崖下のともがら
真柄 葉
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シナリオID:18
オープニング
「っつぅ……」
鈍い痛みを感じた額に手を添えると、ドロッとした粘性に触れた。
人差し指に付いた血が頭部に裂傷がある事を教えてくれる。そういえば右の視界が若干赤い気がする。
「ここは……」
血を失っているので急な動きは避け、ゆっくりと辺りを見渡す。
「崖……の途中のようね」
どうやら今いる場所は急峻な崖に出来た僅かな突起の様だった。
「下まで落ちなかったのは、幸いというべきかしら」
フールフン・アドーマーは奇跡的な幸運に感謝すると共に、視線を落とし腕の中に抱く温もりを見た。
「……あなたも無事でよかった」
よほど怖かったのだろう、小さな体を震わせながらフールフンの体に顔を埋めている。
少し肌触りの堅い毛皮をゆっくりと優しく撫でてやる。
『――――!!』
遠くで声がした。
フールフンはまだはっきりとしない意識の中、ゆっくりと空を見上げる。
『生きてるかっ!!』
必至に叫ぶ相棒の声に、右こぶしを掲げ答えた。
『待ってろ、今助ける!!』
そう言って、相棒は急いで崖の影に消えた。
私達二人は、冒険者たちの将来のパートナーになるであろう動物たちの子供を輸送する仕事に当たっていた。
ブリーダー達のいる都市を回り、ようやくリブラネスタへの帰路についたところで、運悪く荷車が土砂崩れに巻き込まれた。
荷馬車は土砂崩れの直撃こそ免れたものの、運悪く土砂崩れの残石が車輪に当たった衝撃でこの子の入った木檻が放り出された。
慌てて手を伸ばし、何とか木檻を掴んだものの――結果はこの通りだ。
「くっ……やっぱり折れてる」
刺すような痛みに顔が歪んだ。服の上からではわからないが、この痛みは捻挫や打ち身ではない。多分骨が逝っている。
「何か添え木になる物は」
と、辺りを見るがあるものといえば岩か石だけ。
「……仕方ないわね。ごめんね」
長く連れ添ったもう一人の相棒に短く謝罪すると、一息に折る。
フールフンは、自前の弓を半分にへし折り当て木にすると、ベルトを解いてぎゅっと縛り付けた。
●リブラネスタ
その日、港湾都市『リブラネスタ』にある冒険者ギルドに、泥にまみれたハーフリングが一人、必死の形相で転がり込んできた。
「頼む、通してくれ! 急いでるんだ!!」
ギルド内に入るや人混みを掻き分け、目指すのはギルドカウンター。
「急ぎ、なんだ! 急いで、依頼を――」
泥だらけのハーフリング『ノビト』は冒険者ギルドのカウンターへ上半身を預ける勢いで身を乗り出した。
「落ち着いてください。緊急なのはわかりましたから、状況の説明と依頼内容をゆっくりと話してください」
対応したギルドの受付嬢は慌てず、木製のコップに注がれた水を差し出しつつ事務的に質問する。
「――――ぷはぁ! 相棒が、崖、崩れに巻き込まれた! 頼む、助けを出してくれ……!!」
差し出された水を一気に飲み干し、ノビトが声を張り上げた。
「内容は確認しました。場所と状況を詳しく教えてください」
受付嬢はノビトから一度も視線を外すことなく、手元の依頼書に状況を書き込んでいく。
「ば、場所はここから西に――」
ノビトから詳細な報告を受け、ギルドはすぐさま救出隊の編成に取り掛かった。
依頼書を掲示板へ張るよりも早く、受付嬢の呼びかけに声を上げた冒険者たちによって組まれた隊は、準備もそこそこに急ぎ出発する。
同業者の窮地に、将来頼もしいパートナーになるであろう子ゴリラの救出に、冒険者たちは我こそがと立ち上がってくれた。
「待ってろ、フールフン。今行くからな……!」
