【幻秋】そっくりお菓子でびっくり!
夜月天音
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シナリオID:3266
オープニング
よく晴れた朝空の下、今年も訪れた収穫祭によりエラトゥーン都市同盟南東のベールコートに佇む喫茶店『エヴァブルー』が大いに賑わっていた。
その賑わいぶりの発生源となっているのは、ドアの近くに置かれていた本日のメニューの宣伝が書かれた案内板。
その案内板の内容は、
『テリーズ・トラ・トリュース!
おかずだけどおかずじゃない!? 甘くて美味しいお菓子が大変身! 見た目はおかずだけど食べればあまぁいお菓子♪
貴方のお好きな料理を教えて頂ければ、あまぁいお菓子でそっくりさんを作ります!
是非、そっくりスイーツをご賞味あれ!』
という、不思議な事が起きる今日という日にぴったりなもの。
上記の案内板に誘われて喫茶店のドアを開けると、
「テリーズ・トラ・トリュース! 当店はエラトゥーンで栽培された新鮮野菜や果物を使った料理が自慢ですが、本日はそっくりスイーツがオススメです!」
「飲み物はお好きな物をどうぞ! ジュース、お酒、百合茶とか色々あるわ!」
「例えば、目玉焼きそっくりのプリン、茹で卵そっくりのチョコ、パスタそっくりのモンブラン、オムライスそっくりのミルクレープとか色々あるよ」
「是非、びっくりして美味しく食べてみて」
種族様々だが皆美男美女の従業員が笑顔で迎えてくれた。
その賑わいぶりの発生源となっているのは、ドアの近くに置かれていた本日のメニューの宣伝が書かれた案内板。
その案内板の内容は、
『テリーズ・トラ・トリュース!
おかずだけどおかずじゃない!? 甘くて美味しいお菓子が大変身! 見た目はおかずだけど食べればあまぁいお菓子♪
貴方のお好きな料理を教えて頂ければ、あまぁいお菓子でそっくりさんを作ります!
是非、そっくりスイーツをご賞味あれ!』
という、不思議な事が起きる今日という日にぴったりなもの。
上記の案内板に誘われて喫茶店のドアを開けると、
「テリーズ・トラ・トリュース! 当店はエラトゥーンで栽培された新鮮野菜や果物を使った料理が自慢ですが、本日はそっくりスイーツがオススメです!」
「飲み物はお好きな物をどうぞ! ジュース、お酒、百合茶とか色々あるわ!」
「例えば、目玉焼きそっくりのプリン、茹で卵そっくりのチョコ、パスタそっくりのモンブラン、オムライスそっくりのミルクレープとか色々あるよ」
「是非、びっくりして美味しく食べてみて」
種族様々だが皆美男美女の従業員が笑顔で迎えてくれた。
解説
朝から夜までに喫茶店を訪れ、1人でも複数人でもお好きなそっくりスイーツを食べて驚いたり舌鼓を打って下さい。
もちろん、普通の料理を食べる事も出来ます。
【喫茶店『エヴァブルー』について】
新鮮野菜と果物を使った料理が自慢。
食事、デザート、百合茶、ジュース、酒まで種類豊富に扱っています。
従業員は土地柄もあってか種族は様々ですが、皆美男美女です。
本日は収穫祭のためそっくりスイーツをオススメしています。
【そっくりスイーツについて】
スープやパスタやパンや目玉焼きなど、見た目は普通の料理に見えるが食べてみると甘いスイーツという物です。
例)桃に見えるパン、ビーフシチューに見えるホットチョコレート、サンドイッチに見えるケーキ
※活動時間、こういう冒険者や従業員と交流したいや楽しみたい料理や飲み物など、希望などがありましたら、プレイングに記載をお願いします。
※公式NPCとは交流出来ません。
マスターより
オープニングを読んで頂き、ありがとうございます。
普通の料理やそっくりスイーツを味わい、収穫祭を楽しく過ごして下さい。
リプレイ
よく晴れた朝空の下、エラトゥーン都市同盟南東のベールコートに佇む喫茶店『エヴァブルー』では料理にそっくりなスイーツにより収穫祭を盛り上げていた。
「……料理もまた文化の一種……珍しい料理があると知って見聞を広める為、来店しましたが」
