【帝国】帝国奪還連動 枯朽の秋エピローグ

ララベル・サン・ディーベル
皆の頑張りで、「分かたれし幽界樹」は両方やっつけられたみたいだね!
ラセリ=リエ―ブル
はいっ。帝国の村にほとんど被害は出なかったそうです。手伝ってくれたビッグオウムにも怪我が無くて良かったですよね。
ララベル・サン・ディーベル
でもでも、今回は敵をやっつけて全部解決! ……って訳にはいかないのかな。農地は駄目なままだって……?
ラセリ=リエ―ブル
あ! 冒険者ギルドで聞きましたけれど、そういうのをどうにかできる授恵者さんがいるそうです。ええと、エーテル浄化者さん? だそうですよ。
ララベル・サン・ディーベル
聞いたことない名前だけど、んんん。何か新しい冒険の気配がするかも? ちょっと僕、ギルドに行ってくるから!
【帝国】決戦:枯朽の秋リプレイと特別褒賞一覧が公開されました!
11月6日より事後シナリオもリリース予定です。
assignment【帝国】帝国奪還連動 枯朽の秋
「帝国奪還連動 枯朽の秋」は帝国中部より南下する『幽界樹の仔』クリーパーを打ち払い、帝国奪還を進める為の連動である。帝国の異変と関連して、王国北部辺境伯領までをも巻き込む不作の兆しが現れ、対策が必要な状況だ。
assignmentこれまでの流れ
帝国南部鎮守都市ヴィントの確保に成功し、帝国奪還の端緒は成った。協力した各国軍は解散し、帝国の難民達の帰還も始まりつつある。だが、旧帝国領に安寧の日は遠い。
(2021/10/16追記)
クーネと名乗る女性は、北部鎮守都市オルセンの健在を告げる。また、帝国都市ダルトートに生えていた幽界樹を彼女が破壊し、その残滓が徘徊を始めている事も判明した。それらの調査の結果、帝国全域と王国北部に訪れた不作の兆しにも、幽界樹が関わっている事が明らかになる。
ヴィントに迫る『幽界樹の仔』と『分かたれし幽界樹』を迎え撃ち、また北部に向かっているであろうもう一つの『分かたれし幽界樹』を討たねばならない。
assignment結果
「分かたれし幽界樹」は諸共に打ち倒され、その実に寄生され「幽界樹の仔」と化していたクリーパーの多くも道連れとなった。結果的に、帝都を東に迂回してヴィントとダルトート、オルセンを繋ぐルートのクリーパーは激減している。また、幽界樹により帝国全域と王国北部に訪れた不作へは、「エーテル浄化」と仮で名づけられた魔法が対策となる事が明らかになった。帝国領の復興は一歩の躓きと引き換えに大きな飛躍を望める、……かもしれない。
person_pin関連NPC
帝国南部の守りを任されているハーフビースト(猪)の将軍であり、ヴァイセントラフ砦守将。皇帝直々に見出した武人であり、元近衛騎士でもあるため個人の戦闘力は極めて高い。一兵卒から騎士、近衛騎士、将軍と出世したため、平民出身の兵士やハーフビーストの憧れの的。能力あれば取り立てられるという、インペリアルドリームを体現している。
《本連動での動き》
『分かたれし幽界樹B』を冒険者たちと共に撃破し、無事に帰還した。
クリーパーの群れと交戦していたところを発見された女剣士。昨年の帝国滅亡に際して帝国北部鎮守都市オルセンの危機を救い、太守より宝剣を委ねられたという。最近までオルセンを守っていたが単身で南下、その途上で帝国都市ダルトートの幽界樹を打倒したが……。
《本連動での動き》
『分かたれし幽界樹A』を冒険者たちと共に撃破した後、オルセンへは向かわずヴィントへ帰還したようだ。
亡国となった帝国の皇族唯一の生き残り。皇位継承順位こそ八位と低いが、皇帝とその子女である第三皇女との間に生まれた生粋の皇族である。大陸一の美姫と謳われた母譲りの長く、美しい髪と気難しげな真紅の瞳の持ち主。帝国滅亡に関わっていたエフレムと袂を分かち、力ある同盟者を求めて極北へ赴くも征竜との交渉は失敗に終わり、失意のうちに帰還する。
