【初夢】集まれ!私立アニエピカ学園!?

菊華 伴

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シナリオID:420

オープニング

●新年早々……ここはドコ?

 ――? ? ?

 さわやかな朝。にぎやかな小鳥のさえずり。そして……けたたましい目覚まし時計の音。……目覚まし時計? そう、目覚まし時計の音である。
 ベッドの毛布がもこもこ動いたかと思えば、持ち主だろう手が出てきて何かを探す。そしてうるさく騒ぐ目覚まし時計を叩いて止めて、それを毛布の中に引き込んだのち数秒の無音。そして、舞う毛布。現れたるは寝ぐせだらけの銀髪少女。
「寝坊しちゃったぁ!?」
 ベッドから飛び出し慌てて身支度を整え、階段を駆け下りる。そんな娘の姿に両親は苦笑しつつもかわいいのだの言っているが少女はたまったもんじゃない。「どうして起こしてくれなかったの?」という叫びにもころころ笑って「自分で起きるって言ったじゃない」と母に言われる始末。
 どうにかトーストを加えて玄関を飛び出す少女。
「お弁当忘れてるわよ、ヒルルクー!」
 母の声に、少女――ヒルルクは顔を真っ赤にして玄関に戻った。

「いっけなーいっ! 遅刻遅刻―っ!」
 食パンを咥え走るヒルルクは、プリーツのかかったスカートが翻るのも気にしていられなかった。
(なんでこんな時に寝坊するの?! あぁ、今日の一時間目はヤコブ先生の英語……、しかも小テスト! 勉強してない!!)
 しかも風紀委員の顧問だから正門に今頃立っているし何か注意される……と焦ってしまう。
 そんなこんなでダッシュする先に見えてきた正門。その奥に見えるお城っぽく見える建物が、ヒルルクの通う中高一貫校、私立『アニエピカ学園』だ。
(! あとちょっとで正門だから、頑張れば遅刻しないですむ!!)
 ヒルルクはカバンを握り締めさらにスピードを上げる。その姿を見た教師ヤコブ・ヴィリアンは眼鏡を正してため息をついた。
「はぁ……、品がない。アニエピカ学園の生徒ならばもう少し余裕をもって行動なさいとあれほど……」
 と、やれやれと首を振ったその時。
「きゃっ!?」「わあっ!」
 正門150m手前の交差点で、別の制服を纏った少年とぶつかっていた。そして何かもめているようである。
 きゃいきゃいやいやいもめている様子と腕時計を見、ヤコブは肩を竦めた。
「時間ですね。門を閉めますか……」
 その音で何かに気付き、ヒルルクと少年が門へ駆け込む。だが無情にもその門は2人の前で閉ざされてしまった。
「ヒルルク、――。2人とも遅刻です。せめて予鈴がなるころまでに登校なさい」
「「すいません……」」
 ヒルルクと少年は、ヤコブの言葉に複雑なものを覚えながらにらみ合うのであった。


●現代世界っぽい初夢

 今、あなたは夢を見ている。
 見たこともない機械や乗り物があふれた不思議な世界だ。
 しかもいろんな種族が仲良く(?)暮らしているし、あなたは現実の世界では子供だろうと大人だろうと、今、この夢の中では人間年齢で『12~18歳』ぐらいの姿になっている。

 そして、あなたの中に不思議な記憶があった。
 自分は私立『アニエピカ学園』の生徒である、という。
 部屋のクローゼットに、もしくは壁に、もしくは床(!)に。あなたの制服があることだろう。

 ――さぁ、あなたも学園生活を謳歌しよう!!


