【呪輪】ひとつの悪意とふたつの悲劇
革酎
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シナリオID:1159
オープニング
フィルエス大森林、南東部。
と簡単にひと言で表現しても、その範囲は極めて広大だ。
この領域だけに限ってみたところで、数え切れない程のエルフの里や各氏族の拠点が散在していると噂され、事実、その全てを踏破したという類の話は、まずもってお目にかかれないだろう。
しかしどういう訳か、ある奇妙な事実だけが誰の目にも共通して見ることが出来る。
樹々が、枯れ始めているのだ。
南東部のどこが中心になっているのかも分からないし、何が原因なのかも分からない。現時点では、この地方に住まうエルフ達は外部からの侵入者が原因ではないかと推測しているが、しかしそれを裏付ける決定的証拠も見当たらない。
ただ兎に角、大森林南東部のそこかしこで樹々が謎の枯死を遂げるという現象が相次ぎ、この地域一帯に居住地を持つエルフ達は一様に困り果てていた。
樹々の枯死は彼らエルフの生活に直結する、まさに死活問題だったのである。
瑞々しさを失い、完全に枯れ果ててしまった無数の樹々が連なる森、否、かつて森だった場所の一角。
そこに場違いな姿の人影がふたつ。
一方は中性的な美貌と頑健な体躯が特徴的な白銀虎の半獣人。そしてもう一方は大小ふた組の弓を背負っている気難しげなエルフの青年。彼らは樹々が完全に枯死した大森林南東部の奥深くへと足を踏み入れていた。
「よぉレブロン。お前さんもしかして里心でもついてんじゃねぇか?」
白銀虎の戦士――メドゥの指先の幹部『青の中指』ジルベルがエルフの青年に薄く笑いかけた。レブロンと呼ばれたそのエルフは、眉間に皺を寄せたまま口元にだけ微かな笑みを浮かべた。
「馬鹿いわんでくれ。俺は氏族の連中に殺されかけたんだ。恨みはあっても、愛着なんて欠片も無いね」
レブロンの声の中には、次第に黒い炎を思わせる陰湿な響きが伴い始めた。
それなら別に構わんがとジルベルは小さく肩を竦めてから、後方、即ちリーンエス王国やディズル大湿地帯と境界を接する方角へと振り向いた。やや離れた位置に、一団の武装兵力が屯している。彼らは、ジルベルやレブロンとは異なる命令系統に属するテロリスト集団であった。
「しかしカルヴェントの奴、よく出てくる気になったなぁ」
「あんたがお守役になるっていうから、安心したんじゃないか」
カルヴェントというのは、フィルエス大森林南東部から見てリーンエス王国寄りの山地に拠点を持つ、メドゥの指先の下級指揮官である。ジルベルの様な称号持ちの幹部には到底及ばないが、それでも数十人規模のテロリスト兵集団を傘下に収めるだけの実力はあった。
そのカルヴェントが部下達から距離を取って、ジルベルとレブロンに歩を寄せてきた。カルヴェントはジルベルより僅かに背が高い大柄なヒューマンで、禿げ頭と髭面という如何にも獰猛な顔つきが特徴であった。
「この南に、プラフェルという小さなエルフの里がある。今回は、そこを襲う」
「殺すのは野郎連中だけか。けどよぉ、仮にも森のエルフ様だ。そう簡単に斃されてくれるかねぇ?」
ニヒルに笑うジルベル。そんな彼に対しカルヴェントは下卑た笑いで応じた。
「その為にあんたを頼るんだ。青の中指の実力をたっぷり見せてくれ」
●二重の悲劇に見舞われた森
フィルエス大森林南東部と国境を接する付近のリーンエス王国領側には、幾つもの町や集落が並んでいる。
ズロフォールもそれらの町のひとつで、小規模ながら冒険者ギルドの支部も所在しており、フィルエス大森林へと旅立つ冒険者にとっては、拠点として使える町でもあった。
