討伐対象:ヘイレル商会を襲った盗賊団
岩岡志摩
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シナリオID:2852
オープニング
●依頼
その人物を、人形と呼ぶ者がいる。
人物の名は、イーラ=ヘイレル。
最低限の言葉しか話すことはなく、年齢相応の容姿ながらも都市間の流通の一端を担う運送商会「ヘイレル」の代表でもあり、業務上の交渉時には代理を出すことなく自身が顔を出すため、その顔も知られやすい。
それは今回依頼のため訪れた冒険者ギルド支部においても変わらない。
この日、応対した冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスに向け、イーラはある依頼を出す。
「盗賊団に奪われた荷馬車の奪還と人員を救助してほしいのです」
イーラの説明によれば、ヘイレル商会はシルトラース帝国の都市ヴィントからやや離れた場所に存在する村に向け、荷物を運ぶ業務に従事していた。
「私の有する商隊がその村へ荷物を輸送する途中で、盗賊団の襲撃に遭い、荷馬車と人員がさらわれました」
このとき咄嗟の判断で周囲の茂みへと身を隠し、攫われずに済んだ者が近隣の村へ駆け込み助けを求めたことで、様々なルートを介してイーラのもとにも情報が届き、詳細を知ることができた。
現在の帝国人類勢力圏では、都市ヴィントの役人や帝国兵が時々巡回してくるだけの村も少なからず存在しており、今回ヘイレル商会が荷を届ける予定だった村も、その中に含まれていた。
「荷物の内容は、復興地区に用いる衣類や医薬品・食料が中心です。大手の商会だけでは手が回らないために私の商会にも分担が来たのです」
もともとヘイレル商会は「運ぶものは物資から人員まで、行先は現世から地獄まで」をモットーに、どのような危険区域であろうと運び、送り届けるというのが謳い文句だ。
分担を持ち掛けられた際、イーラは独自の手段を用いて情報を集めている。
そして荷物の届け先――正確にはその周辺が安全ではないことも承知していた。
そのためヘイレル商会は、ある程度腕の立つ護衛も揃えて商隊を送り出したが、護衛達は盗賊団に太刀打ちできず、人員ごと荷馬車を奪われた。
一通りの説明を終えたイーラは、もう一つ重要なことを付け加える。
「あと手を出した盗賊を1人残らず駆除してほしいのです」
●準備
イーラの主張はこうだ。
「盗賊の事情だのなんだのは聞き流してくれていいのです。何を言った所で行った事実だけが真実なのですから」
いかなる理由があろうと、ヘイレル商会の商隊が盗賊団に襲われ、人員ごと荷を奪われた事実は変わらない。
「捕まえる必要は一切ありません。今後の商売に差し支えます」
盗賊を捕縛した場合、現地の治安を担う帝国兵との間で様々な手続きを行うよりも、荷物を送り届けることが優先という意味で、イーラはそう言ったのかとアルヒは内心推測するが、本当のところは不明だ。
「賊の武装はこちらで買い取ります、質が悪くても鋳潰せばまた使えるでしょうから」
そこまで話を聞いたアルヒは、少し思案した後イーラの希望を可能な範囲で叶えることにした。
「1人残らずというのであれば、盗賊団が根城にしている場所も突き止めた上で、その場所にいる盗賊達もまとめて倒す方が良さそうですね」
現場が帝国領内である以上、帝国に話を通す必要があると考えたアルヒは、急いで都市ヴィントに向かう。
そしてアルヒは盗賊団に関する情報を役人や帝国兵に伝えると共に、必要な手続きと交渉を進めていく。
現地を管轄する役人や帝国兵も、今回ヘイレル商会の商隊を襲った盗賊団のことは知っていたようだ。
盗賊団の中には授恵者も含まれていたことや、その地域の治安を担当する帝国兵は一般人で構成されていたことから、その盗賊団を潰すことはできなかったと、応対した帝国兵はアルヒに打ち明ける。
「自信があるなら全員始末して構わない。既に多くの被害が出ている以上、更生の余地はない」
帝国兵側は盗賊団を帝国の民と認めていないため、その場で処分して構わないとの見解を示し、後日ヴィントの役人より盗賊団討伐を許可する文書がアルヒのもとへ届けられた。
討伐の大義名分を得たアルヒはイーラと共に準備を進め、依頼の斡旋へと動く。
●いざ討伐
そして依頼に応じた皆様と共に、アルヒは活動を始める。
この日アルヒは商人に変装し、空箱を積んだ荷馬車を走らせていた。
アルヒが先日ヘイレル商会の商隊が襲撃を受けた場所の近くまで進んだ頃、盗賊団と思しき集団の襲撃を受ける。
アルヒは抵抗することなく捕まり、荷馬車ごと盗賊団の根城へと連行されていく。
これは盗賊団に根城へと案内してもらうための演技で、実際には皆様も密かに盗賊団の後をつけている。
盗賊団が根城としているのは、帝国崩壊の際に住民達がいなくなり、その後放棄された廃村の1つだった。
その場所に到達した皆様は密かに散開し、捕まっている人達の居場所を探り、救助を始める。
その間にもアルヒは縄で拘束された状態で、広場と思しきところへと連行される。
「その目つきが気に入らねえ」
そのまま地面に転がされたアルヒに対し、盗賊達は因縁をつけ、暴行を加えていく。
だが盗賊達はいずれも一般人のためか、アルヒはそれほどダメージを受けていないが、アルヒは負傷した演技を続ける。
その様子を盗賊団の幹部や頭目と思しき男たちが、やや離れた位置から眺めて嗤っていた。
地面に横たわる状態から、アルヒは盗賊たちに問いかける。
「お前たちは金目のものを奪うために、を殺し続けたな」
事前調査の段階で、この盗賊団は多くの人々を殺してきたことが判明している。
連れ去られたヘイレル商会の者達は、まだ殺されていないようだが……。
「罪もない商人たちの幸せを踏みにじったこと、遺族や被害者に申し訳ないと思わないのか?」
アルヒの質問に、盗賊達は醜悪な答えを返す。
「思うわけねーだろ! 金も積荷も俺達のものにするのが正しいんだよ!」
授恵者と思しき男――ダオと名乗った盗賊が刀を手に嘯く。
