バルバロイの咆哮

一十一 十一

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シナリオID:92

オープニング

 リーンエス王国東方。都市同盟との国境にもほど近く、しかして多くの侵略的蛮族(バルバロイ)が跋扈する砂漠地帯からもさほどの距離をもたぬヒャクトバンの街は、古くより王国への侵攻を防ぐ拠点としての役割を担う防衛都市群のひとつである。
 そして今、ヒャクトバンの街には新たな侵略の魔の手が迫っていたのである。

「グフフフ……仕事の時間だぞ、お前たち」
 冒険者ギルドの受付に顔を出したその男――商人アクドイガ・カネモッテルは、授恵者たちへとそう切り出した。
「リーンエス王国のことは知っているだろう……。グフフ、この国は常に侵略者(バルバロイ)どもの脅威に晒されている……それはつまり、いくらでも商機(ビジネスチャンス)が転がっているということなのだァ~!」
 アクドイガは握った拳を振り上げて叫び――それから一拍置いて、咳ばらいをした。
「……ゲフーン! つまり、お前たちには今から王国の防衛拠点都市に向かい、蛮族(ゾク)どもの侵略を阻む防衛部隊に手を貸す仕事をするのだ!」
 そして、アクドイガは仕事の詳細を授恵者たちへと語り始めた。
 リーンエス王国東方に存在する街ヒャクトバンの周辺地域において、侵略的蛮族(バルバロイ)たちの一団の不審な動きが確認されたというのだ。
 もしかすると、侵略者たちが何かしらの邪悪な企てをしているのかもしれない――というわけで、授恵者たちへと仕事が回された、というわけなのだ。
「話はわかったな! 外に馬車を待たせておるのだ。さあ! やる気のある者はすぐ乗るがいい!」
 

 ――一方、その頃。
「ヴォンヴォンヴォンヴォン!」
「バロロロローッッ! バロロロローッ!!」
 !?

 怒声! 侵略者(バルバロイ)どもの咆哮がびりびりと空気を震わせる! そして大地を揺らすのは、馬の蹄が駆ける音だ!
「ヴォンヴォンヴォン!! バルバルバル!! バオォォン!!」
 怒涛めいて襲い来る馬の足音が、今まさにヒャクトバンの街へ迫ろうとしていたのだ!
「見ろ! あ……あれは!」
 激しい馬のいななきが押し寄せる――この特徴的な声は、イク馬と呼ばれる獰猛な種の野生馬だ。そしてそれを乗騎として飼い慣らす事で知られる馬賊(ゾク)こそ。
「ボーソ族だ……!」
「オラーッ!!」
 先陣を切るボーソ族の特攻隊長マージャベイは馬上から飛び降りると同時に地を馳せた。
「くそ……応戦しろ! ここから一歩も通すな!」
「おおっ!」
 襲撃に対応するため出動してきた兵士たちの防御陣形の中へ一気に飛び込むと、無数の釘を打ち込んだ細身の棍棒(ボクトー)をフルスイング! 凄まじい膂力! 一撃で陣形を叩き崩し、10人もの兵士たちをまとめて薙ぎ払う!
「ぐあ……ッ!」
「弱ェッ!!」
 兵士たちの脆弱さを嘲笑いながら、マージャベイは更に前進する!
「呆然(ボンヤリ)してんじゃねえッ!! オメーラも進撃(スス)めッ!!」
 !?
「ヴォンヴォンヴォン!!」
「バルバルーッ!!」
 特攻隊長マージャベイの鼓舞に応えて、ボーソ族の戦士たちが棍棒(ボクトー)を振り上げながら咆哮する!
「だ、駄目だ……猛者(ツヨ)すぎる……!」
「誰か、応援(タスケ)を呼んでくれ!一刻も早く!」
 ――自分たちの武力(チカラ)では、到底叶わない。それを悟った兵士たちは、悲鳴めいた叫びをあげたのである。