店の案内板に誘われて入店したイズレンディル・パラリムは、眼前にある注文した目玉焼きのポテトサラダ添えに不思議そうな眼差しを注いでいた。
いつまでも睨めっこをしてる訳にはいかない。
「いただきます」
目玉焼きを少し口に運び、味わう。
途端、
「……これはびっくり、ですね。でも甘くて美味しいです。どうやって作ったのでしょうか」
見た目を裏切る甘い味に驚き目を丸くしつつ、旺盛な知識欲に満ちた笑顔で素直な感想をこぼす。その様はまるで無邪気な子供だ。
「目玉焼きの白身はプリンで黄身はオレンジ……掛かっているソースはカラメルですね」
改めて料理を見てから口に運ぶイズレンディル。
「ポテトサラダはクリームチーズに果物を沢山混ぜ込み、味はさっぱりして……」
野菜たっぷりのポテトサラダは、果物たっぷりのカッサータである。
次々と口に運び、
「……ご馳走様です」
あっという間に食べ終えると、
「……もし良ければ、この料理の作り方を教えて頂けませんか?」
通りかかった女性従業員に声を掛けた。
「作り方、をですか?」
従業員は想定外なのか、驚きの顔をした。
「はい。故郷の氏族の子達にも振る舞ってあげたいと思いまして。喜んで貰えそうですし、驚く顔も楽しみで……何より、いつも森の外のお土産をせがまれるので」
イズレンディルは、素直に理由を伝えた。出身のパラリム氏族自体が幅広く知見を広げる事を生業としている事もあって。
「そういう事でしたら、教えますよ!! みんなを驚かせて下さいな」
聞いた従業員は優しい理由に絆され、申し出を快諾した。
「ありがとうございます」
イズレンディルは丁寧に礼を言った。
(何かお礼を……でも特にお渡し出来る対価が無いですね。それなら……)
生真面目故に無料で教えて貰うのは悪いと考え、
「対価に雑用でも接客でも何でもさせて頂きます……受け取って頂けるでしょうか」
イズレンディルは真摯に言った。
そして、イズレンディルは従業員の案内で厨房に行き、目玉焼きのポテトサラダ添えの作り方を教えて貰ったり皿洗いをしたり下拵えをしたり表で呼び込みをしたり店内の接客をしたりと忙しくした。そん中、客として来た冒険者を接客する場面もあった。
「びっくり料理っていうより、びっくりスイーツか? まあどっちでもいいや! 面白そうだろ? 行こうぜ!」
通りを歩いていたナハシュは、喫茶店『エヴァブルー』の案内板を目にした瞬間、好奇心が湧き、隣のヨル・スレイマンを嬉々と誘った。
「まあ、いいが」
ヨル・スレイマンは反対する理由も無いため、誘いに乗った。
(スイーツ食べに誘われるとは少し意外だな)
少しばかり意外だと思いながら。
2人は仲良く入店した。
入店した2人を迎えるのは賑やかな音、甘い匂い、美男美女の従業員達。
2人は手近の席に腰を下ろした。時間は丁度お昼時だ。
「本当に多種族でやってるんだ。すごいな」
ヨルは店内を見回し多種族で賑やかにやっている事に感心してから、
「こういう楽しいの好きだよね、本当」
向かいに座るナハシュに言った。自身も楽しくなってきている。
「あぁ、面白そうだろ! 本当にそっくりかどうか確かめようぜ!」
ナハシュは嬉々と、メニューを広げた。
物色開始早々、
「どれにするか迷うな。オムライスのクレープと……」
ヨルは大いに迷った。
「おーい! このオムライスとオムライスのクレープっての? 両方くれ!」
聞き逃さぬナハシュは、近くの従業員を呼んで注文を始めた。
「はい、お待たせしました」
現れたのは、お手伝い中のイズレンディルだ。
「……」
物色に夢中のヨル。
「ヨルさん、その目玉焼きのポテトサラダ添えのそっくりスイーツ、美味しいですよ」
イズレンディルは、ヨルが自身が食べた料理に目を留めている事に気付き、美味しさを知って欲しいと自信満々にすすめた。
「では、イズ君のオススメの料理を通常メニューとスイーツ版の2種類を」
ヨルは友のオススメに乗る事にした。
「それだけじゃなくて、他のも全部スイーツと料理どっちも持ってきてくれ」
店内の賑やかさに高揚したナハシュが、メニュー表のそっくりスイーツと本来の料理を見比べ全部両方頼み、持ち帰りの許可も得た。
「飲み物は……」
