奪われしは麗しき花 ~大貴族の令嬢を救え~
ウケッキ
コメント 31
シナリオID:783
オープニング
リーンエス王国内には貴族領というものがある。
それは力のある貴族や由緒正しい血統の貴族が王国から管理を任された場所のこと。
ほとんどの場合はまともに管理されているのだがこういった場所には往々にしてきな臭い話も少なくはない。
それはこのロイエス・シルトハウトが治めるロイエス貴族領内でもまことしやかに囁かれていた。
そう、人が消えるのである。
ある時を境にロイエス貴族領内の人が忽然と姿を消してしまうのだ。失踪、とでも言えばいいだろうか。
何の前触れもなく消え、行方を追っても辿り着けることはない。
そういった足取りの全くわからない失踪が数は多くないが確実に起きているのだ。
住民は不安がってはいるが、この貴族領を治めるロイエスはわがままであり人々の陳情など聞くはずもないという理由から彼ら住民は何もできないのである。
人々は恐れ、ただただ震える日々が静かに続いていたのであった。
そんなある時、ロイエス貴族領内を外遊先として選んだ者がいる。
王党派閥の大貴族レリトール・レインディアの娘であるアルメール・レインディアだ。
彼女は不安がる住民を落ち着かせようと父であるレリトールに頼み込み、今回の外遊を許可されたのである。
さて、大貴族の他貴族領内への外遊というのはさほど珍しくはない。
なぜなら表立って大貴族と事を構えようとする阿呆はいないのだ。地方貴族風情が大貴族の令嬢相手に問題を起こせばそれだけでその地方貴族の首は危ういだろう。勿論、地位と命の両面で。
それ故にこういった外遊が行われる際は各所へ何も失礼がないようにと厳命されるのだ
「ふう、もう少しで町に着くかしら? こうも長い間、馬車に揺られていると身体がなまってしまいそう」
「お嬢様、ここは他貴族の領内ですよ。そういったお転婆に思われる発言はお控え下さい。お父様の名声に影響致します」
「……もうっ、わかってるわよ。だからこうして動きにくいドレスとか大人しく着てるじゃない?」
そういって御付きのメイドであるシリカにむくれた顔を見せる彼女こそ、レリトールの一人娘アルメールその人である。
彼女は自領内ではかなりのお転婆として知られており、片手長剣を扱うその腕前は一人前の騎士にすら迫る程だ。
アルメールはよく屋敷を抜け出しては仲のいい護衛と共に領内のクリーパーや魔獣討伐を行う程であり、そんな彼女の強さは実は授恵者なのではという噂があるが真意は定かではない。
だが今回は外遊なのでお気に入りの長剣を彼女は腰に下げていない。あるのは精々護身用の短剣だけであり、それは長い袖口の中に隠されていた。勿論、そんな物を装備していることは内緒である。
(何もないってのはどうにも落ち着かなくて不安だから持ってきたけど……バレたらやっぱ没収よね?)
共にいる御付きのメイド、シリカにバレない事を祈りつつ、アルメールは場所の外の風景を眺めるのであった。外にはのどかな田園風景が並んでいる。
その時だった。馬車が急にがくんっと止まったのである。
「わっ!? ちょっと、何? 誰か馬車の前にでも――」
「何だお前達、こちらはレリ――ぎゃああぁああっ!?」
「……っ!?」
馬車を操っていた御者の悲鳴が響き渡り、何か不測の事態が起きたのだと判断したアルメールはシリカに耳打ちする。
(いい、あたしが引き付けるから貴女は裏側から出て一旦そこの森へと身を隠して。状況が落ち着いたらお父様に救援要請をお願い)
(そんなお嬢様っ、そんな役目は本来は私が……!)
(貴女じゃ逃げられないでしょ!? あたしだったら自分の身は自分で守れる、もし捕まったとしても逃げる自信はあるわ。適材適所ってこういう時の言葉でしょう?)
