【CP】『征竜の巫女』と在野の名士
真柄 葉
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シナリオID:667
オープニング
ローレラウラ湖における交易の中心地で、湖畔の各都市だけでなく他の地方からも様々な商人が訪れては、鎬を削っていた。
様々な露天た立ち並ぶ市場にヒルルクの姿があった。
「あ、これ可愛いかも。ねぇねぇ、これいくら?」
「ああ、それなら200G――と言いたい所だけど、150Gでいいよ」
「え、いいの?」
「ああ、構わないさ。随分と街の事で力になってくれてるみたいだからね」
「あれは、まぁ好きでやってる事だしね。でも、ありがとう!」
ヒルルクは露天商に代金を渡すと気に入った木細工を手に取った。
「まいどあり! きっとあんたに似合う――うん? どうしたんだい?」
と、露天商がお決まりの文句を口にしようとヒルルクを見れば、魂が抜けた様に虚空を見つめている。
「ちょっと、あんた、大丈夫かい……?」
あまりに突然の事に、露天商は動揺するが――。
「え? あ、何か言った?」
ヒルルクはぱちくりと目を瞬かせ問いかけてきた。
「え? い、いや、何でもないんだけどね」
「そう? あ、わたしちょっと用事が出来たから行くね。これありがとう!」
首をかしげる露天商に手を振りながら、ヒルルクは店を後にした。
●
「ハボスさん、もう残りがこれだけしか……」
「……わかっています。少しでも長持ちさせるよう、量を減らして提供してください」
「そ、そんな。今でもギリギリで……」
「わかっています。わかっていますから、今は何とかお願いします」
「は、はい……」
トボトボと去っていく背中を見つめ、ハボス・グッテンゲートは大きなため息をついた。
この洞窟に避難してきてすでに半年。あの出来事があった時に何とか持ち出せた物資で命を繋いできたが、それもそろそろ尽きる。
「ハボスさん、やはり外へ出ましょう。このままでは皆が飢えてしまう」
頭を抱え俯くハボスの元へ武人然とした男がやって来た。
「し、しかしタージャさん! 外はクリーパーや野獣が跳梁跋扈する死地。いくら何でも皆を連れて出る訳にはいきません……!」
「わかっています。ですから、まだ戦える力を残している者達で何とか外へ行くのです」
「なっ! それは、女子供を置いて行けという事ですか!?」
「違います。落ち着いてください。戦える者だけで外へ出て、物資の調達に行くのです」
「物資の調達……確かに食料など早急に手に入れなければならないものは多い。しかし、外は危険ですし、何より……」
ハボスは再びがくりと頭を垂れ溜息をつく。
「金になるようなものは何もありません」
帝国を覆った大異変の最中、辛うじて脱出に成功し、この洞窟に身を潜めていたものの、金品など価値のあるものよりも食料を優先した為、現在手元には金に代わるものが何もない。
「……そもそも金にまだ価値が残っているかもわかりません。世界がどう変遷しているかわからないのですから」
「それでは、魔獣を狩って食料に……?」
「我々で太刀打ちできるものがいればそれもいいでしょう。しかし、もし居ないようでしたら……背に腹は代えられません」
「っ! そ、それはいったいどういう意味ですか!」
「近くに街道があります。もっとも、生きている人間がいる確証はありませんが、もしいるのであれば……」
「襲う、という事ですか」
震える声で話すハボスに、タージャはこくりと頷いた。
●
「征竜様ってば、いきなり帝国に行けだなんて。ちょっと急すぎない?」
通りから港へ向かう道を歩きながら、ヒルルクは呟く。
先ほど露天商とのやり取りの最中、突然話しかけてきた征竜は、ヒルルクに帝国の様子を見てこいと言ったのだ。
「帝国かぁ。どうやって行けばいいんだろう。また歩いていくのはやだしなぁ」
ヒルルクは極北からローレラウラへと至った道を思い出しながら、顔をしかめた。
「あれ、あそこは……」
と、港へ向かう通りの途中にあった馬車泊りを見つける。
「あっ。もしかして、帝国に行く馬車があったりしないかな?」
ポンと手を打ったヒルルクは、ふらりと馬車泊りへと歩いて行った。
●
「土煙が見えます」
「ま、魔獣ですか?」
「……いえ、どうやら馬……いえ、馬車のようです」
「馬車という事は、人……。やはり生存者がいるのですね」
「その様です。……いいですね」
「……はい、背に腹は代えられない。ですから」
●
「いやぁ、助かっちゃったわ。歩いて帝国まで行くのは流石に遠いもの」
深く轍の刻まれた道を行く馬車に揺られながら、ヒルルクは隣に座る行商人に声をかけた。
「はは、残念ながら帝国には入りませんけどね」
「それでも助かるわ。難民キャンプって帝国の近くなんでしょ?」
「そうですね。場所にもよりますけど、私が今から行くキャンプは帝国の目と鼻の先ですよ」
「よかった。そこからなら歩いてでも行けそうね」
目的の帝国へと行く馬車は残念ながら見つけられなかったが、幸いな事に帝国付近に行くこの馬車に出会えた。
「そうですね。馬なり借りれればもっと早くいけるかもしれません。しかし、帝国には何の用で?」
「うん? まぁ、ちょっとね」
問いかけてくる行商人に曖昧に答えるヒルルク。
「でもまさか『征竜の巫女』さんが同乗してくれるなんて、思わぬ幸運ですよ」
まだ若い行商人は、ヒルルクの答えに聞かれたくない話なのだと悟ったのか、話題を変え、日に焼けた顔で大きな口をあけて笑う。
「ふふん。商売もうまくいくようにお祈りしてあげちゃうわ」
「おぉ、それはそれは! これで私も一端の商人になれますね!」
「なれますねって、こんなに冒険者の人も雇えるくらいなんだから、もう十分立派な商人さんじゃないの?」
と、ヒルルクは荷台に乗っている同行者に視線を移した。
「今回の荷は、私の商人生命がかかっていますからね。安全の為の先行投資です。実はけっこう無理してるんです」
そう言って苦笑する行商人。
「ふーん。商人さんも色々大変ね」
「巫女様もいざという時は頼みますよ? 運賃はタダでいいですから」
「まっかせといてよ!」
とんと胸を叩いたヒルルクに、行商人が「よろしくお願いします」と声をかけようとした、その時。
――ヒュン!