●岩場
「何とか痛みはひいてきたけど……」
出来る限りヒールをかけ続けたおかげか骨折の痛みは随分楽になったが、一番の問題は――。
「そんなに持たないわね」
相棒が投げて寄こしてくれた水と食料がそろそろ底をつくことだった。
ノビトの事だから、見捨てられる事は無いだろうとわかっているのだが、日に日に減っていく生命線にどうしても不安が増してくる。
「これ、今日の分。ゆっくり食べてね」
そんな中、気丈に振舞っていられるのはこの子がいるからだろう。
「私は大丈夫よ、ありがとう」
心配そうにこちらを見つめるつぶらな瞳に笑顔で返す。
賢い子だ。私自身の食べる量が減っている事に気付いているのだろう。
エーテルリンクしなくてもこちらの意図を察してくれる。この子はきっと冒険者にとって素晴らしいパートナーになるだろう。
「もうすぐ助けが来るから、少しだけじっとしておいてね」
計算ではあと3日。余分に見積もっても4日。
相棒であれば必ず来てくれる。今はその信頼だけが心の拠り所だった。
解説
マスターより
リプレイ
細く轍の刻まれた山道を、巨獣ビヒモーがひく荷車は慎重に登坂していく。
「もうすぐだ」
手綱を握るノビトが前方を指さした。
「では、斥候を出しましょう。事故からしばらく経っていますし、現場に危険がないとも限りません」
そう言ってノックス・マグナが隣に寄り添う愛狼マギステルと共に前へ出る。
「マギステル、お仕事よ。この先に危険がないか見てきて」
耳元で囁かれたノックスの頼みに、短く鳴いたマギステルは坂路を駆けだした。
「斥候が戻るまでは慎重に進もう。雨は降っていないとはいえ地盤が緩んでいる可能性は0じゃない」
「イマノトコロ、キケンナカンジハシナイデゴザイマスガ、モットチュウイスルデゴザイマス」
ナハティガル=ラーは目視で、ギ・ガガは探知スキル【探波】を使用し周囲を警戒しつつ、隊はやや速度を落とし坂を上っていく。
「……それで、お前さんは何してるんだ?」
「Zzz……んあ、俺かい?」
ご丁寧に荷台に寝床をつくってくつろぐディレイン・オールドケイジに、ルチル・プルメリア・グレイハーツは呆れながら問いかけた。
「乗り心地のチェックとスペースの確保」
ディレインは寝転がったまま自らの頭を預ける枕を親指で指し示す。
「ふむ。怪我人を乗せるのだから、乗り心地が悪ければ怪我に響く。荷物を積むのもいいが怪我人を乗せるスペースの確保が最優先だ。ってとこか?」
「おぉ、御明察だよ。竜のお嬢さん」
簡潔に目的だけを呟いたディレインの考えを、ルチルは全て言い当てた。
「それはわかるが、お前さんがそこに寝てる意味が解らないな」
「そこはヒーラーの企業秘密だ。残念だが教えてやれないな」
呆れるルチルを他所に、それだけ言い残すとディレインは再び夢の中へと落ちていった。
「あれだ!」
そうノビトが叫んだのと、マギステルが戻ってきたのはほぼ同時だった。
●
細い山道を大小さまざまな石が塞いでいる。
「これは思った以上に酷いな。よく無事で戻ったな」
目の前の光景に、レイ=レーベンス=レックフォードは思わずノビトに声をかけた。
「間一髪だった……でも、あいつが」
「なに心配ない。私達が来たんだ。すぐに解決して見せるさ。――よし、皆、取り掛かろう!」
レイはノビトの肩をポンと叩くと仲間達に声をかけた。
「まずは拠点を確保だ。崩れた場所を避けてできるだけ安全な場所にベースを張ろう」
救護に当たるにも、十分なスペースが無ければ十全な処置を施せない。
レイは狭い山道の中でも比較的スペースを確保しやすい場所を探す。
「少し戻りますが、先ほどのカーブがいいかと」
