【嵐竜】お疲れ様、リブラネスタ
岩岡志摩
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シナリオID:3277
オープニング
●取り戻した平穏
超大型級クリーパー『嵐逆巻く魔海竜』は、冒険者達の尽力により撃破された。
それまでリブラネスタに立ち込めていた暗雲も姿を消し、再び明るい日差しが空より降り注ぎ始める。
その一報を受け取ったリブラネスタの人々より、歓喜が爆発した。
『預言の魔女』オペラが予知夢を見てから数か月もの間、それぞれの役割をこなしながらも人々は不安を拭いきれなかった。
それでも人々は冒険者達と共に、様々な障害を踏み越え、リブラネスタは無事に平和を取り戻しつつある。
もちろん、何もかもが全て元通り、とはいかない。
参戦した者の中には少なくない負傷者がいたし、命を落とした者もいる。リブラネスタ海軍の船も無傷とはいかず、補修作業が急ピッチで進められているという。
「まだまだ片付けなければならない問題はあるじゃろうな」
オペラはそう言いながらも――。
「……でも、まあ、せっかく皆のおかげで平和になったのじゃ。ちょーっと遊んだりしても良いじゃろ!」
この手で平和を取り戻した今だからこそ、それを謳歌しても良いのではないか。
オペラは笑みを見せていた。
●職人達からの依頼
『嵐逆巻く魔海竜』を撃破するため、決戦兵器『トールハンマー』の作成や現場での調整作業に奔走していた職人達も、ある工房で互いの健闘を称え合っていた。
実際に撃破を成し遂げたのは冒険者達だが、トールハンマーが『嵐逆巻く魔海竜』を討つ一助となったことは、職人達にとっても大きな誇りとなっている。
それはリブラネスタ市内で工房を構える『神匠』ヴィンダールヴルも同じだった。
「片づけなければいけない問題は山積みだな。上の方はもっと忙しいだろうが」
今頃リブラネスタの上層部は戦後処理に忙殺されていることだろうが、都市の壊滅という未来を変えた対価としては安いほうだとヴィンダールヴルは考えている。
それは自分たち職人にとっても同じ事は言えるが、今のところ急いで解決しなければものは少ない。
「今ぐらいは平和を勝ち取ったお互いの労をねぎらっていいような気もするが、どう思う?」
ヴィンダールヴルは有志による祝勝会を行わないかと職人達へと持ちかける。
職人達も断る理由はなく、今は目の前にある事案を棚上げして祝勝会への準備が始まった。
まず職人達はリブラネスタ上層部と連絡を取り、有志による祝勝会について話を通すと会場の確保や必要な食材や料理人、会場で働く人達の手配などを行っていく。
「功労者である冒険者達にも来てもらうというのはどうでしょう?」
その中で職人達は、ある者達も招くことを提案する。
「冒険者達の健闘をねぎらう場があってもいいはずです」
少なくともこの場にいる職人達は、リブラネスタを救ってくれた冒険者達に多大な恩義を感じている。
「冒険者側にも都合というものがある。強制しない方がいいかもしれない」
一方で無理強いはしない方がいいという職人もいた。
ここ最近リブラネスタだけでなく、各地の情勢は目まぐるしく変化している。
各地で発生する様々な事件を解決するため、今も冒険者達は各地を飛び回っているはずだ。
「それなら来てもらうような依頼にすればいいだろう?」
ここでヴィンダールヴルが、冒険者ギルド支部への依頼というやり方で冒険者達に来てもらうやり方を提示した。
ヴィンダールヴルもまた、冒険者達に礼を述べたかったようだ。
話し合いの結果、職人達はリブラネスタに荷物を運ぶため、必要な護衛を募るという名目で冒険者ギルド支部へ依頼を出す形となった。
リブラネスタの職人街まで荷物を運び終えた後は、お礼の名目で冒険者達を祝勝会へと招き一緒になって楽しむ。
この形であれば、祝勝会に参加する冒険者達へ報酬を支払うことができる。
そして職人達は、もう一つ冒険者達に向けある試みを行うつもりでいた。
職人達の試みとは、今回リブラネスタを救うためにそれぞれ尽力してくれた冒険者達の記録を残すことだった。
彼ら冒険者達が何を思って困難に立ち向かい、勝利したのか。
実際に冒険者達より話を聞き、その答えを書物にまとめ、後世に残したいと職人達は考えていた。
記録を担当する者は、以下の2つを冒険者の皆様に質問する形で、皆様の言葉をもらいたいようだ。
――リブラネスタの危機を救いたいと思った動機を教えて下さい。
――皆様が守り抜いたリブラネスタや住民達に向けて、何か一言をお願いします、と。
これは強制ではないので、皆様は尋ねられた内容について答えてもいいし、答えなくてもいい。
そうした試みも含め、職人達は冒険者ギルド支部へと依頼を出す。
応対した冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスは、依頼人である職人達に確認をとる。
「わかりました。試みについて受けるか否かは冒険者達の判断に委ねるということでよろしいですね?」
アルヒと職人達は依頼内容のすり合わせを行い、その後アルヒは冒険者達に向け依頼の斡旋へと動き出した。
