夏の夜のおばけ退治
炙りとろ左門
コメント 31
シナリオID:1342
オープニング
深い森の奥。どうしてこんなところに年若い娘の瀕死体が転がっているのか?
周囲から「狂人」と揶揄されることの多いセウェルス=マルキアスでも、さすがに疑問には思うらしい。ただ、この人物の理解し難い部分として、疑問には思っても、特にそれを「異常」と思わないことだろうか。
話を戻そう。どうしてこんなところに年若い娘の瀕死体が転がっているのか?
セウェルスは周囲を見渡す。よくよく見れば他にも死体はいくつかある。そもそも血の臭いがするのが妙で、茂みの向こうに足を運んだのだ。
「たす、け……て」
娘の身なりは、そこそこ良い。他に転がっているのは、子供から大人まで5、6人。娘も含めて地味な色の外套に身を包んでいる。が、そちらはすでに息絶えているようだ。
「獣にやられたわけでもなさそうだね。お家騒動にでも巻き込まれた?」
娘は答えない。ただ細い喉がひきつるように喘鳴している。
「ああ、大丈夫! それは別に、俺にとってそれほど重要なことではないからね。こんな風に生きているとまあ死体にお目にかかることが多くて。お前たちにもそれぞれ事情があるんだろう。うん、さて、これはなかなか偶然、良い機会を得た」
セウェルスは助けを求める娘を無視して、他の死体の状況を検分する。これは使えそうだとかなんとかぶつぶつ呟いている間に、娘もまた、その命を終えた。
「あ、」
ついうっかり。家に忘れ物をして出てきてしまった、そんな様子でセウェルスは振り返り、冷たくなる娘を見下ろす。
「ごめんね。助けて欲しかったんだっけ」
本当に申し訳なく思っている。セウェルスはそう言葉に感情を滲ませて娘のそばに跪き、体から遊離しつつある魂を引き止めた。
● つぎはぎおばけ
なんだこの人は。
助かったと、助けてくれると思ったのに——息絶え、肉体という器から引き剥がされた娘は、魂となって青年を見下ろしていた。
「ああ、ちょっと待った。待って待って。あのね、新鮮な死体っていうのはよくお目にかかるけど、新鮮な魂っていうのは結構貴重なんだよね。特にヒト。そりゃ目の前で、自分の手で殺せば手に入るけど、ちょっと色々、前処理も後処理も大変なんだよね。一応ほら、王国内でも殺人は違法なわけだし」
青年の言葉は、軽快で。まるで世間話をするかのように紡がれるものだから、娘はそれに耳を傾けてしまった。そして直後に、この青年の異常性を悟る。
青年は「生命と魂と肉体という器について」娘に一方的に小講義を行いながら、懐から短剣を引き抜いた。
何をするつもりだ——娘が身構えたその瞬間、青年はその短剣を中空で撫で斬るように振るった。
『あ、——ぇ?』
胴体が上下に分かれる。
とうに抜け出た魂に肉体的部位が対応しているかどうか疑問であるように思われるものの、娘はそう感じた。
痛い。娘が悲鳴をあげると、青年はにっこり微笑んだ。
「ああ、それ、多分、生きてた時の感覚を思い出してるだけだよ、安心して。だって、痛いと感じる肉体からは、もう離れてるんだから」
誕生日のケーキを切り分けるように。釣った魚を捌くみたいに。ごくごく日常的な動作で、青年は娘の魂を切り刻んでいく。
痛い。痛い。痛い。痛い!