(お嬢様……っ)
シリカの返事は聞かず、アルメールは馬車の扉を開け、外へと出た。
すると目の前には血塗れで倒れる御者の死体。地面に多量の血が流れている。その出血量から見て既に死んでいるだろう。
その死体を踏みつける男が血の付いた剣を向け、アルメールへと笑いかけた。
「はいはい、お嬢さん……ここは通行止めでなぁ。いやーかわいそうだ、この御者は魔獣に襲われて死んじまったんだからなぁ?」
「は? あんた、何言って……っ!」
「わかんねえかな、お嬢ちゃん頭回そうぜ? 身なり、馬車の雰囲気からしてそこそこの貴族だろ? だったら魔獣に襲われたことにしてさらっちまえば……通常じゃ手に入らない上玉中の上玉、とっても可愛い奴隷ちゃん入手って寸法よ」
本来であれば大貴族に歯向かおうとする者は少ない。だがこういった力に物を言わせるタイプの輩は別である。
「あ、あにき……こんな名がありそうな貴族令嬢なんかさらったらやばいんじゃ……!」
「うっせえ、黙ってろ! 魔獣に襲われたみたいに演出してやれば不幸な事故、捜索するも見つからず、ってやつになるさ。実態を知るのは俺達だけなんだからな? 上への報告は貴族ってとこ伏せりゃ問題ないだろ。ほら、お嬢ちゃん……大人しくした方が身の為だぜ」
剣の切っ先をゆらゆらと揺さぶって見せる男はアルメールに近づいた。
短剣を抜こうか迷ったアルメールだが、ここで抜いては早々に武器を失うことになると判断し、彼女は大人しくすることにしたのだ。
男はアルメールの綺麗なドレスの裾へ剣の先を入れると少しだけめくりあげる。綺麗な足がちらりと見えた。
彼女の茶色の長い髪を手に取ると男はそれを嗅ぐ。寒気が走るアルメールだったが目を瞑って耐える。
「すんすん、あぁいい匂いだ。こりゃ上玉過ぎるかもな? はは、安心しろ。商品には傷はつけねえ。ま、買われた先でどうなるかは……保証できねえけどな、はっはっはっはっは!」
下卑た笑いを浮かべた男の顔をアルメールは睨むのであった。
●【お転婆娘救出作戦】
アルメールが連れていかれてから数日後、彼女が拉致されたという情報は父であるレリトールの元へと届いた。
事態は突然のことであり、王国騎士団を派遣する暇がないことを考えたレリトールは冒険者達に依頼することにしたのだ。娘をさらわれた彼の怒りは凄まじく、執務机が一つダメになったことをここに追記しておこう。
そしてロイエス貴族領内、とある町の酒場。
酒場の机には依頼を見た冒険者達が集まっている。彼らに向けて机に地図を広げたのはメイドのシリカであった。
「襲撃された地点はここです。あれから後をつけ情報を収集した結果、彼らはこの町の近くにある洞窟にて少しの間、休憩を取ることがわかりました。救出のタイミングは今しかありません」
シリカはただのメイドではない。情報収集、諜報に関してはレリトールから多大な信頼を置かれている者であった。だからこそ、アルメールお付きの専属メイドとしたのである。
アルメールは情報を収集し、救出作戦をこうして滞りなく進められる点を評価して彼女を先に逃がしたのであった。
「では皆様、時間が惜しいので出発しましょう。そろそろ日が落ちます……夜の闇に紛れれば救出作戦は成功するはずです」
こうしてアルメールを救出する為、シリカと冒険者達は酒場を出て……件の洞窟のある地点へと向かった。
解説
マスターより
リプレイ
夜の闇は深いものだ。それはどこの世界でも同じである。
その闇の中を音を立てずに進む者達がいた。それは授恵者の一行である。
彼らはさらわれたアルメール・レインディアの父親に頼まれ彼女の救出に向かった者達だ。
その中でも先行として進むセリオス・オーガストは弓を引き絞ると入り口で見張りに立っている男目掛け矢を放った。
風を纏った矢は加速度的に速度を増し、瞬く間に男の息の根を止めた。どしゃりと男は床に倒れる。
セリオスは背後にいる味方にハンドサインを送るともう一度屋である部分を狙う。
それは洞窟の天井から吊り下げられたランタンであった。彼の放った矢がそれを打ち抜いた瞬間、ランタンは地面へ落ち洞窟の中は闇に閉ざされる。
「くっそ、敵襲かっ!? お前ら、散開しろっ! ぐわぁぁっ!?」
「この野郎、どこから撃って来やが……ぎゃああぁあっ!」
セリオスは時々位置を変えながら矢を放っていく。暗闇というのも手伝い手練れである傭兵達ですら敵の数や位置をセリオスの射撃によって正確に把握できていなかった。
浮足立つ傭兵達の中でセリオスはキャスターに狙いを定め矢を放っていく。
