【CP】今度こそ守ってみせるから
岩岡志摩
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シナリオID:657
オープニング
帝国からの難民がいる難民キャンプの周囲に存在するエルフの小集落を滅ぼし、王国の領土となす。
リーンエス王国に属するヴィガ・リスタという子爵の方針は変わらない。
そのために必要な混乱として、難民キャンプとエルフ達の関係を悪化させたり、コボルト達の誘引を試みた。
しかしいずれも冒険者達によって失敗し、あるエルフの集落は守り抜かれたとの報告が届いた。
表面上子爵はそれを冒険者の功績と讃えたものの、内心は穏やかではない。
魔獣をけしかけて滅ぼした別の集落の一件で、険悪だったエルフ達は冒険者達に守られたことで、態度を軟化させている。
「今回の結果は失態だぞ。どう事態を打開するつもりだ?」
子爵は部屋の隅で片膝をつく道化師に視線を向ける。
その表情は仮面に隠され、子爵からは見えない。
「ご安心くだサイ。壊滅したコボルトは単なる前触れにすぎまセン」
道化師の話では、既にコボルト(以下『狗』と略)の大部隊が進出を始めたようだ。
その方角には、先の小集落も存在している。
「ならばその狗どもを今回落とせなかった集落にも誘引しろ」
エルフ達の感情に干渉できないなら、多数の狗達に集落ごと潰させればいい。
「かしこまりマシタ」
子爵の命令に道化師はうやうやしく一礼し、その場より姿を消した。
子爵は気づかなかった。
仮面で隠された道化師の表情が、嘲りで歪んでいたことを。
●思惑
先の小集落壊滅の要因となってしまった部隊だが、子爵からの追手を振り切ったものの、多数の魔獣を引き連れた道化師と再び遭遇した。
無論部隊は道化師と交戦したものの、歯が立たず圧倒され、ある選択を突きつけられていた。
道化師が迫ったのは、部隊の今後について。
犯罪者としてここで大人しく殺されるか。
それとも最後に『善行』を行う機会を生かし、善行をなして死ぬか。
その機会として、道化師は狗達がエルフの集落を襲撃する件を部隊に伝える。
「エルフ達との関係を改善したい気持ちは、今も変わらないんデショウ?」
これが最後の機会になると道化師は口にするも、死ぬことには変わりなく、最初から選択肢など存在しない。
「……いいだろう。乗せられてやる」
心に蓄積する屈辱と怒りを押さえつけ、部隊長は道化師の要求をのんだ。
断ればこの場で全員殺される以上、そうするしかない。
要求をのんだふりをして逃げたとしても、この道化師はどこまでも追ってくるという予感が、部隊長にはあった。
道化師は芝居がかった一礼を部隊に行い、部隊に必要な情報を伝えていく。
やがて道化師が魔獣達と共に見守る中、部隊は道化師に教えられた場所へと向かっていく。
「勇気の剣を持チ、愛の盾を持って進みなサイ。仮初の喜びに、幸あらんことヲ」
キヒヒヒヒヒ。
そして道化師も、魔獣達と共に哄笑を残して闇の中へと姿を消していく。
●奪回へ
――コボルトの大群、エルフの小集落に迫る。
その情報が届けられた冒険者ギルドは、ただちに集落を防衛するための依頼斡旋に動いた。
既にその集落からは冒険者ギルドあてに敵の撃退に力を貸してほしいの依頼が届いている。
その集落のエルフ達は、別の場所で発生した集落壊滅の件もあり、人間達に対し態度を硬化させていたが、先日冒険者達が物資調達を行うコボルト達から集落を守り抜いたことで、冒険者達を信じてみようという空気になったようだ。
だが事態はギルドが予想するよりも早い展開を見せる。
「もうその集落で戦闘が始まっているだと?」
「コボルト達の進行速度が異常に速かったようです」
追加の情報を届けに来た同僚の言葉に、依頼を担当する職員は首をひねる。
「コボルトの道案内をした奴でもいたのか?」
実はこの職員の予想はほぼ正解だったが、当の職員はそれに気づいていない。