「うん、そこがまあ不思議なところっていうか。魂が痛みを感じたり、思い出したりする。となると、記憶は肉体にではなく、魂に宿っている。心は魂に備わっている」
指先を切ったとか、転んで怪我をしたとか、そういう類の痛みではない。
これは、存在そのものを引き裂かれる痛みだ。
「アンデッドを扱う死霊術師は多いよね。我々は人間の体には一丁前に詳しくなったけど、魂についてはまだ分からないことが多いんだ」
だから。
人間の体を知る時のように、魂にもそうする。そのすべてを理解できるまで。
「あ、切りすぎた」
気がついて、ふと、青年は手を止めた。これでは元に戻すのに苦労する。現に、ばらばらにされた魂は、もはや元のかたちを留めていない。青年は難しい顔でそれを継ぎ直していく。
「……これでよし!」
そうして、つぎはぎだらけのばけものができた。
● おばけ退治
「そういうわけで、あんたたちに『おばけ退治』を依頼したいんだ」
冒険者ギルドに乗り込んだ「墓掘り人」は、集めた君たちを前に、にこにこと笑う。
君たちは反応に困った。おばけ退治と言うが、青年は大真面目のようだ。
「あれ、おばけ、いないと思ってる?」
しかも、そんな言葉を投げかけられる始末。
依頼人の言う『おばけ』は、アンデッドか何かだろうか。そう尋ねると、青年は少し考えた。
「分類としては? 一応? でも、実体があるわけじゃないから。亡霊。悪霊。幽鬼。ね、『おばけ』だろ?」
霊魂について小一時間語ろうとする青年を押し留めて、君たちは依頼を受けることに決めた。
クリーパー、バルバロイ、魔獣に亜人。人間の敵は多いが、『おばけ』だって放置はできない。
「だよねー。良かったー。俺としてはまあ、放っておいても良いんだけど、冒険者っていうのと一度関わってみたかったんだよね」
青年は、値踏みをするように目を細めて、君達を見た。
「だってあんたたち、彼にとっても頼りにされてるからさ。……あはは! なんでもないよ。ああ、俺もついていくから、よろしくね」
解説
マスターより
リプレイ
「今動くのは良い手ではないよ。彼だけが敵ではない」
ヨルの言葉に、デイジーは歯噛みしながら一歩距離を取った。依頼人は微笑んだまま、その様子を面白そうに眺める。
「初対面で斬りかかってくるなんて、面白い子だね」
「はぁ?」
デイジーは思わず声色を落とした。しかし、依頼人が嘘をついているようにも見えない。
「デイジーさんが斬りたくなる気持ちも分かりますよぉ。以前敵としてしっかり自己紹介しておきながら、変装もせず、同じ名前で依頼を出すなんて……僕たちを舐めているとしか思えません」
ギーゼラも、礼儀正しく見せてその声音に敵意を滲ませる。その言葉を聞いた依頼人は、きょとんと首を傾げていたが、やがてぽんと手を打った。
「ああ。ハーヴェンで会ったのかな。ごめんごめん」
先日ハーヴェンで依頼をこなしたスィーリーンとシェオルは、デイジーから説明を受けると曖昧な表情をした。多数の冒険者が行き交う喧騒の中、一触即発の空気などよくあることと、誰も意に介さないが——剣呑とした雰囲気と戸惑いの中、依頼人はにっこりと笑った。
そしてすらすらと依頼の概要を説明し、よろしくね、と締める。
「まあ、依頼人として金を払うなら何も文句はねえやな。よろしく」
事態を静観していたナハシュがそう言う横で、ギーゼラはすっと目を細めた。
(『放っておいてもいい』は、『放っておいても被害はない』ではなく、『放っておいて被害が出ても関係ない』……ということでしょう)
ギーゼラは早い段階で、この依頼人の性質というものを見抜いていた。エルファリアや夕霧もまた、言葉にはしないが「深く関わらない方が良い」との意見で一致している。
「貴方が誰であっても、問題が起きていることは確か。冒険者として放置できません」
ギーゼラの言に、デイジーが不承不承と腕を組む。
「依頼は依頼よ、責任はちゃんと果たすわ。その代わり……変な動きしたら叩き斬るわよ?」
「怖い怖い。精々、首と胴が離れないようにするよ」
依頼人は大仰に肩を竦めて見せると席を立ち、「こっちだよ」と一行を案内する。
目指すは近隣に広がる森の奥。街から多少離れてはいるものの、十分人々の生活圏内である。
「悪霊の出現位置の近隣でかつて何かあったとか、そういう情報はありませんかね?」
道すがら、グレイブ・ヤードは依頼人にそう訊ねた。
墓があった、事件があった、逃げ込んだ誰かの話があった——霊であれば、生きていた誰かが居たことになる。場所を移動する霊の事例はあまり聞かないから——その質問の意図を汲んだ依頼人は、しかし首を傾げるだけだ。
「詳しいことは知らないね」
嘘をつきはしないが真実も話さない。意味深な答えに、それまで注意深く依頼人を観察していたフリューリングスルフト=ティエラが口を開く。
