【古砦】復興杯クリーパー掃討戦
七海真砂
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シナリオID:3224
オープニング
だが、シャルト内は依然としてクリーパーが徘徊しており、危険の多い状態である。
「クリーパーと遭遇する度に復興作業の手が止まってしまうのです」
「ふーむ。一度、クリーパーと戦い、掃討しきってしまった方が良さそうだな」
シャルトに駐在している兵士達の隊長のボヤきを聞いたクーネさんは、そう隊長と頷き合う。
「どうせなら、部隊ごとに競い合う要素も入れよう」
「と、言いますと?」
「第一回、復興杯クリーパー掃討戦! ……ということにして、倒したクリーパーを競う事にしようじゃないか。各チームには冒険者にも参加して貰い、優勝したチームには名誉と『ちょっといい晩御飯』を進呈だ!」
ちょうど補給の荷物が届いたばかりだからな、とクーネさんが笑う。
新鮮な牛肉があるから、優勝チームは牛の丸焼き食べ放題で、他の面々は焼肉定食……くらいの差をつける算段らしい。隊長は苦笑いしつつ、しかし若い兵士が多いので盛り上がる者は盛り上がるかもしれない、と呟く。
という訳で。
「クリーパーを掃討するぞー! お前達、良い肉が食べたいかー!?」
「おー!」
シャルトに滞在してしばらく。娯楽の少ない生活を送る兵士達は、なんだかんだと盛り上がっているようだった。
解説
マスターより
リプレイ
盛り上がる兵士達の様子を見ながら、トーラは成程と感心していた。早速、参加するチームの兵士達と合流すると、作戦会議に取り掛かる。
「トーラさん、よろしくお願いします!」
「アルベルトさん! こちらこそ!」
一緒に組むアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトも気合は充分。その隣に入りながらトーラが「最もクリーパーが厄介な場所はどこでしょうか」と尋ねると、
「厄介……そうですね……中型クリーパーがよく目撃されているエリアが、厄介と言えば厄介でしょうか」
兵士達は顔を見合わせ、頷き合いながら答える。兵士達の中には授恵者もいるが、一般人も多い。中型に遭遇すると対応しきれない事も、しばしばあると言う。
「でしたら、そこの攻略を今回の目的にしてはどうでしょう?」
こうして競技の形は取っているが、実際にはクリーパーを掃討するのが目的なのだから、この機にそのエリアを攻めてはどうだろうかとトーラが提案すると、アルベルトも頷いた。
「そうだな、徹底的にクリーパーを掃討する為には避けて通れない場所になるはずだ。それに……大物は高得点だからな」
後半は、ニヤリと笑いながら告げるアルベルト。大変かもしれないが、そこは『腹いっぱいの旨い肉』というご褒美が待っている。
「そうですね」
「やりますか」
兵士達も、せっかくなら大物狙いという方針に頷き返す。
「なら怪我に備えて要所にヒーラーを配置する形で布陣しようぜ。偵察班はトーラさん、頼めますか?」
「勿論です」
先行する偵察班をトーラが率い、本陣の指揮官にアルベルトが加わる形を整えると、一行は中型クリーパー討伐に向けて動き出した。
一方、拠点近くの手近なクリーパーから順に討伐を開始しようと動き出したチームがいる。
「よっしゃ! 牛の丸焼きは俺達がいただくぜ!!」
「「「うおおお!」」」
ハヤト=ガラン=ヴォルファングの声に盛り上がりつつ、早速武器を掲げて進行する兵士達。共に組むヴィルヘルミナは小型クリーパーを発見すると、すぐさま包囲の合図を出す。
(単体で動いているクリーパーはそのまま包囲し、集中攻撃で倒してしまいましょう)
こちらには数の利がある。それを最大限に生かして戦いを進めようとするヴィルヘルミナの方針を一瞬で理解すると、ハヤトは弓兵と魔法兵に援護射撃を呼び掛けた。
「あとは、見える敵だけに気を取られないように注意な」
「はい!」
五感を総動員して、頭上から周囲を俯瞰しているような視点を得つつ探知用のエーテルを走らせ、新手のクリーパーがいないかチェックしながらハヤトは同様に索敵を担う兵士達に呼びかける。
この辺りならば、遭遇するクリーパーは小型のものばかりだろう。敵が単体の場合、複数の場合、どちらの場合も想定しながら柔軟に動けるような陣形の維持を心掛けつつ、クリーパーを退治していく。
(あとは、ペース配分ですか)
兵士の皆とクリーパーの戦力比を考慮し、無茶しない戦い方になるようヴィルヘルミナは常に念頭に置く。今はまだ大丈夫そうだが、
(一歩間違えれば、夕方まで持ちませんからね)
若い兵士など、逸った者が途中で失速するのはままあること。だからこそ、そうならないような戦い方を考え、呼びかけていくように心掛ける。これはヴィルヘルミナだけでなく、ハヤトも同様だった。
