【泥乱】苦悩の大酋長と、若気の至り
空色みなも
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シナリオID:2988
オープニング
「やっぱり、アシムベート様は分かってねえ」
「……だな。巫女様のおっしゃるように、今こそ私たちは戦うべきだ」
ずんぐりとした赤と、細身の青。
リザードマンの若者二人が、湿原を往く。
赤い鱗の若者が零した名。
それは彼ら二人も属するギシュム族の酋長、アシムベート・グリオウのことを指していた。
ギシュム族が『この』封印地帯の管理を担っていることから、アシムベートは大酋長とも呼ばれている。
そう、二人の若者は。
大型クリーパー『泥血啜る月吸蟲』を閉じ込める封印地帯を訪れていた。
封印地帯には強力な魔獣、クリーパー、アンデッドも生息しており。
定期的に行われる封印強化の儀式時以外は、こうした敵性存在にも無暗に手出しをしないのがしきたりであった。
だが、二人は儀式の期間でもないのに封印地帯に立ち入っており――。
「おらっ!」
「……貰った」
赤い若者の槍が一体のクリーパーを串刺しにし、青い若者の弓がそこに止めとなる矢を送り込んだ。
と、このように敵性存在と戦っている。
リザードマンの持つ価値観における目標。
それは、戦いを通して強い魂を得て。
最終的に、竜へと至ることにある。
本来、それは輪廻転生の中で行われるとされてきた。
だが、現世でも力を得れば竜に届く――そう説く者がいた。
それが新たに征竜の巫女を名乗って現れた者――イネス・コンテスティ。
若者たちは彼女の言葉に共感し、こうして封印地帯へ修行にやって来た、というわけだ。
自らの力を信じ――護衛をつけることもなく。
「へっ、封印地帯もオレたちにかかりゃ恐るるに足らねえな」
「……ああ、もう私たちは冒険者に助けられてばかりだったあの頃とは、違うのだ」
などと二人が勝ち誇っていると。
影が、落ちた。
空を見上げた先に居たのは、まるで竜のような――。
そう思った瞬間。
二人の脚に、鋭い痛みが走った――。
●
時は少し遡り、ギシュム族の集落。
「ぬんっ」
アシムベートの大剣が、太い藁束を斬り飛ばした。
「……儂も焼きが回ったものだな」
藁束の断面を検めたアシムベートが、ぽつり、呟く。
その切り口には、乱れが見られる。
全盛期であれば、より切れ味も鋭く剣を振るえたものを。
戦士としての力だけではない。
アシムベートの求心力は、落ちていた。
これも、彼がヒューマン国家どうしの争いに独断で加担しようとしていたことに起因する。
そのうえ、もし戦士としての立場も落ちてしまったとすれば。
この先、大湿地帯のリザードマンたちをどうまとめあげていけばいいのか――。
「訓練中、失礼します。至急の要件につきご無礼をお許しください、アシムベート様」
そこへ灰の鱗を持つリザードマンが険しい顔をしてやってくる。
彼はサディーク・アルトゥフーラ。
求心力の衰えるアシムベートに今も忠義を感じる、ギシュム族の戦士だ。
「実は、部族の若者が二人だけで封印地帯へ向かったらしく――」
「なんだと? そのようなこと――慢心もいいところではないか」
サディークの報告に、アシムベートは天を仰ぐ。
せめて、自分たちの力を過信することなく、冒険者を護衛につけるのであればまだ危険は防げるだろう。
だが、たった二人の若者であの封印地帯へ立ち入るとは――。
アシムベートには分かる。
それは、自殺行為にも等しい。
若者であっても、よく訓練され自身の力を分かっている者は、そのような無茶はしていない。
「しかし輪廻転生の末にではなく、現世で竜へ至ろうとは。それでは、まるで――」
「……ラスリャマスを、思い出しますね」
歯噛みするアシムベートの言葉を継いで、サディークが口にした名前。
ラスリャマス。
同族や、その卵を生贄にする儀式によって、現世で竜への到達を目指した男。