エーテルを込められた矢はキャスターの一人に命中した瞬間、衝撃波が拡散する。拡散する衝撃波に吹き飛ばされキャスター達はまともに魔法をうつことができないようだった。
確実に魔法をうたせないようにするセリオスであったが彼にはもう一つの目的がある。
それは奇襲の混乱に乗じ、入り口から脱出を図る者の捕縛。彼らに逃げられては奇襲の意味がない。
矢を放つことに専念するセリオスの援護を行うのは相棒のゴルバルティアだった。
彼女は猛然とセリオス目掛けて突進するウォーリアの前に躍り出る。腰には光源代わりのランタンが下げられており暗闇で彼女は非常に目立った。
「待ちなっ! あんたの相手はこの私だっ! おらっ、かかって来いよっ!」
大剣にエーテルを纏わせ、そのまま振り下ろしてくる男の攻撃をダマスカス鋼の盾で受け止める。硬い盾と彼女の防御能力が合わさった鉄壁の防御は容易には貫かれない。
そのまま弾き飛ばすように盾を振るうと体勢を崩した男を力任せに殴りつける。男はたまらずその場に倒れ昏倒した。
彼女の背後ではこそこそとキャスターの男が罠を発動させようとレバーに手をかけていたのだがゴルバルティアはそれを察知し素早く振り返って罠ごと男を叩き伏せる。
「こんなもんか、てめぇらぁっ! 私はここだぁっ! どんどんかかって来い! 一人残らずダウンさせてやるぜっ!」
雄叫びを上げる彼女に群がるように男達が武器を振り上げて飛び掛かるが、薙ぎ払いの一撃で簡単に吹き飛ばされていく。
暗闇の中で突如現れた光源。それに目が慣れず、攻撃の距離感が図りづらいのだ。それ故に傭兵達の攻撃は彼女にほぼ当たっていない。時には明るいというのも考え物である。
「ぐぅぁあ、く、そ、うごか……ねえ……」
同じく入り口付近で戦うイヴェール・イリュジオンは尻もちをつきながら斬られた腕を抑える男の喉元に剣の切っ先を当てる。
「投降すれば命は取りません。ですが抵抗する場合は殺さないよう善処しますが……」
そこまで言ったイヴェールは剣の切っ先を彼の怪我をしている腕の辺りへと移動させる。そのまま表情を変えずに言い放った。
「手足が無くなるくらいの覚悟で抵抗して下さい。私は加減しないので。腕一本ぐらいで済めばいいですね」
がっくりとうな垂れて武器を放った男をイヴェールは盾で思いっきりぶん殴って昏倒させ、入り口を固めているセリオス達の方へ蹴転がす。
彼女は始まりの百家と呼ばれる貴族の出である。しかし彼女の家は権力闘争の果てに没落しその恨みは脈々と受け継がれていた。
その恨みを否定し拒否する彼女がかつての自分の家と同じ派閥、王党派の大貴族の娘を救出に来ているとはなんという偶然だろうか。
「俺の炎で焼き尽くされろぉっ!」
キャスターの男が人の頭程度の火球を生成するとそれを味方の回復行動を行っていたキーゼ目掛けて放つ。彼は“ヒーラーは攻撃に弱いもの”という潜入感から彼を狙ったのである。
だが火球は彼に届く前にキーゼの前にあった岩にぶつかって砕け散った。彼に火傷を負わす所か、ただ岩を焦がしただけである。
キーゼは敵と自分達の位置、攻撃の射線を常に考えておりどのような方向から攻撃が来ようとも即座に身を隠せる位置取りをしていたのだ。
驚いて慌てるキャスターに接近すると片手に持った祭刀を振るってキャスターを地面へと叩き伏せる。その動きはただのヒーラーのようには見えない。
地面へと倒れるキャスターの首元を膝で抑え込み、呼吸を阻害するとキーゼは男を昏倒させた。彼のその行動は軍にてよく使用される捕縛方法だが多くを語らない彼がなぜそれを行使できるのか詳細は不明である。
「さて、取り越し苦労だとよいのですが……」
そう呟く彼の視線はグレイブ・ヤードと共に乱戦の中を抜け、身を隠しながらアルメール救出に向かうシリカの方へと向けられていた。
「御用改めなのだー! お縄につくといいのだー!」
奇襲の混乱に乗じてマジックディソナンスで弱体化をかけたストレガ・L・リベルガストラは稲妻をまき散らしていた。
所狭しと放たれるアーケインテンペストの稲妻は暗闇でもたつく敵に絡みつき、その動きを制限する。
退路を断つように放たれた稲光は彼らを容赦なく追い詰め、その逃げ場をあっという間になくしていった。
それでもまだ抵抗を試みようとする相手には無数に浮遊させた光弾の嵐が降り注ぐ。辺りはまさに敵にとっては地獄絵図。これでも彼女、手加減をしている。恐るべし当代のストレガ。
至近の敵には魔霞も叩き込んでおり、敵による周りの味方への攻撃命中低下もしっかりと施されているのだから抜け目がない。