と、周囲の警戒に当たっていたノックスが声をかけた。
「わかった、そこにしよう。ノックスはノビトと協力して拠点を確保してくれ」
「了解しました。マギステル、また周囲の警戒をお願い。特に崖崩れの兆候には十分注意して」
ノックスはレイに指示に頷くと、再びマギステルに囁きかける。
「レイ君、俺もあちらに行っていいかな? 少し準備したいことがあるんだ」
「何か考えがあるんだな。わかった、こちらは人数的には十分だし、そちらは任せる」
「ああ、助かるよ」
ノックスに続いてディレイン、ノビトも拠点設営に向け、来た道を戻っていった。
「よし、次はロープの固定場所を探す。直接結べる岩か太めの木があればいいが、無ければ杭を打つ。探してくれるか、ナハティガル」
「ああ、任された」
早速とナハティガルは周囲の探索に当たる。
「ルチル、ガガ! 崖下へ垂らすロープを用意する、手伝ってくれ!」
レイは残った二人にも指示を出し、救出準備は急ピッチで進められていった。
●
「約30m。この真下だよ。所々、鋭利な岩が顔を出してるから気を付けて」
ルチルが相棒のラトと共に割り出した要救助者の位置を、救助に向かうシーフ二人に伝えた。
二人は無言で頷くと、大岩に括り付けられたロープの張りを確かめる。そして、ロープを体に巻きつけると崖へと身を躍らせた。
「ミツケタデゴザイマス!」
スキル【壁歩き】を使いつつ先行していたガガが、垂直の崖にわずかに突き出した岩場にそれを発見し声を上げた。
支え合う様に体を寄せる影は二つ。間違いないと確信したガガは、ロープを掴む手を緩めた。
「……マズイデゴザイマス」
岩場に体を寄せたガガが小さく呟く。
岩場の上で項垂れる二つの影は、救出対象であるハーフビーストと子ゴリラであることはわかった。だが――。
「ナニカヨクナイジョウタイデゴザイマス!」
一目見ただけで衰弱している事がわかる。特にフールフンの状態がひどい。
「イキテルデゴザイマスカ! ノビトノ、タノミヲウケテ、タスケニキタデゴザイマス!」
身体を揺らすのは危険と思ったのか、ガガが必死に声をかける。
すると、一瞬だけだがフールフンの肩がピクリと動いた。
「生きてはいるようだが、皮膚の渇きがひどい。典型的な脱水の症状だ。……自分の糧食を子ゴリラに与えたのか」
ガガに続きスキル【壁歩き】を駆使しつつ降りてきたナハティガルが、フールフンの状況を確認し舌を打った。
「ガガ、すぐに上へ知らせてくれ。一刻を争う」
「ワカッタデゴザイマス!」
そう言うとガガは命綱であるロープをリズムよく三度引いた。
「こいつを先に上げる予定だったが、これでは難しいな」
「コドモノゴリラヲ、サキニアゲテシマウホウガ、イイトオモウデゴザイマス」
「……そうだな。まずは子ゴリラを離そう。ガガ、頼めるか」
状況を鑑み、臨機応変に計画を変更した二人は、早速救助手順を改める。
ナハティガルの頼みに頷いたガガは、フールフンの腕の中で怯える子ゴリラにゆっくりと話しかけた。
「シンパイナイデゴザイマス。オイラタチハ、ミカタデゴザイマス」
ガガはフールフンから離れようとしない子ゴリラに一枚の布を差し出した。
「ノビトガ、ウエデマッテイルデゴザイマス」
それが誰のものであるのかわかったのだろうか。子ゴリラは不器用ながらも必死に笑顔を作るガガを見つめ、次に差し出された布の匂いを嗅ぐ。
「ミンナ、シンパイシテルデゴザイマスヨ。サァ、イッショニカエルデゴザイマス」
ガガはノビトに託された布で子ゴリラを優しく包むと、フールフンからゆっくりと引き離した。
「まずいな、やはり意識がない」
子ゴリラが離れた事でフールフンの状態がよくわかる。