もとはギシュム族出身のリザードマンであったが、メドゥの指先幹部として活動していた。
竜へと至るという目論見は失敗に至り、冒険者により討伐されたが。
過程において、多くのリザードマンや卵が犠牲になった。
その事件が、およそ二年前。
現世で竜となろうとすることそのものを、とやかくは言えまい。
だが、かつてそれを目指した男の辿った末路を思えば、アシムベートが嫌な予感を覚えるのも無理はなかった。
「儂が行こう。無謀が過ぎる者たちとはいえ、未来ある若者をここで失うわけには、いかん。連れ帰って、よく叱ってやらねばな」
「ですが――」
大剣を携え封印地帯に向かおうとするアシムベートに、サディークは何か言いたそうにしたうえで、口ごもる。
「……分かっている」
その言わんとするところを、アシムベートは察していた。
彼の衰えた力では単身、封印地帯へ向かったところで若者二人と同じ轍を踏むことになる。
たとえアシムベートが未だリザードマン屈指の力を持つにせよ、封印地帯を単独で捜索するには不足だろう。
「冒険者に依頼を出すのだ。だが、それでも儂が向かうのは変わらん」
「ならば俺もお供しますよ、アシムベート様」
アシムベートの顔つきからも、覚悟を見て取ったのか。
サディークは深く頷いて、自らも同行を申し出たのだった。
解説
マスターより
リプレイ
冒険者たちがリザードマンの若者二人を目に入れたとき、彼らは竜飛虫――の幼虫が持つ鋭い顎に脚を締め付けられているところであった。
(若気の至り――で終わらせるには些か引っかかる状況ですが)
その状況を前にして、真っ先に動いたのはラモンであった。
「ええ、まずは現状の打破。不肖の身ながら精一杯、力を尽くしましょう」
ラモンの体内を駆け巡ったエーテルが、彼の反応速度を飛躍的に高める。
その直後に、成虫の一体に輝く印が刻み込まれていた。
光印は、成虫が吐息に込めようとする魔力をかき乱していく――。
「幼虫らしいものは泥の中から彼らに噛みついているようだな。他にも潜んでいるかもしれない」
エーテルの波動を走らせ、沼をくまなく索敵するのはレピド・クロサイト。
「見つけた。左右に二匹ずつだ。正確な方向と距離はラモンの――」
結果、隠れた四体の幼虫が、レピドにマークを受けた。
「ここからでは同時回復はできないわね……二人とも私のそばに急いで! 怪我を治すわ!」
ロゼットが若者二人へ駆けつけるのを、沼地における足下の悪さが阻んでいた。
仲間の冒険者が水上歩行の魔法を用意していると聞いている。
それを待って動けば、若者二人を同時に回復しにいくだけの機動力が得られそうであるため、術の完成まで待機することにするが――。
怪我人を目前にして、すぐに動けないというのはいかにももどかしい。
「だ、大丈夫ですか……!?」
ゲルダ・クラインが前方へ進み出て、護りを固める。
そのうえで一体の成虫へ向け、殺気を飛ばした。
「思ったより素早いのですね……!」
しかし空を飛び回る成虫に対して、防御に意識を割いたゲルダは微かに手許が狂ってしまったようだ。
成虫は空中を滑るように殺気をかわしてしまった。
「やってくれやがる……!」
「くっ……」
直後、成虫が吐息を若者たちへ浴びせかけた。
ラモンによって光印を刻まれた成虫のブレスはどこか弱弱しく、赤の若者を僅かに傷つけるに留まる。
しかし青の若者が受けたブレスは強力で、まさしく青色吐息といった状態まで追い込まれることになった。
そのうえ身体を蝕む毒性のエーテルまでおまけについてくる。
「だから無謀をしてはならんと……!」
「俺たちが前に出て離脱を助けましょう」
アシムベート・グリオウとサディーク・アルトゥフーラが全力で走り、それぞれの若者のもとへ辿り着いた。
移動だけで手いっぱいなため、幼虫に切りつける余裕すらなかったが、注意は分散させられたようだ。
若者二人は、入れ替わるようにして後ろに下がって来る。