解説

・シナリオ補足  シンプルな戦闘シナリオとなります。  プレイヤーキャラクターの皆様が到着した時点で、OPで描写された状況となっております。  そのままシンプルに交戦なさってください。  敵の集団を撃破ないし撤退に追い込めばシナリオクリアとなります。 ・敵情報  ボーソ族x8体  棍棒で武装した典型的なバルバロイの戦士です。  基本的に近接攻撃を仕掛けてきます。  特攻隊長マージャベイx1体  バルバロイたちの隊長格です。  基本的に近接攻撃を仕掛けてきます。つよいです。 ・NPC  OPにて案内をしているアクドイガは同行しません。  ほか、戦場には街の防衛を担う兵士たちがいますが、役には立ちません。  以上です。

マスターより

 お初にお目にかかります。一十一 十一(いちたすいち・たすいち)と申します。  皆様の冒険譚を彩る一助となれれば幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

リプレイ


「ヴォンヴォンヴォン!」
「バロロロローッ!!」
 ボーソ族特有のウォークライが響き渡る。
 ヒャクトバンの街へと向かう授恵者たちは、馬車の中でその声を聞いた。
「蛮族か……」
 ケン・Z・ブラッドリーは、その声に眉根を顰める。
「全く、最近クリーパーが活発になってて面倒だってのに……少しは空気読めよな」
 だが、その言葉の端には些かの期待が混じっていた。敵が蛮族であるならば、それはそれで戦い甲斐がある――ケンは僅かな昂りを感じていた。
「野蛮な人たちですわね。私はこういった手合いは大嫌いなの」
 バンシーは得物を手入れしながら頷く。
「この独特のウォークライ……それに、あの馬はイク馬(バ)ですわね」
 馬車の窓から見える光景に、パトリツィア=レイネス=ナハティガルは目を細める。
「敵はイク馬を飼いならす馬賊……ボーソ族に間違いありませんわね」
「ボーソ族?」
 ナハティガル=ラーは胡乱なものを見る目で蛮族(ゾク)の姿を視界に捉えた。
「名は体を表す――といった所か?」
 『ボーソ』とは一部地域において『不良(ワル)』に類する意味をもつ言葉である。それを思い出したナハティガルは、似合いの名だと苦笑した。
「どんな奴でも街の人たちを傷つけるなら許せないっ!」
 立ち上がるシュロは、大剣の柄を握りながら意気軒高に身構える。
「そうだねー……何かを守るっていうのは柄じゃないんだけど、仕事なら頑張るよー」
 クレア・エクレールは窓越しに街の様子を見遣り、戦いの準備を整えた。
「ああ、いっしょに頑張ろう! 悪いボーソー族は一網打尽にするぞっ!」
「その通りです。1体逃せば30体……『蛮族滅すべし、救済はない』。護国の英雄アーチボルト辺境伯も言っています。蛮族(ゾク)に人権はないと」
 ルーファス・W・ワーズワースもまた、その双眸に火を灯す。王国貴族の生まれである彼にとって、民の生活を脅かす蛮族は許し難い存在だ。
「ええ。容赦は致しませんわ。王国で悪事(ワルサ)かますなら、鏖(ミナゴロシ)にございましてよ」
 パトリツィアも王国貴族の出身だ。彼女もまた民を護るために決意を宿す。
「そうですわねぇ、二度とこのような事ができないように徹底的に全滅(ツブ)した方がいいかもしれませんわ」
「――みなさま、まもなく到着でございます。ご準備はよろしいですか?」
 ジュリエット・ジャムワールが促した。
 街はもはや目前に迫っており、敵の姿もまた目と鼻の先だ。間もなく戦いは始まる。
 授恵者たちは互いに顔を見合わせて頷きあうと、馬車を飛び出した。

