【死軍】死者に最期の餞を
明乃そら
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シナリオID:208
オープニング
これから紡ぐ物語は、その始まりの一欠片――。
滅んだ都市にはもはや人など住んでいない。しかしそこから聞こえてくるのは、多くの人間達の足音だ。
褪せた大地を踏み締めながら、歩みを進めるその足は、まるで夢遊病者のように覚束無くて。
焦点の合わない双眸は虚ろに彷徨い、生気の消えた土気色の肌には、不自然なまでに繋ぎ合わせた継ぎ接ぎのような痕がある。
彼らは既に人には非ず。それは魂を亡くし、肉体だけとなった哀れな骸――云わば生ける屍、アンデッドである。
死んだ生命は二度とこの世に戻らない。還る場所すら失くした彼らは、一体何処を目指して向かうのか。
見えない糸に操られ、意思無き死者が群れを成し――いざ征かん、生きとし生ける全ての者を滅ぼす為に。
●死人の行軍
――帝国南部、リーンエス王国との国境付近に位置するヴァイセントラフ砦。
崩壊前の帝国にとって主要な軍事拠点であったこの場所が、大きな危機に見舞われようとしている。
砦の後方にある、南部最大規模と言われた嘗ての帝国の都市ヴィント。
かの街もまた崩壊によって滅亡し、3万人ほどいた人口の大半が死に絶えてしまった。
そこで偵察の為に都市へ放った斥候が、現地で目撃したものは――生ける屍として蘇った、死者の群れ。
生気の失せた無数の顔が並ぶ中、その集団に、両親の姿が混ざっていたのを、斥候の男は見てしまったのだった――。
「その後、彼が持ち帰った書簡に書かれていたのは――砦に残っている兵達の、死んだ筈の家族からの伝言だったみたいだね」
授恵者達にそう話すのは、冒険者ギルドの職員であり、黒いカソックを纏った青年、ドミニク・ログナー。
彼の説明によれば、死んだ家族が死霊術師の力で生き返り、都市から南下し、王国を滅ぼす為に行軍を開始したとのことである。
しかも連中は、砦の軍人達にも王国を共に攻めようなどと協力を求めたらしく、何とも身勝手極まりない、度を過ぎた行為には怒りを覚えざるを得ない。
「砦を任されているバルディオン将軍は、そんな理不尽な要請を受け入れる筈は勿論無い。問答無用で交渉を蹴って、死者の軍団との交戦を決意した、というわけさ」
そして王国軍との協力体制を敷いた上で、このヴァイセントラフ砦で死者達の群れを迎え撃つ。それが今回の一連の作戦である。
また王国側としても、この非常事態下においては到底他人事ではない。自国に被害が及ぶのを避ける為にも、帝国側と団結して今回の戦いを乗り越えなくてはならないのだ。
「キミ達にはまず手始めに、死者の兵団の先頭集団を、砦に辿り着くより前に可能な限り倒してほしいんだ」
死者の中には家族や友人、若しくは恋仲だった者もいるだろう。そうした見知った顔を前にして、帝国軍人達は果たして彼らを殺すことなど出来るだろうか?