「ううわぁぁ!! どぅどぅ!!」
突然飛来した矢が馬の鼻先を掠め、大きく倒立した。
行商人は慌てて馬の手綱を引く。
「な、何!?」
急停止した馬車から転げ落ちそうになったのを、ヒルルクは何とかこらえ辺りを伺った。
「あれはまさか……や、野盗!?」
と、何とか馬を御した行商人が街道の先の岩を指さした。
確かに岩陰から10人を超える人々が武器を携え近づいてくる。
「止まってくれ」
棍を携えた大柄の男が両手を広げ街道を塞いだ。
「抵抗しなければ危害は加えない」
大男は憂いを帯びた表情でそう訴えかける。
「すまない。荷物だけでいいんだ。置いていってはくれないだろうか」
そんな大男の脇から姿を現した壮年の男が、申し訳なさそうに語り掛けてきた。
「そ、そんな事が出来る訳――」
若い行商人が壮年の男に向け、震える声で反論するも。
「本当に申し訳ない。我々も食わねば生きていけないのだ……」
壮年の男は深く頭を下げる。
おおよそ野盗らしからぬ言葉遣いと仕草に、ヒルルクと行商人は瞠目し顔を見合わせた。
解説
マスターより
リプレイ
まだ肌寒い風が、遮るもののほとんどない荒野を吹き抜けた。
「まさか、ヒルルクもこの馬車に乗ってたなんて、すごい偶然だね」
「ほんと、偶然ね! アリエッタも難民キャンプに用があるの?」
「もぅ、違うよ。あたしはこの馬車の護衛。安全にキャンプまで送り届けるお仕事だよ」
首をかしげるヒルルクに、アリエッタは苦笑しながら答える。
「ヒルルクは何用で難民キャンプに行くんだ? アンタがあの街を出るなんて、何かあったのか?」
同じく馬車の荷台に揺られるルチル・プルメリア・グレイハーツがヒルルクに問いかけた。
「ええ、征竜様が帝国の様子を見て来いってうるさいのよね」
「征竜が?」
と、帰ってきたヒルルクの答えに興味を惹かれたルチルは即座にメモを取り出し、前のめりに聞いてくる。
「それで帝国に近い難民キャンプに行くっていうこの馬車に乗せてもらったんだけどね」
「それは征竜が帝国の動向に興味がある。そういう事だな?」
「え? あー、そういう事じゃないかな……?」
「なるほど、世界の守護者を称するだけあって、帝国内部での異変を感じ取っているのか。という事は、帝都に現れたあれも――」
ヒルルクの話を聞きつつ手元のメモにすごい速度で文字を書きなぐっていくルチル。
「あ、スヴァンもいるじゃない」
「……これはやらん」
「まだ何も言ってないでしょ!?」
名を呼ばれびくりと尻尾を膨らせたスヴァン=ウォルフ=ユーウェンは、抱えていた袋をヒルルクから隠す様に体の向きを変えた。
「やらんとか言うって事は、チョコね」
「……」
「図星ね! 一つくらい寄こしなさいよ!」
「……いいだろう、決闘だ」
「決闘っ!?」
「あれが『征竜の巫女』ってやつなのか?」
「ええ、まぎれもない『征竜の巫女』ですよ」
がやがやと賑やかな様子に、シスル・ノーティラスが隣に座るグレイブ・ヤードに問いかけた。
「あれで巫女? ただの娘にしか見えねーけど」
「あれで巫女なのですよ、残念な事に」
仮面の下で嘆息するグレイブに、シスルはますます表情を険しくする。
「まぁ、征竜の巫女が何かしらねーからいいんだけどよ……巫女なのか?」
「巫女ですよ」
どうしても『巫女』の部分が引っかかるのか、何度も問いかけるシスルに、グレイブは淡々と答えた。
「でも、なんかすごく変わった巫女様だね。巫女らしくないって言うかなんて言うか……」
と、エルゼリオ・レイノーラが会話に混ざる。
「変、と素直に感想を述べても征竜の罰は当たらないと思いますよ」
「い、いや、流石にそこまでは思って……ないかも?」
「実際、変わった方ですよ」
首をかしげるエルゼリオに、グレイブに代わりエルファリアが答えた。
「とにかく何事にも首を突っ込みたがる方です。幸い迷惑になるような事は無いようですが……とにかく物好きな人です」
ヒルルクをそう評したエルファリアは、以前の事を思い出しふぅと溜息をつく。
「もぉ! こんな狭い所で喧嘩しないのっ! チョコが欲しいならあたしのあげるから」
にらみ合うスヴァンとヒルルクの間に割って入ったアリエッタが、鞄からチョコを取り出し二人に差し出した。
「……命拾いしたな、ヒルルク」
差し出されたチョコを、尻尾をわさわさしながら受け取ったスヴァン。
「それはこっちのセリフよ、スヴァン」
なぜか勝ち誇ったようにヒルルクもチョコを受け取った。
「なるほど、これがチョコレート。金と同じ価値があると言われた、あの伝説の」
しれっと手を出すセツリも、ちゃっかりチョコを貰っている。
「い、いや、そこまで価値はないと思うけど……」
配り終えたアリエッタはチョコ在庫を確認。ちょっと悲しそうに溜息をついた。
「なぁ、巫女かあれ?」
そう言って皆を見渡したシスルに、首を縦に振るのはグレイブ以外いなかった。
●
馬車は何度か休憩を挟みつつ、順調に街道を進む。
そして、日も沈むかというタイミングで、それは起こった。
「ななな、なんですかあなた達は!?」
突然馬車が急停止し、御者台から行商人の震える声が聞こえる。
「何か用? 言っとくけど、お金ならないわよ!」
ついでヒルルクの挑発的な声も。
「――静かに」
荷台ではルチルが声を押さえる様にと身振りで指示する。
「……野盗か」
スヴァンが素早く幌の隙間から目視で状況の把握を始めた。
「何人くらいいるの?」
「二人……だな」
「待って、奥の岩場にまだ5人以上いるね」
アリエッタの問いに答えるのは、スヴァン、そして丘の上に人影を見つけたエルゼリオだった。