なお死にそうな敵にはヒールをかけ、その命の火は消させない。目的はあくまで救出、そして捕縛。討伐ではないのだから。
完全に戦意を失った敵は光縛呪で動きを止める。念には念を入れ、その人物がキャスターであった場合は殴って昏倒させ身包みを剥ぎ、後ろ手に縛って猿ぐつわを施した。ここまですれば容易に魔法の発動はできないだろう。
そうして捕縛した敵を入り口の方へと放ってそちらの担当の者へと任せる。
本来であればぜんころしでも問題ない所、情報の為に生かされるだけありがたいと思うのだ、とは彼女の談である。
後方からキーゼと役割を分担しあい、ヒールを施していたのはシルヴィア・A・カペルだった。
彼女は的確に戦場を見渡し回復が薄い所へすかさず回復を行っていた。それにより前衛のメンバーは傷をさして気にすることなく戦えている。
ある程度敵の数が減り、回復が落ち着いてきた所でシルヴィアは捕縛された敵の尋問へと移った。
「その髪……その目。てめぇ……カペル家の奴か」
カペル家。リーンエス王国の侯爵家である彼らは本来、金髪に赤眼の一族だが入り婿である祖父と彼女の髪は白く、その眼は青い。それ故に目立ち、知られている場合もあるのだ。特に傭兵家業のような上との繋がりを重視する者達には。
「知っているのか。それなら話は早い。誰の差し金だ?」
「はっ、誰が言うかよ。言ったら俺の首が飛んじまう」
「君の態度次第では助命の口添えはしよう。処罰についてはアルメールの父君次第だが。さあ、話してくれないか……君の知っていることだけでいい」
彼女の申し出は男には救済に思えたのだろう、ぽつぽつと男は知っていることを彼女に話し始めた。
男によれば彼らのボスであるエクネオはどこかの偉い人物から“この領地で好き勝手できる”手形のような物を貰っていたという。
それさえ提示すれば大ごとになる前にある程度の事態は揉み消してくれるのだとか。
「そうか……そういうことか。この場所でそんな事ができる人物は……あいつしかいない、か。だがなぜアルメールに手を出した? 大貴族に手を出すことは相応にマイナスの方が大きいはず……」
●お転婆との邂逅は突然に
グレイブとアルメールのお付きの侍女であり授恵者であるシリカは手前の部屋の乱戦を避け、奥の部屋へと続く通路を事前調査したシリカの案内で進んでいた。
「アルメール様、無事だと良いのですが……」
「大丈夫です。彼女の救出の為に我々のような者が派遣されたのですから」
彼女を励ましながら通路を行くグレイブは他とは違う壁に目をやった。そこは色の違う壁であり暗闇ならばわからないかもしれないが腕を伸ばすと壁にカモフラージュされた布であることが判明する。
布の奥に人の気配を感じたグレイブはシリカに注意するように促すと布をくぐった。
その瞬間、彼の頭目掛けて何かが振り下ろされる。
グレイブはさして焦ることなくそれを受け止めるとそれを持った手を捻り上げた。
「いった!? いたたたた!?」
「……もしやアルメール様ですか? これはとんだ失礼を。咄嗟だったもので」
「いや、いいのよ。こっちも攻撃して悪かったわ。丁度見張りをぶっ倒して脱出する所だったのよ。で、シリカ、この人誰なの?」
シリカはアルメールの救出の為に父であるレリトールが救出部隊として授恵者を送ったことを知らせる。
「なるほど、お父様ってば心配しなくてもいいのに。ま、安全に抜け出せそうなことはお礼を言うわ、ありがと」
グレイブは二人と共にその彼女の捕らわれていた小部屋を探索する。
大抵は役にも立たないようなガラクタばかりであったがその中に一通だけ気になるものがあった。
それは【R】という者からの指示書のようである。指示書には何人の女性を何時までに用意、とそのようなことが記されていた。
「これは……重要な証拠のようですね」
●傭兵の一念
「ここは私がっ! お二人は先へ!」
ウォーリアの男と組みあいながらそう叫んだフリーダ=ブロムヴィストの背後を抜け、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアト、アルマ・ヴァレンタインは奥の部屋へと入っていく。
「ははは、お嬢ちゃん、ずいぶんと自信があるようだなぁ? 俺だってこの道うん十年の傭兵……お嬢ちゃんみたいなのに負ける気はないぜ!」
男は咄嗟に背後へ飛びのくとそのまま身を屈めて素早くサイドステップを行った。視界から急に対象が消えるのだ並の剣士であれば一瞬、混乱するだろう。
(一瞬の混乱は戦場では死と同義! もらったぁぁああっ!)