ということで、表向きは荷物運びの護衛という形で、職人達による祝勝会へと参加してくれる冒険者を募集しています。
超大型級クリーパー『嵐逆巻く魔海竜』は、冒険者達の尽力により撃破された。
それまでリブラネスタに立ち込めていた暗雲も姿を消し、再び明るい日差しが空より降り注ぎ始める。
その一報を受け取ったリブラネスタの人々より、歓喜が爆発した。
『預言の魔女』オペラが予知夢を見てから数か月もの間、それぞれの役割をこなしながらも人々は不安を拭いきれなかった。
それでも人々は冒険者達と共に、様々な障害を踏み越え、リブラネスタは無事に平和を取り戻しつつある。
もちろん、何もかもが全て元通り、とはいかない。
参戦した者の中には少なくない負傷者がいたし、命を落とした者もいる。リブラネスタ海軍の船も無傷とはいかず、補修作業が急ピッチで進められているという。
「まだまだ片付けなければならない問題はあるじゃろうな」
オペラはそう言いながらも――。
「……でも、まあ、せっかく皆のおかげで平和になったのじゃ。ちょーっと遊んだりしても良いじゃろ!」
この手で平和を取り戻した今だからこそ、それを謳歌しても良いのではないか。
オペラは笑みを見せていた。
●職人達からの依頼
『嵐逆巻く魔海竜』を撃破するため、決戦兵器『トールハンマー』の作成や現場での調整作業に奔走していた職人達も、ある工房で互いの健闘を称え合っていた。
実際に撃破を成し遂げたのは冒険者達だが、トールハンマーが『嵐逆巻く魔海竜』を討つ一助となったことは、職人達にとっても大きな誇りとなっている。
それはリブラネスタ市内で工房を構える『神匠』ヴィンダールヴルも同じだった。
「片づけなければいけない問題は山積みだな。上の方はもっと忙しいだろうが」
今頃リブラネスタの上層部は戦後処理に忙殺されていることだろうが、都市の壊滅という未来を変えた対価としては安いほうだとヴィンダールヴルは考えている。
それは自分たち職人にとっても同じ事は言えるが、今のところ急いで解決しなければものは少ない。
「今ぐらいは平和を勝ち取ったお互いの労をねぎらっていいような気もするが、どう思う?」
ヴィンダールヴルは有志による祝勝会を行わないかと職人達へと持ちかける。
職人達も断る理由はなく、今は目の前にある事案を棚上げして祝勝会への準備が始まった。
まず職人達はリブラネスタ上層部と連絡を取り、有志による祝勝会について話を通すと会場の確保や必要な食材や料理人、会場で働く人達の手配などを行っていく。
「功労者である冒険者達にも来てもらうというのはどうでしょう?」
その中で職人達は、ある者達も招くことを提案する。
「冒険者達の健闘をねぎらう場があってもいいはずです」
少なくともこの場にいる職人達は、リブラネスタを救ってくれた冒険者達に多大な恩義を感じている。
「冒険者側にも都合というものがある。強制しない方がいいかもしれない」
一方で無理強いはしない方がいいという職人もいた。
ここ最近リブラネスタだけでなく、各地の情勢は目まぐるしく変化している。
各地で発生する様々な事件を解決するため、今も冒険者達は各地を飛び回っているはずだ。
「それなら来てもらうような依頼にすればいいだろう?」
ここでヴィンダールヴルが、冒険者ギルド支部への依頼というやり方で冒険者達に来てもらうやり方を提示した。
ヴィンダールヴルもまた、冒険者達に礼を述べたかったようだ。
話し合いの結果、職人達はリブラネスタに荷物を運ぶため、必要な護衛を募るという名目で冒険者ギルド支部へ依頼を出す形となった。
リブラネスタの職人街まで荷物を運び終えた後は、お礼の名目で冒険者達を祝勝会へと招き一緒になって楽しむ。
この形であれば、祝勝会に参加する冒険者達へ報酬を支払うことができる。
そして職人達は、もう一つ冒険者達に向けある試みを行うつもりでいた。
職人達の試みとは、今回リブラネスタを救うためにそれぞれ尽力してくれた冒険者達の記録を残すことだった。
彼ら冒険者達が何を思って困難に立ち向かい、勝利したのか。
実際に冒険者達より話を聞き、その答えを書物にまとめ、後世に残したいと職人達は考えていた。
記録を担当する者は、以下の2つを冒険者の皆様に質問する形で、皆様の言葉をもらいたいようだ。
――リブラネスタの危機を救いたいと思った動機を教えて下さい。
――皆様が守り抜いたリブラネスタや住民達に向けて、何か一言をお願いします、と。
これは強制ではないので、皆様は尋ねられた内容について答えてもいいし、答えなくてもいい。
そうした試みも含め、職人達は冒険者ギルド支部へと依頼を出す。
応対した冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスは、依頼人である職人達に確認をとる。
「わかりました。試みについて受けるか否かは冒険者達の判断に委ねるということでよろしいですね?」
アルヒと職人達は依頼内容のすり合わせを行い、その後アルヒは冒険者達に向け依頼の斡旋へと動き出した。
ということで、表向きは荷物運びの護衛という形で、職人達による祝勝会へと参加してくれる冒険者を募集しています。