「なんでわざわざおばけって呼んだのさぁ? 元の姿から……化けた——化かした、みたいさぁ」
「大した意味はないよ。怖がるといけないと思って」
フリューの問いを受けた依頼人は、デイジーに笑いかける。デイジーは慌てて首を横に振った。
「べ、別に怖いわけじゃないわよ! オバケだろうと、悪霊だろうと、叩き斬るだけよ!!」
大丈夫かな。デイジーにそんな生暖かい視線が向けられる中、フリューはさらに質問を重ねる。
「その耳んとこの花。ファッション? プレゼント? それとも何かの誓い?」
「それに関しては俺も知りたいなあ」
依頼人は飄々と受け答える。一方、先導する依頼人の背中を、ヨルは三歩の距離を保って見つめていた。
「……君、別にロヴェル君の側にいるわけじゃないんだね」
「嫌われたくないからね」
嫌われるようなことをしておいて、と戸惑うヨル。その隣を歩いていたナハシュは辺りを警戒しつつ、気になっていたことを聞いた。
「お前にハーヴェンと組むメリットはあるのか? 面白そうだからって以外で」
「あるよ。でもそれは、まだ内緒。君がこの先の舞台に上がってきたら教えてあげる。……さて、質問は以上かな?」
そろそろだよ、と依頼人はランタンの光を少し落とした。
● 蠢く怨嗟
森の最奥、鬱蒼と茂る木々の向こう、開けた場所にそれはいた。
中型のクリーパーほどの大きさはあるかという黒いもや。そう、もやとしか言いようがない。一瞬、多数の人間が継ぎ合わされたような冒涜的な形を結んだかと思えば、即座に崩れる。それは周囲のエーテルや物体を歪め、薙ぎ倒されたのであろう木々はことごとくひしゃげていた。
「おもしれえな! なんであんな風になってんだ? 魔合体してんのか?」
茂みに隠れて様子を見つつ、ナハシュが声をあげる。ついで周囲に転がった木々の状態を見て、うへ、と呻いた。
「あんま寄りたくねえな」
近づきすぎてはひとたまりもなさそうだ。一同それを首肯しつつ、スィーリーンが眉を顰める。
「亡霊、なのですよね? どうしてあんな姿に……」
「理性や知性はあんまり期待できそうには……というか、ないほうが都合がよさそうですね」
エルファリアはそれをしっかりと観察する。知性があるなら攻撃パターンを読むことも可能だと備えてきたが、あれが知性を持って攻撃してくるのはむしろ恐ろしい。
「完全に悪霊じゃないの。こんなものが自然発生するってどういう状況よ……」
デイジーも表情を歪める。その横で、グレイブは周囲に元型がないかを探していた。このようなものが自然発生するとは考えにくいからだ。フリューも索敵を行い、罠がないかを確認する。
「いずれにせよ、早急に対処する必要があるね」
ヨルがランタンを腰に括り付け、魔法を唱えた。鬼火のような青白い光が冒険者たちを包み込み、そのエーテルを瞬時に増幅させる。
フリューが自分の靴に鈴を括り付け、スィーリーン、グレイブと夕霧がエンライトを準備する——これで光源は十分。円状包囲し距離を確保しつつ迅速に撃破、と作戦を確認し、冒険者たちは茂みから飛び出した。
周囲を照らす光と足音、畏怖と敵意。それらに反応した悪霊は悍ましい呻き声をあげた。意味ある単語が絞り出されることはなく、それは地獄の底から響くように空気を震わせる。
「……ッ、」
彼らの言葉を拾おうと、超聴覚で耳を澄ませていたシェオルは思わず耳を塞いだ。その横をナハシュがすり抜けていく。
「お前もよくこんな場所まで来たもんだよ。散歩か?」
ナハシュはそのまま素早くそれの背後に回り込むと、武器にエーテルを纏わせて暗針を撃ち込んだ。赤く光る糸が悪霊を縛り上げる――が、光は歪められ、不気味に蠢く。それを確認して、ナハシュは一足距離を取った。
「効いてはいる!」
ナハシュが声を上げた時にはすでに、夕霧とフリューは動いていた。
「囲んでフクロじゃろ、分かりやすくていいのう!」
躍り出た夕霧が不可視のエーテルを纏わせた細剣を振るい、靄を切り裂く——が、どうにも手応えが弱い。先程の縛糸刃と同じだ。効いてはいるはずだが、肉を裂くような感覚が皆無であるためだろう。
「疾く駆け、響け鈴音」
フリューの脚が地を蹴ると、しゃん、と場に不釣り合いな涼やかな音が響いた。爪と短剣による3連撃が繰り出され、悪霊は泥を吐き出すような音をたてる。
「……すまんち、言葉はわからんの。遺すものがあるなら、うちが見つけるさぁ」
だが、苦痛と恐怖は伝わってくる。だから代わりに、自分が言葉にする。フリューは憐憫の情を向けた後、くるりと空中で回転し、悪霊の傍に着地した。
「行くわよ!」
続いてデイジーが通り抜けざまにシェオルの肩を叩いて駆け出す。はっと我に返ったシェオルもレイピアを手に後に続いた。
(あの時、一瞬見えた姿)