「コボルトの数は当初100体ほどでしたが、エルフ達との戦闘で数を減らしつつあるようです」
既に先発し、現場まで偵察を行った同僚達からの報告では、その集落は中央に川を抱え両岸に建物を構える構造になっており、すでに東側は狗達に制圧されたようだ。
エルフ達は残る西側で抵抗を続けているが、戦える者は少ないようだ。
いまは抗戦を続けていても、いずれ数の暴力で潰されることは明らかだった。
そして現場での偵察を続けていた同僚から届いた追加の情報に、職員は困惑する。
「コボルト達の背後から、例の集落壊滅の一因となった部隊が奇襲をかけただと!?」
確かその部隊は、例の集落が壊滅に至った原因を作ったとして捕まえるよう手配されていたはずだ。
今になって現れ、コボルト達へ攻撃を仕掛けた理由が職員にはわからない。
ただその部隊が例の集落壊滅を引き起こしたとされる道化師や、その背後にいるであろう黒幕を突き止めるために必要な証人であることも確かだ。
そう考えると、今回その部隊を見殺しにするのは得策ではない。
職員はその場にいた同僚達を相談し合い、集落を奪還することに加え、部隊の生き残りを確保することも依頼目標とすることを決めた。
●後悔
既に集落では、建物一つ一つを巡って争う戦いが展開していた。
エーテルのきらめきが爆ぜ、建物が倒壊し敵味方いずれかの勝敗が決まっていく。
「――っぐっ!」
部隊長の左腕に矢が貫通した。続き右肩や左足が突き出された槍に裂かれ、鎧が真っ赤に染まるほどの流血が流れ落ち続ける。
奇襲こそ成功したものの、既に部隊からは押し返す狗達と、周囲から寄せてくる狗達の両方を防ぐ力は失せつつある。
部隊の兵達が次々に失われていく。狗達は必ず複数で攻撃をしかけ、部隊を袋叩きにしている。
目の前にいるのは狗達だったが、部隊長にはそれが策謀を巡らし、自分達やエルフを踏みにじろうとする黒幕が具現化した姿にも見えた。
――我々が尽きようと、いつか必ず貴様らに牙を突きたてる者が現れる。それを忘れるな!
狗達の攻撃で体が削られるたび、全身で息をしながらも必死の応戦を続ける部隊長の脳裏には、様々な人の面影が蘇る。
その中には、自分達の行いによって壊滅した集落で暮らしていたエルフ達もいた。
あの日から後悔しない日はなかった。
あの時、魔獣達の襲撃に陰謀の匂いを感じた自分達が、あの集落で生き残っていたエルフ達を一度死んだことにして、別の場所へ匿うことに成功しても、集落を壊滅させた罪悪感は常に付きまとい続けた。
反省や労苦で償うには自分達の手は罪で汚れ過ぎている。
だがそれも自分達の死で終わりにできる。
既に冒険者ギルドには、自分達が匿ったエルフ達が密かに暮らす場所を教える内容の手紙を届けてある。
「さあ、我々を倒すがいい。だが我々もただで殺されるわけにはいかんぞ」
自分達は、悪人そのもので。これから来る冒険者達は、英雄そのものだ。
けれど自分達が護ったエルフ達が再び未来を生き、冒険者達の手でエルフ達との関係が改善されると思えば。
少しは自分達も報われる気がした。
解説
マスターより
リプレイ
川の両岸に家屋を連ねたエルフの集落は、戦場と化していた。
救援要請を受けた冒険者達が、川にかかる3つの橋を渡り、コボルト(以下『弓狗』『槍狗』と略)達のいる集落東岸へ進撃する。
「ふぅん……コボルトと人間で仲間割れってこともないでしょう?」
中央の橋を渡るアウレーリア・フォン・ネーベルベルクは、狗達へ切り込んだ例の部隊の動機を推し量る。
恐らくは炊き付けた誰かに梯子を外されたのだろう。
「でも残念、私の目の前でこれ以上人を見殺しになどさせないの」
そのために邪魔な狗達に向け、アウレーリアは爆炎を行使。
直後、槍狗達のただ中で爆焔の花が咲き、絡めとられた槍狗達は全身を焼かれ、倒れていく。
「あのままだと、部隊の人達死んじゃうよね。ちょっと助けて来るね」