解説
●目標
職人達の祝勝会を一緒に楽しむ
登場
『神匠』ヴィンダールヴル
今回の依頼人。
授恵者たちが振るう特殊な武器の作成を一手に担う鍛冶師。リブラネスタの職人街に新しい工房を構えている。
鍛冶以外にも様々な分野に精通しているため、それぞれの分野の高弟を多数抱えている。
職人達
リブラネスタ市内にいる様々な分野の職人達。ヴィンダールヴルと共にトールハンマーの開発に参加し、一部は『嵐逆巻く魔海竜』との戦いに同行して調整作業に従事していた。
ある試みにおける記録係も担当する模様。
アルヒ・ラスカス
今回の増援。皆様の指示に従う。使用スキルはヒール、解呪。汎用スキルはテレパス。
料理や飲み物
今回皆様が攻略(?)する対象。会場各所に置かれた大皿の上に鎮座し、立食の形で皆様に食される予定。
海産物の料理(タイのカルパッチョ、ロブスターのテルミドール、大型魚の切り身を使ったムニエル)が多いが、牛肉の炭火焼き、豚肉のピカタ(粉チーズを混ぜ込んだ溶き卵に薄切りの豚肉を絡め、ソテーしたもの)、鶏肉料理なども取り揃えている。
希望すれば厨房や調理道具、調味料そして上記料理に使われた食材も使い、別の料理を皆様の手で作ることもできる。
書かれていない食材も、よほど貴重な者でない限りは職人達が用意してくれる。
飲み物はワインや少量ながら米酒、蒸留酒の他果実水や紅茶など、幅広く揃えている。
状況
リブラネスタの職人街に存在する大型建物。現在は立食形式のパーティ会場と化している。現地時刻は正午で快晴。
皆様は職人達からの依頼を受ける形でリブラネスタまで運ばれる荷の護送をこなし、リブラネスタまで到着した。
今回の報酬は既に皆様が達成した護送依頼より支払われる形となる。
皆様がパーティ会場へ到着するころには、料理や飲み物の用意も終わり、皆様に感謝したい人達も会場に揃っている。
希望すれば貸衣装も用意できるので、パーティ用の正装になることも可能。
会場の一画では、皆様に質問する形で《《ある試み》》が行われる模様。受けるか否かの判断は自由。
その際に希望があれば、仮間仕切りを用意して個室のような空間を作り、その中で質疑応答を行うこともできる。
マスターより
皆様のご尽力により、リブラネスタに平和が戻りました。
解決する問題は山積みですが、今は楽しみたいと職人達は考え、このような依頼となりました。
基本的には祝勝会に参加して、一緒に楽しんでくれれば目標は達成扱いとなります。
ある試みについてですが、イメージ的には皆様へのヒーローインタビューのような感じになります。
皆様からの回答をもとに記録としてまとめ、皆様のことを後世まで伝えたいというのが、職人達の願いでもあります。
この記録は公的なものではなく、職人達による私的なものなので、応じるか否かのご判断は皆様にお任せいたします。
ご不明な点がございましたら、出発36時間前まででしたらアルヒが答えられる範囲のことは答えます。
リプレイ
●ある感謝
イヴェール・イリュジオンは今回の依頼とは別に、ある人物の墓参りをしようと考えていた。
人物の名はディーグ・ディオロン。
ある依頼でイヴェールと同じ戦場に立ち、共に敵と戦い――戦死した人物だ。
当初墓の場所をイヴェールは知らず、彼本人についてもよく知らなかったため、初めて出会って死亡したリブラネスタに墓があると考えていた。
しかしリブラネスタに到着後、イヴェールが墓の場所を確認したところ、リブラネスタから遠方にあることを知った。
このためイヴェールは死亡したのがリブラネスタ沖の海であったことを考慮して、海辺に花を手向けることにした。
(生きていれば、私よりも長生き出来たでしょうに)
そう思いながら、イヴェールは静かに祈りを捧げる。
「……ありがとうございました」
彼の挺身に救われ、命を落とさずに済んだことへの感謝と共に。
●祝勝会
リブラネスタの職人街に到着した冒険者達は表向きの依頼を済ませると、祝勝会の会場へと向かう。
――リブラネスタの職人達からの招待に応じ、一緒に祝勝会を楽しんでほしい。
それが依頼人となった職人達から寄せられた、本来の依頼だった。
「同盟は食材が美味しいところなので、どんなものが出るか楽しみでした」
既に話を聞いていたトーラは、祝勝会で用意された料理を見渡す。
会場内に並ぶ料理はタイのカルパッチョ、ロブスターのテルミドール、大型魚の切り身を使ったムニエルなど魚料理が多いものの、牛肉の炭火焼き、豚肉のピカタ(粉チーズを混ぜ込んだ溶き卵に薄切りの豚肉を絡め、ソテーしたもの)、鶏肉料理なども揃っている。
そして職人達は、今回リブラネスタを救うためにそれぞれ尽力してくれた冒険者達の記録を残すつもりでいる。
「歴史資料になるので記録を取るのは『ストレガ』的にも大いに歓迎する事なのだ」
ストレガ・L・リベルガストラは職人達の試みに賛同し、できる限り協力するつもりでいる。
ということで冒険者達も交えた祝勝会、スタート。
「とはいえ私は食事作っているだけであるが」
ストレガは祝勝会が行われている会場ではなく厨房に向かい、料理人達と一緒になって不足すると思われる料理を作り始めた。
