満月の下で踊ろう
馬車猪
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シナリオID:2783
オープニング
満月の光に照らされた獲物は襲われていることに気付かない。
むにゃむにゃと幸せそうな寝言と表情のまま、生きるため必須の要素を啜られていく。
(呆気ない)
ちゅー、と吸いながらドミナ・A・ウォルプタスは考える。
これは食料としても素材としても特上に近い。
吸い尽くせば己の力となり、血を与えればかなりのものになると本能が断定している。
五感以外の感覚を使えば膨大な血と怨念を浴びて今に至ったことが容易に分かり、ドミナが躾しなくても望み通りに育ってくれそうだとも感じる。
(わたしの子にする?)
傲慢で残酷な思考に迷いが生じる。
条件が良いからこそ欠点を強く感じてしまう、贅沢であると同時に深刻な葛藤状態だ。
決断を下す前にもう少し味わおうと舌に意識を集中し、獲物の寝言が途絶えたことに気付くのが遅れた。
●
セニャは自身の欲望に忠実な少女である。
土地も爵位も資金も欲しいし恋人と仲良くもしたい。
今仲良くしすぎると人生設計が崩れる可能性があるが現在は夢の中だ。濃厚な行為に耽溺しても全く問題ない。
(首に痕がついちゃう……ねえちょっと本気で痛いんだけど、って夢なのに痛み?)
夢から覚めるのは一瞬で済んだ。
警備が万全なはずの宿の窓が開け放たれていて、満月が酷く明るく見える。
視界の隅には金の長い髪。
自らの首は2つの痛みと牙の形を伝えてくる。
どう考えても、吸血鬼による襲撃であった。
思考する前にセニャの行動は終わっている。
腕力で振り解くのではなく相手の力を利用し跳ねとばす。
首の血管と肌に酷い損傷が生じるが気合いで無理矢理抑え込んだ。
「無作法な訪問は嫌われるわよ」
枕の下から懐剣を回収して立ち上がる。
逃げてくれないかなという期待は当然のように裏切られ、吸血鬼が黒いドレスの裾も乱さず優雅に着地しているのが見えた。
「逆らうなんていけない子ね」
外見はヒューマン換算で十代前半のエルフ少女。
しかし青白い肌と鋭すぎる犬歯と冷たすぎる紅の瞳が、ドミナの正体を高らかに告げている。
「吸血鬼に従う趣味はないの。お帰りはあちらよ?」
セニャは上品に挑発する。
戦闘に向かない寝巻きは千切り捨てて下着姿に。獰猛なエーテルが肌の上で火花のように輝く。
ドミナは笑みを深くして紅の瞳に嗜虐的な色を浮かべる。再び牙を埋め込む前に、遊ぶ気になっていた。
(セニアーラ様、準備整いました)
(即座にやりなさい)
思念がやりとりされた直後に矢が飛来する。
ドミナは目を向けもせずに躱し、しかし矢に取り付けられた筒が猛烈に発火し室内へ燃え移る。
(セニアーラ様、急いで調合したので火力が強いかもしれません)
「いいから宿の人間を逃がしなさいっ!」
セニャは窓から跳び出し隣の建物の屋上に着地する。
地方都市では高級宿に分類される宿の2階から黒煙が沸きだし空へ向かう。
(犬型のアンデッドと交戦を開始しました。劣勢です。生存者はまだ発見できません)
(命令する。宿から撤退。周辺に敵襲を告げた後は……嘘でしょ?)