「よし、次! 第二陣が前に出て倒す……行くぜぇ!」
「今後のことを考えますと、兵士の皆さんが中心になって動き、いろいろ進めていく方がよろしいのではないかと」
「なるほどな」
最後のチームの元では、バル・ヌール・スケアクロウの囁きにベルク・オスマットが頷いていた。
経験は、何よりも力となる。折角の機会だからこそ、ここは兵士達のレベルアップになるよう最大限に活用したい。その考えはベルクとしても大変よく理解できた。
「では、我らはどこをどう攻めるか考えていこう。何か案はあるか? ……ああ、そう肩肘張らずに気楽に行こうではないか、確かにこれは競争だが、本来の目的はシャルトの開放だ。優先順位を見誤るでないぞ?」
ベルクは前に立つと、兵士達にそう呼びかける。もちろん負けるつもりもないが、何よりも大事なのはシャルトにいるクリーパーを無事に掃討し、この地をしっかり取り戻すことにある。
「そのために何が必要か、皆で考えようではないか」
呼びかけに兵士達は頷くと、その為にどう動くのが良いか、口々に意見を述べる。クリーパーを倒すにしても、どこの、どんなクリーパーを優先して倒すべきだろうといった提案が出て、次第に意見が纏まっていく。
「このシャルトは、帝都奪還の際の拠点にもなるはずです。帝都は北にありますから、シャルト北部にいるクリーパーの掃討を優先してはどうでしょうか」
「確かに。今拠点はシャルトの南側にありますが、北部にも拠点を設営できると便利でしょうね」
頷き合う兵士達の様子に、じゃあそれでいきましょう、とバルが頷く。普段索敵を担っている兵士が前に立ち、前衛、後衛とそれに続く形で布陣すると、その合間にベルクとバルも加わる。
「北部に向かうルートも、物資の運搬を視野に入れて道幅を確保できそうな場所を選ぶのが良さそうだな?」
「はい。地図のここを、こう通っていくのが良いのではないかと」
ここに滞在している兵士達が自ら選んだルートだ、きっと良いルートに違いない。そこを進みながら、クリーパーの掃討に取り掛かる。
「ヴィルヘルミナ・ハヤト組、更に2点獲得……ここまでの獲得点数は、お二人のチームが一番多いですわね」
「作戦会議をじっくり行っていたバル・ベルク組はここからの追い上げに期待、という感じか」
各チームからの報告を受け取り、点数を付けていたアンゼリカの言葉に、クーネさんがチームごとに個性があって面白いなと笑いつつ、「それじゃあ私もそろそろ」と立ち上がる。
「あら、クーネさん、どちらへ?」
「いやなに、ちょっと夕食の用意に」
せっかくだから西の砦跡で夕陽を見ながら夕食を、というプランらしい。牛や調理道具を担いだ調理班と共に出かけていくクーネさんを見送るアンゼリカの元へ、またクリーパーを仕留めたことを知らせに伝令が走って来る。
「クリーパーです! 一体……いえ、その先にもう一体、二体います」
北を目指して移動中のバル・ベルク組は、クリーパーに遭遇していた。索敵を担う兵士の報告に、「手前のクリーパーから倒しますか?」とバルは兵士達を振り返る。
「そうですね、そうしましょう。その間……」
「遠くにいるクリーパーは弓で牽制しましょう。弓が効かなければ、魔法で」
自ら動き出す兵士達の様子に、バルも頷いてエーテルブレードで牽制役に加勢する。一方、ベルクは身軽で足の速い兵士達と共にクリーパーを囲むと、嵐爪牙で先手を取った。
「先手必勝とは言うが、実際こうして被害を抑えながら戦えるからな」
このように腕を切り落とせば、敵の攻撃を削ぐことができる。足を潰せば機動力を削ぎ、それだけ包囲殲滅しやすくなる。ベルク達が戦闘力を削いだ相手に向かって、本隊が攻撃を仕掛け、見る間に追い込んでいくと、
「次、向こうへ……」
「北から更に接近してくる小型クリーパーがいます」
「部隊全体を前進させ、牽制役も先へ進ませよう」
兵士達は、刻一刻と変わる状況を見ながら判断を下し、部隊を先へ進ませる。その一つ一つが良い経験になるだろうと、バルとベルクは密かに視線を交わしつつ、クリーパーへ攻撃を繰り出した。
「向こう、新手が……飛んできます、中型です!」
「おーっし、引き付け役は俺に任せな!」
小型クリーパーの群れを切り拓いていたハヤトは、報告を耳にすると、すぐさま中型の方へ駆けつけ跳び上がった。
「うるぁ!」
一瞬のうちに身体能力のリミッターを外し、紅雷纏う暴雷の竜巻と化したかのような連撃を繰り出すハヤトに、中型クリーパーが羽ばたいて体勢を立て直すと、すぐさま反撃を繰り出す。
「ヴォルファングさん!」
「なに、こんくらい掠り傷だぜ」
攻撃の軌道を瞬間的に見定めて回避行動を取ったハヤトは、そう笑って平気だと告げると、中型クリーパーを見据えたまま身構える。その間に、近くにいた兵士達が続々と中型クリーパーを射程に捉えた。
