砂を駆けるならず者

白葉うづき

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シナリオID:48

オープニング

●砂漠のごろつき
「私の隊商の護衛を頼みたい」

 冒険者ギルド直営の酒場、「踊る子熊亭」に現れた男はそう言って視線を冒険者たちに向けた。男は軽装だったが身なりの良い服で、首飾りや指輪など豪奢な飾りを身に付けている。肩付近でくるくると外側に巻いた金髪、そしてくるりと巻いた髭の男は、フンと小さく鼻を鳴らした後、依頼の詳細を語り始める。

「名はライモルト・ゴットロープ。リーンエス王国にてゴットロープ商会を営んでおる。今回の積み荷はチーズやワイン、紅茶など嗜好品が多い。何、ここリブラネスタからリーンエス王国への道程だ。整備されよく使われている道を通るため行程はさほど辛くはない。さらに私には私兵がいてね、旅路には問題ないのだ」

 男に吊られるよう外に目を向けると馬車の周囲に数名の兵士が控えていた。あれが彼の私兵なのだろう。名のある豪商のようだ。しかし、それならば何故ここへと問えば、男は苦虫を噛み潰したように顔を歪めた。

「最近王国への荷がよく奪われるのだ。それは砂漠――イグノ砂漠近くを通る時が圧倒的に多い。下手人は分かっている。砂漠に住み着く野蛮なバルバロイの仕業だ。人から奪うしか能のないあの虫ケラどもめが……また私の荷を狙いおって」

 吐き捨てるように言いながら、貴族の男は値踏みするかのような視線を向ける。

「君たちに依頼したのは他でもない。賊から私の荷を守ってくれ」


●『砂塵の赤月』
 大陸南西部を広く支配するリーンエス王国。ロスガリア大陸の中でも最も肥沃な大地とも言われるこの土地には東西に砂漠を有している。南西はシラー砂漠、そして南東には今回近くを通ることとなるイグノ砂漠があった。砂漠には凶悪なクリーパーや原生生物のほか、依頼人が危惧する「バルバロイ」と呼ばれる外敵――種族を問わずどの国にも属さない略奪者も存在する。
 砂漠が見えてきた。馬車が通るのは踏み固められた道のため車輪が取られることはないが、照り付ける日差し、砂漠から時折吹く風が隊商と冒険者たちの足を遅くしていた。滴る汗を拭っていると、遠くから砂埃が撒き上がっているのが見えた。それはどんどん近づいてくる――バルバロイだ。

「今回も奪いに来てやったぞくるヒゲェ! 大人しく荷を置いてさっさと失せな!」

 砂漠から現れた男が勢いよく叫ぶ。全部で9人はいるだろうか、全員駱駝に騎乗し体の殆どを布で隠している――砂漠に住まう盗賊団。体の大きさもさまざまだ。

「き、来おったな! お前たちの出番だ、後は頼んだぞ!」
「あ? いつもの兵士以外がいやがるな」
「オカシラ、そりゃきっとウワサの冒険者ギルドのヤツですよ! そしたらヤベエや、キョウはズラかった方がイイかもしれねえ」

 傍らの小さい布塊はそう告げたが、頭の男は面白そうに冒険者たちを見回した。

「へえ、くるヒゲの奴は授恵者さまを雇いやがったか……面白え。――おい! リブラネスタの子飼いども! お前らの誰か一人で良い。俺様と勝負しやがれ!」

 褐色の肌を持ったリーダーらしき男が駱駝から降り、宝飾付きのナイフを向け不敵に笑った。

「盗賊団『砂塵の赤月』、肥え太った貴族サマの腹をそぎ落としてやンよ!」

解説

●目標  盗賊団を退ける ●フィールド  晴れの日、砂漠。リブラネスタからリーンエス王国へと進む途中、盗賊団『砂塵の赤月』に襲われた場面から始まります。 ●『砂塵の赤月』 ・カシラ  イグノ砂漠を根城とする盗賊団のリーダー。宝飾の付いたナイフによる素早い攻撃で翻弄し、劣勢になると何らかの力や道具を用います。腕試しなのか1対1で戦ってみたそうですが、無視して対複数になっても構いません。 ・盗賊 8人  『砂塵の赤月』に属する盗賊。布に包まれてはいますが、ヒューマン、ハーフビースト、ゴブリン、ハーフリング、リザードマンの姿が見えます。ナイフでの近接攻撃、または弓矢を主に使用します。連携した攻撃に注意です。駱駝を降り、主に馬車を狙ってきます。 ●護衛対象  馬2頭が引く馬車。  ランパルトは私兵が守っています。盗賊討伐には力を貸してくれないようです。 ●補足  盗賊たちはカシラが倒される、または何人か戦闘不能者が出ると撤退するようです。砂漠は彼らの庭であり、捕縛したい場合はよっぽどうまくやらないと難しいでしょう。

マスターより

 白葉うづきです。  イグノ砂漠の盗賊から荷を守りましょう。  ご縁がありましたらよろしくお願いいたします!