「なんとも思わねえなぁ。弱いやつを殺して何が悪い」
短杖を持つ男――ビンと名乗る盗賊は、悪びれることはない。
「なぜ生かすことなく殺す真似をした?」
アルヒのさらなる問いに、戦棍を持つ男――ニドと名乗る賊はアルヒの顔を蹴る。
「はっ! 俺達が殺したのはゴミだけだ! 世のため人のためだ!」
ニドがそう叫べば、ビンもアルヒや犠牲者を罵る。
「てめえらみたいな弱者共に、存在する価値なんてねえんだよ!」
そしてダオは尊大な口調で、自らの所業をこう言った。
「俺達が無価値な連中から手に入れたものを有効活用する。商売の基本だろう?」
――よくわかった。こいつらに慈悲は無用だ。
そう確信したアルヒは周囲に向け、こう呼びかける。
「――というのがこいつらの言い分だ」
その言葉と前後して、周囲の物陰より何の前触れもなく皆様がその姿を見せると、盗賊団は一斉にギョッとした表情を見せる。
その隙を見逃さず、アルヒは拘束を解いて起き上がり、盗賊団と対峙する。
「既に討伐許可も下りている。全員ここで報いを受けろ」
既に皆様の手で、ヘイレル商会を含め捕まった人々は救助され、ギルド支部職員達に保護された。
この場に残るのは冒険者の皆様とアルヒ、そして盗賊団だけ。
伏して怯え、座して死を待て盗賊ども。
お前たちの眼前に立つのは死の待ち人にあらず。
お前たちを討伐する冒険者なり。
その人物を、人形と呼ぶ者がいる。
人物の名は、イーラ=ヘイレル。
最低限の言葉しか話すことはなく、年齢相応の容姿ながらも都市間の流通の一端を担う運送商会「ヘイレル」の代表でもあり、業務上の交渉時には代理を出すことなく自身が顔を出すため、その顔も知られやすい。
それは今回依頼のため訪れた冒険者ギルド支部においても変わらない。
この日、応対した冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスに向け、イーラはある依頼を出す。
「盗賊団に奪われた荷馬車の奪還と人員を救助してほしいのです」
イーラの説明によれば、ヘイレル商会はシルトラース帝国の都市ヴィントからやや離れた場所に存在する村に向け、荷物を運ぶ業務に従事していた。
「私の有する商隊がその村へ荷物を輸送する途中で、盗賊団の襲撃に遭い、荷馬車と人員がさらわれました」
このとき咄嗟の判断で周囲の茂みへと身を隠し、攫われずに済んだ者が近隣の村へ駆け込み助けを求めたことで、様々なルートを介してイーラのもとにも情報が届き、詳細を知ることができた。
現在の帝国人類勢力圏では、都市ヴィントの役人や帝国兵が時々巡回してくるだけの村も少なからず存在しており、今回ヘイレル商会が荷を届ける予定だった村も、その中に含まれていた。
「荷物の内容は、復興地区に用いる衣類や医薬品・食料が中心です。大手の商会だけでは手が回らないために私の商会にも分担が来たのです」
もともとヘイレル商会は「運ぶものは物資から人員まで、行先は現世から地獄まで」をモットーに、どのような危険区域であろうと運び、送り届けるというのが謳い文句だ。
分担を持ち掛けられた際、イーラは独自の手段を用いて情報を集めている。
そして荷物の届け先――正確にはその周辺が安全ではないことも承知していた。
そのためヘイレル商会は、ある程度腕の立つ護衛も揃えて商隊を送り出したが、護衛達は盗賊団に太刀打ちできず、人員ごと荷馬車を奪われた。
一通りの説明を終えたイーラは、もう一つ重要なことを付け加える。
「あと手を出した盗賊を1人残らず駆除してほしいのです」
●準備
イーラの主張はこうだ。
「盗賊の事情だのなんだのは聞き流してくれていいのです。何を言った所で行った事実だけが真実なのですから」
いかなる理由があろうと、ヘイレル商会の商隊が盗賊団に襲われ、人員ごと荷を奪われた事実は変わらない。
「捕まえる必要は一切ありません。今後の商売に差し支えます」
盗賊を捕縛した場合、現地の治安を担う帝国兵との間で様々な手続きを行うよりも、荷物を送り届けることが優先という意味で、イーラはそう言ったのかとアルヒは内心推測するが、本当のところは不明だ。
「賊の武装はこちらで買い取ります、質が悪くても鋳潰せばまた使えるでしょうから」
そこまで話を聞いたアルヒは、少し思案した後イーラの希望を可能な範囲で叶えることにした。
「1人残らずというのであれば、盗賊団が根城にしている場所も突き止めた上で、その場所にいる盗賊達もまとめて倒す方が良さそうですね」
現場が帝国領内である以上、帝国に話を通す必要があると考えたアルヒは、急いで都市ヴィントに向かう。
そしてアルヒは盗賊団に関する情報を役人や帝国兵に伝えると共に、必要な手続きと交渉を進めていく。
現地を管轄する役人や帝国兵も、今回ヘイレル商会の商隊を襲った盗賊団のことは知っていたようだ。
盗賊団の中には授恵者も含まれていたことや、その地域の治安を担当する帝国兵は一般人で構成されていたことから、その盗賊団を潰すことはできなかったと、応対した帝国兵はアルヒに打ち明ける。
「自信があるなら全員始末して構わない。既に多くの被害が出ている以上、更生の余地はない」
帝国兵側は盗賊団を帝国の民と認めていないため、その場で処分して構わないとの見解を示し、後日ヴィントの役人より盗賊団討伐を許可する文書がアルヒのもとへ届けられた。
討伐の大義名分を得たアルヒはイーラと共に準備を進め、依頼の斡旋へと動く。
●いざ討伐
そして依頼に応じた皆様と共に、アルヒは活動を始める。
この日アルヒは商人に変装し、空箱を積んだ荷馬車を走らせていた。
アルヒが先日ヘイレル商会の商隊が襲撃を受けた場所の近くまで進んだ頃、盗賊団と思しき集団の襲撃を受ける。
アルヒは抵抗することなく捕まり、荷馬車ごと盗賊団の根城へと連行されていく。
これは盗賊団に根城へと案内してもらうための演技で、実際には皆様も密かに盗賊団の後をつけている。
盗賊団が根城としているのは、帝国崩壊の際に住民達がいなくなり、その後放棄された廃村の1つだった。
