レインボージュース
七海真砂
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シナリオID:1073
オープニング
その高台にある見晴らしの良い公園に、新しく屋台ができたのだという。
名前は、レインボージュース。
色々な野菜や果物を絞って作ったジュースを売るお店だ。
色とりどりのジュースの中から、好きな色や味の物を選んでオーダーしても良いけれど、
「レインボージュース!」
とオーダーすると、店主がランダムに選んだジュースを出してくれるから、ちょっとした占い気分を味わえると、ちょっぴり話題になっているのだとか。
飲みに行きませんか? レインボージュース。
解説
マスターより
リプレイ
日課の修練を終え、少し気晴らしにと公園にやってきたザンカ・クジンは、ちょっとした人だかりが出来ているのに気付いて首を傾げた。
「これは……ジュースの屋台?」
「最近してぃーがーるに人気の、レインボージュースという屋台なのである!」
元気よく答えたのは、列の一番後ろに並ぼうとしていたポコ・アルデバラッド。彼女から詳しい説明を聞くと、ザンカはなるほどと頷いて。
「あ、申し遅れました。私はザンカといいます。あなたは?」
「ふふ! ポコはポコ・アルデバラッドである! 宜しく頼もーう!」
ひょんなことから知り合い、名乗り合った二人は折角だからと一緒に並び始める。
「およ? 初めて見る屋台があるっ!」
そこに通りすがったのは、散歩中のサフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブだ。興味津々といった様子のサフィラにもポコたちが説明すれば「へえ、面白そう!」と屋台の様子を覗き込む。
「ちょっと寄ってみよっと♪ ねえねえ、あたしも一緒にいい?」
「もちろん!」
三人は和気藹々と一緒になって順番を待つ。その後ろにやって来たのは、噂を聞いてみんなと一緒にやって来たルルト・アーキスだ。
「すごい、本当に色々なジュースがあるみたいだよ」
「オレンジ、メロン、トマト……ケールに、海藻!? そんなのまで!?」
「どれが当たるかわからないとは、実に面白い趣向だな」
ルルトが示したメニューの内容にライオネル・ギシュムは目を白黒させ、アルバス・ロウルは興味深そうに店頭に並ぶジュースの見本を眺めている。
「せっかくだからレインボージュースにしたいけど……」
海藻なんて引いちゃったらどうしよう、とアルマ・ヴァレンタインはハラハラした様子だ。
「でも迷っている間に売り切れちゃったら大変です。思いきって行きましょう!」
「そうだよね、何にするか決めよう!」
先陣を切って並んだのはエヴァン・ピオネロ。確かにと頷いてルルト達も続くと、結局最終的にみんなレインボージュースをオーダーすることに決める。
「テグ、これがいいの?」
ハル・チフはペットのテグが示したジュースを見ている。それは黄色いレモン味のジュース。
「じゃあ、それにするですかね。でもテグは飲めないのですよ?」
人間用のジュースだから、とテグに語り掛けてもテグの意志は変わらないらしい。最初から、ハルのために選んでくれたのかもしれない。
そうして出てきたジュースは色とりどり、香りもバラバラ。ゆっくり飲める場所を、と、木陰のテーブルがついた大きめのベンチの一角へと向かう。
「そこの可憐なお嬢さん。よろしければ、この辺りを案内していただけませんか?」
屋台の近くに佇んでいたシルヴィア・A・カペルは、人当たりの良さそうな笑みを浮かべたミルディンに声を掛けられていた。その手にあるのはジャガイモのジュース。観光客がレインボージュース片手に道を尋ねた、そんな光景にも見えるが、
「おや、上手だね。どうやら手馴れているようだ」
にこりと笑ってシルヴィアはそれを受け流す。ある意味、手慣れているのは彼女も同じだったからだ。どうやら手強そうなひとに声を掛けてしまったようだが、これはこれで……と、ミルディンが思ったその時、
「どうした、シルヴィ……ミルディン?」
「あれ、ノイアン、知り合いかい?」
赤色のジュースと青色のジュース、二人分のジュースを手に歩いてきたエル=バ=ノイアンの驚いた顔に、シルヴィアも、そしてミルディンも驚く。
「……ノイアンが女性と一緒にいるなんて驚きです。しかもこんな美しい人と?」
「冒険者として……いわゆる同期の間柄、だ。お前が勘繰るような関係じゃない。……近い、離れろ」
ジュースを持った手で割り込むようにするノイアンに、ミルディンは「はいはい、離れますよ」と苦笑する。そんな二人のやりとりをシルヴィアは興味深そうに見つめている。ミルディンのような少し軽そうなタイプの人間が、ノイアンと親しそうなのが意外だった。
(同期……まあ間違ってはいないのだけれど……)
彼が口にした二人の関係に、少し引っかかりを感じるものの、それ以上に興味が勝る。
「そっちはどういう仲?」
「一時期、彼がいた傭兵団に治癒師として同行していたんです。親しく連絡を取り合うような間柄ではないので、どうなったのかと思っていましたが」
どうやら久々の再会だったらしい。そう感じさせない空気があるあたり、言うほど親しくなかった訳でも無さそうだとシルヴィアは思う。
「まったく……神官とは名ばかりで女遊びが激しいのは、変わっていないようだな」
抜け目のない奴め……とぼやきながらも、ノイアンは少し胸にちりちりとしたものを感じる。
(焦り……か……?)
