難民達が暮らす村を改造しよう
岩岡志摩
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シナリオID:521
オープニング
皆様は、リーンエス王国北方に難民が押し寄せた村を覚えているだろうか。
この村だが、帝国南部鎮守都市ヴィントより南下してきた大量のゾンビ達の襲来を受け、一度は放棄された。
その後冒険者達の協力も得て、ゾンビ達が撃退されると、この村はヴァイセントラフ砦より解き放たれた難民たちが、当面の間身を寄せる場所として利用されることになった。
難民の数は100人までいかないものの、老人が一番多く次に女性、子供達の順に数が多い。
難民達が冬を越せるよう、できる限りのことはしていたが、それでも手が足りなかった。
このため、村を守っていた兵達は冒険者達に村の復旧の手伝いを依頼した。
その結果、村にある家屋は応急ながら修繕が完了し、簡易であるがいくつかの家屋が新築された。
村の防御を支えていた柵も全面的に復旧し、壊れた櫓も直され、防衛力は回復した。
また診療所にも1人だが薬師が常駐するようになり、医療に関わる人がいない状況を脱することができた。
これらの改善によって、避難してきた人たちは全員が安心して家の中で暮らせるようになり、冒険者が難民達と一緒になって作成した石鹸などで清潔さも取り戻しつつある。
さらに冒険者達は読み書きができない難民達を相手に、文字の読み書きをはじめサバイバル知識や狩猟の知識など、様々なことを教え込んでいた。
冒険者達の教えたことは、着実に難民達にも根付き始めており、村での生活環境も改善されていったが、引き続き問題は残っていた。
●依頼
この日、その村より派遣された兵士が冒険者ギルドの支部に到着した。
「今回も冒険者の皆さんのお力添えを頂きたく」
そう言って兵士は支部の職員に頭を下げる。
兵士の話では、村の周囲には敵となる存在が現れることはなくなり、難民達への被害も出ていない日が続いている。
その一方で、村の中では引き続き問題が発生しているので、村に駐屯する兵士の隊長は冒険者達に依頼を出すことを決めた。
一通り話を聞き終えた職員は、「難民達が暮らす村での復興の手伝い」という名目で依頼斡旋に動く。
募集に応じた皆様に向け、依頼人となった兵士は頭を下げた後、村の現状を説明する。
「冒険者の皆さんにはお世話になりました。おかげさまで難民達は冬を迎えることができました」
兵士は冒険者達の尽力で達成できたこと、増やせたことを順に説明していくが、問題も新たに生じていると口にする。
たとえば村の中で季節性と思われる病気が再び広がりつつあること。
村には常設の医者がいないので、一般的な薬を与えての養生が基本だが、設置された病人を隔離するためのテントに運び込まれる数も多くなってきた。
隔離用に設置したテントは、冬の寒さを乗り切れるとは言えないため、収容人数を増やすことや冬を病人達が乗り切れるようにするため、暖房完備の隔離用家屋の建設が急務とのことだ。
急ピッチで家屋を新築したり、村にあるものを使って暖炉を家に設置する知識と技術は冒険者達が優れているので、冒険者達に作業の指揮や指導をしてもらいたいようだ。
「隔離用の建物だけではなりません。暖炉については全ての家屋に設置を終わらせたいのです」
以前冒険者達の手で設営した暖炉だが、時間的な制約と使える素材に限りがあったためか、村の家屋全てに暖炉が設置されているわけではない。
暖炉のある家とない家とでは、建物内の寒さに雲泥の差があり、暖炉のない家の住人が暖炉のある家の住人を羨んだり、もめ事を起こしたりと問題が発生しつつある。
このため、全ての家屋への暖炉の設置が急務だった。
これらの問題を解決するため、皆様の協力が必要となった。
職員は皆様に向け、何かが書かれた紙を1枚ずつ渡していく。
「これは村において隊長が実行できる様々な権限を、依頼を受けたみんなが行使できる証明書になります」
以前の依頼でも皆様冒険者に渡された、兵士達や作業のできる難民達に指示を出したり、動員することを認める証明書だ。
この村に派遣されている兵士の数は、隊長と今目の前にいる兵士を除くと20人ほどになる。