その場所に到達した皆様は密かに散開し、捕まっている人達の居場所を探り、救助を始める。
その間にもアルヒは縄で拘束された状態で、広場と思しきところへと連行される。
「その目つきが気に入らねえ」
そのまま地面に転がされたアルヒに対し、盗賊達は因縁をつけ、暴行を加えていく。
だが盗賊達はいずれも一般人のためか、アルヒはそれほどダメージを受けていないが、アルヒは負傷した演技を続ける。
その様子を盗賊団の幹部や頭目と思しき男たちが、やや離れた位置から眺めて嗤っていた。
地面に横たわる状態から、アルヒは盗賊たちに問いかける。
「お前たちは金目のものを奪うために、を殺し続けたな」
事前調査の段階で、この盗賊団は多くの人々を殺してきたことが判明している。
連れ去られたヘイレル商会の者達は、まだ殺されていないようだが……。
「罪もない商人たちの幸せを踏みにじったこと、遺族や被害者に申し訳ないと思わないのか?」
アルヒの質問に、盗賊達は醜悪な答えを返す。
「思うわけねーだろ! 金も積荷も俺達のものにするのが正しいんだよ!」
授恵者と思しき男――ダオと名乗った盗賊が刀を手に嘯く。
「なんとも思わねえなぁ。弱いやつを殺して何が悪い」
短杖を持つ男――ビンと名乗る盗賊は、悪びれることはない。
「なぜ生かすことなく殺す真似をした?」
アルヒのさらなる問いに、戦棍を持つ男――ニドと名乗る賊はアルヒの顔を蹴る。
「はっ! 俺達が殺したのはゴミだけだ! 世のため人のためだ!」
ニドがそう叫べば、ビンもアルヒや犠牲者を罵る。
「てめえらみたいな弱者共に、存在する価値なんてねえんだよ!」
そしてダオは尊大な口調で、自らの所業をこう言った。
「俺達が無価値な連中から手に入れたものを有効活用する。商売の基本だろう?」
――よくわかった。こいつらに慈悲は無用だ。
そう確信したアルヒは周囲に向け、こう呼びかける。
「――というのがこいつらの言い分だ」
その言葉と前後して、周囲の物陰より何の前触れもなく皆様がその姿を見せると、盗賊団は一斉にギョッとした表情を見せる。
その隙を見逃さず、アルヒは拘束を解いて起き上がり、盗賊団と対峙する。
「既に討伐許可も下りている。全員ここで報いを受けろ」
既に皆様の手で、ヘイレル商会を含め捕まった人々は救助され、ギルド支部職員達に保護された。
この場に残るのは冒険者の皆様とアルヒ、そして盗賊団だけ。
伏して怯え、座して死を待て盗賊ども。
お前たちの眼前に立つのは死の待ち人にあらず。
お前たちを討伐する冒険者なり。
解説
●目標
盗賊団の殲滅
登場
盗賊団(授恵者と一般人の混成)
ある廃村を根城にして暴れている盗賊達。
一般人の盗賊達は粗末な短剣や棍棒を装備するだけで、皆様のRPに必要な人数を自由に選択できる。
盗賊団の首領や幹部と思しき者(ダオ、ビン、ニド)計3人は授恵者で、ぞれぞれのクラスはウォーリア、キャスター、ヒーラー。
ダオは刀と革鎧を装備。使用スキルは殺界、チャージング、衝撃刃。
ビンは短杖と長衣を装備。使用スキルはエーテルバリア、魔弾、メテオライト。
ニドは戦棍と硬革の胸当てを装備。使用スキルはヒーリングオーラ、エーテルブロー、解呪。
既に現場一帯を管轄する代官より討伐許可は出ているので、1人残らず撃破することが望ましい。
PL情報:上記授恵者達は不利になったら「自首するから見逃してくれ」と命乞いするが、隙を見せたら不意打ちしてくるので、格好よく断りましょう。
イーラ=ヘイレル
今回の依頼人でヘイレル運送商会の代表。年齢相応の容姿ながらも、その手腕は確か。
ヘイレル商会を襲った盗賊団全員の討伐を求めている。
ヘイレル商会の人々
盗賊団の襲撃を受け、攫われた人々。
既に皆様の手で全員救助され、廃村より退去済み。
アルヒ・ラスカス
今回唯一の増援。皆様の指示に従う。使用スキルはヒール、解呪。汎用スキルはテレパス。
状況
シルトラース帝国領土内で放棄された廃村の1つ。現地時刻は日中正午で快晴。
既に皆様は廃村内で監禁されていた上記ヘイレル商会の人々を含め、捕まっていた人々を救出済み。
この地域一帯を管轄する代官より、盗賊団の討伐を許可する旨が書かれた証明書が発行されているので、皆様が盗賊団を倒す行動に支障はない。
なお証明書は討伐完了後、速やかに回収される。
ヘイレル商会が運んでいた荷物は盗賊団を殲滅後に回収する予定。
以下現場の簡易見取り図。1マスあたり10×10m。
↑北
ABCDEFGHI
1☆ ※ ※ ☆
2※ 賊
3 ※ ※
4 ☆
5※ 頭 ※
6 賊
7※ 賊 ※ ※
8☆ ☆
9 ☆
☆:スタート地点。自由に選択・重複可。
賊:一般人の盗賊。皆様の方で数を自由に設定できる。
頭:授恵者の盗賊。ダオ、ビン、ニドがここにいる。
※:瓦礫。冒険者2人が身を隠せるほどの大きさ。高さは約3mほど。
マスターより
こちらはPC様よりリクエストされたシナリオです。
今回討伐対象となる盗賊団は、全員この場で討たれても仕方がないくらい罪を重ねています。
現場となるのは廃村の広場に当たる場所で、周囲は皆様や盗賊団以外は誰もおらず、この廃村へ元住民が戻ってくる可能性は低いため、周囲への損害を気にすることなく暴れることができます。
敵のうち一般人の盗賊達は装備も貧弱で、駆け出しの冒険者でも容易に倒せる程度の弱さで、皆様の方でその数を指定することができます。
ただし盗賊団全員の討伐を今回求められているため、逃げられた場合は失敗扱いとなります。
ただ全体を俯瞰する、ただ敵の増援を警戒するだけ、討伐に加わらず現場から離れて何かをする等のプレイングはマスタリング対象となります。
ご不明な点がございましたら、出発36時間前まででしたらアルヒが答えられる範囲のことは答えます。
リプレイ
●包囲
ヘイレル商会の商隊を襲撃し、その積荷と人員を奪った盗賊団は、冒険者達によってその報いを受けようとしていた。
「マスターが何を考えて商隊を向かわせたかは知りませんが――」
北東側より現れたバル・ヌール・スケアクロウは、依頼人であり自身が主と定めたイーラ=ヘイレルの心情を推しはかろうとするも、途中で意識を切り替える。