もしも躊躇い、刃が鈍ってしまえば、死者の仲間が増えることにもなり兼ねない。
「それにこの依頼はね、ウィリアム王子からの達ての希望でもあるんだよ。あの方も帝国軍の事情は理解しているけれど、でも自分の口からは、家族に引導を渡してほしいだなんて、なかなか言いづらいみたいでね……。だから彼に代わって私の方から、キミ達にお願いしたいんだ」
ドミニクも同じ王国側というだけでなく、一人の人間として、色々と思うところがあるのだろう。死者の魂を弄び、生命を冒涜するような非道なやり方には、怒りと同時に憐れみすらも感じる程だ。
死んだ当人達が自分の意思とは関係無く、何者かによって操られ、生前愛した家族や友人達を手に掛けようとする。そのようなことが起きてしまえば、犠牲となった魂が浮かばれることは決してない。
残された者達の為にも、死者を安らかに眠らせてあげてほしい――ドミニクは儚げに目を眇めながら授恵者達にそう告げた後、来たる戦闘に向けての準備を進めるのであった。
――間もなく大量の死者達の軍勢が、砦を目指して押し寄せてくる。
授恵者達よ、今こそ勇気を奮って立ち上がれ! この凶行を食い止めて、悲劇の連鎖を断ち切る為に――。
解説
マスターより
リプレイ
ヴァイセントラフ砦に押し寄せてくる死者の群れ。
崩壊によって死んだ3万人ものヴィントの民がゾンビと化して、リーンエス王国を攻め滅ぼさんと迫り来る。
死霊術師が操る死人の軍団、その先陣を止めるべく、勇敢なる8人の授恵者達が戦乱の地に立ちはだかった。
授恵者達が待ち構える地点の更に先から、多くの足音が大地を響かせながらやってくる。
「死して尚、あんな姿にさせられて……尊厳を奪われて使役されるなんて……!!」
エルゼリオ・レイノーラはリーンエス王国の生まれであるが、死者を悼む気持ちは帝国民と変わらない。むしろ授恵者として、彼らを弔いたいと願う想いは帝国民にも負けない程強い。
「刻を巻き戻せない以上、ボクに出来る事は一刻も早く彼等に眠って貰う事だけ……」
鉄製の棍を握り締め、心の中で謝罪しながら、一歩前へと歩み出る。
少女と見紛うような中性的な美貌のエルゼリオだが、この時ばかりは騎士として、勇ましい顔付きとなってアンデッドの群れを迎え撃つ。
「これ以上悲しい想いは繋げさせない……」
近付くゾンビの姿を視界に捉え、彼らを見つめるアムの紫色の双眸は、悲しみの色を帯びていた。
「ここで止めてあげなくちゃ……。そうじゃないと、あの人達は自分の大事な人達を傷つけてしまう……そんな悲しい事はさせない!」
自分の意思とは関係なく、残った家族の生命を自らの手で奪ってしまう。これから起こる悲劇は自分達が止めなければいけない――アムは味方が仕掛けるタイミングを待ちながら、手にした細身の剣に決意を込める。
「元帝国の民を……」
ミツキ・アインホルンは孤児だった頃に帝国軍人だった女性に引き取られ、家族の一員としてこれまで育てられてきた。
そしてミツキ自身も部隊の副官となり、今後の活躍が期待されたその矢先――。
帝国は崩壊し、部隊は壊滅。アインホルンの者も全て音信不通で、彼女一人だけが取り残された。
そんなミツキの心の中に、帝国の民だった死者達の影が忍び寄る。
「死んだ帝国の民を蘇らせるってことは……」
――もしかしたら、部隊の皆も生きる屍として、動いているかもしれない。
――もしかしたら、アインホルン家の皆と再会できるかもしれない。
――もしかしたら、リカーダも動いて声をかけてくるかもしれない。
自分の家族や仲間も、あの集団の中にいるのだろうか。
ミツキの脳裏を過ぎる複雑な想い。だがそれは、本人の意思とは関係ない、死者を冒涜する行為に過ぎない。
「ふざけるな……!」
厳しくも優しく接し、愛情を注いでくれた大事な家族。その人達の意志を捻じ曲げるだけでなく、守ろうとした民を利用し、本来とは違う姿に変えてしまうなど――。
「許せるわけがないわ!」
込み上げる感情を抑え切れず、死者達を睨むミツキの顔は――曾てない程烈しい怒りに満ちていた。