難民達のまとめ役の話では、難民達の中で作業に動員できそうな頑健な成人男性は10人ほどいる模様だ。
彼らが皆様の指示に従い、要望や提案に応じて動いてくれるようだ。
皆様の指示や提案を受ける兵士達や難民達は、内容によっては拒否することもあるので、その点は注意してほしい。
また兵士の話では、村でやるべきことを隊長や難民のまとめ役に提案することも認められているとのことだ。
「私どもが冒険者の皆さんにやってほしい作業の他にも、村で建設や増築が必要なもの、やってほしいことがあれば、遠慮なく意見を出してほしいと隊長は言っていました」
実現可能かどうかは今後の相談次第だが、村の復興や難民達の生活を改善できることであれば、冒険者達にも意見を出す権限が認められたらしい。
今回の場合では、村の中でもめている内容に意見を出す、といったことも認められている。
兵士によると、現在村では以下の3つの作業が提案されているが、物資や作業にあたる人員の数、時間の問題などから2つまでしか実行できないということなので、どれに絞るのか村の中で議論が続いている模様だ。
その作業というのは以下の3つ。
1つ目は、多目的ホールの設置。これは医療所に勤める薬師からの要望で、より多くの人への診療に使える施設があれば、今よりも衛生的な対応ができるようになり、助かる人も増やすことができる。
2つ目は、共用井戸の増設。難民達の水源を複数に増やすことができれば、日々の水くみも楽になり、難民達が使う水の需要を賄えるようになる。
3つ目は、下水集積場の設置。生活する以上、下水は発生するから処理できる場を作らなければ、村の衛生は悪化する。
村にいる人達だけでは決まらないので、冒険者達からの意見も募りたいと、兵士は訴える。
「既に村にいる同僚や難民達には話を通してあります。今私達のいる村で発生している問題は、皆様ならある程度解決できるはずです」
そう言って兵士は「よろしくお願いします」と皆様に頭を下げた。
●今回できること
今回皆様にやってほしいことは、難民が押し寄せた村の復興作業の手伝いや、難民達への対処です。
現在村では100人に満たないものの、多くの難民が暮らしています。
物資につきましては現地の兵達や隊長の尽力で村に揃っており。問題ありません。
ただ村の復興作業や難民対策に携わる人達が依然として不足しているため、引き続き皆様へ依頼を出す事態となりました。
現地の見込みでは、最低でも冬が終わりまで難民達はこの村に留め置かれることが長期に及ぶことは確実です。
そうするためには村のさまざまなところに問題が発生しています。
なおスケルトンは既に全て退治されており、もう村の周囲には魔獣すら残っていません。いても普通の獣程度です。
PL情報ですが、敵が現れることは一切なく戦闘は発生しません。
この依頼を出した隊長は、現在村の詰所で様々な業務に追われています。
皆様は現地の村を守る隊長より一時的に貸与された権限もうまく使い、皆様にできることで村で発生している問題を解決して下さるようお願いします。
解説
マスターより
リプレイ
帝国からの難民が暮らす集落で発生した問題解決のため、6人の冒険者達が集落に到着する。
「難民達は老人と女子供ばかり……男手が居ないともなれば、我々冒険者に依頼しない事にはどうにもならんぞ」
今回初の依頼参加となるナタリア・フィッツジェラルドは、早くもこの集落の問題点に気づく。
建物の改築にせよ、集落に新たな施設や人々の生活を支える基盤を整備するにしても、人手は要る。
「何分その手の人材は需要が高い。必ずしも難民対策に人員が割けるとも限らん。将来の為にもせめて出来る限りの環境を整えねば」
ナタリアはそう意気込むと、兵士達のいる詰所に向かう。
「俺個人の行動としては、難民や兵士への指揮・指導を主に担当するつもりだ」
バーネット・フォーサイスはそう言って工事ができる難民や兵士達を詰所に集め、打ち合わせを開始する。
「さて、色々と伝えたい事はあるが……まずは安全第一って所からだな」
まずバーネットは、作業時の順守すべき点として「作業する人達の安全を確保すること」を挙げ、説明を始める。
