【鉄鱗】夏のチョキチョキ事件簿
桃谷かな
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シナリオID:1171
オープニング
「うあ゛~~思った以上にあっついの」
白い砂浜を踏みしめ、リーミルは片手で顔を扇ぎながら進んでいた。
ここは、先日奪還されたばかりの帝国南部都市ヴィント――の中央部にできた、謎の海ダンジョン第一層。天霧りに消ゆる幽界樹が生えていた場所が大穴となり、遠くエドゥノーグダンジョンの主幹路とどこか下層のほうで繋がる形でダンジョン化したのではないかと仮説が立てられているものの、実際のところはまだ調査中らしい。
「ふぅ……用は済んだけど、夕方のオウム便まで時間が余っちゃったの。どこかで時間を潰すの……」
リーミルは、リブラネスタの冒険者ギルド本部に配属されたばかりの新人受付係だ。最近はこのダンジョンでの調査や採取依頼が多く持ち込まれるようになったため、今日は情報交換を目的に「探索支援ギルド帝国支部」までお使いに来ていた。
とはいえ、都市同盟と帝国ではさすがに遠すぎる。冒険者たちを運ぶビッグオウム便に便乗させてもらうことになったものの、帰りの便まではあと6時間ほど待たなくてはならないらしい。
「ええ~っと~……あれ?」
ふと、鼻をくすぐる香ばしい匂い。
「こ、この匂いは……イカ焼きなの!? 酒が進む、あのイカ焼き……!」
目の前に現れたのは、ダンジョンなのにイカ焼き屋台。テーブルとベンチを完備し、ドリンクも提供しているらしいそこは、まさしく海の家といった風情である。
「ヘイらっしゃい! 姉ちゃん、時間あるなら一杯どうだい? ダンジョン産の釣れたてイカだぜ!」
鍛え上げられたムキムキの筋肉と日焼け肌のまぶしい店主が、言葉たくみにリーミルを誘惑する。
「えっと……いま勤務中なの。飲酒はやっぱり……ん??」
気づいてしまった。
今は勤務時間内だが、オウム便を待つ以外にやることはない。オウム便に乗ってリブラネスタに着くころには、とっくに勤務時間外になっているはずだ!
「……っていうことは、もう飲んでいいってことなの? アナンディーン先輩もここにはいないし……?」
口うるさい上司は同行していない。なるほど、これは絶対バレないやつでは?
「ひゃっほーーーなの!! おじさん、イカ焼きとエール3杯よろしくなの!!!!」
テーブルに鞄を放り投げ、勢いよくベンチに腰を下ろすリーミル。
暑い。でも、暑いからいいのだ。
波の音を聞きながら、新鮮なイカ焼きをつまみにキューッと10杯。
ああ、待ちきれない。今日は最高の出張になりそう――!
「おい、ちょっとアンタ!! もしかして授恵者か!?」
「へっ??? あっ、あの、そうですけど……?」
もう完全に仕事モードをオフにしていたリーミルの気分は、突然降ってきた男の声で台無しにされてしまう。
顔を上げてみれば、水着姿で何やら困り顔の青年がこちらを見下ろしていた。
「ちょうどよかった! 悪いけどアンタ、今からダンジョンに潜ってくれねぇか? 宝石珊瑚の採取依頼を請けた冒険者の一人が、イカの食いすぎで腹壊しちまったらしくてさ。代わりの授恵者を探してるらしいんだよ」
「えっ……でも私、ただの冒険者ギルドの職員ですし……」
イカが、焼けているのだ。断りたい気持ちをやんわり表現したリーミルだが、探索支援ギルドの使いを名乗った彼も負けてはいない。
「大丈夫大丈夫。中型のロブスター魔獣が3体いる枝場らしいんだけど、攻撃力は低いってさ。難しい依頼じゃねぇし、頼むよ!」
「えっ……ええ~っと……」
リーミルも授恵者だ。まだまだ治安が安定しないヴィントに来るにあたり、念のため装備は持ってきた。でも、今まさにイカとエールが届けられようとしている、このタイミングで――!
「なんだい、姉ちゃん。今から急遽潜るって? じゃあ仕方ねぇな! 注文品は帰ってから出してやるよ!」
店主の気遣いが、リーミルの短いバカンスを容赦なく終わらせる。
「わ、わかりました……。簡単な依頼なんですよね? 行かせていただきます……」
漂うイカ焼きの匂いに後ろ髪を引かれながら、リーミルはその冒険者たちの元へと向かうのだった。
白い砂浜を踏みしめ、リーミルは片手で顔を扇ぎながら進んでいた。
ここは、先日奪還されたばかりの帝国南部都市ヴィント――の中央部にできた、謎の海ダンジョン第一層。天霧りに消ゆる幽界樹が生えていた場所が大穴となり、遠くエドゥノーグダンジョンの主幹路とどこか下層のほうで繋がる形でダンジョン化したのではないかと仮説が立てられているものの、実際のところはまだ調査中らしい。
「ふぅ……用は済んだけど、夕方のオウム便まで時間が余っちゃったの。どこかで時間を潰すの……」
リーミルは、リブラネスタの冒険者ギルド本部に配属されたばかりの新人受付係だ。最近はこのダンジョンでの調査や採取依頼が多く持ち込まれるようになったため、今日は情報交換を目的に「探索支援ギルド帝国支部」までお使いに来ていた。
とはいえ、都市同盟と帝国ではさすがに遠すぎる。冒険者たちを運ぶビッグオウム便に便乗させてもらうことになったものの、帰りの便まではあと6時間ほど待たなくてはならないらしい。
「ええ~っと~……あれ?」
ふと、鼻をくすぐる香ばしい匂い。
「こ、この匂いは……イカ焼きなの!? 酒が進む、あのイカ焼き……!」
目の前に現れたのは、ダンジョンなのにイカ焼き屋台。テーブルとベンチを完備し、ドリンクも提供しているらしいそこは、まさしく海の家といった風情である。
「ヘイらっしゃい! 姉ちゃん、時間あるなら一杯どうだい? ダンジョン産の釣れたてイカだぜ!」
鍛え上げられたムキムキの筋肉と日焼け肌のまぶしい店主が、言葉たくみにリーミルを誘惑する。
「えっと……いま勤務中なの。飲酒はやっぱり……ん??」
気づいてしまった。
今は勤務時間内だが、オウム便を待つ以外にやることはない。オウム便に乗ってリブラネスタに着くころには、とっくに勤務時間外になっているはずだ!