バクル・バスリーはそう言い残すと、防御集中に切り替えた上でチャージングを駆使し、倒れた狗達の間を駆け抜ける。
そしてアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトも、チャージングを駆使して弓狗達へと突き進む。
「あの部隊には色々言いたいことがあることは事実だ。しかし、エルフの集落を護ろうとする気持ちも偽りのないものだろう」
アルベルトは、先の集落壊滅の一因となった部隊に思うところはあるが、今は味方だと認識する。
「彼らと連携しエルフの里を護るぜ。当然彼らも救ってみせる!」
飛来する矢をダマスカス鋼の盾で防ぎながら、アルベルトは弓狗達に向け闘気槌2を行使。
巨大な光塊を纏ったダマスカス鋼の大太刀Reが強く振り下ろされ、その一撃を浴び全身の骨を砕かれた弓狗達は、血を噴いて頽れる。
その間にバクルは部隊近くまで到達していた。
「これ以上、好きにはさせないよ!」
叫びと共に、バクルはカバーリングを駆使して部隊と狗達の間へ強引に割り込むと、ダマスカス鋼の盾を掲げ攻撃を防ぐ。
そしてシャンテ・フーケも、バクル達の後に続く。
「集落奪還に加え、部隊の確保かぁ。あの部隊にどういった心変わりがあったかは……まぁ、確保してから聞けばいい話だね」
依然として狗達の数は多く、詳しい話が聞ける状況でもない。
「まずはコボルトをどうにかしないとね。したい話も進まないんだよ」
シャンテはそのまま一気に橋を駆け抜けると、殺到する矢を鋼の盾で防ぎつつ、付近に仲間がいないことを確認した上で薙ぎ払い2を行使。
ダマスカス鋼の祭刀が光の刃を纏って一閃した。
周囲にいる弓狗達は薙ぎ払われ、裂かれた胴より血を噴出させ、転倒していく。
北側の橋でも、冒険者達が東岸へ到達しつつある。
「なんて無謀なことを……いったいどこで教育を受けた部隊ですか……?」
セロンガード・シュタインドルフは、例の部隊については一通り情報を入手していたが、部隊は全滅覚悟で突撃したようにも見える。
「それとも、そうせざるを得ない理由があったのでしょうか?」
恐らくその可能性が高いとセロンガードは推測するが、今は眼前の狗達へと意識を切り替え、近くの櫓に向け濃煙炸弾を行使。
ダマスカス鋼の強弓より撃ち放たれた光弾が櫓上部で炸裂し、濃い煙幕を発生させ櫓にいた弓狗の視界を塞ぐ。
「弓と槍持った、コボルトの集団っすか。いやあ弓使える連中ってそれだけで強いっすよね」
犬は東岸に陣取る狗達の武装を見渡し、弓を使える狗達がより脅威になると分析する。
「その上で槍の壁となると地獄っすね。数が多くて武器があるのもまあなかなか。まあ不利といえば不利ですが、やりましょうか」
犬は敵の戦力分析を終えると、煙幕に乗じて橋を一気に駆け抜け、最も近くにいる槍狗へと肉薄する。
犬が鋼の戦槌を縦に一閃し、骨を砕く異音と共に、槍狗の頭蓋を叩き潰す。
頭を潰された狗の体が血を噴いて頽れ、槍狗を屠った犬は再度周囲を見渡す。
犬が見たところ、狗達が恐怖で隊列を乱した様子はない。
そして南側の橋では、逆に狗達が西岸へ向け橋を渡り始めていた。
この動きをルチル・プルメリア・グレイハーツが超視覚と天眼で捉え、天眼や戦略眼を駆使して敵の動きを予測していたバーネット・フォーサイスと共に迎え撃つ。
「話には聞いていたが、あの部隊が戦っているとは事情の変化があったようだ」
「心変わりか、それとも何かの策略か……」
ルチルとバーネットの関心は、今現在仲間達が救援に向かった例の部隊にも向けられている。
「何らかの情報を持っているのは間違いないようだな」
ルチルは救援が成功したら部隊に事情を聞き出そうと考えており、それについてはバーネットも賛意を示す。
「何にせよ、この数の敵を相手取るのに、ただ擦り潰させるには惜しい戦力だ」
バーネットは部隊と連携し、共に狗達を倒すことも視野に入れている。
その間にも弓狗達の援護のもと、槍狗達が槍先を揃えて寄せてくるが、まずバーネットが氷嵐を行使。