※このシナリオは「夢オチ」シナリオです。シナリオ内容は架空のものであり、アニエピカの世界観に一切影響を与えません。報酬は冒険者ギルドからのお年玉です。

解説

夢で学園生活をしようっ! その一言につきます。 ……と、言いたいところですがそれでは自由度が高すぎるので簡単に説明します。 貴方は現代日本にほど近い世界で学生生活を送っている……という夢を見ています。 部活に励んでもよし、授業を楽しんでもよし! こっそり授業をサボるも……よし!(本当はダメだけど) あなたのPCはどんな学生生活を過ごしていますか? 今回のシナリオでは 登校風景/授業風景/部活風景/昼休み/放課後(下校含む)/寮生活風景 の6つの中から描写してほしい項目を1つ選んでプレイングを書いてください。 また学年が同じ場合同じクラスとして複数描写する可能性もありますご了承ください。 「勢いで飛び込んだけど何も思い浮かばない」方はプレイングに「学年」など簡単な設定と共に「おまかせ」と書くとマスターがおいしく料理します(ただしアドリブなので何が起こるかわかりません)。 >参考資料:私立アニエピカ学園とは 舞台となる中高一貫校です。 『自立』『創造』『好奇心』の3つを柱とした教育方針を掲げており、いろんな種族の生徒が通っています。 また、遠方出身の生徒の場合敷地内にある学生寮から通うことも可能です。 制服は男女ともにブレザー。ジャケットは中高共通で紺色。 ズボンは灰色、スカートは赤ベースのチェック模様。 各学年ごとに色が定められたネクタイがあり、中学部の物には白いラインが入っています。 1年:赤/2年:青/3年:緑 >登場(予定)NPC ・ヒルルク  高等部1年。ちょっと慌てちゃう系女子高生。 ・ヤコブ・ヴィリアン  生徒指導の先生。高等部で英語を教えている。

マスターより

ここではおそらく初めまして。菊華 伴(きっか ばん)と申します。 初春のお喜びを申し上げますついでに初夢シナリオをお届けいたします。 今回は初夢ということで、つっぱしってみました。アニエピカ初のシナリオがこれです。名刺代わりのシナリオがこれです。趣味に走りました。よろしくおねがいします。 ところで、食パン咥えてつっぱしり登校したい人はやってもいいですよ?

リプレイ

●清々しい(?)朝

 ――学生寮

「いい天気になったわね」
 窓のカーテンを開け、静かにアウレーリア・フォン・ネーベルベルクは言った。彼女は身支度をてきぱきと整えると寮の食堂へと向かう。
(今日は制服チェックがない分、余裕をもって食事がとれるわ。そうそう、部活で花壇に新しい花を植えるのよね。楽しみだわ)
 どこか楽しげな様子の彼女は、その口元を綻ばせ胸を軽く弾ませるのであった。

 ――? ? ?

「おはよう! 学校いこーぜ!」
 とある家を訪ねる、元気のよさそうな少女が一人。だが、対応した老人はちょっと困った顔で
「ゼラルムは、もう学校に行ったよ。追いかけたらまだ間に合うかもしれん」
 という。その言葉に少女は……思わず叫んだ。
「黙って先に行きやがって……っ!」
 ちょっと眼光が鋭くなった少女を、老人はただただ微笑ましそうに見ていた。

「今日もいい天気だな……」
 と、言いながら通いなれた通学路を行くのはゼラルム・エルホワイト。アニエピカ学園の高等部3年生である。
 彼は今日の授業の事を考えながら学校へ向かっていたのだが……ふと、少し騒がしくなってきたような気がする。
(……ん? この声は)
 と、振り返ると金髪を揺らした少女がゼラルムを軽く睨みつけていた。しかもアジアンスクワットというスタイルに黒いジャージ姿で。君は昔のヤンキーか。
「おうコラ待てや!」
「おう、おはよう。今日は戦車使ってないんだな」
 「この野郎、さては置いていくつもりだったなぁ~?」と不満をあらわにするサニー・フォン・オルライトに対し、ゼラルムの態度に彼女は少しだけ声を強めた。
「あんまりふざけてっとお前ん家戦車(タンク)で特攻する(ブッコム)ぞ!」
「やめろやめろ。流石に洒落になんねーから」
 サニーの脅し文句に対し苦笑しつつ諫めるゼラルム。サニーはそれでもまだ不機嫌そうだ。
「ほら、早く行くぞ。ここでもめていても遅刻しちまうからな」
「! だから待てって言ってんだろがっ!」
 先に歩き出すゼラルムを慌てて追いかけるサニー。そんな二人の様子を、他の生徒たちは「またやってる」など言いながら微笑ましくみているのだった。
 ちなみにギリギリ遅刻は免れた2人であったが、生徒指導のヤコブ・ヴィリアンから「もう少し静かに登校なさい」とお小言を言われたとか、なんとか(主な原因はサニーなのだが)。
 そして始業ギリギリに正門を潜ったケン・Z・ブラットリーに気付いたことでお小言から解放された。ちなみにケンが始業ギリギリの登校なのは毎朝通学途中に朝稽古(と言う名の道場破り)に勤しんでいるからである。
「おっし! 今日も楽しくなりそうだぜ」
 ヤコブの説教もどこ吹く風のケンは悠々と教室へ向かうのだった。