セニャから完全に余裕が消えた。
瀟洒であると同時に頑丈に造られた宿の2階が斜めへずれていく。
それが細く長いものに切断された結果であることに気付いてしまい、どれほどの威力か無意識に計算して内心頭を抱える。
「甘い顔をしたのが間違いだったわ」
窓の周辺が乱雑に切り刻まれて下に落ちていく。
ドミナは漆黒のドレスについた消し炭を不快そうに払い落とし、その余波だけで勢いを増していた火災が鎮圧される。
「躾けてあげる」
物理的には上の位置にあるセニャを見下ろす。
魔力で形作られた長大な赤刃が薄れて元の位置に戻る。ドミナの赤い爪には、かすり傷すら存在しない。
(冒険者を呼んできて。私1人じゃ無理)
(ご武運を、お嬢様)
セニャは覚悟を決めて時間を稼ぐことにした。
●
数時間前。
冒険者ギルドの職員が、豪華な食事を楽しみながら説明をしていた。
「アンデッドには稀に強力な個体が出現します」
その気になればほとんど人里に近付かずに過ごす個体もいるので見つけるのも仕留めるのも大変なのですと、依頼人の金を使って飲み食いしながら言う。
「最近、近くの村でこの個体のものと思われる目撃情報がありました」
職員は人相書きと報告書を冒険者に渡す。
ドミナ・A・ウォルプタス。
元エルフの吸血鬼であり、親を殺して独立した強力な個体だ。
「みなさんにお願いしたいのは万一に備えた警備ということになっていますがこれは依頼人の考えです」
冒険者ギルドは万が一ではなく確実に襲撃があると判断している。
依頼人であるセニャも狙われる可能性大だ。
「寝室での警備は依頼人に拒否されたので周辺での警備になります。危険な依頼になりますが是非参加をご検討お願いします」
職員は真剣な表情のまま深く頭を下げ、もう1皿注文した。
解説
マスターより
リプレイ
「どいつもこいつも好き勝手暴れおって! グリゼルダを見習ってウィリアム殿下にでも粘着してろ帝国の同胞に手を出すでないわ!!」
ベルク・オスマットの舌は高速だがエーテルの動きはさらに早い。
小柄な体にエーテルを行き渡らせて加速し、圧倒的な速度を活かして逃げ易い位置を確保する。
激したように見えても瞳は冷静で、高位の吸血鬼相手の猛攻に耐える少女を見据える。
次の瞬間視界が切り替わる。
後方50メートルにセニャ・リーラントの気配を感じる。
そして息がかかるほどの至近距離から、ドミナ・A・ウォルプタスの笑みと殺意が押し寄せた。
攻撃する余裕などありはしない。
文字通りの全てを回避に注ぎ込んでも間に合わず、竜皮の胸甲に切れ込みが入るというより半ば破壊される。
「悪いが緊急事態だ、苦情は後で頼む」
レピド・クロサイトがほんのわずかに遅れてセニャを抱え上げる。
異性への感覚が五歳児レベルとはいえ体も感覚も成人水準のホムンクルスだ。
しっとりした熱い肌とその下にある柔軟かつ強靱な筋肉、そして酷く本能に訴えかけるにおいが記憶から消えたはずの何かを刺激した。
「きゃっ」
「後と言ったぞ」
レピドは片手で担ぎ上げた体勢のまま吸血鬼に背を向け駆ける。
荷物は体型から想像できるよりも重く、レピドも本来の速度は出せず回避の精度も落ちる。
「なかなかの早さですわね」
バンビは合体魔法の準備中だ。
頑丈な高位吸血鬼に打撃を与えるのには工夫が要る。
「間一髪間に合った感じでしょうか? といっても負傷具合を見るにあまり余裕は無さそうですが」
フリーダ=ブロムヴィストが前進する。
吸血鬼と代官は移動しながら戦っていたので丁度それでヒールの射程範囲だ。
(啓示によれば『編成事故に加え先制を取られるガ=バでしたが、この後ノーミ=スならお釣りが来るので続行』との事です。何とか撃退してこの場を凌ぎたい所ですが)
あちらの準備が間に合わなかったのか、今使っているのは普通の治癒術だ。
いつもの剣ではなく祭刀を使っているので治癒量の力は十分。
少なくとも、死にそうな人間を延命できる程度には強力だ。
意識を失う寸前のベルクが屋根からわざと転がり落ちて吸血鬼の視界から消える。