狗達のいる空間に収束された光輝くエーテルが顕現して氷嵐を巻き起こし、狗達の身が引き裂かれ、血煙に変えていく。
バーネットの氷嵐から逃れえた弓狗の1体に、狼のアルを近くに待機させたルチルがダマスカス鋼の強弓を引き絞る。
弓弦の響きと共に、放たれた矢で頭を射抜かれた弓狗は仰向けに倒れ、絶命した。
●混戦
北部では犬とセロンガードが進撃を続ける。
(屍兵か雑兵かどっちでしょうねえ)
犬は押し寄せる狗達と交戦しながら、その性質の分析を続けている。
突き出される槍を鉄の盾で防ぎつつ、懐へ踏み込んだ犬の戦槌が跳ね上がり、槍狗の顎を突き上げる。
狗は顎から上を打ち砕かれ、仰向けに倒れ絶命する。
「必死なやつは、胸潰しても数秒は全力で動くっすからね。頭をやらないと」
犬は着実に1体ずつ狗達を屠ることを心掛け、随伴するセロンガードがヒールを駆使してその戦闘を支援する。
「私は誤射と味方の攻撃には注意して、部隊の退路確保を最優先とします」
セロンガードは活動方針を復唱しながら、炸光矢2を弓狗達に向け行使。
弓弦の鳴る音と共に撃ち放たれた光の矢が、弓狗達のただ中でその威力を炸裂させた。
拡散した無数の鋭い光の破片が、狗達の身を貫き、血の霧をしぶかせる。
「犬さん。そのまま先行して下さい。貴方の守りは私が引き受けます」
セロンガードはマジカルポケットよりダマスカス鋼の盾を取り出し、犬の防衛も担う。
同じころ、南方では狗達の攻勢が続いており、狗達を食い止めるルチルとバーネットに、矢羽根の飛翔音が降り注ぐ。
「今は敵の数が多いから、部隊から事情を聞き出すのは敵を全滅させてからになりそうだな」
ノービスシールドで飛来する矢を防ぎながら、ルチルは超視覚と天眼で敵の動向を確認する。
「そうだな。部隊には態勢を整えてもらう為、前線からの一時離脱を促そう。その後は部隊が望むなら連携しつつ交戦を継続というところだな」
バーネットもルチルの意見に同意するも、恐らく部隊は離脱せず交戦を続けるだろうと予測していた。
「俺個人の行動としては、敵の足止めと火力投射だな。味方同士の連携を密にし、不利な箇所が有れば援護し合うとしよう」
そう言ってバーネットは、アーケインテンペスト改を行使。
稲光の荒れ狂う空間が顕現して狗達を押し包むと、その稲光が狗達に絡みつき、動きを鈍らせる。
効果範囲から外れた狗達にも、ルチルの弓が向けられる。
「相互連携、了解だ。あたいはバーネットの足止めが入っていない敵を優先して掃射するつもりだ」
宣告と共に、ルチルは弓狗達に向け貫通衝撃射2を行使。
エーテルを込めて射出された矢が、弓狗達のただ中で破裂し、指向性をもった衝撃波が狗達に叩きつけられる。
絶叫があがり、身を裂かれた狗達は血煙を噴き上げ、倒れていく。
そして中央では、冒険者達が例の部隊を保護すべく奔走していた。
「この『コボルトの敵』アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトの前に現れるとは、不幸な奴らめ!」
アルベルトは殺到する狗達を前に立ち塞がり、一歩も退かない姿勢を見せる。
飛来する矢が、突き出される槍が、アルベルトの盾に殺到するも、アルベルトは全て防ぎ止める。
「ここから先に通しはしない。今度は俺の番だぜ」
アルベルトが反撃に転じ、槍狗達に向け闘気槌2を再び行使。
巨大な光塊を纏った大太刀が打ち下ろされ、射程範囲内にいた槍狗達の肉や骨を打ち砕く異音が響き渡り、叩き潰された狗達が周囲に散乱する。
その近くでは、アウレーリアも弓狗への集中攻撃を続けている。
「このまま追撃を抑えながら部隊を誘導し、対岸への脱出を支援して別動隊へ引き渡したいところだけど……」
アウレーリアの見たところ、部隊との接触には成功したが、対岸への脱出は現段階では難しい。
「泥に塗れて転げ回ってでも生き延びて頂戴。格好良く死んで終わりなど許さないわ」
