【再起】ゴリラと桃色
馬車猪
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シナリオID:2836
オープニング
普通の生き物なら致命傷だがこのゴリラは全高4メートルの巨体で頭蓋骨は分厚く剛毛に覆われてもいる。
中堅にもなっていない授恵者の矢では、矢尻の先端が頭蓋に1ミリも刺さらない。
ごお、と空気が揺れた。
怒り狂った魔獣が破城槌じみた拳で城壁じみた胸を叩く。
音と共に殺意と威圧が撒き散らされ、砦に籠もった兵士達が動揺する。
矢の狙いが急激に甘くなり、ゴリラがこれまでより自由に動けるようになる。
(まずいわね)
砦の責任者の上司である帝国代官が、不敵な態度のまま内心冷や汗を流す。
普段は緊急脱出に使う移動スキルで砦の防壁を跳び越え外へ着地。
魔獣は肉食獣の表情で歯を引き出しにする。
(ゴリラは私が囮になって抑える。弓兵はゴリラを砦に近づけないのを優先しなさい)
当たれば最低でも意識を失いそうな拳を躱しながら、テレパスで指示を出す。
遠くに、白い鳥が飛んでいた。
●24時間前
数ヶ月前までは牧童や家畜すら訪れなかった平地に真新しい砦が立っている。
多少増えたとはいえ人口密度は低く、しかし砦を中継して行き来する荷馬車やビヒモーは多い。
「代官様!」
見張りに立っていた兵士2人組が直立不動の姿勢をとる。
地平線近くから馬に匹敵する速度で駆けてきた少女が、息を整えながら己より背の高い兵士達を見た。
「礼は不要。仕事を続けなさい」
「はっ」
兵士達は緊張している。
目の前にいるのは、数ヶ月前に帝国に現れてから今まで広大な土地の復興に関わり一部は復興完了までさせた怪物だ。
己の子供より若くてもここまで圧倒的だと反感を抱くことも難しい
代官は鷹揚かつ傲慢にうなずき砦の中に入る。
兵士が寝泊まりするための建物と武器や物資を納めた倉庫を除けば広場程度しかない殺風景な砦だ。
広場には荷物を積み下ろしする輸送隊が1隊と、復興初期段階の村へ家畜を連れて行く途中の牧童が複数いる。
「呼び出されたら私から出向きましたのに」
代官が丁寧に接するのは帝国南部鎮守都市ヴィントから派遣された官僚だ。
「監査は直接出向くものだ」
官僚の顔色は悪い。
高速長距離移動可能なセニャとは違い、普通の非授恵者なのでここまで来るのも大変だった。
しかし一晩寝て体力を回復させてから話す時間的余裕はない。
今の帝国では人は貴重で、人材ははるかに貴重なのだ。
「穏便な統治はできないのかね」
要請である。
官僚が見たセニャ統治下の土地は比較的安全であるのに不穏な気配が強い。
物資面では比較的余裕がある代わりに、質も量も劣る人材で運営しているため統治が強圧的だ。
「細やかな統治は不可能です」
セニャは誤魔化してはいない。
実家からついて来てくれた極少数を除けば傘下にいるのは帝国軍の一般兵にも劣る人間がほとんどだ。
あの日から最近まで生存者を守り切った剣士や、難民キャンプの頃から名を売ってきた見習いもいはする。しかし彼等は協力者や外様であって正確には傘下ではない。
「授恵者を8人都合したはずだが」
「冒険者のような成長速度は期待できません。役に立ってくれてはいますけど」
その返事を聞いて官僚が眉をひそめる。
「改めるつもりは?」
「10人の民の機嫌を損ねるよりもう1人の民にも食を与えるのが重要と考えています」
言葉だけを評価すれば美しく見えるかもしれないが、セニャの背景を考えると逆の印象になる。
(復興させた土地が広ければ広いほど戦後の領地が増えるから速度最優先、と考えているだけだな)
官僚の予想はほぼ正しい。
しかしセニャの内心を正しく推測できても打つ手がない。
復興速度だけに注目すればセニャの手腕は際立っているのだ。
なお、セニャの代わりをできるとこの官僚が判断している人材は、他の重要な仕事に忙殺されているか冒険者として活躍中だ。