「ちっ、このまま何事もなく難民キャンプまで着いて、報酬を貰って終わりだと思ってたが……めんどくせーのに絡まれたな」
二人の情報に、シスルが舌打ちする。
「すでに矢を射られているようです。そして、私達の存在は気付かれていない……? これならば、機先を制することも可能なのでは?」
エルファリアが幌の隙間から外を見つめた。
「いえ、どうやらその辺の野盗とは雰囲気が違うようです」
「確かに少し様子がおかしいですね。しばらく様子を見る方がいいのではないでしょうか」
グレイブとセツリの提案に、エルファリアはこくりと頷く。
「――こんな事をしておいてなんだが、命を取ろうという訳ではないのだ」
リーダー格だろう壮年の男が、一歩ゆっくりと近づきながら語り続ける。
「本当はこんな事はしたくない。だが、このご時世だ。悪く思わないでくれ」
隣を歩く武芸者風の男も、壮年の男に合わせるように歩み寄ってきた。
「ストーーーップ!!」
と、そんな二人に向け、ヒルルクが御者台で立ち上がり、ビシッと指を指した。
「一体何の事かよくわからないけど、悪いことしてるってわかってるならやめときなさい! こんな事、わたしが許しても征竜様が許さないわ! ……違う、反対! 征竜様が許してもわたしが許さないわ!!」
ヒルルクは挑発的な笑みを浮かべ、さらに続ける。
「それに、ここには強い人がたくさん乗ってるんだから!」
まるで我が事のように自慢げに胸を反らすヒルルクに、男二人は警戒する様に一歩下がった。
「……台無しだな」
「えっ」
最早、隠れている意味がないと呆れながら出てきたスヴァンが、すれ違いざまにヒルルクに一言。
「奇襲の機を逸してしまいましたね……はぁ」
「ええっ」
溜息をつきながら出てきたエルファリアが、ちらりとヒルルクに視線を向け、再び溜息。
「もう少し戦力の確認をしたかったのですが、仕方ありませんね。仕方ありません」
「えっえっえっ?」
なぜか同じことを二度言いつつ出てきたグレイブ。
「……」
「えええっ!?」
愕然とするヒルルクの肩にポンと手を置き、ルチルはフルフルと骨面を横に振った。
「あ、えっと、その。嫌いじゃないよ、そういうの」
ズーンと肩を落とすヒルルクに、エルゼリオが話しかけ。
「そ、そうだよ。元気だそ! まだ終わったわけじゃないんだからっ!」
アリエッタが慰めなのか追撃なのか微妙な励ましをした。
荷台から姿を現した人影に、男二人は警戒し武器を構える。
「こちらの荷物は行商人さんが命を懸けて用意したもの。そして、私達はそれを守る依頼を受けています。申し訳ありませんが、そちらの要求を聞くことはできません」
「そういう訳だ。荷物を置いてけって言われて、馬鹿正直に置いて行く人間は、ここにはいねーよ」
セツリとシスルが男達の前に出た。
「護衛か……だが、我々は授恵者だ。怪我をしたくないのなら抵抗しない事だ」
二人の話を聞いた、武芸者の男が棍を地面に立て首を振る。
「申し訳ない。手荒な真似はしたくないのだ」
まったく余裕を崩さない二人に、セツリとシスルは驚き顔を見合わせる。
「なんだこいつら、そんなに強えーのか?」
「どうでしょう、そこまでとは思えませんが……」
自分達の認識が甘いのか、それとも大言を吐いているだけなのか、二人は男達の態度に困惑する。
「なるほど、授恵者が二人か。それは頼もしいな」
そんな二人の物言いに違和感を覚えたルチルが声を上げた。
「だが、こちらは授恵者が9人だ。戦力差は歴然だと思うが?」
「なっ、授恵者が9人……? な、なにを、馬鹿な。そんな人数をたかだか行商人が揃えられるわけがないだろう」
ルチルの言葉に訝しむ武芸者。しかし、明らかに動揺している。
「戯言はいい。さっさと荷物を置いて行ってくれ」
焦る様に早口で言った武芸者は、再び武器を構えた。
「えっ、そんなに珍しいかな」
と、そんな武芸者の豹変にエルゼリオが首を捻る。
「どうかな。結構普通だと思うけど……」
エルゼリオの疑問にアリエッタも首を傾げた。
「ははーん。なるほど、そういう事か」
それで何か思い当たったのか、シスルがニヤリと口元を歪め一歩前へ出た。
「なぁ、おっさん達。あんたら知らねーんだな。最近、授恵者の数が滅茶苦茶増えたんだぜ?」
「な、何を根拠にそんなことを」
明らかに動揺している武芸者に、シスルはゆっくりと近づく。
「それ以上近付くな!」
武芸者は棍の先をシスルに向け大声を上げた。
しかし、シスルは気にすることなく歩みを続ける。
「ああ、そういう事か」
「ええ、理解しました」
と、グレイブとルチルも何かに感づいたようで、シスルを追い歩み始めた。
「だから、どういう事……?」
エルゼリオが今度はルチルに問いかける。
するとルチルは振り向き――。
「アイツらは知らないんだ。まだ世界の変遷をな」
そう言って二人はシスルの元へと歩いて行った。
武芸者の間合いギリギリまで歩み出た三人は、武器を持たず両手を上げて戦意の無いことを示す。
「まずは私から一言よろしいでしょうか」
グレイブが一歩前に出る。グレイブは仮面の奥からリーダー格の男を睨み付けると。
「荷物を寄こせと言いますが、あなたは行商というものがどれほどのリスクを負って行われているかご存知でしょうか」
言葉の端々に怒気を含ませながら話を続けた。
「クリーパーや魔獣、野盗に盗賊、傭兵崩れなどもいるでしょう。そのような脅威から大切な荷物を守る、そして自らの命を守る。何より、商人としての信頼を守る。その為に、我々のような護衛を付け対価を払うのです」