「うー、うーん? 診療所とか病気の人を隔離するテントって移築とかは出来ないのかな」
トゥーリは詰所近くに存在する隔離用テントに目を留め、思案する。
トゥーリから見て、健康な人と患者が混在する現況は問題が多い。
「病気の人と健康な人はある程度分けておいた方がいいよね。あと、ゴミとか下水処理場とかも、普段の日常生活で使う場所とは分けておいた方がいい気がする!」
トゥーリは詰所にいる兵士達に向け、自分の意見を出していく。
「既に人は住んでいるのですから、時間をかけられません。急ぎ形を作らなくては」
グレイブ・ヤードも集落が抱える問題に危機感を持っている。
「これは今、我々がいる間にでもしなければならないことです」
幸いなことに、グレイブやここに来た冒険者達ならある程度は解決可能だ。
――出来る限りをしましょう。
グレイブはそう心に決める。
今回この集落に来た冒険者の中には以前もここを訪れ、人々の生活改善にこぎつけた者もいる。
その1人であるフリーダ=ブロムヴィストは、ある程度状況が改善した集落を見渡す。
「以前と比べると大分良くはなってきましたが、まだまだ問題は山積してますね」
詰所にいる兵士達に話を聞く限り、改善されたとはいえ冒険者達に依頼を出すほど、未だに問題は残っている。
「啓示でも『ラン=スウ次第で全滅の可能性はあります』と出ています。頑張りましょう」
謎の啓示を口にしながら、フリーダは問題の山を優先度に応じて整理していく。
そしてルーファス・W・ワーズワースもまた、以前この集落を訪れたことのある冒険者の1人だ。
「一度手を出して引く。というのも気が引けますし、彼らに手を差し伸べることも貴族の義務の内です」
ルーファスは、この集落で暮らす難民達が冬を越せるようにすることを最優先に掲げている。
「『義を見てせざるは勇なき也』。力を貸しましょう」
そんな格言を口にしたルーファスは、まず集落内に存在する各家屋に設置された暖房やその環境への調査を開始した。
●決定
一通り集落の現状確認を終えたところで、冒険者達は話し合いの席に着く。
議題となるのは、今の段階で集落に設置すべき設備や作業を絞ること。
候補として挙げられるのは多目的ホール、共用井戸の増設、そして下水集積場の設置の3点。
このうち現状で着手できるのは2つ。
集落内にいる人々の間での話し合いでは意見の集約ができなかったので、今回冒険者達の意見が求められた。
「まず優先順位についてですが、個人的には多目的ホールと下水集積場の設置を優先すべきかと考えます」
そう提案した理由として、フリーダはこう説明する。
「理由としては多目的ホールと下水集積場がある程度リンクしているのですが、難民達の健康問題を考えた場合、多目的ホールがあればより効率的に治療を行う事ができるという点、そして下水集積場を村から離して作る事で衛生環境の悪化による流行病を未然に防ぐ点、双方の部分から健康問題に対応する事ができるのではないかと考えたためです」
――啓示でも『体は資本。はっきりわかんだね』とありますし。
整合性のあるフリーダの説明に、話し合いの場にいる集落の人々は耳を傾け、グレイブも同じ候補を推挙する。
「私としての考えは下水道集積場を最優先に、次いで多目的ホール、井戸の優先順位です」
その理由としてグレイブは、こう言った。
「理由は病を防ぐことを優先して、この冬を生き延びやすくするためです」
グレイブの姿勢は一貫して難民達の生存を重視しており、ナタリアも同じ候補に賛成票を投じる。
「将来どうにかすべきは多目的ホールと下水集積場だ」
「水は確かに貴重な資源ではあるが、それを気にして医療環境を疎かにしては本末転倒だ。水質や土壌の汚染による感染症もだが、今迎える寒冷の時期は風邪や肺炎も目下の問題と言えよう」
ナタリアは井戸の拡充よりも、衛生管理や生活環境の改善の方が急務だと説く一方で暖炉についても触れる。
「家屋に簡易的にでも暖房を設置するというのなら、最悪多目的ホールを駆け込み寺とする程には整えねばならないぞ。凍傷への備えとしてだ」
その為にも、診療所に存在する設備の状態や医薬品といった在庫を確認し、必要な品を揃える作業も効率化できるならするべきだと、ナタリアが訴えたことで、直ちにそれらの在庫確認も行われる。