「レイウェスト皇子殿下からの信頼を裏切らないように」
2人とも、すぐ近くまで脅威が迫っているなど予測もしていなかった。
●
「急ぎの戦闘依頼です」
冒険者ギルド職員が冒険者に呼びかける。
「今から1日以内に強力な魔獣が襲って来ます」
情報源は預言の魔女とも呼ばれるオペラだ。
彼女の予知夢は必ず的中してきた。
が、夢で分かるのは夢の中の光景だけなので夢に続くだろう悲劇や事故を回避するためには冒険者の実力が必要だしそもそも夢で見た場所がどこが特定する必要がある。
「場所は帝国南部ということまでしか分からなかったそうですが……」
特徴的な色を持つ人間が予知夢に出てきたのでオペラ以外が場所を特定できた。
「ここです」
職員が広げたのは帝国南部でも被害の大きな地域の地図だ。
セニャと名乗る代官が積極的に活動している場所であり、予知夢にでてきた砦らしきもの1つだけ存在する。
「今から現地へ急行すれば緊急事態の発生直後に到着できるはずです」
予知夢の光景は変化しない。
「現地にはかなりの戦力がいるはずですが予知夢では負ける寸前だったようです。おそらく敵は極めて強力です」
悲劇を防ぐことができるのは、冒険者だけだ。
解説
マスターより
リプレイ
五感を経由して届く情報が激変した。
巨大かつ高速な拳を回避するため本気の全力を出しているので、変化した地面に対応できず平衡を崩す。
「このっ」
セニャは絞り出すようにしてエーテルを発して自らを安定させる。
そこまでしてようやく、周囲から届く音と光を認識できるようになった。
「セニャさん応援にきたよー」
アルマ・ヴァレンタインはセニャに視線を向ける時間も惜しんでたっぷりの肉を砦の反対側へ運んでいる。
小柄な体から太陽を思わせる光が立ち上っているのは、強力なバフスキルの影響下にあるからだ。
「どうして」
「予言で桃髪に金と紫のお目めが出てきたみたいー」
「襲撃察知は予知による。セニャ殿は此処で重体を負う事になっているのだ」
アルマもストレガ・L・リベルガストラは説明は簡潔に行う。
重体を負った後に死ぬか苦しみぬいて死ぬ可能性大なのは指摘しない。
最低限の会話の間も戦場は劇的に変化している。
「生憎と森の賢者からの求愛は好まないのでね、澱みの底ででも相手を探してくれ」
位置入れ替えでセニャを救ったベルク・オスマットは、アクティブスキルを使っていないのに残像が見えそうな速度で回避し続けている。
回避成功はアルマの術の影響とベルク本人の回避技術によるものだが、敵動きの雑さの影響も大きい。
魔獣は見失った獲物や小癪なハーフビーストを無視して前に進むことも考えた。
が、謎の壁に前進を止められた後は目の前の相手に集中する。
(思ったより足が速い)
壁を立てたアウレーリア・フォン・ネーベルベルクは、ギルドからの情報より強い敵に警戒心を強める。
(どいつもこいつも好き勝手暴れおって。どんな手を使ったか分からんがどうせろくな手段では……)
ベルクもセニャと同レベルで脆いので、まぐれ当たりがある接近戦を長く続けるつもりはない。
甲高くそれでいて重い音が発生する。
矢が魔獣の皮膚に高速で衝突した際の音だ。
100メートル近く離れた場所にいるセリオス・オーガストが表情を変えないまま次の矢をつがえている。
(硬い)
物理的な防御力も状態異常に対する抵抗力も生命力も非常に高い。
矢に込めたエーテルも抵抗されてしまった。
しかし魔獣ははっきりとセリオスを警戒している。
セリオスの矢はスキルと使わない状態でも強力だ。長距離射撃なので当然のように攻撃集中でその上でバフが効いている。
手の届かない距離からの攻撃としては非常な大威力であり、放置すれば魔獣の死が確定する。
だからゴリラは過去最大の気合いで自らの胸を打ち鳴らす。
肉体も胆力も十分以上のはずのセリオスが、100メートル近くも離れているのに少し動きを乱す。