ストレガの駆使する食は万世共通の幸福なればは、祝勝会で提供される全ての料理を美味しく作り上げることに貢献していた。
「場を盛り上げる役なら任せろ」
ハヤト=ガラン=ヴォルファングは率先して会場にいる人達に挨拶してまわり、用意された料理や飲み物を味わい始める。
ハヤトが現在食しているのはタイのカルパッチョで、新鮮さを保った状態で仕上がっている。
一口ハヤトが口に運べば、口内でソースの甘みと香辛料がタイの身と絡み合い、美味を形成していく。
「次は肉料理だな」
ハヤトの舌は出された料理を味わいつくさんとしていた。
「おっつかれさーん! これうめぇな!」
ナハシュもハヤトと同じく積極的に動き回る。
「魚も上手いが肉料理があるの嬉しいねえ!」
ナハシュは肉料理と魚料理の両方を楽しんでいるが、比率的には肉料理の方が多めだ。
今ナハシュが食している牛肉の炭火焼きは中までしっかりと熱が通っている一方、ふっくらと柔らかく仕上がり、シンプルな味付けがナハシュの舌に旨味を教えてくる。
作成者のストレガは食は万世共通の幸福なればを駆使して、肉を強い火で素早く焼き上げることで、肉本来の旨味を引き出していた。
「皆さんお疲れさまでした!」
トーラは会場にいる職人達やリブラネスタ海軍の人達への積極的な交流を行い、思い出となるひと時を過ごす。
その合間にトーラは会場内の料理を味わうことも忘れない。
トーラが食しているのは豚肉のピカタで、口に運べば肉を包む卵の衣はふわふわと柔らかく、卵の衣に含まれる粉チーズの香りも食欲をそそり、トーラが噛むごとに豚肉本来の旨味が口の中へと広がっていく。
「せっかくなのでお料理を頂いて、それらのレシピを教えて貰えたらと思います」
トーラの希望を聞いたのか、料理を作り終えたストレガがトーラのもとへ向かう。
「それならこのやり方がお勧めなのだ」
ストレガは全ての料理を作っていたので、トーラがどの料理のレシピを欲しがっても提供することが可能だった。
「職人達との祝勝会、一緒に楽しませてもらうわ」
ロゼットも職人やこの場にいる人達との間で歓談し、ストレガの作った料理もつまみながら、交流を深めている。
やや離れた場所では、イヴェールが会場内に用意された料理を黙々と食していた。
「話をするのが得意という訳でもないですしね」
イヴェールはロブスターのテルミドールを皿に取り分け、味わい始めている。
中央から左右に割れたロブスターの身は蒸し焼きにされたかのように瑞々しく、歯に程よい弾力が伝わってくる。
ロブスター本来の旨味もそうだが、ホワイトソースの濃厚な味とチーズの焼けた香ばしさが素晴らしく、酒のお供としても申し分ない。
ディレイン・オールドケイジも楽しそうに料理へ手を伸ばし、一通り味わってみる。
「とりあえずおいしいごはんとお酒があれば、おじさん的には最高だ」
ディレインは大型魚の切り身を使ったムニエルにも手を伸ばしてみる。
ディレインがナイフとフォークで切り分けた身を食せば、身はふわふわでバターの風味が口いっぱいに広がる。
魚の身自体は淡白な味付けだったが、塩加減や香辛料によって上品に仕上がっていて、ディレインの口内で美味と化す。
一通り料理を味わったディレインはその中から気に入ったものを再び食し、飲み物で喉を潤していく。
ディレインの近くでは、コルネリウス・アーラも料理に手を付けていたが、どちらかといえばワインなどの酒を楽しんでいるようだ。
「後世に記録を残して頂けるのは嬉しいです」
コルネリウスは、今回職人達が行うある試みを肯定的に受け止める。
「いつか皆とお別れした未来にも、見返す事が出来ますから」
確かに自分達がここで成し遂げたこと。同じ時間を過ごしたことを。
(ああでも、何か質問されたならコルネリウスちゃんを前に押し出すけどね)
一方ディレインはコルネリウスに視線を向け、内心そのようなことを考えていた。
その間にも、ナハシュは超大型級クリーパー『嵐逆巻く魔海竜』討伐の時、トールハンマーを搭載した船で一緒だった職人達と談笑しながら、ワインを楽しんでいた。
今ナハシュが味わっているのは白ワインで、しっかりとしたボディながらも味はまろやかで香り高く、酸味もよいアクセントとなっているため飲みやすい。
「このワイン、何処で売ってんだ?」
沢山の料理や酒を味わうことができたことで、ナハシュは最高の気分で祝勝会を楽しんでいた。
●英雄達の記録
そして会場ではリブラネスタを超大型級クリーパー『嵐逆巻く魔海竜』から守る立役者となった冒険者達に対し、職人達が記録に残すため会談を始める。
「俺が果たした戦果を知りたいというのか?」
職人達より問われたハヤトは少し考えた後、『嵐逆巻く魔海竜』との戦いでやったことを話し始める。
「はじめは行儀の悪い尻尾を討つところからだったな」
まずハヤトは竜巻を封じ込めるため、仲間達と共に遠洋まで繰り出し『嵐逆巻く魔海竜』の尾と交戦した。
その中でハヤトは仲間達と共にトールハンマーを使い、反動を乗り越えて『嵐逆巻く魔海竜』の尾を破壊した。
そしてリブラネスタの沖合まで迫った『嵐逆巻く魔海竜』本体を全力で迎え撃ち、海の底へと沈めた。