吸血鬼が瞬きする。
月光に照らされたフリーダにはとても特別感がある。
冒険者全体に向けられるはずだった紅い爪が兵器から武器の大きさにまで縮まる。足場を抉る音を伴い吸血鬼が爪と共にフリーダに迫る。
フリーダはこれ相手の回避を最初から諦めている。
装甲と生命力で耐えてアダマントボディを起動。
セニャを癒やすには距離が遠すぎると判断して自身にヒールを使って戦闘能力を維持する。
「回復役から殺せですか」
見た目の割に基本に忠実ですねと、フリーダは本人に全くそんなつもりはなく平然とした顔で挑発していた。
●
「置いていかれましたわね」
高級宿から急速で離れて行く吸血鬼をちらりと見て、しかしバンビは足を動かさない。
吸血鬼が射程内にいたのは偶然。本来の狙いは他にある。
急速に高まる魔力を無駄なく使って魔法発動の準備を整え、もう1人とタイミングをあわせて同時に魔法を行使する。
バンビが放った無色の波紋が空間に変化をもたらす。
その速度は爆発的といってよい程急激で、冒険者を除けば無人と化した大型建造物を歪め揺らして甚大な被害を与える。
「見えなくても予測はできるぜ……ですわ」
良い手応えがありバンビは口調が乱れるほど喜んでいる。
広大な効果範囲の中は、徹底的に破壊されていた。
ルアンナ・ミュラーの魔法も合体魔法で強化され、客と従業員を守るはずの強固な壁も床も砕いて残骸に変えている。
ルアンナの暗視能力も兼ね備えた瞳が、忍び寄る途中で破壊に巻き込まれたアンデッドの肉片と腐った血を確認する。
「隠密に長けてはいても空間ごと薙ぎ払ってしまえばどうということはありませんわ」
得意げな表情とは逆にバンビの思考は冷静だ。
同族の血と肉片を踏んだ犬に高速で極太エーテル光波を叩き込む。これも範囲型の攻撃魔法なのでアンデッド側の被害は1体では終わらなかった。
●
婚約者である己も滅多に聞けない声に、アルベルト・V・シュタールシュヴェーアトの怒りが燃え盛る。
9割9分は加害者に向いてはいるが、残りはここまで運んで来たレピドへ向いている。
非常に、感情を抑制できているといえた。
「大丈夫か、セニャ」
レピドの肩でぐったりしたセニャを直視する。
肌色の割合が人生初水準で高いが今は命がかかっている。
アルベルトがヒールを使う。
攻撃力は極端に物理に偏ってはいるが、物理的な攻撃力が非常に高いので首に開いた穴を防ぐ程度なら簡単だ。
「歩いて冒険者ギルドに向かえ。激しい動きは体に毒だ」
戦おうとするセニャに有無を言わせず指示を出す。
「血が足りないはずだ。酷い顔色だぞ」
抱きしめて暖めてたくても、その時間がないことが分かるほど戦に長け、我慢できるほど自制心がある。
だから、敵に対する報復は壮絶だ。
「貴様、俺を本気で怒らせたようだな!」
走り寄って斬りかかる。
移動と攻撃を究極にかなり近づけた一撃が、紅い爪による防御も超高速の足捌きも上回ってドミナの脇腹を抉る。
接触の瞬間に脇腹を霧化させて致命傷は避けたが、強力な能力の瞬間的発動は高位吸血鬼にとっても重い負担だ。
「貴様、セニャをどうする気だったんだ? 回答次第では貴様を斬る!」
アルベルトは返事を聞く前に相手の態度から答えを把握した。
「斬った後に言うこと?」
鼻を鳴らす様すら愛らしく、反撃の紅爪は鮮やかで強烈だ。
アルベルトの回避能力では回避されないと判断。狙いが甘くなるのを承知で威力を高めて伸ばす。
漆黒の鎧に深い傷が刻まれ、その傷の延長線上にある足場が切断されても止まらず、接近中のアーテミシアにまで届いた。
「まーた吸血鬼かよ。安売りでも始まってんのか?」
アーテミシアのシールドガントレットから飛び散った光がまだ残っている。
壮絶な威力が推測可能な現象だ。
しかしアーテミシアの防具の性能と何よりアーテミシアの装甲の扱いの巧みさが、壮絶な攻撃を戦闘継続可能な程度の被害に抑え込んでいる。
(専業ヒーラーがいねえんだ。早めに決着つけなきゃやべえがな)
