卵が孵る、その前に!
ゆうきつかさ
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シナリオID:968
オープニング
リーンエス王国の辺境地域にある廃村で見つかったのは、トカゲの魔獣の卵であった。
この村は以前まで人が住んでいたものの、トカゲの魔獣に襲われ、廃村になってしまったようである。
トカゲの魔獣は、他の村でも確認されたおり、その存在が問題視されていた。
そのため、この卵を発見した行商人は、これを売り物にするのではなく、破壊する事を選んだ。
しかし、卵は硬く、手持ちの道具では、ヒビすら入れられなかったらしい。
そうしているうちに、トカゲの魔獣が狩りから戻ってきたため、命辛々逃げてきたようである。
行商人の話では、トカゲの魔獣の体長は、3メートル程度。
卵を壊されそうになった事で苛立っており、行商人に対して炎を吐いてきたらしい。
しかも、その騒ぎを聞きつけ、他の場所からも、トカゲの魔獣達が姿を現したため、行商人は生きた心地がしなかったようである。
おそらく、このまま放っておけば、卵から孵ったトカゲの魔獣達が、他の村を襲う事になる。
卵の数は、全部で5つ。
この卵をすべて破壊するのが、今回の目的である。
ただし、卵のまわりには、トカゲの魔獣達がいる。
トカゲの魔獣達は、卵を守るため、命懸けで攻撃を仕掛けてくるだろう。
だからと言って、あまり戦闘に時間を掛けてしまうと、卵が孵ってしまう可能性があるようだ。
卵から孵ったトカゲの魔獣は、自分の身を守るため、全速力で逃げていくため、何としても阻止して欲しいという事だった。
解説
マスターより
リプレイ
「ここからだと、卵がよく見えませんね。だからと言って強力な炎魔法で、ゆで卵にする訳には行きませんが……」
ミルディンは仲間達と共に、リーンエス王国の辺境にある村にやってきた。
この村には以前まで人が住んでいたものの、トカゲの魔獣に襲われ、今では廃村になっていた。
魔獣の卵は村長の家にあるようだが、他の建物と比べて損傷が少なく、壁が残っているせいで、ミルディン達がいる場所からでは、何も見えなかった。
「まあ、卵を守りたい気持ちはわかるんすけど……その牙がヒトを襲ったんなら、そうはいかないんすよね……」
マタリキー・T・ヒーローが、複雑な気持ちになった。
トカゲの魔獣にも事情があるのかも知れないが、罪のない人々を襲った時点で、それは言い訳でしかない。
しかも、小さな村とは言え、廃村にする程の命を奪ったのだから、倒すしかなかった。
そんな事を考えながら、マタリキーが村長の家を透視したところ、5個の卵が今にも孵りそうな勢いで、ユラユラと揺れていた。
そのまわりにはトカゲの魔獣(小)達がおり、卵を囲むようにして、スヤスヤと眠っていた。
「……幼い命の揺り籠を狙うのは、少々躊躇いが残りますが……捨て置けば周囲の人々に被害をもたらしてしまう。……例え、責められるような事があったとしても、許してくれと言うつもりはありませんが……」
セロンガード・シュタインドルフが、何処か遠くを見つめた。
色々と思う事はあるものの、ここで情けをかければ、今まで以上に罪なき人の命を奪われる事になる。
その事が容易に想像できてしまう程、廃村は酷い有様であった。
この様子では、自分達の巣を作るため、情け容赦なく命を奪ってきたのだろう。
壁には人型のコゲ跡もあり、地面には幾つも血の跡が残っていた。
「まあ、トカゲの魔獣には恨まれるだろう、ね。もちろん、討ち漏らしたら……の話だ、けど……」
ティトが村長の家の前をウロつくトカゲの魔獣(大)に気づき、警戒した様子で茂みに身を隠した。
どうやら、こちらのニオイに気づいたらしく、クンクンと鼻をヒクつかせ、ニオイの元を探しているようだった。
幸い、こちらの居場所を特定されていないものの、気づかれるのは時間の問題であった。
「……」
そんな中、コハクが息を殺して、頭の中で作戦を練った。
現時点では、トカゲの魔獣達を纏めて、相手をしなければならないため、苦戦を強いられるのは必至。
少なくとも、トカゲの魔獣(大)だけでも、別の場所に移動させなければ、作戦の成否に影響する恐れがあった。
