさってますね」
「悪いね。面倒臭くて」
苦笑する相手へ「ええ本当に」と言いやって。
「まったく、心なんて非合理なものを合理的に突き詰めようとするから。『分からない』が答えのことなんて、いくらでもあるのに」
こんな茶番を仕組んだ誰かと、そうまでして答えを求めようとする目の前の男。呆れを通り越して、苛立ちすら覚えてしまう。
そしてこの感情さえ、おそらくあの男にとって好ましいものなのだろうと想像するがゆえに。
「言っておきますが。『ここまでしないと本気でやりあってくれない』とか、過大評価ですから。私、どっちかというと”心ない”方なので、倒す依頼さえあればやりますよ」
そう簡単に心など見せてやらない。
これは選べないやり方を採った彼らに対する、意趣返しだ。
「自らの意志でこの状況を作ったのなら、これはアルネブからの依頼だ。冒険者なら受けた依頼は達成する他ない。だが……」
ルチル・プルメリア・グレイハーツは静かなまなざしで、彼らへ向け宣言した。
「アタイらはやらされるんじゃない。自ら引き受けるってことを覚えておきな」
その声には怒りも衝動もなく、静謐のなかで音もなく湧き続ける泉のようだとアルネブは思う。
ク・サーヤ・クッセーワも、やれやれと言った様子で黒兎を見やった。
「あらゆる抜け道がふさがれてただ殺すしかできない状況は業腹じゃが……乗り掛かった舟である。望み通り引導を渡してやろう」
この怒りが理解できるか? とその視線が問いかければ、相手はほんの少し申し訳なさげな色を浮かべた。
「そうだな。アンタらから選択権を奪ったことについては悪いと思ってる」
自分で死ぬことを選ばず、ダグザでもアルニラムでも、ましてや司法でもなく『彼ら』に手を下してほしいと望んだこの感情は、己の我儘以外何物でもない。
きっとこんなことをしなくても、彼らは終わらせてくれたのだろう。
されど――
「分かっておる。決着をつけてやることがわらわの心であると知れ」
熟練の色を宿す瞳が”みなまで言うなと”告げる。それを語るのはすべてが終わった後でよいのだと。
「よォ、アルネブ。ランタンパーティ以来だな」
烏色の結髪をなびかせ、中村・右衛門佐・勘次郎は紅を引いた唇で弧を描いた。
「ああ。また会えて嬉しいね」
「はッ。嬉しいとか、感傷的なこと言ってんじゃねェよ。悪人は悪人らしく、ふてぶてしくしてな」
勘次郎の言葉にアルネブは「それもそうだ」と微笑う。
「刃を交えることになっちまったのは残念だが――」
一瞬でも心の内に触れただけに、やる瀬なさが胸をよぎる。感傷的なのはどちらだと内心で笑いつつ、深紅の瞳を見やった。
あのとき見た諦観の色が、今はもうない。
(そうか。――そうなんだな)
ならばと小さく息を吸う。
大太刀を構え、咲くようにまなじりを上げた。
「お前さんを野放しにするわけにャァいかん。遠慮なくブッ殺させてもらうぜ」
それが交戦の合図だった。
●開戦
最初に動いたのはアルネブだった。前回の交戦時と変わらぬ速さで一気に距離を詰めると、最前列にいた勘次郎へ向け流れるように刃を振るう。
激しい金属音が鳴り響き、血しぶきが舞い上がった。
「……ッ。なるほど、噂どおりの手捌きだなァ!」
肩から噴き出す血はそのままに、勘次郎は愉快そうに嗤う。
清々しいほどに躊躇の無い刃。この一撃だけで相手が本気だということが確信できるというもので。
その後方では、交戦気配を察し一足早く詠唱展開していたララノアが、エーテルを解き放っていた。
「私は今、アルネブ様の瞳を……清々しいと思っています……」
能力を向上させる淡い光がメンバーの身体を包む中、先日見届けた命を想う。
(冒険者になって、つらい絶望をしり……深い悲しみがあることを思いしりました)
それでも光を見出そうともがき、人を愛したいと願う尊さ。
不退転の決意を抱き、果たそうとする強さ。
そして多くの温かさがこの世にはあるのだと、知ったから。
「私は、見届けたいです」
貴方の覚悟を。
貴方の救いを。
だから最後までこの手を止めない。その決意を胸に、前を向く。
ララノアからの支援魔法を受けたクレア・エクレールは、すかさず探知エーテルを走らせた。
(この視界じゃ簡単に見失う。追い続けないと)
すべての感覚を研ぎ澄ませ、霧に紛れようとするアルネブを捕捉し追走する。
一瞬こちらを捉えた深紅の瞳が、楽しげに細められた。
まるで追いかけっこを楽しむように、獲物を誘い込むように、甘さと狡猾の気配を残して。
「……絶対に逃がさないから」
命中も攻撃も高い相手と対峙し続けるのは、自分にとってハイリスクなのは百も承知。
でもこれは、引いてはいけない戦い。
己の身を賭してでも、成し遂げるべき”約束”なのだと。
「うるぁ! テメェの相手はこの俺だ!!」
