【突壁】呪われた在庫
馬車猪
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シナリオID:3304
オープニング
メドゥの指先の幹部とはいえ1人のウォーリアでしかなく、各国から指名手配されていたとはいえ犯罪の大部分は過去のもの。
困ったのは最近付き合いがあった少数の人間と組織だけだ。
「輸送が間に合いません!」
悲鳴じみた声で報告する従業員に、商会の幹部がそれ以上に大きな声で怒鳴りつける。
「いいから急げ。遅れたら許さんぞ」
言っている間も走るような速度で移動している。
武力の後ろ盾が失われた今、彼等を守るものはほとんどない。
帝国に犯行を察知される前に逃げるしかない。
もちろん、できる限りの財産を抱えてだ。
「困ります!」
従業員の慌て声。
商会の幹部が気付いて振り返るより早く、異様な速度で何かが急接近する。
それがピンクの髪を振り乱した代官だと認識したのは荒っぽく捕縛されてからだ。
「このような蛮行、代官様でもっ」
商会幹部が怒りを露わにしても代官のまなざしは冷たいままだ。
「残留思念感応使いが来る前に全て話せば減刑も有り得るわ」
減刑しても刑場行きだろうけどねと、金と紫の瞳が語っていた。
●
「会長、このままでは……」
「何をびくびくしとるんじゃ。表の商売を1度終わらせるだけじゃ」
物理的にも精神的にも脂ぎった老人が、心底愉快そうに使い捨てではない幹部をなだめる。
「あの娘には十分儲けさせてもらった。欲をかいて出発を遅らせるのは馬鹿じゃよ」
ほほほと笑い、客が1人もいない店を見渡す。
非常な高性能の代償に心を狂わせる商品はここにはない。
嵐が過ぎるまで籠城するための物資と、万が一に備えた逃亡用資金だけがある。
「あれに手を出せばここにたどり着く前に狂いきるはずじゃ。あの娘はどこまで耐えられるかのぅ」
老人は、己の生き残りを確信していた。
●
「また外れなの」
連日の捕り物でセニャは消耗している。
複数地域の復興を無理矢理進めていた頃とは違って部下の数は多くない。
しかし自らが復興事業に使った商会が最悪のルール違反をしていたからには、自らが始末するか最低でも積極的に始末に関わらないと帝国からの評価が地に落ちてしまう。
「代官殿、よくそれに触れますね」
軍から監視を兼ねて派遣されてきた援軍が冷や汗をかく。
倉庫に無造作に置かれていた武器は、未熟な授恵者でも不吉さと害悪が分かるほどのおぞましい気配を放っている。
「慣れよ慣れ。亜人の集落を潰した直後にたまにある気配だからね」
代官が鞘から抜いた細剣の刃は、人骨じみた質感をしていた。
「駄目ね。性能が竜鉄装備より上なら使う気も起きるのだけど」
質と数を記録した上で、ドワーフ王国から送りつけられた封印用の袋へ詰め込んでいく。
最終的に封印されることになるのかお焚き上げでもされることになるのかは分からないが、今後武器としては扱われないのは確実だ。
「しかし代官殿、ここまで見事に回収目標を見つけたのは、今回の事態を予測していたからですか?」
軍人の態度には警戒が混じっている。
「そんな危険冒さないわよ。私、今までの功績だけで広めの領地が確定しているの。外道な品に手を出す危険を冒す訳ないじゃない」
外道な品を平然とした態度と手つきで扱うセニャからは、事実なのに説得力は感じられない。
もっと性能が良ければこっそり使うのにねー、と顔に出ているからかもしれない。
「情報提供者がいるの。関わりたくないタイプの人がね」
帝国の隠密には何度か関わったことはあるがあれは別格だ。
能力は本来セニャ程度では関わることにない特上のそれ。
指向は特定勢力殲滅に偏っている。純粋に帝国の隠密とは評価しづらい危険人物だ。
「次の場所も指示されてるのよね……」
セニャがため息をつく。
なお、セニャは相手を十分警戒しているつもりだがこの程度では全く足りない。
どこからか情報を得た帝国過激派部隊が、セニャのいる大型店舗をいつの間にか包囲していた。