(一体だけですし、ヴォルファングさんが攻撃を引き付けて下さるなら、私達だけでも倒せそうですね)
ヴィルヘルミナは冷静に戦力を見極めると、自らも月虹にエーテル光を纏わせて長大な刃と成しながら構えた。同時に不可視のエーテルが張り巡らされていく中、兵士達が周囲のクリーパー達へ攻撃を繰り出す。
その攻勢の波が一瞬途切れた瞬間、月虹が煌めいて辺りのクリーパーを一斉に切り裂いた。
「敵の数が多いと厄介です。小型クリーパーを確実に仕留めてしまいましょう」
「はい!」
ヴィルヘルミナが周囲の兵士達と共に小型クリーパーの群れを倒していく間に、ハヤト達は中型クリーパーを包囲する。ヒーラーからの援護を受けながらハヤトが中型クリーパーと組み合い、その背に兵士達が渾身の一撃をぶつけていく。
「しぶといな……だが、こいつは魔法に弱そうだ」
魔法だ魔法、ガンガン行け! と檄を飛ばすハヤトの声に魔法が降り注ぐ。弱点を突かれた中型クリーパーは一気に追い詰められ、離脱を試みるが、兵士達の敷いた包囲網がそれを許さない。
「行くぜ、十二連撃だ!」
反対にハヤト達の連携攻撃が決まり、クリーパーは地に叩き落とされる。
「怪我があれば見せてください」
小型クリーパーを仕留めたヴィルヘルミナがすぐに周囲へ呼びかける。クリーパーを掃討するのは大事だが、かといって重傷者を出してしまっては本末転倒である。僅かな傷でもきちんと手当てし、それからまた前進する。
「貴様等を掃討するぜ! さあ皆、行くぞ!」
アルベルトはシュトルツを抜くと、周りの兵士達と共に一気に中型クリーパーへと攻め込んだ。トーラは「皆さん、お気を付けて!」と呼びかけながら、CPPスタッフを振るう。
にゃにゃにゃにゃにゃーん!
どこからともなく猫の声が聞こえて来そうな、そんな肉球のファンシーなエフェクトが辺りに散る。
そんな援護射撃を受けながら、前衛が中型クリーパーとぶつかる。刃のような部位を叩きつけるもの、光の粒子を放つもの、影を伸ばして攻撃してくるものなど、様々な形で反撃を繰り出す中型クリーパーを前に、兵士達の足が思わず止まる。
だが、
「無理はしなくていい。下がるんだ。だが動ける者は次の一撃を……行くぞっ!」
ムーティヒとウンボイクザームで多くのダメージを防いだアルベルトは、兵士達に呼びかけながらシュトルツを握る。負傷した兵士が下がり、ヒーラーの手当てを受ける一方で、入れ替わりに前へ出た兵士達がまた、攻撃を繰り出す。
「離れてください、纏めて撃ちますよ!」
「わかったぜ!」
アルベルト達が道を開けたそこへ、トーラのタイダルストリームが駆け抜ける。続けざまに魔法を用いる兵士達が呪文を唱え、着弾した矢が爆ぜた。
「よし、もう一度だ!」
巻き込まれないよう間合いを取っていたアルベルトは、瞬間的に加速して攻撃に転じる。威力を重視した鋭い一撃を叩き込み、反対に繰り出される敵クリーパーの一撃を、エーテルを収束させて纏い、防御性能を瞬間的に高めて凌ぐ。
「畳みかけるぞ!」
矢とヒールが降り注ぐ中、アルベルト達はもう一度構える。
――中型クリーパーとの戦いは、苛烈なものになった。重傷者を出さないよう、負傷した兵士には下がって貰いながらの戦いを選択したことで、第一線に立ち続ける者達の負担と疲労は増していく。
それでも。
「……やったぜ!」
遭遇した中型を仕留めると、アルベルトやトーラを筆頭に、皆の顔には笑みが広がった。
「――集計の結果を、発表いたしますわ」
そうして倒したクリーパーの得点を集計した結果を、アンゼリカが発表する。
最終的に勝利したのは、アルベルト&トーラ組だった。中型に標的を絞って戦うという方針が大きかったらしい。多くの負傷者を出しながらの戦いではあったものの、重傷を負った者はおらず、明日以降に大きな支障は出ないだろう。
反対に負傷者が最も少なかったのはヴィルヘルミナ&ハヤト組だ。戦力の配分にも気を遣っていた二人の組み合わせが、良い方向に働いたようだ。
「優勝はできなかったが――得た物は多そうだな」
「そうですね、今日が皆さんの良い糧になれば何よりです」
ベルクは、ほんの少しだけ残念そうな口ぶりだけれど晴れ晴れとした顔で、バルと頷き合っている。二人のチームは兵士達自身が主体となって小型クリーパーを多数撃破していた。正直に言えば、上手く事が運ばなかった所もある。だが、それを次はどう改善すれば良いだろうか……と語り合っている皆の姿には、十分な収穫があるように思えた。
「では、夕食の準備も手伝いますよ。運動した後ですから、味は濃い目の方が良いですかね?」
「そうですね、しっかりした味付けを好む人が多い部隊なので……」
この位でいきましょう、という調理班の采配に頷き、バルはそれに倣って味付けを手伝う。
じゅう……じゅう……じゅうじゅう……!