ハヤト=ガラン=ヴォルファングも自らの素早さと移動力を生かし、アルネブの動きを牽制しにかかった。
焔雷獣の爪牙が埋め込まれた具足が、風を切る。
俊敏な蹴りはアルネブの体躯を吹き飛ばしたかに見えたが、相手も驚くべき速度を以て攻撃をかわす。
「相変わらず速いね」
「はっ。超絶速ぇ奴に言われてもな」
互いの視線がぶつかり、にやりと笑う。ぴたりと追走を続けながら、ハヤトは自らの胸を叩いた。
「いいか、俺の”心”は常に誇りと共にある!」
心を壊されたアントマン達を見てきた。
誰かがもっと早く救ってやれば、そもそも心さえ壊されなければと歯噛みし、既に何もかもが手遅れだと知っていればこそ。
「テメェの闇はここで終わらせてやる……俺の命を懸けてでもな!」
「……狐は3匹。カラスは20羽ほどね」
コハクは探知用のエーテルを走らせつつ、状況を素早く整理していた。
以前交戦したメンバーから、一通りの戦闘傾向は聞いていた。報告の通り、カラスはアルネブに付き添うものと、こちらへ向かってくるものがいる。
(あの鳥は前回と似た性能と考えていいはず。ならば魔獣をどうにかしなければ、アルネブに攻撃を当てるのは難しい)
長射程攻撃を行えるルチルとララノアは、既にそのことを理解し行動を始めている。ならば自分は彼女たちがつつがなく任務を遂行できるよう、時間を稼ぐまでだ。
「狐、アルネブから三時の方向に二体いるわ。草むらに身を潜めてるから気を付けて」
「わかりました。こちらで対応します」
エルファリアが向かい、残りの一体をサーヤが抑えに行く。
これでひとまずの交戦態勢は整った。
(あとは、私たちがどれだけ持ちこたえられるかね)
●攻防
愛用のアーバレストでカラスを撃ち落としながら、ルチルはひとりごちた。
(これに指示を出しているのは十中八九、アルニラムだろう。なるほど、聖人とは魔獣操作に長けた者であるようだね)
全員がそうなのかは分からないが、少なくともコランダム商会が関わる一連の事件に魔獣が頻出していた理由にはなるだろう。
あの男にも言いたいことがある。
気を抜けば波立ちそうになる精神を抑え、ルチルは粛々とカラスを射ち落とす。
その後ろにいる鷹の目を狙うかのごとき精密さで。
巨大な炎弾を生み出したララノアは、複数のカラスがまとまった位置へそれを撃ち放った。
炸裂した爆炎が暴風とともにカラスごと薙ぎ払う。
その勢いで周囲の霧が少しの間晴れたが――またすぐに立ち込めてしまう。
「霧を晴らすのは……難しそうですね」
やはり何かしらの工夫を以て、索敵をするしかない。温度を視覚化させていたララノアの目は、霧の中で明らかに温度が高い位置を捉えていた。
捜波ほどの精度はなくても、彼女には長射程範囲攻撃がある。
少しくらいのずれがあったとしても、大した問題にはならない。
カラス対応班が順調に進める一方、狐対応にまわったエルファリアとサーヤもそれぞれの工夫を以て役割をこなしていた。
「さあ、こちらですよ」
草むらを駆けるエルファリアを追う二体の影。執着を呼び起こすエーテルを叩きつけられた狐は、彼女以外目に入っていない。
一体の噛みつきを持ち前の耐久力でいなしつつ、もう一体へ大太刀を振るう。
薙ぎ払われた狐は素早く体を起こし、何かしらの魔法をかけてきた。
「……なるほど、移動を阻害するものですか」
足が重くなったのを感じつつ、他班の動向を探る。霧のせいで戦況ははっきりとわからないが、コハクから作戦変更の指示は飛んできていない。
「ひとまず順調だと信じて続けますか。二体くらいならまあ、なんとかなるでしょう」
一方、サーヤは一体を仕留めるために、ヒット&アウェイを繰り返していた。
「霧と遮蔽物、一見わらわが不利に見えるが、条件は双方同じじゃ」
相手が嗅覚でサーヤを追えるぶん、こちらは音と捜波で魔獣の位置を常に把握している。
なればこその、化かし合い。
彼女のめちゃくさい体臭が、狐の鋭い嗅覚を刺激し誘導する。
相手の攻撃は精神集中で回避、姿を見せた隙をつき、光をまとった暗針が狐の脚部を貫く。
毒が身体を蝕み、機動力を削いだところでサーヤは再び身を隠す。多少手間がかかったとしても、確実に仕留めるための暗殺術だ。
そしてアルネブ対応班。
瞬間的に加速した勘次郎は、最小限の動きで刀を振りぬいた。
予測困難なその一撃は、回避動作をわずかに遅らせ、アルネブの体勢を不安定にする。
そこに生まれた隙を狙ってコハクとクレアが畳みかけ、ぎりぎり避けたところをハヤトの素早い蹴りが捉えた。
具足に埋め込まれた鋭い爪牙がアルネブの腕の皮膚を裂き、鮮血が残り香のように鼻先をかすめる。
(だいぶ動きが落ちてきたな)
驚異的だった反応速度に陰りが見え始めている。
この攻撃が当てられたのも、魔獣対応班が順調に進んでいる証拠だ。
「……あんまりいい傾向じゃないね」