今の自分に出来る事、それは行き場を失くしたこの死者達に、安寧を――。
荒ぶる心を魔力に換えて、杖に集めて頭上に掲げ、発する力は光輝く球となり。最前列の死者の集団目掛けて撃ち放つ。
光球が命中すると死人の群れは足を止め、動きが鈍ったところへ授恵者達が行動を開始。この一撃が狼煙となって、戦いの幕が切って落とされるのだった――。
「もうこれ以上、誰も必要以上に傷付く事のないように……」
赤銅色の髪を靡かせながら、コルネリウス・アーラがエーテル光を纏った木の大剣を振り翳す。すると周囲に視えない光の壁を張り巡らせて、死者の行く手を阻害する。
そこへ一つの小さな影が、疾風の如くゾンビの群れに素早く駆ける。
コルネリウスが作った隙を狙い、ノノアが機敏な動きで接近し、両手に備えた二本の剣で手近なゾンビを斬り払う。
「地へ還れ……」
小柄な少女の身であるが、幼い頃から相手を殺す術を仕込まれてきた。故にノノアはこの状況下でも、表情を変える事無く、敵を仕留める為にひたすら刃を振るうのみ――。
「へっ、そっちの嬢ちゃんもなかなかやるな。俺も雇われた以上、仕事はきっちりさせてもらうぜ」
傭兵のディアンはノノアの戦いぶりに感心しつつ、自分も負けられないと、闘志を滾らせ、戦いに臨む。
大局だけをただ見据えれば、この先にある決戦の為になるべく相手の数を減らしておきたいところだろう。しかしそれ以前に……この惨状を見過ごせる程、ディアンは冷静な状態ではいられなかった。
心に燻る負の感情を、堪えるように斧を振るって、生ける屍達を葬っていく。だがそれも、いつまで保ち続けていられるだろうか――。
「このような酷い仕打ちを行うとは……」
普段は温厚で、怒る事など滅多にない鵜鬱鷹 浩之ですら、死者を利用する敵の非道なやり方には憤慨せざるを得なかった。
「帰りましょう、愛する人の元へ。貴方達のいる場所はここではありません」
彼らと戦い、倒す事でしかその魂を救えない。いつもであれば支援に徹する浩之だが、手段がそれしかないのなら――と、彼も自ら攻勢に出て、死者を解放するべく力を奮う。
(――このような形でしか救えないワタシを、呪ってください)
胸に抱くは、死者に対する憐れみと、こうする事しか出来ない自戒の念。それでも浩之は、何か別の救いの道がないかと、交戦している間も模索し続ける。
「オ……オレは後衛で動くぜ! 回復は任せとけ!」
などと生意気な調子で虚勢を張るのは、ゴブリンのギャメル。
自分も役に立てればと、勇んで依頼を受けたは良いが。ゾンビの放つ濃厚な死臭に圧倒されてしまい、もし死者の濁った瞳と目が合ったらと、想像したら怖くなり、ならばと後ろに回って仲間を支える役目を担うのだった。
エーテルを帯びた古木の杖がまばゆく光り、放つ光の紗幕が味方を包んで加護の力を施していく。
ギャメルはその時、エーテル光で輝く杖を見ながら、ふと思う。
――死した人の魂はマトリクス界に至り、神々の祝福を受けてマテリアル世界にエーテルとして還ると云う。
だったら目の前にいる死者達の魂は、一体何処にあるというのだろう――。
●それぞれの決意
「安らかに眠って下さい……私が終わらせてあげます」
アムが機動力を活かした戦い方で、戦場を疾走しながらゾンビを狙う。
少しでも足を止めれば、忽ちゾンビに取り囲まれてしまう。そうならないよう、絶えず移動し続け、敵の注意を引き付け、攪乱させる。
幸いにもゾンビの動きは緩慢で、アムの速度に付いていけずに、翻弄されて捕まえきれない状況だ。
傭兵に拾われ、戦う術を幼い頃から身に付けた。闘争心を研ぎ澄まし、二つの剣を逆手に持ち替え、アムの鋭い眼差しが、ゾンビの頸を捉えて狙いを定める。
トン、と高く跳躍し、空中を駆けてゾンビに接近。
宙でくるりと回転し、振るう刃の一閃に――ゾンビの頭が、ゴロン、と地面に転がり落ちる。
と同時にアムが着地したところへ、別のゾンビが彼女に襲い掛かる。しかしエルゼリオがすかさず間に割り込み、盾を突き出し、敵の攻撃からアムを庇う。