「援護を!」
セニャは店舗の入り口に駆け戻って敵の侵入を防ぐ。
細剣による刺突はシーフと思えないほど力強く、半端な盾なら簡単に貫き腕を破壊する威力がある。
(しまっ)
臓物じみた色の盾を貫けない。
細剣の切っ先は表面に凹みをつけながら滑り過激派兵士の肩を抉る。
反撃は即座だ。
店舗に押し入ろうとする過激派複数が強引に剣を突き出しセニャを狙う。同士討ちが発生してもお構いなしだ。
セニャはスキルと全身の筋肉を酷使して躱しはしたがそんな無理は長くは続かない。
「中にある武器がそんなに欲しいのかしら」
口車で時間を稼ごうとしても、目が血走り呻きじみた声しか発しない兵士には効果がなくセニャは追い詰められていった。
●
セニャと帝国軍兵士が必死の抗戦を始める数日前。
冒険者ギルドで依頼の説明が始まっていた。
「帝国での戦闘依頼を紹介します」
職員が地図を広げる。
ヴィントよりずっと小さいが最近は人口が増えつつある町だ。
「ここに帝国過激派に属する部隊が現れるらしいのです」
帝国過激派とは、帝国がぼろぼろになっているのに大陸制覇を諦めないだけでなく極めて乱暴な手段を使い続ける駄目人間どもだ。
「誰からの情報かははっきりしませんが冒険者ギルドは情報の確度が高いと判断しました」
部隊といっても大規模ではない。
授恵者が10人だ。
「問題は敵の装備です。竜鉄製装備のやや下程度の性能があるようで……」
兵士本人は授恵者として中堅未満でも、装備の分能力が高くなる。
「敵は盾と剣を装備した火力担当兼足止め担当のウォーリアが6人、遠距離攻撃担当のシューターが3人、ヒール特化のヒーラーが1人」
スキルはたいしたことがないようだが油断できる相手ではない。
「情報では挟み撃ち可能となっていますが実際はどうなるか分かりません。参加される場合は十分に気を付けて下さい」
職員はそう言って説明を終えるのだった。
解説
マスターより
リプレイ
「急いで救援に向かったほうよさそうだねー」
アルマ・ヴァレンタインは小柄な体の割にかなり速く、しかも持久力があるので喋りながら速度を維持している。
「というわけでー!」
予定より距離はあるがエーテル波動を解放する。
アルマにとってはちょっと強い、客観的にはとても強い波動が仲間に力と山吹色の発光現象を押しつけた。
ベルク・オスマットが加速する。
(隠密裏に近づけるか?)
戦闘に加わらず警戒していた敵が2人もいたので即座に気付かれる覚悟はしていたが敵の動きが鈍い。
まるで寝ぼけでもしているようだ。
「ドーモ、カゲキハの存在害悪さん」
ベルクは敵ウォーリアの横を通過する。
立派な盾も鎧も持ち主が動かなければ持ち主しか守れない。
「今すぐ死ね」
弓を引き絞っていた敵シューターにほぼ真後ろから近づき、ほぼ同時に2本の刃で喉元を引っかいた。
(急所は外されたか)
敵シューターは頭で認識するより早く回避し即死だけは免れ気絶する。
(シューターが残り2にヒーラーが1、他に前衛が6)
ベルクの内心は荒れ狂っている。
主君の領域で暴れる連中に対する怒りは激烈で、気を抜けば必要以上に残酷に振る舞ってしまいそうだった。
フリーダ=ブロムヴィストはベルクの合図から数を読み取る
「これはゴブーナ様を倒した結果、慌てた勢力が出てきたということでしょうか?」
剣盾甲冑を装備した上で高速を維持するのは難しいはずなのに、フリーダは独り言までしているのに呼吸は安定したままだ。
「啓示によれば『ゴブーナ撃破がフ=ラグのイベントです』との事ですし、避けられない展開なのでしょう」
フリーダの位置から見える敵は2人。
剣の腕はフリーダ基準では極めて未熟。しかし装備の性能はかなりのものだ。
「何にせよ事態解明には例の装備は重要な証拠になります。セニャ様の救助……の前に」
敵ウォーリアが吠える。
抵抗は容易だがそれはフリーダが極めて高い対術抵抗を持っているからだ。
「臨機応変で行きましょう」
エーテル光で全身を覆う。