勝利を確信しながら男はフリーダの死角からエーテルを纏わせた回転斬りを放つ。だがその刃は彼女には届かない。
彼女は神の啓示を受けたと自称する。そんな彼女は時折、自分が動かしていないように感じる動きを体が取るのだ。
素早く反応した彼女はエーテルの光で延長した長大な光の刃を振り回し一太刀のもとに男を叩き伏せた。隠れて攻撃しようとしていた伏兵達まで纏めて。
「ふう。『寄らば斬る。寄らなくても斬る。当たり前だよなあ?』という啓示の通り、救出が終わるまでここは通しませんよっ」
そうして再び現れる敵へと刃を彼女は向けるのであった。
フリーダがグレイブやアルベルト達の向かった方向へ敵が行かないように抑えていた頃、アルベルトはエクネオと対峙していた。
「か弱き女性をさらうとは許し難き悪党だ! 正義の裁きを受けろ……紫電一閃っ!」
アルベルトが渾身の力を込めた紫電一閃を放つ。紫色の稲光を纏ったその一撃は研ぎ澄まされた一撃、まさに必殺といえる。
だがそれに合わせるようにエクネオは同じ紫電一閃を放った。二つの稲光がぶつかり合い、弾ける。
二の太刀としてアルベルトは剣先を一瞬燃え上がるように輝かせ斬撃を放つ。エクネオはそれに合わせるようにして同じ技を放った。またもぶつかり合い、相殺される。
弾かれるように二人は飛び下がって距離を取り、互いに肩で息をしている。
「はっはっはっ! 楽しいなぁ、兄ちゃん! こんなに湧き上がるのは久方ぶりだ! 紫電も、戦士の奴も撃ち尽くしちまった、はは、やっちまったなこりゃ」
「くっ、中々の手練れとは聞いていたがここまでとはな……! その実力がありながら、どうしてこんな悪辣な真似をしているっ!」
「そうだなぁ、兄ちゃんもされてみればわかるさ、捨てられし者の生き様ってのがよっ!」
アルベルトとエクネオがしのぎを削っている間、アルマは彼の側近と目されるウォーリアの男と戦っていた。
「まったく、可愛い顔でぼんぼこ撃ってきやがって……ちったあ、容赦しやがれってんだ!」
「容赦? 悪い人にそんなの必要……?」
ハーフリングであり可愛らしい外見とは裏腹に彼女の攻撃方法は堅実である。
しっかりと防御を固め、適宜アルベルトへの回復支援も忘れない。防御の合間に見える隙で攻撃と。敵にしてみれば攻め難いことこの上ないのだ。
男は光り輝くナイフを投擲するが回転するそのナイフを簡単に盾で防ぎ、突進してきた男の両手のナイフすらいとも簡単に受け流して見せた。
会話直後の虚を突いたつもりであった攻撃を受け止められた男は危険を察知して後方に飛ぶが時すでに遅し、彼にアルマの放ったエーテルの矢が次々と刺さったのだ。
アルマの戦いを横目にしながらアルベルトとエクネオは最後の一撃を互いに放つ構えとなっていた。二人のエーテルが高まり、その集中は計り知れない。
動き出したのは二人同時、その剣閃は徐々に速度を増していき常人ではもう見ることすら不可能に近い。
永遠に続くと思われた剣の応酬だがそれは突如として終わりが訪れた。エクネオの大剣が強度限界を迎え、折れたのだ。
大きく体を切り裂かれたエクネオは胸部から血を吹き出しながらがくっと武器を落とした。膝をつき戦意を失ったエクネオへアルマが近づき、問いかける。
「それ以上、もう戦えないでしょ。大貴族のご令嬢に手を出した以上ここを切り抜けても血眼で追われると思うし、繋がりがバレたら族滅……」
「言わなくてもわかるさ、ごふっ、傭兵稼業舐めんなよ、ちっさい嬢ちゃん。ああ、もう終いだ、はは、もう少し行けると思ったんだがな、背後関係が知りてえんだろ、だったらここに行きな。お前たちが知りたいもんは全部、そこに……がふっ」
紙切れのような物を投げるとエクネオは血を吐いて絶命した。
その紙には集合拠点とだけ文字が記され、あとはざっくりとした場所の指定があるだけ。
アルマが残留思念を読み取って分かったことだが顔を隠した身なりのいい男と彼はそこで会っていたようだ。
外の面々の探り当てた資料と合わせなんとかその場所を彼らは割り出す。
こうして背後関係を示す手がかりを見つけ、授恵者達は見事アルメールを救出することに成功したのである。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準10 / 4〜10人
2021年04月28日 13時31分50秒 公開
参加者
相談掲示板
ヒーラー、グレイブ・ヤードです なんといいましょうか、こういう手合いは 本当、どこにでもいますね
さて、宜しくお願いしますね。 知った顔ばかりなので気は楽ですか ひとまず求められている内容としては 〇救出 〇制圧 〇調査 この3点ですかね。 夜闇に紛れて、ということなので暗視系統か灯りは必須 とはいえ、夜闇に紛れるならば灯りは避けたほうが良いですかね あまり時間を掛けるのもまずいでしょうから、手前の部屋と奥の部屋はなるべく同時に。 シリカ氏に関してはこちらが戦闘を受け持つ間に要救助対象の救助を優先、というのがいいでしょうか。 人数的に、手前の部屋は対多を重点的な構成、奥の部屋は対個、対強敵を重視した構成、というところですかね
ウオーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 とりあえず、エクネオって奴を叩き斬ればいいんだな? 任せときな! それにしても、このエクネオって奴は何処のシルトハウトの部下なんだ・・・?