既にアウレーリアは、部隊の者達を生存させると決めている。
そして自身の戦略眼で、優先排除すべきと判断した弓狗達に向け、アウレーリアはメテオライト2を行使。
大量に顕現させた小さな光弾が、驟雨と化して狗達のみに降り注ぎ、狗達は血肉を削り飛ばされ、打ち倒される。
アルベルトやアウレーリアが狗達を防ぐ中、シャンテも部隊との接触を果たす。
「僕たちは冒険者だ、集落の奪還に来た」
シャンテは短く自己紹介を終えると、用件を伝える。
「長話は後だ。まだ戦えるなら手を貸してほしいし、無理なら早く橋の向こうに逃げろ」
その間にもシャンテが行使したヒーリングオーラが、周囲にいる部隊兵士達の傷を癒していく。
シャンテの治療で、部隊長や兵士達は冒険者達の話を聞く姿勢になる。
狗達の攻撃を盾で防ぎ、時々ヒールで負傷した兵士の治療を助けていたバクルも、部隊長への説得を続ける。
「色々思惑とかあるのは分かるけど、ぼくは細かい事はあんまり気にしないんだよね。シンプルにきみ達をぼくが助ける。きみ達は一緒に戦う。これでOKのはずだよ」
この一言が最後の決め手となり、部隊長は冒険者達との共闘に同意した。
同意を取り付けたバクルは、狗達に向き直る。
「よし、じゃあやろうか。きみ達の攻撃で落ちるほどやわな鍛え方はしてないんだよね」
不敵な口調で言い放つと、バクルは最も近くにいる狗達への攻勢に転じ、闘気槌2を行使。
バクルが織り交ぜたフェイントに、先頭にいる狗の動きが固まる間に大太刀が振り下ろされ、纏う光塊が狗達の全身を叩き潰し、肉塊に変えていった。
●共闘
中央では冒険者達と部隊の共闘が始まる。
「きみ達も戦いに来たんだろ? なら今は仲間だ。一緒にコボルド達倒そうよ」
バクルが治療を終えた部隊にそう呼び掛け、共に狗達へと進撃する。
シーザーロアで狗の敵意を自分に向けさせたバクルは、槍の穂先が襲う前に肉薄し、大太刀で狗の胸を裂きつつ飛び抜け、その身を断ち切った。
「俺はあなた方がやったことを知らないし興味もないですけど。ここで頑張れば多少の減刑はあるんじゃないですか。頑張りましょ」
部隊と接触した犬が、部隊長へ言うべきことを伝えた後、再び北方面へと駆け戻る。
「君達の証言が必要だ。だから死なせない」
シャンテもまた、ヒール2を駆使して部隊の治療に回る。
部隊兵士が負傷しても、シャンテの駆使する治療スキルが部隊の生命線となり、戦場に復帰させていく。
「今のところ川から対岸に渡ろうとするコボルトはいないけれど。弓コボルトがいる間は気が抜けないなぁ、やれやれ」
シャンテは常に周囲への警戒を続けながらも、ため息をつく。
「逃がしはしない。見逃すと思ったか?」
退却を始めた一部の狗達をアルベルトは見逃さず、チャージングも駆使して追撃する。
「このままコボルト共を殲滅し、集落も部隊も救うぞ!」
叫びと共に、アルベルトは闘気槌2を行使。
大太刀が光塊を纏って振り下ろされ、範囲内にいた狗達を叩き潰していく。
「もたついた目標から焼却するつもりだったけれど……」
すかさずアウレーリアが、敵味方が入り混じる現況から爆炎の使用を控え、再度メテオライト2を行使。
アウレーリアの周囲より顕現した無数の小さな光弾が、アルベルトの攻撃を免れた狗達の頭上より襲いかかり、血の泥濘に打ち倒す。
この間にも櫓に残る弓狗達が、冒険者達への射撃を続けていたが、南方で狗達を押し返したルチルが、櫓への攻撃に乗り出す。
「どちらの腕前が上か試してみるかい?」
櫓の狗が自分に矢じりを向けるのを見て、ルチルも弓弦を引き絞ると強射2を行使。
エーテルを纏って撃ち放たれたルチルの一射は、狗からの矢と宙ですれ違い、狗の頭を突き通す。
「残念だったな。年季が違うんだよ」
狗からの一射を躱したルチルは、櫓より落下する狗に向けそう呟く。
「アイアンウォールで遮蔽物を作り、身を隠しつつ応戦だ」