このズロフォール冒険者ギルド支部に、フィルエス大森林南東部にあるエルフの氏族パドフェルから、急ぎの依頼が舞い込んでいた。
曰く、無法な侵入者の存在を調査し、可能であれば連中を撃退して欲しいとの内容であった。
「はい承知しました。では依頼料の提示をお願いします」
「ここに書けば良いのか?」
冒険者ギルド受付嬢レイミーのにこやかな笑みに対し、パドフェル氏族の若いエルフ青年クラムドは妙に緊張した面持ちを浮かべ、手渡された羽ペンで所定の位置に数字を書き込んだ。クラムドは過去に外界で生活していた時期があり、ヒューマンとの交渉にも比較的慣れているということで、冒険者ギルドへの依頼持ち込み任務を任されたのだ。
だが久々の外界ということもあり、生来のあがり症も相まって、ペンを握る手が軽く震えている。
それでも何とか気合で依頼書を作り終え、やっとひと息入れることが出来た。
「それにしても、一体何があったんですか?」
依頼書の内容を手慣れた所作で掲示用書面へと書き写すレイミー。彼女にとっては、大森林のエルフがわざわざ冒険者ギルドを頼ってくること自体が珍しく、ついつい興味が先に立ってしまった。
しかし事態は、想像していた以上に深刻だった。クラムドが口下手ながらも事情を説明すると、レイミーの表情は見る見るうちに曇っていった。
実はつい数日前、パドフェルとは姉妹関係にある別の氏族集落プラフェルが余所者の集団に襲われるという事件が発生していた。
プラフェルが辿った運命は極めて悲劇的であった。成人男性は皆殺しにされ、女子供はそのほとんどが捕縛され、連れ去られて行ってしまった。
噂によれば、この非道なる連中は奴隷売買を資金源としており、見目麗しいエルフの女子供は高値がつくとして、常に虎視眈々とエルフの里を狙っているのだという。
そして同時に、パドフェルのエルフ達は樹々の枯死も、この非道なる連中が原因ではないかと推測している。もしこの推測が当たっていれば、非道な無法者と樹々を枯死させる原因の双方を同時に排除出来るということになる。
連中の悪意は奴隷売買という単一のものであっても、その影響はエルフの里の壊滅と、樹々の枯死というふたつの悲劇をもたらしている。
到底、無視することは出来ない事態であった。
解説
マスターより
リプレイ
無数の樹々が織りなす緑の天井は、強い陽射しからひとびとを優しく守ってくれる。
その僅かな隙間から射し込む西陽が、下生えを踏み進む冒険者達の顔を薄く照らし出していた。
フィルエス大森林南東部のパドフェル氏族集落に程近い、幅広の森林道。黙々と歩き続けてきた冒険者達は案内役を務める青年クラムドと共に集落防護柵の門を潜り抜け、その内側へと踏み込んだ。
到着早々、集落長や主だった面々との挨拶を交わし終えると、コルネリウス・アーラとリディリディ・トゥラ・イェレミース、ナハティガル=ラーの三人は壊滅したプラフェル氏族集落の生き残りだという幼いエルフの少女との面会を申し入れた。
要請は即時に受け入れられ、三人は集落長宅の食堂で件の少女と面会する運びとなった。
少女はメルディナと名乗った。
意識は比較的明瞭だが、矢張り相当に怯えていた。
聞けばメルディナは虐殺場面を直接見てはいないらしい。彼女は深夜、母親に叩き起こされ、パドフェルへ逃げる様にと諭された為、訳も分からずに夜の森を駆け抜けてきたのだという。
脱出の直前、メルディナは集落の女子供が大勢の男達に誘導され、南東方向へと歩いてゆく場面を目撃している。この目撃情報があればこそ、パドフェルは冒険者ギルドを頼る決断を下したのだ。
そして脱出の際、白銀虎の半獣人が小用を足している場面に遭遇した。半獣人は大きな欠伸を漏らしながら去っていったが、偶然ながら小さな羊皮紙片を落としていった。