「弱者(ゴミ)どもがッ! 死ねッ!」
 暴風(!?)ッ! 特攻隊長マージャベイの釘打ち棍棒(ボクトー)が再び唸り、兵士たちを纏めて薙ぎ払う!
「強敵(マジヤベェ)ッ!」
「猛者(ツヨ)すぎるッ!」
 盾を叩き割られた兵士が悲鳴をあげて吹き飛んだ! もはやヒャクトバンの街の防衛線は風前の灯火であった。襲い来る蛮族(ゾク)たちが獰猛(ヤバ)すぎるのだ!
「ヴォンヴォン!」
「バリバリバリ!」
 更に咆哮! ボーソ族の戦士たちが追撃(トドメ)を仕掛けるべく前進を始めたのである!
「待てっ!」
 だが、その暴虐(ヤリタイホーダイ)に待ったをかける声が轟いた。同時に――特攻(チャージ)! 前方に盾を構えながら、シュロが飛び込んだのだ!
「何事(ナンダ)ァ……?」
 警戒(!?)
 マージャベイは構えた釘棍棒でシュロの突撃を受け止めた。更に力を加えて押し返す!
「わたしはシュロ。放浪騎士だ!」
「救援(スケダチ)かッ!」
 シュロは後退し、武具を構えなおした。思わぬ闖入者に困惑する兵士たちを横目で見る。
「兵士さん達、よく守った。あとは任せろ!」
「あ、ああ……」
「すまない! ありがとう!」
 既に蛮族たちの攻勢の前に半壊状態であった兵士たちは、傷ついた身体を引きずって後退してゆく。
 敢えてそれを見逃しながら、マージャベイはシュロへと視線を遣った。
「愉快(オモシレ)ェ……雑魚(ゴミ)ばかりで退屈(ツマンネ)ェと思ってたところだ!」
「一人だけではありませんよ」
 態勢を立て直すマージャベイの前へと、更にルーファスが立ちはだかる。
「どうも、隊長さん。ルーファスです。少々手合わせ願えますでしょうか」
 正々堂々正面から挑まれたならば断られることはあるまい。蛮族の戦士が決闘(ケンカ)から逃げ《バックレ》るなどあり得ない。
「カカッ」
 肩を震わせて、マージャベイが嗤った。
「いいぜ、何人でも来いよ……まとめて喧嘩(アソ)んでやる!」
 だが、次の瞬間である。
「ならば俺とも遊んでもらおうか」
 風切りの音。細剣がマージャベイの死角から襲い掛かる。
「後ろか!」
 マージャベイは咄嗟に反転しながら釘棍棒を振り抜き、刃を弾いた。互いに衝突の反動で後退。マージャベイはナハティガルに対峙する。
「捌いたか……なるほど、実力は確かなようだ」
 ナハティガルは細剣の柄を握る手に力を込めながら、マージャベイの姿を睨む。
「カカカ……上等(オモシレー)じゃねーか、テメー」
「……貴様。名を聞いておこうか」
「カハッ」
 マージャベイは双眸を見開きながら獣のように口の端をつり上げ嗤(!?)う。そして授恵者たちを睥睨した。
「知らねーってんなら教えてやるぜ……俺は“北の狂犬(マッド・ドック)”、ボーソ族のマージャベイ様だッ!」
 そして、仕掛ける。