その間にバーネットは行使したアイアンウォールによって魔法の鉄壁を顕現し、狗達の攻撃を防いでいた。
「俺も櫓上の敵も狙って、早めに倒すぞ」
バーネットも奥に残る櫓を射程に捉えると、櫓上にいる狗に宿り木の杖を向け、攻撃を放つ。
放った一撃は櫓上の狗に命中し、頭を微塵に吹き飛ばした。
そして部隊長との接触を終え駆け戻った犬が、孤高の零距離殺撃者2を駆使したセロンガードと交戦中の槍狗に襲いかかる。
戦槌が舞い、打撃音と共に頭を潰された狗が血霧を撒いて吹き飛び、絶命する。
「犬さん、援護ありがとうございます」
「こいつらの相手は自分が引き受けるっスよ。シュタインドルフさんには櫓の撃破をお願いしたいっス」
「承知しました。私はこのまま弓コボルトを優先して狙います」
犬の要望に応じたセロンガードは、櫓の弓狗に狙いを定めて撃ち放ち、飛翔した一筋の矢が櫓上の狗を射抜く。
頭を貫かれた狗は血霧を噴いて倒れ、絶命する。
冒険者達が全ての櫓を攻略する間に、残る狗達も退却に転じ、集落より姿を消した。
●投降
戦闘終了後、バクルが部隊に進み出る。
「きみ達のお陰で、エルフ達が助かったよ。本当にありがとう」
礼と共に部隊長と握手しながらも、バクルはこう要請する。
「で、残念ながらきみ達を捕まえなきゃいけないんだけど、投降してくれるかな。できれば一緒に戦った人を攻撃したくない」
この時バクルは部隊からの攻撃も覚悟しており、その姿勢に部隊員達の意識は軟化し、投降を受け入れる。
そして部隊が収容された先で、冒険者達は一連の事件の黒幕、ヴィガ・リスタ子爵のことを知る。
ただし今は証拠に乏しく、子爵を捕まえることはできない。
「……王国の子爵というのは強欲な人非人しかいないの?」
――あちらでもこちらでも似たような話を聞くのはどういう訳かしら?
部隊長より話を聞いたアウレーリアは、一連の騒動にきな臭いものを感じていた。
冒険者達が黒幕のもとへ辿り着くには、今少しの時間と証拠が必要だった。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年03月14日 17時22分27秒 公開
参加者
相談掲示板
ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 「あの」部隊には色々と言いたいことがあることも事実だが、今はエルフの集落を護るために命を懸けて闘っていることも事実だ。エルフを護るだけでなく彼らも救いたいな
ども、犬です。 コボルトの撃退と部隊の確保っすか、数の面で不利っすね、出来るなら『部隊』と協力して削ったほうが良さそうですね、一緒に戦ったとあれば、恩赦とか色々あるでしょうし。
ヒーラーのシャンテだよ、どうぞよろしく。 んー、とりあえずは5Bスタートの人が目の前の槍コボルトを押し倒して、部隊と合流したいところかな? 贖罪のために戦うっていうなら、ワケを話せば僕らともある程度の連携は取れると思いたいけどねぇ……あぁ、範囲回復の用意はしとかないと。
情報屋のルチルだ。 クラスはシューター。よろしく。 かつてあれこれあったようだが件の部隊が集落を守るつもりは本気のようだね。 スタート地点は川を挟んだ三箇所でコボルトに突破されてはならないとなると、分散にはなるが全部のスタート地点に人員を配置した方が安泰だろうか。 部隊も消耗してるだろうし、B5からスタートする者のうち一人は回復スキルを持つ方がよさそうだが、クラスではヒーラーは一人だけなんだね。 射程はあるから櫓の敵を狙っておこうとは考えてるよ。
キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 部隊の確保も必要って事だから、上下の2カ所は最低限足止めができる程度にして、 部隊の救出のために残りの面子を中央に集中させるってのがベターか? D5の敵さえ排除できれば部隊の連中も敵中から離脱出来るし、 そこに回復も加われば立て直しも図れるだろう。