シェオルとグレイブは、奇しくも同じことを考えていた。多数の人間が継ぎ合わされたような形。あれを、切り離すことはできるか。グレイブはそれが形を得る瞬間を待つ。
(なるほど、確かに亡霊だ)
ヨルは祭刀を抜き、距離を詰めた。まだ間合いではないが、敵の注意を引くことに意義がある。振り上げた片手から魔矢が迸り、悪霊を穿つ。金属を引っ掻くような悲鳴は一際物悲しく、それを聞いたギーゼラが興奮気味に笑った。
「良いですよねぇ袋叩き! 敵を蹂躙するなんて興奮してしまいまいます! ガンガンいけば皆いっぱい怪我もしてくれます! フフフフフ、」
魔矢の一撃により、鋼より魔法が効くと察したギーゼラはうきうきと杖に持ち替え、エーテルを収束させた。純粋な、指向性を持ったエーテルが悪霊を殴り倒す。
「■■■■——!」
返す咆哮。継ぎ接ぎの言葉が近くにいたヨルの耳を劈く。それは、よく聞けば老若男女入り乱れてのもので。
「随分賑やかだね。家族かな?」
「なるほど」
ヨルの言葉を聞いたエルファリアは大太刀を抜いて、足元らしきところを狙い、振り抜きにエーテルを乗せる。
(それぞれに意思があるなら、知性が残っていたとしてもまともな行動は取れはしない——与えられる痛みに脊髄反応するのが関の山です)
脊髄、ないけど。
物理的な攻撃が通りにくいのは気にかかるが、この一太刀で多少は助けになるはずだ。
「スィーリーンさん!」
エルファリアの呼びかけに応じ、メテオライトの詠唱を終えたスィーリーンが長杖を掲げる。
(どうか、倒すことが救いとなるように。その魂が苦しみから解放され、輪廻の輪に——いえ、マトリクス界へと導かれるように)
輪廻転生はリザードマン固有の考え方だ。彼らが生前リザードマンであった可能性もなきにしもあらずだが、今は戦闘時。雑念を排除し、魔法を放つ。
雨の如く降り注ぐ光。その輝きが収まる頃、悪霊はその形を成した。
「それそれ! 先より武器が効くぞ!」
無数の腕が振り回される、その攻撃を掻い潜って夕霧が軽やかに細剣を振るう。続いて、シェオルがエーテルの炎で燃え上がらせたレイピアを継ぎ目に捩じ込み、切り払った。グレイブとヨルも同じように、歪な形をバラしていく。
「ぐっ……何人、くっついてる、んですか!」
暴れる悪霊の攻撃を、エルファリアは武器を盾に耐える。返す刀で放った一撃が、切り分けられたそれを吹き飛ばした。すかさず、スィーリーンが放った氷矢が悪霊の移動を妨げ、ギーゼラのヒールがエルファリアを癒す。
「またもやもやに戻りおったぞ」
夕霧の言葉通り、悪霊は再び形を失う。どうやら状態によって攻防に変化があると見抜いた一行は、声を掛け合いながら適切な距離を確保しつつ、状況を見極めて技を繰り出していく。
「しぶ、といっ!」
おそらくこれが最後のひとりぶん。呪いを振り撒きながらも着実に衰弱しているのを見計らって、デイジーがとどめを刺そうと大きく振りかぶる。それを、グレイブが止めた。
「待ってください、出来れば」
倒すのではなく。昇天をさせてあげたい。
グレイブの申し出に、デイジーは動きを止める。息を整え、武器を降ろして辺りを見回し、仲間の意向を確認してから「気をつけてね」と場を譲る。
「感謝します」
それぞれ切り離されたとはいえ、元の形を留めているとは言い難い霊魂。それに、グレイブはエーテルの光を灯して寄り添い、祈る。
他者より、安らかなることを祈られる。それを「悪霊だったもの」が理解できたかは分からない。だが黒い靄はやがて、ひとつずつ淡いエーテル光を放ち、滲むように消えていった——。
● 魂の道標
青白いエーテルが大気に滲んで消えるのを見届けて、戦闘の損耗を確認し、手当てが始まる。悪霊の一撃はなかなか威力があり、ギーゼラはやはり笑いながら負傷者に治癒をかけていた。
「墓掘り人君は、この辺に彼らの死体、あると思う?」
シェオルは一行に近づいてきた依頼人に訊ねる。
「あっても、もう獣の餌じゃないかな」
依頼人は興味が薄そうにそう答えた。シェオルはそんな依頼人を一瞥した後、茂みをかき分けて周辺を捜索し始める。それに、ヨルとギーゼラとフリューの3人が加わった。
残った面々が依頼人の挙動を監視する。夕霧は手近な倒木に腰を下ろして息をついた。
「……で、ぬしは何しに来たのじゃ? 手伝うでもなく、邪魔するでもなく……変なヤツよの」
「じっとしてないと叩き斬られるからね。討伐の見届け人というのもあるけど……冒険者の力を見てみたかったから。最初に使った魔法はそこそこ高位のものだったし」
依頼人は「冒険者の練度も上がってるんだねえ」と呑気に呟いた後は、エルファリアやスィーリーンに絡む。人懐っこい性格と言えば聞こえはいいが、本人が得体の知れない人物ゆえにあまり歓迎されてはいない。
やがて、ヨルたちが険しい表情で戻ってきた。
「ひとつだけ教えて欲しいんだけど」