聴く者を惹き付けるグレイブの声が辺りを支配する。
「あなた方はそれらの全てを踏みにじった上に、自らは罪悪感を得たくないが為に命の選択を迫るなど、傲慢甚だしい。もし、この馬車に積んでいるものが薬で、これが無ければ誰かの命が消えると知っても、あなた方はその行為を続けますか?」
「……他人を想う聖者の語だな」
グレイブの話をじっと聞いていた壮年の男が、彼に合わせるように一歩前へ出た。
「ならば問うが、君は目の前で最愛の人が死にそうになっていた時、すぐそばにいる他人が最愛の人を救う事の出来る薬を持っていたらどうする? 盗みは罪だ、殺しは悪だと、最愛の人を見殺しにするのか?」
壮年の男の口から語られる話は、まるで今ここで起きているかのような現実味を帯びている。
「……」
沈黙を貫き「続きは?」と目で訴えるグレイブに対し、壮年の男は続けた。
「我々の置かれている状況は、まさにそれなのだよ。申し訳ないが、我々には他者を助け、最愛の者を捨てるという選択肢は取れない」
「それは怠慢というのです。力での解決は禍根を残す。努力もせず――」
「まぁまぁ、二人とも落ち着けって」
互いの話が望まない方へヒートアップするのを感じ、シスルが割って入る。
「おっさんがリーダーだな」
「……そうだ」
シスルに問われ、壮年の男が答えた。
「あたしはシスル。冒険者だ」
「冒険者ですと……? 何故、冒険者が行商人の護衛などやっているのだ」
「そういう世の中になったからな」
訝しむ壮年の男に向け、シスルは肩の力を抜き語り掛ける。
「あれから色々あったんだぜ。世界中で授恵者が増えまくってな」
「馬鹿な! 授恵者とは神に選ばれし者! そう易々と増える訳がない!」
と、後ろから武芸者が口を挟んできた。
「おっさんには言ってねーよ。ちょっとだまっときな」
そんな武芸者に一瞥くれてから、シスルは壮年の男に向き直る。
「多分知らねーんだと思うから言うけど、世界は死んでねーよ」
「なに……?」
シスルの口から出た言葉に、壮年の男が反応を見せた。
「確かに帝国は滅んだ。だが、王国、同盟、諸々他国は無事だ」
と、シスルの隣へと歩み出たルチルが話を引き継ぐ。
「まさか、そんなわけがあるはずない! あの大破壊から逃れる事の出来る国があるなどと……!」
「確かにそうだな。アタイも見たよ、帝国のあの惨状を。あれはひどい有様だった」
壮年の男に同調する様にルチルが深く頷いた。
「だが、帝国以外の国が無事だというのも、また事実だ」
「証拠があるとでもいうのですか……?」
断言するルチルに、壮年の男が問いかける。
「なにをもって世界の生存を証明するか、か。なかなか難しい所だが……」
「それなら、まずはボク達が授恵者で冒険者だって証明すればいいんじゃないかな」
ふむとルチルが長い顎を摩りながら思案する中、駆け出てきたのはエルゼリオだった。
「おじさん達も授恵者なんでしょ? なら、スキルの存在くらい知ってるよね」
「もちろんだ」
エルゼリオの問いに壮年の男が頷く。
「なら――」
と、エルゼリオは掌に【エンライト】の灯を宿すと、仲間へ振り返った。
「なるほど! じゃ、あたしも!」
エルゼリオの思惑に気付き、アリエッタも手のひらから【エンライト】の灯を出現させる。
「では私はこれで」
自らの武装に【輝甲】を施したセツリの身体が、仄かなエーテル光に包まれた。
「派手なものも見せた方がいいでしょうか」
言うとエルファリアは大太刀を振るい、明後日の方向へ【衝撃波】を飛ばす。
「……剣を交えればすぐにわかるだろうに」
そう言いつつも、エルファリアが飛ばした【衝撃波】に追随する様に【衝撃刃】を放つスヴァン。
「これで先に言った授恵者が9人。冒険者が8人という事を信用してもらえますか?」
自らを【ヒール】の光で包みつつ、グレイブが壮年の男に問いかけた。
「……まさか本当に授恵者だとは驚いた。だが、それが他国の存続の証拠にはならんだろう」
行商人以外からスキルの発動を見せられ、壮年の男は本当に驚いている。しかし、自らの主張を覆すことはなかった。
「最早戦力差は覆しようがないというのに、子供じみた言い訳を……」
エルファリアが尚も矛を収めない男達に嘆息する。
「すまないな。私達も仲間の命がかかっているのでな」
そんなエルファリアに、壮年の男が頭を下げた。
「それです、頭を下げるくらいならそもそもこのような行為に走るべきではないでしょう。申し訳ありませんが、この襲撃の件は各街へ報告させていただきます。追って、討伐隊が編成されるでしょう」
「そうだな。もし、そのような街があるのなら、それが道理だ」
「まだ言いますか……!」
ここまで話しても、現在の世界情勢を疑う壮年の男に、普段は大人しいエルファリアも苛立ちに拳を震わせる。
「落ち着け」
険悪な雰囲気になりつつある二人の間に、ルチルが割り込んだ。
「そうだよ! 喧嘩はよくないっ!」
ルチルと同じくアリエッタが二人の間に立って両手を広げる。
「ねぇ、おじさん。おじさん達の目的って何? 荷物が欲しいって言ってたけど、それって食料の事?」
アリエッタは壮年の男をじっと見つめ問いかけた。
「……そうだ、我々は食料を欲している」
まるで心中まで見透かされているようなアリエッタの真っ直ぐな瞳に、壮年の男は大きく頷く。
「やっぱりそうなんだね。ねぇ、おじさん達の大切な人っていうのは、何人くらいいるの?」
「……」
その質問を訝しんだのか、壮年の男は沈黙した。
