【学乱】学園の抱く病巣

空色みなも

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シナリオID:898

オープニング

 部屋を見渡せば、赤、青、緑と様々な色の液体が詰まった瓶が棚に並び。
 中でも、隅に設置された一抱えを優に超える大きさの大釜は、その部屋を訪れた冒険者たちの目を特に引いた。

 ここは、リーンエス王国にあるパンクリアース学園。
 そこで医薬品の合成を研究する教員、ジョウ・ヘッジングの部屋だ。

「この度、皆さんにお願いしたいのは、先生の生み出した薬を運ぶ馬車の安全確保です」
 ジョウに学ぶパンクリアースの学生、ルウ・エリオがその短めの金髪を揺らしながら、部屋に集まった冒険者たちを見回した。

 ルウの説明によると、ジョウは研究の過程で生まれた薬を販売することで、研究資金を捻出するとともに、社会貢献を果たしているのだという。
 しかし、どうしたわけか、最近その薬を運ぶ馬車が盗賊らしき集団に狙われる事件が相次いでいるという。

「先生は立派なお仕事をされています。人に恨まれるような覚えもないので、物取り目的……だとは思うのですが」
 そこでルウは、陰りのある表情を見せた。
 何か引っかかるような気がするのだが、その正体が掴めない――まるでそんな様子だった。

「いずれにしても、この事態を放置するわけにはいきません。馬車の護衛には私も同行します。皆さん、どうかよろしくお願いします」
 話の最後に、ルウは冒険者たちへ向かって深々と頭を下げた。

●
「所々、死角がありますね……皆さん、気を付けてください」
 町と町を繋ぐ街道を往く馬車の周囲を守りながら、ルウが冒険者たちに注意を促す。
 見れば、前方には大岩や茂みなどが点在し、賊が身を隠すのに都合がよい地点に差し掛かったと言えた。

「やはり、現れましたか……! この身のこなし――ただ者ではなさそうですね」
 予想通り、物陰に潜んでいた賊が姿を現したのを見て、ルウが声を上げた。
 賊の数は五人。冒険者たちに数のうえでの優位があるわけでもない。
 それでも、賊は堂々と姿を現した――勝てる自信がある、とでも言うのだろうか。

「皆さん、何より馬車を傷つけられてはいけません! 慎重に戦いましょう」
 冒険者たちに声をかけながら、そこでルウ自身も戦闘態勢へと移ったのだった。

解説

●目的  医薬品を運ぶ馬車を護衛し、守り切ってください。 ●状況  隊列中の位置次第で、6~20ヘクス敵戦力と離れて遭遇します。  隊商の馬車は20ヘクス敵戦力と離れています。  開戦時、敵戦力は固まっておらず、敵戦力どうしの間にはいくらかの距離があります。  敵戦力の【移動】は中~軽装の冒険者と同程度です。 ●背景  ▽ジョウ・ヘッジング  パンクリアース学園で、医療用の薬を様々な素材から合成する研究に取り組み、学問として教えている教師。  研究の過程で生まれた医薬品を販売しており、その販路を次々に襲われたことにより、事態の解決を冒険者に依頼した。  出身は王党派貴族。 ●敵戦力  ▽黒装束  全身を黒い衣装で覆ったハーフビースト。  近接物理攻撃と射程12ヘクスの射撃魔法攻撃ができる他、以下の能力を持つ。  ・奔流  メインアクション。命中した対象にダメージを与えるとともに【吹飛:4】の効果を与える、射程12ヘクスの射撃魔法攻撃。  ▽赤装束  全身を赤い衣装で覆ったドワーフ。  近接物理攻撃ができる他、以下の能力を持つ。  ・ぶん回し  メインアクション。【自己識別】で自身のいるヘクスに範囲近接物理攻撃を行う。命中した対象にダメージを与えるとともに【吹飛:2】の効果を与える。  ▽青装束  全身を青い衣装で覆ったハーフリング。  近接物理攻撃ができる他、以下の能力を持つ。  ・鷹狩り  メインアクション。移動力6で移動を行った後、移動後のヘクスに攻撃対象がいれば、1体に対し近接物理攻撃を行なってよい。  ▽緑装束  全身を緑の衣装で覆ったエルフ。  近接物理攻撃と射程20ヘクスの射撃物理攻撃ができる他、以下の能力を持つ。  ・曲がり撃ち  メインアクション。自身から矢を通せる経路が存在する相手なら、直線的な射線が通っていない対象にも攻撃することが可能な、射的16ヘクスの射撃物理攻撃。  ▽白装束  全身を白い衣装で覆ったヒューマン。  近接物理攻撃と近接魔法攻撃、射程6ヘクスの【回復】ができる他、以下の能力を持つ。  ・消失  メインアクション。射程6ヘクス内に存在する、召喚されたオブジェクト1つを指定して打ち消す。使用回数1回まで。 ●味方戦力  ▽ルウ・エリオ  パンクリアース学園の生徒にして、今回の依頼人。  授恵者であり、クラスとしてはヒーラー。使用できるスキルは[ヒール]のみ。  基本は自分の判断で負傷者に[ヒール]を施します。  王党派貴族を実家に持つ。