「それでも少しばかり貴方達は邪魔なのです。私達だけではなく、他の方にも」
イーラやヘイレル商会が派遣した商隊に手を出し、それ以外にも無視できない被害が出ている以上、放置はできない。
「討伐許可も出ましたし、おいたが過ぎた方々はエーテルに還っていただきましょう」
バルは宣告と共に、授恵者以外の盗賊達を倒しにかかる。
一気に距離を詰めたバルより偽鎗「Re=PLIⅩ」が威力を重視した鋭い一撃と化して繰り出され、そのまま盗賊の胸を貫通した。
胸を突き通された盗賊が目を見開き、バルが偽鎗を繰り戻すと、盗賊は胸から血を噴出させて倒れ、絶命する。
そのバルとは反対側、南西方向からもセリオス・オーガストが盗賊達の討伐を開始した。
「目標は殲滅だ。逃げ出そうとする敵を最優先で撃破し、逃がさないようにするぞ」
セリオスは近くにある瓦礫へと身を潜ませると、天眼を駆使して戦場全体を俯瞰する。
「一番逃げられそうなのは――あれだな」
敵味方の位置を把握したセリオスは竜骨の短弓に矢を番えると、曲射・極も駆使した一射を放つ。
セリオスより放たれた一射は宙に大きな弧を描いて飛び渡り、最も西側にいる盗賊へと突き刺さる。
胸を射抜かれた盗賊は血飛沫を上げて倒れ、南側からもラティア・ミゼリアが別の盗賊に狙いを定める。
「……私、人を殺した経験ってないんです」
竜骨の短弓を構え、弦を引き絞ったラティアはそんな呟きを漏らす。
「でも仕事で人と戦うことはありますし、殺さないと殺されることもあると思います」
そうならないためにも、これからの行いは必要なことだと、ラティアは自身に言い聞かせる。
「本来積むべきではない経験だけど……ごめんなさい」
詫びを口にしたラティアは弦を鳴らしてエーテルを籠めた光の矢を放ち、盗賊達のただ中へと炸裂させる。
ラティアの炸光矢4が無数の光破片と化してまき散らされ、周囲の盗賊達を切り裂くと、裂かれた箇所から盗賊達は血煙を撒いて倒れ、絶命する。
そして南東方向からも、ストレガ・L・リベルガストラが盗賊退治へと動き出す。
「ゴールディのマフィアのほうがまだ品も格もあるのだ」
ストレガから見ても、眼前の盗賊団は品性下劣という言葉があてはまる。
「まずは賊の頭もまとめて前進できないようにするため、雷蛇大禍を多くの敵を巻き込む形で敷設するのだ」
ストレガは雷蛇大禍を発動することで、指定した場所に稲妻のような光が荒れ狂う空間を顕現すると、無数の蛇めいた稲光で盗賊達を絡めとり、その移動を阻害していく。
さらにストレガは蜘蛛糸のようなエーテルを盗賊団の首領ダオへと命中させ、ダオの回避を低下させる。
「皆さん! 援護します!」
そして東側よりダニエル・ヘリントンがエーテルの波動を開放し、効果範囲内にいたアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトのエーテルを増幅することで、その能力を向上させる。
「援護感謝するぜ」
短くダニエルに礼を述べたアルベルトは、鬼火のような青白い光をその身より立ち登らせると瞬間的な加速で間合いを調整し、盗賊ニドを射程に捉える。
「帝国領を荒らす人の皮を被った獣共! 俺の剣の錆にしてやるぜ!」
宣告と共にアルベルトはシュトルツを突き出し、不可視の衝撃を飛ばす。
「ぐはあっ!」
血泡混じりの絶叫がニドの口から溢れ、アルベルトの攻撃で胸を穿たれたニドは大量の鮮血を噴いて倒れ、絶命する。
「てめえ、許さねえっ!」
ニドを討たれ激昂したダオが刀を振るい、衝撃刃をアルベルトへと放つ。
「『ゴミを殺すのは世のため人のため』では無いのか?」
アルベルトは先程ニドが口走った内容をそのまま言い返すと輝くエーテルを収束させて自身に纏わせ、瞬間的に高めた防御力で攻撃を受け止める。
「貴様達のようなだらし無ぇ輩に負けるわけにはいかない!」
それを見たダニエルは、己自身と身に纏っている装備からエーテルを引き出して増幅すると、負傷を癒す強い光を形成してアルベルトへ撃ち放ち、その負傷を癒していく。
この時点で冒険者達は、盗賊団を包囲しつつあった。
●退治
数を減らされながらも、盗賊団は冒険者達への抵抗を続けていた。
ビンは無数の小光弾を顕現して冒険者達へと放ち、ダメージを与えていく。
「今、回復します!」
ここでダニエルがサイドヒール改やヒール4を駆使して治癒の光を放ち、仲間達が負ったダメージを癒す。
「今の私ではきっと、その時に人を殺せない。でも死にたくはない」
いまだラティアは葛藤しながら、天眼を駆使して盗賊達の動向を捉え、その逃げ道を塞ぐよう仲間達と協調して動く。
「だから私は、人を殺せるようにならないといけない」
短弓の弦を引き絞り、ラティアは盗賊の1人へと狙いを定める。
「逃がさないよう、弓で射る」
番えた矢にエーテルを収束させたラティアは、破壊力の増した一射を鋭く撃ち放つ。
ラティアの一射は宙を閃き飛んで、盗賊の頭部に突き刺さると、頭を撃ち抜かれた盗賊は血飛沫をあげてのけぞり、仰向けに倒れ絶命する。
「賊がまとまっている所に攻撃して駆逐を進めていくぞ」
セリオスも天眼も駆使することで、盗賊達が比較的まとまっている個所を見つけ出す。
その方角へとセリオスは短弓を向け、弦を引き絞る。
「配下の盗賊たちを倒し終えたら、次はダオ達の討伐だな」
そのままセリオスは矢を放つ響きと共に、エーテルを込めた光の矢を射出して、盗賊達のただ中で炸裂させる。
周囲にまき散らされた光の破片が範囲内にいた盗賊達を鋭く切り裂き、盗賊達の血肉を斬り飛ばしてまとめて葬り去った。
「できるだけ足を潰して怪我を負わせ、まともに動けないようにしていくのだ」
ストレガもダオやビン以外の盗賊達を確実に倒すため、不可視の重力場を発生させると、範囲内にいた盗賊達の移動を阻害する。
「確実な死を与える為には捕える時と同じように丁寧に」
その状態からストレガは盗賊達がいる場所へと光り輝くエーテルを高速で収束させていく。