(これも俺に何ができなくて、足りないのか知る機会だ)
ここでペルゼィックの術が完成する。水上歩行の魔法だ。
戦闘態勢において動き回る自由度の確保のためもあって、効果範囲に収まっていたのはペルゼィックを含めた四人であった。
本人の他、効果を受けることができたのはラモン、レピド、そしてロゼット。
「あの二人には俺がより一層、強くなる為の糧になってもらうぜ」
さらにペルゼィックが鞘に魔法理論が刻まれたレイピアを天に掲げると。
成虫――まだ光印の刻まれていない、やっかいな側――の周囲に、稲妻のようなエーテルが荒れ狂った。
雷光に翅を絡めとられることで、成虫は飛行を妨げられているようだ。
しかしここで幼虫が動いた。
若者と入れ替わりで現れたアシムベートとサディークに幼虫が噛みついてくる。
「来るぞ」
泥の中に潜んでいた幼虫のうち、二体はやはりアシムベートとサディークへ向かうが、それを察知したレピドが忠告し、不意打ちとなる事態は避ける。
攻撃そのものは受ける形となるが、頑強なアシムベートとサディークには、まだ多少の余裕はあるようだ。
「このくらい……!」
さらなる一体はゲルダに噛みついていた。
しかしいかに幼虫の顎が強力であるといっても、ゲルダの装甲を貫くことは能わない。
問題は最後の一体。
これは泥の中を進んで、若者たちを追いかけていた。
弱った者を狙うのが狩りの基本とでもいうのか。
幼虫は青の若者を狙って、その顎を伸ばした。
「があっ!?」
脇腹を貫かれ、青の若者もいよいよ膝をついてしまう。
「お待たせ……! ここからは私が治療するから、安心して!」
水上を走るロゼットが若者たちに駆け寄ることを、阻むものは今やない。
ロゼットから広がる癒しのエーテルは、眩く温かい陽光を思わせて。
若者たち二人の受けた傷をまとめて塞いでいく。
二人の負傷は重く、全てを癒しきることはできなかったが、少なくとも青の若者を立ち上がらせることはできた。
「どうやら効果があるようですし、もう一匹にもかけておきましょう」
ラモンが今度はもう一体の成虫へ光印を刻む。
この光印は維持される力も極めて高いため、しばらくは成虫の脅威が大きく下がると見ていいだろう。
(……そういえば、リザードマン以外は魂を磨いても竜になれないものなのだろうか)
水上でバランスをとるレピドは弓に矢を番え、竜にも似た姿の魔獣を見上げて思う。
これは後で耳にすることになるのだが。多くのリザードマンの思想においては、他種族との混血や、先祖返りをして生まれた見目の違う子についても、魂の階梯を上がろうと努める限りにおいて特に区別しようとはしないようではあるらしい。
「なんにしても、今は魔獣の数を減らさないとか」
レピドが矢を番えた手を離すと、弓から鋭く飛び出した矢が成虫の一体を穿った。
「まだもう少し治しておいたほうがよさそうね。傷が深いわ」
ロゼットは青の若者を癒しの光で包み、念入りに治療を施しておく。
「今度こそ……! お相手は、わたしです!!」
ゲルダは諦めずに殺気を飛ばし続け、ついに一体の成虫から注意を得ることに成功した。
激昂した成虫は、ゲルダの近くまで降りてきてブレスを吐きかけてくる。
周囲が巻き込まれないような位置取りを工夫していたため、攻撃を一手に引き受けるゲルダ。
毒性のエーテルこそやっかいだが、この段階でゲルダはまだまだ体力を残していた。
そしてもう一体の成虫はといえば、ペルゼィックの設置した雷光に移動を阻まれ、そこから抜け出すだけで時間をとられてしまったようだ。
アシムベートとサディークは、目前にいる幼虫にそれぞれ切りつけている。
流石リザードマン有数の戦士だけあって、アシムベートの大剣による一撃は重い。
しかし、見る者が見れば――その剣筋には衰えが見られることが分かったかもしれない。
若者二人は魔獣から執拗に追われているため、冒険者たちの後ろへと下がるように移動していく。