その直後に第2の衝突音が響き渡る。
少々動きが乱れても元が圧倒的なら全く問題ない。
強力な状態異常に2度続けて抵抗するのは不可能であり、矢尻でついた傷から内と外にエーテルが広がりゴリラの命を少しずつ削っていった。
(新進気鋭の代官と元侯爵子息をうまくいかせるのも仕事のうちじゃな)
ベルクはやるべきことが多いことに内心ため息をつきながら入れ替えスキルを使う。
射程50メートルは長距離移動では誤差だが戦闘中は長距離といえる。
「セニャ。ゴリラは俺に任せて早く下がるんだ!!」
会話しながら走っていたアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトが拳の間合いに現れる。
常人基準では見事な回避術を修めているアルベルトではあるが、並のクリーパーを越える身体能力を野生の本能と結構な理性で使いこなすゴリラ相手には分が悪い。
大きな盾で防いでも打撃力を防ぎきれず、腕から腰にかけて骨と筋に大きなダメージを受ける。
「お返しだ」
アルベルトは1歩も退かないのはもちろん上体を揺らしすらせず漆黒特大剣をゴリラ魔獣に叩き込む。
砦からの矢を弾き冒険者の矢でも小さな傷しか受けなかった魔獣の肩から胸にかけて、深く生々しい亀裂が刻まれた。
●
「エーテルリンクは便利だと思いますが、流石にゴリラ魔獣をテイムするのは難しくありませんか? 啓示にも『リ=セマラ無しでやるのは苦行を越えた苦行』と出ていますし」
フリーダ=ブロムヴィストは冗談にエーテルを載せている。
結構な手応えはあったが、冒険者相手の訓練でも滅多にない抵抗があり最終的には振り解かれた。
「冗談はさておき、このまま放置すれば砦が危ないですね。何とかしましょう」
言い終えた時点で行動はほぼ終わっている。
走るのではなく目標に向かって一直線に落下。
ぎょっとしながらも迎撃の構えをとる負傷ゴリラの手前数メートルで最終的な加速を開始する。
「えい」
冷静な掛け声と反比例して衝突は激烈だ。
衝撃を一方的に押しつけられたような動きでゴリラの巨体が砦から離れる方向へ吹き飛ぶ。
その距離60メートル。
時速数十キロメートルを軽々出せる敵味方にとっては短い距離ではあるが、この距離が非戦闘員が大勢いる砦を守る。
着地した魔獣が不可視の重力場に包み込まれる。
それは空間に直接作用するので抵抗不可能だ。
ゴリラは走行を諦め近くにある岩を地面の中から掴んで振りかぶる。
「我が種族とは悪縁ある相手なのだ。樹海から追い出された原因の一つ故」
術者であるストレガが浮かべた表情は複雑だ。
祖先と比べれば体格も能力も戦技も戦術もあらゆる面で強くなりはしたが、この敵は非常に大きく体格差は先祖と宿敵を否応なく思い出させる。
「仇は遠い祖先が既に取っているが厄介な魔獣である事は周知」
集中するストレガ目がけて岩が飛んでくる。
当たれば格は高くても後衛であるストレガが大怪我しかねない大威力射撃攻撃。
しかし武器として加工されていない岩では腕力があってもあまり飛ばない。ストレガの手前に落ちて明後日の方向へ転がる。
「総力で討ち取らせて頂く」
ストレガはエーテルを錨と鎖に変える。
振り回す動作も術の一部であり、青藍に輝くそれは不気味な迫力を持ち魔獣を警戒させる。
そして投擲。
投擲の動作も鎖の動きも見事としか表現しようがなく、射程外へ逃れる術を持たないゴリラに当然のように絡みつく。
術の本番はそこからだ。
高度を通り越して超人の域に達した状態異常攻撃がゴリラの巨体を冒して内側から移動を阻害する。
既に重力場の影響下にある魔獣は、完全に移動を封じられた。
(うまくいったのだ。しかし滅茶苦茶頑丈そうだから最高の効率でスキルを使わないと殺しきる前に逃げられそうなのだ)
ストレガは容赦なく他の状態異常をぶつけてゴリラを弱らせる。