もともと華麗な白金色の装備が気高く輝き、思考の鈍った過激派授恵者に鮮烈な印象を与える。
円盾を掲げて全身と装備の重さと速度を敵にぶつける。
当たれば抵抗の手段がない一撃が、敵ウォーリアを戦場の外側へ60メートル跳ねとばし一時的ではあるが戦闘から遠ざける。
フリーダは止まらない。
盾を構えたまま建物の入り口に向かって落ちるように進む。
(セニャ様の声が聞こえますね)
再び駆け出すフリーダの背中に、壮絶なほどの気合いが籠もった声が届いた。
「セニャ! 助けに来たぜ!!」
アルベルト・V・シュタールシュヴェーアトは常人なら歩くのが精一杯かもしれない重武装だ。
明らかに彼を狙った矢も盾単体を射抜けない。
「今行く!」
スキルが尽きれば速度は落ちるが問題ない。
フリーダ達の手により、既に進路は切り開かれているのだから。
●
ベルクが仕掛ける少し前。
ユニス・ソロアーヌ・アクエリリーアは超視覚で冒険者ギルドで受け取った以上の情報を手に入れていた。
「あの二人は邪魔ね」
敵の配置には豊富な経験と洗練された戦術を感じた。
「私は弓での援護に徹するわ」
情報を共有してからそう宣言する。
彼女が構えた竜鉄装備に近い質の武具を敵が装備している。
ベルク達が突撃を開始する。
ユニスもまた前進する。
街中と比較すると荒々しい地形を平地同様の足取りで、もちろん敵に対する警戒は万全だ。
(多くの他人の人生を背負う仕事ね)
良くも悪くも個人的な思い入れはなく、ユニスは事実を正確に認識している。
(こういう形で弓の腕を活かすなんて)
エルフとしては非常に若いユニスは、森の外の世界の広さに驚いていた。
ユニスの仕事は基本に忠実だ。
「一気にいくから」
可能なら不意討ち。
理想は初撃必殺。
つまり最初から特性スキル全力投入だ。
魔力を帯びた矢を連続で同一目標に対し発射。
不意討ちなので敵の守りは雑。敵の反撃は今だけはないのでユニスは自身の守りを気にせず攻撃に集中できる。
シューターにしては分厚くはあるが対物理に偏った鎧が、2本の矢に貫かれて持ち主を守り切れない。
「気付かれた」
移動はせず3本目の矢をつがえる。
反撃の矢が届く前に今度はバスターアローを叩き込んで、ユニスは敵シューターを気絶させた。
リディリディ・トゥラ・イェレミースのエルフらしい美貌に薄らと汗が浮かぶ。
敵から次々に矢が飛んできている。
膨大な魔力と平凡な体力を兼ね備えたリディリディは、敵にとっては最も美味しい獲物なのだ。
しかし当たらない。
逆巻くエーテルの風が強化された矢を逸らして明後日の方向へ飛ばす。
(スキルが……)
対飛び道具の防御手段が尽きたが、仲間が既に手を打っている。
「後は任せる」
わずかの時間でもう1人のシューターを切り倒したベルクが後退を始める。
敵はシューター以外にもいる。
純粋に攻防に優れた敵ウォーリア達に相手に単独で戦うのはかなり厳しい。
「ま……」
リディリディの声は風に溶けたが術の発動は完璧だ。
今ここにいる冒険者達と比べると技術で劣る敵ウォーリアの技が、明らかに低下した。
「シューターをこの時点で全滅させるとはね」
アウレーリア・フォン・ネーベルベルクは味方の成果を称賛すると同時に予定を変更する。
遠距離攻撃可能な敵がもういないなら、強力な打撃力と防御力を兼ね備えた敵の脅威を防ぎ必要がある。
「策は使わせない」
素早く2回術を使う。
2箇所の地面から噴き出した炎が檻を形作って重装のウォーリアを閉じ込める。
実際は幻に近く物理的にも魔法的にも打撃は与えられないが、移動阻害という点では満点に近い行動だ。
立ち止まり呼吸を整えたリディリディが槍の如き魔矢でウォーリアの命を削る。
威力は十分だが敵の位置がそれぞれ離れているためまとめては倒せない。
「とー! もひとつ、とー!!」
アルマのヒールは骨まで見える傷口を普通の状態まで引き戻し、ただの光弾で敵シューターの分厚い鎧を貫いている。
「敵の残りは近接戦力のみ。後はじっくり叩いていくだけね」
