【竜盤】ドワーフ王国解放戦線

「ドワーフ王国北東部の平野部マミダ地域には、全部で15の都市があります。いずれも『我々』への対抗策として防壁などが準備され、徹底抗戦の構えを見せています」
 艶やかな黒髪から竜の角を覗かせた竜人――彼の言葉に、同朋である男はにやりと笑った。
「俺とお前なら1日かからず1都市は落とせるだろう。だがいくら都市を落としても何の意味もないのは分かってるだろう。アイオーン。俺が欲しいのはあいつらそのものだ」
 邪悪な牙を見せて笑う男に対して、アイオーンと呼ばれた男は静かに頷いた。
「知恵を使って生き延びるなら我々も知恵を見せるのみ。だからこそのメルトウォールです。ヒトも亜人も魔獣もいるからこそ、その知恵を使えます」
「ほう、ではその知恵とやら聞かせてもらおうか」
 興味を示した男にアイオーンは静かに語り始めた。

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「くはー! ドワーフ王国の酒はやっぱ強ぇなぁ」
「こういうものは仕事の後の方がもっと美味しくなりませんかねぇ?」
 辮髪の男がクツクツといやみったらしく笑うと、火酒を飲んでいたハーフビーストの男は不機嫌そうに眼をそらした。
「こっちの仕事の準備はもう終わってんの。後はお前の仕事なの」
 ハーフビーストが投げた寄越した紙きれに目を通した辮髪の男はただでさえ細い目をさらに細くして笑みを浮かべた。
「これはこれは……それではワタシの妙技、披露いたしましょうかねぇ」

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「やっぱドワーフの築城能力ってすごいな」
 そそり立つ長大な壁を見てゴブリンの女は感心したようにそう呟いた。
「これを突破するのはそう簡単じゃないぞ。お前、本当にできるんだろうな」
 大口を叩いて一部隊を率いることになったこの女に対して、メルトウォールの兵士は不信の目を隠さずに向けていたが、彼女はどこ吹く風といった具合だ。
「ほら、あそこの壁。蟻が穴を掘ってる。蟻にできて私達にできないことなんてないね」
 ゴブリンの女は不敵に笑うと、得物を握りしめた。

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「いい素体がいっぱいですわね」
 女は町を見下ろし、そこで修練に励むドワーフ達の姿を見ては目を細めた。
「ここのドワーフ達は他の都市のように一筋縄ではいかないぞ。大丈夫なのか?」
 その横でおずおずと尋ねるドワーフ。だが彼の不安の色はビンタによって顔ごと吹き飛ばされた。
「誰に向かってモノを言っているのかしら。それよりも自分の心配をした方がいいんじゃないかしら?」
 美しい容貌に収まった紫の眼に射すくめられて、ドワーフの男は肝をつぶされたように凍りついてしまった。

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「存在は伝わって初めて認知される」
 豪奢なインテリアに囲まれた静かな部屋で、老人は独り、駒を動かす遊戯盤に向かっていた。
「逆に言えば、伝わらなければ存在しないと同じものだ」
 コツン。
 黒い僧正は小さく一つ斜めに動かしたのみ。
 されど、これで女王と騎士、そして王を視野に収める。
「わざわざ前に出ぬとも、この『径』を操作してやればできぬことなど何もないのだ」
 老人は満足そうに微笑んだのは、そう、密偵の男から計画が成満したことを知らせにきたからだった。

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「おい、なんだこれは!」
「知らない、俺は何も知らない!」
 衛兵の剣幕に商人は今にも泣きそうになっていた。その詰問の原因は都市に入るために検められた荷物の中身。それは取引が禁止されている麻薬の一種だ。
「あいつ……マジかよ。そんなヤツじゃないと思っていたのに」
 禁制品など関わるだけで恐ろしい目に合うのは誰でも知っている。だから狼狽するばかりの商人に、同業者は誰も力を貸そうとはしなかった。
「『黄の薬指』……」
 遠巻きにしている商人の一人が呟いた。
「あれが『仕事』する際、ああやって警護の隙を作るって話だ。こりゃ、この街やべぇかもな」
 商人はぐるりと見回した。衛兵はご禁制品に注意が向いている最中だ。おそらくもう隙は、できあがっている。

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「邪竜様に協力すれば、今までできないことができるってことだ」
「今までできないことってなんだ。アニィ」
「そりゃあ、おめぇ……。えーと。温泉も入り放題。風呂上がりの牛乳も飲み放題ってこった!!」
「なんだってぇ!? それじゃマッサージもしてもらい放題ってことか!!」
「おうよ。なんなら風呂場で歌い放題、酒を持ち込んでも怒られないんだぜ」
 その言葉に全員が歓声を上げた。