ゾンビの膂力は一般人とは比較にならない程、確かに強い。けれども授恵者である彼らにとっては、大した脅威というわけでもない。
エルゼリオは逆にゾンビの圧を押し返し、相手が態勢を崩したところへ、棍の重い一撃を死人の脳天に振り下ろす。
「――永久を彷徨う哀しき者よ。輪廻の輪へと還り逝け……!」
ゾンビの強さは個体差だけで言えば授恵者達より遥かに劣る。だが数が異常に多い分、気を緩めればすぐに群れの中へと呑み込まれてしまう。
多数の敵を相手にするには、密集している地点に火力を集め、纏めて一掃させる事。
ミツキは収束させたエーテルをその一点へと撃ち込むと、解き放たれた力が氷の嵐となって吹き荒び、ゾンビの集団を一網打尽に薙ぎ倒す。
「私はミツキ・アインホルン。リカーダ・アインホルンの部隊の生き残りにして、帝国軍人。死霊術師の束縛から、貴方達を解放します!」
このアンデッド達は皆、帝国の民だった者。ミツキには守りたくても守れなかった存在で、彼女自身、罪の意識を拭えず、だから誰よりも懸命に死者を眠らせる為に力を尽くす。
(帝国の民を、好きにはさせない。それが、軍人だった私の、生き延びた私の……せめてもの償い)
死人との距離を離しても、発する死臭が鼻を突き、遠目からでも敵の異形が視界に入る。
あのゾンビ達にも、生前は家族がいたんだ。そう考えながら、ギャメルが杖を翳して魔矢を射る。
相手はもはや人ではないと、自分に言い聞かせながら動く死体と対峙する。その最中、どこからともなく聞こえてきたのは、赤子の鳴き声。ギャメルが敵集団の中に視線を向けると、そこには幼児を自身の腹に埋め込んだ、母親らしきゾンビの姿を見てしまう。
――ドクン、ドクン。と、胸の鼓動が早鐘を打つ。
動揺し、震える身体を鎮めるように、大きく息を吸い込んで。ギャメルはどうにか耐えながら、意識を集中させて力を溜める。
(……大丈夫。アレは、オレの家族じゃないんだから)
迷いを吹っ切るように祈りを捧げ、念じる想いに応えるように、空から雷が落ちて死人を葬り去らんと降り注ぐ。
轟き響く雷鳴に、死者達が怯えて狼狽え出した。そこへ今度が浩之が、一体ずつ確実に弱った敵から撃破していく。
彼の者達が大切な人を手に掛けない為にも、自らが汚れ役を買って出る。労働自体は嫌いでないが、こういうのは余り良い気分ではないものだ。
砦の軍人達は、大切な人の変わり果てた姿など見たくないだろう。思い出は美しいままであるべきだ。だから彼らが生きた証を届ける事こそ、託された者が出来る最期の餞――。
浩之は斃したゾンビの男性の、左手の薬指に嵌った指輪を確認すると、それを抜き取り、ローブのポケットの中に仕舞い込む。
「……これが、ワタシ達のせめてものケジメです」
「うおおおおおっっ!!」
まるで鬼神の如き戦いぶりで、群がるゾンビを一心不乱に斧で屠るディアン。
敵を仕留める毎に込める力が増してゆき、歩む速度も歩幅を広げ、死人の群れの真っ只中に突き進む。
一秒でも早く多くの死者を、偽りの生命をこの手で全て終わらせる。
この惨状を作った敵だけでなく、ただ相手を殺す事しか出来ない己に対する憤り、そしてほんの一握りの死者しか弔う事の出来ない情けなさ……。
やり場のない怒りをぶつけるように、一体、また一体とゾンビを葬り、多量の返り血を浴びつつも、ディアンの斧を振るう手は止まらない。
「ふざけてんな、ああふざけてやがる……。人間を、二度も、死なせるんじゃねえよぉ!」
屍の山を積み重ねる度、ディアンは次第に、村が襲撃された過去の悲劇を思い出す。
略奪者達に命を奪われ、助けられなかった村人達。更には家族や、目の前で死んだ妹の顔が、ディアンの記憶の中に蘇る。
『おにい、ちゃん……』
その声は、幻聴だろうか――否、それはディアンの前に立っている、少女のゾンビが発したように思えた。
愁いを帯びた縋るような目で、ディアンをじっと見つめる少女。この子にも兄がいたのだろうか、ディアンの心に生じる僅かな迷いが、彼女に攻撃するのを躊躇わせる。
「――油断しないで」