 一方。
「なんだァ……?」
「街の連中め、援軍(ナカマ)を手配してやがったな!」
「バオンバオンッ!」
 馬上のボーソ族たちが怪訝な様子で状況を確認する。
「構やしねェ。やっちまおうぜ!」
 だが、往々にして彼らは偏差値が低い集団だ。考えるより先に棍棒で殴る主義。先に進撃の命令も出ていたことだ。蛮族たちは頷きあって進攻を続ける。
「まずは街の兵士どもを皆殺しにして……」
「いいえ、やらせませんわ!」
 しかし、その進路を阻むようにパトリツィアが飛び込んだ!
「なに!?」
「たかが蛮族がこの敷地を通る事、許されたことではありませんことよ!」
 Bash! 前進と同時に掲げた武具を振り下ろす。闘気槌の戦技! エーテル光が爆ぜながら蛮族どもをまとめて叩く!
「グアーッ転倒(!?)!」
「なんだ、こいつは!?」
「おいおい、自分たちが売った喧嘩だろう」
 ――側面! 続けざまにケンが飛び込む!
「それともお前らボーソ族ってのは、自分より弱い奴としか喧嘩できないのか?」
「グアーッ事故!」
 挑発と同時に跳ね上げた武具の切っ先から、エーテル光が迸った。衝撃刃! 奔る刃が更に馬上の蛮族を叩き落とす!
「そうよねぇ」
 更にまた別の方向から、バンシーが進み出た。
「弱い相手にイキがるなんて底辺(シャバ)いことばかりやってて……恥ずかしくないのかしらぁ?」
「ホントだねー。戦士の誇り? みたいのってないのかなー?」
 そこにクレアが挑発を重ねてゆく。授恵者たちはこれで蛮族たちを包囲したかたちだ。
「あァ!?」
「蛮族(ゾク)ナめてんじゃねぇぞッ!」
「ザケやがって……テメエらどこ駐(チュー)だよ?」
 浴びせられる挑発の言葉に蛮族たちはすぐさま激昂! 煽り耐性皆無の弱点を突かれた。もはやこの喧嘩は避けられない。
「ことは上手く運んでいるようですね……。このまま手筈通り参りましょう」
 戦場を俯瞰しつつ、ジュリエットが頷いた。
「ふふ。軽くつついただけでこんなに騒ぐなんて……よっぽど自分たちに自信がないのねぇ」
 バンシーは油断なくダガーを構えながら、蛮族たちの動きを視線で追う。余裕あるその笑みに、蛮族たちが苛立つ気配がした。
「あの女(アマ)……」
「ちょっとでも骨があると思われたいのなら……私の相手くらいしてみなさい」
「戯(フザ)けやがって! ブッ殺してやる!」
「ヴォンヴォンヴォン!」
 挑発に乗り激怒する蛮族たちが咆哮と共に馬を走らせる! 騎馬突撃だ!
「来るよ!」
「ええ、迎え撃ちますわ!」
「ああ。正面から叩いてやる」
 対し、パトリツィアとケンが前に出た。臆することなく立ち向かう!
「はあッ!」
「グアーッ正面衝突(!?)!!」
 盾撃(シールドバッシュ)! 構えた大楯で身体ごとぶつかるようにパトリツィアはボーソ族を叩く!
「らァッ!」
 更に別の騎馬へとケンが得物を叩き込んだ! 振り抜く大剣をイク馬へと叩き込む!
「バオオォン!!」
「グアーッ落馬!!」
 激突! 振るわれた剣は馬の脚を叩き、そのバランスを崩す。加速の勢いがあだとなり、バランスを崩し転倒!
「テメエらッ!」
「ふふ――」
 激昂する蛮族たちは更に攻勢に出るべく馬を走らせる。だが、頭に血が上った単調な攻め手であれば、見切るのは難しいことではない。
 バンシーは騎馬突撃の接近にあわせ地面を蹴り、側面をすり抜けるように突撃を躱した――すれ違い様、一閃。ダガーの刃を馬体へと走らせる。
「バォンボボボ!!」
「なに……? どうした!?」
 傷を受けた馬が苦悶(!?)する。馬はその場に急停止し、荒く息を吐いた。
「まさか……俺の馬に毒を!?」
「気付いちゃった? でももう遅いなー」
 馬上の蛮族が毒づいたその瞬間である。疾風めいた鋭い身のこなしでクレアが飛び掛かったのだ。その手の中で、毒撃の刃が光る。
「煩い奴らはお仕置だー!」
「グア……!」
 ダガーを突き立てられた蛮族が力を失い、ぐらりと倒れて地面に落ちた。続けて再び激突の音。盾がぶつかり、剣が振るわれ、毒刃が走ってボーソ族たちは次々と地に落とされてゆく。
「危険(ヤベ)ェぞ……なんなんだ、こいつら!」
「クソ、一旦撤退(モド)って増援(ナカマ)を……」
 劣勢の状況を理解したボーソ族たちは、困惑しながら後方に視線を向ける。
「おっと、行けると思った?」
 しゅッ! 風切りの音! 地を馳せたクレアが蛮族たちの道を塞ぐように立ちはだかる!
「自分たちから喧嘩吹っ掛けといてさー……逃げ出すなんて、無様(ダサ)いにも程があるよ」
「ぐ、ッ……」
「どの道、だ」
 そして、空気が凍り付く――殺界。ケンの放つ殺気が、周囲一帯を満たした。
「すでにお前らは檻の中。観念して、その首差し出せや」
「ええ、あなたたちの暴虐(ヤリタイホーダイ)はここで終わりです。さあ、正義の刃を受けてみなさい!」
「ちい……ッ!」
 趨勢は既に傾き切っている。ボーソ族たちは抵抗の構えを見せるが、状況は一方的だ。
 既に決着はついたも同然であった。