支度されていた牛の丸焼きが食べ頃になる頃、焼肉定食の準備も整う。美味しそうな匂いが漂う中、
「皆、今日はお疲れさんだ! さあ食おうぜ!」
蜂蜜檸檬水を注いだグラスを手に、ハヤトが号令を取れば、勝者もそれ以外も一緒になって肉へ手を伸ばす。
「ヴィルヘルミナもお疲れさんだ。クーネも準備してくれたんだって?」
「うむ、炊飯の水加減はかなり上手くなったぞ!」
モチモチに炊けたご飯を構えて見せるクーネさんである。
「――こうして、皆で食べるのはいいものだな」
「だな!」
西の地平線を見れば、赤く染まった夕日が沈んでいく。燃えるように真っ赤に染まった夕日は、とても綺麗だった。
そこに吹く一陣の風は、ひんやりと戦いの後の身体を冷やしてくれる。
「もう、すっかり秋の風ですね……」
トーラは呟く。帝国の秋は短い、すぐに、冬がやって来るだろう。
――そして、戦いもまた、きっとすぐそこに迫っている。
「トーラさん、はい」
「あ、ありがとうございます」
そんなトーラに、アルベルトが肉を渡す。今のうちにしっかり食べて備えておこう、という呟きに、そうですね、と頷き返して――北の空を見る。
薄闇の帳が降り始めた北の空には、一番星が見えていた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜8人
2023年10月02日 16時08分47秒 公開
相談掲示板
好きに狩ってもよい、ということなのでご参加しますー バル・ヌール・スケアクロウです、頑張りましょうねー
シーフのトーラです。 よろしくお願いします! 決めなくても割り振っては貰えるそうですけれど、決まっていた方が作戦もたてやすいと思うのでどなたかペアを組んで貰えないでしょうか? シーフなので宗波などでの索敵が出来ます。 戦闘では接近・遠距離両方行けますけど、どちらも魔法攻撃になります。
ヴィルヘルミナです。今回はよろしくお願いします。 とりあえず端数にはなっていないので、参加者でペアを組む感じですか。 小型を中心に狙うか、中型で大物狙いにいくかはやる人次第ではありますけど。 兵士の方々もいますので上手く連携したいものですね。
兵士さんの運用が肝になる感じがしますねー? やる気の引き出し方とか戦い方とかー? 今後を見据えた流れも考えたほうがいいのかもしれませんね
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 今回俺は、大物狙いで行くつもりだ。 接近物理攻撃一辺倒だが、こんな俺で良ければ誰か組んでくれないか?
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 索敵ができる物理特化だ。 ちなみに小型狙いで行くつもりだ。
おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! クリーパー退治で競い合いか、面白ぇ!! 良い肉はゲットさせて貰うぜ♪ っつーわけで、俺も索敵可能で物理特化タイプだな。 組み分けとかすっか?
アルベルトさん、よろしければご一緒しませんか? 大物狙いなら索敵や小型散らしで力になれると思います。
>トーラさん こちらこそ是非よろしくお願いします!
ありがとうございます! では同行するプレイングを出させて貰いますね。 今回は杖装備で、範囲魔法とヒールを持って行こうと思います。
>組分け 綺麗にウォーリアとシーフで半々ですからね。 全員その組み合わせでいくか。あと二組をウォーリアとシーフ同士で組むか。 決めなくても適当に振り分けはされる訳ですが。