マスターより

 お世話になっております、空色みなもです。  連動【学乱】でのリリースとなります。  パンクリアース学園の学生であるルウ・エリオも、学園で起こった動きに巻き込まれることとなりました。  関連NPCにルウ・エリオが紐づけられています。  相談掲示板では基本的に出発48時間前までに行われた質問に回答します。  学園の抱える病を治す薬となる皆さんのプレイングをお待ちしております。

リプレイ

●
 色とりどりの装束に身を包んで横に居並ぶ敵に対し、布陣した冒険者たちもまた、色鮮やかであった。

「人を救うべき薬を略奪するとは、なんと悪辣な! ……しかも我々と色合いが被っております!」
 冒険者たちが色彩豊かなのは、ハリス・アル・ターミルのようなリザードマンが多く依頼に参加していたことが主な原因である。
 リザードマンの鱗は、個々人で異なる色を有しているのだ。
「確かに色合いは被っているが……それは重要なのかグリー……いや、ハリス?」
 ハリスの鱗をまじまじと眺めながら呟いたブラック――もといフェイサル・セイフもまた、リザードマンであった。

「随分と目立つカッコの賊だね……何か狙いがあるのかな?」
「ああ、それに堂々と出てくるし、ただの物取りにしては変な集団だよ……ルウに聞いたところ、たしかに薬は高く売れるらしいけど」
 ヤギのハーフビーストであるトゥーリの漏らした呟きに、ルチル・プルメリア・グレイハーツが疑問を重ねる。
 ルチルもリザードマンであるが、こちらは頭蓋骨を被り、全身を覆う装束に身を包んでいることから、鱗の色は窺いにくい。
「盗賊団ならもっと目立たないようにするものだろうに――直に聞いた方が早いか」
 聴取を行うためにもまずは敵の無力化を図ることが必要と、ルチルは弩を構える。

「医薬品しか運んでないから、ヤベー毒物とか劇物はなかったね、残念」
 こちらもリザードマンのサイラスが、馬車の側で弓に矢をつがえる。
 サイラスは、馬車の積荷である医薬品を格納用異空間に隠していた。
 そうした積荷に毒物などがあれば鏃に仕込むことを考えていたが、今回の護衛対象にそうしたものはないらしい。
 手持ちの蒸留酒で火矢を作るにしても、燃え広がった炎に自分たちが巻かれる可能性を考えると、迂闊に火を放つのも憚られた。
 周囲の警戒は御者にも頼んであるが、安全のため馬車に引きこもっていることから、どこまで頼りにできるかは分からない。

「いやいや、敵だったら来すぎでしょ? ……え、まじで敵すか? やば」
 一方、ヒューマンのマタリキー・T・ヒーローはトンチキな敵集団を見て笑ってみせていたが、周囲の張り詰めた空気を読み取って、本当に敵襲であると悟ったらしい。
「強そうなリザードマンの方が揃っているから、なにかある気が……してたんすよ……」
 マタリキーは肩を落としながらも、やるべきことはきっちりと行なっている。
 サイラス同様、マタリキーも積荷の医薬品をまとめ、格納用異空間に隠し持っていたのだ。