アルネブの視線が、周囲を探るように流れる。そのさまを察知した勘次郎は、おもむろに口を開いた。
「ところで、アレクトはお前さんの妹だったか?」
視線がこちらへ戻る。
「だから?」
「あァ……捕縛して、処刑に立ち会ったもんでな」
動きが止まる。
思いのほか静かなまなざしが、勘次郎を見つめていた。その瞬間を見とったコハクは、死角からの暗殺撃を打ち込もうとして――思いとどまる。
(仕留めるだけなら今。それは間違いないけど)
おそらくこの『今』は”最善”ではない。
自分たちが挑むのは単に殺せばいい戦いではなく、常に一歩引いたところから見てきたからこそ、コハクはそのときが今ではないことを瞬時に読みとった。
(今彼を引き付けておけば、魔獣班の安全確保に繋がる。悪くはない)
どこまでも冷静に「最善」を見極める琥珀色の先で、アルネブは口を開いた。
「……あいつの最期はどうだった」
顛末はあの男から聞かされた。
されど直接見た人間から、どうしても聞いておきたかった。
「捕縛の時にャア良心の呵責から解放されて安堵した顔をしてたよ。これ以上、ガキ共に手を掛けなくていいってな」
勘次郎はあえて淡々と、見たままのことを伝えてやる。
「死の際は何ともまァ、無様に足掻いて情ねェったらありャァしなかったが……『人間らしく』逝けたンじャァねェかとは思うぜ」
それを聞いた深紅の瞳が微かに震えた。「そう」と呟く声があまりに哀しく優しげで、傍で聞いていたハヤトとクレアが思わず苦笑を漏らす。
「そんな顔すんな。やりづれぇだろ」
「そうだよ。まだこれからなんだし」
アルネブは「ああごめん」と苦笑を返してから、いつもの微笑に戻る。
「――うっかりしたよ」
そう告げた刹那、煙幕が立ち込め一瞬で姿が見えなくなった。
「……っ!」
彼へ付与していたマークが、跳ねるように魔獣対応班側へ肉薄しているのを察知する。クレアはあらゆる神経を総動員しアルネブを追う。
「魔獣班気をつけて! そっちに向かってるよ!」
逃がさない、見失わない。
彼女の執念とも呼ぶべき追走を、動きの落ちてきたアルネブは振り切ることができない。
「捕まえた!」
回り込んだクレアが進路を妨害するように、攻勢に出る。動きを阻まれた黒兎の口元が小さく動いた。
「……ちょっと無理するしかないかな」
追いつかれることは想定の範囲。一度見せた戦法である以上、相手が対策をしてくることは当然であればこそ。
クレアの攻撃タイミングに合わせ、素早く踏み込みナイフを振り抜く。刃は腹部を深く抉り、痛みのあまり彼女の意識は一瞬飛んだ。
「クレアさん!」
危機を察知したララノアがすぐさま駆け寄り庇おうとする。そこを狙ってアルネブが死角からの強撃を放とうと動いたそのとき。
瞬間的に加速したコハクが死角からの一撃を打ち放った。
白と赤で彩られた槍の切っ先が、アルネブの脇腹を尖突する。
「……はは。やられたね」
痛みで顔をしかめつつ、黒兎はそれでも笑った。
「獲物を狙う瞬間は、最も隙が生まれるから」
『その時』を見極めたコハクは、エーテルを巡らせることによって最速で行動していた。クレアの猛追を力押しで振り切ろうとした代償は、回避の精度と引き換えになると踏んだから。
同じ頃、エルファリアは狐二匹を相手に攻防を繰り返していた。
「さすがに少々きついですかね」
一体に狙いを集中しようとするが、相手の機動力がなかなかそれをさせてくれない。
削り削られの繰り返しで、自己回復を持っていなければ、自分の方が先に落ちていただろう。
それでもこちらへの執着は切らせず、堅実に戦い続ける。万が一この魔獣がアルネブ班を襲えば、一気に形勢逆転されてもおかしくないからだ。
唸り声をあげた狐が、エルファリアの腕に勢いよく噛みついた。
深く食い込んだ牙の先から鮮血があふれ出すが、彼女の表情に変化はない。すかさず大太刀を振り抜き、前足を斬り飛ばせば、苦悶の悲鳴が響き渡る。
痛覚を遮断し血濡れで刀を振るう少女は、さながら静謐に佇む修羅のごとし。
背後に忍び寄ったもう一体が、エルファリアの喉元を狙い飛び掛からんとする。
刹那、空から影が飛び降りた。
魔獣が反応を示すより早く、上空という死角を利用し背後に回り込んだサーヤが強烈な暗殺撃を打ち込んだ。
エルファリアしか見えていなかった相手が、それを避けられるわけもなく。急所を貫いた暗針が、残りの命を一瞬で狩り落とした。
「間に合うたようじゃな」
足元に伏した狐の傍で、サーヤがにやりと笑んだ。先に討伐を終えた彼女は、すぐさまエルファリアの援護に向かったのだ。
「ありがとうございます。助かりました」
「そちが二体抑えてくれてたおかげで、こちらは滞りなく済んだ。お互い様じゃ」
これで残りは一体。もはや時間の問題だろう。
同刻、癒しの光で周囲を包み込んだララノアが、素早くクレアを抱え起こした。