そして収束したエーテルが氷嵐を巻き起こし、範囲内にいた盗賊達へその威力をぶちまける。
その一撃で生命を刈られた盗賊達は、逃げる間もなく絶命し倒れていく。
その間にもバルはサーマルアイを駆使し、温度を視覚化することで身を潜めている盗賊を見つけ出すと、潰しにかかる。
「途中で逃げかねない手勢など残すわけないじゃないですか、ちゃんと壊しておきますよ」
ペインキルで痛覚を遮断したバルは、竜鱗の盾を掲げて盗賊からの攻撃を防ぎ止める。
「ご要望(逃がさない)もありますので先に足(移動力)を奪うことを重視しましょう」
そう呟いたバルの偽鎗が威力を重視した鋭い一撃と化し、盗賊へと叩きつけられる。
腰にバルの一撃を浴びた盗賊は上下に断ち割られ、地面に転がっていく。
「えぇ、存分に地べたを這いずり回ってくださいな、ウジ虫のように」
あえて盗賊ビンがうそぶいた内容を口にするバルの前で、盗賊は絶命した。
「僕の歪み無い心で貴様を倒す!」
そしてダニエルも攻撃に加わり、バルと同じ方角にいる盗賊達から倒しにかかる。
1人の盗賊に狙いを定めたダニエルは急速に間合を詰め、そのまま竜石の祭刀を振り下ろすと、盗賊の頭蓋を一撃で叩き潰した。
潰された箇所から鮮血があふれ出し、頭部を失った盗賊の体が倒れていく。
その間にも盗賊ダオが殺界を使い、動きを止める。
「てめえらまとめてぶっ殺してやる!」
ダオの罵声に対し、殺界の射程外よりアルベルトが呼応する。
「悪いな。俺には獣の言葉は理解できないんだ」
アルベルトの戦術眼でも、眼前のダオを次に倒すのが妥当との判断を下している。
「黙って俺に斬られろ」
宣告と共にアルベルトは漆黒の名剣を振り下ろし、不可視の衝撃を飛ばすと、ダオの動きが止まった。
深々と腹を穿たれたダオの口から大量の鮮血があふれ出し、前のめりで倒れこむ。
「このまま人の皮を被った獣共を殲滅するぜ!」
ダオを屠ったアルベルトがそう叫ぶと、残るビンが両手を上にあげ、言った。
――降参するから助けてくれ。
ビンの挙動を見た配下の盗賊達も、次々と命乞いを始めた。
●殲滅
盗賊達の命乞いに対し、アルベルトはこう言った。
「ほう。『弱い奴を殺して何が悪い』のでは無かったか?」
それはビンが他者の命を奪う理由として語った言い分だった。
ストレガも盗賊達からの命乞いに淡々と応じる。
「汝等が吐いた言葉をそのまま返そう」
ストレガの口調は、どこまでも平静なままだ。
「世の為人の為に此処で死ぬといいのだ、弱者にして愚者よ」
ストレガは明日の天気を伝えるように、盗賊団へ死を宣告する。
「仇討ち、と言う訳では御座いませんが。手を出した事実は変わりませんので」
バルもまた、盗賊達の命乞いを無視する。
バルが聞いた話では、ヘイレル商会の人員は全員救出されたということだが、殲滅という目標に変更はない。
「あえて説明するならば捕縛でなく殲滅せよという依頼なので、汝等には死んでもらうしかない」
ストレガもまた依頼内容を順守すると盗賊達に伝え、こう告げた。
「獣の餌として。大地の肥やしとして貢献するといい」
どうあっても助からないと理解できたのか、盗賊達のまとまりがほつれ、崩れを見せていく。
(実際には獣の方が彼等よりも面倒なので、死体は穴に埋めて焼くわけだが)
ストレガが内心そう思いながらも、光輝くエーテルを盗賊達のただ中へと収束させて豪風4を発動し、爆発を巻き起こす。
強い爆発に身を裂かれた盗賊達は、血まみれになって地面を転がり、命を失っていく。
「隠れてやり過ごそうとするやつを、見逃すはずがないだろう?」
セリオスは天眼やホークアイを駆使しながら、身を隠して逃走を試みる盗賊を見つけ出すと、その先へと回り込む。
盗賊は武器を持ったまま命乞いを口にするが、セリオスは一切耳を貸すことなく短弓を構える。
「これ以上の問答は無用だ。このまま駆逐するぞ」
盗賊の命乞いを切り捨てたセリオスは、エーテルを矢に収束させ破壊力の増した一射を撃ち放つ。
宙を閃き飛んだセリオスの一射が盗賊の喉に突き刺さり、盗賊は大きく弾けた首から後ろから鮮血を噴き出して倒れ、絶命する。
「逃がさないよう、弓で射る。……でも、それだけじゃ駄目」
それまで短弓を使い、仲間達と連携しながら盗賊を倒していたラティアは、あえて竜牙の細剣を構える。
「それだけじゃ、きっと糧を得るための狩りと変わらない」
――経験を得るためにはきっとこの手で、私のすぐ近くの。目の前にいる人の命を。
ラティアの手の中で、細剣の柄がかすかに音を鳴らす。
――この剣で、奪わないといけない。私自身が、返り血で穢れるようでなくちゃいけない。
――だから。
ラティアは決然とした表情で前方を見据え、眼前まで迫った盗賊に告げる。
「一人でも二人でも、二桁になってもいい。貴方たちには、糧になってもらいます」
ラティアが決意を口にしたとき、細剣が威力を重視したと化して突き通され、盗賊の胸を深々と貫いた。
(瀕死じゃ駄目。確実に、動かなくなるまで)
ラティアが細剣を引き抜くと同時に、盗賊は鮮血を噴きながら仰向けに倒れ、動かなくなる。
北側でもバルとダニエルが、残る盗賊達を追い詰める。
「貴方がたには一切の利用価値もなく、また再利用さえ出来ないゴミなのですから」
バルは淡々とした口調で盗賊達を酷評すると、傍にいたダニエルも宣言する。
「だらし無ぇ盗賊連中を、この場で討伐します!」
自身の戦術眼に従い、ダニエルは残る盗賊2人のうち片方へと狙いを定める。
「来るな! 来るな!」
血の気を失い、武器を振り回すのみの盗賊めがけ、ダニエルは地を蹴った。
「本当にだらし無ぇです!」
ダニエルは一気に盗賊へと肉薄すると、竜鱗の盾で盗賊の攻撃を防ぎ、そのまま祭刀の斬撃を送る。
胸を深々と斬られ、苦痛に顔を歪めた盗賊が絶命して倒れこむと、バルも残る盗賊へと突っ込んだ。
「せいぜい、この土地の養分程度の役割は果たしてくださいね?」
一気に肉薄したバルは、呟きと共に予備動作を小さくした一撃を盗賊へと見舞う。
予測困難な一撃と化した偽鎗が盗賊の胴を貫き、盗賊は顔を歪めたまま鮮血を撒いて倒れ伏す。