そんな言葉を口にしていてもアウレーリアは油断しない。
建物の正門以外の入り口に回り込まれても面倒であるし、敵は冒険者により弱いとはいえ普通の兵士にとっては悪夢のように強いのだ。
だから敵ヒーラーに容赦なく攻撃する。
敵の中では軽装の敵では、10秒ももたなかった。
「……そうね。移動に専念すれば檻から逃げることは可能よ」
アウレーリアは最も速く抜け出した敵に光弾をぶつける。
敵にシューターがいないので攻撃に集中する余裕はある。
不気味な色の盾を貫き鎧の正面装甲ごと胸まで貫き、しかし攻撃はまだ途中だ。
アルマとリディリディのどちらも強大な火力が、真正面から防御と生命力を打ち倒した。
●
剣で叩き切るという動作には複数の種類がある。
小振りな商家の店舗、その出入り口で重武装の成人男性が密集しているという状態でも、狙った相手に当てるのはアルベルトの腕があれば可能だった。
「貴様等……俺の婚約者を襲撃するとはいい度胸だ。地獄で後悔しろ」
振り抜く動作で犠牲者が床に叩きつけられる。
それはアルベルトの隙でもある。
物理防御に優れた相手を一撃で切り倒すのはアルベルトの実力あっての結果だが、いかにアルベルトでも攻撃に集中しなければ難しい。
敵はセニャの相手に1人残し、外の仲間を助けようともせずアルベルトに攻撃する。
「雷蛇大禍」
ストレガ・L・リベルガストラはこの瞬間を待っていた。
アルベルトが乱戦に押し入り、敵の移動可能な範囲が半減した今こそ切り札を使うときだ。
セニャが気付いて撤退と叫ぶ。
帝国軍兵士が必死の表情で建物の奥へ移動してから別の出入り口を目指す。
玄関と通路を覆うように現れた稲光は、過激派の移動だけを邪魔して兵士達の撤退を援護する。
「どけっ!!」
アルベルトの殺意も斬撃だけでなく防御も凄まじい。
前のめりなのに盾と鎧を巧みに操り被弾はしても大怪我にはさせないのだ。
アルベルトによる反撃の斬撃は最初の一撃には及ばないが気絶寸前に追い込むほどだった。
「セニャさん怪我はー?」
「あれお願い!」
「りょーかーい」
アルマがヒールに集中する。
射程が約30メートルあるので兵士達が的確に移動すれば兵士も癒やすのも簡単だ。
なお、言葉に出さない部分でのやりとりに気付いてアルベルトが少し嫉妬している気もするが今は気にする余裕が誰にもない。
(セニャさん弱くなったー……?)
エーテルによる防御を付与するだけで露骨に戦闘力が変わったセニャを見てアルマが改めて気付く。
実力でセニャを上回ったのは知っていたが差は縮まるどころか開いているようだ。
「外はそろそろ制圧が完了します」
アダマントボディ発動中のフリーダは敵での乱戦でも無傷で済んでいる。
真ドラゴンチャリオッツを仕掛ければ敵を蹂躙できるだろうが、圧倒的優勢で結構高そうな店内をついでに蹂躙するのは少し気が引ける。
(ゴブーナ殿が亡くなったので余裕がなくなったとみえる)
ストレガは敵の様子をじっくり見てから結論を出す。
数も質も装備も、何より作戦が稚拙で余裕の無さがあからさまだ。
(とはいえ良好な装備の授恵者は脅威なのだ)
剣から伸びた光のかたまりが冒険者を襲う。
ストレガの生命力なら耐えられるし光の膜でダメージを激減させたが何度もは防げない。
「トドメをさすのは全員戦闘不能にしてからなのだ」
ただの光弾が敵にとっての悪夢となる。
ストレガが光雨と唱えれば、建物内という狭い空間にいた敵の全てに対し光弾が向かい1つ残らず着弾する。
雷蛇大禍の中でも攻撃はわずかな移動は可能だが、強大な前衛とキャスターとしては特別頑丈なストレガを倒すには全く足りない。
半壊した入り口から杖の半分だけが姿を現す。
小声で聞こえてくる詠唱に気付き、セニャの表情が露骨にひきつった。
真・空間爆砕。
敵味方識別機能付き衝撃波という術は、リディリディの魔力で行使されれば大規模破壊魔法と化す。
建物の中の味方と合流しようとしていた敵までまとめて打ち倒している。
「シーザーロアで状況をひっくり返されては事なのだ」