イズレンディルが飲み物を伺うと、
「果実酒で」
「当然エールだ!」
ヨルとナハシュは、それぞれ飲みたい物を注文する。
イズレンディルは注文を繰り返した後、厨房へ注文を伝えに行った。
ヨルとナハシュが待つ事しばらくして、料理が次々と運ばれ、テーブルに並んだ。
「なかなか壮観だな。誕生日会みたいだ」
ヨルは、テーブルに所狭しと賑わせる料理に目を見張る。
「まあ、収穫祭の時ぐらい豪華でもいいだろ」
この賑わいを満喫するナハシュは、軽い。
「あー……そんないっぺんに並べたらどっちがどっちかわからなくならないか?」
ヨルは並び過ぎた料理に思わず困惑。
「まぁ、それそれで面白くないか? 口に入れるまで分からないって」
ナハシュは変わらず楽しそうである。
とにもかくにも料理が揃ったという事で、
「テリーズ・トラ・トリュース!」
ヨルは果実酒をナハシュはエールで乾杯してから、食べ比べを始めた。
その様子は美味しさと驚きに満ちていた。
「これは……サラダが載ったトーストと思ったら、ケーキだ。野菜は果物でチーズはホワイトチョコか……美味しい」
ヨルは野菜が載ったトーストのそっくりスイーツを頬張ったり、
「聞いた通りだ」
目玉焼きとポテトサラダのそっくりスイーツにも舌鼓を打つ。
「おっ、卵が半熟だ!」
ナハシュは普通のオムライスを一口してから、
「お菓子の方は……ドライフルーツ入りのバニラアイスに苺ソースか、うまっ」
オムライスクレープを口に運び、食べ比べをする。
食べ比べをしてだいぶ皿が空いてきた所で、
「なあ、そろそろ食べ比べるだけも飽きてきただろ? どっちがお菓子か賭けようぜ。勝ったほうが全取り、負けた奴が次の料理を注文でどうだ」
少し飽きて来たナハシュが、盛り上げようと何やら提案を口にした。
「らしいね。やろう。なんならついでに酒のおかわりも付けていいよ」
ヨルはナハシュらしさに笑いつつ乗った。空っぽ間近のカップを見せながら。
という事で、
「よし! テリズ・テトラ・トリュース!」
ナハシュの合図で全ての皿をごちゃごちゃ並べ替えてから、賭け事開始だ。
早速、
「ビーフシチューだ」
「ペペロンチーノだ」
ヨルとナハシュは、気になった料理を手に取りパクリ。
結果は、
「シチューがチョコレートの味がする……! 不思議だな。感覚がバグる」
ヨルは、味の差にびっくりしつつも美味しく平らげた。
「……これは普通のペペロンチーノだな……ぴりっと辛味が利いて美味しい」
ナハシュは残念ながらも普通のペペロンチーノをもりもり食べ、
「さすが甘党だな」
おどけ風味にヨルの甘党ぶりを称賛した。
「スイーツの方は……麺がモンブランか」
ナハシュは、好奇心から改めてペペロンチーノのスイーツの方に手を伸ばしパクリ。
ヨルは賭けの報酬を得て、存分に味わった。
「面白いね。料理も味とか栄養以外にこういう切り口があるんだな。うちでもやってみても良いかも」
スイーツを食べるヨルの興味が料理の見た目に及んでいると、
「なーなー、テールスープでもできるか?」
ナハシュがエールを飲みながらリクエスト。
「そうだね。手始めにテールスープで試してみようか。楽しそうだ」
ヨルは少しその気になると、
(あの子達も面白がってくれたらいいな)
同居人の小さな姉妹が楽しそうに食べる様を想像して、笑みをこぼした。
「だろう。次の誕生会これやろうぜ。面白そうだ」
ナハシュもノリノリである。
「あ、それはそうと、どれをお持ち帰りにするか、選んでくれよ。ヨルの方が分かるだろ?」
思い出したナハシュは、お持ち帰りの件は専門家に一任する事に。
「あぁ、任せてくれ」
ヨルは力強い調子で引き受け、
「ハンバーグとポテトサラダと……」
次々とそっくりスイーツをマジカルポケットに入れていく。甘党故の判定の甘さを発揮するのだった。
「そっくりスイーツ?」
喫茶店『エヴァブルー』の看板を発見し、思わず足を止めて見入ってしまうパルド。
(食べてみたいけど……1人でスイーツを食べに入るのはクールな黒豹のイメージが……)