焦ったゴリラが岩を投げても、岩は冒険者の後衛に届く前に地面に落ちて無意味に転がるだけだった。
●
敵の移動を封じても戦闘は終わらない。
ストレガの尽力で結構な時間継続するとはいえ敵の防御も生命力も凄まじいのだ。
「壁が消える前には止めを刺したいわね」
アウレーリアから光弾が飛ぶ。
目標が動かないなら後衛の弱みは意味をなくし強みが輝く。
攻撃集中で攻撃するだけで火力も命中精度も2割増し。味方との連携向上も含めるとさらに2割増しだ。
「半端に知恵が回りやがる」
アーテミシアは手招き挑発を止めて竜骨の戦槌を構える。
魔獣は上半身を倒し限界まで腕を倒してアーテミシアを殴りつける。
無理な体勢でも腕力は凄まじく、なのにゴリラの拳に伝わる衝撃は酷く軽い。アーテミシアに防がれているのだ。
「まあ巨人よりゃマシか。バナナでも投げてやろーか?」
アーテミシアは竜鉄の全身鎧を着込んでシールドガントレットという強力な防具まで身につけているのに身軽だ。
スキル抜きでの移動速度は控えめになってはいるが、複数の状態異常に苛まれる魔獣ではときどき拳が外れてしまうほど回避力だ。
セリオスの矢が淡々と魔獣の命を削る。
射程距離が圧倒的に違うのでゴリラは反撃できない。
血走った目で冒険者を見渡し、アーテミシアに比べれば軽装な前衛を狙おうとする。
「させねえよ」
大人と幼児ほどの割合で身長が違っても不利なばかりではない。
アーテミシアは側面に回り込み、彼我の耐性を脳裏で思い浮かべて位置を変更し全力で武器を振り回す。
それで的に当たる。
百発百中でもないし多少ずれもするが、膝やスネに結構な頻度で当たる。的が大きいのだ。
拳による迎撃を白金の盾で受け流しながらフリーダが斬りかかる。
「ゴリラの他に敵の気配がありませんね」
奇襲の気配も情報収集の動きもない。
「こんなのを使うのは屑か馬鹿か化け物のどれかだろ。もう死んでるかここにはいねーんじゃねーか?」
アーテミシアが執拗に嫌がらせしても、強力な付与術を使うフリーダに攻撃が集中する。
「兵士は砦の中の建物に戻るのだ。セニャ殿は砦の授恵者を……」
ストレガの指示は的確だが指示を受ける側がぼろぼろだ。
兵士や弓兵は能力が低いだけでなく動揺が激しく、代官も色々できるが指揮官としては並より少し上程度でしかない。
冒険者の猛攻はゴリラの体を文字通りに削っていく。
もう逃げても逃げる途中で死ぬという状態になってようやく、魔獣は状態異常から解放される。
「うおー、回復ー!」
アルマは精一杯目立つ言動をして砦から注意を逸らす。
もっとも、アルマによる癒やしの脅威と、アルマが仕掛けた食肉の気配の方が効果的だったかもしれない。
ゴリラの態勢がいきなり崩れかかる。
セリオスによる打撃と状態異常が限界を超えたのだ。
加速し追いついたアルベルトが強力な斬撃を繰り出す。
威力は砦の壁を切れるほどだが頑丈すぎる巨体を切り倒すには足らない。
(ゴリラを城攻めの道具に使った者がいるとして、占領用の兵が見当たらない。となると……嫌がらせかな、これは)
光の壁は時間経過で消えたがアウレーリアの火力は健在だ。
死にかけた体を執念で動かすゴリラを光球で削る。
魔獣の進路が鋭角でねじ曲がる。
最後のシーザーロアを使った直後のフリーダに向かい、自らの血で赤黒く染まった拳を振り回す。
白金のラウンドシールドで完璧に防御しても体へのダメージは大きい。が、大きいで済んでいて重傷や重体にはならない。
「ありがとうございます」
「さっきので終わりだから気を付けてー」
アルマから援護があってもこれなので敵は相変わらず強力だ。
後退しながら攻撃しているとはいえ敵の攻撃は凄まじく被害も大きいのに、フリーダは平然と実行している。
(でかい頭が下がってるぜ)
アーテミシアは大地を踏み締め大きく振りかぶる。
通常なら大きな魔獣の急所には届かず、しかし疲れ果てて姿勢が下がった魔獣の急所に当たる可能性は十分だ。