ヨルの声音は低く、感情を抑えているようにも思える。
もはや残骸となった死体は依頼人の予想通りとなっており、残留思念を読み取ろうにも時間が経過していることもあってか、全てを把握することはできなかった。だが、この依頼人の所業は欠片からでも推測がつく。
「エーテルに還る前の魂をこの場に留めておくことは可能なの?」
「できるよ。まあ、万能ではないけれど」
ヨルは口を噤み、汚れた手を握り込んだ。代わりにギーゼラが進み出る。
「ずいぶんと切り刻むのがお好きなようですねぇ? 20年前に生きた少女を切り刻んだけでは足りませんでした?」
依頼人は目を瞬き、あは、と笑う。
「何か誤解をしているみたいだけど、彼女を殺したのは俺じゃあない。今回の彼らもね。そもそも、肉体の研究はずいぶん昔に——あの頃の王は誰だっかな、……まあいいや——終えてるから。わざわざ確かめる必要もない」
「……そうですか。では魂を切り刻むコツは、今度ぜひ教えていただきたいですね」
「あんたが資格を得たならね。……さて」
依頼人は一同の顔を見回す。
「依頼はこれにて完遂だ。ご苦労様、冒険者諸君。なかなか面白いものを見せてもらったよ」
さあ帰ろう、と踵を返す依頼人の後を、それぞれが遅れてついていく。
(一体、どのような呪法で……このようなものを)
スィーリーンは依頼人の背中を見つめ、それから、戦いの跡を振り返る。
(生を終えた人々が、次の段階へ進めているといいのですけれど。……いえ、いけませんね。つい『生まれ変わり、新たな修行へ』と考えてしまいます)
ぼうっとしていたスィーリーンだったが、呼びかけられて歩を進める。
魂を導く光や、道標。それが確かに存在していることを、祈るばかりだ。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準10 / 4〜10人
2021年09月04日 11時40分03秒 公開
相談掲示板
ヒーラー。グレイブ・ヤードです。 よろしくお願いしますね。 悪霊・・・ですか、希少な例ではありますね
ヒーラーのギーゼラです。よろしくお願いします。 『おばけ』なんて随分と可愛らしい言い方ですねぇ。 依頼人がまるで怖がっていないのが気になりますが、依頼されたならお金の分はきっちりと働きましょう。 物理、魔法が交互に効くようになるので 物理攻撃が得意な人と魔法攻撃が得意な人で交代で攻撃するのが良いかと思います。 僕自身は物理も魔法も行けますが、BSには掛かりたくないので 4へクス以上離れての遠距離攻撃と回復でのサポートを行います。 フフフフフ、遠慮なく怪我もBSもたっぷりと受けてきてくださいねぇ!! ちゃぁんと皆癒してあげますから!
ヒーラーのヨル・スレイマン。宜しく。 死者の魂が留まった故にアンデッド化した感じなのかな。たしかに珍しい。 場所は森の開けた場所でやりやすそうだね。 【呪い】を範囲でかけて回避低下のBSをかかりやすくしてくる感じなのかな。 少し注意して、適宜距離をとったりできるといいかもね。 聖別は持っていけるし、これでいっぺんに解除できたらいいんだけど。BS解除のスキルも結局は自然回復判定なんだよな……。この辺どういう扱いになるのかよくわかんないや。
シーフのフリューさぁ、よろしく! 行動予定としては遠距離攻撃は持ってないんで、前衛で駆け回りながら近接攻撃かなぁ。 攻撃した時のおばけの反応等々観察して、情報共有して、攻撃が効きやすいタイミングを計れたらと思うよ! 呪い……強度ターンの間、バッドステータスの自然回復判定を行うことができなくなります。 って、わーるどがいどにあるやつかな? やー、でもおばけからの呪いて、普通に怖いさぁ( ギーゼラさんのそんの笑いと目も頼もしいけど怖い!(まて そういえば。おばけってこう、暗いところにおるイメージで。 こいつも森の奥深くにいるっちゅうことは、視界暗いかな? 目視可能らしいけど、捜波でマーク付与や暗視持っていった方が良いかな?
キャスターのスィーリーンと申します。 よろしくお願いします。 おばけ……。亡霊、という事は元は亡くなられたヒト、ですよね。 不自然に現世に留まっているなら輪廻の輪に戻して…… あ、いえ、マトリクス界に送り出して差し上げないと。 戦闘時は後衛より魔法攻撃の予定です。
ウォーリアのデイジーよ!よろしくお願いね! お化けだか何だか知らないけど、殴ったりぶった斬ったり出来るのよね? なら、あたしは、近づいて叩き斬るだけね! 魔法攻撃はするのも受けるのも苦手なんで、その辺はよろしくね! その代わり、物理攻撃はそこそこ行けるはずよ。 バッドステータスとかは…ヒーラーの皆さんを頼らせて貰うわ! ……ギーゼラの笑顔はちょっと怖いけど、まあ、たぶん沢山厄介になるからよろしくね!