次々と配下の盗賊達が討たれる中、ビンにも最期の時が訪れる。
「た、頼む。助け――」
「『地べたを這いずり回るウジ虫に存在する価値なんて無い』んだろ?」
アルベルトはビンが言い放った論理でその懇願を退けると、ビンは必死の形相でアルベルトへと魔弾を放つ。
アルベルトは重点硬化3を発動して身を固め、ウンボイクザームを掲げてビンからの魔弾を防ぎ止めると、瞬間的な加速を披露してビンとの距離を詰める。
「だから俺は貴様等を斬るのさ。簡単な理由だろ?」
そう告げたアルベルトより素早く鋭く力強い一撃と化したシュトルツが繰り出される。
肩口から反対側の腰にまで、2つに斬り下ろされたビンは血を撒いて転倒し、骸の仲間入りを果たした。
●完了
ここでストレガは、依頼人であるイーラが言った内容を思い出す。
――賊の武装はこちらで買い取ります、質が悪くても鋳潰せばまた使えるでしょうから。
「売れそうな装備品は全て剥がし、その他は集積したのち焼却するのだ」
「私も手伝いますね」
ストレガは埋葬する前に、盗賊達から回収できそうなものを集め始めると、処理を終えたバルも回収作業に加わる。
「……人を殺す感覚。気持ち悪くて、吐きそうです……」
ラティアは盗賊を討ったときの感覚が頭から離れないようだ。
慣れたくはない。
けれど屠った相手のことは忘れてはならない。
ラティアは今回自身が経験したことに対し、そんな思いを抱いていた。
そして冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスによって、盗賊団の全滅が確認され、今回の任務は完了扱いとなる。
こうして冒険者達の尽力により、今回討伐対象となった盗賊団は全員が討ち取られた。
なお奪われた積荷は全て回収できたことを、ここに追記させていただく。
ヘイレル商会の商隊を襲撃し、その積荷と人員を奪った盗賊団は、冒険者達によってその報いを受けようとしていた。
「マスターが何を考えて商隊を向かわせたかは知りませんが――」
北東側より現れたバル・ヌール・スケアクロウは、依頼人であり自身が主と定めたイーラ=ヘイレルの心情を推しはかろうとするも、途中で意識を切り替える。
「それでも少しばかり貴方達は邪魔なのです。私達だけではなく、他の方にも」
イーラやヘイレル商会が派遣した商隊に手を出し、それ以外にも無視できない被害が出ている以上、放置はできない。
「討伐許可も出ましたし、おいたが過ぎた方々はエーテルに還っていただきましょう」
バルは宣告と共に、授恵者以外の盗賊達を倒しにかかる。
一気に距離を詰めたバルより偽鎗「Re=PLIⅩ」が威力を重視した鋭い一撃と化して繰り出され、そのまま盗賊の胸を貫通した。
胸を突き通された盗賊が目を見開き、バルが偽鎗を繰り戻すと、盗賊は胸から血を噴出させて倒れ、絶命する。
そのバルとは反対側、南西方向からもセリオス・オーガストが盗賊達の討伐を開始した。
「目標は殲滅だ。逃げ出そうとする敵を最優先で撃破し、逃がさないようにするぞ」
セリオスは近くにある瓦礫へと身を潜ませると、天眼を駆使して戦場全体を俯瞰する。
「一番逃げられそうなのは――あれだな」
敵味方の位置を把握したセリオスは竜骨の短弓に矢を番えると、曲射・極も駆使した一射を放つ。
セリオスより放たれた一射は宙に大きな弧を描いて飛び渡り、最も西側にいる盗賊へと突き刺さる。
胸を射抜かれた盗賊は血飛沫を上げて倒れ、南側からもラティア・ミゼリアが別の盗賊に狙いを定める。
「……私、人を殺した経験ってないんです」
竜骨の短弓を構え、弦を引き絞ったラティアはそんな呟きを漏らす。
「でも仕事で人と戦うことはありますし、殺さないと殺されることもあると思います」
そうならないためにも、これからの行いは必要なことだと、ラティアは自身に言い聞かせる。
「本来積むべきではない経験だけど……ごめんなさい」
詫びを口にしたラティアは弦を鳴らしてエーテルを籠めた光の矢を放ち、盗賊達のただ中へと炸裂させる。
ラティアの炸光矢4が無数の光破片と化してまき散らされ、周囲の盗賊達を切り裂くと、裂かれた箇所から盗賊達は血煙を撒いて倒れ、絶命する。
そして南東方向からも、ストレガ・L・リベルガストラが盗賊退治へと動き出す。
「ゴールディのマフィアのほうがまだ品も格もあるのだ」
ストレガから見ても、眼前の盗賊団は品性下劣という言葉があてはまる。
「まずは賊の頭もまとめて前進できないようにするため、雷蛇大禍を多くの敵を巻き込む形で敷設するのだ」
ストレガは雷蛇大禍を発動することで、指定した場所に稲妻のような光が荒れ狂う空間を顕現すると、無数の蛇めいた稲光で盗賊達を絡めとり、その移動を阻害していく。
さらにストレガは蜘蛛糸のようなエーテルを盗賊団の首領ダオへと命中させ、ダオの回避を低下させる。
「皆さん! 援護します!」
そして東側よりダニエル・ヘリントンがエーテルの波動を開放し、効果範囲内にいたアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトのエーテルを増幅することで、その能力を向上させる。
「援護感謝するぜ」
短くダニエルに礼を述べたアルベルトは、鬼火のような青白い光をその身より立ち登らせると瞬間的な加速で間合いを調整し、盗賊ニドを射程に捉える。
「帝国領を荒らす人の皮を被った獣共! 俺の剣の錆にしてやるぜ!」
宣告と共にアルベルトはシュトルツを突き出し、不可視の衝撃を飛ばす。
「ぐはあっ!」
血泡混じりの絶叫がニドの口から溢れ、アルベルトの攻撃で胸を穿たれたニドは大量の鮮血を噴いて倒れ、絶命する。
「てめえ、許さねえっ!」
ニドを討たれ激昂したダオが刀を振るい、衝撃刃をアルベルトへと放つ。
「『ゴミを殺すのは世のため人のため』では無いのか?」
アルベルトは先程ニドが口走った内容をそのまま言い返すと輝くエーテルを収束させて自身に纏わせ、瞬間的に高めた防御力で攻撃を受け止める。
「貴様達のようなだらし無ぇ輩に負けるわけにはいかない!」