ハヤトの話に続き、ナハシュも職人達の試みに応じる。
「気分がいいので普通に受け答えしておくつもりだ」
そしてナハシュは用意された質問に答えていく。
――リブラネスタの危機を救いたいと思った動機を教えて下さい。
「依頼出していたよな? 面白そうな奴」
ナハシュは依頼があったから応じたとの答えを返す。
「実際面白かったぜ! トールハンマーも森切り拓いたのも色々な!」
ナハシュとしては「面白いから」というのが主な動機だったようだ。
――皆様が守り抜いたリブラネスタや住民達に向けて、何か一言をお願いします。
次の質問に対しても、ナハシュは笑顔を崩さない。
「次も面白れぇといいな!」
そう言ってナハシュは自身の会談を締めくくった。
続いて会談に臨んだのはトーラだった。
「動機ですか? そんな立派なものでなくて授恵者として普通のことをしただけですよ」
気負うことなく、トーラは「普通のこと」だと言い切った。
次の質問を受けた時も、トーラの態度は一貫している。
「リブラネスタを守ったのは冒険者だけでなく、兵器の製造をしてくれた職人さんや船を出してくれた海軍の方達、その他にも魔海竜討伐のため動いてくれた多くの方達の功績です」
トーラはそう信じている。
「私達以外にも戦った方が居ることを知っていただければと思います」
だからトーラは職人達の残す記録について、そんな注文を付けくわえていた。
「……なんだか、こういう質問されるのは恥ずかしいですね」
最後にトーラは照れ臭そうにそう言い残す。
続いてロゼットも職人達との会談に応じ、自身の考えを語る。
まずはリブラネスタの危機を救いたいと思った動機について。
「例えどこであれ、助けを求める人たちがいるのなら――と答えるのが模範なのだけど」
ロゼットは前置きと共に、自身の意志を話し出す。
「リブラネスタは私にとって、もう第二の故郷みたいなものだから」
だからロゼットはリブラネスタの危機を知り、駆け付けたと語る。
「冒険者になるためにシグモル火山を旅立って、この街に移り住んで早3年。たくさんお世話になったこの街に、恩義を返さないとって」
記録を担当する者が、ロゼットの話を記録し終えてから次の質問へと移る。
「何か一言をお願いします」
問われたロゼットは、リブラネスタやそこで暮らす人々に向けて語りかける。
「明日になれば、また私たちの力を必要とする人のところへ行かなくちゃならない」
ロゼットを必要とする場所は、リブラネスタだけにとどまらない。
「でもどこに行っても、帰ってくる場所があることに感謝しているわ」
その中でロゼットがリブラネスタに示したのは、感謝だった。
――リブラネスタの街に、明日も幸運と良い風が吹きますように。
最後にそんな願いを口にして、ロゼットは自身の話を締めくくる。
ここで料理を作り終えたストレガも、会談へと参加する。
最初の質問についてストレガは前提となる話から語りはじめる。
「政治的な話をすると、隣国故その被害はゴールディにも及ぶのだ」
――サウゼルとリブラネスタで挟み撃ちにされては、我々に逃げ場がない、と。
「ギルドにはビッグオウムと騎手達を提供しているから通商の被害も、その他様々な問題が発生するのだ」
次にストレガは『嵐逆巻く魔海竜』を倒さなかった場合、発生しうる被害についても言及する
「故に隣人である我々は手を貸さない訳にはいかないのだ」
必要だったから手を貸したと語る一方、ストレガは個人的な動機について口にする。
「それはそれとしてできる事があるからやっただけのことなのだ。私もギルドに籍を置く冒険者であるがゆえに、皆がそれぞれできる事をした。それでいいのだ」
ストレガは自身の動機をそう話すと、リブラネスタへの一言については、こう言った。
「これからもゴブリン族をどうぞ宜しくなのだ」
そしてディレインやコルネリウスにも話が及ぶと、ディレインは自分の前にコルネリウスを押し出した。
「彼女はねぇ、魔海竜の分身との戦いでも、尻尾との戦いでも、主に無敵の盾役としてすばらしい活躍をしてくれたんだよ」
押し出されたコルネリウスが抗議の声を上げる前に、ディレインはコルネリウスをぐいぐいと推していく。
「とくに尻尾との戦いでは、弓でも果敢に挑んでねえ……いやぁ、あれはかっこよかったなぁ」
ディレインはコルネリウスへの賛辞を並べていく。
「そ、その……ディレインさんも、凄い方なんです……!」
ここでコルネリウスもディレインと立ち位置を入れ替え、今度はディレインの背を押し始める。
「お医者さんで、気遣いさんですし、優秀なヒーラーさんですし。こうして、人の良いところを沢山見つけて褒めてくれますし……!」
コルネリウスもディレインの良さをアピールする。
「なので、是非記録に残されるのでしたらディレインさんも……!」
「おじさんのことなんていいのいいの、若い子の活躍こそ、いい肴になるんだから」
一方のディレインはくるりと身をよじり、再びコルネリウスを前に出した。
「コルネリウスちゃんは恥ずかしがるかもだけど、そんな謙虚さがまた彼女のいいところだよ」
「あ、あの。おじさまと呼んでもいいですか?」