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「かような次第です。策が成就すれば1週間で15都市全ての命を手に入れて見せましょう」
 語り終えたアイオーンの言葉に男はクツクツ笑い始めた。
「大きく出たな、アイオーン。ドワーフどもが慌てふためく様子が目に浮かぶ。ふははははは、いかであれどその趨勢に世界各地の強者共もこぞうのだろうな。血が騒ぐぞ! メルトウォールが実現するのも目の前だな!」
「すべてはバイアーディス様の御心のままに」
 本性を現し、巨大な黒竜となったバイアーディスに対して、アイオーンは静かに頭を垂れた。

(執筆:DoLLer)

assignment【竜盤】ドワーフ王国解放戦線 特設ページ

【竜盤】ドワーフ王国解放戦線では、ドワーフ王国を襲撃する邪竜との戦いが描かれます。従来の気まぐれな散発的な襲撃とは違い、組織だった行動にドワーフ王国は浮足立つ中、冒険者ギルドが協力に応じます。

assignmentここまでの流れ

帝国が壊滅して間もなく、ドワーフ王国ではバイアーディスという巨大な力をもつ邪竜が活動を開始しました。バイアーディスはアイオーンと呼ばれるもう一匹の邪竜と共に、ドワーフたちから奪った土地で、バルバロイや魔獣などを従え組織を作り上げました。
そして今、力を蓄えた彼らは蹂躙する為に動き始めます。

person_pin関連NPC

刀の製法を再発見し、その功績を持って若くして匠王の座に就いたドワーフ。性格のチャラさは生まれつきだが、鍛冶への情熱は深い。

《本連動での動き》

匠王として邪竜との戦いに指揮官として身を投じる。なお、指揮の腕はヤバたんという自負がある。

表の顔は、シャルガネ居住区の宿場街の女将頭。裏の顔はシノビの頭領であるという噂もあるが、実情は定かではない。

《本連動での動き》

シグルランの友人であり、そして邪竜とその周囲の不穏な動きをいち早く察知した情報提供者。兵士の指揮や各種運用に忙しいシグルランに代わって冒険者に協力を依頼したり、秘密の小径を整備するなどしてドワーフ王国に協働している。

王国第二の都市群「マミダ地域」を襲う邪竜。性格は好戦的で獰猛と本来の邪竜らしいところはあるが、ドワーフ達の命や財貨を奪うだけでなく逃がさないようにするなどの計画性も窺える。

《本連動での動き》

侵略者のトップであり、最大戦力。現在のところはメルトウォールに動きを任せ、ドワーフ王国軍そして冒険者達の動きを悠々と眺めているようだ。

王国第二の都市群「マミダ地域」を襲う邪竜。バイアーディスと違い冷静・知能が高いようで、メルトウォールと呼ばれる種族混成軍をまとめ上げている。

《本連動での動き》

メルトウォールの指揮官として各都市への侵略などを取りまとめている。またメドゥの指先をはじめ、外部と協力体制を組むの交渉なども行っているようで、シグルランと指揮能力の差がヤバたん丸。と噂になっている。

menu_book関連用語・情報

邪竜

クリエスター山脈に生息する黒竜たちです。自らの領域である山脈に住まうドワーフたちを嫌ってか、執拗にドワーフ王国を襲います。
時には邪悪極まる漆黒の翼を有した竜人の姿となって単身でドワーフ王国を強襲していきますが、今回襲来したバイアーディスとアイオーンの2体はその中でも特異とされています。この2体の特異な点として、単独活動をする邪竜が二匹同時活動してること、ただ奪うだけでなく、その地を支配すること、アイオーンは特にバイアーディスを補佐し、またメルトウォールと呼ばれる軍団を指揮しているなどがあげられます。

メルトウォール

邪竜アイオーンによって統率されているメルトウォールは様々な種族、人類と異種族だけでなく、動物や魔獣といった括りまで共に過ごす理想郷を作り出すことを目的として活動する組織です。彼らはそれぞれの強みを生かした軍隊としてだけでなく、お互いの長所と短所を補い合うことで発揮できる力――そしてそれが可能な社会という、彼らにとっての理想の姿を体現して降伏を訴えてきます。

マミダ地域

クリエスター山脈北東部における平野地域。帝国・辺境都市群へとつながる交易地もあり、ドワーフ王国の玄関口とも呼ばれる王国の第二都市群。中心地は、ドワーフ達が大好きな火酒の原料である農作物を育てる農業地帯であり、主要な醸造所が立ち並ぶ都市「マミダ」です。マミダを含め、15の都市が地域内に存在しています。

【竜盤】ドワーフ王国解放戦線1/2/ミニゲームについて/勢力図
アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0