「ご無事ですか……!」
「ありがと。大丈夫、まだ戦える」
笑顔を絶やさない彼女を見て、ララノアは止めたい気持ちをぐっとこらえた。
満身創痍でも戦い抜こうとする強い意志。その意味が痛いほどに理解できるからこそ。
(私にできるのは……皆さまを最後まで立たせること……)
癒し手としての矜持。
されどそれは、カラス対応の役目との天秤を意味することでもある。
「大丈夫だ。アンタの仕事はそっちでいい」
風切り音と共に、濡れ羽が散る。淡々と、確実にカラスを落とし続けていたルチルが言い切った。
「他班の奮闘で邪魔が入らなかったからね。残りはアタイだけで十分だ」
事実、上空を飛ぶ個体数は残り数羽。ルチルの腕をもってすれば、さほど時間はかからないだろう。
「わかりました。私はひと足早く、支援に向かいます……!」
「ああ。頼んだよ」
アルネブの元へ向かうララノアの背を見送り、ルチルは小さく息を吸った。
精神を研ぎ澄ませ飛び回るカラスの動きを察知し、最も有効な攻撃点を見極める。
金紅石のような瞳が鋭さを増した刹那。
打ち放った光の矢が、上空で爆ぜた。無数に拡散した光の破片が、鋭利な刃となって複数のカラスへ襲いかかる。
――さあ、仕舞いだよ。
アンタの舞台に、幕をおろしに行こうじゃないか。
●死闘
わるいうさぎは、わらっていた
浅くはない傷を負い、鮮血をまき散らしながら、それでも足を動かし続ける。
刃を振るい、傷ついた体躯を限界を越えて翻す。
その姿はまるで己の命を燃やし尽くす、超新星のような激しさで。
「まだまだぁ! 俺はこの程度じゃ倒れねえ!」
ハヤトが誘うように連撃を繰り出せば、相手も応えるようにナイフが躍る。
高速で打ちあう二人の姿に悲愴はなく、むしろ戦いに興じる歓喜さえ感じさせる。
深紅の瞳が、いっそう強い光を帯びた。
その瞬間、アルネブの体を赤紫のエーテルが覆い輝く。
(来る)
いち早くそのことに気づいたのは、戦況把握に徹していたコハク。
「強襲警戒、何か来るわ」
即座に注意喚起した直後、兎が地を蹴った。
影が揺れたと思うより速く、霧を裂くナイフが次々に獲物を捉える。
「っ……!」
最初に狙われた勘次郎が、受けた衝撃のあまり膝をつく。既に命中が落ちてきているアルネブにとって、確実に当てられる相手から狙うのは定石。
そのまま流れるように、ララノアの方へ向かおうとしたその時。
「そっちにゃ……行かせねェ……!」
不可視の壁に阻まれ、アルネブの足が止まる。コハクの警告で即座に殺界を発動させていた勘次郎は、血を吐き捨てながらにやりと笑んだ。
「……死ぬよ」
「はッお前さんと死合うためにここにいるんでなァ!」
交わる視線に戦華が咲く。
刹那、長大な刃がアルネブの肩を斬りつけ、血しぶきを上げながら踏み込んできたアルネブのナイフが勘次郎の胸を貫通した。
「勘次郎様!」
倒れこむ勘次郎のもとにララノアが駆け寄っていく。
自分が狙われるとか。
怖いとか。
そんなことは考えられなかった。ただ助けなければと身体が動いた。
血濡れのアントマンが嗤った。
ララノアに向かおうとするより早く、クレアが間に滑り込んだ。
「やらせないよ!」
無理な体勢で割り込めば、避けられないことはわかっていた。
でも逃げるわけにはいかなかった。
なにがなんでも止めなければと思った。
振り下ろされたナイフが刺さる。
鋭い切っ先が食い込んでいく。
強烈な痛みに歯を食いしばり、そのままアルネブにしがみついた。
「ちゃんと見て。ボクの心はココにある!」
深紅の瞳が揺れる。
紅翠の瞳が捕らえる。
離さない。
諦めない。
絶対に笑顔は消さない。
コハクがその体からは想像もできないほどの威力で、槍を振り抜いた。皓赫に彩られた刃が、首元を庇おうとしたアルネブの腕ごと斬り飛ばす。
「苦しみなく終わらせてやるのが、せめてもの慈悲と思え」
サーヤが渾身の力を込め暗針を撃ち込み、エルファリアが満身創痍の身体を限界まで使って大太刀を振り抜く。
(これが……命を奪うということ……)
ララノアは震えそうになる身体を、奮い立たせた。
体を張ってアルネブの侵攻を阻止した勘次郎とクレアのためにも、自分が逃げてはいけない。握り締めた杖を掲げ、渾身の力で魔法を撃ち放つ。
精神を研ぎ澄ませたルチルの指が、引き金から離れた。
迷いのない矢が的確に急所を撃ち抜いた瞬間、アルネブの口から血が溢れ出す。
ぎりぎりの所で意識を保ちながら、クレアは必死に笑った。
「君がもっと悪い人だったら、ここまで壊れなかったのに」
溢れ続ける涙は、君のために。
狂おしいほどの痛みはこれでもう、最後だから。
「テメェの呪縛はこれで終わりだ!」
ハヤトが握り締めた藍玄の忍刀が、全力を以て穿たれる。
その切っ先はまっすぐにアルネブの胸部を貫き――