リプレイ

●
 太陽が絶え間なく降りそそぐ砂漠の中、盗賊団と授恵者たちは対峙していた。
「盗賊であろう者が何故そのような事を……?」
 アストライト=アクチュアルを始め、突然の提案に冒険者たちは顔を見合わせる。兵と兵とがぶつかる戦場では珍しくないことかもしれないが、望んでいるのは馬車を狙う盗賊。何か裏があると見る方が自然だ。
「あと……貴族の飼い犬になったつもりはないのだけれど」
「気に障ったか? 悪ィな」
 不意に降ってきた言葉には無言で応える。普通の盗賊とは毛色が異なっていた。

「授恵者への好奇心から腕試しを提案しているだけなら良いが」
「向こうがこちらをただ侮ってる可能性もあるわ。敵の言うことにのるのはリスクもあるけどね」
 不穏を感じるナハティガル=ラーに、ミツキ・アインホルンも自らの懸念を話した。どうしたものかと悩む最中、甲冑姿の凛然とした青年――レイ・ロバーツが前に進み出る。
「その一騎打ちは僕が受けて立とう」
 宣言にドローミや皆は頷く。
「わかりました。盗人の土俵に乗るのは楽しくないですが、レイ殿の希望は尊重します」
 自分たちの仕事はあくまで馬車と依頼人を守ること。その結果に向かうのならば、どの過程を通ったところでも尽力するだけだ。視線を上げ、ドローミはひときわ大柄な布塊(同族)を細めた紫の瞳で見据えた。

「この間は山賊でしたが今度は盗賊ですか。次は海賊に遭えば賊シリーズはコンプリートですかね。さて、戦闘に入る前に……少し話をしましょうか」
 ゆるりと尻尾を弛ませ、冗談めかす鵜鬱鷹 浩之は質問がありますと盗賊に向けて手を挙げる。
「1対1で戦うその間、取巻きの方達は大人しく観戦してくださるのですか?」
「そうね、勝負が終わるまでは、互いに手を出さないようにするのはどう?」
「断る」
 浩之と、同じ提案を考えていたアストライトへの返答はシンプルだった。
「他は馬車を襲う。暇な時間やるほどお前たちを過小評価しねぇよ。何より――全員で騒いだ方が楽しいだろ?」
 やはり盗賊、彼らに正々堂々などはない。返答にアストライトは納得したが――ミツキは試しにと言葉を重ねる。
「威勢のいい事いってるけど、勝てるのか不安なのね」
「……あ?」
 カシラがぴくりと反応する。
「1対1もそう。戦ってる時に、他の人がレイさんに不意打ちするつもりじゃない?」
「するか。俺様はそんじょそこらの話も聞かねえヤツラとは違うんだよバーカ」
「どうかしら、盗賊だもの」
「わたくしも信用できません!」
「はァ~!?」
「オカシラ、落ち着いて」
 金色の瞳に義憤を乗せ、生真面目なマリヤ・バヤリッツァも加勢するよう反論した。さらに畳みかければ面白いように反応してくる。散々言われ、背の低い布塊に宥められた首領は渋々といった口調で了承した。
「仕方ねえ、一騎打ちは呑んでやる。――ただし俺の部下はそれぞれ離れた場所で待機させてもらうぜ。決着した途端に魔法ではい終了、なんて笑えねぇからな。駱駝も下げとけ」
 指示に従い部下たちは瞬時に二組へばらける。統率のとれた動きをミツキは冷静に見つめた。
(ボスへの信頼度は高い、みたいね)

「そちらさんが手を出さない保証は?」
「俺だ。そん時は大人しく縄についていいぜ。で……お前らの保証は」
「僕が約束しよう。一騎打ちに横槍なんて無粋じゃないか」
 仔細を詰める浩之に答え、真っ直ぐ言い切る青年に小さく肩を竦める。異論はないようだ。
(信用し切らない方が良いだろうな)
 斑模様の耳と尾を持つハーフビースト、セリオス・オーガストは冷静に考えながら汗を拭う。駱駝は今は届かない距離にいる。慣れない地でも鋭い視線で周囲を見回した。