などというやり取りがあったものの、ディレインとコルネリウスは質問内容についても答えていた。
「先程お酒を頂いたので、少し酔っていますね」
何やらディレインとの推し合い(誤字にあらず)の中、気になることを口走ったような気もしたコルネリウスは、少し照れもあるようだ。
「お酒が入っていると口がよく回るよねー」
ディレインは頷きを返すと、コルネリウスにだけ聞こえる音量で何かを答えていた。
●その記録と感謝は未来へと続く
そして祝勝会も無事に終わり、冒険者達への依頼は完了扱いとなった。
ストレガは職人達へある頼みごとをする。
「本ができたら写本を贈ってほしいのだ」
「必ずお届けいたします」
職人達はそう請け負い、ストレガや冒険者達は会場より去っていく。
なおトーラは、一連の戦いで犠牲になった人達にもお供えをしていた。
「皆さんもお疲れさまでした」
祈りを捧げると、トーラはその場を後にする。
再び訪れた平穏の中、リブラネスタの人々は当面の暮らしへと戻っていく。
リブラネスタを守ってくれた、冒険者達への感謝やある記録と共に。
イヴェール・イリュジオンは今回の依頼とは別に、ある人物の墓参りをしようと考えていた。
人物の名はディーグ・ディオロン。
ある依頼でイヴェールと同じ戦場に立ち、共に敵と戦い――戦死した人物だ。
当初墓の場所をイヴェールは知らず、彼本人についてもよく知らなかったため、初めて出会って死亡したリブラネスタに墓があると考えていた。
しかしリブラネスタに到着後、イヴェールが墓の場所を確認したところ、リブラネスタから遠方にあることを知った。
このためイヴェールは死亡したのがリブラネスタ沖の海であったことを考慮して、海辺に花を手向けることにした。
(生きていれば、私よりも長生き出来たでしょうに)
そう思いながら、イヴェールは静かに祈りを捧げる。
「……ありがとうございました」
彼の挺身に救われ、命を落とさずに済んだことへの感謝と共に。
●祝勝会
リブラネスタの職人街に到着した冒険者達は表向きの依頼を済ませると、祝勝会の会場へと向かう。
――リブラネスタの職人達からの招待に応じ、一緒に祝勝会を楽しんでほしい。
それが依頼人となった職人達から寄せられた、本来の依頼だった。
「同盟は食材が美味しいところなので、どんなものが出るか楽しみでした」
既に話を聞いていたトーラは、祝勝会で用意された料理を見渡す。
会場内に並ぶ料理はタイのカルパッチョ、ロブスターのテルミドール、大型魚の切り身を使ったムニエルなど魚料理が多いものの、牛肉の炭火焼き、豚肉のピカタ(粉チーズを混ぜ込んだ溶き卵に薄切りの豚肉を絡め、ソテーしたもの)、鶏肉料理なども揃っている。
そして職人達は、今回リブラネスタを救うためにそれぞれ尽力してくれた冒険者達の記録を残すつもりでいる。
「歴史資料になるので記録を取るのは『ストレガ』的にも大いに歓迎する事なのだ」
ストレガ・L・リベルガストラは職人達の試みに賛同し、できる限り協力するつもりでいる。
ということで冒険者達も交えた祝勝会、スタート。
「とはいえ私は食事作っているだけであるが」
ストレガは祝勝会が行われている会場ではなく厨房に向かい、料理人達と一緒になって不足すると思われる料理を作り始めた。
ストレガの駆使する食は万世共通の幸福なればは、祝勝会で提供される全ての料理を美味しく作り上げることに貢献していた。
「場を盛り上げる役なら任せろ」
ハヤト=ガラン=ヴォルファングは率先して会場にいる人達に挨拶してまわり、用意された料理や飲み物を味わい始める。
ハヤトが現在食しているのはタイのカルパッチョで、新鮮さを保った状態で仕上がっている。
一口ハヤトが口に運べば、口内でソースの甘みと香辛料がタイの身と絡み合い、美味を形成していく。
「次は肉料理だな」
ハヤトの舌は出された料理を味わいつくさんとしていた。
「おっつかれさーん! これうめぇな!」
ナハシュもハヤトと同じく積極的に動き回る。
「魚も上手いが肉料理があるの嬉しいねえ!」
ナハシュは肉料理と魚料理の両方を楽しんでいるが、比率的には肉料理の方が多めだ。
今ナハシュが食している牛肉の炭火焼きは中までしっかりと熱が通っている一方、ふっくらと柔らかく仕上がり、シンプルな味付けがナハシュの舌に旨味を教えてくる。
作成者のストレガは食は万世共通の幸福なればを駆使して、肉を強い火で素早く焼き上げることで、肉本来の旨味を引き出していた。
「皆さんお疲れさまでした!」
トーラは会場にいる職人達やリブラネスタ海軍の人達への積極的な交流を行い、思い出となるひと時を過ごす。
その合間にトーラは会場内の料理を味わうことも忘れない。
トーラが食しているのは豚肉のピカタで、口に運べば肉を包む卵の衣はふわふわと柔らかく、卵の衣に含まれる粉チーズの香りも食欲をそそり、トーラが噛むごとに豚肉本来の旨味が口の中へと広がっていく。
「せっかくなのでお料理を頂いて、それらのレシピを教えて貰えたらと思います」
トーラの希望を聞いたのか、料理を作り終えたストレガがトーラのもとへ向かう。
「それならこのやり方がお勧めなのだ」