 だが、その一方である。 
「カカカ! 愉快(タノシー)な!」
「くッ!」
 強打! マージャベイの振るう釘棍棒の重く鋭い打撃がルーファスの盾を叩く。凄まじい衝撃に盾を構えた手が痺れる。
「それ以上はさせないっ!」
「イーぜ! こンだけ殴(ボコ)って倒れねー奴は総長(ヘッド)以来だ!」
 楯を構えたシュロが前に出る。マージャベイは素早く反転し、続けざまに強烈な打撃を叩き込んだ。鉄の盾が悲鳴をあげる!
「……随分愉しんでいるようだが」
「――カッ!」
 しかし、その隙をついて後方からナハティガルが襲い掛かる――毒刃! 細剣がマージャベイの背を裂く!
「甘ェッ!」
 だが、浅い! マージャベイは鋭くつま先を跳ね上げた。カウンター気味に放つ蹴り足!
「むッ!」
 ナハティガルは咄嗟に身を捻り、蹴りを躱しながら再び後退。間合いを開き再び対峙する。
「手ごわい相手だ……っ!」
 シュロは荒く息を吐き出した。流石に“特攻隊長”を名乗るだけあり、マージャベイは強力な戦士だ。強力なパワーと戦(ケンカ)慣れした体捌きの巧みさを併せ持つ。戦士としては一流といえるだろう。
「ですが、お遊びもここまでですよ……!」
 ルーファスは得物を握る手に力を込めなおしながら、視線を上げた。
「カカカ! 随分強気じゃねェの……。なら、どうするって?」
 マージャベイが嗤い、そしてまた釘棍棒を振り上げる。
「――こうするわ」
「こーするよー!」
 その瞬間であった。
 疾風めいて奔るダガーの刃。斬閃ふたつ。
 ――バンシーとクレアである! 手下たちを片付け終えた授恵者たちが合流に来たのだ!
「ッ……!」
 不意を打たれたかたちだ。毒刃は完全にマージャベイの身体を捉えていた。
「カ、カカ……! 奇襲(フイウチ)で毒たァ、卑怯(コス)いマネすんじゃねエか……!」
 マージャベイの身体が僅かに揺れる。
「あら。でも、戦いにルールは無用(ナイ)でしょう? 冒険者をナメてここを襲ったツケ、払ってもらうわねぇ」
 対峙しながらバンシーが笑う。そして、更に3人が合流した。
「ああ。あとはお前だけだ……少しは楽しませてくれよ」
「どうか、お覚悟を」
 ケンとジュリエットがそれぞれに得物を構える。
「3人とも、ここまでありがとうございました……さ、あと少しですわ」
 パトリツィアは手の先からエーテル光を放ち、ルーファスたちを癒す。
「相手は強敵(マジヤベェ)ようですが……我々のほうが数も上。この戦い、勝機は我らにあり!」
「ええ。どれほどの敵でも倒れるまで叩けば死ぬ……カイシャクしてあげましょう。辞世の言葉はありますか?」
「……カカ」
 包囲された状況の中、しかしてマージャベイは嗤(!?)った。
「オモシレーじゃねーか……。いいぜ、全員まとめて“クシャクシャ”にしてやンよ!」
 そして――暴威(アバレマワル)!
 マージャベイは釘棍棒を振った。乱打! それは嵐のように吹き荒れる打撃の暴風! 一発一発が致命傷になりかねない強撃を振り回しながら授恵者たちに襲い掛かる!
「カカカ! 死ねッ!!」
「ここは私たちで――ワーズワース卿! 王国貴族の意地の見せどころですわよ!」
 だが、パトリツィアが果敢に前に出た! 大楯を構え、襲い来る制圧打撃を受け止める!
「ええ、おっしゃる通りですね! 蛮族などに貴族の誇りを馬鹿にされては困る!」
 同時にルーファスが盾を構えて押し込んだ。
「騎士の誇りもここにあるぞっ!」
 シュロもまたそこに加わる。三方から押し込まれる盾が、マージャベイの勢いを受け止め、押し止めた! 
「なに……ッ!」
「流石に手下よりはやるようだが――これで終わりだ」
 勢いの削がれた一瞬、その間隙を逃すことなくケンが鋭く剣を突き込んだ。
「ぐあッ!」
 衝撃に態勢を崩すマージャベイ。更にその隙をめがけて、鋭く刃が襲い掛かる。
「ここに私たちが来たのが貴方の運の尽きよ。――不運(ハードラック)だったわね?」
 一閃。毒刃が胸元に傷を刻む。
「それじゃ、とどめの時間だよー!」
 続けざまにすり抜けるクレアが、刃と共にエーテル光を放つ。縛糸刃。エーテル光糸がマージャベイを絡め取り、その腕を鈍らせる。
「ぐ、ア……カ、カカカ! 面白ェ、ッ!」
 だが、その束縛を受けながらもマージャベイは反撃すべく腕を動かした。
「――何処を見ている?」
 しかし、その背後から冷たく刃の気配が迫る。
「俺はこっちだ……!」
 そして――ナハティガルの細剣が、マージャベイの背に突き立った。
「ア――がッ」
 それが決着の一撃となり――力尽きたマージャベイは、大地に倒れ伏すのであった。