鮮血が高く、高く、舞い上がった。
命が散ったのだと。救済はなったのだと、天に告げるように。
「――アンタらの勝ちだ」
クレアの濡れた瞳を見つめたまま、アルネブは微笑った。
離れた手の先で、その体は力を失い――ゆっくりと倒れこんだ。
●終幕
立ち込めていた霧の合間から、空が見え始めていた。
ララノアの回復で意識を取り戻した勘次郎は、こちらを心配そうにのぞき込む新緑の瞳へ苦笑した。
「手間かけさせたなァ」
涙を堪えララノアは必死にかぶりを振る。
「勘次郎様とクレア様に庇っていただいたから……私は最後まで、皆様と戦えました……」
「お前さんのためじゃねェ。あっしはあっしのために、意地を張ったんだ」
目の前で命を燃やし尽くそうとする男を、ただただ、受け止めたいと思った。
報いてやりたいと思った。
すべてがぎりぎりの状況で、理屈ではなく己の意地が勝ったのだ。
「ボクも同じだよ」
クレアはそう微笑むとアルネブの体を抱え起こし、皆の顔が見えるようにしてやる。
「そもそも最初のピンチにララノアさんが助けに来てくれたから、最後まで彼と向き合えたんだし。ありがとね」
エルファリアは動けなくなったアルネブを見つめ、小さく息を吐いた。
「……どうせ貴方のことです。自分のような悪人を気持ちよく殺させるためにそうせざるを得ない状況を作ったんでしょう」
既に意識が朦朧としている彼は、それでもおかしそうに笑ってみせる。
「……はは。お見通しだね」
「本当に、面倒くさい人ですね。……でもまあ、死にゆく相手にこれ以上何か言うつもりもありません」
冷ややかに言い放つエルファリアの瞳はその口調とは裏腹に、なにかしらの感情がこもっているようにも見え。
ララノアは眼鏡とフードを取ると、まっすぐなまなざしを向けた。
「アレクトさんは……いい子でした。心は……どんな悪でも胸の内に。きっと眠っていただけです……」
「……あいつは俺たちと違って、壊れきっていなかったからね」
だからこそ救ってやりたいと願い、それは叶った。
「今なら彼女の声が……聞こえるのでは?」
その言葉に、アルネブはただ微笑むだけだった。けれどその目に絶望はなく、在るのはただ、終われる安らぎのようにララノアには感じられた。
「アルネブさんやアレクトさんを見て……私はひとつでも多く、深い悲しみを無くしたいと思いました」
世界にあふれる悲しみを、たくさん見てきた。
どうにもならない悔しさと、苦しさで光を見失いそうになったこともあるけれど。
「貴方の安らぎを、祈ります」
自分の目と心で、貴方の最期を見届けて。
この決意と祈りを、強く魂に染めつけておくから。
「なあ、アルネブ。死ぬ前にお前の”心”は見つかったか?」
ハヤトの問いかけに、アルネブはゆっくりと視線を馳せた。
浅くなっていく呼吸が命の終わりを告げている。その姿を焼き付けるように、ハヤトは奥歯を噛みしめた。
この手で命を奪うことは、どれほど腕を磨いたとしても、慣れることはない。
割り切ってしまえば、きっと楽なのだろう。アルネブが心を壊して、自我をぎりぎりのところで保っていたように。
けれどそうしないことが、己を己たらしめていると、ハヤトは思っている。
命を奪う者は。人の上に立たんとする者は、常にその是非を問い続けるべきであるからだ。
「――アンタは自分の終わり方を手前で決めただろ。そこに心がなければ、心なんて何処にもないと思わないか」
ルチルは緩慢にこちらを向いた瞳を見つめ、動かなくなりつつある胸にそっと手を置いた。
「心は最初からここに在ったんだよ」
その金鉱石の瞳は静かに、天を見上げた。
「これからアンタの心は魂ごと上、つまり空へいく。空に向かった魂は再びどこかの地で新しい生を受けるか、認められて竜に成るんだ」
心は別物になっても、魂に刻まれた証は消えない。
生まれが違えば、心の在り方に迷わなかったかもしれないと。若くして逝かなければならない今生を越えたその先で、いつかまた廻る命に想いを馳せ。
「次は、心を見失わない生を」
その魂に、幸せがあらんことを。
小さく唇が動いた。
耳を寄せ、何とか聞き取れた言葉。
――顔、見せてよ
ルチルは一瞬驚いたように黙り込んだが、やがてフードから顔を出すと、被っていた頭蓋を脱いだ。
彼女の素顔を見た深紅の瞳が、穏やかに細められた。
「やっぱり、あんたは――」
綺麗だ。
それが最期の言葉だった。
クレアは動かなくなったアルネブの瞼を、そっと閉じてやった。
「……君の心の欠片は、確と預かったから」
痛みも、苦しみも、ひとひらの安らぎも。
ぜんぶここに在ったこと、忘れないと誓ったこと。
この先、時々思い出しては、廻る感傷と共に微かな痛みを覚えるのだろう。
きっとそれが、君の生きた証だから。
「――おやすみ、アルネブ」
額に落ちた涙は、晴れて来た空の蒼を写し取っていた。