だとしたら何故、と自問している間に、シルヴィアは少し面白がるような顔でミルディンに尋ねる。
「ノイアンの過去については興味があるよ。教えて貰っても良いかい?」
「昔話ですか? そうですね、自分の話をされるのは恥ずかしいでしょうし、彼のいない所でなら」
「……シルヴィア、こいつとは二人きりにならないように」
そんな応酬もやはりシルヴィアには親しげに見える。悪友、というやつだろうか。
シルヴィアは自分の分のラズベリージュースを受け取ると、じゃあこうしようと微笑む。
「それならミルディンと会う時は、君の立会いの下でということにしよう」
「してぃーがーる的にはしぇあーしたり、映えを気にしたり味の情報を記したりするって聞いたのであるが! 我もあれしたい! したいしたい!」
「おっ、じゃあわしとしぇあーするか?」
ジュースを買い終わったポコと気さくに声を交わしたのはジョン・ベアー。互いのジュースが別々の色なのを確認してシェアすれば、ジョンの口には爽やかな甘み、ポコの口の中には濃厚な甘み。それぞれスイカのジュースと桃のジュースである。
「やっぱり、他のジュースがどんな味なのかって気になるよね」
うんうんと頷いて混ざるサフィラのジュースは苺味。一方、同じ赤のジュースでも、ザンカが飲んでいるのはザクロ味だ。
「ジュースはいつでも美味いが、美人さんと飲むと更に美味う感じるお得感はあるでぇ」
それらを一口ずつ貰って、ジョンはガハハと笑っている。美人と言われて悪い気はしない、サフィラも「言うねぇ言うねぇ」と笑って返す。
「ふふ~ん♪ 熊ちゃんはお上手ね?」
笑っているのはザンカも同じだが、そのまま品定めするようにジョンの身体を眺めて、
「……随分立派な体格をしてらっしゃるのね♪ 後で少しお相手してくださらない……?」
「む、手合わせか?」
意味深な笑みを浮かべるザンカだったが、鈍いのかそれとも鋭いのか、ジョンには意図が正しい方向で伝わったようだ。
「でかい図体しとるがわしゃそう強うないでぇ。たぁいえ、せっかくの機会だしな! 胸を借りるとしよう! がはは!」
「ほわ、手合わせ? 見学はありであるか?」
豪快に笑ったジョンの様子に身を乗り出すポコ。幸いにもここは広い公園、手合わせするにも見物するにも十分なスペースがある。ジュースを飲み終えると、早速手合わせが始まる。
「あれ、シルヴィ? 奇遇だね」
そんな中、サフィラは見知った顔を見つけ、手を振って呼びかける。
「まぁ、美味しい」
ネーヴェ・グラヌローザは自分のレインボージュースに口をつけ、甘酸っぱくて爽やかな後味に目を細める。
「へぇ、いいなぁ。ボクも貰っていい?」
「飲み比べですの? もちろんですわ」
ルルトと交換したジュースは緑色。飲めば口いっぱいに広がる濃厚な味。素材の良さを生かしつつ飲みやすくなるように丁寧に手をかけたジュースだとネーヴェが評したそれは、ほうれん草のジュースである。
「こっちは……アセロラ? アセロラかなっ?」
「正解です」
「やったー! ふふん、だと思ったんだよ♪」
「すごいねー、こっちも飲んでみる?」
アルマの出したジュースは素朴でシンプルな味わい。飲んだことのあるような味でいて、しかしそれが何なのか、いまいちハッキリ思い浮かんでこない。