すぐに行動に移すかと思ったら、何やら葛藤を始め眉間に皺が寄っていた。ちなみにクールは自称である。黒豹な見た目をした猫のショコラが、心配そうにじっと見ている。
パルドが葛藤に没頭する横に、
「ねぇねぇ、タマさん、そっくりスイーツだって!」
看板に目を留めたルルト・アーキスが足を止め、
「ほんとうにそっくりなのかな??」
宣伝文句に興味津々。傍らには黒猫のタマさん。
「面白そう……あっ!」
まじまじと看板を眺めた後、ルルトはふと横を見てびっくり。
「パルドだ!」
見知った友人であるパルドがいた。案内板に夢中になるあまり気付かなかったようだ。
「ん、その声はルルト?」
知った声により葛藤から覚めたパルドはようやく周囲の状況を知覚し、隣に立つルルトを見た。
「そだよー! すっごい偶然だねっ!」
ルルトは友人と出会った事が嬉しくて声を弾ませ、
「もしかして、パルドも食べるの? これ!」
状況から察したのか、案内板を指し示して訊ねた。
「あぁ、気になってたところだ」
パルドはクールな面持ちで答えた。葛藤に終いの時が来たようだ。
「だったら、一緒に食べようよ♪」
ルルトは、丁度いいとばかりに人懐こい笑顔で誘った。
「そうさせて貰えると嬉しい」
パルドは当然誘いに乗った。
2人は仲良く入店し、席に座った。午後を回りおやつにはぴったりの時間である。
席に座った後。
「何頼む? グラタンとかオムレツ風のもいいな」
パルドは早速メニューを広げ、どれも美味しそうに思えて迷ってしまう。
「どっちも美味しそうだね! ボクは何にしようかなぁ……」
ルルトは、楽しそうに返してから、
「目玉焼きもハンバーグも……エビフライも美味しそう。どっちにしようかなぁ」
メニューと睨めっこ。
どちらも捨てがたくて困った時、
(……お子様ランチのそっくりスイーツ……これなら色々食べられるっ! でも、子ども扱いされるのは嫌だ、けど食べたい、どうしよう)
ルルトの目に、先程の欲張りを解決するお子様ランチそっくりスイーツが映った。
食べる事が好きなルルトは考えあぐねた結果、
「よし! 決めた! ボクはこれにするんだよっ!」
『食べたい』が勝った。
(大人もノリで頼むもん! お子様ランチといってもスイーツだし!!)
胸中で必死に『子供じゃない』のフォローを自身でするルルト。
「お子様ランチ!?」
ルルトの想定外のチョイスにびっくりするパルドだが、
「その手があったか。確かにそれなら色々食べられるな」
メニューを見ていかに最善手かを知って感心し、
(オレはもうお子様じゃないけど、それっぽいスイーツならアリだよな)
乗る気さえ見せる。
「オレも同じ物にしよう」
パルドはあっさりと決めた。
「じゃぁ、決まりだね! あとはタマさんとショコラが食べられる物を頼まなきゃ!」
続いてルルトは、自分達の連れが食べる物の物色を始めた。
パルドも手伝おうとメニューに目を走らせ、
「それなら、この辺りがいいんじゃないか」
良さげな料理達を発見してすすめてみた。
それを受けたルルトはさらに物色を重ね、
「じゃぁ、新鮮野菜のサラダのそっくりスイーツにしよう」
生野菜のサラダのそっくりスイーツに決めた。
決まった所で、近くを通る男性従業員を呼び止め注文をした。
待つ事しばらくして、
「お待たせました」
イズレンディルが料理を運んで来た。
「サラダはそのままでも美味しいですが、ドレッシングに蜂蜜もどうぞ」
イズレンディルは次々とテーブルに料理を並べ、従業員に教えられた説明をしっかりと伝えてから、厨房に戻った。
「ありがとう!」
ルルトはにっこりと笑顔で返した後、
「うわぁ、美味しそう! パッと見だけじゃスイーツだとは分からないね」
改めて眼前のスイーツを隅々まで見て不思議そうな顔。
「……スイーツ、だよな」
パルドはそっくり具合に訝しみ、匂いを確かめる。
「……甘い……間違いなくスイーツだ」
パルドは鼻孔をくすぐる甘い匂いに安堵してから、
「……まずは一口」
そーっとグラタンを一口頬張った。
途端、
「甘い! ほんとにスイーツだ」
口内に広がる甘さに興奮する。
「ほんとだ甘いっ!!」
続くようにルルトはエビフライを食べ、見た目と味の違いが面白くて目を丸くさせ驚く。