奥歯を噛みしめ全力で振り下ろす。
部位狙いの技はないので少し狙いから外れて、分厚い頭蓋骨で守られた急所ではなく毛と皮膚と筋肉でしか守られていない急所中の急所にめり込む。
武器越しに、重要なものが多数砕ける感触が伝わった。
「……すぐに死ねる分ましだろ」
崩れ落ちる敵を見下ろし、アーテミシアは大きく息を吐くのだった。
●
「セニャ。良くやったな」
アルベルトが美しい少女を抱きしめる様は非常に見栄えが良い。
「怪我はないか?」
セニャは助けを求めるようにアルマを見る。
「精密な検査には時間がかかるよー」
アルマはおおまかにセニャの様子をみてから死体に触れている。
(セニャさん汗を拭いてからにしたいけど周囲に立場を示すためしかたなくなすがままなのよとか思ってそうー……顔赤いけど)
アルマはゴリラに対する残留思念感応も行っている。ヒトとは結構違う生き物の死体相手なので難航中だ。
(大変な調査になるな)
セリオスは早速魔獣が来た方向を調べているが調査対象の多さを強く感じている。
「セニャ殿が赴く場所の情報を掴まれたか、狙って放たれている。魔獣は本能で暴れているのでここまで何かされて連れてこられた可能性大なのだ」
ストレガは狩りの要領でゴリラを解体し、胃の内容物で自説に説得力を与えた。
「人工の食料だねー」
アルマはサバイバル知識を参考に、食料から得られる栄養とそれでゴリラが活動できる時間を推測して皆に情報を渡す。
「魔獣を持ち込んだ手口が推測はできてもはっきりしませんね」
今回最も過酷な役割を果たしたフリーダは元気ではあるが困っている。調べる範囲が広すぎる。
「ゴリラの臭さを追っていけば何かあるだろ。森の中にこんなデカいやつが食えるだけのメシがある気がしねえしどこから来たんだか」
アーテミシアの超嗅覚は非常に有効だった。
「……そういえばこの間取り逃したメドゥの塵はシーフだったか」
ベルクはうんざりとした表情だ。
彼女がうまれる前から延々帝国どころか人類全体に迷惑をかけ続けているのが相手なのでこう感じるのも仕方がない。
「で、ですんで……」
開拓村の村人らしい男がぺこぺこしている。
逃亡の準備も何もかも、ベルクの常識外の移動速度で無駄になった。
「仮にも森の賢者と称される存在だぞ、たとえ魔獣であってもわざわざ砦まで出てくるものか。悪意と技術に加えて、馬鹿の協力がない限りな」
完全に外から隔離された場所でベルクは淡々と仕事を進める。
「シーフズツールとは便利でなぁ、潜入や盗みといった工作以外にもお前さんみたいなのに情報提供してもらうのにも使えるんだぞ?」
熱した針金が容疑者に触れる前に、容疑者は犯罪者であることを自供した。
●
(別にやり方の善し悪しとか、殿下の信認の有無とか、そんなウェットな基準で助勢はしてないのだけどね)
アウレーリアは代官への反発の兆候をいくつも見つけた。
セニャの目と手が届く範囲ですらこれだ。通常の担当地域では悲惨な状態かもしれない。
(現場で実行力を持つ者の方が、宮廷のお偉いさんより役立つと思ってるだけ。精々、道半ばで身を滅ぼさないようにしてほしいものね)
ベルクが届けた知らせを聞いて、セニャに対する不安が強くなる。
「主犯の狙いも問題ね。砦攻略・物資奪取等の軍事的意図より復興の足を引っ張りたい政治的意図を感じる」
事業が破綻しても、遅れても、一部だけがそうなっても利益を得るものは確実に存在する。
(参るわね。敵が多すぎて主犯がどれか特定するのが難しすぎる。本人は事業が破綻する前に帝国に引き渡せばいいとでも考えているのでしょうけど……)
アウレーリアが蓄えた政治知識に当てはめると、全力疾走しながら綱渡りをするような状況だ。
「少なくとも、ゴリラの生息域と誘導方法を知ってる程度にはこの辺の知識がある者が関わっている。容疑者の数と範囲が広すぎるのよね……」