●授業も昼休みも楽しんで

 ――中等部3年のとある教室

「それじゃあ、次の問題を……プラム」
「はい」
 数学の授業中、指名されたプラムははっきりと返事をして黒板にむかった。
 本来中等部1年のプラムではあるが、アニエピカ学園で半年に1度行われる飛び級試験に合格し、見事中等部3年生へと飛び級していた。その上成績はトップクラスで教え方も上手く、その上気立てがよくていつの間にか『先生』というあだ名がついてしまった。
 黒板の前に立ち、台に乗ってすらすらと問題を解くプラム。先生が「正解」と言ってにっこり笑うと、少しだけ頬を赤くする。
 授業の残り15間がグループ学習となると、プラムもまた級友たちと机を近づけて問題を仲間と解きはじめる。と、隣の席の男子生徒がふと
「ねぇ、『先生』って彼氏いるのー?」
 と聞いてきた。それに思わず「ふぇ?!」と顔を真っ赤にして硬直してしまう。どうやらプラムにはちょっと刺激が強い質問だったようだ。
「ほらほらプラムちゃん固まっちゃったじゃん」
 反対側にいた女子生徒が咎めるも、プラムのフリーズは解けない。そうこうしているうちに別の女子生徒が「授業終わってもこのままならリボンつけちゃおう」とか言い出したのだった。

「……という事がありまして……」
「そうだったんだ……」
 昼休みになり、プラムは図書館近くのベンチで高等部2年のニール・ロブラリアと共にお弁当を食べながら先ほどの事を話していた。
 ちなみにニールは男子の制服を守っているが性別が何なのか謎である(まぁ、アニエピカ学園ではよくある事だが)。
「この後、図書館に行きますけど、ニール先輩はどうしますか?」
「ボクも行こうかな」
 プラムの問いに、ニールがお茶を飲みつつ答えればお互いお気に入りの場所で本を読もう、という事になった。この二人、学年は離れているものの読書友達らしい。
 図書館に行くとニールは沢山の本に埋もれるように、寛いで読書ができるスペースにいた。大半ここで過ごしている彼(彼女)故に『図書館のあの子』と呼ばれることが多いニールは授業中もここにいることもあるらしい。
 たまに、「探している本がある場合『図書館のあの子』に聞くと大抵見つかる」という噂があるくらいだ。まぁ、ニールは知る由もないが。
 その日もマイペースに本の城に埋もれていたニールであったが、その日は違った。彼の目の前にチャラそうな男子生徒が立っていた。しかも顔をしかめ本を乱暴に扱っている。
「……ちょっと待って。本は大事に……」
「うるせーなあ! 邪魔すんじゃねぇよ!」
 ニールが止めようとするが、その男子生徒はニールの胸倉をつかもうと手を伸ばす。だが、それを遮るものが。よく見ればいつの間にか割り込んだ悠人・ラドルファス。彼が、男子生徒の手首を力強く掴んでいた。
 クラスから浮いた印象を持つ悠人だが、困っている人は見過ごせない性質らしい。そして、彼は上級生であろうと喧嘩には立ち向かう。
「ここは、図書館だ。どう振る舞うべきか解るだろう?」
「この野郎!」
 男子生徒が反対の手で殴ろうとするも、悠人の目の他、ニールの目が、そして多くの生徒たちの目が男子生徒に向けられる。彼は舌打ちすると手首をふるって悠人の手を外し「覚えてろよっ」と捨て台詞を吐いて逃げて行った。
「他愛もないな」
 そうため息交じりに言って立ち去ろうとする悠人をニールが引き留める。
「ありがとう」
「……オレはただ、ああいうのが許せないだけだ」
 そういってそっけなく背を向ける悠人であったが、その頬にはどこか恥じらいからの紅が浮かんでいるようだった。

●放課後、どう過ごす?