何かの役に立つかも知れないと咄嗟に考えたメルディナは、その羊皮紙片を拾い上げてからパドフェルへと無我夢中で走った。
そして現在――メルディナは件の羊皮紙片をコルネリウスに手渡した。
「これは地図みたいですが……まさか、人攫い連中のアジトの位置、でしょうか?」
コルネリウスがその紙面を指し示すと、ナハティガルは間違いないだろうと頷き返した。
「ジルベルも幹部のくせに、案外抜けたところがあるからな……」
白銀虎の半獣人がメドゥの指先幹部『青の中指』ジルベルであることは、最早決定的だといって良い。そしてナハティガルの知る限り、こういう間の抜けたことを平然とやってのける白銀虎の半獣人など、他には考えられない。
「もう既に、敵はプラフェル氏族集落からは移動しているのでしょうね……」
リディリディの感情を押し殺した声。
まるで何かを堪えるかのような姿に、コルネリウスは自身の内面を重ねた。リディリディは、怒っている。そしてコルネリウス自身もこの余りに非道な所業に対しては内心で煮えくり返る様な感情を凝縮させていたが、面には出すまいと必死に耐えていた。
依頼を任された者は、常に冷静でなければならないのだ。
「敵は居ないだろうけど、襲撃現場を探ることで色々分かることもあるだろうから、おねえさんちょっと見て来るわね」
そこへエミリア・シバがひょいと顔を覗かせた。相変わらず飄々とした調子だが、メドゥの指先に対する嫌悪感が瞳の奥に滲み出ている。
襲撃現場捜査には、サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブとハヤト=ガラン=ヴォルファングも加わることになった。
「その地図が嘘をついてないかどうかの裏取りも必要だからねっ! しっかり見てくるよっ!」
「それにジルベルの野郎がどの程度絡んでるかも、見ておきてぇしな。んじゃ、後で合流だ」
かくして三人はパドフェルを飛び出していった。プラフェル氏族集落までは、成人の足取りなら小一時間も走れば辿り着ける距離らしい。
●少女との誓い
アウレーリア・フォン・ネーベルベルクとベルク・オスマットの両名は、集落門近くの広場で周辺地図を広げて額を寄せ合っていた。メルディナが持っていた地図情報と照らし合わせ、アジトらしき位置を精確に割り出そうとしていたのである。
「幾ら森のエルフといえど、大勢の女子供を連れて進める経路は限られる……両集落からも遠くなくて、移動に適し、大勢の身柄を留めておけそうな地形……」
そして羊皮紙片が示したアジトと思しき位置。丁度そこは名も無い湖沼のほとりに該当し、丈の高い水草が生い茂っている為、視界が利かない地点だということが、後から加わってきたクラムドの説明ではっきりした。
「そこは確か……漁師用の大型仮居宅があるところですね」
クラムド曰く、湖沼の食用魚を纏めて獲る際の仮住まいとして、大規模な納屋状の木造建築がその位置に建てられているのだという。内部には相当に広い空間があり、100人ぐらいが一緒に寝泊まり出来る程の規模だというから、結構な大きさだ。しかし周辺氏族のエルフが時折利用する程度で、普段は無人であるらしい。
「しかしメドゥの指先がひとを攫うか……攫われた者たちの利用法は人身売買だけな訳がないな。今回のアジトにあるかは分らんが、一応アロシュナバラ砦にあった様な魔法陣等が無いか、余裕があったら探してみるか」
横合いから地図を覗き込み、低い調子で呟くベルク。
アウレーリアは、そういう可能性も無いとはいえないけど、と一応は理解を示したものの、恐らくそういうことではないだろうとかぶりを振った。
「ジルベルは暗殺者。魔術とは無縁の輩よ。魔法技術的なことじゃなく、謀略とか戦術面で絡んでいるような気がするわね」