ストレガは全ての料理を作っていたので、トーラがどの料理のレシピを欲しがっても提供することが可能だった。
「職人達との祝勝会、一緒に楽しませてもらうわ」
ロゼットも職人やこの場にいる人達との間で歓談し、ストレガの作った料理もつまみながら、交流を深めている。
やや離れた場所では、イヴェールが会場内に用意された料理を黙々と食していた。
「話をするのが得意という訳でもないですしね」
イヴェールはロブスターのテルミドールを皿に取り分け、味わい始めている。
中央から左右に割れたロブスターの身は蒸し焼きにされたかのように瑞々しく、歯に程よい弾力が伝わってくる。
ロブスター本来の旨味もそうだが、ホワイトソースの濃厚な味とチーズの焼けた香ばしさが素晴らしく、酒のお供としても申し分ない。
ディレイン・オールドケイジも楽しそうに料理へ手を伸ばし、一通り味わってみる。
「とりあえずおいしいごはんとお酒があれば、おじさん的には最高だ」
ディレインは大型魚の切り身を使ったムニエルにも手を伸ばしてみる。
ディレインがナイフとフォークで切り分けた身を食せば、身はふわふわでバターの風味が口いっぱいに広がる。
魚の身自体は淡白な味付けだったが、塩加減や香辛料によって上品に仕上がっていて、ディレインの口内で美味と化す。
一通り料理を味わったディレインはその中から気に入ったものを再び食し、飲み物で喉を潤していく。
ディレインの近くでは、コルネリウス・アーラも料理に手を付けていたが、どちらかといえばワインなどの酒を楽しんでいるようだ。
「後世に記録を残して頂けるのは嬉しいです」
コルネリウスは、今回職人達が行うある試みを肯定的に受け止める。
「いつか皆とお別れした未来にも、見返す事が出来ますから」
確かに自分達がここで成し遂げたこと。同じ時間を過ごしたことを。
(ああでも、何か質問されたならコルネリウスちゃんを前に押し出すけどね)
一方ディレインはコルネリウスに視線を向け、内心そのようなことを考えていた。
その間にも、ナハシュは超大型級クリーパー『嵐逆巻く魔海竜』討伐の時、トールハンマーを搭載した船で一緒だった職人達と談笑しながら、ワインを楽しんでいた。
今ナハシュが味わっているのは白ワインで、しっかりとしたボディながらも味はまろやかで香り高く、酸味もよいアクセントとなっているため飲みやすい。
「このワイン、何処で売ってんだ?」
沢山の料理や酒を味わうことができたことで、ナハシュは最高の気分で祝勝会を楽しんでいた。
●英雄達の記録
そして会場ではリブラネスタを超大型級クリーパー『嵐逆巻く魔海竜』から守る立役者となった冒険者達に対し、職人達が記録に残すため会談を始める。
「俺が果たした戦果を知りたいというのか?」
職人達より問われたハヤトは少し考えた後、『嵐逆巻く魔海竜』との戦いでやったことを話し始める。
「はじめは行儀の悪い尻尾を討つところからだったな」
まずハヤトは竜巻を封じ込めるため、仲間達と共に遠洋まで繰り出し『嵐逆巻く魔海竜』の尾と交戦した。
その中でハヤトは仲間達と共にトールハンマーを使い、反動を乗り越えて『嵐逆巻く魔海竜』の尾を破壊した。
そしてリブラネスタの沖合まで迫った『嵐逆巻く魔海竜』本体を全力で迎え撃ち、海の底へと沈めた。
ハヤトの話に続き、ナハシュも職人達の試みに応じる。
「気分がいいので普通に受け答えしておくつもりだ」
そしてナハシュは用意された質問に答えていく。
――リブラネスタの危機を救いたいと思った動機を教えて下さい。
「依頼出していたよな? 面白そうな奴」
ナハシュは依頼があったから応じたとの答えを返す。
「実際面白かったぜ! トールハンマーも森切り拓いたのも色々な!」
ナハシュとしては「面白いから」というのが主な動機だったようだ。
――皆様が守り抜いたリブラネスタや住民達に向けて、何か一言をお願いします。
次の質問に対しても、ナハシュは笑顔を崩さない。
「次も面白れぇといいな!」
そう言ってナハシュは自身の会談を締めくくった。
続いて会談に臨んだのはトーラだった。
「動機ですか? そんな立派なものでなくて授恵者として普通のことをしただけですよ」
気負うことなく、トーラは「普通のこと」だと言い切った。
次の質問を受けた時も、トーラの態度は一貫している。
「リブラネスタを守ったのは冒険者だけでなく、兵器の製造をしてくれた職人さんや船を出してくれた海軍の方達、その他にも魔海竜討伐のため動いてくれた多くの方達の功績です」
トーラはそう信じている。
「私達以外にも戦った方が居ることを知っていただければと思います」
だからトーラは職人達の残す記録について、そんな注文を付けくわえていた。
「……なんだか、こういう質問されるのは恥ずかしいですね」
最後にトーラは照れ臭そうにそう言い残す。
続いてロゼットも職人達との会談に応じ、自身の考えを語る。
まずはリブラネスタの危機を救いたいと思った動機について。
「例えどこであれ、助けを求める人たちがいるのなら――と答えるのが模範なのだけど」
ロゼットは前置きと共に、自身の意志を話し出す。
「リブラネスタは私にとって、もう第二の故郷みたいなものだから」