「というわけで、蛮族なので殺し――」
「いや、待て」
 とどめを刺そうとしたルーファスを、ナハティガルが制する。
「生かして捕えた方がいい。情報を聞き出せる」
「大した情報は出ないと思いますが……」
「なら、兵士たちに任せましょう。それくらいの仕事はしてもらわないとね」
 かくして。
 ボーソ族たちは兵士たちに引き渡され、この戦いは幕を閉じる。
 威圧的な咆哮ももはや止み、街に平和が戻るのであった。

マスターコメント

 お世話になっております。一十一 十一です。  この度はご参加いただきありがとうございました。  どの参加者様も個性が強く、また、全員がウォーリア/シーフという近接戦構成だったため、とても楽しく戦闘《ケンカ》の描写をさせていただくことができました。  こちらとしても、リプレイの方、楽しんでお読みいただければ幸いです。  もしお気に召しましたら、今後ともよろしくお願いいたします。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2020年11月04日 15時21分15秒 公開

成功

相談掲示板

  1. ルーファス・W・ワーズワース

    さて。一番乗りでしょうか。 はじめまして。ウォーリアのルーファスと言います。 王国では蛮族退治は冒険者の嗜みと聞きますのが、 油断せず万全を尽くします。宜しくお願いします。

  2. クレア・エクレール

    シーフのクレア・エクレールだよ、皆よろしく! 撤退させてもまた来るんだろうし、頑張って撃破狙いたいところだねー。 ちょっと気になったのは賊の隊長格は馬から降りて戦ってるっぽいけど、他の奴らはどうなんだろ?ってことかなー。

  3. シュロ

    放浪騎士のシュロだっ。クラスはウォーリアだぞ。 戦場はヒャクトーバンの街の壁(塀か柵かも?)の外側で、馬が走れる程度には開けてる平原って想定でいいのかな? ボーソー族が街に入ったら危ないから、防衛の兵士達にはすぐ内側に入って門とか閉めて貰った方が良さそうだなっ。 >ボーソ族 隊長格は確かに降りて戦ってるな。もしかして、馬は移動手段で、騎乗戦闘はできないのかもな。 鎧を着せてない馬なら授恵者の攻撃は1発で致命傷になりかねないし、ボーソー族も武器は槍じゃなくて棍棒みたいだから突撃しても正面攻撃できないしな。 あとは、描写になかったけど拒馬くらいは設置されてたのかもな。危険な馬賊が近くにいるなら、街の防備にそれくらいあってもおかしくないしな。 一先ず戦闘では全員白兵戦で考えていいんだと思うぞ。 ああ、でも撤退の時には馬を呼んで騎乗して逃げるかもな。 そういうことへの対策も兼ねて、馬を仕留めるのも考えたほうがいいかもな。

  4. バンシー

    みなさんはじめまして。 シーフのバンシーと申しますわ。 そうねぇ…この街の兵士さんたちは申し訳ないけれど下手に手を出させるくらいなら門を閉めてもらった方が戦いに集中できるかも。 門の上から投石や弓矢で門の守備くらいはしてもらいたいけれどね。 >イク馬 個人的な方針なんだけれど、会敵からしばらくはボーソ族じゃなくてイク馬を狙ってみようと思うの。 馬から降りて戦ってくれるのなら逃走手段を潰せるし、ボーソ族が馬上で戦うのならさらに機動力を奪えるかもしれないからね。