森が枯れる現象は何が原因なのか。そしてそれが人為的なものであるならば、目的は何なのか。それらが皆目不明というところが、アウレーリアには不気味だった。
(……多分、敵が本当に求めているのはエルフの容姿だとか、そんなものなんかじゃない)
もしかすると、想像以上に巨大な陰謀が背後に蠢いているのではないか。
と、そこへメルディナからの聴取を終えた三人が集落長宅を出て、広場へと戻ってきた。
「クラムド、敵は何を企んでいるか分からん。この集落も安全とはいえないから、防備はしっかり固めておいた方が良い」
顔を見せるなり、厳しいひと言を放つナハティガル。しかしこの推測は決して的外れではない。その可能性は確かにあり得るとして、クラムドは自身の集落だけではなく、周辺集落に対しても警告を放つ旨で合意した。
次いでベルクが敵のアジトらしき漁師用の仮居宅について説明を加えた。水源としても使えるであろう湖沼の存在に、ナハティガルは目を光らせた。
「足跡が残っているとしたら、この経路になるでしょうね……で、エミリアさん達と合流するなら、この辺りでしょうか」
コルネリウスがプラフェルと湖沼間を指先でなぞる。周辺で奴隷売買の闇市が開かれたという情報は入ってきていないことから、敵はまだ女子供を抱えたままの筈だ。であれば、アジトからはほとんど動けないと見て良いだろう。
さて、いよいよ出発だという段になって、メルディナが広場へ駆け寄ってきた。絶対にお母さんを助けて、と懇願する少女に、コルネリウスとリディリディは揃ってしゃがみ込み、メルディナと目線の高さを揃えた。
「皆さんを必ず連れ戻しますから……待っていてくれますか?」
「帰ってきたら、一緒にお肉料理をたくさん食べて、元気一杯になりましょう。それまで、少しの間だけですから辛抱していて下さいね」
コルネリウスとリディリディの言葉に、メルディナは両眼を輝かせて大きく頷き返した。
●アジト発見
エミリア、サフィラ、ハヤトの三人はプラフェルでの現場検証を終え、敵の追跡段階へと入った。
南東方向に捜索の目を向け、諸々の技能を発揮しつつ敵の足取りを追う。
「それにしても……見事に枯れちゃってるね……これだけ大規模に枯れてると、エーテルを使ったにしても相当な術式だよねっ」
追跡途中、枯死した樹々が大量に連なるエリアに踏み込んだところで、サフィラは何ともいえぬ表情を浮かべて頭上を仰ぎ見た。
そんなサフィラを他所目に、エミリアは傍らを行くハヤトに幾分の疑惑を滲ませた視線を向けた。
「ハヤトちゃんはどう思った? どの遺体も、抵抗の跡がほとんど見られなかったわよね。それにあの麻痺毒みたいな臭いも気になるんだけど」
「多分ジルベルか、もうひとりの弓使いらしき奴……こいつは多分レブロンだな……そいつらの麻痺毒で動きを封じてから、他の奴がとどめを刺したってなとこだろうな」
どの遺体にもかすり傷程度の小さな刃傷か鏃が掠った様な傷と、致命傷となった大きな刃傷の二種類が残っていた。小さな刃傷或いは鏃傷には麻痺毒の独特の臭いが残っており、ハヤト自身、この臭いは過去にジルベルと交戦した際に何度も嗅いだ記憶があった。
現在、エミリアとハヤトが追っている臭いも、この麻痺毒の臭いだ。
途中に罠や待ち伏せ、見張り等が居ないかと神経を張り巡らせていた三人だったが、特にそれらしい気配は無い。恐ろしい程に杜撰で警戒心の欠片も無く、却って拍子抜けする程であった。
そうこうするうちに、別方向から五つの人影が。パドフェルを発った冒険者仲間の姿だ。
「あら……こんなに枯れてるんじゃ、湿り気から移動後の経過時間を割り出すのは無理ね」
開口一番、アウレーリアが呆れた様子で肩を竦めた。だが枯葉や枯れ枝を踏み進んでいった痕跡は大量に残されている。そういう意味では追跡し易い相手だ。