シルヴィアだ。よろしく頼むよ。 王国での悪事は見逃せないな。背後関係も是非調査したい。 キーゼが言ってくれた流れに賛成。暗視も持っていくよ。 敵が他の部屋に行くのも外に逃げられるのも困るし、各々の部屋の出入口を遮る位置取りも意識したい。お転婆さんとシリカの安全確保をしつつ、敵へは速攻重視で。 初期部屋の分担も決めておいた方が良いかな。戦闘にはまだ慣れてないし、手前の部屋を希望するよ。初手でサークルプロテクションとメテオライトを使いたいと考えてる。 あと、光縛呪を持っていって戦闘不能になった敵を全員拘束するつもりだ。……今まで使う機会がなかったし(咳き込み(
しかしそこそこ良い装備、とはどこからの入手なんでしょうねえ? 何らかの名のあるお仕事を続けなければまず手に入れることも難しいかと思うのですが >照明 「あえて引き付けるために」用いるのも手かなと思います。 暗視は暗視で有用でしょうけど、注目させる事で攻撃を誘導というのは悪くないかと。 >部屋について とりあえずは希望者次第、ですかね?
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 自白の為の生け捕り了解なのだ。 手前のキャスターが一番厄介かなと思ってそっちいこうかななのだ。 初手マジックディソナンス。攻撃はメテオライトで。 あとは洞窟探索にエンライトを。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしく。 暗視はもってるから付けていこうかな 生け捕り方針もりょーかい、解説の敵にクラス名書いてるし授恵者ってことでいいのかな? ノックアウトしても戦闘不能になるだけだからその方が手加減の心配をしなくて楽なんだけど うっかり死んじゃった(口封じとか?)時にも情報がとれるよう残留思念感応も持っていくね 人質さんの保護か主犯を閉じ込める用に光縛封を持っていこうと思うんだけど、 他の人の行動に引っかかるようなら他のをチョイスするね
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 基本方針は了解しました。 部屋については特に希望はありませんが、基本的には前衛としての行動になります。 戦法としてはシーザーロアで注意を引く囮役か、 あるいは殺界を使用しての攻撃役をと考えています。
遅くなってしまいました… ウォーリアのイヴェール・イリュジオンです。 どうぞよろしくお願いいたします(ぺこり) 斬ってしまいたいですが、彼らがロイエス貴族領内での失踪事件に関わっている可能性があるのであれば、絶対生かしたまま捕まえる必要がありそうですね。 流れについては特に異論はなく、隠し通路でもない限りは出入口を塞げば強行突破されない限りは逃げられる事はないでしょうか。 闇夜に紛れて洞窟に接近するのはそうなのですが、日が落ちたばかりの時間なのでしたら洞窟内の方は拉致犯も部屋に灯りくらい灯しているのでは? 少しの休憩を取るだけのつもりなら眠っているという事もないでしょうし。 暗視だけを有効に使うなら部屋の灯りを真っ先に潰して目が暗闇に慣れる前に叩く、という事も出来ますが…
>暗視・灯り これに関しては、あくまで洞窟に行くまで、という認識でしたね、言葉足らずでした。 接近するまでは気づかれたくない、というのが実情ですので。 誘導するにしても、迂闊に外でこちらの動向をバレるのは避けたいですからね。 様子を見に誰かが来る→戻ってこない この時点で、頭が切れる相手なら恐らく警戒するでしょうから。 イヴェール氏も言うように、恐らく向こう側の明かりもありますでしょう、内部には。それを壊して利用するのは十二分にありかと。 >要救助対象 居場所が分かってないのが厄介なんですよね…手元に置かれているのかどこかに隠しているのか…この辺りの捜索や当たりをつけるのも必要なので、一番手馴れてそうなNPCに頼んでおきたいところなんですよね >目的 必須目標は要人救助。殲滅に気を取られてここをおろそかにするのは避けるためにも、1,2名、NPCと共に救助優先で動く方がいてもいいかと。 候補がいない場合、僕が行きますが。 >部屋割り 手前にキャスター格がいるとすると、ある程度魔法防御に優れた人物と、物理攻撃で一気に削り取れる人物がいたほうがよさそうですかね。
>部屋割り 俺は奥の部屋を希望するぜ。 >生け捕り 可能な限りは生け捕りを試みるが、敵は(特にエクネオ)かなりの手練れみたいだからな、手加減なんてしてたら返り討ちに遭う可能性もある。やむなく斬る場合もあり得るな、ヴァレンタインさんの『残留思念感応』は必須だな。
はんごろしは問題ないしぜんごろしでもまあ問題ないのだ やりすぎないようにヒールもってくのだ