刹那――抑揚のない声がしたかと思えば、少女のゾンビが地に倒れ伏し、代わりに黒い狐耳の少女がそこにいた。
ノノアはゾンビの背中に刺した刃を抜くと、ディアンの顔を一瞬見上げて、呟いた。
「もしわたしの行方不明の両親が、死者となって現れたとしても……わたしは迷う事なく刃を向けるわ」
笑顔も言葉も、心など全てを失った者は、魂がない只の器――不要物にしか過ぎない。
そんな不要物をこの世界から消滅する為、ノノアは無心で残忍な死神を演じているのだ。
それで心優しき者が救われるなら――動かなくなった少女の死体を一瞥し、付けていた髪飾りを回収すると、ノノアは休む間もなく次の死人を狩りに向かった。
――この剣で、ここまでどれだけの死者を地に還したのだろう。
コルネリウスは足元に倒れる死体を見比べながら、失くした家族の事を思い浮かべる。
父は旅に出た後、いつも孤児を連れて戻って来た。種族も皆違ったが、全員同じ家族として、兄妹として一緒に幼少の頃から過ごしてきた。
とりわけ仲が良かったヒューマンの兄は、ずっと前に帝国軍人として亡くなった。
でももしその後も兄が生きていて、崩壊に巻き込まれていたら……この場所で、一番大切な家族と再会した可能性があったのかもしれない。
そうなれば、私はおそらく兄にではなく、己に刃を突き立てるだろう。
想像するだけでも背筋が凍り、そこまで割り切れるだけの強さなど、今の私には到底ないから――。
コルネリウスの黄昏色の瞳には、思い出の中の兄と似た、青年ゾンビが映り込む。
兄が生前に教えてくれた事――誰かが出来ない事をやる、それが苦しむ人の救いになるなら。
――だから私が、この死者を討たなくてはならない。
兄への誓いを剣に込め、奔る刃が青年ゾンビの胸を穿ち――最期はコルネリウスに凭れるように、崩れて落ちる青年の骸を、エルフの少女はそのまま優しく抱き留めた。
――今度こそ、どうかゆっくり永眠ってほしい。
そして遺されたひとたちにも、穏やかに過ごして、生きてほしい。
帝国が崩壊して傷ついた人たちが、もうこれ以上苦まないように――。
「……ひとは、こんな時に祈りを捧げるのかな」
●悔恨と追悼
その後も剣戟の音は鳴り止まず、夥しい数の屍が、大地を朱に染め、横たわる。
どれだけ授恵者達が斃そうと、次から次へと沸いて出てくるゾンビ達。
残った力も少なくなって、彼らの顔には疲労の色が濃く浮かび上がっている。
「まだよ! まだいけるわ!」
それでもミツキは必死に気力を振り絞り、尚も食い下がろうとするのだが。
「ここまでやれば、もう十分です。残りは後続に任せて、私達はそろそろ引き揚げましょう」
死者に立ち向かっていくミツキを制するように、彼女の杖を持つ手に、アムが自身の手を添え、宥めるように撤退を促す。
その一言にミツキははっと我に返って、アムと視線を交わし合い、一つ小さく頷いた。
「……ごめんなさい、少し頭に血が上ってたわ。ええ、急いでこの場を離れましょう」
斯くして授恵者達は、死体の遺品を可能な限り掻き集め、頃合いを見計らって砦に撤退していったのだった。
骸は放置したままにしか出来ないが、この戦いに決着が付いたら、その時は――。
エルゼリオは暫しの間、死骸の山に目を凝らしていたが、仲間の声に反応すると、顔を背けて踵を返し、荷物を担いでこの戦場を後にした。
全ての元凶たる死霊術師に対する怒りと憎しみ、そして打倒の決意を胸に刻んで――。
「――外道に堕ちし吸血鬼……ヤコブ・ヴィリアン。お前は絶対に許さない……!」
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2020年11月25日 18時10分57秒 公開
相談掲示板
ノノアよ。よろしくね。 今回は皆さん色々な想いがありそうですが、わたしは操られてる死人達を静かに地の中で休ませてあげたいわね。
キャスターのミツキよ。よろしくね。
ウォーリアのコルネリウスです。 宜しくお願いします。
オレはギャメル、ヒーラーだ。 よろしくな!