(これだけ堂々と姿を表した敵……陽動の可能性もあります、まずはそれを見極めましょう)
 隊列の中でも前に出ていたハリスが、手にした鍬にエーテルを込める。
 途端、ハリス周囲の空間に強烈な圧が満ちた。
 これにより馬車への最短経路が封鎖されたのを見て、馬車へ近づこうとしていた敵が一時の逡巡を見せる。
「なっ……!?」
 その時、ハリスの横から強烈なエーテルの奔流が叩きつけられた。
 ハリスの側面に回り込むように動いた黒装束が、魔法を行使したのだ。
 大きく吹き飛ばされたハリスは地面を転がるも、即座に身を起こす。
 しかしそれにより開けた空間を、白兵武器を手にした赤装束、青装束、白装束が走り抜けようとしていた。

「あいつら、本気で自分たちで馬車を襲う気みたいだね……! それだけ力に自信があるってことかな……!」
 俯瞰視点を得て戦場を眺めていたトゥーリは、真っすぐ馬車へと向かってくる赤装束、白装束に対し、青装束が前衛を迂回する動きを見せていることを冒険者たちに注意喚起する。
「みんな、ひるまないで!」
 トゥーリは鼓舞する言葉とともにエーテルを解き放ち、馬車の周囲を固める冒険者たちに力を与えた。

「あいつ……弓を持っているね」
 鋭い視覚で緑装束の得物に目を付けたルチルは、エーテルにより緑装束の気配をマークする。
「煙に巻かれるといいよ」
 それと同時に、ルチルは弩からエーテルの矢弾を放つ。
 矢弾は緑装束のもとで炸裂し、辺り一帯に濃煙を立ち込めさせた。
「……あの緑、煙幕を突っ切るつもりかい!?」
 マークした気配が煙の向こうで駆け出したのを察知し、ルチルが驚きの声を上げる。
 どう見ても後衛に適した緑装束が、積極的に前に出ようというのだ。
 これまた単なる盗賊らしからぬ、捨て身の行為である。
「馬車を守れ! 積み荷を奪われるんじゃないよ!」
 ルチルは馬車から医薬品が運び出されているのを承知で、鋭く声を上げる。
 護るべきは積荷であると考え、馬車を囮に使おうというわけだ。

「こっち射ってきたす!?」
 緑装束がひょうと射た矢が冒険者たちの頭上を越え、山なりに襲い掛かってきたのをマタリキーが身体を張って受け止める。
「痛って! あいつ今、明らかに馬を殺しにかかってたすよ!?」
 敵はどういうつもりなのかと、マタリキーは訝しむ。
 目当てが積荷の強奪ならば、積荷を運び去る手段は敵にも必要なはず。
 なのに迷いなく馬を射殺しにかかるとは、敵には別の運搬手段があるとでもいうのだろうか。

「薬というのは、怪我や病と闘う武器だ。渡す訳にはいかんよ」
 自らも医術を学ぶフェイサルからすれば、いずれにしても医薬品の運搬を邪魔する今回の敵は許しがたい。
 周囲を警戒しつつ馬車を視界に収めるため、岩場の上に立つようにしていたフェイサルもまた、早くも馬車が狙われた事態に気付いていた。
 敵からの馬車に対する干渉を防ごうと、フェイサルは馬車を囲むように光の六角柱を形成した。

「横がガラ空きすよ!」
 伏兵を警戒していたマタリキーであったが、見えている敵が全てであることを悟り、黒装束に矢を放つ。
 黒装束はハリスに意識を向けていたため、マタリキーから注意が逸れていたようで、そのまま肩に矢を受けた。
「まずは一名様っと」
 サイラスが引いていた弓の弦が矢を放つと同時、琴のように音を奏でる。
 放たれた矢は真っすぐ黒装束の脇腹に吸い込まれ、黒装束は短い呻き声をあげて、地面に倒れ伏した。

「一人倒れても、退く気配はないですね……この人たち、何者でしょうか……」
 ルウ・エリオはマタリキーの受けた傷を癒しながら、必死に心当たりを探っているようだった――。

●
「押し留めてみせます! 征竜様、我が身に力を!」
 魔法により吹き飛ばされていたハリスは、自らの脇を通り抜けようと側面を曝した赤装束に向かい、全体重を乗せた突進をかけていた。
 三本爪をたたみ、槍の穂先のように尖らせた鍬が、赤装束が服の下に仕込んでいた金属板を穿ち、甲高い音を立てる。
「こちらは私が引き受けます! 馬車のことは頼みました!」
 反撃として赤装束が振り回した斧を盾で受け止めた衝撃で後ろに滑りながらも、ハリスは大地を踏みしめ、立っていた。