キャスター、アウレーリアよ。宜しく。 部隊は3Rしか持たない程度の耐久力のようだし、周囲の敵は素早く減らさないといけないわね。 範囲攻撃が使える人は、部隊の援護に回った方が良さそうかしら。 D4やD6の弓兵も部隊を削り続けていくでしょうし、なるべく早期排除しましょう。 幸い敵の射程は短いから、こちらとは撃ち合いになっても一方的に叩ける筈だし。
ウォーリアのバクルだよ。よろしくね 部隊の安全確保が課題かな。 なら、ぼくがチャージングで駆けて、カバーリングで守るよ。 ぼくも中央に戦力集中は賛成だね。 8人だし、2・4・2で別れる感じかな。
シューター、セロンガードです。 どうぞよろしくお願いいたします。 >部隊の安全確保 わかりました。それならば煙幕を張って部隊に合流して撤退するまでの時間を稼ぎます。 ついでにヒールも積んで行きましょう。
顔合わせは済んだかな。 初期位置の人数割り振り数に異論はないし、改めて僕はB5スタートを希望するよ。 D5槍はこちら視点だと背中を向けているようだし1ターンで仕留めて、次ターン時にはヒーリングオーラで部隊回復を行いたいと思う。 あとD4とD6に弓がいるのはなんか嫌だなぁ……部隊を射抜かれるのはやだし、アウレーリアさんの言うように範囲攻撃で早々にどうにかしてほしいかな……一応僕もなぎ払い2は用意するけども。 部隊と連携するか、さっさと撤退させるかは連中の傷具合やコボルトのヘイトの向き方次第って感じかな。
俺は、B5からスタートしてD列・F4・G6のコボルトを殲滅して『部隊』の撤退を助けようと思う 特性は『強靭』『強靭2』を持って防御力を(僅かでも)強化、スキルは『闘気槌2』を3枚、『チャージング』を1枚持つことを予定している。
とりあえず、以下の内容で仮プレイングを送ってみたぜ。 何か問題点があったら指摘を頼むぜ。 ・全体的な行動(数字の順に行動する予定) 1:B5からスタートする 2:まずD5の槍コボルトとD4・D6の弓コボルトを殲滅する 3:次にF4・G6・I4の槍コボルトとG7の弓コボルトを殲滅する 4:残ったコボルトも殲滅 5:部隊の撤退を助ける ・戦闘での行動 毎ターン攻撃集中状態で行動する コボルトの各部隊に対しては『闘気槌2』を使用する コボルトに近づくときは『チャージング』を使用する 仲間との連携を重視する 仲間の攻撃魔法に巻き込まれないように位置取りを注意する
>個人行動 悩ましいところだが、俺はA8で足止め担当といこう。 アーケインテンペストとかスタティックフィールドで足止めしつつ、 範囲攻撃で随時頭数を減らしたり、櫓の上の敵を早めに落として、 中央がひと段落するまで持ちこたえるつもりだ。
じゃあ、俺はC2のから行きましょうか、突っ込んで崩していきますか、槍衾と矢の雨に晒されちまいますが。
あ、ぼくは初期配置B5ね。宣言通り、部隊の元へ駆けて、守るよ 初期配置(敬称略) C2 ・犬 B5 ・アルベルト ・シャンテ ・バクル A8 ・バーネット
私はc2へ向かうつもりです。 そこから、E3とJ1の矢倉とに対して開幕で煙幕を放ちます。 その後は弓コボルトを射撃で減らしながら、犬さんにくっ付いてヒールと煙幕で敵の飛び道具を極力逸らします。 初期配置(敬称略) C2 ・犬 ・セロンガード B5 ・アルベルト ・シャンテ ・バクル A8 ・バーネット
ではA8に向かうか。櫓にいる弓兵にバーネットが足止めしきれないヤツらを排除すれば耐久しやすくなろうだろう。 初期配置(敬称略) C2 ・犬 ・セロンガード B5 ・アルベルト ・シャンテ ・バクル A8 ・バーネット ・ルチル
私はB5よ。部隊周辺の敵の掃討に努めます。 初期配置(敬称略) C2 ・犬 ・セロンガード B5 ・アルベルト ・シャンテ ・バクル ・アウレーリア A8 ・バーネット ・ルチル