「そっちにも魔法をかけておいてやる。いざとなったら尻尾巻いてでも全力で逃げろ」
そこへペルゼィックが合流し、水上歩行の魔法を若者二人に施した。
幼虫たちはここで泥の中へと潜ってく。
隠れたつもりのようだが、一度マークした獲物を見失うほどレピドも甘くない。
さらに、成虫に鋭く矢を射かけつつ、残りの二体へもエーテルの目印をつけ。
冒険者たちへ、その位置を常に伝えるようにする。
「ちょっと失礼しますよ」
ラモンは若者二人がイネス・コンテスティに誘惑作用を受けている可能性を憂慮していた。
若者のもとへ駆け寄り、そっと触れてみる。
精神感応を無効化するよう働きかけてみるも、若者たちの様子に変化は見られない。
もとより、今のところ冒険者たちの指示には素直に従うようではあったが――。
「あの方は精神感応の能力は使っていない、ということでしょうか?」
ゲルダもイネスに対しては疑念を抱いていたようだ。
彼らが強くなるために協力したい――と言いながら、イネスはリザードマンという種族の中に亀裂を入れるような行為をしている。
ゆえに誘惑の能力を持つある人物の関与も疑った――が、現段階で若者たちは単にイネスの言葉に動かされているようであると感じられた。
「何を確かめるにしても、まずは無事に帰らないといけませんね……!」
ゲルダはもう一体の成虫にも殺気をぶつける。
相手が自身へ執着を抱いたことを確認し、巨大な光の塊をまとった大剣を近くにいる側の成虫へと見舞った。
そして光塊は沼地に潜んだ幼虫も同時に叩き出す。
「レピド、位置を教えて。泥から弾き出してやるわ」
「左手に一匹いる」
不安定になる姿勢を平衡感覚で補いながら、ロゼットがレピドから教わった位置へ向け棍を薙ぐ。
沼を抉るように振るわれた棍は、泥をはねながら幼虫を宙へと舞わせた。
「まずは数的有利が欲しいからな」
ペルゼィックがゲルダの周囲に群がる魔獣たちへ小さな光球の群れを差し向ける。
制御が難しい魔法ゆえ、一体の成虫にはかわされてしまったが、他に対しては命中。
流星のように尾を引いて降り注ぐ光が、魔獣を貫いていく。
さらにペルゼィックはいざという時の足場にできるよう、魔法で鋼鉄の壁を生み出しておいた。
幼虫に背後から強襲を受けないよう、俯瞰するような視点を得て周囲に注意を払うのも忘れない。
「こうなれば、後は魔獣を倒しておくだけですね」
ラモンが水上を疾駆する。
ゲルダが注意を引いているおかげで今、成虫たちは地上から手の届く位置まで降りていた。
その一体へ向け禍々しいエーテルをまとった暗器を突き刺すラモン。
全体重を乗せた一撃。
針を通してエーテルが成虫へ浸透し、その体を強烈に蝕んでいく。
「逃がしません……!」
ゲルダが成虫の一体を鎖で絡めとる。
流れるように振るった大剣のまとう光塊が、魔獣たちを飲み込んだ。
「あと一押しという感じね。加勢するわ」
ロゼットはそこから少し離れた位置にいたが、魔法の矢を飛ばすことで、弱りつつある成虫の体力をさらに削っていく。
「っと、少々、油断しましたか」
その一方で、汚れた吐息がラモンを包み込んでいた。
成虫がゲルダを狙って浴びせかけたものだが、そこへ近づいていたために、巻き込まれた形だ。
捨て身の攻撃を繰り出した直後であるだけに、得意の回避も難しくなっていた。
一撃を貰った段階で流石にまずいと思ったか、二度目の吐息をラモンはなんとか見切って難を逃れた。
「こっちのほうがより確実だな」
弱った成虫に追い打ちをかけるように、ペルゼィックが魔法の矢を撃ち込む。
単体に対してならより精度も威力も期待できるためだ。
ラモンがさらに一体の成虫も毒性のエーテルで侵しておき、後方へ離脱する。
レピドによる鋭い一矢が、弱った成虫に吸い込まれ――。
「まずは一匹です……!」
ゲルダが予備動作を極力排した一撃を繰り出した。