「まずは下水処理場は柵の外に作って……飛沫とかがキャンプの中に吹き込まないように、下水が通るところは簡単に木板か革で覆っておくのがいいと思うな!」
トゥーリはそれぞれの設備を設置する場所や、作業内容についても言及する。
「そうですね。水路の上には蓋をして臭気が上がるのをできるだけ抑えるのも必要だと、私も思います」
トゥーリの案にグレイブも賛意を示し、トゥーリはさらに下水を流れる箇所は地面の傾斜をうまく利用する形で、自然に汚水が流れるような構造にするやり方を勧める。
「下水集積場を設営するとしたら、候補個所は集落の東南部にある柵の下を通して、村外の貯留部に出すような感じでしょうか?」
トゥーリの案を補足するように、グレイブも設置に適する場所やそのルートについても意見を添える。
「柵の外側へ建築出来ないかもう一度検討してみようよ。沈殿槽とか掘るならそれなりに広い場所の方がいいだろうし!」
可能な限り人々が生活する場と下水を隔てるという基本原則を、トゥーリは提案に盛り込んでいく。
「あとは多目的ホールだけど。病人がいないときは催しものとかに使うって考えると、キャンプの中心付近にあった方がいいかな?」
――でも、病人やけが人の手当を優先するなら井戸に近い方がいいよね。
その辺りはみんなと相談かな、とトゥーリは思う。
「基本方針としては、暖炉の設置を優先しつつ、多目的ホールと下水集積場の二つを設置する。ここまではいいな?」
バーネットが確認するように人々に問いかけた時には、人々から反対意見は消えた。
冒険者達が話をまとめたことで、次に設置するのは多目的ホールと下水集積場に決定する。
ここでバーネットは、集落での人々の生活を改善するための策をさらに提案していく。
「暖炉については過去に設置した物を参考にし、同様の物を残りの家屋に設置することだな。あわせて既存も含めた各家の換気口の場所や数、防寒具等の見直しも行い、集落内にある全ての家屋を寒さに強い家にしよう」
暖炉の完全普及が先で、多目的ホールや下水集積場の設置はその後だと、バーネットは釘をさすことも忘れない。
「では決まりですね。僕も作業に戻らせて頂きます」
ここで途中から話し合いの場につき、議論の流れを見守っていたルーファスが、中断していた作業へと戻っていく。
ルーファスも多目的ホールと下水集積場を推していたため、話し合いの結果は順当なものだと判断している。
「下水環境の整備は、人手が有り指示が出来るうちに済ませたいですから」
少なくとも、今自分達が集落にいる間に下水集積場の原型と下水路の設置は終わらせておきたいと、ルーファスは考えている。
そのために必要な人手は、ルーファスのカリスマを活用した説得や、冒険者達が集落の人々へ指示を出すことを認める証明書によって集め終えていた。
●実施
ルーファスは天眼も駆使して集落全体の状況を把握すると、作業に従事する人達の偏りを減らす指示を出した後、自身は再び暖炉の環境診断に戻る。
「主に壁の薄さや穴の多さ、発火物の多さ、空間の広さなど、断熱環境としてマイナス要因が多い程評価を下げる減点式診断を実施します」
ルーファスは明確な判断基準を掲げ、各家屋の暖房環境を採点していく。
「幸い今回は解決しなければいけない問題の優先順位がありますし、まずはそこから手を付けましょう」
フリーダもルーファスと手分けして、難民達の暮らす家屋を回り、暖炉がない家やこの先も続く冬を越せそうにない家屋をピックアップしていく。
ルーファスやフリーダは調査の結果、改修が必要な家屋を全て割り出した。
「では暖炉のない家屋を中心に、設置を進めていきたいと思います」
フリーダは作業に従事する人々に向け、そう声をかけると暖炉設置をはじめ、暖炉増設に協力するグレイブからも、より簡単に暖を取れる案が提示される。
「火鉢のようなものを作り、配ることは可能でしょうか。小さめの瓶に7分ほど灰を敷き詰めて、その上に炭を熾して用いるものです。動かす事ができれば、移動が難しい方も暖が取りやすくなると思うのです」
その提案に従い、集落にある手頃な瓶と灰が集められ、グレイブの教導スキルによって人々の一部が『火鉢』の作成に取り掛かる。