吸血鬼の気配は残酷で気紛れ、同時に狡猾でもある。
(もう一度振り回すか、今度は突き刺してくるか? 前者なら大した事ねえが……)
アーテミシアが送り込んだ殺意には洗練されたエーテルが練り込まれている。
意識しての抵抗を強いられた少女の美貌が不機嫌に歪む。
爪と腕の動く範囲外から加速で回り込んできたアーテミシアの吸血鬼の小さな懐へ飛び込む。
「馬鹿みてえに振り回しても手のひらに爪はねえだろうがよ!」
アーテミシアの攻めに対する返答は、爪先立ちでの90度回転からの刺突だ。
無茶な動作なのに威力は十分にあり、しかし8割では全く足りない。
「しぶといっ」
「後から後から量産品みたいに出てきやがって。定員オーバーだ、とっとと消えちまえ」
竜骨の戦槌が吸血鬼の少女を攻め立て、肌と爪にダメージを与えていった。
●
「てめっ」
アーテミシアの怒声が戦場に響く。
暗視と超視覚と高位吸血鬼に対抗可能な守りまで兼ね備えた彼女はまだ戦えるが速度が足りない。
建物と建物の間にある2階の高さの空間にドミナが到着。爪と足先だけで自らを固定する。
負ける気はしないが簡単に勝てる気は消えてしまった。
(もう1吸いしておけば良かった)
戦いによる消耗が食欲を刺激し、強い気配を持つ冒険者達をそういう目で見始める。
「こんな物でも無いよりはマシだろう」
そんな紳士的な態度でレピドがセニャに外套を貸してからほんの十数秒である。
(隠れても無駄だぞ)
セニャから離れて戦場に戻ったレピドが、エーテル波を猛烈な勢いで使って戦場の形と敵の位置を把握する。
速度と加速があるので建物の上に回り込むのも彼にとっては簡単で、暗殺者として身につけた標的を探し出す技術は生前と同じかそれ以上に機能する。
直後に行われるのは頭上からの奇襲だ。
鋭すぎる傷口は痛みに気付くのを遅らせる。
ドミナは3つの傷口を修復するのに、思った以上のエネルギーを消費させられた。
「邪魔っ」
驚愕を怒りに変えて暴力を振るう。
エーテルもない頑丈なだけの健在がまとめて切断されていくつもの建物が崩れる。
残骸ががらりと音を立てて崩れる。
ミゼリア・L・ステュクスが平然とした態度で立ち上がり、噛みついたまま死亡した犬魔獣と頭を複数、己から払い落とす。
ドミナは懐かしい顔に気付き、けれど懐かしみはしない。
どちらも変わってしまって心情的にも肉体の性質的にも遠すぎた。
「ひさし……ぶり?」
ミゼリアが小首を傾げる。
人類の敵である少女を見ているのに、馴染みのない感情が胸の中に生じて存在しないはずの記憶を刺激する。
懐古、哀切、喜びが重なり合った感情を処理仕切れない今のミゼリアの心が乱れ、体に焼き込まれた機能が起動する。
虚ろな赤い瞳が、出力はともかく性質は吸血鬼に似た光を放つ。
継ぎ接ぎだらけであるのに完成した美を備えた褐色の体が、人もそれ以外も破滅に誘う香りで以て誘う。
「そんな有様で」
ドミナの怒りが食欲を上回る。
餌に向けていた爪よりも鋭く重い斬撃がミゼリアを襲い襤褸布ごとミゼリアの肌と筋と中身を切り裂く。
しかし手応えが薄い。
ミゼリアからどろりと零れたどす黒いエーテルで防がれたことに気付いたときには冒険者に囲まれていた。
「二度目まして。でしょうか、ヴァンパイアのドミナさん」
ルアンナは呼びかけの前に術の発動を終えている。
合体魔法により威力を高められたエーテルが、視界を覆い尽くすほどの蝶の群れと化して少女を襲う。
対単体の攻撃としては空間爆砕並の破壊力がある。
光の蝶が吸血鬼の小さな体を蝕み、小さくはあるが確かに悲鳴をあげさせる。
(格の割に柔らかいですわ)
バンビは最後の合体魔法を使って光弾を大量に射出する。
これで効果範囲内の犬型アンデッドは全滅で、吸血鬼にも有効打を浴びせて存在を維持するための力を削る。
思考より体に刻まれた技能に忠実に、ミゼリアが怨念宿る魔剣を振り回す。
斬るのではなく重さで潰すための魔剣が膨大ではあっても限りのある吸血鬼の命を確実に削る。