「ひょっとして、わらわの体臭がキツイせいで、トカゲの魔獣に気づかれてしまったんじゃろうか……?」
それとは対照的に、ク・サーヤ・クッセーワが、動揺した様子で汗を流した。
おそらく、トカゲの魔獣が気づいた原因は、クの体臭がキツかったせい。
心当たりが順番待ちをするレベルで、微妙な空気が漂っているものの、だからと言って謝るつもりはない。
臭うのであれば、逆に利用すればいい。
トカゲの魔獣達の注意を引く事が出来れば、それだけ卵を破壊しやすくなるのだから……。
そんな気持ちを胸に秘め、クがむせかえるほど濃厚な体臭をマントの如く身に纏い、ゆっくりと歩き出すのであった。
●
死亡フラグが立ちました。
そんな言葉がピッタリなほど、クは危険な雰囲気に包まれていた。
それも、そのはず。
わざわざ真正面からトカゲの魔獣達に近づいているのだから、死亡フラグ(妄想的幻覚)達が熱烈歓迎しても仕方がない。
だからと言って、この状況で身を隠したとしても、臭いでバレるのだから、遅かれ早かれといった感じであった。
それでも、クはまったく怯んでおらず、死亡フラグ(妄想的幻覚)達と、そのまま飲み会に行きそうな勢いで強気になっていた。
「……!」
その分、トカゲの魔獣達も、ヤル気満々。
必ず殺すという誓いを立てつつ、今にも炎を吐きそうな勢いだった。
「どうやら、わらわのフェロモンで惑わされているようじゃな。ならば、利用するしかあるまい。さあ、こっちじゃ、こっちじゃ」
その視線に気づいたクが、魅惑のダンス。
ここまで来ると、怖いものは何もない。
いや、こんな事をしている自分が怖い!
その流れでトカゲの魔獣(大)が吐いた炎を避けたものの、逆に仲間達は生きた心地がしなかった。
そのおかげでトカゲの魔獣(大)の注意を逸らす事が出来たものの、何か違うという言葉が脳裏でグルグルと渦巻いた。
「……と言うか、このままだと近づけないんっすが……。と、とりあえず、火がやばそうなんで、口を押さえてたらなんとかなるすか? 槍かなにかを口に突っ込んで火の勢いが減るとうれしいすが……」
マタリキーが、あたふたとした様子で、自分なりに作戦を練り始めた。
気のせいか、死亡フラグ(妄想的幻覚)が団体様御一行レベルで増えているため、迂闊な行動は命取り。
その事を踏まえた上で考えると、慎重に行動しておくべきなのだが、トカゲの魔獣(大)が苛立った様子で距離を縮めてきたため、考えている暇などなかった。
「とにかく、こちらに引きつけましょう」
そんな空気を察したミルディンが、マタリキーと一緒にサウンドボマーを使い、トカゲの魔獣(大)の注意を引いた。
「……!……」
その声に反応したトカゲの魔獣(大)が、猛スピードでミルディン達に迫ってきた。
(……挑発に乗ったのは、親の魔獣だけですか)
一方、セロンガードは孤高者の捜波で、探知用のエーテルの波動を走らせた。
先程の騒ぎでトカゲの魔獣(小)達も目を覚まし、卵の守りを固めているらしく、村長の家から動こうとしなかった。
その事に気づいたセロンガードが、ロープを使って屋根に上り、トカゲの魔獣(大)を狙うようにして、ダマスカス鋼の短弓を構えた。
「おいで、おいでー。ほら、わらわ、いい香りじゃろ?」
その間も、クがゴキゲンな様子で、トカゲの魔獣(大)を挑発した。
「……!」
その挑発に乗ったトカゲの魔獣(大)が、勢いをつけて飛び掛かり、クの首元に食らいつこうとした。
「ひ、ひい! それは反則じゃ!」
クが涙目になりつつ悲鳴を響かせ、ぺたんと尻餅をつきながら、トカゲの魔獣(大)に毒撃を繰り出した。
その途端、トカゲの魔獣(大)が毒され、警戒した様子で後ろに下がった。
「これ以上、好き勝手にさせないすよ!」
すぐさまマタリキーが、トカゲの魔獣(大)の注意を引いた。
それに合わせて、ミルディンが輝刃を発動させ、セロンガードが持っているダマスカス鋼の短弓を淡い透明な光で包み込んだ。
「まずは親の方を大人しくさせましょうか」
次の瞬間、セロンガードが攪乱射撃3を仕掛け、トカゲの魔獣(大)が反撃する機会を奪い取った。
それがトカゲの魔獣(大)を怒らせ、殺気立たせたものの、その気持ちに反して、身体からは大量の血が溢れた。
「そんな顔で睨んだって、無駄じゃ!」