「金網をかぶせれば、何かが中に落ちて燃えることも減りますし。その網でちょっとしたものを温めたり焼くこともできます」
グレイブは火鉢の『性能』も人々に教え込み、彼の教えを受け完成した複数の火鉢は、主に身動きがとれにくい人達の暮らす家屋へ届けられる。
今回の作業で集落内の家屋全てに暖炉が備え付けられそうだが、フリーダとグレイブは隙間風を減らす策も人々に示す。
「取り外しができるタイプの壁を壁面に設置し、少しでも密閉する事で隙間風の寒波が入ってこない様にしていきましょう」
「壁が難しいようでしたら、木箱を屋外に置くことで隙間風の勢いを減らし、屋内の暖気が簡単に逃げないようにしたいですね。あとは端切れ等でタペストリーを作り、室内用の風よけを作る形でしょうか」
フリーダやグレイブの指示や指導の下、人々は壁になりそうなものや木箱を集め、隙間風対策も進めていく。
「暖炉が増えたら燃料の消費も増えるだろうし、薪を乾燥させる為の燃料小屋、いるでしょ?」
トゥーリからそんな提案があがると、話を聞いていた兵士達や難民達から「必要だ」と応じる声があがり、トゥーリによる小屋の設置作業も並行して行われる。
「風通しのいいところで大量に薪を保存できるように、防水のしっかりした小屋が作れたらいいな」
そう考えたトゥーリは集落内を動き回り、条件に該当しそうな場所を探す。
――実際にキャンプの中を歩いてみて回らないと、距離感とか見取り図だけじゃ分からないし!
トゥーリの実地調査の結果、ある場所に『燃料小屋』の建設が始まる。
トゥーリも建築・土木スキルを駆使して建設に貢献し、バーネットや彼の指示に従う人々も、冒険者主導の作業に必要な材木の供給や人員の割り振りに奔走する。
「燃料小屋を作る場所には、この材木が必要になるぞ。今南東方面でやっている作業には、あと3人向かうんだ」
バーネット自身も木工スキルを駆使し、各現場で必要となる材料の加工と提供を続けていた。
作業に目途が着いたところで、バーネットは今集落に存在する井戸の改良にも着手する。
最近この集落に運ばれてきた物資の中から、必要な材料を拾い上げていくと、バーネットは滑車を井戸に取り付け、動きを確認する。
「組み合わせの妙って奴だな。これで不思議と軽くなるんだぜ」
バーネットは複数の滑車を組み合わせることで、水を引き上げる労力を減らし、女性や子供でも水汲みが容易にできるよう工夫を凝らす。
できる限り現場での作業を簡略化し、常に安全を心掛けて作業を行うため。
自分達がいなくても、この集落に暮らす人々自身の手で建築や保守管理ができるよう、バーネットは教導スキルを駆使して人々に必要なことを教えていく。
「元気な老人や子供が労働力に換算出来れば、生活はより安定するでしょうね」
バーネットの作業への支援にも回っていたルーファスは、その完成を見届けた後、診療所に常駐する薬師のもとへ向かい、ある提案を行う。
「医療分野を1人で担うのは潰れるリスクが重過ぎます。複数名で協力すればある程度代わりが効きますし、半永久的に必要な人材となります」
それは以前ルーファスが文字の読み書きを教えた難民達の中で、筋が良かった人達を助手として雇い、仕事を教えるというものだった。
推薦する人々からの同意は既に取り付けてある。
薬師はルーファスに謝意を示しながらも「実務を少しずつやってもらい、適性を見てから」と試用期間を設けることを提示し、ルーファスも「それで構いません」と頭を下げる。
「村の衛生に関しては、こちらからサバイバル知識を示しつつ、下水担当と連携して動きたいところだね」
ナタリアは自ら率先して、集落に下水路を設置する作業を進めている。
サバイバル知識に加え、ナタリアの医療・薬学スキルに基づく医学的な心得もナタリアは人々に教え込み、下水路の設置に携わる人達はナタリアから学んだ知識を活かし、衛生面に配慮しながら設置を行う。
「屋外での活動を経て感染症になるというのはよくある事だろうし、不安要素は少しでも何とかしておきたい」
ナタリアは先の話し合いで自身が出した凍傷への対策にも思案を巡らせる。
「暖房というか囲炉裏の設置に際して、村の周囲の樹木で使えそうなものは無いものだろうか?」