「……っていうことは、もう飲んでいいってことなの? アナンディーン先輩もここにはいないし……?」
口うるさい上司は同行していない。なるほど、これは絶対バレないやつでは?
「ひゃっほーーーなの!! おじさん、イカ焼きとエール3杯よろしくなの!!!!」
テーブルに鞄を放り投げ、勢いよくベンチに腰を下ろすリーミル。
暑い。でも、暑いからいいのだ。
波の音を聞きながら、新鮮なイカ焼きをつまみにキューッと10杯。
ああ、待ちきれない。今日は最高の出張になりそう――!
「おい、ちょっとアンタ!! もしかして授恵者か!?」
「へっ??? あっ、あの、そうですけど……?」
もう完全に仕事モードをオフにしていたリーミルの気分は、突然降ってきた男の声で台無しにされてしまう。
顔を上げてみれば、水着姿で何やら困り顔の青年がこちらを見下ろしていた。
「ちょうどよかった! 悪いけどアンタ、今からダンジョンに潜ってくれねぇか? 宝石珊瑚の採取依頼を請けた冒険者の一人が、イカの食いすぎで腹壊しちまったらしくてさ。代わりの授恵者を探してるらしいんだよ」
「えっ……でも私、ただの冒険者ギルドの職員ですし……」
イカが、焼けているのだ。断りたい気持ちをやんわり表現したリーミルだが、探索支援ギルドの使いを名乗った彼も負けてはいない。
「大丈夫大丈夫。中型のロブスター魔獣が3体いる枝場らしいんだけど、攻撃力は低いってさ。難しい依頼じゃねぇし、頼むよ!」
「えっ……ええ~っと……」
リーミルも授恵者だ。まだまだ治安が安定しないヴィントに来るにあたり、念のため装備は持ってきた。でも、今まさにイカとエールが届けられようとしている、このタイミングで――!
「なんだい、姉ちゃん。今から急遽潜るって? じゃあ仕方ねぇな! 注文品は帰ってから出してやるよ!」
店主の気遣いが、リーミルの短いバカンスを容赦なく終わらせる。
「わ、わかりました……。簡単な依頼なんですよね? 行かせていただきます……」
漂うイカ焼きの匂いに後ろ髪を引かれながら、リーミルはその冒険者たちの元へと向かうのだった。
解説
●依頼内容:
・ヴィントの海ダンジョンにある枝場で、宝石珊瑚をたくさん採取してください。
・該当の枝場には中型のロブスター魔獣がいますので、必要に応じて戦闘を行ってください。
●宝石珊瑚の枝場:
・エメラルドグリーンの海と白い砂浜、岩場があるエリアです。海はだいたい水深20m未満のようで、透明度が高いです。色とりどりの魚が泳いでいて綺麗。
・海底には、赤や白、ピンク、黒のほか、青、緑、黄色など様々なカラーの宝石珊瑚がたくさん生えています。レインボーカラーや金ピカの宝石珊瑚もあるらしいです。
・たまに真珠貝もいるらしいです。
・暑いので水着推奨です。
●敵:
・ロブスターマン × 3
枝場の海中をうろついているロブスター型の魔獣で、大きなハサミが特徴です。
大きさは2mほど。海中では敏捷で、外殻が硬いです。
たまに泡を吐いて視界を悪くしたり、渦潮ちっくな水流を起こしたりします。
ハサミの攻撃力は意外と高くなく、授恵者ならダメージを恐れる必要はないでしょう。
水着や衣服を切るのがせいぜいです。
逆に言うと、水着や衣服を切ることは余裕でできます。
とりあえず水着や衣服を執拗に狙いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
●味方戦力:
・リーミル
お腹を壊した冒険者の代打で急遽みなさんと一緒にダンジョンに潜ることになりました。
ドワーフのウォーリアで、装備は「ダマスカス鋼の斧」「練習用の銛」「艶やかな水着」を持ってきています。
スキルは何となく攻撃重視のウォーリアっていう感じで、みなさんの足を引っ張らないくらいの強さはあります。
どういうわけか、海の家のおじさんに大き目の布を持っていけと言われたので、マジカルポケットに何枚かまとめて入れています。
★★注意★★
このシナリオでは、キャラクターイメージに影響するアクシデントが起きる可能性があります。
そういうのはノーサンキューだぜ! という方は、プレイングに書いていただけるとロブスターマンやNPCが空気を読むかもしれません。
マスターより
こんにちは、桃谷です!
エメラルドグリーンの海、最高ですよね。
ロスガリア大陸の夏を満喫しましょう!