シーフの夕霧である! 最後の人枠に入らせてもらったのじゃ。よろしく頼むのじゃ。 敵は一体とのことだし、まずは囲んで殴るが基本であるな。 おばけ? ゆらぎ??? その辺りは実際に殴って見てから考えるのじゃ。 真面目な話をすると、ヒーラー武器ではないので当たるを幸いに殴るぐらいしかやることがなさそうなのである。特に属性を外したからといってデメリットもなさそうであるしの……
エルファリアと言います、よろしく。 んー、まあ属性違いだと吸収されるとかだとあれですけど、よく効くか減衰かなら殴らない理由はあんまりないんですよね。 相手の攻撃の属性と効きやすい属性がちぐはぐなら攻防パターンを変える意味もあるんですが、奇数は魔法で殴ってきて魔法が効く、偶数は物理で殴ってきて物理が効く、と一致しちゃってますし。 敢えて言うなら範囲攻撃ありで射程が短いので、ダメージ溜まってきたら前衛交代(それまで殴ってた人は範囲外まで対比して回復、温存してた人は接近して抑え込む)ぐらいはしてもいいかもですか。
なんだおもしれえのが来たな!シーフのナハシュだ。よろしく。 大体出てる感じで異論はない。 前衛のスイッチはどうだろな、今回回復できるやつが多いからどちらでもいい気はするな。 【呪い】も能力的に影響を受けんのが回避2のBSと合わせて食らった時くらいだ、防御型はそもそも痛くもかゆくもないかもしれねえよ。俺含めたシーフ組は食らうとちょっと面倒かもしれないから、解除スキルは勿論助かる。 実体非実体を繰り返す、というものも目がチカチカしそうだよな。 個人としては視界は普通に悪そうだから、一応暗視は持って行くつもりだ。 他はまあ普通にBS付与寄りでH&Aしてると思うぜ。
フフフフフ、怖いなんて!そんなに褒められると照れちゃいますねぇ! だぁいじょうぶ!やさぁしくやさぁしくヒールしてあげますから!! 物理攻撃をする人(ウォーリアやシーフ)は物理防御が高く 魔法攻撃をする人(キャスター)は魔法防御が高い傾向がありますので 交互にした方が被ダメを抑えられて、1.2倍の攻撃を当てられるので安定して戦えるかと思ったのですけど。 10人揃いましたし、ヒーラーが多いので、気にせずガンガン攻める方式でもいけそうですねぇ。 さくっと袋叩きにしてしまいましょうか? 僕としてはガンガン行って、怪我をいっぱいして貰った方が嬉しいので歓迎ですよ。 >視界について それでは僕も暗視を持っていきましょう。
エルフのシーフ、シェオル。どうぞよろしくね。 悪霊かぁ、物理攻撃が通るって何だか不思議な感じ……。 んーと、1.2倍と0.7倍…… そうだね、どっちかで攻め続けても本来よりちょっと期待値低いくらいだし、 攻撃面はバフデバフや回数性火力スキルのタイミングを見ておけば、いけそうかも。 ガンガンいこうぜ、で行っちゃう? 呪いはー……効果を読んだ感じだと、スキルでの回復判定は通ってくれそうかな? 解除スキルも回復スキルも、用意してもらえるなら助かるよ、ありがとうね。 汎用は、僕も何か敵を確認するためのものを持っていくよ。 動きとしてもナハシュ君と同じ感じになるかな、BSを被らないように付与していけたらと思う。
ヒーラーの方も多いですし、物魔撃種類の攻撃を使用すれば特に耐性を気にしなくてもよさそうですかね? >物理が通る? まぁ我々自身、エーテルを介した存在であり、それによって攻撃をしていますから純粋な意味では物理とは言えないのでしょう。 そういう意味では「悪霊」と近いのかもしれないですね。 >照明について エンライトを準備するつもりですが、不要ですかね? >そのほか この「悪霊」ですが、もし継いだ部分が見えるのであれば「切り離す」のも手かもしれませんね 集合体(融合状態)だから暴走している、とも見えるかと。 あと、私は「悪霊」に声掛けをするつもりです。 悪意ではなく嘆きのようですからね、見たところ。 案外「残留思念」などで悪霊の経緯を調べることができるかもしれません。 私は今回準備はできませんけど
魔法攻撃しか通らないってことは無いように思うね。 包囲でガンガン攻撃、わかりやすくていいと思う。 >BS解除 スキルの回復は判定してくれるかな? それなら一応、呪いと回避ダウンを一気に解除できる聖別を持っていっておこう。回避型優先でやれば無駄がなくて良さそうだ。 >照明 ランタンくらいは持っていくつもりだったけど、エンライトもあれば俺は嬉しいかな。 >個人の動き 回復手が多そうなので俺は前衛で攻撃寄りで行こうかなーと思ってる。 抵抗は高いに越したことないし、戦闘前にレゾナンス・オブ・ヴァローは全員に使うね。 他は全体の動きを確認して調整するよ。 残留思念感応は持っていけるので、そしたらどこかに調査も入れておこうかな。