「ほらほら、こっちの注意がお留守だよ?」
 トゥーリは突っ込んで来た白装束に矢を射かけつつ、注意を引きつけようと試みる。
 しかし白装束は矢を受けつつも、なお馬車に注意を向けていた。
「この人たち……まさか薬を盗って売るのが目的じゃない?」
 ここでトゥーリは確信に近い予感を覚えた。
 敵は冒険者たちに戦って勝つつもりがない。
 それでは医薬品を奪って利益を得ることは不可能であろう。
 であれば、敵の目的は――。
「やっこさん、こっちに損害を出すことそのものが目的かね」
「そんな、どうして……」
 次の矢を弓につがえながら、サイラスが辿り着いた答えに、ルウが顔色を青くした。
「あんたのセンセ、王党派貴族なんだろ? おおかた政争かなんかに巻き込まれてんじゃね?」
 事情はどうあれ、依頼の邪魔をする者は排除するのみと、サイラスは弓を向ける相手を見定める。
 馬車を強奪された場合には逃走阻止のために馬を殺すことも考えていたが、判明した相手の目的からすると、そうせずには済みそうだ。

「なに? 光の壁が……」
 自らの設置した光柱が予定より早く崩れ去ったのを見て、フェイサルが目を丸くする。
 白装束が念を込めているのを見るに、白装束が何かしたらしい。
「悪いが、また体を張ってもらうことになるかもしれん」
「マジすか……」
 フェイサルはそれを見て、守りの要となるであろうマタリキーの防具に淡い光を帯びさせた。

「相変わらず緑のと、それと青いのも馬車を狙ってる。このままじゃマタリキーも庇いきれないね、となれば……」
 そこで、戦況を俯瞰的に把握していたルチルは煙幕の矢弾を弓につがえ――。
「ちょっと煙いけど我慢するんだね」
 次の瞬間、馬車の周囲が煙に包まれていた。
 青装束と緑装束の目から同時に馬車を隠すには、こうする他なかったのだ。
 鋭い聴覚を有する冒険者には、それを見た緑装束が小さく舌打ちしたのが聞こえたであろう。
 馬車に攻撃するのを諦めたのか、緑装束はルチルへと矢を放ってくる。
 それとほぼ同時、ルチルも緑装束へ矢を射かけていた。
 空中で、二本の矢が交錯する――。
 矢はそれぞれの標的を捉え、ルチル、そして緑装束はともに肩から血を流していた。
「はい、二丁上がり」
 そして緑装束に照準を合わせていたサイラスがきっちりと緑装束の脚を射抜き、それにより緑装束も地に崩れる。
 矢を受けたルチルの負傷は深かったが、ルウの治療によって幾分、痛みはマシになったようだ。

「やらせねえすよ」
 マタリキーは冒険者たちを大きく迂回するように馬車の側面へ回り込んでいた青装束へと矢を射る。
 明らかに機動力に優れていた青装束、攻撃に対する反応も俊敏であった。
 が、ここでトゥーリによる支援が功を奏した。
 トゥーリのエーテルによって精度が研ぎ澄まされたマタリキーの矢は、見事に青装束の腕を捉える。
「突っ込んできたす!?」
 煙の中へ青装束が駆け込もうとするのを見て、マタリキーは咄嗟に青装束と馬車の間へ体を割って入らせる。
 刹那、マタリキーの鎧を通して、腹に鈍い衝撃が加わった。
 突進する勢いそのままに、青装束が短剣を突き立てていたのだ。
 しかし、フェイサルによって鎧が強化されていたことにより、刃はマタリキーの身を裂くには至らなかった。
「残念だったすね」
 濃煙に包まれたマタリキーは、覆面の隙間から青装束が睨みつけてくるのを見た。