そして更に歩を進めてゆくと丈の高い水草の群生地が見えてきた。例の湖沼だ。そこから群生地奥へと足跡を辿って視界の悪い中を突き進んでゆくと、遂に巨大な木造納屋の如き建築物が見えてきた。
周囲に見張りが居ないことを確認してから、サフィラが裏手の外壁に張り付き、木窓の隙間から薄暗い内部を凝視した。目を凝らしても良く見えない為、熱源を見極める視界に切り替える。
「ひぃ、ふぅ、みぃ……わ、結構いるねぇ」
傍らではハヤトとナハティガルが周辺の罠や鳴子等の警戒具の存在を調べていたが、いずれもそれらしい発見は無かった。どこまでも無軽快な連中だと呆れる一方、よくぞこんな杜撰な集団がエルフの集落を襲撃しようと考えたものだと却って不審に思うぐらいだった。
「しっ、何か聞こえる……」
サフィラが木窓の隙間から聞こえてくる声に注意を促す。ハヤトとナハティガルも耳を澄ませた。
「クラウベル戦徒衆だけは何で、帝国領内に向かわせたんだい?」
「ジルベルからの受け売りなんだが、示指姐さんが育ててる子供達……特にケアイデなんかの行動範囲に余計な人数が固まってると邪魔になりかねん。だからカルヴェント、あんたの隊だけが残されたって訳だ」
●強襲
サフィラ、ハヤト、ナハティガルの背後に突然、何者かの気配が生じた。振り向くと、そこに二本の刃を抜き放ったジルベルの姿があった。
「よぉ、また会ったな。こんなところで盗み聞きってぇのは、中々良い趣味してるねぇ」
「ジルベルッ! テメェッ!」
ハヤトが得物を抜き払い、猛然と接近戦を仕掛けてゆく。ナハティガルもジルベルに味方の退路を潰させる訳にはいかないとして、ハヤトと共に先手必勝で攻撃を仕掛けた。
ここで戦いの火蓋が切られたことで、建物内部でも俄かに警戒の声が上がり始めた。
サフィラは裏口から、ベルク、エミリア、リディリディの三人は正面入り口から同時に突入。コルネリウスとアウレーリアは外部に残り、敵の討ち漏らしをや逃亡を警戒する位置に就いた。
突入後、リディリディの魔術がいきなり炸裂し、半数以上のテロリスト共を一気に昏倒させた。エルフの同胞を無残に殺された怒りが、ここで瞬間的に噴火した訳だ。
圧倒的な火力を誇るリディリディの魔術に怯んだテロリスト共に、ベルクとエミリアの高速機動戦闘が炸裂。それぞれが十数名ずつの雑魚を次々に薙ぎ倒していった。圧倒的というフレーズは、まさに彼女達の為にある様な言葉であろう。
エミリアは敵を片っ端から斃し、ベルクはエルフの女子供達を次々と解放しては外へと逃がしてゆく。自由になったエルフ達は建物の外側で待機していたコルネリウスとアウレーリアに保護された。
コルネリウスとアウレーリアは外へ飛び出してくるテロリスト共をその場で強襲、或いは足止めし、エルフ達の安全を確保すると同時に、敵の逃亡や脱出を確実に阻止していった。
「キミがリーダーだねっ! 逃がさないよっ!」
サフィラが、禿げ頭と髭面の大柄なヒューマン男に接近戦を仕掛けた。その獰猛な咆哮から、この男がカルヴェントと呼ばれたリーダー格であることがすぐに分かった。
カルヴェントは普通以上の強さではあるのだろうが、サフィラの敵ではなかった。三段連撃が悉く急所に命中し、カルヴェントの巨躯は敢え無く昏倒。
リーダーが簡単に斃されたのを見て、テロリスト共は恐慌に陥った。そこへエミリアの容赦無い攻撃が迸り、屋内の敵はほぼ数分で片付いた。
残るは、エルフの弓師レブロンだけである。このレブロンには、リディリディが魔術による猛攻を仕掛けていた。
「何故、同胞殺しに加担なさったのですか!?」
「ふん……勝手に同胞扱いせんでくれ。俺はエルフだが、お前達を同胞だなどと思ったことは一度も無い」