ドミナは使い捨ての駒を死霊術で呼び出そうとして手持ちの少なさに驚く。
これでは、この場で勝てても冒険者ギルドからの追撃を躱しきれないかもしれない。
「おいまたかよ」
アーテミシアが自身の血に濡れたまま舌打ちする。
ドミナがいた場所から急速に霧が広がり、アーテミシアの打撃が空振りして反撃も来ない。
「ちょいとヤバくなったらすぐ逃げるってかよ。吸血鬼ってのはどいつもこいつも……」
アーテミシアはうんざりしている。
「捕食者と自認する彼等にとって、負ける可能性が少しでもあれば戦いを避けるのが自然なのかもしれません」
ルアンナによる婉曲な罵倒に少女が引っかかる。
本人の意識ではこっそり霧化を解除。
残存アンデッドの制御を放棄して純粋に攻撃のための術を使う。
ルアンナの背中へ飛ぶ力は、大きな威力と固い防御も貫く特製を兼ね備えていた。
「うそっ」
振り返るルアンナの至近には役割を終えたバリアの残滓がある。
ルアンナの魔力に比例した守りだけでなく特殊な属性まで持つ超エーテルバリアは、完璧に効果を発揮した。
ドミナの形の良い眉が急な角度を描く。暗視能力があっても見通せない闇から現れたミゼリアの巨大剣を躱し、完全に霧化して高度を上げる。
傷付きはしても戦闘力を維持したルアンナが術で反撃する。
ミゼリアは無意識に剣を構えたまま、遠ざかる霧を見上げていた。
●
「セニャ嬢は一回お祓いでも行った方がいいのではないか?」
「ああいうのは精神状態を改善させるための儀式じゃないかしら。時間があれば行きたい気になってるけど」
ベルクとセニャは視線を交わして同時にため息をつく。
「よくよく変な者を引き寄せ……」
ベルクの言葉が不自然に止まる。
セニャがマジカルポケットから大型容器を取り出し鉄製の蓋を開けて壺と匙を2つずつ取り出している。箱の中に、武装と財宝が無理矢理詰め込まれているのが見えた。
「血を作るための食事よ」
1つずつをベルクへ渡す。
「うむ……」
ベルクは非常に珍しいことにほんの少しではあるが動揺している。
セニャが常に手元に置き続けているものを見せる程度に信頼を得たのが感慨深く、中身を見て気付いた結果冷や汗が止まらない。
「過去にイグノ砂漠で回収した厄物財宝……ではなく我等が投資した品をまだ持っておるのだな」
「全部換金したのだけどいくつか返品されたのよね。何故か無料で」
(……骸兄者にいい祓い屋がいないか聞いてみるか)
どちらも問題を一時棚上げして、鉄分大目の料理を黙々と匙で口へ運ぶ。
「ここにいたか。しかし、寝込み襲われて血を吸われるたあ、情けないにもほどがあるってもんだ」
アーテミシアの言葉にセニャは反論できない。
「セニャ様、消毒が済んでいないのでは?」
フリーダが非常に強い酒の瓶を懐から取り出す。
じっと見つめる先はまだ微かに跡が残っている首筋だ。
「うっかり血が混じっていたら大変ですからね」
フリーダの言葉を聞いてセニャの顔色の悪さが酷くなる。
アルコールによる念入りな消毒を、大人しく受け入れた。
「すまない。倒しきれなかった」
穏やかに婚約者に接するアルベルトではあるがドミナに対する憤怒が強すぎ隠し切れない。
セニャは無意識に婚約者の体格を目測し、唇を見て、何故か赤面する。
「身辺に人を置かないのはちょっと問題ですわ。婚約者様をそばに侍らせたらどうでしょう」
バンビは婉曲的な表現を使わない。今のセニャにはそういうのは通用しそうにないからだ。
「そういえば、襲われたとき寝ていたのですよね? 何か夢を見ていたり……したようですわね?」
セニャとアルベルトを見比べ、バンビは納得したようにうなずいていた。
●
「念のため夜が明けるまで捜索を続ける」
レピドは安堵する衛兵に冷静な声をかける。
暴走したアンデッドが都市住民に接近するまでに全て見つけるのは、レピドの双波がなければ難しかった。
(それにしても『躾けてあげる』か。もしかしてドミナはセニャを子にでもしようとしていたのか?)