「見た目と味が全然違って、面白いね♪」
ルルトは驚き顔からにこにこ顔に。何とも表情豊かである
「見た目はどう見てもグラタンなのに、なんだこれ、面白い! 何で出来てるんだ??」
見た目と匂いが一致しない様を面白がるパルド。グラタンは、カリカリのキャラメリゼが載ったクレームブリュレだ。
「目玉焼きの白身はプリンで黄身はオレンジで、下のハンバーグはチョコケーキだよ!」
ルルトは、目玉焼き載せハンバーグを美味しく頬張った。
「オムライスも美味しいね! 苺ソースがかかったクレープのアイスだよ!」
「スパゲティはモンブランだ」
ルルトとパルドは、存分にそっくりスイーツを堪能する。
「タマさんとショコラも美味しそうだね! 蜂蜜で味を変えちゃう?」
タマとショコラも仲良くサラダのそっくりスイーツを頬張っていた。ルルトはタイミングを見計らい、蜂蜜を回しかけた。
存分にそっくりスイーツを満喫した所で、
「店を出る前に相方の土産を買って帰ろう」
「ボクも相棒に買って帰ろう!」
パルドとルルトは、わいわいと作戦会議を開始した。
「この楽しい気持ちを共有するためにはどれがいいかな?」
「どれも面白そうだよな。驚かせるにはどれがいいかな? ミニコボが食べても大丈夫なのは……」
ルルトとパルドは賑やかな会議の末、無事に土産を購入し、軽い足取りで帰路を急いだ。
分かれ道でルルトとパルドは、
「後でどうだったか教えてねー!」
「ああ、そっちもどうだったか教えてくれな」
悪戯な調子で言って別れ、
「これを見たらびっくりするかなぁ」
「びっくりするかな。鼻がいいからすぐバレそうだけど、でも分かってても驚きそう」
待っているだろう大切な人達の反応を想像して、わくわくしながら帰りの道を急いだ。
「……料理もまた文化の一種……珍しい料理があると知って見聞を広める為、来店しましたが」
店の案内板に誘われて入店したイズレンディル・パラリムは、眼前にある注文した目玉焼きのポテトサラダ添えに不思議そうな眼差しを注いでいた。
いつまでも睨めっこをしてる訳にはいかない。
「いただきます」
目玉焼きを少し口に運び、味わう。
途端、
「……これはびっくり、ですね。でも甘くて美味しいです。どうやって作ったのでしょうか」
見た目を裏切る甘い味に驚き目を丸くしつつ、旺盛な知識欲に満ちた笑顔で素直な感想をこぼす。その様はまるで無邪気な子供だ。
「目玉焼きの白身はプリンで黄身はオレンジ……掛かっているソースはカラメルですね」
改めて料理を見てから口に運ぶイズレンディル。
「ポテトサラダはクリームチーズに果物を沢山混ぜ込み、味はさっぱりして……」
野菜たっぷりのポテトサラダは、果物たっぷりのカッサータである。
次々と口に運び、
「……ご馳走様です」
あっという間に食べ終えると、
「……もし良ければ、この料理の作り方を教えて頂けませんか?」
通りかかった女性従業員に声を掛けた。
「作り方、をですか?」
従業員は想定外なのか、驚きの顔をした。
「はい。故郷の氏族の子達にも振る舞ってあげたいと思いまして。喜んで貰えそうですし、驚く顔も楽しみで……何より、いつも森の外のお土産をせがまれるので」
イズレンディルは、素直に理由を伝えた。出身のパラリム氏族自体が幅広く知見を広げる事を生業としている事もあって。
「そういう事でしたら、教えますよ!! みんなを驚かせて下さいな」
聞いた従業員は優しい理由に絆され、申し出を快諾した。
「ありがとうございます」
イズレンディルは丁寧に礼を言った。
(何かお礼を……でも特にお渡し出来る対価が無いですね。それなら……)
生真面目故に無料で教えて貰うのは悪いと考え、
「対価に雑用でも接客でも何でもさせて頂きます……受け取って頂けるでしょうか」
イズレンディルは真摯に言った。
そして、イズレンディルは従業員の案内で厨房に行き、目玉焼きのポテトサラダ添えの作り方を教えて貰ったり皿洗いをしたり下拵えをしたり表で呼び込みをしたり店内の接客をしたりと忙しくした。そん中、客として来た冒険者を接客する場面もあった。