●
 斧による衝撃でハリスを後退させた赤装束は、馬車を攻める青装束たちの加勢に向かおうとする――。
「押し留める、と言ったでしょう?」
 だがハリスがそれを許すはずもなく。
 ハリスから放たれたプレッシャーにより、赤装束はその場に縫い留められる。
 今や黒装束による横槍はなく、なまじハリスを吹き飛ばしてしまったため、赤装束はハリスに手も足も出ない。
 エーテルにより伸長した得物で、ハリスは赤装束を一方的に攻めたてる。

「ちょこまかと鬱陶しいすね!」
 青装束の攻撃をまたも受け止めたマタリキーであったが、素早く馬車を庇える回数には限りがある。
 一撃を加えた後、煙の外に離脱する青装束を見て、マタリキーは歯噛みする。

「青いのを早く倒さないといけいみたいだし、そっちには向かわせないよ」
 白装束が青装束の援護に向かうと見たトゥーリが、白装束の脚に矢を突き立て、その足を止める。
 矢を受けた白装束は自身を淡い光で包み込み、脚の傷を癒した。
「役割分担があるっぽい相手だから、そうだろうと思ってたけど、やっぱり白いのが回復役だったみたいだね」
 敵を殲滅するうえで回復役を潰すのは鉄則と、トゥーリは引き続き白装束の足止めを試みる。

「平気か?」
「おかげさまで無事す」
 フェイサルは、青装束を再び視界に入れるため煙幕から出て来たマタリキーの消耗を抑えるべく治療を行っていた。
「素早い相手にはこうするに限るよ」
 ルチルが青装束の膝を射抜き、鏃がまとっていたエーテルが青装束にまとわりつくことで、その動きを阻害する。
「これ以上、馬車には近づけないす!」
 そこへマタリキーの矢が飛来し、腹に矢を受けたことで青装束もいよいよ膝をついたのだった。

●
「そんなヒラヒラ着てちゃ、ワタシの動きは追えないよ?」
 白装束が振り下ろした槌を、トゥーリがひらりとかわしてみせる。
 青装束が倒れ、赤装束も足止めを食っている今、馬車を狙えるのは自分しかないとでも思ったか、白装束が馬車へと向かってきたのだ。
 サイラスに射かけられながらも前進を止めない白装束を見たトゥーリがその前に立ちはだかり、攻撃を誘発したうえで回避したのだ。
「これで苦しめば?」
 サイラスが水袋の中身を白装束の顔面へとぶちまけた。
 袋に入っていた水には、唐辛子の粉末がたっぷりと溶いてある。
 白装束は激しく咳き込んで、大きな隙を見せることになった。
「なぜ医薬品を狙ったか、後でたっぷり聞かせてもらおうか」
 隙を曝した白装束の背中に、駆け寄ったフェイサルがばっさりと刀傷を刻む。
 同時にマタリキーによる矢も受けていた白装束は、それで力尽きたようだった。

 残る赤装束は、未だにハリスの足止めから抜け出せずもがいている。
 そこに他の冒険者たちによる矢も殺到しては、赤装束に勝ち目が残されているはずもなかった――。

●
「ふう、色合いは同一でも、我らの連携が勝ったようですね!」
「さて、後はこの襲撃の背後関係を明らかにしないとな」
 激しい戦闘が終わって後、息をつきながら勝ち誇るハリスの横で、フェイサルは倒した敵を持ち込んでいたロープで厳重に拘束していく。
 後に続く尋問のためには死なれては困ると、フェイサルは捕えた敵たちに応急手当を施していた。

「種族的にはあまり統一感がないね……?」
 改めて敵を観察しながら、トゥーリは敵の持つ所持品を検めていた。
 所持品から身元に繋がりそうな品物を排してあった、という結果に、トゥーリはかえって敵が通常の盗賊ではないという結論に辿り着いていた。
 一方で、ダミーの身元を用意していないあたり、盗賊に見せかけようとするには敵の準備不足であるとも言えたが。

「盗賊団というより、授恵者のパーティーという感じだったね」
 ルチルもトゥーリの出した結論に頷いている。
「統率のとれた授恵者で、悪事を働く集団、ねえ。まさか、ね」
 サイラスが漏らした言葉に、冒険者たちは顔を見合わせる。
 冒険者たちはそうした集団に、心当たりがあった。
 メドゥの指先――授恵者で構成されたテロリスト集団だ。
「でも、それが何故、先生の医薬品を?」
「さあ? そこまでは分からんよ。でも学園で最近、色々と揉めてるんでしょ。なんか関係あるかもね」
 ルウの疑問に対して、サイラスは肩をすくめてみせた。