そこに追い打ちを掛けるようにして、クが再び毒撃を仕掛け、トカゲの魔獣(大)の身体を斬りつけた。
そのため、トカゲの魔獣(大)は反撃する間もなく、悔しそうに歯を鳴らした。
「このままトドメをさしてしまいましょう」
その隙をつくようにして、ミルディンが再び輝刃を発動させ、今度はマタリキーのダマスカス鋼の強弓を淡い透明な光に包んで強化した。
「アンタも運がわるかったすね。静かに暮らしてたらよかったんすけど……。だから、せめて美味しくいただくすわ。トカゲの肉……、美味いんすよね」
マタリキーが涎をジュルリと垂らしながら、容赦なくトカゲの魔獣(大)を射抜いた。
「……!」
それを目の当たりにしたトカゲの魔獣(小)が、村長の家から飛び出してきた。
その勢いは弾丸の如く素早く、確実に首元を狙って、距離を縮めてきているようだった。
「そんなに殺気を剥き出しにしたら、狙ってくれと言っているようなものですよ」
次の瞬間、セロンガードが鋭射2を仕掛け、トカゲの魔獣(小)の眉間を貫いた。
そのため、トカゲの魔獣(小)は悲鳴を上げる間もなく、崩れ落ちるようにして地面に突っ伏した。
●
一方、コハク達は万全を期す為に捜波・改を使用しつつ、隠蔽を駆使して魔獣の卵がある村長の家に近づいていた。
村長の家にはトカゲの魔獣(小)達がいたものの、仲間達がトカゲの魔獣(大)を陽動してくれたおかげで、途中で気づかれる事なく移動する事が出来た。
その間に、コハクが疾風足を使って、村長の家に近づいた。
だが、そこにはトカゲの魔獣(小)達がおり、コハク達を威嚇するようにして唸り声を上げていた。
「そんな脅しで怯むと思ったら、大間違いだ、よ!」
ティトがハイディングで村長の家に潜入した後、トリプルファングを繰り出し、トカゲの魔獣(小)の身体を斬りつけた。
それでも、トカゲの魔獣(小)は怯む事なく、ティトめがけて炎を吐いた。
しかし、炎の威力はトカゲの魔獣(大)と比べて、半分程度。
間一髪で攻撃を避け、ダマスカス鋼の短剣を握り直した。
「……大丈夫、問題もない」
それに合わせて、コハクが闘気槌3を繰り出し、巨大な光塊をトカゲの魔獣(小)達にブチ当てた。
だが、トカゲの魔獣(小)達はまったく怯んでおらず、全身血塗れになりながら炎を吐いた。
「卵が目の前にあるの、に……!」
ティトが火傷を負った傷口を庇いながら、唇をグッと噛み締め、ヒールを使って回復した。
トカゲの魔獣(小)達は先程の攻撃で、だいぶ弱っているようだが、卵を守るため必死になっていた。
「……」
その事に気づいたコハクが、卵めがけて突っ込み、行く手を阻むようにして近づいてきたトカゲの魔獣(小)めがけて強打3を繰り出した。
その一撃を食らったトカゲの魔獣(小)が、悲鳴にも似た鳴き声を響かせ、血溜まりの中に沈んでいった。
それに合わせて、ティトが最後まで生き残ったトカゲの魔獣(小)に飛び掛かり、その首元にダマスカス鋼の短剣を突き刺した。
その途端、トカゲの魔獣(小)が暴れ牛の如く跳ねまわったものの、ティトは怯む事なくダマスカス鋼の短剣を押し込んだ。
そのため、トカゲの魔獣(小)は口から血の泡をブクブクと吐き、最後には抵抗する気力を失って地面に突っ伏した。
そして、ティト達は守り手のいなくなった卵をすべて破壊し、廃村を後にするのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜8人
2021年06月10日 09時33分12秒 公開
相談掲示板
シーフのティト、です。 どうぞ、よろしくお願いします、ね。
うす、ウォーリアのマタリキーす。 トカゲたちも結構でかかったり強そうすけど、成果をあげようとおもうと全部倒したい気はするすね。
シューター、セロンガードです。 全部を倒すとなると…万が一に孵化してしまった時の対策も立てなければなりませんね。 卵が孵化するまでの時間は、3ターン程度とありますので、人数にもよりますがわりと速さを求められていると思います。