>回復は多いので袋叩き まあ力押しで片付くならそれはそれで良し、ですか。 スイッチまで考えなくても、ダメージが大きくなった人は下がって態勢整えるとかでも十分対応できそうな気はしますし。 >悪霊について んー……こっちは特に思念を読み取るようなことは無理ですね。 理性的な思考が残ってるなら洞察とかでもなんとかなるかもですが、それができてないからこうやって暴れてるんでしょうし。
エンライトはわらわが持っていく予定なのじゃ。 ぶっちゃけるとそこまで大した攻撃力もなし、回復力もなし。 手数1回と考えるとわらわが使っておくのが無難な気がするのである。 >BS対策 避けるぐらいしかないのである。 レベルの都合上、まだ抵抗力もそこまで高くは無いからの…… そもそも、回避を戦術の中心に置いている者以外は回避が20%下がったからといってどうってことない気がするのである。 ……と、ここまで喋って思ったのじゃが。 わらわ、ノービスワンドなり持って魔法攻撃した方が早いまである気がしてきたのである。
やさしく?ほんにやさしくヒールしてさぁ?( >ギーゼラさん うなうな。ガンガン行こうぜ!で良い感じやね!了解さぁ あとは、うーん。余裕があればなんやけど。おばけが出るようになった原因があるのかなって、周辺を探索してみようと思うさぁ。
……一つ前の依頼、出発したと思ったら帰って来たわね?早くない?? で、あたしは、依頼人さんと遭ってるみたいなんだけど…… とりあえず、斬りかかって良いかしらね? ……と言うか、斬りかかろうとするんで、誰か止めて貰えると助かるわね。 で、一緒に参加してたメンバーには、道中でこっそり伝えるわ。 目的は分からないけど、後ろから撃たれるのはゴメンだしね、警戒したいわ。とはいえ、全員に言うほどかと言うと微妙なのよね。 〉戦闘 あたしは、戦いつつ、感触得られたら 物理の時に攻撃→次のターンは離脱 な感じかしらね。
前に出れる時はできるだけ出るようにはしておくね。 時間制限もないし、危ない時に各自下がれば安定はしそう。 >デイジー君 そうなんだよね。会ってたね…………。変装とかしてないのかな? 肝が据わっているところに好感が持てる。 止めるのは多分俺が自然だと思うから、俺が止めるよ。とはいえそうなるのも妥当だし、反応を見てみるのもありだとは思うけども。 雇われ同士が仕事でかち合うことは割とある、という価値観ではあるので俺はあんまり気にしないんだけど。戦闘後に調査もするなら、共有しておくといいこともあるかもしれないなとは思うね。
>物理? あ、なるほど、エーテル込みだからかぁ。 確かにそう聞くと納得できるかも! グレイブ君ありがとうね。 >依頼人 ……うん、斬りかかって何にもおかしくないなぁ……。 僕は話を聞くまでは静観、というかあんまり良く分からないでいるものの、 聞いた後もそうだね、同じくそんなには気にしないかも。警戒はするけれど。 >照明 エンライトは、使ってもらえるならこれも助かるよ、ありがとうね。 光源は十分そうなので、耳でも追えるように僕は超聴覚を持とうかな。 言葉はめちゃくちゃっぽいけれど、何かの場面で意味が通るかもしれないし。 >戦闘 疾風足&フェザーステップで、攻撃しては離れるを繰り返そうかな。 付与面はとりあえず物防低下と回避低下は予定中。 継ぎ接ぎ部分を切り離すのは……どうなる、だろうね。やるなら手伝うよ。
おおっと本当だ時系列が。 <MS:きっとこいつは冒険者くんは冒険者くんで一括りにしているのでしょう。初対面では?とか言い出しますよ。なんてシツレイなやつだ…エネミーとの戦闘を忘れないでいてくれれば殴りかかってもOKですが、依頼人という都合上捕縛したり倒したりできないのでご注意ください…!>