それを見たダニエルは、己自身と身に纏っている装備からエーテルを引き出して増幅すると、負傷を癒す強い光を形成してアルベルトへ撃ち放ち、その負傷を癒していく。
この時点で冒険者達は、盗賊団を包囲しつつあった。
●退治
数を減らされながらも、盗賊団は冒険者達への抵抗を続けていた。
ビンは無数の小光弾を顕現して冒険者達へと放ち、ダメージを与えていく。
「今、回復します!」
ここでダニエルがサイドヒール改やヒール4を駆使して治癒の光を放ち、仲間達が負ったダメージを癒す。
「今の私ではきっと、その時に人を殺せない。でも死にたくはない」
いまだラティアは葛藤しながら、天眼を駆使して盗賊達の動向を捉え、その逃げ道を塞ぐよう仲間達と協調して動く。
「だから私は、人を殺せるようにならないといけない」
短弓の弦を引き絞り、ラティアは盗賊の1人へと狙いを定める。
「逃がさないよう、弓で射る」
番えた矢にエーテルを収束させたラティアは、破壊力の増した一射を鋭く撃ち放つ。
ラティアの一射は宙を閃き飛んで、盗賊の頭部に突き刺さると、頭を撃ち抜かれた盗賊は血飛沫をあげてのけぞり、仰向けに倒れ絶命する。
「賊がまとまっている所に攻撃して駆逐を進めていくぞ」
セリオスも天眼も駆使することで、盗賊達が比較的まとまっている個所を見つけ出す。
その方角へとセリオスは短弓を向け、弦を引き絞る。
「配下の盗賊たちを倒し終えたら、次はダオ達の討伐だな」
そのままセリオスは矢を放つ響きと共に、エーテルを込めた光の矢を射出して、盗賊達のただ中で炸裂させる。
周囲にまき散らされた光の破片が範囲内にいた盗賊達を鋭く切り裂き、盗賊達の血肉を斬り飛ばしてまとめて葬り去った。
「できるだけ足を潰して怪我を負わせ、まともに動けないようにしていくのだ」
ストレガもダオやビン以外の盗賊達を確実に倒すため、不可視の重力場を発生させると、範囲内にいた盗賊達の移動を阻害する。
「確実な死を与える為には捕える時と同じように丁寧に」
その状態からストレガは盗賊達がいる場所へと光り輝くエーテルを高速で収束させていく。
そして収束したエーテルが氷嵐を巻き起こし、範囲内にいた盗賊達へその威力をぶちまける。
その一撃で生命を刈られた盗賊達は、逃げる間もなく絶命し倒れていく。
その間にもバルはサーマルアイを駆使し、温度を視覚化することで身を潜めている盗賊を見つけ出すと、潰しにかかる。
「途中で逃げかねない手勢など残すわけないじゃないですか、ちゃんと壊しておきますよ」
ペインキルで痛覚を遮断したバルは、竜鱗の盾を掲げて盗賊からの攻撃を防ぎ止める。
「ご要望(逃がさない)もありますので先に足(移動力)を奪うことを重視しましょう」
そう呟いたバルの偽鎗が威力を重視した鋭い一撃と化し、盗賊へと叩きつけられる。
腰にバルの一撃を浴びた盗賊は上下に断ち割られ、地面に転がっていく。
「えぇ、存分に地べたを這いずり回ってくださいな、ウジ虫のように」
あえて盗賊ビンがうそぶいた内容を口にするバルの前で、盗賊は絶命した。
「僕の歪み無い心で貴様を倒す!」
そしてダニエルも攻撃に加わり、バルと同じ方角にいる盗賊達から倒しにかかる。
1人の盗賊に狙いを定めたダニエルは急速に間合を詰め、そのまま竜石の祭刀を振り下ろすと、盗賊の頭蓋を一撃で叩き潰した。
潰された箇所から鮮血があふれ出し、頭部を失った盗賊の体が倒れていく。
その間にも盗賊ダオが殺界を使い、動きを止める。
「てめえらまとめてぶっ殺してやる!」
ダオの罵声に対し、殺界の射程外よりアルベルトが呼応する。
「悪いな。俺には獣の言葉は理解できないんだ」
アルベルトの戦術眼でも、眼前のダオを次に倒すのが妥当との判断を下している。
「黙って俺に斬られろ」
宣告と共にアルベルトは漆黒の名剣を振り下ろし、不可視の衝撃を飛ばすと、ダオの動きが止まった。
深々と腹を穿たれたダオの口から大量の鮮血があふれ出し、前のめりで倒れこむ。
「このまま人の皮を被った獣共を殲滅するぜ!」
ダオを屠ったアルベルトがそう叫ぶと、残るビンが両手を上にあげ、言った。
――降参するから助けてくれ。
ビンの挙動を見た配下の盗賊達も、次々と命乞いを始めた。
●殲滅
盗賊達の命乞いに対し、アルベルトはこう言った。
「ほう。『弱い奴を殺して何が悪い』のでは無かったか?」
それはビンが他者の命を奪う理由として語った言い分だった。
ストレガも盗賊達からの命乞いに淡々と応じる。
「汝等が吐いた言葉をそのまま返そう」
ストレガの口調は、どこまでも平静なままだ。
「世の為人の為に此処で死ぬといいのだ、弱者にして愚者よ」
ストレガは明日の天気を伝えるように、盗賊団へ死を宣告する。
「仇討ち、と言う訳では御座いませんが。手を出した事実は変わりませんので」
バルもまた、盗賊達の命乞いを無視する。
バルが聞いた話では、ヘイレル商会の人員は全員救出されたということだが、殲滅という目標に変更はない。
「あえて説明するならば捕縛でなく殲滅せよという依頼なので、汝等には死んでもらうしかない」
ストレガもまた依頼内容を順守すると盗賊達に伝え、こう告げた。
「獣の餌として。大地の肥やしとして貢献するといい」
どうあっても助からないと理解できたのか、盗賊達のまとまりがほつれ、崩れを見せていく。
(実際には獣の方が彼等よりも面倒なので、死体は穴に埋めて焼くわけだが)
ストレガが内心そう思いながらも、光輝くエーテルを盗賊達のただ中へと収束させて豪風4を発動し、爆発を巻き起こす。
強い爆発に身を裂かれた盗賊達は、血まみれになって地面を転がり、命を失っていく。
「隠れてやり過ごそうとするやつを、見逃すはずがないだろう?」
セリオスは天眼やホークアイを駆使しながら、身を隠して逃走を試みる盗賊を見つけ出すと、その先へと回り込む。
盗賊は武器を持ったまま命乞いを口にするが、セリオスは一切耳を貸すことなく短弓を構える。
「これ以上の問答は無用だ。このまま駆逐するぞ」
盗賊の命乞いを切り捨てたセリオスは、エーテルを矢に収束させ破壊力の増した一射を撃ち放つ。