守りを固めていても、この一撃は正確に成虫を捉えることができ。
一体の成虫を、泥沼に墜とすことに成功した。
敵の数さえ減らせば、今まで以上に苦戦することはない。
冒険者たちは、次々と魔獣を斃していき――。
●
「そこだ」
レピドの精密な射撃が、最後の幼虫を泥から弾き出す。
「これで終わり、だな」
幼虫が飛び出した瞬間を狙い、ペルゼィックが魔法で撃ち抜いた。
これにより幼虫は沈黙――。
「目に見える範囲に敵はなさそうだ。急いで撤退するぞ」
一通りの敵が片付いたのを見て、ペルゼィックは全員に水上歩行の魔法を施していく。
これにより、冒険者およびリザードマンたちは速やかに現場を離れることとなった。
「まずはみんな無事でよかったわ。でもね……戦いを通して強い魂を得る、リザードマンが信じる言葉と聞くわ」
ロゼットはアシムベートと若者二人を交互に見て告げる。
「あの沼地は貴方たちの同胞と、私たちが共に戦って封印を為した場所。その場所を荒らすような蛮勇で、強い魂が得られるのかしら? 腕力や技術じゃない。心の鍛錬を、私は見つめ直すべきだと思うわ」
ロゼットが若者二人の目を見て語りかけると、二人は返す言葉もないといった様子で、静かにうなだれていた。
流石に、自分たちの今回の行為が蛮勇であるということは、結果から理解できたらしい。
「王国で育ったハーフリングのわたしは、リザードマンにとって竜とはどのような存在なのかをきっと、正しく理解することができないのだと思います――それでも『竜になりたい』という想いが本物だということは、わたしにも分かります」
ゲルダの言うように、リザードマンの竜への想いは、なかなか他種族には理解し難いところがある――のだが。
「でも、このやり方で本当に竜になれるのでしょうか? 強く、なれるのでしょうか? わたしはまだまだ未熟で、足りないものがたくさんある。けれど、足りないものが何かをしっているから、強くなれる。闇雲に戦って得られるものは、きっと、強さではありません」
ゲルダにそう言われて、若者たち二人が口を固く結んでいるのは、おそらく。
その言葉を強く噛みしめているからこそなのだろう。
「俺はリザードマンじゃないから的外れなことを聞くかもしれないが……竜へのなり方は本当にそれで合っているのか?」
レピドが若者二人へと説くには、ただひたすらに戦う『だけ』でいいのなら、巷にはもっと竜が溢れているだろう、と。
「……それと、神話では竜も人も協力してクリーパーに対抗していたと聞く。なら、協力しあうことは、決して魂を磨くことの妨げにもならないんじゃないか?」
若者二人に欠けているのは協力しあう心であると、レピドは二人に諭したのだった。
「いえ、征竜様の巫女だという女性を疑うようなことは良くないのかもしれませんが――それは彼女が本物であればの話。それを騙る不届きな女性――の可能性も、考えたほうがよろしいのでは?」
と、ラモンに指摘されて、若者二人はハッと目が覚めたような顔をする。
リザードマンであるだけに、目から鱗が落ちたというべきか――。
「この後、帰ったら剣でひとあわせ願えねぇか」
ペルゼィックはアシムベートの巨躯を見上げながら、手合わせを申し込んだ。
「う、うむ。しかし今の儂は……」
「今の俺が、どのくらいの力があるか知りてぇんだ」
言いよどむアシムベートの瞳を、ペルゼィックが真っすぐに射抜く。
「そうか、今の力を知る……それは儂にも必要なことかもしれんな」
アシムベートが、遠くを見つめるようにふと天を仰いだ。
「昔のことは俺が生き返る前の話だ、なんとも言えない。ただ。『今』彼らを助けにきたこと、俺たち冒険者を頼ってくれたことは決して間違ってないと思う。サディークも、そんなアンタだから信じられるんだろう。大丈夫だ。一度、崩れた物もまた積み上げていけばいい」
最後、レピドの言葉に背中を押され――。