リプレイ
「リーミルさん、ヘルプありがとうございます!」
「急に同行を頼んでしまって済まないな。此度はよろしく頼む」
冒険者たちの列の後ろの方では、細かなフリルがあしらわれた水着と釣竿でバッチリ海装備のトーラ、そして褐色肌にスポーティな水着が映えるサマエラ=フォリウムの2人が、リーミルに感謝を伝えていた。
「私もちょうど時間を持て余していましたし……」
飲酒しようとしてたとは、言えない。
そこへ、大き目のフリルが印象的な水着に身を包んだアヴェラ・ウッチェロがにっこり微笑みながら近づいてくる。
「仕事モードのスイッチ切った直後に強制オンは辛いわよね」
(バ、バレてるの……!?)
リーミルの頬を、冷や汗が伝う。
列の中ほどでは、ワンピース水着に手脚を覆うカバーを合わせたマリイ・パルティスが、シニング・W・テュパラに笑顔を向けていた。
「それにしてもテュパラさんが海に来るなんて珍しいですね。でも、ご一緒できて嬉しいです」
「うーん、でも。ちょーっとリスクがアタシにとっては高すぎたかなぁ」
水着は見せたくない部分がポロリしてしまう恐れがある。
「そうですか……」
マリイも内心、心配はしているのだ。
「アタシだってそういう気分になる時くらいあんだよ。ま、アタシもマリイとかと一緒なのは気楽でいいけどな」
耳と尾は隠したつもりだが、細心の注意を払わねばならない。そんなテュパラを前に、マリイは努めて明るく振舞っていた。
一方、最前列。
「宝石珊瑚を採取するには、海底に潜る必要があるんだね。持って来た銛が役に立つかも!」
「どんな所か楽しみだよね! 皆の水着姿も、素敵だなぁ」
高級銛を片手に張り切るエルゼリオ・レイノーラは、白と黒を基調にしたオシャレな水着。セーラー服風の新品水着でキメたララベル・サン・ディーベルは、他の仲間たちの水着も気になるようだ。
(でも、あれって……?)
ララベルは、ベルク・オスマットに視線を遣った。
「流石に暑いな。水着を用意して正解だ」
黒いワンピース水着なのだろうか。晒と褌に見える気がする。おしりがちょっとセクシーすぎないか。
「そうだね。凄く暑いし……あっ、枝場に着いたみたい」
でも本人が水着だと言っているのだから、そうなのだろう。
ララベルは心の中で結論を出し、眩い光に満ちた枝場へと足を踏み入れた。
●枝場到着
「透き通った海と白い砂浜がキレイだねぇ。依頼の事とか忘れちゃいそう……」
「宝石珊瑚か。色彩鮮やかな光景は、さぞ見物だろう……良い時間になりそうだ」
エルゼリオとサマエラは、若干バカンス気分で美しい海の風景を眺めていた。
「先にロブスターマンを退治か撃退した方がいいでしょうか?」
「ええ。発見次第、倒してしまうのがいいと思います」
マリイが頷くのを見て、トーラは海に向かって捜波を使い始める。何度目かのトライで海面付近を泳ぐ何かの気配を察知した。
「では早速! この釣竿なら、きっと海老に有効な筈です!」
釣竿を振るい、そのあたりに針を落としてみるトーラ。そんな彼女を、テュパラとベルクが懐疑的かつ温かい目で覗き込む。
「さすがに魔獣は釣れねーんじゃねぇか?」
「うむ。それで釣れるなら、苦労は――」
ザパァ。
「釣れましたぁーーーーーーー!!!!」
「「ええええええ!?」」
餌をハサミでしっかり捉え、宙を舞う特大ロブスター!
しかし、
ブチィッ!
「あぁ~~!」
糸が切れてしまい、釣り上げきれなかった獲物は再び海の中へ。
「それじゃ、速攻で行きましょうか」
他の冒険者たちとリーミルは準備を整え、先頭のアヴェラに続いて次々と海の中へ潜り始めた。
(思った以上に様々あるな。これは見応えがある)
海の中は透明度が高く明るい。色とりどりの魚が舞い踊る中をサマエラが進んでいくと、海底の岩場に赤や黄色、ピンクの珊瑚が生えていた。
(わぁ、魚も一杯いるし、宝石珊瑚も色んな色があって凄く綺麗……宝石箱みたい)
海底の地形を探り、珊瑚の群生地を探すララベル。魔獣の出現を警戒しつつ、目についた緑の珊瑚を採取していく。
天眼も駆使して珊瑚を探すのはエルゼリオだ。白と青の珊瑚が生える岩場で、間引くように採取してから、おもむろに上を見上げる。
(お伽話の世界に入り込んだみたいだ。何だか人魚になった気分♪)
だが、そんなホンワカした気持ちは、大きく手を振って合図するリーミルを見た瞬間に吹っ飛んだ。
三方向から、巨大なロブスターたちが接近してきたのだ。
●色々割愛しながらお送りします
(なんじゃこやつらは! 掠めるような攻撃ばかりしおって……)
ハサミをギリギリでかわし、手にした銛でロブスターマンの脇腹を狙うベルク。回避した敵を見据え、距離をとる。テュパラに目配せし、彼女はそのまま息継ぎに上がっていった。
(クソッ……硬いな)
テュパラの銛は確実に敵の甲殻を捉えたが、大ダメージを与えるには至らない。カウンターで襲い来たハサミを神眼法で見切り、テュパラは海中を舞う。
(珊瑚に被害が出ない所まで……!)