素質はありそうだとレピドは感じてしまう。
ミゼリアは暗視能力を活かして戦いが終わった後も警戒を続けている。
並の相手ならほとんど瞬間的に治癒できる体は、今は痛々しい傷が残ったままだ。
ミゼリアは痛みを感じられない。
少しずつ明るく空の下、静かに立ち尽くしていた。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2023年02月11日 00時01分26秒 公開
相談掲示板
レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 色々考えるべき事はあるが、とりあえずヒーラー不在のようなのでヒールは持っていこうと思っている。 ……俺は本当に最低限のヒールしか出来ないが、それでも無いよりはいい筈。
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 セニャ様の状況を考えると早期にヒールで手当をしなければいけませんね。 ヒーラー不在も戦術的に厳しい所ではありますので、 各自できる限りヒールの搭載はしておいた方が良いでしょう。 とりあえず今回はヒール大量に積んでのヒーラーとして行動しようと思います。 初手でセニャ様の治療に入りつつ、状況見て味方の回復をしていく形になります。
セニャ嬢もよくよく変なのを引っかけるな、これもある意味魔性の女と言うものか(チガウ) 早期救出優先は賛成だ。取り敢えずプリズムシャドウを持っていって、入れ変わりで引き離すので治療を任せる。問題はプリズムシャドウが視認せねばいかんのか、宗波等で居場所を掴めば行けるのかが不明なところだな。 (今のところ運用実績が開けた場所だけのため、屋内閉所運用はまだ未実積) だから最悪救護組にはセニャ嬢を保護したら抱えて離れて貰う手間が必要かもしれん。
ウォーリアのアルベルトだ。 よろしくな。 吸血鬼め、セニャを襲撃とは良い度胸じゃないか。俺のシュトルツの錆にしてやるぜ。 そんな訳で、まずは吸血鬼と闘うセニャの所に駆けつけてセニャをヒールで治療しつつ吸血鬼と戦闘するぜ。
ウォリアーのアーテミシアだ。 さーて、どうすっかね…50mって事は10ヘクスか。 ヒールだの確保だのはもう挙がってるから任せるとして…邪魔な犬をどうするかね。 11匹もいるんじゃ一人で抑えるってわけにもいかねえか
ハイスピードキャスターのバンビですわ。 犬でしたら、空間爆砕でふっとばしましょうか?
キャスターのルアンナです、よろしくお願いします。 ヒーラーさんがいないので私も自前でヒールを持って行きます。 行動としては、犬アンデッドを魔法で攻撃しつつ、セニャさんの助太刀に向かいたいですね! >空間爆砕 せっかくなら、同時にドッカーンとやりますか?
いいですわね、ルアンナ様。 合体魔法も使いますか?