《本連動での動き》
『分かたれし幽界樹B』の撃破を帝国軍兵器隊と共に支援した。オルセンの健在や謎の剣士クーネさんの存在といった情報にも揺らがず、帝国南部復興への道筋を考えているようだ。
帝国北部鎮守都市「オルセン」の太守兼将軍である若きハーフリング。同じ役職のバルディオンがどちらかといえば武力寄りの人材なのに対し、コンラートは軍師・政治系。クーネに深く恩義を感じている様子のツンデレ美少年で、クーネと並ぶと背が低い事を気にしている。
《本連動での動き》
冒険者たちが『分かたれし幽界樹A』を撃滅後、生き残った元幽界樹の仔の追撃を行っていた。その後はオルセンへ帰還したと思われる。
menu_book関連用語・情報
幽界樹の仔
ヴィント奪還作戦で現れた、幽界樹の実を植え付けられたクリーパー達の進化系。様々な外見、サイズのクリーパーに取り着いた実が発芽し、根を張っているように見える。
(2021/10/16追記)
本体クリーパーと寄生体クリーパーが別個に行動するため、一体であるが二度の攻撃を行ってくる難敵。実の部分が弱点であるようだが、小さい為に狙う事は容易ではない。
北方へ向かう群れは小さく纏まっているが、南下する個体は数が多すぎたためか、『分かたれし幽界樹』を中心とした塊とは別に幾つもの小集団に分かれており、隊商や村などを襲っていた。
帝国北部鎮守都市「オルセン」
ヴィントと並ぶ帝国の軍事拠点。征竜に備える北の要として作られた都市であり、王国に向けたヴィントと同程度の戦力を擁していた。現在まで連絡が途絶しており、滅亡したものと思われていた。
(2021/10/16追記)
クーネ・ルウの助力により幽界樹が育つ前の伐採に成功し、いまだに健在とされる。
帝国南部鎮守都市「ヴィント」
帝国滅亡に際してクリーパーに蹂躙された都市。初夏の奪還作戦において【天霧りに消ゆる幽界樹】の分樹の打倒に成功し、解放された。現在は廃墟の整理も進み、避難していた帝国民も少しづつ戻り始めている。
帝国都市「ダルトート」
帝都の東にあった中規模の都市。特徴はない。それなりに栄えていたが、帝国滅亡に際して幽界樹が生えて滅亡した。その後は人の住まぬ廃墟都市となりクリーパーに占領されていたが国内行脚をしていたクーネに『解放』され、物理的にも廃墟と化す。
分かたれし幽界樹
帝国都市ダルトートに生えていた幽界樹がクーネ・ルウに両断された残滓。黒い霧を吐く能力を失ったがその分アクティブになり、根や枝を振り回す多足獣のような形状になっている。巨体を維持するためかしばしば根を張り、周囲の大地を枯らしている。長期的に見ると移動速度はとても遅い。
バルディオン将軍により、北に向かうものを『分かたれし幽界樹A』南に向かうものを『分かたれし幽界樹B』と命名された。
『分かたれし幽界樹A』は全高40m程の程の直立した樹の形状を保っており、張り出した根を動かして移動する。また、幹と根は直径3ヘクスを占有する。攻撃手段は実を落下させ、鋭い葉を広範囲に飛ばす他に根を使った攻撃も行う。
『分かたれし幽界樹B』は横倒しになった樹が枝や根を使って動く多脚生物のような外見で、全長50m程。幹が10×1ヘクスを占有し、その左右ヘクスへは脚が伸びる。攻撃手段は根や枝による突きさしや薙ぎ払い。突進等。
大陸北域の不作について(New)
帝国全域と王国北部を襲う不作の原因は、「天霧りに消ゆる幽界樹」に原因があると判明した。南部鎮守都市ヴィントの調査、ダルトートから離れた「分かたれし幽界樹」の習性などから見出された結論である。帝国各地に存在する「天霧りに消ゆる幽界樹」は戦闘や殺戮で目の前のエーテルを奪うこれまでのクリーパーと異なり、大地の奥底にあるエーテルの流れを侵す能力に特化しているらしい。