 つつがなく授業も終わり、いよいよ放課後。
 ホームルームが終わるなり教室を飛び出したのは……?
「今日も授業終わりっすー! さぁ、特ダネ探すっすよー!!」
 元気いっぱいな高等部3年、カルミーである。彼女は新聞部の一員で常に特ダネを探している。……のはいいが熱が入りすぎて授業に遅れたり立ち入り禁止区域にはいってしまったりでヤコブに怒られることもしばしば。
 そんな彼女は新聞部の部室に荷物を置くとスマホ片手に学園中を駆け回る。
(校訓にも『好奇心』ってあるっす。あたしはそれに従ってるだけっすよ!)
 と、今日は校庭を回っていると……ちょうど園芸部が花壇の花の植え替えを行っていた。
「おーっ! この花綺麗っすねぇ♪」
「ありがとう。とてもいい色よね」
 アウレーリアが微笑みながら言うとカルミーも釣られて瞳を細める。だが、ジャージ姿で現れたスフィカにアウレーリアが首をかしげる。
「スフィカ先輩。今日は花の植え替えの予定でしたが……」
「うん。ここの植え替えの後畑に行こうと思って。白菜がいい感じだから収穫するよ!」
「スフィカはいつもどおりっすねぇ」
 同じクラスのカルミーは、いつのまに着替えたのだろうと思いながらスフィカを見た。カルミーも特ダネ探しで色々あるが、このスフィカも勉強が少々苦手で居眠りする事があり、ヤコブに注意されることが多々あるのだ。
「学年的に受験生なんだけど……考えたくないよ……」
「それはあたしもっす……」
 ふぅ、とため息をつく高等部3年生2人。だがアウレーリアは花の植え替えに集中して聞いていない。
(いい匂いですね)
 普段、風紀委員として凛とした姿を見せるアウレーリア。しかも中等部時代は生徒会で辣腕を揮っていたという経緯から内部生からは『鉄の女』、外部生からはその柔らかな物腰と容姿から『妹キャラ』と称される。そのどちらも自分だと認めるため、アウレーリアは何も言わないのだが。
 この後、アウレーリアもジャージに着替えてスフィカと共に白菜収穫に勤しみ、カルミーは「うーん、もうちょっと刺激欲しいっすね」と眉間を揉んだ。
(まぁ、期待の新人も特ダネ探してるっす。焦らずいくっすよ)

 放課後の図書館。ティトは中等部3年生のセリーヌから「勉強を教えてほしい」と頼まれ、共に勉強していた。その内容は、なんと高校1年生の数学である。
「ふふん♪ 高等部に上がってからも学年主席を守る為に今からフライングで勉強をしておくのよっ!」
 と気合の入ったセリーヌを微笑ましく思うティトではあるが、向かいに座るセリーヌは実をいうと……?
(本当は、ティトとコイバナしたいのよね)
 という本音を胸に秘めていた。
 確かにお互い部活があるため長々とはできない。だからこそ有意義に過ごしたいと考えていた。でも……ついつい別の方向に流れてしまう。
「そういえば、今度購買に新作のパンが並ぶみたいだよ」
「しばらくは購買戦争激しそうなのよ」
 ふと購買のある方面を見てそう呟く2人。この学校では購買が2、3あるが一番品揃えがあるのが図書館に近い購買。中等部高等部双方から行きやすいため昼食時は購買戦争が勃発するのだ。
 その他食事がどうとか、中等部の授業がどう高等部で生かされるか、ところころ変わるおしゃべりの楽しい事。思わず勉強の手を止めてしまうセリーヌ。そうしながらもここだ! という何かを察知し
「そうそう、ティトは……」
 と、コイバナをふろうとしたその時、ティトが時計を見た。そろそろ部活に行かなくてはならない。
「ごめん、ぼくはそろそろ行かなくちゃ」
「そ、そうなの? 話過ぎてしまったわ、ごめんなさい」
 ちょっとしゅんとするセリーヌに、ティトは「大丈夫だよ」とそっと言った。
「そうだ! 今度は昼休みにどう?」
「それは名案なのよ! 一緒にお昼を食べてそのままお勉強するのよ!」
 ティトの提案に、セリーヌは笑顔で頷いた。