●
辺りは静寂に満ちていた。
冒険者がアルネブ討伐の報を白鷹に託したとき、霧の中から声が届いた。
「――救済は果たされましたね」
現れた赤髪のエルフを見て、ハヤトの表情がみるみる気色ばむ。
「アルニラム、テメェ……っ」
掴みかかろうとした金色の瞳に、困惑の色が加わる。こちらに向けられたとび色の瞳からはとめどなく涙が溢れていた。
「なんであんたが泣いてんだよ……」
アルニラムは濡れた頬をぬぐい、うっすらと微笑んだ。
「僕はね、黒兎のアルが大好きだったんです」
玻璃細工のように繊細で、魂が嘆きに満ちていて。
人の命を奪うことに、躊躇も抱かないほど壊れてしまった。
「僕は彼を救うと約束し、その日を心待ちにしていました。ですが彼は最後の最後で『君たち』を選んだんですよ。これほど屈辱的なことがありますか?」
「はっよく言えたものじゃ。この状況すら、そちが仕組んだことであろうに」
サーヤの呆れ声に、ええその通りですと頷いて。
「だから僕はいま、甘美な屈辱と悲哀に打ちひしがれ、彼が『本当の意味で』救われたことに心から歓喜しています! きみたちのおかげですよ」
いまだ涙を流すその顔は恍惚に満ちていて、それを見た冒険者たちはまざまざと理解した。
この男はどこまでも、純粋に、狂っている。
「私には……あの方が何を言っているのか、わかりません……」
ララノアの怯えた表情は、相手の狂気に無意識に反応しているからだろう。コハクがそっと近づき、ララノアの手を握る。
「あいつの話なんて聞かなくていい」
あれはロクなものじゃない。
油断すると、引きずり込まれる類のものだ。
エルファリアは心底煩わしげに、そして明らかな怒りを持ってアルニラムを見据えた。
「趣味でも信条でも構いませんが、自分がやりたいことに他人を使わないでほしいですね」
この湧き上がる感情は、きっと抑えてはいけないものだ。
たとえそれがあの男にとって望むものであったとしても、無かったことになどしたくもなかった。
「お前さん、いい加減にしとけよ――」
勘次郎は動けないことに歯噛みした。あの男を一発殴ってやらないと気が済まない。
その時、飛び出た影がアルニラムを殴り飛ばした。ふんと鼻を鳴らしたサーヤが「そちの代わりじゃ」と手首を振ってみせる。
体勢を崩した相手は口元に血をにじませながら、それでも笑みを浮かべたままで。
「まったく、エルフの風上にもおけぬ糞野郎じゃな」
勘次郎は怒りを押し殺しつつ、射貫くようなまなざしを向けた。
「アルニラム。人の命を賭け銭にして殺し合いをさせたこと、憶えておくからな」
成り行きを見守っていたルチルは、息を吐いた。
きっとこの男には何を言ったところで響きはしないのだろう。それでも、言ってやらねば腹の虫がおさまりそうにない。
「アタイらはアルネブに依頼されたからやったんだ。聖真教のためでもましてや、お前のためでもない。
――”おかげ”などクソくらえだよ」
クレアは小さくため息をつきながら、ハンカチを差し出した。
「ボクは君が本心からアルネブを救いたいと思ったことは、信じるよ。でも……」
まっすぐに、とび色の瞳を見つめる。
「いつまでこんなやり方続けるつもり?」
受け取ったアルニラムは、何も言わず懐から紙片を取り出した。
「ハンナさんの居場所が書かれています。僕はまだやり残したことがありますので」
そういって微笑んでから、アルネブの亡骸を名残惜しそうに見つめた。
誰かが声をかけようとしたしたとき、いつの間にか姿は霧に紛れ、声だけがどこからか響いた。
「また会いましょう、冒険者の皆さん」
●後始末
一連の無差別殺人は、犯人の死亡により一応の解決をみた。
アルネブの遺体は検分を受けたあと、冒険者の計らいもありアレクトと同じ地へ埋葬されたという。
誰も訪れるはずのない墓で佇む赤髪の男を見たという話も出たが、定かではない。
その後、正体不明者による富裕層の殺害が続き、残虐かつ手慣れたやり口からアントマンとの関連が疑われたものの、雇用主のダグザが捕らえられたため、無関係と結論づけられた。
しかしながら、事件を知る者たちは被害者の共通点に気づいていた。
彼らは全員人体コレクターであり、そのコレクションの中に「濡れ羽色の兎耳」があったことを――
なお、犯人はいまだ捕まっていない。
【暗都】了
マスターコメント
ショートEX難しい 報酬:多い8 / 6〜8人
2021年09月29日 17時00分36秒 公開
相談掲示板
エルファリアといいます、よろしく。 まあ真っ向からきてくれるなら探す手間とか奇襲警戒が省けていいですね。 魔獣は全滅までさせるかはともかく(魔獣が残ってればあちらからみて「魔獣と自分どちらを狙うか」の択が残る)、それなりに数は減らさないとどうにもならなさそうです。 特にカラスは有射程じゃないとなので、遠距離不得意な人がアルネブやキツネを押さえてる間に、みたいなとこでしょうか。