「とりあえず薬を運んで、難しいことは偉いヒトに任せていきたいすね。はは」
 マタリキーの言葉通り、冒険者たちの今の仕事は医薬品を無事に届けることだ。
 冒険者たちは守り切った馬車と医薬品を無事、目的地に送り届けたのだった。

マスターコメント

 お疲れ様でした。空色みなもです。  このたびは当シナリオにご参加頂き、誠にありがとうございました!  医薬品が守られていたことに加え、馬車が傷つくことによる損害も防ぎきれましたので、このような判定結果とさせて頂きました。  また皆さんにシナリオ参加して頂けるのを心よりお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ショートシナリオ

ショートシナリオ難しい 報酬:標準6 / 4〜6人

2021年05月23日 22時50分04秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. マタリキー・T・ヒーロー

    (リザードマンさんがおおいので唐揚げに擬態している) マタリキーす。ウォーリアす。よ、よろしくす……

  2. マタリキー・T・ヒーロー

    ふむふむ。 馬車を傷つけられないように、というのがオーダーなんで、まずは馬車さんには方向転換・後退してもらうほうが良さそうすね。 挟撃されちゃう可能性もゼロじゃないすけど、敵の手札が(多分PL情報で)わかんないので、初手での対応のしようがなさそうす。 なんらか遮蔽が作れると良さそうすけど、敵の手数次第ではカバリングでも吸収できる範囲かも。 あとはどういう風に対応するか、っすけど……んー、俺、弓も使えるんで、カバリング+弓要因になってもいいかなって思っているす。 >保険 もし余裕があれば、保険として薬はまとめといて、マジカルポケットに入れておいてもいいかもしれないすね。 そしたら馬車が横転したり、多少矢とかを打たれてもなんとかなりそうす。

  3. ハリス・アル・ターミル

    人々を救う薬を私欲で強奪するなど断じて許すわけにはいきません! このハリス、全霊を以て守衛の任を果たす所存です。よろしくお願い致します。 >マタリキー殿 ………(付け合せの野菜を置く) ………(酒樽を担いでくる)(←

  4. ハリス・アル・ターミル

    >作戦 マタリキー殿、草案をありがとうございます。大筋は問題ないかと。 早期に馬車を安全な位置に逃さなければ、双方に破壊する気がなくとも危険です。 ただ、遮蔽については迂回してくる緑装束のエルフのスキルが厄介ですね。 また吹飛を扱う敵も多くおります。籠もるだけでは対処は困難になりましょう。 敵の脅威度を個別に表しますと、以下のようになるでしょうか ・黒装束:非常に危険 遠距離から吹き飛ばし効果のある魔法攻撃を連射してきます。 愚直な突撃ではこちらにリザードマンが多いこともあり、苦戦は必至ですね。 シューターの方や弓を扱える方が早期に落としたい所です。 ・緑装束:危険 こちらの遮蔽を貫通するスキルを持ち、範囲内であればどこでも撃たれる可能性が 生じてきます。防御面が脆い方を狙われると危険です。 ・青装束:危険 移動力6かつ移動先に攻撃可能というのが脅威です。 もし防衛線を抜かれ馬車を強襲されれば対応は困難を極めます。 幸い、近接物理攻撃のみしか行えないようですから光縛封が有効かもしれません。 ただ白装束が健在な場合は1回は消されてしまいます。タイミングが重要ですね。 ・赤装束:普通 至近距離での戦闘になれば確かに強力ですが、単純な攻撃スキルのようです。 他の者を庇うように動かれると厄介ですが、そうしないなら脅威度は低めですね。 ・白装束:低い 先述の通り、光縛封などを消し去るスキルを有していますが1度きりとのこと。 回復以外は遠距離に出せる手もないようです。先んじて弓矢で処理できれば。

  5. No.5

    サイラスだ、よろしくなー 肉食の前で肉料理になるのはアウトだと思うけどなぁ(ケチャップ、タルタルソース、レモンと米を置く) 作戦問題ないよ。脆い薬瓶のやつとかはマジカルポケットに入れて、戦闘だと黒〉緑〉他優先で弓で射掛けつつ遮蔽無視をカバリングで受けてこうかね? 火矢あって馬車燃やされるか伏兵いると怖いから対処の為後ろにいたいし前衛する方にお願いしたいけども