「ウェーイおたく君見てる? 今からブベラッ」
「誰よおたく君って」
 チャラチャラした男子生徒が、見事な蹴りによって廊下に沈む。呆れた顔で立ち去るは、シャロン・ラ・モリエール。スカートの下に体操着のハーフパンツを履く系の委員長女子である(ちなみに体育委員長である)。校則違反や問題児に食いついていく勝気な性格が災いし男子生徒からちょっかいを出されることもあるが嗜んでいる合気道で返り討ちにしているそうな。
 ちなみにこのチャラい男子生徒は昼休み、図書館でニールに絡み悠人に追い払われた彼である。合掌。
「さて、今日もがんばりますか」
 と、彼女は部室へと入った。
 その様子を物陰から見ていた者が一人。ケンである。
(あの委員長にまだちょっかい掛るバカがまだいたか……。しかし見た目に反してなんか違和感があるんだよなぁ)
 まぁ、あくまで俺のカンだけども……と呟いていると人の気配がした。彼を追っているであろうヤコブであろうか。
「ここに逃げるかっ」
 しつこいな、と思い適当な部室に逃げ込んだわけだが……振り返って息をのんだ。愛らしい長毛種の猫の耳としっぽ。そしてどこかおしゃれでセクシーなレースの下着姿のシャロンだった。おもわず「やばっ?!」と小さくも声を上げるシャロン。
(よりによってコイツに見られたっ)
 おもわず叫びそうになるも、そつなく口を塞ぐケン。彼はそっと愛らしい猫耳に
「思ったとおりいい体してるな。しかし、結構すっごいのつけてるのな……。中々似合ってるぜ」
 と囁いて窓から逃走した。あとに残されたのは、頬を赤くしてへたりこむシャロンただ一人。心なしか猫耳としっぽもへにゃっ、と垂れている。心臓もバクバクと大きな音を立てており、色々な感情が胸に渦巻いている。
(いっ、……いい体って何よぉ)
 困惑していると、窓の外から人の声が聞こえて我に返った。

 カルミーが言っていた『期待の新人』とは……高等部1年のシャトン・アルジェントである。赤い瞳に好奇心を宿し、彼女は特ダネさがして校庭を歩いていた。
(どんなことがいいのかしら? 特ダネさがすわよ)
 と意気込んでいたところに、合気道部の部室の窓ガラスから飛び出す影。それに思わず面食らうシャトン。
「きゃっ?!」
 と思わず悲鳴を上げよろけるシャトンであったがとっさにパシャリ、とスマホで写真に収めていた。
「大丈夫か?」
 急に声がしたかと思えば、ぶっきらぼうそうな男子生徒――悠人が助け起こしてくれた。
「ええ。大丈夫よ。ちょっと転んだだけだから」
「ならいい。……けど、さっきのは何だったんだ」
 悠人もさっきの影を見たらしい。シャトンはさっそくメモとシャーペンを取り出した。
「あれは何だと思う?」
「ぱっ、と見た感じ人っぽかったな? って……」
 悠人が窓を見たとたん、ピシャリ! と窓が閉まった(シャロンが我に返った結果である)。
「赤毛……シャロン先輩?」
 悠人が首をかしげている傍でシャトンが撮影した写真を見る。そこに写ったのは……ぶれているが、微妙にケンに見えた。
「「あー……」」
 悠人とシャトンは、さっきの影をとりあえず見なかったことにした。ちなみに この日、シャロンは恥ずかしいやらケンの言葉が気になるやらで眠れぬ夜を過ごしたとか……。