マリイは1体のロブスターマンを引き付けながら海面方向を目指す。
だが、その瞬間――敵の攻撃を食らったエルゼリオが、ゴボッと空気を吐き出すのが見えた。
その下方には、高速浮上してくるサマエラの姿もある。
一体何が起きたのか。マリイはロブスターマンを魔矢で追い払うと、そのまま海面に顔を出した。
「どうしたんです!?」
「ぷはっ……待て。あの魔獣は何かがおかしい」
サマエラの水着は、腹部が見事に裂けている。続いて顔を出したエルゼリオが、慌てた様子で太もも付近の水着の切れ込みを指さした。
「なんで!? あのザリガニ、何故か水着を執拗に狙って来るんだけど……!?」
「水着……まさか、防具破壊が狙いか? ……これは、甘く見過ぎたか」
ならば――断たれる前に、断つのみ。真面目なサマエラは、水着の損傷も気にせず再び海に潜っていく。
「な、なんて卑怯な技! 私の前で服への狼藉だなんて、許しませんよ!」
マリイは激怒した。必ず、かの狼藉者のハサミ野郎を除かなければならぬと決意した。道具箱を手に、再び潜水を開始する。
その頃、海岸では。
「うーん。やっぱり餌を替えてみますかね」
マイペースに餌を探すトーラの横で、休憩から海に戻ろうとしていたベルクがプルプルと震えていた。
「――ふ、ふふふ。そういえば最近甲殻類を食べていなかったな」
胸元の切れ込みがギリギリまで達し、一触即発の水着を見下ろしながら……。
海底に足をつけ、上方から襲い来たロブスターマンに三連撃を見舞うララベル。奴らが水着を狙うことはもうわかっている。大事な一点を守り、若干お尻を切られつつも一歩後退。
(……皆、大丈夫かな?)
この戦場は女性が多い。もし、水着を切られてしまったら――?
(大きなハサミね)
泳ぎ来たアヴェラが、珊瑚入りポーチを守れる角度で得物を振るう。甲殻にヒビを入れ、なんとか海から引きずり出そうと動くものの、相手も負けてはいない。
(あら)
顔の横を、ハサミが掠めた。アヴェラの水着の右肩紐が千切れ、相当ギリギリのラインまで肌があらわになる。
恥ずかしがった方がいいのかしら……とアヴェラが逡巡している前で、動揺しまくったのはララベルだ。
(はわわわ、僕、何も見てないからっ)
真っ赤な顔で浮上するララベル。しかし途中で、何かに頭をぶつけて止まってしまった。
(ごめん!)
上にいたのはリーミルだ。彼女は笑って片手を振り――
いきなり、ビキニのブラ部分が消えた。
「がぼぼッッ!!!???」
びっくりしすぎて溺れかけのララベルの視界に、釣り針に引っ掛けられて遠ざかっていくブラが映る。
慌てて視線を外して、そしたら今度は、泳いできたベルクの水着の胸部分も豪快にほどけ始めた。
(よくも、妾のお気にの水着を台無しにしてくれたの! 塩ゆでの身にして食ろうてくれるわ!)
胸元など一切気にせず、銛を構えて迫るベルク。今にも片方ポロリしそうな水着をそのままに、ガンガン腕甲爪を振るいまくるアヴェラ。
一体、どこを見れば。目が開けられない。それにもう息も苦しくて――
死を予感したララベルが瞼を開けようとした、その時。
――それ以上、いけない。
割って入ったロブスターマンの目は、多分そう言っていた。
全周囲を泡まみれにし、凄まじい水流を巻き起こす魔獣。この場唯一の男子を海上へ放り出すという大仕事を終えた彼は、その後速やかに命を刈り取られたのだった。
(魔矢の方が効いているか? 水流に呑まれると厄介だな)
渦に巻かれていったララベルを横目に見つつ、サマエラは霊刀を握り直す。目の前には、高速で迫るロブスターマン。既に彼女の水着も左の肩紐が千切れ、お腹の裂け目は動くたびに広がってきている。
気にしてないが。
得物に宿した眩い光を、ハサミ目掛けて一閃。だが、お返しとばかりに突き出された逆のハサミが、ついにサマエラの右肩紐を捉えた。
(これは良くないやつですね!)
解き放たれた双丘を、マリイが召喚した薄煙がいい感じに隠す。どちらかというと、割って入りたいエルゼリオへの配慮であるが。
(ボクがこのエッチなザリガニを抑えてる内に逃げて! 早く……!!)
敵の体当たりを盾で受け止め、耐えるエルゼリオ。後ろのサマエラが全然逃げずに魔矢を撃っているという事実には、まだ気付いていない。
エルゼリオが甲殻の隙間を狙って銛を突き入れると、ロブスターマンは苦しげに身をよじった。離れようとする敵へ、背後から接近したテュパラの銛が襲い掛かる。
(よし! ……あっ!?)
(ああ~~!?)
気付けば、テュパラの上着ごと水着の胸元が切り裂かれていた。エルゼリオの水着も、無事だった方の太もも部分に大きく穴が開き、色々見えちゃいそうな黄色信号状態である。
((!!!))
ヤバい! と思う間もなく、渦の中に巻き込まれていく2人。
テュパラはフードや水着が外れてしまわないよう必死で押さえ続ける。胸やデリケートなゾーンはこの際どうでも良い。耳と尻尾、それだけは――!