飽くまでも自身のスタンスを崩さないレブロン。ならばリディリディも容赦すべき理由は無い。彼女は持てる力を全て叩き込み――そして、レブロンは斃れた。
超弓と魔術の撃ち合いは、リディリディに軍配が上がった。全身に矢傷を負い、相当な消耗を強いられたリディリディだったが、真正面からの力のぶつかり合いに、リディリディは己の実力で勝ち切ったのだ。
居宅裏手でレブロンの死を敏感に悟ったジルベルは、肩口に取りつけた水袋の吸口から何かを口中に含むと、霧状にして噴射した。ハヤトとナハティガルは慌てて跳び退ったが、僅かに吸引してしまったらしく、全身に奇妙な麻痺感覚が走った。
その隙を衝いてジルベルは正面口方向へと走る。そこにコルネリウスとアウレーリアが待ち構え居ていた。
「ジルベル、逃がしませんよッ!」
「そいつぁどうかなぁ!」
ジルベルは火種の点いた油入りの小壺を保護されたエルフ達の近くへと叩きつけた。火勢は枯れ落葉に広がってゆく。コルネリウスは止む無くエルフ達の救出に走らなければならなかった。
ならばとアウレーリアがアーケインテンペストでの足止めを狙ったが、ジルベルの逃げ足はまさに疾風。術式発動は間に合わなかった。
「相変わらず、逃げ足だけは速いわね」
アウレーリアは腹が立つよりも、寧ろ呆れた。
かくしてカルヴェント一派は壊滅し、エルフの女子供達は無事に救出された。
生き残った雑魚は大した情報を持っておらず、冒険者ギルドに引き渡される運びとなった。
帰還後、サフィラが自身の氏族への避難を提案したが、現時点では判断材料が少な過ぎる為に一旦保留という扱いとなったものの、それはまた、別の話。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年07月31日 20時35分21秒 公開
参加者
相談掲示板
にゃ!シーフのサフィラだよっ! よろしくねっ! (依頼の概要を眺め) んー…人攫いをボコボコにしながら攫われた子たちを助けるって感じで合ってるのかな? 敵に強敵のジルベルとこれまた強そうな謎のエルフがいるからこの二人をどう抑え込むかが鍵になりそうだねっ!
ウォーリアのコルネリウスです、よろしくお願いします。 >流れ 隠れ家の場所、数、戦闘力、いずれも不明との事ですが…南東へ向かって痕跡を辿りながら襲撃者の所在地を割り出し突入・捕縛と調査。 連れ去られたエルフの方々の救出。という認識で宜しいでしょうか。 >ジルベル 以前ジルベルは隙を突こうとしたところを妨害してきた事もありますし、こちらの行動次第ではスムーズに動かせて貰えない場合もあるので、注意したいですね。
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 ネームド級以外は情報源に何人か残して後は処分でいいのだよな? 救出も含めるとあまり捕えても運搬できんのだし。 場合によっては人質を保護しながら戦う可能性も考えると殺さぬ手加減は厳しいこともあり得るわけだからな。 森を枯らしてるのが事実なら生かしておくわけにもいかんからな(漆黒の殺意)
シーフのエミリアよ、よろしくね。 木を枯らすって、やり方は想像つかないけど、大地のエーテルを奪ってるとかそんな感じだったりするのかしら? 流れのイメージとしてはコルネリウスちゃんのでいいと思うわ。 おねえさんはそうね、超嗅覚でも持っていこうと思ってるわね あとは捜波も持って行って、索敵をできるだけとも思うけれど、 弓使いはおそらくシューターでしょうし、感波持ってる可能性があるので少し迷うわね 敵に関してはベルクちゃんと同じ認識、まあ情報取った後は処理しちゃっていいと思うけれど。
No.5