宙を閃き飛んだセリオスの一射が盗賊の喉に突き刺さり、盗賊は大きく弾けた首から後ろから鮮血を噴き出して倒れ、絶命する。
「逃がさないよう、弓で射る。……でも、それだけじゃ駄目」
それまで短弓を使い、仲間達と連携しながら盗賊を倒していたラティアは、あえて竜牙の細剣を構える。
「それだけじゃ、きっと糧を得るための狩りと変わらない」
――経験を得るためにはきっとこの手で、私のすぐ近くの。目の前にいる人の命を。
ラティアの手の中で、細剣の柄がかすかに音を鳴らす。
――この剣で、奪わないといけない。私自身が、返り血で穢れるようでなくちゃいけない。
――だから。
ラティアは決然とした表情で前方を見据え、眼前まで迫った盗賊に告げる。
「一人でも二人でも、二桁になってもいい。貴方たちには、糧になってもらいます」
ラティアが決意を口にしたとき、細剣が威力を重視したと化して突き通され、盗賊の胸を深々と貫いた。
(瀕死じゃ駄目。確実に、動かなくなるまで)
ラティアが細剣を引き抜くと同時に、盗賊は鮮血を噴きながら仰向けに倒れ、動かなくなる。
北側でもバルとダニエルが、残る盗賊達を追い詰める。
「貴方がたには一切の利用価値もなく、また再利用さえ出来ないゴミなのですから」
バルは淡々とした口調で盗賊達を酷評すると、傍にいたダニエルも宣言する。
「だらし無ぇ盗賊連中を、この場で討伐します!」
自身の戦術眼に従い、ダニエルは残る盗賊2人のうち片方へと狙いを定める。
「来るな! 来るな!」
血の気を失い、武器を振り回すのみの盗賊めがけ、ダニエルは地を蹴った。
「本当にだらし無ぇです!」
ダニエルは一気に盗賊へと肉薄すると、竜鱗の盾で盗賊の攻撃を防ぎ、そのまま祭刀の斬撃を送る。
胸を深々と斬られ、苦痛に顔を歪めた盗賊が絶命して倒れこむと、バルも残る盗賊へと突っ込んだ。
「せいぜい、この土地の養分程度の役割は果たしてくださいね?」
一気に肉薄したバルは、呟きと共に予備動作を小さくした一撃を盗賊へと見舞う。
予測困難な一撃と化した偽鎗が盗賊の胴を貫き、盗賊は顔を歪めたまま鮮血を撒いて倒れ伏す。
次々と配下の盗賊達が討たれる中、ビンにも最期の時が訪れる。
「た、頼む。助け――」
「『地べたを這いずり回るウジ虫に存在する価値なんて無い』んだろ?」
アルベルトはビンが言い放った論理でその懇願を退けると、ビンは必死の形相でアルベルトへと魔弾を放つ。
アルベルトは重点硬化3を発動して身を固め、ウンボイクザームを掲げてビンからの魔弾を防ぎ止めると、瞬間的な加速を披露してビンとの距離を詰める。
「だから俺は貴様等を斬るのさ。簡単な理由だろ?」
そう告げたアルベルトより素早く鋭く力強い一撃と化したシュトルツが繰り出される。
肩口から反対側の腰にまで、2つに斬り下ろされたビンは血を撒いて転倒し、骸の仲間入りを果たした。
●完了
ここでストレガは、依頼人であるイーラが言った内容を思い出す。
――賊の武装はこちらで買い取ります、質が悪くても鋳潰せばまた使えるでしょうから。
「売れそうな装備品は全て剥がし、その他は集積したのち焼却するのだ」
「私も手伝いますね」
ストレガは埋葬する前に、盗賊達から回収できそうなものを集め始めると、処理を終えたバルも回収作業に加わる。
「……人を殺す感覚。気持ち悪くて、吐きそうです……」
ラティアは盗賊を討ったときの感覚が頭から離れないようだ。
慣れたくはない。
けれど屠った相手のことは忘れてはならない。
ラティアは今回自身が経験したことに対し、そんな思いを抱いていた。
そして冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスによって、盗賊団の全滅が確認され、今回の任務は完了扱いとなる。
こうして冒険者達の尽力により、今回討伐対象となった盗賊団は全員が討ち取られた。
なお奪われた積荷は全て回収できたことを、ここに追記させていただく。
マスターコメント
今回は盗賊団退治お疲れ様でした。
ヘイレル商会の商隊より奪われた積荷は無事回収され、人員も全員救出されました。
盗賊団も全員その場から逃がすことなく撃破できましたので、大成功と判定させていただきました。
改めましてこのたびはご参加くださりありがとうございました。
また機会がございましたらよろしくお願いいたします。
ショートシナリオR普通 報酬:標準6 / 4〜8人
2023年04月04日 15時27分12秒 公開
大成功
相談掲示板
それではお掃除を頑張りましょう。 ウォーリア、バル・ヌール・スケアクロウです。 よろしくお願いしますね。
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 今回は人の皮を被った獣を狩ればいいのか? 手加減はしないぜ。 「4I」からスタートしてダオ、ビン、ニドの首を狙うぜ。
では私は仮にH1を初期地点に。 奥側で逃走経路といいますか、逃げられそうな場所をふさぐ感じで考えますね。
シューターのラティア・ミゼリアです、よろしくお願いします…… ……私、人を殺した経験ってないんです。でも仕事で人と戦うことはありますし、殺さないと殺されることもあると思います。 本来なら積むべきではない経験なんでしょうけど……こういう、酷い人たちなら。 私は……まだ表明がない、E9辺りから始めようかと思います。
・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む まあとりあえず害獣処理だな おれはA8を初期位置にしておく。逃げられたら失敗だから囲んで逃がさないようにしたいところだな
キャスター、ストレガなのだ。よろしくなのだ I8から始めるのだ アーケインストリームを撒いて足止めする予定
ヒーラーのダニエル・ヘリントンです。 僕は「4I」からスタートする予定です
(ひょこり) あと少しで出発なのです。 皆様方、くれぐれも殲滅をよろしくお願いするのです。 (ぺこり)