水流から解放された2人が最初に見たのは、ダッシュで逃げていくロブスターマンと、それを鈍器もとい道具箱でタコ殴りにしながら追いかけるマリイの姿だった。
彼女の腰にあったマントは、今やガッチガチに固く巻かれている。2人が渦に巻かれている間に、事件が起きてしまったようだ。
テュパラの水着は無事。一方、エルゼリオは――
「がぼッッ!?」
水流に千切られ、ホットパンツみたいになってしまった哀れな水着。
その激短の裾から、何かが――?
「ゴブッッ!!??」
倫理的な危険を察知したもう1体のロブスターマンが、すかさず水流でホットパンツ男子を押し流す。OK、海の平和は守られた。
『……』
彼の前には、もう殆ど布を纏ってないサマエラと、上半身全部さらしたベルク。完全に片方見えてるアヴェラ。そして、切れ込みから色々覗いてるテュパラだ。
どうして、誰も隠さないのか。
「キャー! ロブスターさんのエッチ!」とか聞こえてこないのは、何故か。
その真相を探るため、彼は。
色んな攻撃をその身に受けまくり、この世ではないどこかへと旅立っていったのだった。
一方、怒れるマリイから何とか逃れ、海底の岩場に隠れたロブスターマン。
岩陰から顔だけ出し、やり過ごそうと――
(かかりましたね!!)
できなかった。
トーラが釣り針につけたまま漂わせていたリーミルの水着につられ、うっかり岩場から飛び出してしまったのだ。トーラはすかさずエーテル流体弾を放ち、敵の体を岩場から押し上げる。
逃がすまいと急行するマリイ with 鈍器。アイツはヤバいと知っているロブスターマンが海中をダッシュで逃げ、トーラへ迫る。
(なんの!)
水流を操り、回避するトーラ。だが、敵はロブスターのプライドにかけて追いすがり、執念の一撃でトーラの水着をチョッキンと切り裂いた。
『……!?』
ところが、トーラは咄嗟にエンライトを発動。
眩しすぎて全然見えない状態を作り出してしまった!
動きを止めたロブスターマンの頭を、マリイの道具箱が強襲する。
ふらふらと岩場にハサミをついた、その時だ。
岩場の景色と同化していたララベルが、必殺のタナトスバイトを繰り出した。
水流攻撃により水着が脱げてしまったララベルは、岩場でこっそり隠密をキメていたらしい。
何が起きたかわからぬまま、沈んでいくロブスターマン。
しかし、
(やった!! ……あれっ?)
シーデビルアーマーは、使用中に移動ができない。
マリイとトーラが浮上するまで、ララベルの息が続くかどうか……それは神のみぞ知る。
●
本日の収穫は、赤、白、ピンク、黒、青、緑、黄のスタンダード珊瑚が大漁。
金と虹色の珊瑚がそれぞれ2つ。そしてなんと、大粒の真珠1つも採取できた。
「この体に隠さねばならぬような恥じ入る部分などない! ……成長しとらんからの!」
「もしかして、私のこの身体に欲情する人がいるのかしらね?」
リーミルが持ってきた布を巻きつつ、似たような体型のベルクとアヴェラが正反対の表情を浮かべている。
「それにしても、ここの珊瑚たちはどのようにして生まれたのでしょうねぇ。本当に不思議な場所です」
海中の風景を思い出しながら呟くマリイ。しかし、仕立て屋でもある彼女の手元には、修繕希望の水着たちが大量に集まっていた。
「ごっ、ごめんなさい!」
「ごめんなさい!」
「いえ、そんな! き、気にしないでください!」
土下座するララベルと頭を下げるトーラを前に、リーミルは慌てて顔を上げさせていた。
「しかし、魔獣の死骸はこのままで良いのか?」
砂浜に打ち上げられたロブスターマンをつつきながら、サマエラが振り返る。
「あっ、これも食糧になりそうじゃないですか? 持って帰って焼きましょう!」
「確かに、酒にあ――美味しそうですね!」
トーラの提案を採用し、リーミルとサマエラ、ララベルが損傷の少ない1体を担ぎ上げた。
「何かちょっとしたもんでいいんだけどな~」
テュパラは砂浜を歩き、チビ達へのお土産を探す。見た目が綺麗な貝殻をいくつか拾い、持って帰ることにした。
「リーミルさん。イカ焼き食べたいんだよね? じゃあ――いっその事、バーベキューしちゃおうよ! ロブスターもあるし!」
「ええっ! 酒――じゃなかった、イカだけじゃなくてですか?」
エルゼリオの提案に、秒速で時計を確認するリーミル。
他の冒険者たちも乗り気だ。果たして、時間は――?
「あと2時間あります! いいですか? これは冒険者の皆さんとの交流機会であって、決して勤務時間中のサボりでは――」
グダグダと言い訳を並べるリーミル。
冒険者たちはしっかり布を巻き直すと、BBQ目指してイカ焼き屋台へ焼き網を借りに行くのだった。
「急に同行を頼んでしまって済まないな。此度はよろしく頼む」
冒険者たちの列の後ろの方では、細かなフリルがあしらわれた水着と釣竿でバッチリ海装備のトーラ、そして褐色肌にスポーティな水着が映えるサマエラ=フォリウムの2人が、リーミルに感謝を伝えていた。
「私もちょうど時間を持て余していましたし……」
飲酒しようとしてたとは、言えない。
そこへ、大き目のフリルが印象的な水着に身を包んだアヴェラ・ウッチェロがにっこり微笑みながら近づいてくる。
「仕事モードのスイッチ切った直後に強制オンは辛いわよね」
(バ、バレてるの……!?)