「別に襲おうとかそういう事じゃなくて、出来るなら手を貸したいなって思ってるんだ」
しかし、アリエッタはそれを見透かしニコリと微笑む。
「さっき配っちゃったからあんまり数はないんだけど――」
と、腰に下げていた袋を取り出すと口を広げ壮年の男に中身を見せた。
「……これは、菓子か?」
真っ黒な形のそれからは、甘い独特な香りが漂う。
「うん、チョコレートって言うんだ。これで足りないなら――ほら、ユーウェンさんも出して」
「なっ!?」
突然話を振られたスヴァンは、胸元に忍ばしているであろう秘蔵のコレクションを隠す様に背を向けた。
「チョコレートだと? あの高級菓子か」
「知っててくれてよかった。そう『元』高級お菓子のチョコレートだよ」
固く閉じられたスヴァンの腕をぐいぐい引っ張りながら、アリエッタは壮年の男の問いに答える。
「ただの冒険者が、お貴族様が食べる様なお菓子を持って歩けるくらいには、世の中は無事なんだよ?」
頑なに抵抗するスヴァンの腕をこじ開けようと、その腕に掴まり、頬に足裏を当て、腕ひしぎスタイルで力を込めるアリエッタが、壮年の男に話しかけた。
「チョコレートでいいなら、アタイのを提供しよう」
と、無益な死闘を繰り広げる二人に溜息をつきながらルチルが小さな袋ごとアリエッタに差し出す。
「他にも多少の食糧なら備蓄がある。とは言っても携行食だから、味は期待できないが」
そして、壮年の男には干し肉を差し出した。
「食料を提供してくれるのか……」
壮年の男はルチルから受け取った干し肉をまじまじと見つめながら呟く。
平時であれば何という事はない行為。しかし、壮年の男達が信じる荒廃した世界ならば、他人に食料を提供するなど、自らの命を縮める行為に他ならない。
たった一つの肉片が、壮年の男、そして、後ろに控える仲間達の心をとらえた。
「感謝する……」
壮年の男はルチル、そして他の冒険者達に向け、深く深く頭を下げた。
●
「寄り道させて悪いな」
「なに、守ってもらったんだ、これくらいどうってことないですよ」
声をかけてきたルチルに、行商人はにっかりと笑う。
一行は壮年の男の案内で、仲間が待つという洞窟へと向かっていた。
「……この辺りは特に荒廃がひどい」
「崩壊の影響がこの辺りにも及んでいるのでしょう」
辺りを見渡し呟くスヴァンに、グレイブが答える。
回りには岩と砂だけ。他に目につくものといえば枯れた立木が数本。どれも皮を剝がされているように見えた。
「皮も食べたのですか」
と、そんな立ち木を見てセツリが顔をしかめる。
「皮……? 皮を食べるの? 木の皮を?」
「はい、種類によってはエグみがありますが、歯ごたえがあってなかなかいけますよ?」
「そ、そうなんだ……」
エルゼリオが信じられないと立ち木を眺め、その姿にセツリが苦笑した。
「ですが、木の皮まで食べるという事は食料事情がそれなりに切迫しているという事ですね。……あちらのお仲間の状態はあまり良いとは言えないのかもしれません」
「それなり、なんだ」
「はい、まだ根っこに手を出していませんので」
さらりとそう言ったセツリに、エルゼリオは乾いた笑みを返す。
「私も危機的状況なのは同意ですが……」
一方、セツリの予想に頷いたエルファリアだったが、その視線はじっと壮年の男の背を睨み付けている。
「納得がいってないのはわかるけど、あまり睨んであげないでよ。彼等にも彼等なりの事情があってのことなんだしさ」
そんなエルファリアに、エルゼリオが苦笑しつつ声をかける。
「それは、わかっているつもりなのですが……あ、止まったようです」
と、エルファリアが答えると同じくして、先頭を行く壮年の男が立ち止り、岩山を指さした。
「どうやらあそこが隠れ家のようですね。私達の食糧で足りればいいのですけど」
セツリは立ち木をちらりと横目で見つつ、先頭へ追い付くため足を速める。
一行は壮年の男の案内で、洞窟へと足を踏み入れた。
●
「はい、これで大丈夫よ! よかった、壊死してなくて」
ヒールで傷を塞いだ後、ヒルルクは清潔な包帯で患部を保護した。
怪我していた少年は、痛みから解放された事に涙し、ヒルルクに何度も頭を下げている。
「ヒルルクさん! こっちもちょっと手伝ってもらえないかな!」
「わかったわ、今行く!」
エルゼリオに呼ばれ立ち上がったヒルルクは、去り際に少年に小さなチョコを手渡し走っていってしまった。
「……ヒルルクは、ヒーラーだったのか」
そんな光景を遠巻きから眺めるスヴァンが呟いた。
「ああ、なかなか見事な手並みだ。患者へのアフターケアも忘れていない。とはいえ、アタイも始めはウォーリアだと思ってたがな」
スヴァンの隣で同じくヒルルクを見つめていたルチルが答える。
「……お前もそう思うか。あの使い込まれた戦槌、どう見ても戦士のものだ」
「それだけ極北が過酷だという事だろう。実に興味深い。いずれ足を踏み入れる時が来るのだろうか」
「……北は寒いだけで何もないぞ」
「なにもないと言われる所でも、見るべき場所は必ずあるもんだ」
「……そう言うものか」
と、興味なさそうにその場を立ち去ろうとするスヴァン。
「どこへ?」
そんなスヴァンを不思議に思いルチルが声をかけた。
「……あいつの真似でもしてくる」
そう言って、スヴァンは懐に大事に忍ばせていた革袋を取り出した。
「できたぜ、今日は奮発して干し肉たっぷりだ! って、お、おい、押すなお前等! ちゃんと人数分あるから!!」
漂う薫りにわっと押し寄せる人々を慌てて制し、シスルが大声を上げる。