ストレガは確実に動かなくなるまで光弾を打ち込み続ける。
殺すのは目的ではないが、大人しくさせる過程で死んでも問題ないと考えている。
「ヒールはしゅーりょー!」
アルマが攻撃に参加する。
「集中してー……ばーんっ!!」
運良くこれまで無傷だったウォーリアに光弾が向かう。
見た目は駆けだしキャスターが使うそれと同じなのに、ウォーリアの本能が絶対に躱せと叫んでいる。
とっさに盾を向ける。
色と気配の不気味さを除けば高性能のはずなのに、アルマの光弾を一瞬止めることもできず貫かれる。
その直後に鎧の前面装甲ごと腹を撃ち抜かれ、過激派ウォーリアはその場に崩れ落ちた。
これで立っている敵は0だ。
「刑場送りでは足りない連中だからな」
ベルクが冷たく言い捨て、まだ生きてはいる敵を全員拘束した。
●
「セニャ。大丈夫か!」
「ちょっとアルベル……んんっ」
突然の熱烈な光景に、帝国軍兵士達の思考が空転する。
傲岸不遜の辣腕代官の顔と今の年頃少女の顔が違い過ぎるのだ。
「ちょっと倉庫借りるな、ついでにちょっと中の連中の口を軽くしてくるから♪」
ベルクの呼びかけに返事はないがセニャなら拒否はしないし肯定の返事をしようとはしている。
兵士達と協力して、ベルクは賊の生き残りを隠し倉庫に運び込む。
「最近便利な技を覚えてな? いやはや、外部に音が響かないとはいいことだ、近所迷惑を気にせず済むからな、さて、いいうめき声を聞かせておくれ♪」
実行可能な意思と技術と環境があるから脅しが説得力を持つ。
尋問の場所には容疑者も転がされている。
(情報収集の材料にはなる)
エリアサイレンスを起動する。
これで至近距離にいる過激派の声も悲鳴も聞こえなくなる。
容疑者の視点でベルクが人体を壊すための動きをすれば、実際に壊さなくても観衆にはそう見える。次は己と思わされる。
ベルクの情報収集はうまくいき、しかし残念ながら大物についての情報はなかった。
●
「この過激派達が襲って来た理由がこの店にあるのですよね。ですが……」
リディリディは封印前の剣を触れずに観察する。
「彼等が装備していた武器とそう変わらない……質は下回っています」
剣は専門ではないが、魔法に関しては精しい知識があるので大まかな推測は可能だ。
「ギルドが直接関与して接収してしまった方が良いと思います。リーラントさんには悪いですが、また同じことが行われないとも言えませんし」
同じような事件が起きたら性能の良い品だけ自分の物にしようとするだろうとリディリディは目で語り、それに気付いたセニャに目を逸らされていた。
「狂気の鍛冶師は倒したのだが、まだメドゥの中で作らされている鍛冶師がいるのかもしれないのだ」
ストレガは違法な武器の封印と並行して質と新しさをチェックする。
もし被害者がいれば、早く助けないと本人もそれ以外にも被害が増えてしまう。
(いるかいないか判断し辛いのだ)
押収した装備を見る限りではあの鍛冶師以上の腕の持ち主はいないようで、しかし残念ながらそれ以上のことは分からなかった。
「本当にねぇ」
アウレーリアは頭痛を堪えるような仕草をしている。
仮に今から過激派に鞍替えしたとしても今回の連中を上手く使えた自信がある。
「……セニャと私達自体がセットで危険物処理に使われてる? まさかね」
残留思念感応で尋問に協力した直後なので精神的に疲れているのかもしれないと、アウレーリアは思った。
●
「しゅっぱつしんこー!」
アルマの号令で黒パカさんが発進する。
荷馬車には、セニャが複数回の便で送るしかないと考えていた荷物がみっしり詰まっている。
「1度に運ばないとぶっそうだしねー……」
倫理的にも性質的にも論外ではあるが竜鉄に迫るほどの性能がある。
アルマが強力な輸送手段を提供するのは、出来心を起こさせないための非常に重要な行動だった。
短い時間で激しく活躍して鮮やかに去る。
冒険者の依頼の典型ともいえる光景を冒険者側から見たユニスが淡く微笑む。