浅いながらも息はある。しかし、まるで動かない。この状態では水を与えることは困難だろう。
「ガガ、先に上がってくれ。子ゴリラはまだ元気なようだ。抱いてやれば自分から抱き返してくるだろう」
「ワカッタデゴザイマス!」
ほとんど体格も違わない子ゴリラをガガはしっかりと抱きしめると、命綱であるロープで体同士を固定した。
「キデンノ、ユウキニケイイヲヒョウスルデゴザイマス。ヨク、タエヌイタ」
最後にそう声をかけると、ガガは崖上に繋がるロープを四度引いた。
●
「次は担架だ! 両端にロープを括り付けて下ろすぞ!」
その頃崖上では、レイの指揮の元、フールフンを引き上げる為の担架が下ろされていた。
「ノックス、右へ一歩! そう、そのまま引き上げるよ!」
「はい!」
一方、ルチルとノックスはガガと子ゴリラを引き上げる為にロープを引く。
断崖に突き出た突起を避けながら、慎重に巻き上げて行った。
「よくがんばったな」
引き上げられた子ゴリラは、そこにノビトの姿を確認し抱きついた。
「元気はありそうだが、随分と震えているな」
ノビトの胸で小さく震える子ゴリラを見て、ルチルが呟く。
「フールフンと一緒だったとはいえ心細かったんだろう。仲間も連れてきてやればよかったんだが、そうもいかなくてな」
「なるほど、そうか。なら、仲間の代わりにはならないかもしれないがこの子を共につけよう。一緒に居させてやってくれ」
「なるほど。では、私の子も。――マギステル!」
子ゴリラの不安を少しでも癒せるようにと、ルチルとノックスは相棒を呼び寄せ、その傍に置いた。
マギステルとラトは体温を分け与えるかのように体を寄せる。じわりと伝わる体温に、ようやく子ゴリラの震えが止んだ。
「モウダイジョウブデゴザイマスネ。ソレジャオイラハ、モウイチドイッテクルデゴザイマス!」
落ち着きを取り戻した子ゴリラに安堵したガガは、もう一人の要救助者の為にすぐさま崖へと身を躍らせる。
●
「オマタセシタデゴザイマス」
「ガガか、丁度いいタイミングだ」
ガガが再び岩場へと降りると、すでにナハティガルによってフールフンが担架へ固定されていた。
「今から引き上げるが、崖の状況が悪い。手伝ってくれ」
「モトヨリソノツモリデゴザイマス!」
二人は担架の両端を握ると、命綱を四度引く。
フールフンを乗せた担架は、ガガとナハティガルに支えられゆっくりと上昇していった。
●
担架は無事崖上へと引き上げられた。
「無事か!」
皆が駆け寄りフールフンを覗き込むが、まるで生気を感じられない。
「生きてはいる。だが急いで治療が必要だ。早く街に――」
「いや、こっちだ! 治療台はここにある!」
と、ナハティガルが言い終わるより早く、声を上げたのはベースキャンプに居たディレインだった。
「行っていた準備が終わったようだな。急ごう」
「ああ」
レイとナハティガルは担架の両端を掴むと、揺らさぬよう細心の注意を払いながらディレインの待つ荷車へと運ぶ。
「ゆっくり横にしてやってくれ」
ディレインの指示でフールフンが荷台へと横たえられた。
人肌に温められた毛布が、断崖で冷え切ったフールフンの体を優しく包む。
「こういう事だったのか。ヒーラーの企業秘密ってのは」
それを見てルチルが感嘆の声を上げた。
「バレたのなら仕方がないね。まぁ、そういう事だよ」
フールフンから視線を外さずに答えたディレイン。
ずっと荷台でサボっていたのには意味があったのだと、この時、他の5人もようやく理解した。
「でも、これじゃ足りない。レイ君、ガガ君、湯を沸かしてくれ。熱が届くようにできるだけ荷台の近くで」
「わかった。すぐにやる」
「ニダイニモエウツラナイヨウニ、チュウイシテヤルデゴザイマス!」