おっす、ウォーリアの傭兵ディアンだ! 新参も知り合いも混ざったパーティーだが、気軽に頼ってくれ! ま、ここにいる連中は依頼内容を選んで来た面子だろうしな。作戦は下手に考えず、各々好きな方法であいつらを出来る限り弔ってやろうや。 勿論そのうえで協力してほしい、やって欲しいことがあるならどんどん提案していってくれ! 俺に出来る事なら何でも手伝ってやるからよ!
シーフのアムです。 今回はよろしくお願いします。 皆さんの想いを込めて死者に安らかな眠りをという事ですね。 これ以上悲しい想いをする方々を増やさせない様に頑張らせて頂きます、その為に冒険者になったと言っても過言ではないですから。
ヒーラーの鵜鬱鷹と申します。 今回は皆さん宜しくお願いいたします。 ワタシは基本的に守り主体な行動が多いですが、今回は多くの方を悲しませない為にも頑張ろうかと思います。 あと、アンデッドになられてしまった方の形見になりそうなものを出来れば回収していきたいと思っています。 それを砦にいる方に届ける事が出来ればと、届ける事で余計に悲しませる事になるかもしれませんが、家族や大切な人の元に帰りたいと思うのでは無いかと思いますので。 亡くなったとしても手元に何も残らないのも辛いかと思います。 ただ、数が多いのでどれくらい持ち帰れるかわかりませんが……。 もしお手伝いしていただける方がいらっしゃられましたら助かります。
ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラだよ。 今回はヨロシクね! 亡くなった人達が少しでも早く、安らかな眠りに就けるように ――ボクも全力を尽くすよ。 >浩之さん ボクで良ければ遺品収集のお手伝いさせて貰っても良いかな? 小物の類しか持ち帰れないと思うけど…遺族に届ける事が出来たら良いね。 >戦闘 壁役兼回復係として動く予定だよ!
>遺品回収 私もお手伝いしてよろしいでしょうか? マジカルポケットを所持してますので、小物でしたらある程度は回収できると思います。 運搬の際はお役に立てるかと。
>遺品回収 差し支えなければ、私もお手伝いしたいです。 亡くなられた方も遺族の方にも、少しでも寄り添うことが出来ればと思いますので。 >戦闘 壁役や足止めなどを主に行う予定です。
>遺品回収 レイノーラさん、アムさん、コルネリウスさんありがとうございます。 是非ともお願いします。 一人でも多くの方の遺品を持ち帰れるように頑張りましょう。
わたしも前線で動くので、遺品を見つけ次第は回収して後衛の方に届ければいいのかな? 多めの敵を対処してる時は、他の方に回収とかお願いする事になりそうね。
特に作戦がない場合は、わたしは前衛組で暴れるわね。後は奥の方まで行かないようにかしら、他のクリーパーや敵集団に巻き込まれたら危ないからですね。
俺は回復もしつつ、後衛から魔矢や祈雷で戦うぜ。 あと、最初にサークルプロテクションをかけてみる。 粘り強く戦うとか、そういう雰囲気を出すのに使えそうだしな。 ちゃんとした作戦ってわけじゃないから、散開とかしたい人はサークルプロテクションを気にせず好きに動いてくれて大丈夫だぜ。 >遺品回収 良い考えだな。俺も協力させてくれ。
私は今の所、前衛と中衛を状況によって切り替えていこうと思っています。 最初は中衛として後衛の方達に敵が行かない様に護衛について、戦況次第で前線にといった感じで動こうかなと。