キャスターのリディリディです。 よろしくお願いします・・・。 今回の依頼は森を枯れていることとはまた違ったものかもしれませんね。 アーラさんの仰るエルフの救出が目的と私も認識しています。 敵の規模がわからないということもありますし、範囲魔法を多めに用意しておきますね・・・。 あ、あの・・・、それとこちらの編成は ウォーリア1、シーフ5、キャスター2となります。 ヒーラーの方が居ないので怪我には注意しないといけませんね。
シーフのナハティガル=ラーだ。今回は宜しく頼む。 >敵の目的 ストレートに人身売買が目的で集落の襲撃を行っているのではなく、 恐らくは別の目的があるのだろうが――現状では想像の余地を出ないのが苦しい処。 とにかく調査する他ないな。 >レブロン 俺自身は交戦経験がないが、過去依頼でも何度か名前を見た事がある。 ジルベルと行動を共にする事が多い様子。 >流れ コルネリウスの言うように、先ずは南東へ向かって痕跡を辿る方向で良いかと。 俺は【探波】と【超聴覚】あたりをセットして索敵する事を考えている。 敵の隠れ家発見後は、周辺の調査を済ませた後に突入する様にした方が良いかもしれない。
おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! ジルベルとレブロンがいるってぇとなると相当厄介だな… 気合い入れてかからねーヤバそうだぜ。 こいつらに対して少なくとも複数人で当たりてぇとこだな! 何にしても、まずは攫われた村人を探して奪還作戦だろ? いっちょ気合い入れてぶちかまそうぜ!!
>敵の目的 そうですね…詳細はまだ不明ですが、ナハティガルさんがおっしゃるように、単純な人身売買とは思えません。 襲撃者の命については徹底的に叩いて良いようですし、個人としても特にこだわる事はありませんが、目的に繋がりそうな情報は出来るだけ絞りたいですね。 >流れ 隠れ家発見後は、周辺の調査をしてから突入、に異論ありません。 行ってみないと状況が解らない部分は多いですが、救出の際には連れ去られた方々を人質にされないよう注意したいですね。 >個人 リディリディさんが仰って下さいましたが、ウォーリアは私のみで、かつヒーラーが居ないのですよね。 有事の際の足止めや殿は請け負うつもりなのと、自己回復の手段としてのヒールや、識別範囲攻撃を持つ予定でいます。 南東へ向かうまでの行動やスキルは少し考え中です。
キャスター、アウレーリアよ。宜しく。 >敵の目的 この枯死現象、この辺りだけで起きてる事じゃないのよねぇ……。 だから、単にエルフに対してどうこうとかそういう話じゃなさそうなのは確かよ。 敵の殺害を目標にするわけではないけれど、手加減する気もありません。 捕縛後の尋問用に、エンパシーや残留思念感応が用意出来たらその方が良いわね。 >流れ 周辺調査して突入、問題ないと思います。 出来れば全員で奥まで突っ込まず、少し外にも気を配る人員を置きたいところ。 万が一だけど釣り餌かも知れないし、中からの脱出を抑えるにもその方が良いわ。 >個人 まだ状況不明なので、深入りしての交戦追撃は避けたほうが良さそうね。 私もヒールを用意して、状況次第では情報を持って帰れるよう支度する心算です。
>索敵 【探波】で周辺地形や構造・罠の有無を調べつつ、 【超聴覚】で敵や攫われた氏族の女子供が出す音等を追跡。 隠れ家特定後は、周辺に他の隠れ家や罠・伏兵の存在が無いか確認。 ――現状だと上記の索敵を予定している。 >突入時 カルヴェントとその一団はそれなりの人数を擁していると思われる。 恐らく全てが隠れ家内部に入っている事はなく、それなりの人数を見張りと斥候に当てているかと。 その点からもアウレーリアの言うように、 突入時は『内部突入』と『外部警戒』するメンバーに分かれる案に賛成だ。 その場合、俺は外部警戒の方に手を挙げておこう。 >個人/戦闘 上記の様に2班に分かれるのなら、隠れ家の出入口付近で退路確保しつつ増援等の横槍を警戒。 基本はフェザーステップ+疾風足によるH&Aで、逃亡阻止や敵増援(居たら)の対応を行う。