私は基本的には皆さんの支援を重視するつもりではあります。 エンライトも準備しておきましょう。 >時系列? 変装なり幻覚なりスキルでありますからねぇ・・・。 「同じ顔」を作るだけであれば難しくもなさそうですし、他人の空似というのもあります。 とかいう話でも入れましょうか? 現行犯じゃないと実際捕縛も何もできないでしょうし >残留思念 これについては悪霊そのものというよりも「周囲に残された思念を探る」が考えのメインですかね。 過去事例の無いものって、「何らかの手が入って」起きるものですし。 その「何らか」の手掛かりが見つかるかなあ、と思ってです。
>依頼人 いやーめちゃくちゃ早いな! 個人的に気になるのは時間列かな。この依頼が出た時期的に【灰葬】の後にあたるのかどうかというところ。まあこのMSさん毎度筆がクソはえぇから、後の出来事でも全然違和感ねえんだよな。後の話ならリプレイを踏まえた上で切りかかるのはまあ構わねえし、共有も問題ねえ。 言われてるように戦闘後の調査や話を聞くうえで役に立ちそうだしよ。 >照明 有るなら助かる。照明があるなら、暗視を辞めて別に何か持って行こうと思うぜ。 >戦闘 そんならこっちは命中低下当たり持って行こうかね。あとはスリップダメージか。 ばらすのも面白そうだな。実体時狙えそうなら試してみるかな。
って、書いてたら依頼人から来てるじゃねえか。じゃあ問題ねえな!(
>依頼人 私は直接会ってはおりませんけれど……これは、斬りかかっても不思議はありませんね。 捕縛も出来ませんし、ご本人は覚えてないらしいですし。 他の方もおっしゃる様に警戒するに留めるのが良いでしょうか。 あ、エンライトは私も持っておりますので用意していきますね。
>時系列 >斬りかかりとか 私にとってはただの今回の依頼主でしかないので、信用するかとかは置いておいて敵対する理由はなければお仕事をふいにしちゃう理由もないですね。 その上で依頼の裏がー、というのはまあ皆さんの話は聞くしある程度それを前提にする、くらいで。 >戦闘 私は生命をなるべく盛ってガンガンって感じですかねー。
「やりたい」「動きたい」というお気持ちは出来るだけ尊重します。 とはいえ前述した理由(人違いの可能性)もありますので、それを知らないものとして止めるでしょう。 他に「あえてやりたい事」「動きたい事」はございますかね?
ああ、ごめんなさいね? 話をややこしくして。 一瞬、カッとなって…斬りかかる勢いだと思うけど、ヨルに制止されれば、 自制する位は出来るから大丈夫よ。 どう言うつもり?位は聞くけど、とぼけられたら証拠もないし、ギルド内で正式な依頼人とバトる訳にも行かないものね?人違い、も、確かにゼロじゃないものね? と、言う事で、剣呑な雰囲気でスタートかもで申し訳ないけど、 依頼は依頼と切り替えて動くから安心して頂戴? というか、あたし、裏があるとか罠だとか、ややこしいコト考えるの向いてないから…… なので、あんまりプレイングに字数割かないで頂戴ね? リプレイ的にも、ここは本筋じゃないでしょうから。 〉グレイブ 気遣いありがとね、事を荒立てることはしないので大丈夫よ。 〉明かり あたしは、暗視をもっていくわ!
敵として自己紹介までしっかりとしておいて、同じ名前でギルドに依頼にくるなんて 肝が据わっているのか、ただの狂人か。 斬りかかるのは構わないと思いますよぉ。 フフフフフ、デイジーさんがいかなければ僕が一発入れにいったかもしれませんし。 僕は依頼後に「20年前から切り刻むのがお好きなようですね?」とティツィさんの死への関与を確認したり 「魂を切り刻むコツは、今度ぜひ教えてほしいですねぇ。」と今回の依頼が自作自演だと吐かせるようにしてみようと思います。 >個人行動 【聖別】は僕も持っていきましょう。 【リヴァーオブヴァイタル】も持ちますので、ダメージが大きい場合は下がって貰えるとありがたく。 他は【ヒール】×2と【ヒーリングオーラ】で回復増し増しで行こうと思います。
おやおや、こわいこわい。 さて、明日出発だけれど持ち物には気をつけてね? 水着とか銛で戦闘はちょっと心配だからね〜
アンダーテイカーさんは銛でついても、ポイントにならなそうですからねぇ。ざぁんねん! ちゃぁんと祭刀で行きますのでご安心ください。
ちょっと間が空いちゃったけど、軽く止める旨は書いてあるので安心してね。 時系列のこともきちんと解決してよかった。 アンダーテイカー君はありがとうね。肝試しに水着はなかなかロックだ、気をつけるよ。 スキルが増えたので、【ハウリング・オブ・ブルーフレア】を開始前に皆を対象に使用、後は攻撃をメインにするつもり。 当日は宜しくね。