●
「レイさん、よろしくね」
「敵方は盗賊、何をしてくるかわかりません。お気をつけて」
「傷を負ったのでしたらワタシが回復させますのでどうぞご安心して職務に準じてください」
「ありがとう、行ってくるね」
 開けた砂漠を盗賊と冒険者で囲み、小さなフィールドが生まれる。そこに堂々と進み出たレイは剣を構えた。
「我が名は帝国騎士レイ・ロバーツ、さあ君の悪行も此処までだよ」
「へえ、あそこの騎士様か。苦労してンだろ……って、雑談しても観客が退屈だろうし――いっちょ行くぜ!」
 砂を蹴り逆手に構えられた短剣がレイを薙ぐ。しかし衝撃は盾と硬質な甲冑によって殆ど防がれた。
「かってェなこの!」
「こっちの番だ!」
 レイは剣を構え集中する。相手に飛び込む一瞬に剣の切っ先を不意に逸らし隙を作り出すと、力の限り大剣を振り抜いた。

 一騎打ちにおいてレイの狙いはシンプルだった。初撃で一気に削り取り速攻で勝負を決める。シンプルが故に――鍛えられた力が物をいう。

「がはっ!」
 与えられた力のまま、カシラは勢いよく吹っ飛び砂を転がった。思った以上の衝撃だったのか咳込む相手に再び剣を向ける。
「これが授恵者の力だよ」
「そりゃ、ご丁寧に。なら、俺も存分にもてなさねえとなァ!」
 纏う布を剥いだカシラの手にもう一振り短剣が現れる。二撃とも先ほどと変わらない威力、しかしレイの身体に異変が走った。
「毒だ。放っておくとやべえぞ」
「いやぁ、強いなぁ。でも負けるわけにはいかないなあ!」
 見据えて薙いだ剣は相手に躱される、毒は回る、光の糸が纏う、けれど予想外の事態にレイの口端は上がる――楽しい!
「毒喰らってもフラつかねえとかヒトかコイツ!」
「褒めてくれてありがとう!」
 一騎打ちに興じる二人は徐々にだが明らかな摩耗が見えた。次でどちらかが倒れるかもしれない――そして次にと動く前に、足元へ二本の矢が別々から打ち込まれた。
「レイ、下がれ! 充分だろ!」
「お頭」
「レイ殿!」
 それぞれ介入する瞬間を見極めていたのだろう、セリオスと盗賊の一人が二人を引きはがし、駆け寄ったドローミはレイの状態を確認する。毒は抜けているが続けていたら危なかったかもしれない。戦況の変化に戦いの気配が一気に濃くなる。
「邪魔すんなよな。けど、暇だったろ。――かかれ」

●
「構えろ! 散開してくるぞ!」
 鋭くナハティガルが叫ぶ。俯瞰した視界では二手に分かれた盗賊が左右から迫っていた。右からの襲撃者に素早く立ちはだかると、瞬間的な加速で盗賊に迫り低い姿勢から細身の剣と短剣で斬り付ける。
「――お遊びは終わりだ。そろそろ仕事に取り掛からせて貰う」
「私もいますわよ!」
 弓を張り、ぴんと背筋を立たせたマリヤが追撃して敵に矢を生やした。盗賊の一人が体勢を崩す。
「あなた方にも『肥え太った貴族サマの腹をそぎ落としてやる』事情があるかもしれません。ですが、人の荷を奪うのはいけないことです!」
 マリヤは凛々しく叫び次の矢を番えた。バックステップで後ろに下がっていたナハティガルへ盗賊が肉薄し、もう一人の放った矢はマリヤを狙うが砂に突き刺さっていた。ナハティガルは冷静に分析する。
「統率されてはいるが、個々は危険視するほどでもないようだ」
「出来る限り捕らえて反省していただきましょう!」

「そこを退けぇ!」
 左から迫る盗賊の一人がミツキにナイフを振るい、別の一人がアストライトへ矢を放つ。咄嗟に光の膜を張り防いだアストライトは小さく舌打ちした。後衛が攻撃を受けている。
(もしかしてこれが狙いだったのでしょうか)
 一対一ならば必然的にそれに耐えうる者が名乗り出るだろう。その力を殺ぐ、あるいは足止めをするだけでもこちらの戦力低下は免れない。相手にも同じことは言えるが、多少数に差があることを優位と取ったのかもしれない。
「連携を崩すぞ」
 レイをドローミへと任せたセリオスは攻撃に集中し、引き絞った弓に番えた矢へエーテルを纏わせ放つ。美しい放物線を描いた矢は的確に射手を貫いた。
「舐めないでほしいわね」
 ミツキの周囲に小さな光球が幾つも出現する。意のままに操られた光は弾丸となって盗賊たちに降りそそいだ。乾いた砂が舞い上がる。