「よかろう。この後、望む者には手合わせをしよう。そして、そこの二人。お主らも性根を叩き直してやろうではないか」
アシムベートにそう釘を刺された若者二人が、申し訳なさそうに縮こまったのだった。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準5 / 4〜6人
2023年05月31日 09時59分42秒 公開
相談掲示板
ヒーラーの神官戦士ロゼット、参加したわ。 移動力の低下する沼地での戦い、飛行やウォーターウォークを 無しに考えたら、移動力はおよそ半分という感じね。 魔獣の移動も長そうだし、魔獣を倒してからの撤退になるかしら。 私に出来そうなことは、近接戦闘の他だと、 赤青リザードマンの負傷回復に、飛行する成虫に魔矢の射撃かな。 低空飛行の高度1は地上から20mまで、射程で言えば4以上ね。 あと泥隠れする幼虫への対策が、私の技能じゃちょっと難しいわ。 ひとまず、依頼の成立を願ってるわ。
レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 成立するといいが…… 魔獣を倒してから撤退を進めるのには賛成を。 個人的には……索敵なら任せろ、どれだけ隠れようとも宗波で見つけ出してやる。 後は普段の近接戦闘だとキツそうな相手なので、短弓を持って行こうかと考えていた。
ペルゼィック。キャスター(←挨拶 気になってたんで参加した(が、PLの体 調が不安定なのでプレしっかり書けなかったら本当申し訳ないです:PL) 今のところはウォーターウォーク要員程度に見てくれ。戦闘と退却時メインにかけるつもりだ。 特性は未定だが、アーケインあたりが噛み合うんじゃねーかって感じてる。 攻撃は距離出るのを優先して積んでく予定だ。内容は未定。
ウォーリアのゲルダです。よろしくお願いしますね。 ウォーターウォークに索敵、大変助かります……! 個人行動については、汚れた吐息が厄介そうですので、初手で若者を襲っている成虫に対してシーザーロアで【執着】を付与するのがよさそうかな、と思っています。 その後はもう一体の成虫への【執着】付与と、バーバリアンデスチェーンでの引き寄せを。 攻撃については殆ど他の方にお任せしてしまう形になるかと思いますが、その代わり壁役としてお役に立てるようにがんばりますね!
成立したわね。頑張りましょう。 >レピド 索敵ありがとう。居場所を掴んだら地点で教えて欲しいわ。 「ロゼットの正面5mに1匹」みたいな感じで。 目で見えていなくても、面で攻撃するタイプの範囲攻撃なら 巻き込めそうに思うから、攻撃してみるわ。 >ベルゼィック ウォーターウォークありがとう。助かるわ。 戦闘と退却時に使うで良いと思う。アーケインも了解よ。 白紙の出発はもったいないから、簡単な箇条書きでも 出しておくと良いわ。お大事に。 >ゲルダ 盾役ありがとう。2手目には範囲回復で若者コンビを 回復できると思うから。攻撃と回復優先だけど、スリップが 重い場合はBS解除の治療も準備しておくわ。
>ロゼット 了解だ、皆が攻撃しやすくなるよう表現には気を付けてみる。 >ペルゼィック (PL:無理をなさらずお大事にです。ロゼットさんも言ってますが、簡単な仮プレだけでもあると違うかと思います) >ゲルダ 盾役感謝だ、負担軽減の為にもこちらも攻撃を頑張らないとな。
出発直前ではありますが、お邪魔します。 あしながモンチョことラモンと申します。よろしくお願いしますね。 索敵はレピド様にお任せしまして、私自身はBS付与と攻撃をメインにする予定です。 そして征竜の巫女を名乗る女性――イネス様について、情報を確認する限り汎用スキルの『誘惑』を持っている可能性が高いかと。 無事に魔獣を倒したとして、このままではリザードマンの若者は素直に帰るとは言わないでしょう。 ですので、彼らの説得のためにアンチ・サイを持っていこうかなと。