同班のストレガは改めてよろしくね。 洞窟で休憩をする、解説には洞窟内部を探れとある……よくこの洞窟を利用してたってことか。グレイブが言ってたように敵の装備がそこそこ以上のものっていうのも気になる。ロイエスか、その関係者が関わってそうだ。 洞察スキルを持っていって、捕縛した敵さんに今までの悪行や仕事について報告する上司、人身売買の買い手について聞いてみようと思う。洞窟にも何かあると良いな。 上記で話したように、敵さんについては情報を吐かせるためにも生かしてはおきたいけど、やっぱり難しい場合もあると思う。その時は仕方ない。救出メンバーとお転婆さんの命が第一だ。 残留思念感応は有難い。よろしく頼むよ。
>救助 私が動きますよ。 (シリカ氏の)補助と、別に戦闘を行う方がいらっしゃるのであれば 難易度は多少下がると思いますし 仮に荒事になってもそれなりには動けますしね。 >背景について 気になるところは多々ありますが、「思い込み」をするのは少し危険かと思います。 「ただ悪名や噂を利用しているだけ」というのもないとは限りませんからね。 装備も商人を襲うなどで手に入れる方法もありますから。 特に顔も見えない方の悪評というのは広まりやすいですし、 捏造も難しくないものですから。 証拠もないままに噂だけで判断というのは危険かと。 だからこそ証拠を押さえたい所ではありますが、全くの別件かもしれないというのもあります。
>救助 グレイブ氏ならば安心して任せられますか >背景 そうですねぇ...調べればわかることですし。 それに、自分の領地で他貴族の令嬢に何かあった、となれば困るのはその領地の貴族でもありますし‥可能性は色々考えられますからね。 調査と背景の洗い出しはフラットに行きましょうか。 >配置 では僕は、手前の部屋を基準で動きましょうかね。対魔法を視野に入れた耐久性はある程度確保しておりますし。
・・・ん、遅くなったがシューターのセリオスだ、よろしく頼む 流れに関しては問題ないと思うので賛成だ。俺も暗視を持っていく。 人数配置的には手前と奥で6:4ぐらいの配分ぐらいだろうか。
>残留思念感応 おまかせあれ~、活用しないで済む方がいいんだろうけど… もう1枠を中の配置を探る用でサーマルアイに変更しようかなと、 姿勢とかで救助対象が判別できるといいなあ… ふつーにシリカさんにお願いしたり敵に感波もちはいなさそうなので、 捜波とかしまくってもらうほうがいいかもだけど >配置 どちらでも大丈夫だけど今のところは奥の予定 救助はグレイブさんが担当してくれるみたいだし、 敵の頭数がすくないのでどっちか一体を光縛封で閉じ込めようかなあと OPで少し弱気?な三下発言がみられたので、 救助対象と親玉をどうにかした段階で降伏勧告したら大人しくしてくれないかなあ (命を保証するとはいってない)
私も遅くなっちまったぜ ウォーリアのゴルバルティアだ、よろしくな 勿論前衛する予定だ 物理防御面だけじゃなくて魔法防御も回避もそれなりに充実してるから魔法使いや主犯格の魔法攻撃をメインに対応する予定だぜ
キーゼと依頼で一緒に行動するのは初めてかな。同班よろしく。頼りにしてるよ。 確かに全くの別件って可能性もあるね……オープニングを見るにどうも手下の暴走(?)らしいし、上役が望んでいない展開になっているかもしれない。色々と考えて深みにはまりそうだ( うん、思い込みをせずフラットに証拠を探して調べてみるよ。グレイブもキーゼも助言ありがとう。 命を保証するとはいってない……成る程(笑いながら) 降伏勧告はありだと思うよ。光縛封も奥の部屋メンバー次第ではあるけど私は賛成だ。まずは出鼻を挫きたいね。
では現状より 私がさらっと読んだうえで並べるのであれば ・手前担当 キーゼ ゴルバルティア シルヴィア ・奥側担当 アルベルト という辺りでしょうかね? 勘違いやらありましたら修正等お願いします >部屋分けについて 一応注意する必要があるかな?と思う点ですが どちらかの部屋が早期に制圧される、あるいは不利になると増援が起きかねない点には注意かと思います。 (手前⇔奥での敵の移動がありえる?) 対人戦の場数、というのは甘く見ていいものではありません。 たとえこちらの人数が多くても、私達のほうが優位とは限らない点には注意するべきかと。 あちらの本拠地ですから。何が仕掛けてあっても不思議でもありません
グレイブ氏はまとめと注意勧告に感謝を、ですね 奥の部屋は2名だけですからね、現状。 イニチアチブを奪う意味でも、1人を光縛封で封じるのはありかと。 とはいえ、部屋の広さによってはそれが邪魔になる可能性もありますが。 ゴルバルティア氏もいるなら、僕は後ろに控えていた方がよろしいですかね?