「ゴリラの誘導の仕方は簡単なものじゃしのう。一歩間違えれば複数の集落が消えかねない危険なやり方じゃが」
どう報告書にまとめれば良いか考え、ため息をついてしまうアウレーリアとベルクであった。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2023年03月12日 10時39分27秒 公開
参加者
相談掲示板
・・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえずゴリラをどうにかしないことには始まらなそうだな。 ゼニャが囮になってるようだが無視して砦を攻撃し始めるようだから10秒も持たないということでほぼ1ラウンドしか持たなそうであるから壊される前に早めに対処して引き離すなどしたいところか あとは倒し終えたらどうやって誘導したかを探すわけだが、説明見る限り食い残しなどがあるとあるからそれを調べたりするのが無難か
ウォリアーのアーテミシアだ。 とりあえずゴリラを何とかするのが優先か。シーザーロアで注意を向けるか、ドラチャリを試すか。あるいはノコノコとゴリラの前に立ちふさがるか、だな。
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 森の賢者から求愛されるとか(違う)相変わらず変なのからモテモテだな。 とりあえずはセニャ嬢や砦からの引き剥がしと調査には賛成だな。 わざわざ縄張りから砦まで出張ってくるのは不自然だから、そこをついてなら調査に説得力も出るだろう。
「変なの」の筆頭(婚約者)のアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 オスマットさん、「変なの」だなんて・・・止せよ、褒めないでくれよ、照れるじゃないか。 ドラゴンチャリオッツで飛ばすのも良いが、生命を削らない限りゴリラは襲撃を諦めないだろうな。 今回俺は、ゴリラを徹底的に攻撃して撃退を狙うぜ。
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 色んな意味でモテる星の下にあるのでしょうね。きっと。 ゴリラはともかく賊?をどうやって発見するかが問題ですね。 とりあえず2班に分けてゴリラ対応・続探し対応という形で行動するのが良さそうな気がします。 今回私はゴリラ対応として動こうと思います。 定番で行くならばシーザーロアで注意を引いて砦とかから引き剥がすのがベターですが、 ゴリラは抵抗値が高い様ですし、シーザーロアが通らない可能性も考慮すべきでしょうか。
依頼してないのに冒険者が近付いているのを知って混乱……する余裕もないセニャよ。 よろしくね。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー ボクはいつも通り全体支援と回復の通常運転の予定だよ 私兵さんの避難とかで確実に初動の時間を稼ぐ必要があれば 光縛封もセットしてくようにするね(サイズ的にはおさまるー…はず) あとは謎肉と閃光g…塗弾も念のため持ち込みで セニャさんなら恨みをもたれる心当たりたくさんありそうだし 賊?と誘導方法の調査もしておきたいねー 残留思念感応とかサバイバル知識あたりでももっていこうかなあと
とりあえずオレもゴリラにすっか。索敵だの調査だのがやれるようなモノ持ってねーし。 案外ゴリラもやられかけたら逃げるかもしれねえし、それを追いかけているのもアリかな
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 ゴリラのほうに対応するのだ。 グラビティ敷いてバインドで拘束を図ろうかと。
ごめんなさい、発言した心算になって忘れていました。 キャスター、アウレーリアです。宜しく。 私は賊の捜索と対処にも気を配ってみようと思います。