「びっくり料理っていうより、びっくりスイーツか? まあどっちでもいいや! 面白そうだろ? 行こうぜ!」
通りを歩いていたナハシュは、喫茶店『エヴァブルー』の案内板を目にした瞬間、好奇心が湧き、隣のヨル・スレイマンを嬉々と誘った。
「まあ、いいが」
ヨル・スレイマンは反対する理由も無いため、誘いに乗った。
(スイーツ食べに誘われるとは少し意外だな)
少しばかり意外だと思いながら。
2人は仲良く入店した。
入店した2人を迎えるのは賑やかな音、甘い匂い、美男美女の従業員達。
2人は手近の席に腰を下ろした。時間は丁度お昼時だ。
「本当に多種族でやってるんだ。すごいな」
ヨルは店内を見回し多種族で賑やかにやっている事に感心してから、
「こういう楽しいの好きだよね、本当」
向かいに座るナハシュに言った。自身も楽しくなってきている。
「あぁ、面白そうだろ! 本当にそっくりかどうか確かめようぜ!」
ナハシュは嬉々と、メニューを広げた。
物色開始早々、
「どれにするか迷うな。オムライスのクレープと……」
ヨルは大いに迷った。
「おーい! このオムライスとオムライスのクレープっての? 両方くれ!」
聞き逃さぬナハシュは、近くの従業員を呼んで注文を始めた。
「はい、お待たせしました」
現れたのは、お手伝い中のイズレンディルだ。
「……」
物色に夢中のヨル。
「ヨルさん、その目玉焼きのポテトサラダ添えのそっくりスイーツ、美味しいですよ」
イズレンディルは、ヨルが自身が食べた料理に目を留めている事に気付き、美味しさを知って欲しいと自信満々にすすめた。
「では、イズ君のオススメの料理を通常メニューとスイーツ版の2種類を」
ヨルは友のオススメに乗る事にした。
「それだけじゃなくて、他のも全部スイーツと料理どっちも持ってきてくれ」
店内の賑やかさに高揚したナハシュが、メニュー表のそっくりスイーツと本来の料理を見比べ全部両方頼み、持ち帰りの許可も得た。
「飲み物は……」
イズレンディルが飲み物を伺うと、
「果実酒で」
「当然エールだ!」
ヨルとナハシュは、それぞれ飲みたい物を注文する。
イズレンディルは注文を繰り返した後、厨房へ注文を伝えに行った。
ヨルとナハシュが待つ事しばらくして、料理が次々と運ばれ、テーブルに並んだ。
「なかなか壮観だな。誕生日会みたいだ」
ヨルは、テーブルに所狭しと賑わせる料理に目を見張る。
「まあ、収穫祭の時ぐらい豪華でもいいだろ」
この賑わいを満喫するナハシュは、軽い。
「あー……そんないっぺんに並べたらどっちがどっちかわからなくならないか?」
ヨルは並び過ぎた料理に思わず困惑。
「まぁ、それそれで面白くないか? 口に入れるまで分からないって」
ナハシュは変わらず楽しそうである。
とにもかくにも料理が揃ったという事で、
「テリーズ・トラ・トリュース!」
ヨルは果実酒をナハシュはエールで乾杯してから、食べ比べを始めた。
その様子は美味しさと驚きに満ちていた。
「これは……サラダが載ったトーストと思ったら、ケーキだ。野菜は果物でチーズはホワイトチョコか……美味しい」
ヨルは野菜が載ったトーストのそっくりスイーツを頬張ったり、
「聞いた通りだ」
目玉焼きとポテトサラダのそっくりスイーツにも舌鼓を打つ。
「おっ、卵が半熟だ!」
ナハシュは普通のオムライスを一口してから、
「お菓子の方は……ドライフルーツ入りのバニラアイスに苺ソースか、うまっ」
オムライスクレープを口に運び、食べ比べをする。
食べ比べをしてだいぶ皿が空いてきた所で、
「なあ、そろそろ食べ比べるだけも飽きてきただろ? どっちがお菓子か賭けようぜ。勝ったほうが全取り、負けた奴が次の料理を注文でどうだ」
少し飽きて来たナハシュが、盛り上げようと何やら提案を口にした。
「らしいね。やろう。なんならついでに酒のおかわりも付けていいよ」
ヨルはナハシュらしさに笑いつつ乗った。空っぽ間近のカップを見せながら。
という事で、
「よし! テリズ・テトラ・トリュース!」
ナハシュの合図で全ての皿をごちゃごちゃ並べ替えてから、賭け事開始だ。
早速、
「ビーフシチューだ」
「ペペロンチーノだ」