  5. ルーファス・W・ワーズワース

    はい、皆さん宜しくお願いいたします。 >ボーソ族 仮にも馬賊と聞いているので、馬に乗るか乗らないか。 と言う話であれば『乗りうる』と考えた方が いざと言う時対応しやすいのではないかと思います。 馬上戦闘は槍を構えてのチャージのイメージが強いですが、 棍棒を使っても横をすり抜けての騎乗剣術なら応用が効きますし。 なので、バンシーさんやシュロさんの考え通り、 馬を先に排除しておく。と言う動きはして損はないかと。 >街 そうですね。下手に門を開かれて雪崩込まれても困りますし 閉じ籠っておいて貰えた方が動きやすいのが本音です。 カバーリングを割かないで良いに越したことはないですから。

  6. パトリツィア=レイネス=ナハティガル

    おっーほっほっほ! 遅れながらウォーリアのパトリツィアですわ! 専門は盾!よろしくお願いしますわ!

  7. クレア・エクレール

    なるなる、じゃあ馬乗って突っ込んでくることも想定しておこ。 確かにその場合が馬を先に潰した方が戦い易くはあるよね。 あ、ボクは普通に下っ端(&馬)から片付ける予定ー。 隊長格に張り付いて侵攻を止めたいとか、最初から隊長格向かう人がいればその分下っ端掃除頑張るね。 強いみたいだし、全員で仕掛ける場合は毒とか束縛付与していこうと思ってるよ。

  8. シュロ

    今回のメンバーのクラス内訳はこんな感じだな。 ウォーリア 5 シーフ 3 皆前衛だなっ。ボーソ―賊もみんな白兵戦みたいだから、派手なぶつかり合いになりそうだ! >班分け 戦力の振り分けは隊長と下っ端で半分こがいいか? 隊長3の下っ端5くらいでもいいかもな。 一先ず、どっちを受け持ちたいか意見を募ってみるか。 今のところ……こうか? わたしはどっちに行くかでスキルを覚えようと思ってるからな。ちょっと様子見だ! ・隊長 ・下っ端 クレア シーフ バンシー シーフ(馬狙い)

  9. ジュリエット・ジャムワール

    ジュリエットで御座います。 皆様、宜しくして頂けて? 単純戦闘で御座いますね。 回復手がおられませんので、 早期決着を心掛けたいものですわね。 >何するか 何方でも構わないので御座いますが… 範囲攻撃が通り易そうなので、 私は下っ端から倒していくのが早う御座いましょう。 必要があれば調整させて頂きますので、 その際は仰って頂けましたらば嬉しゅう御座いますわ。

  10. ナハティガル=ラー

    顔出しが遅れてすまない。 ナハティガル=ラー。 不意討ち暗殺何でもござれのシーフだ。宜しく頼む。 >ボーソ族 基本的に特攻隊長以外の馬賊共は騎乗している前提で行動するつもりだ。 それを踏まえた上で攻撃や逃走の手段である馬を潰すのは良い手かと。 >班分け 下っ端と馬を潰して周るのも良し、ボスをBSで弱らせるも良し。 俺はどちらでも構わないが―― 取り敢えずは隊長の方を希望しておこう。人数が偏った時は移動も可能だ。 ・隊長 ナハティガル ・下っ端 クレア シーフ バンシー シーフ(馬狙い)

  11. ルーファス・W・ワーズワース

    あ、本当ですね。全員前衛、となれば話も早そうです。 先手必勝、に尽きる。ということになるでしょうか。 足止めで良ければ僕は隊長格の方へ行きましょう。 割り振りは手下の数が多い上に馬も対象とすることを考えると、 3:5の方が無駄がない気がします。 手下が全滅さえしてしまえば囲んで叩けますからね。