お、最低人数は越えたかな。 シーフコハク、どうぞよろしく。 今回の依頼の第一任務は卵の破壊、第二目標でトカゲの駆除になるかな。 卵の破壊だけでも、とは言うものの【やってはいけない事】に必要以上の憎しみを与えるなって書いてある以上卵の破壊=憎しみに直結してしまう可能性があるからやるなら殲滅が良いと思う。 この後の集まりによるけどコハクはシーフらしく隠蔽行動からの卵破壊を行うつもりだよ。 シーフの中でも割と火力寄りだからね、多分破壊はいけるはず
ぼくも殲滅で良いと思う、よ。 隠密で接近して卵を破壊する、のも良いと思う。 その場合は陽動はいる…? 卵からトカゲを引き離すか、そのまま建物内で袋にするか…だね。
シーフのサーヤじゃ。よろしくなのじゃよ。 条件を見るにつけ、トカゲから殺してしまうのがよいように考えるので殲滅に 同意する。 卵の傍で炎を吐かれるのが困るとするならおびき出した方がよいじゃロウな。
ごきげんよう、ヒーラーのミルディンです。 こちらにも見目麗しいお嬢さん方が…こほん。今回は兵は拙速を尊ぶ…と聞き及びまして。とりあえず火力上昇のバフを撒きにきました。 とはいえ3ターンしかありませんから…射手さんにひとつ、戦士さんにひとつ、最終ターンはまだ割れていない卵にエーテルブローかディバインストライク…でしょうか。 確認なのですが、トカゲを2ラウンドで倒し切って3ラウンド目に卵を破壊、という認識でよろしかったですか?
続々と人が集まって来たね。 皆よろしく。 今のままの面子であれば個人的には陽動班と破壊班で分かれての行動が良いとは思う。 最低でも卵は破壊しないといけないからね。
ああ…失礼、少し勘違いをしていました。その流れで了解です。 【陽動班】トカゲ魔獣を引きつけ、卵から離して戦闘。 【破壊班】陽動班が引きつけているうちに卵x5を破壊。 これらは同時的に行うということで…なにか認識の相違があったら教えてください。今のところ担当がはっきりしているのはコハクさんで…私は(バフの関係で)皆さんの分担を見てどちらに入ろうか決めようと思います。 【陽動班】 【破壊班】コハク
ふむ、それでしたら私は陽動に回りましょう。 適度な距離から射撃して誘き出します。 可能ならば、そのまま始末致します。 (大)は難しくとも(小)ならば、 なんとかできそうです。
わらわは目立つがゆえに陽動班に廻ろうと思うのじゃよ。 【陽動班】サーヤ 【破壊班】コハク
よかった。大丈夫そう、だね。 それならぼくは破壊班に行く、よ。 隠密は久しぶり…だから、気合入れていこう。 【陽動班】セロンガード サーヤ 【破壊班】コハク ティト
皆さん、ありがとうございます。では私も陽動班で…あとはマタリキーさんですね。 【陽動班】セロンガード サーヤ ミルディン 【破壊班】コハク ティト 陽動なのですが、トカゲたちを室内から誘き寄せるのに屋内まで射線が通るか、ということもあるかと思いますので、戦闘前に【サウンドボマー】でお手伝いしたいと思います。
ふむふむ……コハクさんとティトさんがいらっしゃるなら、破壊班は十分そうすね。 俺は陽動班に回ろうと思うす。 【陽動班】セロンガード サーヤ ミルディン マタリキー 【破壊班】コハク ティト サウンドボマー、いいっすねえ。 俺もサウンドボマーがあるんで、ふたりで雑談でもするすか。天気の話とか。 あ。あと、【透視】もあるんで、事前に中の間取りとかトカゲの具合とかは見れるかもしれないっす……けど、3ターンしか時間がないんすね。 まあでも、相手はトカゲっすから、透視で見えたもの、見えなかった場所をサウンドボマーで言えばいいっすね。ちょっとは探索の足しになれば幸い。 惹きつけられたら殺界で時間稼ぎをする以外ノープランな俺っす。 小さいトカゲのほうを先に倒すほうがメンツ的には効率いいかもしれないっすね。
気付いたら皆が纏めてくれていた。 感謝感謝、これなら何とかなりそう。 一応コハクも卵割り終えたらそっちに混ざる予定ではあるよ。 卵割りに関しては…マタリキーの透視である程度場所はわかりそうだし建物も平屋(のはず)で通常の習性から考えても卵を点在させてはいないだろうから、見つけ次第纏めて闘気槌による餅つきやれば壊れてくれるだろうと想定。
なるほど雑談。笛の音を増幅する気でいましたが、得た情報を伝える…というのもありですね。そのようにいたしましょう。 コハクさんの動きも了解です。よろしくお願いします。