トゥーリやグレイブが作業の合間に治療スキルを行使して、怪我をした人達への治療も行っているが、集落全体に暖房が行き渡れば、凍傷のリスクは減らせるだろう。
切り出した樹木を材木として使うには1年近く乾燥させる必要があるが、ナタリアはそれを踏まえた上で、現地で調達が可能なものは多いに越したことはないと考えていた。
●帰還
冒険者達の尽力によって、全ての家屋に隙間風対策や暖房設置がなされ、人々が冬を越せる目途が立った。
冒険者達が自身の持つ知識や技術を教え込んだ人々も、着実に成長し続けている。
集落の居住環境を改善してくれた冒険者達に、最大の感謝を。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜8人
2021年02月07日 11時42分02秒 公開
相談掲示板
さしあたり、先ずは挨拶を。 ウォリアーのルーファスと言います。どうぞお見知り置きを。 過日この難民村とは縁が有りまして。 中途半端で放置するのも忍びないので、お手伝いに参りました。 が、何だかあっという間に状況が悪化しているようで。 一応施設は1と3を優先すべきだと思っています。 水汲みは効率化出来ますが、残りは無いと無いままでしょうから。
ヒーラー、グレイブ・ヤード。 好きに呼んでもらって構わんよ 縁としてはありませんが、何かお手伝いできましたら
縁のある方を差し置いてというのも心苦しいのですが >今回の行動優先度に関して 皆様どのようなことをお考えでしょうか? 現在示されているものとして ・多目的ホールの設置。 ・共用井戸の増設。 ・下水集積場の設置。 のうちの2つの選択 追加でおそらく必要なのが ・暖房類の増設 かなとは思うのですが・・・。
連続で申し訳ありませんが ちなみに私としては、 多目的ホールと下水施設が優先されると考えています。(この二つでは下水がさらに優先) 理由としてはこの二つは生命の危険に関わる可能性が高いですが、 井戸に関しては「楽になる」が主軸ですからね。 時間をかけてもいいものと、時間をかけられないもので天秤にかけました。 私個人としては建物の普請(家屋の防寒対策)について建築関係や教導スキルで「難民自身の技術」を上げようと思っています。
トゥーリだよ、よろしく! 選択肢3つの中から2つ選べっていわれると……ホールと下水施設かなあ、やっぱり。 あとは個人行動としては暖炉の設置とか、全体的な生活レベルの底上げを頑張る感じだね!
キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >優先箇所 まぁ、暖炉の設置は最優先でやってくれって事だから決定事項として、 あと二つ手を付けるなら、俺も多目的ホールと下水施設かね。 共同体での衛生面の整備は優先的に仕上げないと、悪影響がデカいからな。 あえて井戸に手を出すとするなら、滑車を改良して水を汲み上げやすくするぐらいか?
>選択肢 とりあえず此処は満場一致で1,3優先で良さそうですね。 下水がより優先される、については同感です。 >暖炉 とりあえずここを最優先で片付けた方が良さそうですが。 手分けはどうしますか。 建物の新築と旧造で断熱に差が出来ている可能性も 割と高そうなので、一通り見回りが必要とは思いますが。 >井戸 時間に余裕があれば滑車の改良くらいはしてあげても良い と、思いますがこれって木造工作の類ですよね。 技術が追いつくかはかなり怪しい、少なくとも僕は設計が引けません。
ナタリア・フィッツジェラルドだ。 此処での参加や相談は初めてだから、拙い所も多々あるかもしれないが、宜しくだ。 3つの選択肢から2つを択べか……既に下記で挙げられている通り、私も1と3かな? 多目的ホールの設置に関しても、暖房の設置も急務と言われる程であれば傷薬の類のみならず風邪薬の類も要される上。 衛生面を考慮して感染症への備えとして最悪手術の類が行えるくらいには環境が整わねばならんか。 難民村の住人は老人が多くて、あとは女子供……とにかく男手が足りない環境か。