「水で戻してるが、繊維が多いからゆっくりあせらずよく噛んで食えよ」
木の椀に注がれたシチューをじっと見つめる少女に、シスルは優しく声をかけた。
「こちらも沢山ありますので、是非召し上げってくださいね」
一方、隣で鍋を回すセツリの周りには、物珍しそうに覗き込む見物客が集まっている。
「おひとついかがですか?」
そう言われ、鍋をじっと眺めていた一人の青年が勇気を出して椀を差し出した。
「美味しいですよ。乾パンの塩煮」
どぼどぼと椀に注がれる料理を見つめ、青年がゴクリと喉を鳴らす。
「沢山水分を含ませていますから、従来のパサパサ感がなく、とても食べやすいのです。それに量も増えて一石二鳥です。更に更に今日は奮発して塩を二つまみ入れましたので、お味もばっちりです」
ふわりと微笑むセツリに青年は赤面し、椀の中身を一気に掻きこんだ。
「助力、感謝する」
壮年の男――名をハボスと言う――が机の向かいに座る冒険者に深く頭を下げる。
そんなハボスをじっと見つめる、グレイブとエルファリア。
「そ、そんな、気にしなくていいんだよ! あたし達も人助けできて良かったし!」
無言を貫く二人に代わり、アリエッタが立ち上がりハボスに答えた。
「ね、二人もそう思うでしょ!」
と、アリエッタは険しい雰囲気の二人に向け、問いかけるも返事は無い。
「お二人の怒りももっともだ。我々は人道にもとる行為をしたのだから。心からの謝罪をする」
「そ、そうなんだけど……ほ、ほら二人とも、ハボスさんもこう言ってるんだから、いい加減機嫌なおそ? ね?」
アリエッタはまだ無言の二人に声をかけるが、やはり反応はかった。
「……うぅ」
「あ、アリエッタさん、チョコってまだ余ってる?」
がくりと肩を落とし目尻に涙が浮かびそうになったアリエッタの元へ、救世主エルゼリオが現れた。
「レイノーラさぁぁぁん!!!」
「わっ!? な、なに! どうしたの!!」
「助けて……もうあたしじゃどうしようもないの!」
飛びつかんばかりにエルゼリオの元へ駆け寄ったアリエッタは、涙ながらに訴える。
「ええっ!?」
そして、驚くエルゼリオを引っ張って席につかせた。
「あ、えっと……こんにちは、ボクはエルゼリオって言います」
はははと乾いた笑みで挨拶するエルゼリオ。しかし、場の空気は更に凍り付く。
(これどうしろって!?)
(何とかして! あたしもう無理!)
(いやいや、ボクも無理だって!)
なんて二人がこそこそと話していると、グレイブがようやく口を開いた。
「そう思うのであれば、償いが必要でしょう」
「償いか。私の命などでよければ喜んで差し出そう。ただ、仲間達の命は助けてやって欲しい――いや、もう救ってもらったな」
ようやく口を開いたグレイブの言葉に、ハボスは自嘲気味に微笑むと、机の上に一本のナイフを置いた。
「好きにしてくれ」
と、ハボスは頭を垂れた。まるで首を晒す様に。
「……不快ですね。あなたの命などいただいたところで我々に何の得もありません」
その態度に、エルファリアもようやく話し始める。
「命をもっての償いですか。その考え、まるで本当の野党のようですね」
エルファリアの鋭い叱責にもハボスは頭を垂れたまま。
「エルファリアさん、流石にそれは言い過ぎじゃ……?」
「……そうですね。失礼しました」
エルゼリオの問いかけに、エルファリアは再び口を閉ざしてしまった。
流れる沈黙。
と、そこへ――。
「とりあえず食料の配給終わったぜ……って、なんて空気してんだよ」
「シスルさぁぁぁん!!!」
「ノーティラスさぁぁぁん!!!」
「うおっ! なんだなんだっ!?」
突然飛びついてきたエルゼリオとアリエッタに、シスルは驚き回避する。
「避けるとか酷い……」
「お鼻打った……」
突撃を華麗によけられた二人は、鼻を押さえつつ目に涙を浮かべた。
「いきなり飛び掛かってくるからだろ、まったく。で、そちらは随分と陰険な感じだな」
「そう見えるのでしたらそうなのでしょう」
と、話を振られたグレイブが答える。
「……まぁ、依頼を邪魔されたんだから、機嫌を損ねるのはわかるけどよ。結果的に、平穏無事に済んだんだからいいじゃねーか」
言って頭を掻きつつ机へ歩み寄ったシスル。
「んで、二人はどうすれば機嫌なおすんだ?」
シスルは沈黙するエルファリア、グレイブの両名に問いかけた。
「別に不機嫌になっている訳ではありませんが……そうですね、行った行為に対する罰。そして、その罰に見合った役を課せられるべきでしょう」
「同感です。これほどの罪に見合う罰となると相応の覚悟が必要でしょうが、もし償う気があるのであれば、行うべきでしょう。もちろん、命を差し出すなどではなく、です」
二人はそれぞれの主張を口にする。
「ふむふむ、要は悪い事したと思うなら体で返せって事か」
「……端折り過ぎですが、まぁ概ねそのような感じです」
シスルの要約にグレイブは呆れるも、最後は頷いた。
「で、他の奴等はどう思う?」
と、シスルは振り向き入り口を見る。するとそこには、アリエッタ、エルゼリオだけでなく他の冒険者達も集まってきていた。
「……特に何も。別に生きるために奪う事が罪だとは思わん。逆に奪われる覚悟があるのならな」
スヴァンはそれがこの世の摂理だと言わんばかりに、興味なさげに呟く。
「私も特には。こちらに被害があったわけではありませんし」
同じくセツリもこれ以上の干渉は不要だとばかりに言葉を切った。
「うーん、あたしはこんな所にいるよりは、街かどこか人の沢山いる所に出る方がいいと思うな」