現在の急激な不作への流れは、エーテルの流れそのものの枯渇ではなく、幽界樹の根を避けて地の底へ遠ざかった事によると思われる。しかし、このまま「天霧りに消ゆる幽界樹」がエーテルを吸い続ければ、将来的にこの世界を支えるエーテル流そのものが枯れる事もあり得ないとは言えない。
エーテル浄化(New)
帝国全域と王国北部の大地に見られる広範囲のエーテル枯渇への対処としては、過去の文献や各地に伝わる祭祀などの研究から、大地の底のエーテル流へ呼びかける力を持つ授恵者の存在が予測された。帝国の滅亡以降、多く生じている戦闘向きの授恵者同様に、このエーテル浄化者のように戦いに向かず目立たぬ授恵者の数も人知れず増えていると推測されている。
シルトラース帝国の南北の要衝、ヴィントとオルセンに同時に迫った「分かたれし幽界樹」は、双方共に無事に撃破された。元の半分になったとはいえ、サイズ的な分類では超大型クリーパーである割には、弱い。サウゼル大樹海で春に遭遇した「瘴気纏う腐緑獣」も飢えて本調子ではなかった筈だが、それに比べても――、だ。
「まァ、俺から見ればどっちも化け物だがなァ」
フードを脱がぬアダムに報告を受けたドン・ゴーフルは、やはり「幽界樹」は通常のクリーパーと異なるのだろうと納得した。あのクリーパーはエーテルを地の底深くから吸い上げる事に特化しているのだとか。帝国や王国北部に漂う不作の兆しは、それが原因なのだとも言われている。
「ったく、せっかくの新天地が先細りたァ、運がねェなあ、おい」
「そうダナ……」
何を言っても同意しか返さぬ空虚な人形を詰まらなそうに一瞥し、ドン・ゴーフルは北へ思いを馳せた。かの動乱の大地は、このまま滅びを待つことはないだろう。か弱い割に芯のあるあの皇子も、腹黒い微笑の第二王子もそれを座視すまい。連中を助けようという部下やら同盟相手やらもいる。そして何より、冒険者ギルドだ。
「これだけ手ェ打っても、まだ足りねェ。あの女狐め、最初の手札が良すぎらァな。年寄りに優しくねェ世界だぜ。ここはよォ」
「そうダ。ドンは年寄りで、世界は優しくないナ」
「チッ。……ああ、別に俺は腹ァ立ててるんじゃねェからその炎は消せ。サチコ」
「しかし。この者はもう少し躾けた方が良いのでは?」
「いいから。お前はそのエーテル浄化者だかの情報を集めて来い。本人を連れてこれればベストだ。ああ、間違ってかち合っても、冒険者の邪魔だけはするなよ? あいつらは大事なお客さんだからよォ」
最後まで聞いたかどうか。ドン・ゴーフルの前でアダムは影に溶け、姿を消した。最後まで表情も変えなかった『新入り』を苛立たし気に見送ってから、サチコはゴーフルの手にあった菓子を優しく摘まみ上げる。
「あ、いや。もう一つ位はいいじゃねェか。なァ? おいってば」
「今日の分は仕舞です、ドン。……お体に障ります」
サチコは主のお願いを冷たく却下した。
●
ヴィントでは、帝国の主君と将軍、ふらりと現れた王国の王子が事後の協議を行っていた。とはいっても、作戦は大成功で祖国へ戻ってきたばかりの帝国民の被害も僅少だ。今後に与える影響は、むしろ戦闘結果よりも別の部分にあった。
「北部都市オルセン……。極北への備えと聞いていたけれど、うちの国からは遠いしあまり情報はないね。今まで動きを見せなかった彼らを手放しで信用できない、と。将軍の危惧はそういう事かな?」
ウィリアムの指摘に、バルディオンは言葉を濁す。オルセンの動向は彼から見れば不穏だ。帝都が潰えた状況で、後継者を探しもせず現状維持に努めていた意図はどこにあるのか。レイウェストを帝位を継ぐ者として仕えるバルディオンの立場では、様々な可能性を考えねばならない。
「オルセンを差配するマフダル一族は帝室への忠義も厚い。皇族がすべて失われたという確証でもない限り、独自の道を辿ろうとするとも思いにくいのだが」