「なんだろう? 野菜のジュースだよね、白菜……?」
「ざんねーん。オニオンジュースでしたー!」
「ああーっ!?」
言われてみれば! と残念がるルルト。色々な料理と一緒に食べることが多く、玉ねぎ単体で味わう機会が意外と少ない事が敗因だろうか。
「エヴァンはなんだったの?」
「甘酸っぱい大人の味です……一口どうぞ」
と勧められてアルマが飲んだのは、いろいろな味が混ざっているが、共通点はすぐにわかる。ミックスベリー味だ。
「あはは、口直しにこれ飲む?」
とライオネルが出したのは黄色いジュース。こちらは濃厚な甘みが感じられるマンゴージュースだ。若干の酸味はあるが、気になるというほどではなく、酸っぱいのが苦手なライオネルは内心ほっとしていた。
これならエヴァンにも大丈夫だろうとの読み通り、良い感じの口直しになったようだ。
「うまい!」
アルバスが飲んでいるのはセロリのジュース。独特の香りと、少し苦みもあるジュースではあるが、飲みやすくなるように、まろやかな味にアレンジされていて口当たりは良い。だがこの味が苦手な人もいるかもしれないと「セロリは平気か?」と確かめながら、皆と一口ずつシェアしていく。
(あっあっ、これ……エルの……!?)
ハルは回ってきたジュースがエルシー・サリバンの物だと気付く。見ればエルシーの手元にも、ハルのジュースが行っているではないか。
やましい気持ちがある訳では無い、が、しかしどうしても気になってしまって。意識してしまって!
「の、飲むですかね」
「うん、うん」
どうやら、それはエルシーの方も同じらしい。頷き合いつつ、ちょっと赤くなりながら、互いに互いのジュースを飲む。
エルシーが持つのはレモンジュース、ハルが持つのはチェリージュース。つい黙々と何口も飲んでしまって、えいっと相手にジュースを返して、また自分のジュースを、ごくごくごく……。
(気のせいかな、エルも意識してくれてる?)
ちょっと頬の赤いエルシーが、とっても可愛く見える気がして……ハルの耳や尻尾が思わず揺れるのを、恥ずかしさと嬉しさの入り混じった顔ではにかみながら、エルシーは小さく笑う。
(初々しいなぁ)
と、そんな二人の様子を微笑ましく見つめているのはテス・クラルスとロイ・アウレアである。こちらは、もはや熟練夫婦かのような、そんなゆったりとした時間が二人の間には流れているかのよう、だが。
「っ! すっぱい……」
テスのジュースはキウイ味。やや酸味の強い甘酸っぱさが特徴のジュースで、酸っぱいのが得意じゃないテスは少々詰まる。
「交換しようか、テス」
そんなロイのジュースはアスパラ。癖の少ないシンプルな味わいのアスパラジュースなら、テスでも問題なく飲めるだろう。
他にも、皆のジュースを少しずつ味見させて貰うと、次は大丈夫そうなマンゴーにしようか、などと気遣ってくれるロイの言葉にテスも頷く。
「ウゥ……」
そんな中、一人どこか落ち込んだ様子なのは梅・雨陽である。
「ワタシ駄目な奴なのヨ……時間も守れないゆとりなのヨ……」
テーブルの近くの木に、おでこをこつんとやりながら啜るジュースは人参味。ちょっと切ない味がするのは、雨陽の心の涙がそうさせているのだろうか……?