ヨルとナハシュは、気になった料理を手に取りパクリ。
結果は、
「シチューがチョコレートの味がする……! 不思議だな。感覚がバグる」
ヨルは、味の差にびっくりしつつも美味しく平らげた。
「……これは普通のペペロンチーノだな……ぴりっと辛味が利いて美味しい」
ナハシュは残念ながらも普通のペペロンチーノをもりもり食べ、
「さすが甘党だな」
おどけ風味にヨルの甘党ぶりを称賛した。
「スイーツの方は……麺がモンブランか」
ナハシュは、好奇心から改めてペペロンチーノのスイーツの方に手を伸ばしパクリ。
ヨルは賭けの報酬を得て、存分に味わった。
「面白いね。料理も味とか栄養以外にこういう切り口があるんだな。うちでもやってみても良いかも」
スイーツを食べるヨルの興味が料理の見た目に及んでいると、
「なーなー、テールスープでもできるか?」
ナハシュがエールを飲みながらリクエスト。
「そうだね。手始めにテールスープで試してみようか。楽しそうだ」
ヨルは少しその気になると、
(あの子達も面白がってくれたらいいな)
同居人の小さな姉妹が楽しそうに食べる様を想像して、笑みをこぼした。
「だろう。次の誕生会これやろうぜ。面白そうだ」
ナハシュもノリノリである。
「あ、それはそうと、どれをお持ち帰りにするか、選んでくれよ。ヨルの方が分かるだろ?」
思い出したナハシュは、お持ち帰りの件は専門家に一任する事に。
「あぁ、任せてくれ」
ヨルは力強い調子で引き受け、
「ハンバーグとポテトサラダと……」
次々とそっくりスイーツをマジカルポケットに入れていく。甘党故の判定の甘さを発揮するのだった。
「そっくりスイーツ?」
喫茶店『エヴァブルー』の看板を発見し、思わず足を止めて見入ってしまうパルド。
(食べてみたいけど……1人でスイーツを食べに入るのはクールな黒豹のイメージが……)
すぐに行動に移すかと思ったら、何やら葛藤を始め眉間に皺が寄っていた。ちなみにクールは自称である。黒豹な見た目をした猫のショコラが、心配そうにじっと見ている。
パルドが葛藤に没頭する横に、
「ねぇねぇ、タマさん、そっくりスイーツだって!」
看板に目を留めたルルト・アーキスが足を止め、
「ほんとうにそっくりなのかな??」
宣伝文句に興味津々。傍らには黒猫のタマさん。
「面白そう……あっ!」
まじまじと看板を眺めた後、ルルトはふと横を見てびっくり。
「パルドだ!」
見知った友人であるパルドがいた。案内板に夢中になるあまり気付かなかったようだ。
「ん、その声はルルト?」
知った声により葛藤から覚めたパルドはようやく周囲の状況を知覚し、隣に立つルルトを見た。
「そだよー! すっごい偶然だねっ!」
ルルトは友人と出会った事が嬉しくて声を弾ませ、
「もしかして、パルドも食べるの? これ!」
状況から察したのか、案内板を指し示して訊ねた。
「あぁ、気になってたところだ」
パルドはクールな面持ちで答えた。葛藤に終いの時が来たようだ。
「だったら、一緒に食べようよ♪」
ルルトは、丁度いいとばかりに人懐こい笑顔で誘った。
「そうさせて貰えると嬉しい」
パルドは当然誘いに乗った。
2人は仲良く入店し、席に座った。午後を回りおやつにはぴったりの時間である。
席に座った後。
「何頼む? グラタンとかオムレツ風のもいいな」
パルドは早速メニューを広げ、どれも美味しそうに思えて迷ってしまう。
「どっちも美味しそうだね! ボクは何にしようかなぁ……」
ルルトは、楽しそうに返してから、
「目玉焼きもハンバーグも……エビフライも美味しそう。どっちにしようかなぁ」
メニューと睨めっこ。
どちらも捨てがたくて困った時、
(……お子様ランチのそっくりスイーツ……これなら色々食べられるっ! でも、子ども扱いされるのは嫌だ、けど食べたい、どうしよう)
ルルトの目に、先程の欲張りを解決するお子様ランチそっくりスイーツが映った。
食べる事が好きなルルトは考えあぐねた結果、
「よし! 決めた! ボクはこれにするんだよっ!」
『食べたい』が勝った。
(大人もノリで頼むもん! お子様ランチといってもスイーツだし!!)