(地形は砂漠、砂)
 肌のひりつくような熱がそれをすぐに蒸発させてしまうかもしれないが、一時的に足場を重くできるなら試してみる価値はある。そう考えたアストライトは長杖にエーテルを集め、光を放つ杖の先から巨大な水流を吐き出した。
 奔流は狙い違わず盗賊たちの足元に向けられ――その大きな力は砂漠を濡らすことなく砂をえぐり取り大きな穴が穿たれた。
「ぎゃー!? 危ないだろ!」
 突然穴が現れたことで足元の砂が動きバランスを崩す盗賊たち。想定とは違ったが足元を乱すことは出来たのだろう。それを逃れた射手がミツキを射貫く。
(あいつが最優先だ)
 輝く雪原を思わせる髪を揺らし、セリオスはそれと同じ輝きを持つ瞳を鋭く細める。ぎりぎりと音が鳴るほど弦を引いた矢にエーテルの光を集め、狙いすました場所へ強力な一射を放った。真っ直ぐ光の矢が突き刺さった相手は膝をつく――まずは一人。

 右と左とで交戦が始まっていた最中、真っ直ぐ突っ込んでくる影があった。馬車を狙ったであろう強襲――しかしその視界の先は陽炎のようにぼんやりしている。砂漠の中であるはずなのに、その空間だけ大きなドーム状の透明な霧によって包まれていた。
「ここからは通行止めですよ。まあ、入ったとしてもワタシの雷が落ちますが」
 その空間を設置した本人である浩之が霧の中からゆっくりと進み出る。得体が知れないだろう存在へ警戒を強める盗賊に、浩之は諭すように語った。
「労働に対する対価が報酬であり、自身が楽をする為に行う強奪は許される事ではありません。そして、ワタシは捕らえる等の行為は得意ではありませんが、もし捕縛出来れば労働の素晴らしさをお伝えしなければいけません」
「あの商人に教えてやってよ」
 浩之はおや、と眉を潜める。年若い声だった。自分だけで対処が出来ないと踏んだのだろう、踵を返し若い背中は逃げるよう駆けていく。戦場を見渡し、浩之は近くの仲間の加勢へと急いだ。

●
「じっとしていてください」
 集中してエーテルの流れを意識する。ドローミが手を翳すと柔らかな光が放たれ、レイの身体はみるみるうちに回復していった。懐から取り出した小瓶を飲んで立ち上がったカシラをドローミは睨み付ける。
「逃げるつもりですか。然るべき処分を受けて貰いますよ」
「ハッ、怖いねえ……うわ」
 向かってくる男にドローミはレイを庇うもその横をすり抜けていった。背後で立ち上がった気配がする――レイだ。
「ありがとう、ドローミさん。まだ勝負は終わっていないよ、さあ戦おうか!」
 口端から血を滲ませながら笑う青年にカシラはあからさまに嫌そうに顔を顰め――走り出した。
「冗談じゃねえ! 付き合ってられるか!」
「どこに行くんだい!」

 盗賊たちとの戦いは常に授恵者たちの有利で進んでいた。しかし相手が避けることに専念し始めたせいかなかなか硬直状態を抜け出せない。何本目かの矢を放ったマリヤは次の矢を用意しながら考えを口に出す。
「追い払うことを第一としましょう。依頼は荷物を守ることで、盗賊の討伐までは依頼されていません」
 馬車に近づかれていない今はそれを達成し、そして怪我人も双方とはいえいくらか出ている。張り付かれていた盗賊に体を苛むエーテルを細剣で叩きこみ、もう片方の剣を振るい倒したナハティガルは頷く。負けることはない、ただ捕縛するためには近くの敵を退ける必要があるがそれには時間がかかると感じた
「遅れました」
「お疲れ様です、ドローミさん!」
「レイは」
「大丈夫ですよ。今はカシラと追いかけっこ中です」
 ヒーラーながら弓を構えたドローミは敵を見据える。左で弓を引き絞ったドローミの矢は光を携え、寸分違わず弓を持った相手へと届いた。先に弓持ちを潰そうと考えていた故の狙いだが、その射手こそが彼女が狙いを定めていた相手。静かな瞳が互いを捉える。
「逃がしませんよ」