「ウヨウ……」
「ね、これも飲んでみて」
元気を出して、と言う代わりにエヴァンはジュースを一口勧めてみる。
ほのかに甘くて酸っぱいそれは美味しいし、
(優しいのヨ……やっぱり睡狼の皆はダイスキヨ……)
さりげない気遣いを有難く思いつつ、ずずずっと飲み干してしまった人参ジュース。空になった容器を見下ろしていれば、「せっかくだし公園で少し遊ぼうよ」と声が上がる。
「いいね。景色も良いらしいし行ってみよう!」
「ふふ、じゃあ皆で行こうか」
今にも駆け出しそうな勢いで立ち上がるライオネル。テスはそんな皆の様子に目を細める。こういう時に、こんな風にできるいい仲間達に恵まれたことが、また嬉しい。
ロイの方を見れば、同じような事を考えていたのか視線が合って。ロイが伸ばしてくれた手を掴んで、展望エリアの方へと向かう。ネーヴェの影に恥ずかしそうに隠れ気味だったエルシーも、気を取り直してハルの隣に並んだ。
しばらく散策を楽しんで、「ジュースおかわりしようか」とルルトが言えば、反応したのはアルバスだった。
「やっぱり、狙うは全制覇……!」
コンプリート欲に駆られたアルバスは、さっきみんなが何のジュースを飲んでいたのか、しっかり覚えている。どうせならそれ以外のジュースを楽しんでみたい。そう追加で頼んだジュースは、見た目の色こそ先程のセロリジュースに似ているが、味は全然別物、ぶどうの味だ。
「うぃ~、もう一杯……」
「お代わり、奢るよ」
まるでお酒を飲んでいるかのような振る舞いの雨陽の分まで代金を出そうとするロイだが、その言葉を聞きつけたのは雨陽だけではなかった。
「じゃあボクは……」
「俺も欲しい!」
あれよあれよと皆の声が重なる様子に、まあたまには良いかとロイは笑って。
「テスは? どうする?」
「そうだね……」
ロイと一緒に飲むのなら、どんな味でも美味しいし、やはり飲むならレインボージュース、だろうか。
「「「「レインボージュース!」」」」
新たなオーダーが響き渡る中、冒険者達は思い思いに憩いのひとときを過ごしたのだった。
マスターコメント
イベントシナリオ易しい 報酬:無し18 / 10〜25人
2021年06月28日 13時36分44秒 公開
参加者
相談掲示板
エヴァン・ピオネロです。お友達と来ました。よろしくです。 ジュースを楽しむ事の他はこれから決めます。楽しみますよー!
ジョン・ベアーじゃ! 最近は暑いけぇのぉ、飲み物に釣られてふらふら~っと来てしもうたわい!がはは! 誰ぞ一緒におってくれりゃあ色んな味が味見できてええたぁ思うが、まぁ一人でもえっと飲んでおるけぇ気にせんでええで!暇じゃ~って奴がおれば声かけてくれぃ!
ザンカです♪ よろしくお願いしますね♪ のんびりジュースを飲んで楽しもうかと思っております♪
シルヴィアだ。今回はよろしくね。まずは依頼の成立を願おう。 ノイアンとミルディンと行動予定。この季節だし、ラズベリーかブルーベリーを使ったジュースが良いかなぁ……絡みは歓迎だ。当日は楽しもうね。
あと一枠で成立というところまで来ておりましたので滑り込みました。ネーヴェ・グラヌローザです。 まずは依頼が無事成立して良う御座いました。皆様どうぞ宜しくお願い致します。 私個人の行動は……ええと、これから考えますわね。折角なのでお任せにしようかと思っております。
ミルディンです、失礼します。 成立したのですね、よかった。 それでは張り切って美しいお嬢さん方とさわやかなひとときを過ごすことといたしましょう。
ポコ・アルデバラッドであるぞ! 親しみを込めてポコと呼んでも構わぬ。ふふー! どんな味が来るかわからぬの面白そうであるな。都会にはいろんなものがある! レインボージュース頼んでみようと思うておるのだ! >ジョン そしたら我としぇあーしようぞ! なんかそーいうのがシティガールの嗜みとか聞いたである。 目移りするであるものなーいろいろ飲んでみたいのである!
おっ してぃがーるの嗜みか! そりゃあ協力せんといかんな! お前さんの大きさだと入るもんも入らんじゃろ、何、お残しする不安なく安心して色んな味のジュースを頼むとえい。全部飲むけんな!がはは! (お腹ボンボンと叩いてアピール)
にゃ!滑り込みで参加のサフィラだよっ! よろしくねっ! 選んで飲むのもいいけど、おまかせで運だめしするのもおもしろそうだねっ!
テス・クラルスだよ 今回は仲間たちとジュースを飲みに来たよ よろしくね
ハルです どんな味のジュースが飲めるかドキドキするのですよ 同じく仲間との参加だけれど どうぞよろしくお願いします!
ライオネルだよ!よろしくね。 俺も仲間とジュースを飲みに来たよ! 皆で楽しもー!