「あ、ボクもそれがいいと思う。どのみちボク達の目的地は難民キャンプなんだし、一先ずそこへ向かうのはどうかな?」
「そうだな。各国も難民支援に大きく動いている。キャンプへ入ればその支援も受けられるだろう」
アリエッタ、エルゼリオ、そしてルチルの三人は、一行に同行して難民キャンプへ向かう事を勧めた。
「同胞に会えば世界が終わっていないと理解するでしょう。私は構いません」
そして、グレイブの意見にエルファリアは頷き、二人は同道に同意する。
「ってなわけだ。どうだ、あたし達と難民キャンプに行く気はないか?」
皆の意見を受けて、シスルは改めてハボスに問いかけた。
「本当にそのような所があるのなら……いや、君達が言うのだ、あるのだろう」
半信半疑の考えに頭を振り、ハボスは冒険者達に向かう。
「よろしくお願いします」
そして、深く深く頭を下げたのだった。
●
話し合いが終わり、ハボスは仲間達にてきぱきと指示を出している。
「あれ、終わったの?」
そこへヒルルクがやって来た。
「ああ、ここの者が同行することになった。少しキャンプに着くのが遅れそうだが、大丈夫か?」
ようやく顔を出したヒルルクに、ルチルが問いかける。
「ええ、別に構わないわ。それより見て!」
「あれ、首飾り? なんかかわいいね」
どーんと胸を張るヒルルクの胸には、小さな光石をぶら下げた首飾りが輝いている。
「うん、いいでしょ! ここの子供達がくれたのよ!」
「そっか、すっかり仲良くなったんだね」
嬉しそうに胸を張るヒルルクを見て、エルゼリオもつられて笑顔になった。
「これでよかったのでしょうか」
訪れた時とは正反対の和やかな空気に、エルファリアはグレイブに問いかける。
「正解などありません。全ては自然の摂理の元に」
「はい、呼びました?」
と、グレイブが口にした言葉に、セツリが反応する。
かくりと首をかしげるセツリに、エルファリアは苦笑しグレイブは肩を竦めた。
「はい、最後の一個」
「……ヒルルク、お前」
と、ヒルルクはスヴァンにチョコの欠片を手渡す。
「大切に隠してたやつは全部子供達に配ってくれたんだって? なかなかいいとこあるじゃない」
にやにやと見上げてくるヒルルクに、スヴァンは一瞬頬を引きつらせるがすぐに背を向けた。
洞窟を発った一行は、行商人の馬車を先頭に、ハボス達の続くキャラバンとなり荒野を行く。冒険者達が子供や老人たちに手を貸しながら、キャラバンは一路、難民キャンプへと向かったのだった――。
マスターコメント
ショートEX普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年03月14日 14時42分02秒 公開
相談掲示板
何かあったのはいいのですが、果たして他の心配なさっていそうな方には伝えたのでしょうか・・・? ヒーラー、グレイブ・ヤードです。
ヒーラーのセツリと言います。よろしく。 追い込まれている、というのは間違いないようですが……
情報屋のルチルだ。よろしく。 野盗の襲撃に対処する……と言ってもできれば穏便に解決したい相手だねこりゃあ。 とりあえずアタイは戦闘しない方向を目指して考えてるよ。 各自で説得に必要な物品を用意するのも手だが、護衛対象である行商人なら商品の仕入れ先との契約書とか、説得に使えそうな証文を持ってるんじゃなかろうか? 他の国も滅んでるなら取引用の商品を運ぶなんて必要なくなる事だ。ちょうど彼らも金銭の価値がなくなってる可能性を疑っている所だしな。
ヒルルクよ、よろしくね! それにしても野盗って本当に居るのね……わたしはじめて見たわ。 って、感心してる場合じゃないわね! なんだか最初っから調子の狂う感じの野盗だけど、わたしたちがこの馬車に乗っていたのが運のつきね! みんなでぎゃふんと言わせてやりましょう、ぎゃふんと!
エルファリアと言います。よろしく。 最後まで叩き伏せるかはともかく、あちらに「負傷者を出さずに事を為すのは無理だ」ぐらいには思わせないと切羽詰まったまんま襲ってきそうですけど……全力で抵抗してこない護衛なんて、襲う側にはおいしいだけなのでは? 結局生きる為なら、犠牲者出してまで奪っても仕方ない訳で……そうなれば向こうも「何とか話を」とならないかなって。
ウォーリアのスヴァン。よろしく頼む。 現在の世界を説明できるもの…………か。チョコレートではダメか? そうか……
シーフのシスルだ。よろしく。 んー……とりあえず説得するにも、戦闘せずにってのは難しいんじゃねーか? だいぶメタ的な話だけどさ。流れがうまく呑み込めてねーっつーか。一度叩きのめした後の方が話が通じやすいような…… 野盗と言いつつ妙に丁寧だから、やり方次第じゃうまく会話に持ち込めんのかね? ところで世界が変わったと証拠といえば、あたしら自身だよな。 授恵者の数は帝国崩壊前と比べ物になんねーくらい増えてるし。
ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラだよ。 初めての人も、そうじゃない人もヨロシクね! 帝国崩壊からずっと今まで洞窟に居たって――…よく持ったね…。 身なりや言動から、食い詰めた人達が野盗化したって事は推測できるけど… 極限状態の人達を言葉だけで説得するのは難しいんじゃないかな? 初手の段階で力の差を見せつけないと、話し合いには持ち込めない気がするよ。 >世界が変わった証拠 シスルさんも言ってるように、ボク等『授恵者自身』が変容の生きた証ではあるよね。 目の前でスキルを発動したりするとインパクト大かも?