  6. トゥーリ

    トゥーリだよ、よろしく! みんなご飯の準備してどうしたの? ルウさんが付いてるとはいえ、7人と5人だから戦力差はほとんどないかもね…… 馬車を逃がしちゃうっていうのはよさそう! 敵の移動力がかなり高めみたいなのと、青とか緑は追撃向きの能力みたいだから、こっちを迂回して馬車を追いかけるように動くかも。ルウさんは馬車の護衛に専念してもらってもいいんじゃないかなと思ったよ

  7. フェイサル・セイフ

    フェイサル・セイフだ。少しばかりの癒しの術と剣が使える、宜しくお願いする。 ……何だ、肉料理とは戦いの前に活力を、という計らいかね? >方針 基本的な方針として馬車とその積み荷を守る事に異存は無い。薬とは重要な物だ。 そして積み荷を知っている物取りであれば薬品を駄目にしかねん火は使うまいが、 最悪我々が戦っている間に馬車そのものを奪われて逃走されかねん。そういう意味でも後方からの警戒は必要だな。 しかし敵――何とは言わないが、どうにもこちらと"色合い"が重なるな……いや、違う。 連中も各々の特技を生かして役割を分担しているようだし、あちらの困る部分を早急に潰したい所だな。 確かに手の内は見えない以上、我々(PC)からは見えている限りの風体なりで推測するしか無いのが痛いが。 ……それにしても。 何故こいつらは待ち伏せの利点を捨ててまで、馬車や我々から距離を取ったままに姿を見せたのだろうな。 可能であれば捕縛・無力化なりして背後関係など引き出すべきなのかも知れん。 ……依頼を出して来た彼女の様子にも、少々気になる点もあるだろう?

  8. No.8

    まあ弓とキャスター武器とキャスター武器?とシーフ武器とウォーリア武器だろうしなー。弓とキャスター武器持ち狙う様にしとけば厄介な所最初から狙えるかなと んで持ってる人はマジカルポケットに特に重要な薬突っ込んで、それぞれの指定した距離でやってく、黒緑、次点で青優先目にして、馬車下げつつ狙うでええのなー? 何と無く「学園の」抱く病巣だから、派閥争いの一つでは?とか、裏でオクスリ流行ってて薬が原料被ってるか原料そのものなのでは?とか「取引」してるからお金無くて出来ない様な集落とかにお薬が行かないから奪うとか まあお仕事に関係ないけどなー。 盗賊?に狙われると書いてるだから被害も分からんし

  9. ルチル・プルメリア・グレイハーツ

    情報屋のルチルだ。出遅れたがよろしく。 全身をカラフルな布で隠してるとは普通の物取りにしても妙だね。顔を隠したいにしても各人で色分けする必要性はないはずだ。 実際能力的には優れているようだが妙な自己主張を感じるさね。 ……正確な所は一人二人捕まえてしまえば自ずとわかってくるか。 それと、よりにもよって唐揚げに擬態するのはマズいんじゃないかね。味の話ではないが。 >優先 相手は馬車の積み荷を狙ってるわけだし遠距離攻撃持ちが厄介なのは同意だ。 緑のなんかは最大射程がシューター武器と同じだから安全圏が確保しづらい。 最も優先して排除すべきなのは遠距離魔法攻撃と牽制が使える黒いのだからこいつから弓で狙って行こうと思うが。 >作戦 マジカルポケットで隠しても襲撃者視点からはわからないから、相手が薬優先なら効果的な陽動になるだろうね。 懸念点があるとすれば追撃に向かった敵と残ってこちらの足止めをしてくる敵で分断されかねないという事か。 こちらの移動もあまり高いとは言えないし、追いつかれた時ルウ一人で任せるには不安が大きい。 逃がすとはあるがどれだけ離すかは決めておいた方がいいと思うね。せめて武器の届く範囲には置いておきたい。