ディレインの指示で、レイとガガが荷台に積まれた薪を下ろし火を焚く。
「よし、次だ。ノックス君、ルチル君、この子を押さえておいてくれるか」
「体を……? 一体何をするのですか?」
何か不穏な空気を感じたのかノックスが問いかけた。
「これを見てくれる?」
と、ディレインがフールフンの脚を指さす。
「最初は自分のヒールをかけていたんだろうけど、治りきっていない上に、少し化膿しかけているんだ」
言って、ディレインが乾いた血のこびりつくズボンを裂くと、大きな裂傷が現れた。
事故当初は自らヒールで傷を治療していたと思われる。しかし、食料や水が底をついて徐々に衰えていく中、それもかなわなくなったのだろう。
「幸い骨はくっついているから、一先ず傷口の化膿だけ処置すれば街まで持つと思う。水で洗って消毒しよう。少し痛むかもしれないから、万が一暴れないように少しきつめに抑えておいてくれるかい?」
ディレインの丁寧な説明に、ノックスとルチルは共に頷きフールフンの体に手を添えた。
「それじゃ、消毒を始めるよ」
フールフンの体がしっかりと固定されたのを見て、ディレインは傷の処置を施していった。
「待たせた。湯が沸いた」
荷台の脇で火の番をしていたレイが声を上げた。
「よし、ガガ君。湯を半分何か小さめの容器に入れてくれるかな。それを毛布の中へ入れるんだ。くれぐれも直接肌に当たらないようにね」
「チイサナキノタルデ、ダイジョウブデゴザイマスカ?」
「ああ、それでいいよ。十分だ」
ガガはディレインに言われた通り、水筒代わりの木樽に湯を分けてもらい、フールフンが休む毛布に滑り込ませる。
「レイ君。残った湯は人肌まで冷まして少しだけ砂糖を混ぜて。ノックス君は、冷めた湯をこの子が飲みやすい様にゆっくりと口に含ませてあげてくれるかな」
残りの仕上げだと、ディレインは二人に指示を出した。
「ふぅ……もうこれ以上できる事は無いかな。後はこの子の生への執着次第だ」
額に浮いた汗をぬぐい大きく息を吐くと、ディレインは空を見上げる。
一人一人が懸命に命を繋ぎ止めようとしている姿は、いつの日かの誰かを思い起こさせて、直視できなかった。
●
「……ここは」
まぶしさに掌で視界を遮り、フールフンは目覚めた。
「気が付いたかな? 気分はどうだい」
辛そうに口を開くフールフンに、ディレインが静かに声をかける。
「貴方、たちは……?」
「お前を助けてくれた冒険者達だ。この子も無事だ」
「ノビト……」
「よく帰ってきたね。後はゆっくりと休めば体もじき回復するだろう」
「……あり、がとう。お前も、無事で、良かった」
ディレイン、ノビト、子ゴリラの順に見渡したフールフンは礼を口にすると、両手を広げ子ゴリラを抱き寄せた。
皆がフールフンの目覚めを喜ぶ中、一人崩れた土砂に向かう者がいた。
「ルチル、ナニヲシテルデゴザイマス?」
筆を片手に何やら記しているルチルにガガが声をかける。
「ああ、これか。記録を取っているんだ」
「キロク、デゴザイマスカ」
「そう、記録だよ。ここは細いなりにも街道だからね。商人や旅人たちはきっと困っているだろう。なら、早々に復旧が必要なはずだ」
「ギルドニ、ジョウホウヲモッテカエルデゴザイマス?」
再び問いかけたガガに、ルチルは驚いたような表情を見せる。
「へぇ、すごいね、ガガは」
「スゴイ、デゴザイマスカ?」
「ああ、すごい。記録を情報といった事と。それを真っ先にギルドへ伝えるといったところがね」
「?」
「はは、無意識か。それなら、なお凄い。新鮮な情報は時に命よりも大事だ。お前さんにはそれを扱う資質があるかもしれない」
きょとんと見上げるガガに、ルチルは片目を閉じた。