(ヒルルクも挨拶に混ざるんだね) 何も言わずに黙って戦闘に持ち込めばいいのに話しかけてる辺りまだ野盗行為に躊躇いがある、相手側にも授与者がいるから思うようにリーダー格を制圧できず火に油を注ぐ可能性を危険視してのできれば戦闘を行わないって考えだな。 最初から相手の喧嘩腰にやる気満々で対応するのと、こっちに話を聞く気があると示すんじゃ受け取り方も違うだろうし。 必要があれば戦ってこっちの戦力を示すやり方に異議はないができる限り相手の出方を伺って行きたい気持ちだ。
>会話について あちらが先に会話を仕掛けていますし、応答はできるのでは? 寧ろ何かしらの応答をしたほうがいいとは思います。 無言というのもおかしいですし (先に舌戦で戦意を可能な限り折るのも手とは思いますが) 彼らの想定で考えるならば、「全ての国が滅んだ中で行商を行っているものを襲撃する」ということは、「行商人は我々の糧になっても仕方ない、いやむしろ自分たちのためになるべきだ」 ということになりますからね
>会話 とりあえず向こうが言葉を発しているので応答は出来そう、というのは理解はできますが、事情をつらつらと語ってくれるかどうか、ですね。 切羽詰まっている具合は私達には分かりませんし……(PL情報ですが、洞窟に女性や子供を残しているので、あちらとしては早く事を済ませて戻りたいはず) とはいえ、「必要があれば応戦する」ところについては私達の中で齟齬がないなら、ひとまず「会話で様子を見る」のは良いのでは? 勿論、向こうは襲う気でいる以上、応答の間でもこちらが武器を離したり構えなかったりというところまではいかないでしょうし、向こうもそこまで見咎めて態度を硬化させるということもないでしょう。
>会話 まあ一言も話す気はないっていうのは頑なでしょうが、私達はあくまで行商人さんの護衛であって彼らにどう事情があろうがやることはやるべきですし、そこがぶれないなら、でしょうか。 >現在の世界を説明 「会話」については私の考えは前述の通りなので、野盗として捕まえた上で実際を見てもらえば早いのでは、ぐらいのつもりでいましたが…… >護衛 問答無用の応戦はしないとして、向こうが会話で剣を収めない場合の対応は考えないとですね。 皆さんの反応だと徹底的にやるって感じにはならなそうですが……授恵者無力化は厳しそうとして、仲間の方を押さえたうえで今度は「もう抵抗しないなら、こちらもこれ以上はしない」とか?
シーフのアリエッタだよ。 よろしくね。 まあ、向こうも深刻な感じだし、会話に応じるのはいいんじゃないかな。 やってることはどんな事情があっても夜盗さんだから油断はできないけど。会話するにしても相手は10人もいるんだし目を離さないようにしながらかなー。
>護衛 相手はリーダー格+補佐+男女混成で10名ほど、ということなので、数だけなら向こうが上ですね。 授恵者はリーダー格とその補佐の方だけのようですが……弓の手数がある以上は依頼者の安全確保を考えるとそちらも目を離せるわけでもないですし。 見立ての通り、あちらが乗り気ではないなら大きな隙を見せない限りは動き始めるとしたらリーダー格から、でしょうけど……
なるべく穏便に事を運びたいものだが。 ……このまま向こうが全く聞く耳を持たずに襲い掛かってくるのであれば、実力行使も仕方ないだろう。 とりあえず俺は防御主体で依頼者の護衛を……話し合いやら交渉なんかは任せる。
では私は平和的に「お話」を主眼に考えましょうかねえ。 いささか思うところもありますし あぁ、もちろん回復関係はきちんと入れておきますので、荒事になっても大丈夫にはしておきます
>護衛 総数では向こうが上ですが、授恵者の数はこっちが上なので、その辺を理解すれば向こうも無理はしないと思うんですけどね。早々に逃げるかもしれませんが。 依頼主さんの護衛は買って出てる方がいるので、こちらは(必要に応じ)牽制ですかね。
OP読み直したら、確かにここから会話になりそうではあるな。 ……向こう、頭下げてるし。野盗だとしたら意味わかんねー。そっから会話で様子見、かねえ。 あたし自身のスタンスとしては警戒を解かない感じにはなると思うけど。 会話には加わろうかなって思ってるぜ。その……必要だろ、「そんなことできるわけねーだろ!」とか「こっちだって命かかってんだぞ!」とか言う奴がさ。すげーメタだけど! もし戦闘になったら、あたしは斬り込んでいくことになると思う。 殺さないようにはするとして、バステ系攻撃でリーダー格や補佐を狙うつもりだぜ。
私たちの仕事は「護衛」であって「敵の殲滅」ではありませんからね。 依頼主さんが無事であれば戦闘をする必要性もありませんし 威嚇で終わるのであればそれが最上だと思いますよ。
>行動 とりあえず、ボクも序盤は会話で様子を伺う予定。 ――具体的には、こちらの方が数は少ないが戦闘力は上である事を訴えた上で、 武器を捨てて投降する様に呼び掛けるカンジになるかな? それでも態度を変えないようなら、実力行使も止む無し…だと思う。 それ以前に、様子見で時間を掛けるとあちら側が暴発して襲い掛かって来そうだし。 荒事に発展した時は、脅威度の高い授恵者2名の無力化を最優先に目指すつもりだよ。 無力化成功後は光縛呪で拘束予定。 その後は彼等が鎮静化した頃を見計らって、事情を聴いたり、交渉したり出来れば良いなと思ってる。
あたしもはじめは会話参加かな。 なんで?っていうのを主にして。 戦闘では弓使う人の方に切り込んでいって立ち回るつもり。
>行動 こちらも会話には参加する予定ですが、主体的には警戒重視、でしょうか。 やはり中核のお二人が肝になると思いますので、動きがあったらそちらに対応することになると思いますが……支援中心にはなるでしょうか。
さて・・・真面目に書いていったら7割くらい「お話」で文字数が消えましたね・・・
>戦闘になった場合 ふむ、では私は授恵者以外の方々の牽制中心で良さそうですか。 今の流れでは撃退にしても深手を負わせるような話にはならなさそうですが(出来る出来ないの話でなく、目標の話として) 向こうも武器を振るってくるわけでどこまで出来るかは分かりませんが、少なくとも加減しようもないような大雑把なことはしない感じで。
>戦闘になった場合 アタイも弓が得物だから牽制中心の動きになりそうだね。