リーミルの頬を、冷や汗が伝う。
列の中ほどでは、ワンピース水着に手脚を覆うカバーを合わせたマリイ・パルティスが、シニング・W・テュパラに笑顔を向けていた。
「それにしてもテュパラさんが海に来るなんて珍しいですね。でも、ご一緒できて嬉しいです」
「うーん、でも。ちょーっとリスクがアタシにとっては高すぎたかなぁ」
水着は見せたくない部分がポロリしてしまう恐れがある。
「そうですか……」
マリイも内心、心配はしているのだ。
「アタシだってそういう気分になる時くらいあんだよ。ま、アタシもマリイとかと一緒なのは気楽でいいけどな」
耳と尾は隠したつもりだが、細心の注意を払わねばならない。そんなテュパラを前に、マリイは努めて明るく振舞っていた。
一方、最前列。
「宝石珊瑚を採取するには、海底に潜る必要があるんだね。持って来た銛が役に立つかも!」
「どんな所か楽しみだよね! 皆の水着姿も、素敵だなぁ」
高級銛を片手に張り切るエルゼリオ・レイノーラは、白と黒を基調にしたオシャレな水着。セーラー服風の新品水着でキメたララベル・サン・ディーベルは、他の仲間たちの水着も気になるようだ。
(でも、あれって……?)
ララベルは、ベルク・オスマットに視線を遣った。
「流石に暑いな。水着を用意して正解だ」
黒いワンピース水着なのだろうか。晒と褌に見える気がする。おしりがちょっとセクシーすぎないか。
「そうだね。凄く暑いし……あっ、枝場に着いたみたい」
でも本人が水着だと言っているのだから、そうなのだろう。
ララベルは心の中で結論を出し、眩い光に満ちた枝場へと足を踏み入れた。
●枝場到着
「透き通った海と白い砂浜がキレイだねぇ。依頼の事とか忘れちゃいそう……」
「宝石珊瑚か。色彩鮮やかな光景は、さぞ見物だろう……良い時間になりそうだ」
エルゼリオとサマエラは、若干バカンス気分で美しい海の風景を眺めていた。
「先にロブスターマンを退治か撃退した方がいいでしょうか?」
「ええ。発見次第、倒してしまうのがいいと思います」
マリイが頷くのを見て、トーラは海に向かって捜波を使い始める。何度目かのトライで海面付近を泳ぐ何かの気配を察知した。
「では早速! この釣竿なら、きっと海老に有効な筈です!」
釣竿を振るい、そのあたりに針を落としてみるトーラ。そんな彼女を、テュパラとベルクが懐疑的かつ温かい目で覗き込む。
「さすがに魔獣は釣れねーんじゃねぇか?」
「うむ。それで釣れるなら、苦労は――」
ザパァ。
「釣れましたぁーーーーーーー!!!!」
「「ええええええ!?」」
餌をハサミでしっかり捉え、宙を舞う特大ロブスター!
しかし、
ブチィッ!
「あぁ~~!」
糸が切れてしまい、釣り上げきれなかった獲物は再び海の中へ。
「それじゃ、速攻で行きましょうか」
他の冒険者たちとリーミルは準備を整え、先頭のアヴェラに続いて次々と海の中へ潜り始めた。
(思った以上に様々あるな。これは見応えがある)
海の中は透明度が高く明るい。色とりどりの魚が舞い踊る中をサマエラが進んでいくと、海底の岩場に赤や黄色、ピンクの珊瑚が生えていた。
(わぁ、魚も一杯いるし、宝石珊瑚も色んな色があって凄く綺麗……宝石箱みたい)
海底の地形を探り、珊瑚の群生地を探すララベル。魔獣の出現を警戒しつつ、目についた緑の珊瑚を採取していく。
天眼も駆使して珊瑚を探すのはエルゼリオだ。白と青の珊瑚が生える岩場で、間引くように採取してから、おもむろに上を見上げる。
(お伽話の世界に入り込んだみたいだ。何だか人魚になった気分♪)
だが、そんなホンワカした気持ちは、大きく手を振って合図するリーミルを見た瞬間に吹っ飛んだ。
三方向から、巨大なロブスターたちが接近してきたのだ。
●色々割愛しながらお送りします
(なんじゃこやつらは! 掠めるような攻撃ばかりしおって……)
ハサミをギリギリでかわし、手にした銛でロブスターマンの脇腹を狙うベルク。回避した敵を見据え、距離をとる。テュパラに目配せし、彼女はそのまま息継ぎに上がっていった。
(クソッ……硬いな)
テュパラの銛は確実に敵の甲殻を捉えたが、大ダメージを与えるには至らない。カウンターで襲い来たハサミを神眼法で見切り、テュパラは海中を舞う。
(珊瑚に被害が出ない所まで……!)
マリイは1体のロブスターマンを引き付けながら海面方向を目指す。
だが、その瞬間――敵の攻撃を食らったエルゼリオが、ゴボッと空気を吐き出すのが見えた。
その下方には、高速浮上してくるサマエラの姿もある。
一体何が起きたのか。マリイはロブスターマンを魔矢で追い払うと、そのまま海面に顔を出した。
「どうしたんです!?」
「ぷはっ……待て。あの魔獣は何かがおかしい」
サマエラの水着は、腹部が見事に裂けている。続いて顔を出したエルゼリオが、慌てた様子で太もも付近の水着の切れ込みを指さした。
「なんで!? あのザリガニ、何故か水着を執拗に狙って来るんだけど……!?」
「水着……まさか、防具破壊が狙いか? ……これは、甘く見過ぎたか」
ならば――断たれる前に、断つのみ。真面目なサマエラは、水着の損傷も気にせず再び海に潜っていく。
「な、なんて卑怯な技! 私の前で服への狼藉だなんて、許しませんよ!」
マリイは激怒した。必ず、かの狼藉者のハサミ野郎を除かなければならぬと決意した。道具箱を手に、再び潜水を開始する。
その頃、海岸では。
「うーん。やっぱり餌を替えてみますかね」
マイペースに餌を探すトーラの横で、休憩から海に戻ろうとしていたベルクがプルプルと震えていた。
「――ふ、ふふふ。そういえば最近甲殻類を食べていなかったな」
胸元の切れ込みがギリギリまで達し、一触即発の水着を見下ろしながら……。
海底に足をつけ、上方から襲い来たロブスターマンに三連撃を見舞うララベル。奴らが水着を狙うことはもうわかっている。大事な一点を守り、若干お尻を切られつつも一歩後退。
(……皆、大丈夫かな?)