「興味があるなら帰りの道すがらゆっくりと話しを聞かせよう。情報屋仲間は多いに越した事は無いからね」
不思議がるガガの小さな頭を撫でつけ、ルチルは不器用に笑った。
「……」
フールフンと子ゴリラが互いの無事を確かめる様に抱き合うのを見て、ナハティガルは複雑な表情を浮かべる。
「依頼は無事成功したっていうのに随分と浮かない顔だな。どうかしたか?」
そんなナハティガルを不思議に思ったのか、レイが声をかけた。
「……浮かない顔は元からだ。気にしないでくれ」
「ふむ、そうか」
「……まだ何かあるのか?」
そう話を切ったにもかかわらず傍を離れないレイに、ナハティガルは問いかける。
「繋がりっていうのは、いいものだな」
「……」
返ってきた答えが何を意味するのか、今のナハティガルには理解する事ができなかった――。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2020年10月16日 12時37分36秒 公開
相談掲示板
ギギ……セッコーノ、ガガデゴザイマス ジンメイキュウジョ、ハヤルキモチヲオサエ、アンゼンニキヲツケタイデゴザイマス オイラハ、ミツケルタメニキヲノボッタリ、カエリノラクナミチエラビデモ、ヤロウカトオモウデゴザイマス ヨロシクデゴザイマスネ
射手のマグナです。こちらの狼はマギステル。 目標は救助ですか。人の命がダイレクトに懸かっているので気を引き締めなければなりませんね。 私は斥候の真似事を売りにしていますが、ガガさんは本職ですし、他にも得意とする者がいるのであればそちらに任せましょう。 不得意なことはないので必要とあれば申し付けください。 よろしくお願いします。
あー…俺はディレイン。 寝てるのが通常運転なんだけどね、今回はまあ切羽詰まってるんでってことで。 よろしく。 とりあえずヒールで傷を塞ぐとかはできるんじゃないかな。
>斥候役について イチオウセントウデウゴクツモリデゴザイマスガ、ヒトリデハミオトシガアルカモシレナイデゴザイマス ソウイウ、チガウシテンデノニジュウカクニンハ、ダイジナコトダトオモウデゴザイマス モシデキルナラバ、マグナニモオネガイシタイデゴザイマス ケガノグアイデハ、ヒールモヒツヨウデゴザイマスネ。アリガタイデゴザイマス ソレカ、ハコンデウゴクコトニ、ナルカモシレナイデゴザイマスカ…… アトハ……アメニヌレタママデゴザイマスカネ? カラダヲアッタメルドウグカ……セッシュシヤスイショクリョウ……ゾウスイ…?
情報屋で、シューターのルチルだ。よろしく。 >斥候役 発見率を上げるためにも人手は多い方がいいだろう。 アタイも本職ではないが捜索に参加するよ。 事故に遭った場所もわかっているし、周りには木々の類も少ない。 ケガで動きにくそうにしてるならその場から大して移動もできないだろうし、見つける事自体は難しくなさそうだね。 >道具 ノビトに食料や水の類も頼んだ方がよさそうだね。 後はガガの指摘している通り体温も心配だから毛布も用意してもらった方がいいだろうね。引き上げるなら毛布でくるんでおいた方が身体の負担も軽減できそうだ。
ナハティガル=ラー。 不意討ち暗殺何でもござれのシーフだ。宜しく頼む。 >道具 既に挙がっているように水や食料、毛布、ロープは用意してもらった方が良いだろうな。 >斥候/救助 俺は捜索の類は得意ではないが、 【壁歩き】で崖側に張り付いて救助対象を目視で探す事位は出来るかと。 大体の位置は依頼人が把握している筈だし。 救助対象発見後はロープに直接括り付けるor 背負った状態で上から引っ張って貰う形になるか?