  12. パトリツィア=レイネス=ナハティガル

    ふっ、ではわたくしは雑魚の方から参りましょう。盾として攻撃は全て引き付けて差し上げますわ! 一応、色々と役割は変える事が出来ますわ。

  13. ルーファス・W・ワーズワース

    では、もうあと2日しかありませんので 現時点での各人の配置をまとめておきます。 【隊長担当】 ナハティガル:シーフ ルーファス:ウォーリア 【手下担当】 パトリツィア:ウォーリア ジュリエット:ウォーリア クレア:シーフ バンシー:シーフ なので、どちらもあと1枠という感じですね。 行動規範は現時点までであれば以下の通り。 【隊長対応】 ・無理に攻めず、力量を見つつ有効なら持久戦に持ち込む ・極力手下と分断して個別に対応する 強いと聞きますので、ダメージが嵩んだら挑発しつつ立ち位置交代など、 敵意のコントロールが出来ると良いかもしれません。 【手下対応】 ・優先的に馬を狙い機動力を削ぐ ・範囲攻撃の通りが良さそうなので積極的に狙う 強いて言うなら、あとは出来るだけ攻撃は集中させて 早期に数を減らす、位でしょうか。

  14. パトリツィア=レイネス=ナハティガル

    了解いたしました。手下に関しては、早急に撃破して隊長へと応援に行きますわ! 一応わたくし、ヒールが使えるのでダメージを受けた方は一度下がって欲しいですわ。専門職ほどではないので、回復量もそこまで多くは無いから長期戦は向かないかもしれません。 まあ、盾として粘る事なら人一倍得意ですが!

  15. シュロ

    それじゃあわたしは隊長の相手をするぞ。 シザーロアの【執着】で壁役をしながら、【行動阻害】と【防御低下】のスキルで隊長の動きを鈍らせていくつもりだ。 【隊長担当】 ナハティガル:シーフ ルーファス:ウォーリア シュロ:ウォーリア 【手下担当】 パトリツィア:ウォーリア ジュリエット:ウォーリア クレア:シーフ バンシー:シーフ

  16. クレア・エクレール

    ルーファスさんは纏めありがとー! 下っ端はなるべく攻撃集中させて早く片付けて隊長格のお手伝いいけるよう頑張るね。 あ、パトリツィアさんは回復も持ってるんだー。 ボク打たれ弱いしなるべく怪我しないよう回避頑張る予定だけど、やっぱりあるのとないのとじゃ安心感違うもんね。危ない時はよろしくお願いしまーす!

  17. ケン・Z・ブラッドリー

    っと顔出しが遅くなってすまない ウォーリアーのケンだ 現状の内容で異論はないので俺は手下相手の方に回らせてもらうよ 殺界が使えるからうまく敵をその範囲内に収められれば一気にダメージ与えられるんでその分隊長相手にする方への援護も行きやすくなるだろう

  18. バンシー

    それじゃあ私は最初の予定どおり、最初の数ラウンドはイク馬を狙ってみるわ。 この時は毒撃を使ってできる限り…できるんなら8体の馬全てに当てていくわ、時間がたっていく程馬の動きは遅くなっていくはず。 毒撃を使いきったらそのまま手下本体に、そして隊長へと言う感じにしていくわね。

  19. ルーファス・W・ワーズワース

    いえ、過分なお言葉ありがとうございます。 こちらも現時点まで異存ありません。 あ、それではシュロさん。同じ隊長攻略なので、壁役は連携して行いましょう。 シュロさんがダメージを受けたらフォローに入りますので、こちらもフォローをお願いします。 単純に継戦能力も二倍になりますし、こちらがフェイントを仕掛けている間は シュロさんやナハティガルさんの攻撃の当たりやすさも上がる筈ですから。

  20. パトリツィア=レイネス=ナハティガル

    殺界があるなら、逃げていく敵も止められるのがいいですわね! 敵を撤退ではなく全滅に追い込むなら移動阻害があるのは非常に助かりますわ! 一応わたくしもチャージングで先回りを試みますが、移動阻害のBS系は無いので、 一緒に妨害してくれるとより良い戦果が挙げられると思いますわ!

  21. ナハティガル=ラー

    >対隊長 ルーファス、シュロ、今回は宜しく頼む。 俺は隊長の意識が2人に向いている隙を突き、 フェザーステップ+疾風足+ダブルエッジのヒット&アウェイで攻撃を。 序盤の内に【猛毒の刃】でBS付与を試みる予定だ。 今晩中までなら行動変更も可能なので、何かあれば言って欲しい。 ――それでは、現地では宜しく頼む。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0