ウォーリアのフリーダです。今回もよろしくお願いします。 >優先箇所 個人的には1と3を優先すべきかと思います。 >暖炉 基本的には暖炉が無いと冬を越す事が出来そうにない家、 すなわち高齢者や子供がいる家、寒波が直撃しそうな家を優先してはどうでしょう? どちらにしても一度見回りを行ってどこに作るべきかを確認する必要はありそうです。 >井戸 汎用スキルとして建築と木工は用意できますが、 井戸にどのような改良を施すかを考える必要がありそうですね。
>暖炉 設置位置に関してはよく考えないといけないのは同意しますね。 全体を見た感じ、火事が起きたら延焼もおきそうですし あと排気箇所も考えないと病気の一因になりますから。 >家屋の防寒 今から作り直す、というのも難しいかと思うので 「取り外しのできる壁」を増やすのはどうでしょうね? 隙間風を減らすだけでも大きく違うと思いますし (雪国地方でいう「雪囲い」の概念ではありますが)
>「取り外しのできる壁」を増やす これ良いですね。名案だと思います。 このまま夏先まで避難村での生活が続いたり、このまま開拓村になったり。 となった場合にも応用が効きますし。シンプル分かり易いのが良いですね。 と、なるとまあフリーダさんの仰る住人事情も一緒に鑑みて まずは手分けして村内の各家を巡りますか。情報を揃えないと始まりません。 ついでに病気の方の居住地の分布なども調べた方が良いかもですね。 >井戸 水車とか設置出来ると水力循環による汲み上げ補助が出来ますが。 流石にそこまで大掛かりになるともう1つの施設ですよね。 となると、滑車に金属を噛ませて水汲みの労力を少しでも低減させる。 位でしょうか。あとは運ぶ道具を天秤型にして労力を減らすとか。
凄い今更ですし過ぎたことですが 私個人としては、下水関係は(と言うか入るところ、出るところはセットで)「一番初めに」作るべきものだった気がしています。 村の全体図を見ていると、下水の貯留槽などを安全に作れそうな場所がとても難しいです 村の外にしても、そこまで流しだすための道を作らなければいけませんしね。 建物を動かせる状況でもないですし。 今更ですのでそれはそれとして >下水の仮案 現状で作るとしたら候補個所は6のL辺りから7のKL部分を通して外の貯留部に出すような感じでしょうか? 本来は(臭気などの問題で)風向きなどを考えて作らなければならないですし、 落ちないようにふたなども考えないといけませんね。 >井戸 今回は主として対応できないとはいえ、 必要であれば暫時「くみ上げ滑車を1基増やす」で対応できませんかね? 絡まるなどの問題もなくはないですが・・・。 一時的な措置であれば可能かなと。 水車は結構水量も必要なものなので。 近隣に大きな川があればできるかもしれませんね。 >取り外しの壁について これについては最悪「物資運搬用の木箱」で代用もできます。 要は「勢いのある風がそのまま家屋に入らなければよい」ので、ある程度の密封が期待できる木箱でも問題は少ないでしょう。 1から作るよりは今現在あるものを再利用、という形にできるかと。 風などで動かないように重しとなるものは必要でしょうが、最悪土を詰めてもいいのですし
>防寒 雪囲い、と言うよりも壁と壁との間に空間を作るって感じでいいか? こういう形なら、空気の層が出来て外気温が伝わりにくくなるだろうし。 欲を言えば干し草あたりを間に詰めたいところだが、そこまでくると手間がかかるか。 あとは隙間風対策なら、それこそ漆喰でも粘土でも何でもいいから、 直接穴を塞ぐのが一番だとは思う。 >下水 場所的にはヤードの案で問題ないとは思う。 >井戸 俺としては、滑車を二つ組み合わせてた物を作って、 少ない力で汲み上げられる様にするのがいいんじゃないかと思う。 それなら、子供の力でも水汲みがしやすいだろうし。
>井戸 滑車を2つ組み合わせる、ですか。 なるほど、子供や老人への対応ですね。 汲み上げ機を1つ増やすのも暫定的には良さそうですが、 今回の労力を減らすと言う希望を加味すると 前者の方が適当な気がしますね。 >下水 そうですね。本当は初動でどうにか出来れば良かったのですが。 ともあれグレイブさんの提案で異論はありません。 蓋なり囲いなり作ると考えるとこちらも割と人手が必要そうですね。