「一人いない――あそこか」
 一騎打ちの際に観察したところ、射手は全部で三人。一人は潰した、もう一人は右で交戦中として、残りはと探すと、駱駝の前に射手が一人控えているのがセリオスには見えた。それは先ほど介入してきた相手だった。様子を窺ったこちらを睨み付けるよう佇んでいたが、不意に近づいてくる。咄嗟に矢を放つと相手からも鋭い矢が撃ち返された。
「アナタ方は攻撃に専念を」
「ありがとう、浩之さん」
「助かります」
 合流した浩之が盾を構えて前衛に躍り出た。ミツキとアストライトは盗賊から距離を取り、ミツキはエーテルの輝きを集束させ氷嵐を、アストライトは杖を振ると紫光を纏った氷の矢を放った。盗賊がまた一人膝を折る。

「そこまでだ、回収しろ!」
 走り込んできたカシラがそう命じると瞬時に反応し、傍の仲間が倒れた者を抱え離脱の姿勢を見せる。刹那、人影から飛び出したナハティガルがカシラに迫った。互いの剣が二度交差する。
「――お前も授恵者なのか?」
「さぁて、自分で考えなァ!」
 過ぎるのは先ほどの一騎打ち。問うまでもなくナハティガルは答えを持っていた。――こいつは職を同じくする授恵者(シーフ)だ。刃越しに睨みあい反動で互いに一歩跳び下がる。そしてカシラは授恵者たちに緋瞳を向け、一瞥すると背後に叫んだ。いつの間にか駱駝が近くにいる。
「ずらかるぞ!」
「逃がさないわよ」
 ミツキが杖を向けるが、投げつけられた球が爆発し視界が煙で満たされる。セリオスが矢を打ち込むと駱駝の小さな悲鳴が聞こえた。砂漠の強風が一瞬で煙を拭うと、駆けていく盗賊団の姿が遠くにあった。


●
 浩之の祈雷、そして馬車を守るという一致した意識の元で盗賊を近付かせなかったため、馬車への被害はゼロだ。ほっと胸を撫で下ろした依頼人は「今後も有事はお前らに頼もう」と上機嫌にくるんと丸まった髭を撫でていた。
「珍しい盗賊団頭領だったわね」
 相手が授恵者と知ってなお挑み、面白いとさえ言い切っていた。盗賊にしては芯があるとミツキは感じた。
「中途半端な盗賊団かもしれません。次に現れる時を待ちましょう」
 浩之とドローミが皆を回復している傍らで、マリヤは力強く言葉を紡いだ。
「依頼は無事達成ですわ! 襲われてもまた退治してさしあげましょう」

マスターコメント

お疲れ様でした! 依頼人である商人はいたく感謝しているようです。 この盗賊団が再び現れる時は、また依頼書が届くと思います。 MVPは有効なポイントを押さえていただいた方々へ。 ご参加いただきありがとうございました!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2020年10月25日 17時36分24秒 公開

成功

相談掲示板

  1. ミツキ・アインホルン

    私はキャスターのミツキよ。よろしくね。 1対1で戦いたい人はいるのかしら。 もし、1対1で戦うなら、勝負が決した後、盗賊達が逃げないようにスタティックフィールドで移動阻害をするつもりよ。

  2. セリオス・オーガスト

    ・・・ン、ハーフビーストのシューター。セリオスだ、よろしく頼む まあ目的は盗賊団を避けることだから無理に全部倒さなくてもいいというところだろうが

  3. マリヤ・バヤリッツァ

    シューターのマリヤ・バヤリッツァですわ。よろしくお願いいたしますね。 わたくしは1対1には自信がありませんので、取り巻きの盗賊への対応を希望いたしますわ。

  4. ドローミ

    皆さまごきげんよう、僕の名前はドローミ。 ヒーラーです、宜しくお願いします。

  5. アストライト=アクチュアル

    キャスターのアストライトです。よろしくお願いします。 私は流石に1対1は張れませんので……、話に裏がないとも言い切れませんし。

  6. レイ・ロバーツ

    僕はレイ、クラスはウォーリアだよ。みんな今回は宜しくね。 向こうが一対一をお望みで他に誰も立候補しないなら、僕が受けて立とうじゃないか。 上手くいけばボスを仕留めるだけで済むしね。