だからロゼットはリブラネスタの危機を知り、駆け付けたと語る。
「冒険者になるためにシグモル火山を旅立って、この街に移り住んで早3年。たくさんお世話になったこの街に、恩義を返さないとって」
記録を担当する者が、ロゼットの話を記録し終えてから次の質問へと移る。
「何か一言をお願いします」
問われたロゼットは、リブラネスタやそこで暮らす人々に向けて語りかける。
「明日になれば、また私たちの力を必要とする人のところへ行かなくちゃならない」
ロゼットを必要とする場所は、リブラネスタだけにとどまらない。
「でもどこに行っても、帰ってくる場所があることに感謝しているわ」
その中でロゼットがリブラネスタに示したのは、感謝だった。
――リブラネスタの街に、明日も幸運と良い風が吹きますように。
最後にそんな願いを口にして、ロゼットは自身の話を締めくくる。
ここで料理を作り終えたストレガも、会談へと参加する。
最初の質問についてストレガは前提となる話から語りはじめる。
「政治的な話をすると、隣国故その被害はゴールディにも及ぶのだ」
――サウゼルとリブラネスタで挟み撃ちにされては、我々に逃げ場がない、と。
「ギルドにはビッグオウムと騎手達を提供しているから通商の被害も、その他様々な問題が発生するのだ」
次にストレガは『嵐逆巻く魔海竜』を倒さなかった場合、発生しうる被害についても言及する
「故に隣人である我々は手を貸さない訳にはいかないのだ」
必要だったから手を貸したと語る一方、ストレガは個人的な動機について口にする。
「それはそれとしてできる事があるからやっただけのことなのだ。私もギルドに籍を置く冒険者であるがゆえに、皆がそれぞれできる事をした。それでいいのだ」
ストレガは自身の動機をそう話すと、リブラネスタへの一言については、こう言った。
「これからもゴブリン族をどうぞ宜しくなのだ」
そしてディレインやコルネリウスにも話が及ぶと、ディレインは自分の前にコルネリウスを押し出した。
「彼女はねぇ、魔海竜の分身との戦いでも、尻尾との戦いでも、主に無敵の盾役としてすばらしい活躍をしてくれたんだよ」
押し出されたコルネリウスが抗議の声を上げる前に、ディレインはコルネリウスをぐいぐいと推していく。
「とくに尻尾との戦いでは、弓でも果敢に挑んでねえ……いやぁ、あれはかっこよかったなぁ」
ディレインはコルネリウスへの賛辞を並べていく。
「そ、その……ディレインさんも、凄い方なんです……!」
ここでコルネリウスもディレインと立ち位置を入れ替え、今度はディレインの背を押し始める。
「お医者さんで、気遣いさんですし、優秀なヒーラーさんですし。こうして、人の良いところを沢山見つけて褒めてくれますし……!」
コルネリウスもディレインの良さをアピールする。
「なので、是非記録に残されるのでしたらディレインさんも……!」
「おじさんのことなんていいのいいの、若い子の活躍こそ、いい肴になるんだから」
一方のディレインはくるりと身をよじり、再びコルネリウスを前に出した。
「コルネリウスちゃんは恥ずかしがるかもだけど、そんな謙虚さがまた彼女のいいところだよ」
「あ、あの。おじさまと呼んでもいいですか?」
などというやり取りがあったものの、ディレインとコルネリウスは質問内容についても答えていた。
「先程お酒を頂いたので、少し酔っていますね」
何やらディレインとの推し合い(誤字にあらず)の中、気になることを口走ったような気もしたコルネリウスは、少し照れもあるようだ。
「お酒が入っていると口がよく回るよねー」
ディレインは頷きを返すと、コルネリウスにだけ聞こえる音量で何かを答えていた。
●その記録と感謝は未来へと続く
そして祝勝会も無事に終わり、冒険者達への依頼は完了扱いとなった。
ストレガは職人達へある頼みごとをする。
「本ができたら写本を贈ってほしいのだ」
「必ずお届けいたします」
職人達はそう請け負い、ストレガや冒険者達は会場より去っていく。
なおトーラは、一連の戦いで犠牲になった人達にもお供えをしていた。
「皆さんもお疲れさまでした」
祈りを捧げると、トーラはその場を後にする。
再び訪れた平穏の中、リブラネスタの人々は当面の暮らしへと戻っていく。
リブラネスタを守ってくれた、冒険者達への感謝やある記録と共に。
マスターコメント
祝勝会、おつかれさまでした。
皆様にとって少しでも楽しいひと時となれば幸いです。
皆様から寄せられた言葉は記録として将来へと伝わるよう、職人達も頑張ります。
改めまして今回はご参加下さりありがとうございました。
イベントシナリオ易しい 報酬:標準8 / 4〜25人
2023年10月31日 13時48分05秒 公開
大成功
相談掲示板
ヒーラーの神官ロゼットよ。 『嵐逆巻く魔海竜』との決戦、お疲れさま。 ちょうど王国での決戦も結果が出て、気持ちも落ち着いたかしら。 少しここで、息抜きをさせてもらうわ。よろしくね。
同じくヒーラーのディレイン・オールドケイジ。 おいしいごはんとお酒が楽しめると聞いて。 いやー、やっと海が落ち着いたようでよかったよ。