>直接隙間をふさぐ 難しいところではあるのですが、それをすると換気が悪くなるというデメリットもあるのですよね。 でも簡易的な建物なのでそこまで考えなくてもいいかもしれませんね。 >病について 季節性の病(風邪)にしても、あまり軽くは見ることはできませんね。 変にこじらせると後々まで続く問題があったりしますし。 >暖房 暖房というと少し違うかもしれませんが、屋内で使えそうな簡易的な焚火・・・ 囲炉裏的なものはできますかね? これも建物を多少作り変える形なので時間はかかりそうですが・・・。 後は、追加する形で火鉢のようなごく小規模の暖房機材とかでしょうか? 小さめの甕と灰と炭があれば何とか出来なくはない、ですかね? >少し気になってたこと 寝具の類って現状どうなんでしょう? 床に直に毛布等を敷いてとかなのでしょうか? ベッド的なもののほうが多少は床からの寒気を避けられるかなと思いまして
とりあえず現状でプレイングを作り ・下水の件 ・暖房の件 ・囲いの件(木箱を置く件) ・現在の病人対策 を入れたところで文字数が尽きました・・・。
直接隙間を塞ぐにしても、囲炉裏を設けるとなれば兎に角燃料と言える炭の性質を考慮して使わねばならないだろうし…… 難民村周囲の木の特徴さえ分かれば、ある程度使い道はどうにかなるとして。 問題は下記にも挙げられた通り換気もそうだが、灰の撤去というように兎に角メンテナンスをこまめにしなければならないだろう。 一酸化炭素中毒は、本人も気付かぬまま陥ってしまう類ともいえる。 木炭に使う木の伐採は他に任せるとして、こちらからは医療薬学、サバイバル知識を活かす形で貢献しよう。 フィールドワークの産物といえるものかな。 下水に関しては地質学も有用に働くものだろうか?
>隙間風 まあ、多少でも隙間を塞いで、熱が篭りやすくするだけでも効果はあると思し、 気になるなら最低限の換気口は残すとか記載しておけば大丈夫だろう。 >暖房 そもそも暖房として暖炉を設置するから、他の物は優先度は低めだな。 やるとするなら全ての家屋で一気にやらないと、また問題も起きるだろうし。 >寝具 ベッドも有れば良いと思うが、やはり人数分用意するのがネックだし、 毛布だとか敷き布を増やすとかで対応するのがベターだと思う。 >個人行動 俺は木工で材料の加工をしたり、教導で手伝える難民や兵士を指揮したりとかを考えてる。 可能なら、俺らが居なくても多少の建築とか手入れとかが出来る様にしたいな。 あとは、井戸の滑車については、余裕が有れば手を出す旨を記載しておく。
不足のものは多々あるかと思うのですが・・・そこは各自で補えればと思います。 色々と話しながら私自身、これが良いと確信をもっては言えませんし。 しいて言うなら下水の工事は私たちがいるうち(人出が多いうち)にやってしまうべき、位ですかね? それ以外は各自で思うように、でしょうか? 村の方々も思うところはあると思いますし
時間もありませんが思い付きまでに 防寒対策としての『タペストリー』はどうでしょうか? 布の端切れ他でパッチワークを作り、壁際に下げる形です。 そとに出るお仕事ができない時期、室内で作れるものですし 見目良いものであれば、売りに出せるかもしれません
あー、タペストリーで防寒対策。 という発想は無かったですね。良いかもしれません。 マスコットとかでもまあ、布なら暖かくはなりますね。 僕も各家の調査と暖炉の設置を中心として、 あとは下水の方を少し重めに比重を置こうかと思います。 滑車は、まあやはり手が足りて時間があれば、ですかね。
タペストリーは良いな。 これなら男衆以外でも作れるし、材料の継続的な確保さえ出来たら、 今後の資金源にもなりそうだ。
下水の方のサポートを任せるという人員が居て何よりだ。 なら私は当初の予定通り、サバイバル知識に基づいた防寒対策と、医薬品の在庫調査とでもいこうか。 暖房に関しても、最悪多目的ホールを駆け込み寺代わりにもする形でな。 タペストリーを売りに出せば、あわよくば観光地とも郷土名物の職人が将来出てくる事が見込めそうだ。 あわよくば開拓村にでも発展して、貴重な男手を招致出来る好機か?