胸中で必死に『子供じゃない』のフォローを自身でするルルト。
「お子様ランチ!?」
ルルトの想定外のチョイスにびっくりするパルドだが、
「その手があったか。確かにそれなら色々食べられるな」
メニューを見ていかに最善手かを知って感心し、
(オレはもうお子様じゃないけど、それっぽいスイーツならアリだよな)
乗る気さえ見せる。
「オレも同じ物にしよう」
パルドはあっさりと決めた。
「じゃぁ、決まりだね! あとはタマさんとショコラが食べられる物を頼まなきゃ!」
続いてルルトは、自分達の連れが食べる物の物色を始めた。
パルドも手伝おうとメニューに目を走らせ、
「それなら、この辺りがいいんじゃないか」
良さげな料理達を発見してすすめてみた。
それを受けたルルトはさらに物色を重ね、
「じゃぁ、新鮮野菜のサラダのそっくりスイーツにしよう」
生野菜のサラダのそっくりスイーツに決めた。
決まった所で、近くを通る男性従業員を呼び止め注文をした。
待つ事しばらくして、
「お待たせました」
イズレンディルが料理を運んで来た。
「サラダはそのままでも美味しいですが、ドレッシングに蜂蜜もどうぞ」
イズレンディルは次々とテーブルに料理を並べ、従業員に教えられた説明をしっかりと伝えてから、厨房に戻った。
「ありがとう!」
ルルトはにっこりと笑顔で返した後、
「うわぁ、美味しそう! パッと見だけじゃスイーツだとは分からないね」
改めて眼前のスイーツを隅々まで見て不思議そうな顔。
「……スイーツ、だよな」
パルドはそっくり具合に訝しみ、匂いを確かめる。
「……甘い……間違いなくスイーツだ」
パルドは鼻孔をくすぐる甘い匂いに安堵してから、
「……まずは一口」
そーっとグラタンを一口頬張った。
途端、
「甘い! ほんとにスイーツだ」
口内に広がる甘さに興奮する。
「ほんとだ甘いっ!!」
続くようにルルトはエビフライを食べ、見た目と味の違いが面白くて目を丸くさせ驚く。
「見た目と味が全然違って、面白いね♪」
ルルトは驚き顔からにこにこ顔に。何とも表情豊かである
「見た目はどう見てもグラタンなのに、なんだこれ、面白い! 何で出来てるんだ??」
見た目と匂いが一致しない様を面白がるパルド。グラタンは、カリカリのキャラメリゼが載ったクレームブリュレだ。
「目玉焼きの白身はプリンで黄身はオレンジで、下のハンバーグはチョコケーキだよ!」
ルルトは、目玉焼き載せハンバーグを美味しく頬張った。
「オムライスも美味しいね! 苺ソースがかかったクレープのアイスだよ!」
「スパゲティはモンブランだ」
ルルトとパルドは、存分にそっくりスイーツを堪能する。
「タマさんとショコラも美味しそうだね! 蜂蜜で味を変えちゃう?」
タマとショコラも仲良くサラダのそっくりスイーツを頬張っていた。ルルトはタイミングを見計らい、蜂蜜を回しかけた。
存分にそっくりスイーツを満喫した所で、
「店を出る前に相方の土産を買って帰ろう」
「ボクも相棒に買って帰ろう!」
パルドとルルトは、わいわいと作戦会議を開始した。
「この楽しい気持ちを共有するためにはどれがいいかな?」
「どれも面白そうだよな。驚かせるにはどれがいいかな? ミニコボが食べても大丈夫なのは……」
ルルトとパルドは賑やかな会議の末、無事に土産を購入し、軽い足取りで帰路を急いだ。
分かれ道でルルトとパルドは、
「後でどうだったか教えてねー!」
「ああ、そっちもどうだったか教えてくれな」
悪戯な調子で言って別れ、
「これを見たらびっくりするかなぁ」
「びっくりするかな。鼻がいいからすぐバレそうだけど、でも分かってても驚きそう」
待っているだろう大切な人達の反応を想像して、わくわくしながら帰りの道を急いだ。
マスターコメント
参加者の皆様、参加して頂き大変ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
そっくりスイーツだけでなく普通の料理に舌鼓を打って頂いたり誰かと賑やかなひとときを過ごして頂いたり店のお手伝いをして頂いたりと、まったりと過ごして頂き、ありがとうございました。
ほんの僅かでも楽しんで頂ければ、幸いです。
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜10人
2023年10月26日 13時05分38秒 公開
大成功
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