シーフのクレアだよ、よろしくね。 魔獣は早めに掃討しないとアルネブを捉えるのも難しい感じかな? かといって魔獣ばっかにかまけてるとその間にアルネブにやられちゃいそうなのが怖い。 まずは烏対応、狐対応、アルネブ抑えに分かれて動くか。 狐とアルネブ纏めて狙えそうな人は纏めて狙って牽制するか。 あたりかなぁ。 素早いアルネブ牽制するには範囲攻撃が有効なのかなと思ったので。 戦場的に死角から狙われることもありそうだし、霧が立ち込めてるってことは長射程攻撃も空はともかく平面だと結構命中率が下がりそうだね。 爆風とかで散らすなり、マーキングできれば多少は狙いやすくなるかもだけど。 ひとまずつらつらと思いつくままに喋っちゃったけど、先日の報告書読み返してもう少し戦術とか自分が出来そうなこととか考えてくるね。
ぇと…ヒーラーのララノアでし…ッ よろしゅくお願いいたしましで(がばちょー 魔獣さんは…私も早めの対処がよいかと…特にカラスさんのランダムBSは… 数も多いですし大変そうにございまし… 有効射程攻撃ということは…メテオライトなどでも良いのしょうか… 豪風で上空の霧を晴らすと同時に、カラスさんも巻き込めたりもで…できましかね…(ぅーん
情報屋のルチルだ。クラスはシューター。よろしく。 ……まあ、そう決着をつけたいのなら終わらせてあげよう。それが“依頼”だからね。 アルネブ自体放置できない戦力だが魔獣…特に烏型は真っ先に全滅させておくべきだな。 前回の交戦では…恐らく烏型による能力上昇を加味しても回避集中をしたシーフに攻撃を当てるぐらいの腕前だ。 頭数だけでなく能力値の補助的な意味での戦力にもなるなら、遠距離勢は優先して対処に当たるべきだね。 アタイ自身、序盤は烏型の掃討に注力しようと思っている。 逆に狐型はアルネブを抑えつつできれば、といった方向で考えた方が良さそうかね。 霧も【爆】攻撃を使えば吹き飛ばせそうではある。試していいと思うよ。 ただアルネブ自身も煙幕を使ってくるからその時に応じて振り払う手段が必要になるかね。【マーク】やサーマルアイで対応しようと思うが。 PL情報ではあるが、『壊れた心』使用中を狙い攻撃を凌ぎながら畳みかけるのが最も効果的にダメージを与える手段か。 兎に角、それまでに手数の多い苛烈な攻撃を御しきる技量と作戦が重要になるか。 抵抗が高いとは特に書かれないから、シーザーロア等が入ると行動範囲を制御しやすくなりそうだが…。
よォ、ウォーリアの勘次郎だ。よろしく頼む。 奴さんとはランタンパーティ以来か… こンな形での決着になっちまったのはやる瀬ねェな… さて、本題だがアルネブは取り巻きの動物が厄介な様だな。 あっしがアルネブを抑えつつ、範囲攻撃でキツネを巻き込めたらと考えてはいる。 壊れた心は仕掛ける時機によっちャァこちらに有利に働きそうではあるが、フェザーステップの様なスキルを持っていたら厄介だナ。
じゃあ烏は魔法や射撃なんかの射程長い攻撃出来る人に対応して貰って、ボクはその間烏対応組を狐とアルネブから守る感じで動こうかな。 上を見てると、どうしても地上の敵には無防備になるから暗殺の餌食にされそうだから。 狐とアルネブの位置にもよるけど、範囲攻撃で牽制しつつ狐の方はその間に片せれば上々。 アルネブに対しては壊れた心使用までにスリップダメージなり行動阻害をかけておきたいところ。 このスキルはPL情報だから警戒と対策をどう落とし込むか悩ましいところではあるんだけど、正直これを使われて蹂躙された後立て直すのはかなり難しい気がするし、諸刃の刃なスキルだから……攻め時というか勝機を見出すならこのスキル使用中かなって思った。
>カラス 私は遠距離は衝撃波・衝撃刃くらいしかないですので、あんまり向いてないですね。 まあ「手段がない」と油断してるところから奇襲一発くらいはいけるかもしれませんが、基本的にカラスの数減らしはお任せしようかと。 >キツネ すばしっこい上にこっちの移動阻害をかけてきますが、向こうの攻撃も近接だけっぽいので、カウンター気味に何とかって感じでしょうか。 んー、なんとなくですが攻撃に多彩さがないので、あんまり積極的に攻めては来ないような。あくまでも隙をついてって気がします。 なので、「アルネブの対応をしつつついでに」という考えはあんまり良くないのかも。向こうだって「物のついで」に倒されたくはないでしょうし、地上主戦力はアルネブが抑えて、がら空きのカラス対応をキツネがつついてくる、とか…… なので、キツネ対応はあんまりアルネブを見ないでキツネを意識的に牽制か迎撃必要じゃないですかね。 アルネブは意識してる人多そうなので、私がやります?