>索敵 地形や罠の確認などは得意な方にお任せしつつ、痕跡を探していきたいと考えています。 場所も方角しか明確になっていませんので、私は移動中は位置感覚を使用しながら、救助や交戦の際のスキルを優先しようと思います。 >突入時 『内部突入』と『外部警戒』に分かれるのは私も異論ありません。襲撃や逃走に注意したいのもありますし、退路確保や抑えも状況に応じて必要かと思いますので。私も『外部警戒』に挙手しますね。 >個人 私も警戒時はナハティガルさんと同じような動きになるかと思いますね。 強敵相手には突破の懸念もありますが、殺界での足止め用意とチャージングでの移動力確保はする予定です。
>索敵 探波のほうはナハティガルちゃんが持っていってくれるようなので、 おねえさんは前述の捜波の方を持っていくわ 加えて超嗅覚で敵及び村人の匂いをたどったり匂いの強弱で近い遠い等が判別できないかしらと思ってるわ。 >突入時 捜波で敵と人質の居場所を探れるかもしれないので、一応内部のほうが良いのかしらね? というので『内部突入』の方に手を上げておくわ、もちろん変更は可能よ >個人 上記の索敵をすると、戦闘はヒーラーがいないということなので回避重視の装備で行く予定ね。メイン火力というよりは倒れないようにを重視しようかと思ってるわ
>索敵 ナハっちが探波、エミリんが捜波持ってくならあたしは看破と捜波持っていくねっ 汎用であと一個探知系スキル持っていく予定だけど何持っていこうかなぁ? >突入 あたしも内部突入にいくねっ! 看破とスカウトの心得で人質はもちろん 伏兵や罠の有無とかも調べる感じでいくねっ >個人 あたしも回避重視でヒールを持って行って万が一に備えるようにしとくねっ
我はまだ決めていないが様子を見て決めようかと思う。 とりあえず現在の班分けはこんな感じか? 【内部突入】 サフィラ殿 エミリア殿 【外部警戒】 コルネリウス殿 ナハティガル殿
んじゃ、俺は内部突入の方に回るとすんぜ! 他の面子が探索系のスキルを積んでってくれんなら俺は戦闘重視のスキル構成で行くな! 【内部突入】 サフィラ エミリア ハヤト 【外部警戒】 コルネリウス ナハティガル
前言を翻してすまないが、内部突入組で行かせてもらおう 【内部突入】 サフィラ エミリア ハヤト ベルク 【外部警戒】 コルネリウス ナハティガル
なら、私は外部警戒へ向かいましょう。 攻撃も足止めも範囲がメインだから、広い所の方が効率が良い。 奇襲や出入に備えて、増援要請があれば中にも向かいます。 【内部突入】 サフィラ エミリア ハヤト ベルク 【外部警戒】 コルネリウス ナハティガル アウレーリア
にゃ!内部突入組はシーフがメインだねっ 出来ればリディのメテオライトで支援を貰えたらありがたいけど、ここら辺は本人の希望って事で! あ、それと内部突入の前に【サーマルアイ】を使って『動き回っている人』と『座って動かない人』の数と位置を確認して共有する感じでプレイング書いとくねっ!
No.20
あ、すみません。私は表明していませんでしたね。 今更になりますが・・・、私も内部突入に加わらせて頂きます。 キャスターのネーベルベルクさんが外部に付くならば残る私は内部に回る方が良いでしょうし。 【内部突入】 サフィラ エミリア ハヤト ベルク リディリディ 【外部警戒】 コルネリウス ナハティガル アウレーリア