店に担架が並んでたよね。 あれの両端にロープくくりつけて引き上げるようにすれば、安定性が増したりしない? 元々彼らが乗ってたような荷馬車も欲しいなあ。 体の中からあっためるのはよさそうだなあ。 蜂蜜やお酒もありかな。 それと、崖の上で焚き火しとこうか。
>荷馬車 救助対象者の搬送の事もあるし、可能なら借り受けたい所だが… とはいえ依頼人の懐具合次第か。 >担架 ロープを直接括ったり、背負ったりするより安定性は高そうだな。 流れ的には―― 担架を崖上から降ろしてもらう⇒救助対象者を担架に括り付け⇒崖上から引き上げる …という感じになるか? その場合、俺は救助対象を支えつつ引き上げを手伝おうかと思う。
>荷馬車 依頼人が元々使用していた荷馬車は壊れて使えなくなっているという訳ではなさそうですし、そこは融通が利くのではないでしょうか。 救助の流れ> 近くにはロープを結び付けられそうな木はないとのことですし、引き上げには念を入れて人数を割いた方がよさそうですね。 とはいえ下で担架に括り付ける人員は必要ですが。
タンカハ、スゴクイイアイディアダトオモウデゴザイマス タキビモシテオクデゴザイマスネ >括り付ける人員 ヒキアゲニリッコウホシテクレテルデゴザイマスガ オイラト、ナハティガルデハドウデゴザイマスカ? フタリトモ、カベアルキデ、モドルノニクロウハシナイトオモウデゴザイマス >荷馬車 ハヤクタスケルタメトイエバ、カシテクレソウデハゴザイマスヨネ カエリノウンパンニモ、ノセルダケイイデゴザイマス
>括り付ける人員 そうだな。俺とガガとで要救助者 (フールフンと小ゴリラの1人と1匹)の元まで【壁歩き】で向かい、 崖上から降ろして貰った担架に括り付けて引き上げて貰うのが良いかも知れないな。 小ゴリラはフールフンと一緒に担架に括るか、 一足先にロープに括り付けて引き上げて貰うか…のどちらかだろうか? もしくは、俺とガガのどちらかが背負って行くか。 念の為、引き上げて貰う際は要救助者が落下しない様、 再度【壁歩き】で壁に張り付きつつ、 担架を支える様にして崖上まで登って行こうかと。
では、降りて作業するのは【壁歩き】持ちのナハティガルとガガに任せて上で引き揚げに参加するよ。 >小ゴリラ 嫌がってる所を引き離すのも悪いから、説得とその時の態度次第だね。 それなりの重さはあると思うから担架の負担を考えて別々で上がってもらえる方が良さげと考えるが。
いやあ、さすがに怪我人とゴリラの同時引き上げは避けたいかなあ。 ゴリラは賢いみたいだし、説明すればなんとなーく理解してくれたりしないかね。 せめて崖上からでも、声をかけ続けてみるかい?
レイ=レーベンス=レックフォード。 どうかよろしく。 こういう時にどうにかできるスキル等も無いし、私も引き上げに専念しようか。 同時引き上げは・・・うん、難しいな。 相棒さんに懐いているなら彼女から言い聞かせて貰うのがよいのではないか。
コゴリラニ、コトバデウナガシテッテホウコウデ、イイトオモウデゴザイマス フールフンニハ、イライデタスケニキタ、デナットクシテモラエルトオモウデゴザイマスガ ソノコトバヲ、コゴリラガリカイスルカハ、ワカラナイデゴザイマス トオカノソウナンデゴザイマス、ドウブツテキニ、ケイカイサレルコトモアルトオモウゴザイマス ノビトカラバシャヲカリルサイ、”ノビトノダイリダト、ニオイデワカルモノ”モカリウケレレバ コゴリラニモ、セットクガシヤスクナルカナ?ト、オイラオモッタデゴザイマス ヒキアゲグミハ、タンカノヨウイヤ、タキビトカアルデゴザイマス オイラタチ、オリルグミガ、アイテノチカクニイクデゴザイマスカラ ソノトキニセットクモ、ニナウホウガ、ウゴキヲワケヤスイデゴザイマスカネ……?
>子ゴリラ では、子ゴリラの説得はガガと俺で。 動物にどう接して良いか分からんが、少しでも怯えさせない様に務めるしかないか…。 ノビトの匂いのする物を預かるのは良い案だと思う。 俺達はゴブリンだし、そのままだと警戒される可能性が高そうだし、な。 説得後、子ゴリラが落ち着き次第ロープで括って引き上げて貰う方向で良いか?
出発するときのことを思い返して(読み返して)みたんだけどさ、 「今行くからな」って言ったの、ノビト君かなあ。 一緒に来てくれるなら、だいぶやりやすいよね。 手当てや引き上げの人数が増えるのは嬉しいねえ。 ゴリラ、賢い子なら担架に乗ってもらえないかな…
ノビトカモシレナイデゴザイマスネ…… メイキサレテナイカラ、クルノカワカラナイデゴザイマスガ…… タシカニ、クルナラバラクデゴザイマス オイラノプレイングノホウデ、キイテオクデゴザイマスネ