乗り掛かった舟だし、死出の旅路のお供にわらわの体臭を送ってやろうと思うてな。 シーフのサーヤである。 まずは邪魔する魔獣どもを始末していく予定じゃよ。
物のついでというつもりではないのだが……まあ、身軽げな相手だし狐かアルネブ、或いはその両方が守備の弱い後方を突いてくるのは有り得る展開だ。 エルファリアが狐の方に回るのなら【執着】を付与して欲しいのだが、頼めないだろうか? 今回の面子は近接職の割合が多い。地上の敵に意識を向ける余裕がなさそうだ。 >壊れた心 元々2回行動の上に攻撃回数追加だからフェザーステップと似たような挙動はできそうだね。 その場に留まってもあの攻撃力で4回攻撃は脅威だ。しかし耐えるよりは攻め時にした方がいいというのに同意だね。
エルファリアさんが狐に執着付与して相手取ってくれるなら確かにありがたいねー。 よく考えてみれば狐とアルネブが纏まって行動する可能性はかなり低いし、1人で範囲攻撃スキルで同時に牽制するっていうのは難しいか。 ボクも狐対応に集中して早々に地上の脅威を少しでも減らしたくはあるんだけど、アルネブにすり抜けられるのが怖いから警戒しておきたいのはあるんだよねー……。 うーん、悩ましい。 最初からアルネブに対して積極的に攻めてくっていうか張り付く予定の人っている?
シーフの皮を被ったウォーリア擬きことコハクよ、知り合いも初めましても皆よろしく。 取り敢えず現状は ・烏班 ・キツネ班 ・アルネブ班 みたいな形で分けるような認識で良いかしら。 人数バランス的に見ればアルネブを仕留める為に人員を入れるのならキツネ班は二人ぐらいになるのかしらね。 烏は遠距離が出来ると踏まえればララノアとルチルになってしまいそうだし、提案通りエルファリアとサーヤがキツネに回ってくれるのなら残りの四人でアルネブを…となるけれど。
>キツネ 物のついで、というのは確かに言い方が悪かったですね。 まあエクレールさんの仰る通り、役割も立ち回りも違うと思われる以上、範囲攻撃で纏めてとか「おんなじ対応で」は難しいかな、という考えです。 キツネの執着を取るのは問題ありません、シーザーロアも習得しておきました。 立ち回りだけで牽制できるときはそのように、向こうが明確に回り込んで後ろ狙いと化してくるようだったら執着を取るって感じですかね。 >アルネブ 手数もある上に魔獣の数が減ってない序盤ほど強いので、当てられるだけ当てる方が安心なんですよね…… カラス落とすのに向いてる方、キツネを抑える最低限戦力、それ以外はアルネブにあてて可能な限り抑え込む方が良いかな、と。
おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 大体の方針は理解したぜ! んじゃ、俺は1番自由に動かれると困るアルネブをマンツーマンで抑えに回ることにすんぜ! その間に狐やら鴉やらを蹴散らしてくれると助かるぜ!!
じゃあボクもアルネブ対応に集中するよ。 ハヤトさんみたいに積極的に攻めてくんじゃなくて防衛寄りの動きでいく予定。
では私は…「爆」がついているスキルということで、爆炎をお持ちしますね… カラスに対応いたしましゅ… ただ、最初にレゾナンス・ヴァローと、爆炎でのカラス減らしと悩んでおります… カラス減らしは遅れますが…初手にレゾナンスの方が良いでしょうか… あとは解呪とオーラ、ヒール、輝甲で考えておりまし… カラスに対応しつつ回復支援していく予定ですが…何かありましたらお声掛けください(ぺこー
>分担 クラス、人数的に初動は烏と狐へ二人ずつ、残り全員でアルネブでいいと思う。 内訳だが、BSのかかりやすそうな狐の方にウォーリアを二人回して【執着】で確実に抑え込んでおくか、それともアルネブに【執着】や【殺界】での抑え込みを試すとするか、かね。 唯一ヒーラーのララノアが攻撃手に回るから、自前ヒールを使用しても立て直しが難しい所があるだろう。 こちらの消耗を抑えつつ敵の頭数を減らしていけば時間が経つほどこちらが有利にはなっていく……いっそ、全員シーフにしてアルネブからの攻撃は極力受けない方向で行った方が安定するだろうか。 >ララノア 上でも触れたけど、回復に注力できない関係上ヴァローで補助を与えた方がいいと思う。 多少殲滅の初動は遅れるが、そっちの方がアルネブ対応が安定すると思うね。
現状当人からの申告まとめ。 私もアルネブに回らさせてもらうわね。 後ルチルはシューターだから仮定で烏班にはいれてしまうけど別の希望があれば言ってほしいわ ・烏班 ララノア ルチル ・キツネ班 エルファリア サーヤ(魔獣というのがキツネを指しているのであれば) ・アルネブ班 ハヤト、クレア、コハク、中村
>コハク 既に烏型で表明はしているから大丈夫だよ。 こちらの持って行くスキルは、霧による視界不良を考慮して捜波。 範囲攻撃と風読みの矢、ヒールにBSの付与目当てで真ハーツベインかグラビティボルトの何れかと考えている。
コハク様、まとめを有難うございましゅ! >ルチル様 では初手でヴァローを使いますね…ッ カラスの殲滅もがんばりましっ どうにもヒーラー1人だと…狙われるような気もして…移動は2に落ちますが… 防御を上げていこうかと思います(あせあせ
コハクの嬢ちゃんは纏め感謝すンぜ。 アルネブは殺界で強引に抑える感じで動くか。 キツネに関しちゃアルネブ諸共…とはいかねェか。まぁ、余裕がありャァ狙ってみるかね。