「あくまで旅をして生きていくために冒険者になったのだけれど。こういう達成感を嬉しいとか楽しいとか、いつの間にか思えるようになったわね」
これも変化なのかしらねと、軽い足取りで帰路につくのだった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2023年11月07日 10時20分41秒 公開
参加者
相談掲示板
シューターのユニスよ。 シューターとして、敵にこちらの存在を知られた時点から味方の援護を。 敵は同じシューターを優先して狙っていくつもりよ。 よろしく。
No.2
あの・・・、キャスターのリディリディです。 よ、よろしくお願いします。 えっと、目的は重武装の授恵者を撃破することですが、それが達成できればリーラントさんたちを救出できるのでしょうね。 ただ、彼女らの安全を期すのならば、撃破とは別に救出班を組織することも出来そうです。 立てこもっている場所には裏口といえば良いのでしょうか。丁度玄関以外に出口があるようですし。 過激派がその裏口から入れば彼女たちは危機に陥りそうです。といっても、もう少しで玄関を破れそうなので、その心配はなさそうですが・・・。 問題点としては、 足止め担当がいるということでしょうか。足止めされている間に敵シューターなどで彼女らを攻撃されると厄介ですね。 あとは、初期位置が300メートルあるということでしょうか。その距離を詰められたら移動阻害のオブジェクトでなんとかなりそうですけど。 それと・・・。 挟み撃ちできそうとの情報もありますが、それが本当ならば挟撃を試してみるのも良いかもしれません。
敵の数自体が多くて、足止め役も多いとか障害物まで設置されてるとかなら、別働隊の必要はあるかもしれないけれど 敵の数は10名で足止め役が2名 だったら戦力分散はせず、皆の集中攻撃で足止め役を倒し、立て籠もってる建物に一刻も早く駆けつけて敵を倒す方がいいんじゃないの? 今回は別働隊を作る「急がば回れ」より、速戦即決の状況のように思えるわね
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー 距離もけっこーあいてるし隠蔽や移動力に自信アリ!なら 裏口カバーにまわったりセニャさん側の援護に加わるとか 敵シューターさんやヒーラーさんといった後衛さんを挟み撃ちー とかで別動してもらうのもいいんじゃないかなあと ボクは移動4でふつーなのと隠蔽がそれなりに目立つ感じなので 真っすぐいってぶっとばす(正面)側にまわるねー こっちもヒーラー1なのでサイドヒールかヒーリングオーラ準備と 重武装で回避残念になってるだろうから当たるなら沈めにいくね
キャスター、ストレガなのだ。宜しくなのだ。 即刻警戒二人を攻撃して注意を此方に向けた方が中は安全になりそうなのだ。 入口付近に固まっているのだと思うが移動阻害を仕掛けて時間稼ぎできそう。 私はアーケインストリームにしていくのだ。 シューターから落としてもらえるとありがたいのだ。
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 とりあえず全速力で後方からシューターを殴りに行くとしよう。 いきなり乱入すれば多少は乱せるだろう。
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 それではこちらは足止め役のウォーリア2名をどうにかしましょう。 ドラゴンチャリオット辺りで吹き飛ばして乱戦に持ち込めば、 その分玄関への圧力も減る可能性が高いでしょうし。
気が付けば出発前夜でした、アウレーリアです。宜しく。 速攻を目指すのに、ヒーラーを放置して長引かされても拙いと思いますので。 まともに撃ち合いになる前に、シューターと一緒に叩いてしまう心算です。 グラビティも積んでいきましょうか。互いに足が止まるなら、砲戦火力はこちらが上ですし。 玄関突破前に手を付けられれば、残りのウォーリアは一方的に蹂躙できるでしょう。