  7. ミツキ・アインホルン

    とりあえず現状での私の意見ね 今回の目的は「盗賊団を退ける」、失敗条件は「馬車を壊される」「ランパルトに被害が及ぶ」「荷が奪われる」 こんなところかしら。 その条件下だと、この1対1は「後ろを気にせず」戦えるからこちらにとっても良い条件だとおもうのよ。 もちろん、アストライトさんの言う通り、罠の可能性もあるけどね。 ただ、「いつもの兵士だけ」と思っていた向こうがそんな罠を用意していたとは考えづらいわ。 一騎打ちに勝ったら、頭を失った盗賊は逃げ出して、目的達成。追撃して何人か捕縛を目指すというボーナスステージね。 負けたら一人いなくなった状態で相手取らなくちゃいけないけど、こちらにはヒーラーがいるから戦線復活できる算段が立つわ。 そうすれば、向こうの頭の戦い方を知ってる状態で開戦できる。 どうかしら。

  8. 鵜鬱鷹 浩之

    ハーフビーストでヒーラーの鵜鬱鷹 浩之と申します。 今回はよろしくお願いします。 ワタシは1対1向きではありませんので、周りの方への対応に回りたいと思います。 そうですね、1対1を行っている間に他の盗賊達が行動を起なさいという確証がないですので、1対1を行う場合はその辺について釘をさしておきたいとは思います。 あ、1対1を反対してる訳ではありませんので行うのは良いと思いますよ。 荷物を奪取される事に関してですが、護衛対象がその場に留まって頂けるなら輝雷を馬車のある場所に使用する事は出来ます。 設置型のスキルで範囲内に侵入すれば回避無視の確定ダメージが発生しますので有効かとは思います。 ただ、使用してる間はメインとサブアクションが行えませんので、その間は回復等が行い事になりますので難しい所ですが。

  9. マリヤ・バヤリッツァ

    なるほど…… アインホルン様の意見にも一理ある気がしますわ。 1対1の間は鵜鬱鷹様のおっしゃるとおり手下の盗賊が乱入したりしないよう、牽制に回る必要がありそうですわね。

  10. ナハティガル=ラー

    ナハティガル=ラー。 不意討ち暗殺何でもござれのシーフだ。宜しく頼む。 俺は隊商を狙って来る連中の迎撃と、可能なら追撃に回りたいと思っている。 >1対1 カシラの真意が見えないのが不気味ではあるな。 特に裏はなく、授恵者への好奇心から腕試しを提案しているだけなら良いが…。 ただまあ『1対1で戦っている間、配下共には隊商に手は出させない』とも言っていないし、 配下との戦闘は発生するという前提で布陣を整えておいた方が良い様に思う。 >輝雷 もし設置するのなら、俺は輝雷の隣接hexに布陣して配下共の迂回を妨害しよう。 >カシラ 恐らく、シーフかそれに近いクラスである可能性が高いかと。 その場合、バステ対策もしておかないと不味いかもしれない。

  11. ドローミ

    敵の土俵に乗るは楽しくないですが、レイ殿の希望は尊重します。 序盤は取り巻きをけん制するため、盗賊と馬車の中間に居たいです。 有事の際には、攻撃集中宣言し射撃で対応を。 希望者には、輝刃も付与できます。 メインのみなので事後ですが、ヒールもありますよ。

  12. セリオス・オーガスト

    <1対1 俺は獲物が弓なのでそういうのは向かないからパスだな やりたい奴がいるならそれでいいとおもう OPを見る限りはこちらを侮ってるから一対一を望んでるようだから劣勢にならない限りは横やりはしてこなそうとは思えるな。 他のやつもいってるが前言撤回はしてきそうだからいつでも他の盗賊を相手取る準備だけはしておいた方がいいだろうな。 盗賊団を全滅させるならなるべく逃がさないように戦いたいところではあるが、これは逃げる前に相手のラクダを狙ってどうにかすれば相手の足を潰せるのだろうか

  13. レイ・ロバーツ

    >1対1 取り合えず1対1を僕が受ける事は問題は無いみたいだね。 >配下達 確かに劣勢になったら形振り構わず襲ってくることも十分に考えられるか、まあどっちにしろボスを倒すのも戦意を失うまで倒すのも道程としてはそこまで大差ないし、何時でも戦えるように警戒しておくくらいで良いと思うよ。

  14. ドローミ

    ぬ、特に相談が進むわけではなかったですね。 僕自身も注意しておくようプレイング準備しますが、レイ殿はカシラの駱駝に警戒お願いします。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0