この戦場は女性が多い。もし、水着を切られてしまったら――?
(大きなハサミね)
泳ぎ来たアヴェラが、珊瑚入りポーチを守れる角度で得物を振るう。甲殻にヒビを入れ、なんとか海から引きずり出そうと動くものの、相手も負けてはいない。
(あら)
顔の横を、ハサミが掠めた。アヴェラの水着の右肩紐が千切れ、相当ギリギリのラインまで肌があらわになる。
恥ずかしがった方がいいのかしら……とアヴェラが逡巡している前で、動揺しまくったのはララベルだ。
(はわわわ、僕、何も見てないからっ)
真っ赤な顔で浮上するララベル。しかし途中で、何かに頭をぶつけて止まってしまった。
(ごめん!)
上にいたのはリーミルだ。彼女は笑って片手を振り――
いきなり、ビキニのブラ部分が消えた。
「がぼぼッッ!!!???」
びっくりしすぎて溺れかけのララベルの視界に、釣り針に引っ掛けられて遠ざかっていくブラが映る。
慌てて視線を外して、そしたら今度は、泳いできたベルクの水着の胸部分も豪快にほどけ始めた。
(よくも、妾のお気にの水着を台無しにしてくれたの! 塩ゆでの身にして食ろうてくれるわ!)
胸元など一切気にせず、銛を構えて迫るベルク。今にも片方ポロリしそうな水着をそのままに、ガンガン腕甲爪を振るいまくるアヴェラ。
一体、どこを見れば。目が開けられない。それにもう息も苦しくて――
死を予感したララベルが瞼を開けようとした、その時。
――それ以上、いけない。
割って入ったロブスターマンの目は、多分そう言っていた。
全周囲を泡まみれにし、凄まじい水流を巻き起こす魔獣。この場唯一の男子を海上へ放り出すという大仕事を終えた彼は、その後速やかに命を刈り取られたのだった。
(魔矢の方が効いているか? 水流に呑まれると厄介だな)
渦に巻かれていったララベルを横目に見つつ、サマエラは霊刀を握り直す。目の前には、高速で迫るロブスターマン。既に彼女の水着も左の肩紐が千切れ、お腹の裂け目は動くたびに広がってきている。
気にしてないが。
得物に宿した眩い光を、ハサミ目掛けて一閃。だが、お返しとばかりに突き出された逆のハサミが、ついにサマエラの右肩紐を捉えた。
(これは良くないやつですね!)
解き放たれた双丘を、マリイが召喚した薄煙がいい感じに隠す。どちらかというと、割って入りたいエルゼリオへの配慮であるが。
(ボクがこのエッチなザリガニを抑えてる内に逃げて! 早く……!!)
敵の体当たりを盾で受け止め、耐えるエルゼリオ。後ろのサマエラが全然逃げずに魔矢を撃っているという事実には、まだ気付いていない。
エルゼリオが甲殻の隙間を狙って銛を突き入れると、ロブスターマンは苦しげに身をよじった。離れようとする敵へ、背後から接近したテュパラの銛が襲い掛かる。
(よし! ……あっ!?)
(ああ~~!?)
気付けば、テュパラの上着ごと水着の胸元が切り裂かれていた。エルゼリオの水着も、無事だった方の太もも部分に大きく穴が開き、色々見えちゃいそうな黄色信号状態である。
((!!!))
ヤバい! と思う間もなく、渦の中に巻き込まれていく2人。
テュパラはフードや水着が外れてしまわないよう必死で押さえ続ける。胸やデリケートなゾーンはこの際どうでも良い。耳と尻尾、それだけは――!
水流から解放された2人が最初に見たのは、ダッシュで逃げていくロブスターマンと、それを鈍器もとい道具箱でタコ殴りにしながら追いかけるマリイの姿だった。
彼女の腰にあったマントは、今やガッチガチに固く巻かれている。2人が渦に巻かれている間に、事件が起きてしまったようだ。
テュパラの水着は無事。一方、エルゼリオは――
「がぼッッ!?」
水流に千切られ、ホットパンツみたいになってしまった哀れな水着。
その激短の裾から、何かが――?
「ゴブッッ!!??」
倫理的な危険を察知したもう1体のロブスターマンが、すかさず水流でホットパンツ男子を押し流す。OK、海の平和は守られた。
『……』
彼の前には、もう殆ど布を纏ってないサマエラと、上半身全部さらしたベルク。完全に片方見えてるアヴェラ。そして、切れ込みから色々覗いてるテュパラだ。
どうして、誰も隠さないのか。
「キャー! ロブスターさんのエッチ!」とか聞こえてこないのは、何故か。
その真相を探るため、彼は。
色んな攻撃をその身に受けまくり、この世ではないどこかへと旅立っていったのだった。
一方、怒れるマリイから何とか逃れ、海底の岩場に隠れたロブスターマン。
岩陰から顔だけ出し、やり過ごそうと――
(かかりましたね!!)