っとと、取り急ぎ担当について。 違ってたら各自修正よろしく。 (以下順不同・敬称略) ・手前の部屋担当 キーゼ シルヴィア ストレガ ・最奥の部屋担当 アルベルト アルマ ・救出担当 グレイブ ・未定或いは言及なし フリーダ イヴェール セリオス ゴルバルティア ゴルバルティアについては、手前の部屋のキャスターや奥の部屋の主犯格の対応をすると書いてあるからどっちかは今のところ分からないなって。序盤の対応班になるだろうけど、連絡くれると嬉しいよ。
まとめありがとうございます。 では私は手前の部屋の方にいきましょうか。 取り急ぎ行き先の表明だけさせて頂きます。
ふむ、では俺も手前側を希望して置こう やや狭いかもしれんが部屋の入り口で敵を逃がさないようにしつつ射撃で援護という形になるつもりだ ・手前の部屋担当 キーゼ シルヴィア ストレガ イヴェール セリオス ・最奥の部屋担当 アルベルト アルマ ・救出担当 グレイブ ・未定或いは言及なし フリーダ ゴルバルティア
あぁ、書き方が悪かったか なら手前側担当で…で、いいかな? ・手前の部屋担当 キーゼ シルヴィア ストレガ ゴルバルティア ・最奥の部屋担当 アルベルト アルマ ・救出担当 グレイブ ・未定或いは言及なし フリーダ イヴェール セリオス
流石に、纏めなおしましょうかね‥‥ ・手前の部屋担当 シルヴィア ストレガ イヴェール セリオス ゴルバルティア ・最奥の部屋担当 アルベルト アルマ キーゼ ・救出担当 グレイブ シリカ(NPC) ・未定或いは言及なし フリーダ >配置 ちょっと手前が厚すぎますね。 僕は奥の部屋に回りましょう。 シルヴィア氏は手前側の回復やフォロー宜しくお願いします。 フロントから後方支援まで距離選ばず動けはしますから、立ち回りは展開で買えるようにしておきます。
ゴルバルティア、反応ありがとう。 イヴェールとセリオスも同班よろしく頼むよ。皆全力で頼りにしてる← キーゼの移動も了解。次の機会があれば是非共闘させてね。 戦闘依頼にはあまり慣れてないんだけど力を尽くすよ。 >個人行動 HP半分以下の仲間にヒール、複数ならヒーリングオーラ。これを最優先に。 初手は出来るだけ早く動いてサークルプロテクションを皆に掛けつつ、 敵が纏まってる所にメテオライトで攻撃する。 常に出入口を遮る位置取りを意識しつつ連携を心がける。 単体ならエーテルブローで斬るね。 戦闘不能の敵は光縛呪で縛って情報を聞き出せるよう頑張ってみるよ。
>編成 それでは私は奥の部屋を担当しますね。 救出含め6名ですから、ある程度バランスは良くなりますでしょうか。 >個人行動 前衛として行動、 救出役に敵が接近しないようエーテルブレード+殺界での進路封鎖で、 ある程度相手の移動を阻もうかと思います。
フリーダ氏が奥に来るなら僕は当初の予定通り手前に戻りましょう 人質確保のグレイブ氏とNPCも含めれば5名。別行動になるとしてもウィーリア2名のヒーラー1名ですから耐えられるかと。 手前の部屋を制圧次第合流する手筈に変えます。 こちらの数的バランスよりも敵数比で動いたほうが良いでしょうから
・手前の部屋担当 シルヴィア ストレガ イヴェール セリオス ゴルバルティア キーゼ ・最奥の部屋担当 アルベルト アルマ フリーダ ・救出担当 グレイブ シリカ(NPC)
ぷれいんぐ出してきたよー 自分のサーマルアイの他、シリカさんに洞窟内を調べたり罠の確認も手伝ってもらう感じに 光縛封は前に書いたとおり親玉じゃないほうに使う予定だけど、 アルメールさんが人質にされそうな状況ならそちらの保護優先で (どっちにいるかは書いてないけどたぶん奥…?) 主犯のエクネオがウォリアーで一断とか紫電を一回は使ってくるかもなので、 大ダメージ対応でリヴァーオブヴァイタルも持ってく予定