「……とすると、コンラート将軍は私を偽皇子と判断しているのか。帝都から、私だけ生き延びたと言われて信じるには無理のある状況ではあろう」
「それは……」
バルディオンは口ごもる。エフレムは確かに卓越した護衛騎士ではあったろうが、帝都には帝都師団があり、近衛がいた。彼らが血路を開けば、皇帝をはじめ皇族の幾人かは逃れえたとも思える。
「クーネであったか。その者に話を聞く事はできようか?」
「こちらにひとたび戻っては来たようです。オルセンの聴取など、お望みとあらば呼び立てますが」
「いや。民を救ってくれた者へ、礼は失すまい。それよりこの地を不作から解放する手立てがあると聞いた。そちらの話を」
レイウェストは新たな同胞という朗報に喜びこそすれ、振り回されて足元を見失ってはいない。ウィリアムはこの亡国の皇子の評価をまた一つ上げた。悪くない少年だ。
「……冒険者ギルドの情報ですが、元をたどれば王国側が漏らした物だとも」
「うん、まあそういう事だね。中身は信用してもらって良いよ」
先回りするバルディオンの様子に、この主従は過保護な面があるともウィリアムは思う。ヴィントを離れ、冒険者達のみを随行に北へ向かったのは、少年の成長にはよい事だったのかもしれない。
「そうであるならば、確かなものだろう。この対策方法については?」
「授恵者については、王国でもこれから探すところだね」
大地の底のエーテルに呼びかける力を持つ授恵者を見出し、その力を使って土地に豊かさを取り戻す。それが研究者の立てた対策だ。荒唐無稽な話にも聞こえるが、各地の祭祀に名残があると言われれば、信ぴょう性も増す。問題は、戦闘に向いた授恵者ほど探すのが容易ではなさそうな所と、見つかった後に身を護る術がない事か。神々からの救いの存在が、問題の種火になる可能性もある。
「また、冒険者ギルドに頼むことになろうな」
「は。軍も近隣の村落や難民へ辺りを入れましょう」
ウィリアムは若き帝位継承者にもう一つ、肩入れして置く気になった。そう、これは幸せな未来への投資として。
「これは内緒話なんだけどね。例の宝剣の力を借りれば殿下も似たようなことが……、それもかなりの規模でできそうだという話もウチでは出てるね」
「それは……、ありがとうございます」
「貸しにしておいてくれ。いつか返して欲しい」
くすりと笑って、ウィリアムは会議室から歩み去る。見るべきものは見て、聞くべきことは聞いた。次は王国内へ向かわねばならない。可愛い妹に話すべきこともできた。リーンエスの第二王子は多忙だ。
●
「この秋に予測される農地の不作は、帝国を蝕みしクリーパーに拠る物と判明した。しかし、神々は我らを見放してはおらぬ。昨夏から戦いに向いた授恵者が増えたことと同様、土地を癒す事ができる授恵者もまた生まれている」
ヴィントにある冒険者ギルドを訪れたバルディオンは、応対に出た支部長へそう述べた。ついでにクーネを探しに来たのだが、そんな事とは知らないギルド職員は将軍自らの来訪に泡を喰っている。
「悪しきものにエーテルを吸い取られ、汚染された土地を再びよみがえらせる者達。いわば『エーテル浄化者』というべき者を探し、保護せねばならない。我々は冒険者ギルドの協力を要請する」
「は、依頼ですか。ただちに」
部下どころか軍人ですらない支部長に直立不動で見送られつつ、猪頭の将軍はギルドを後にする。案外フットワークの軽い帝国将軍は、冒険者ギルドでの評判も悪くない。しかし、話を聞いていた受付嬢は一点だけ、言わずに居られない事があった。
「……前の作戦でも思ったんだけどさあ。あの将軍って名づけのセンス無いわよね」
「わかりやすいのは、わかりやすいけど……」
決戦で斃される敵と違って、今度の名称は下手したら歴史に残るのだ。何か良い呼び名があればいいのに、とこれから探される『エーテル浄化者』の為に思う、受付嬢達であった。
執筆:紀藤トキ