できなかった。
トーラが釣り針につけたまま漂わせていたリーミルの水着につられ、うっかり岩場から飛び出してしまったのだ。トーラはすかさずエーテル流体弾を放ち、敵の体を岩場から押し上げる。
逃がすまいと急行するマリイ with 鈍器。アイツはヤバいと知っているロブスターマンが海中をダッシュで逃げ、トーラへ迫る。
(なんの!)
水流を操り、回避するトーラ。だが、敵はロブスターのプライドにかけて追いすがり、執念の一撃でトーラの水着をチョッキンと切り裂いた。
『……!?』
ところが、トーラは咄嗟にエンライトを発動。
眩しすぎて全然見えない状態を作り出してしまった!
動きを止めたロブスターマンの頭を、マリイの道具箱が強襲する。
ふらふらと岩場にハサミをついた、その時だ。
岩場の景色と同化していたララベルが、必殺のタナトスバイトを繰り出した。
水流攻撃により水着が脱げてしまったララベルは、岩場でこっそり隠密をキメていたらしい。
何が起きたかわからぬまま、沈んでいくロブスターマン。
しかし、
(やった!! ……あれっ?)
シーデビルアーマーは、使用中に移動ができない。
マリイとトーラが浮上するまで、ララベルの息が続くかどうか……それは神のみぞ知る。
●
本日の収穫は、赤、白、ピンク、黒、青、緑、黄のスタンダード珊瑚が大漁。
金と虹色の珊瑚がそれぞれ2つ。そしてなんと、大粒の真珠1つも採取できた。
「この体に隠さねばならぬような恥じ入る部分などない! ……成長しとらんからの!」
「もしかして、私のこの身体に欲情する人がいるのかしらね?」
リーミルが持ってきた布を巻きつつ、似たような体型のベルクとアヴェラが正反対の表情を浮かべている。
「それにしても、ここの珊瑚たちはどのようにして生まれたのでしょうねぇ。本当に不思議な場所です」
海中の風景を思い出しながら呟くマリイ。しかし、仕立て屋でもある彼女の手元には、修繕希望の水着たちが大量に集まっていた。
「ごっ、ごめんなさい!」
「ごめんなさい!」
「いえ、そんな! き、気にしないでください!」
土下座するララベルと頭を下げるトーラを前に、リーミルは慌てて顔を上げさせていた。
「しかし、魔獣の死骸はこのままで良いのか?」
砂浜に打ち上げられたロブスターマンをつつきながら、サマエラが振り返る。
「あっ、これも食糧になりそうじゃないですか? 持って帰って焼きましょう!」
「確かに、酒にあ――美味しそうですね!」
トーラの提案を採用し、リーミルとサマエラ、ララベルが損傷の少ない1体を担ぎ上げた。
「何かちょっとしたもんでいいんだけどな~」
テュパラは砂浜を歩き、チビ達へのお土産を探す。見た目が綺麗な貝殻をいくつか拾い、持って帰ることにした。
「リーミルさん。イカ焼き食べたいんだよね? じゃあ――いっその事、バーベキューしちゃおうよ! ロブスターもあるし!」
「ええっ! 酒――じゃなかった、イカだけじゃなくてですか?」
エルゼリオの提案に、秒速で時計を確認するリーミル。
他の冒険者たちも乗り気だ。果たして、時間は――?
「あと2時間あります! いいですか? これは冒険者の皆さんとの交流機会であって、決して勤務時間中のサボりでは――」
グダグダと言い訳を並べるリーミル。
冒険者たちはしっかり布を巻き直すと、BBQ目指してイカ焼き屋台へ焼き網を借りに行くのだった。
マスターコメント
皆さま、ご参加ありがとうございました。
ちょっと水着を切るほうに描写上の舵を切ったのですが、宝石珊瑚は大漁です。真珠も見つかりましたよ!
それでは、またの機会がございましたら、ロスガリア大陸のどこかでお会いしましょう!
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年08月06日 21時42分01秒 公開
大成功
相談掲示板
トーラです。よろしくお願いします。 宝石珊瑚の採取頑張りましょう!(釣竿とオシャレな水着着用)
ゴブリン、ヒーラー。サマエラだ。よろしく頼む。 なかなか、景色を楽しめそうな依頼だ……良い。 魔獣も、さして強くないと聞く。特に問題もなく、過ごせそうだな。 (同じく釣竿と、スポーティな水着を手に)
ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラだよ。今回はヨロシクね! 敵のロブスターマンは強く無いみたいだけど、 水着や衣服を切られないように気を付けたい処(汗) (銛とオシャレな水着を用意)
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 甲殻類を刈るだけなのだろ?何も問題はないな。 (銛とオシャレな水着を用意)
僕は、シーフのララベル・サン・ディーベル。 皆、よろしくね!! 水着どうしようかなぁ♪ (ラキスケ、ラキスケ持ってっていいでしょうか?・わたわた)
(マントに身を包み)………ケシカランロブスターツブス! じゃなかった、仕立て屋のマリイですぅ。万が一の時の応急処置はお任せください♪……戦闘中は難しいかもですが。
シーフのアヴェラよ。よろしくお願いするわ まぁ、大丈夫でしょう。(オシャレな水着持参)
アタシはテュパラだ。よろしくなー 気を遣う部分があるけどまぁ大丈夫だろ