 ケンがシャロンの部室に入ったころ。剣道部の部室ではミツキ・アインホルンが着替えを終え他の部員と共に準備体操を行っていた。
「まだケン部長は来ていないのね……。そういえば、ティトは遅れてくるって言っていたわよね」
 部長であるケンの姿が見えず、ミツキは肩を竦める。ケンは真面目な教師からは不良だと思われがちだが剣術でそれを黙らせるだけの成果を出している。校則のグレーゾーンをせめてはいるものの、部長を任せられるのもそこが理由であった。
 そして後輩のティトの事も脳裏をよぎる。彼女については事前に話を聞いていたので心配はしていないのだが。
「部長、またヤコブ先生に追いかけられているのかしら」
 と、ため息を1つ吐いた。
「失礼します」
 そこに現れたのは、複数の生徒たち。今日は美術部の部員が人を書く練習のため剣道部の練習風景をスケッチしに来る予定になっていたのだ。
「今日はよろしくお願いします」
 橙の瞳が細め、スィーリーンが穏やかに微笑み一礼した。ミツキは対応しようと向き直ったが
「悪い! 遅くなった!!」
 と、窓からケンが入ってきた。
「部長! 窓から入らないでっ」
 思わず声を上げるミツキ。丁度道場の戸を開けたティトはそんな二人に少々苦笑するのであった。
 剣道部の練習風景を、美術部の面々は真剣にスケッチしていく。スィーリーンはミツキ達が防具を装着し、真剣に打ち合う様を描いていく。
「少し見せてもらっていい?」
 興味を持ったミツキが、スィーリーンに問いかければ彼女は「ええ」と快く見せてくれた。そこに描かれていたのは、先ほどまで竹刀を握っていたミツキだろう姿。見事なスケッチに、思わず「すごい」と口にしてしまう。
「なかなか上達したね」と美術部の先輩が言えばスィーリーンは照れて頬をほんのり赤くする。
「こんなふうにかっこよくかいてくれて、うれしいわ」
「ミツキ先輩が、かっこよかったから書いてみたんです」
 ミツキの言葉に、スィーリーンは照れ交じりに微笑むのであった。

 カルミーが部室に戻ると、シャトンが机の前でうんうん唸っていた。ほかの部員たちは写真をパソコンに取り込んだり、新聞に載せる漫画を書いたりしている。
「うーん、シャっちゃん特ダネあったっすか? こっちは園芸部で収穫された美味しそうな白菜の記事なら書けそうっすけど」
「こっちは……みつかりませんでした」
 カルミーの言葉に、シャトンはちょっとだけ顔を強張らせる。さすがに合気道部の窓から何者かが逃げ、赤面したシャロンが部室に取り残されていたって事は何かあったっぽいがさすがに記事にはできなかった。

 部活も終わり、着替えたスフィカとアウレーリアは収穫した白菜を手に談笑しながら寮に帰っていた。
「今年はしまりが良くて、美味しそう」
「寮母さんに調理してもらいましょう」
 園芸部で育てた野菜は時折寮で料理に使ってもらっていた。恐らく、明日の夕食には白菜を使ったメニューが振る舞われるだろう。寮母に渡すと「まぁ、立派な白菜ね」と喜んでくれた。
(体を動かすのは大好き! 明日もしっかり収穫しよう!)
 体を伸ばしながら笑顔になるスフィカの隣で、アウレーリアもまた充実した一日を過ごせたな、と楽し気な表情になる。
「夕食の前にシャワーを浴びて、宿題も済ませておきましょう。スフィカ先輩も宿題、一緒にどうですか?」
「んっ?! んー……わたしは夕食の後にしようかなー……」
 なんて言いながらそれぞれの部屋に戻る二人なのであった。


 ――こうして、アニエピカ学園の一日が幕を閉ざす。
   だが、またいつか……この夢を貴方はみるかもしれない。

(終)

マスターコメント

どうも、菊華です。 今回はアニエピカ学園での一日、いかがでしたでしょうか? こういうのもどうかな? と思い思い切って学園生活の夢をお届けしましたが楽しんでいただけたら幸いです。 あと、プレイングをお任せにした皆さん。 これが菊華クオリティですが、どうでしょうか? 今後もシナリオをお届けする所存ですが『アドリブ可』の場合ステータスなどを参考にさせていただく所存ですのでよろしくお願いします。 それではこのあたりで。 また縁がありましたらよろしくお願いします。
イベントシナリオ

イベントシナリオ易しい 報酬:少ない15 / 4〜15人

2021年01月27日 23時31分30秒 公開

成功

相談掲示板

  1. カルミー

    カルミーっす、よろしくっす! ジョブは新聞部(予定)っす!!!! 学年は高等部の3年にするつもりっす。

  2. アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

    アウレーリアよ、よろしく。 参加者の年齢層的には、高等部が多いのかしら。どうしようか迷うわ……。

  3. シャトン・アルジェント

    シャトン・アルジェントよ。 基本、おまかせで行く予定ね。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0