  10. マタリキー・T・ヒーロー

    ふう。めちゃんこ時間があまりない事に気づいたので、唐揚げ片手に参上す。ハリスさんは野菜ありがとす。レモンかけます? >作戦 敵が色とりどりでやべーのはわかるんすけど、基本的に能力はわからんので、俺たちは後手に回る前提があると思うす。なんで、初手からの対応で相手の行動を引き出しつつ、馬車が逃げ出せるまではある程度詰めておきたい気持ちす。 あと、個人的にはフェイサル先輩がおっしゃる、「なんで姿を現したか」っていうところも気になるんすよね……まあ妙案はないんすけど。へへ。 とまれざっくり。 ・ルチルさん、サイラスさんはキャスターっぽいのとシュータっぽいのを射つ。 ・接近してくる緑と、赤をどうにかして止める。特に赤いのは吹き飛ばしが来て面倒くさいことになりそう(俺とハリスさんは避けること能わずの予感がするす) ・シーフを光縛封で閉じ込めつつ、後方の敵(か、前方で孤立するドワーフおじさんをボコする) こんな感じにできたら理想すね。オブジェクトを一個消されるのはPL情報すから、「もう一個、ヒーラーが消さねばならないオブジェクト」を配置すると自然かもしれないす。 たとえば……濃煙幕とかすかね。後衛火力の射線が遮られるんで、ヒーラーにとっても優先度高いと思うす。そのスキにシーフを閉じ込めたら良さそうかな、と。 まあ、俺はこの流れ、マジでなにかすること……なさそうなんすけど……周りでも警戒しておいたらいいすかね……?

  11. ハリス・アル・ターミル

    >馬車について 5人衆は陽動で、伏兵がいる可能性は確かに高いかと思われます。 マタリキー殿が警戒について下さるなら心強いですね。 これについて緊急時の策としては、馬車に光縛封をかける手もありますね。 ヒーラーのどちらかが馬車の近辺にいる必要がありますが。 >行動 狙われる可能性が高いので魔法防御を重視しておきましょう。 エーテルブレイド+殺界で最短距離を封鎖し、敵の移動ルートを限定します。 突っ切るにしろ回り込むにしろ、敵の邪魔はできるかとは。 マジックポケットについては…すみません、魔術の類は不得手でして。 代わりに戦術眼、看破を用い、戦闘中も敵の意図を探るつもりです。

  12. フェイサル・セイフ

    ふむ、改めて状況を確認してみると…… 数度の襲撃を受けこちらが警戒を強める中で、身を隠せる場所でも距離を開けての奇襲、これは…… あえて姿を晒して我々護衛を馬車から引き離そうとしている、辺りだろうか。 護衛が手薄になった所で伏兵か、迂回・突破した敵が馬車それ自体を奪って走り去る、というのは考えられる。 そう考えると馬車を守るという基本方針は変わらずとも、ルチルの言うようにあまり半端な距離を離すのは危険だな。 敵そのものへの対処はマタリキーの挙げているそれで問題無いと私も思うが…… 馬車に関しては移動させない、または手近で少しでも周囲の見通しが良い場所に陣取らせる方が良いのかも知れない。 ……残り時間も押している中での提案になってしまうのだが。 その場合、私は馬車を光縛封の射程に入れつつ皆を支援(回復・防御バフ)、になるな。

  13. ルチル・プルメリア・グレイハーツ

    カラフル集団が陽動の可能性を否定できないなら尚更動かさない方が得策だね。 光縛封も見張りも付くならすぐに壊されないで済むだろうし。 濃煙でオブジェクト解除を誘発させるのはいい案だと思う。 捜波も一緒に持ち込んで向こうが抜け出そうとしても動きを読めるようにやっておくよ。 マジカルポケットはSPが足りないから他の者に任せる事になるな。

  14. ハリス・アル・ターミル

    では作戦の流れとしては以下のようになるでしょうか。 1:馬車は逃げる素振りを見せつつもあまり遠くに離さず有事に備える 2:煙幕を前方に展開し敵の射撃を妨害しつつ「消失」の消耗を狙う 3:殺界で移動ルートを制限しつつ敵の遠距離・回復持ちを優先撃破 4:敵が殺界を強行突破しない、ないし馬車への侵攻が手緩い場合は伏兵警戒 といったところでしょうか。 問題なければこちらで記載しておきます。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0