合体魔法…!! 良いじゃないですかあ!! 同ラウンドにお互いを指定して、次で撃てば10hex巻き込めますね!!(超ノリノリ)
ふっ飛ばすのはいいけど、こっちまで巻き込まねーでくれよな。 というかあの犬って固まって行動してンのか? 一匹二匹じゃもったいねえぞ。 …オレはどうすっかね。取りこぼした犬を相手してもいいけど吸血鬼とは相性も悪くねえし、どっちでもいけるンだが
早期救出を最優先に異論はない。 もしセニャを抱えて一旦離れる必要があるなら俺がやろうか。 機動力ならそれなりにあるし。 ……ところで、ドミナの撤退条件が二つあるようだが、皆はどちらを目指す想定だろうか? 個人的には撤退後の事も考えるとドミナを抑えつつ犬を減らすのを重点にした方が良いように思ったが……撤退後犬がパワーアップするのはPL情報だよな、多分。 意見頼む。 >犬 宿とその周辺を彷徨いてるという話だから、単純に宿を中心に均等に四方に散ってると仮定すると初期段階で巻き込めそうなのは3匹くらい……か? 命令内容的に、戦闘が始まって少し時間経過したタイミングならあちらから寄ってくるとは思う。
まあ、俺の行動は「セニャを救出するためにドミナに挑む」で事実上1択なんだよな。 これで「ドミナを無視して犬型魔獣アンデットに向かいます」なんて言おうものなら敵味方全員から総ツッコミなんてものじゃ無いからな。 >クロサイトさん 本音を言えば「セニャを抱えるのは俺の役目だ!」と言いたい所だが、撤退時の機動力を考えればお願いせざるを得ないな。よろしく頼む
>回復 とりあえずヒール3を4つセットして各種装備で補強しましたので、 使用回数は24回、1回につき生命240ギリギリ届かない位には回復出来るようにしました。 それ以外の殆どのステータスは犠牲になりましたので、直接的な戦闘ではかなり不利になると思われます。 また、あくまで単体回復しかできませんので、 複数人がまとめて攻撃を受ける状況では回復が追いつかない可能性が高いです。 >方針 基本的にはレピド様の方針で良いかと思います。 現状の戦力で主犯を撃破するのは難しいでしょうし、 倒したところでどの道犬の撃破はしなくてはならないでしょう。
両方殲滅は不可能だし、犬を丸ごと残すのも現実的じゃねーな。 まあ犬の数削っていくのが一番妥当なところじゃね。それまで吸血鬼抑えるやつも必要だけど。
ご安心ください、空間爆砕は対象識別出来ます!( >どちらを目指すか ドミナが魔獣を召喚するので完全に一方を狙い撃ちは出来ませんし、条件を満たしやすいのは魔獣を減らす方でしょうか。 とりあえずドミナの元に辿り着ければ命令に従って魔獣は寄ってくるでしょうし、空間爆砕を使うならこのタイミングが良いと思います。
我はセニャ嬢救助後はアルベルト卿の援護に回ろう。 基本は吸血鬼を牽制しつつ犬どもが寄ってくるようならアルベルト卿の背中を護ろう。
>オスマットさん ありがとうございます。 よろしくお願いします
意見に感謝を。 吸血鬼を抑えつつ犬の数を減らす、で良さそうだろうか。 >アルベルト セニャには誓って救助・防衛以外の事はしない、任せてくれて感謝する。
もう明日締め切りかよ んじゃオレは吸血鬼の方にすっか。物理攻撃だけなら大して怖くねえし
それではこちらは犬担当に回ります。 といっても戦闘面よりも近場にいる方々の回復がメインになります。 初動でベルク様による救助後にセニャ様の応急処置を担当、 何とかなり次第戦闘に参加する形になるでしょうか。
……出発とうじつになってしまって、すみ……ません、 ウォーリアの、ミゼリア……です。 いぬを、ひきつけたり、対吸血鬼の、二枚目の盾になったりで…… ここまでの、そうだん内容の、おじゃまにならないような、うごきをするつもり……です。 よろしく、おねがいします……。
ではルアンナ様についてまいりますわね。
今日の午後7時が出発か。 とりあえず俺は以下の内容で行動する予定だ。 よろしく頼む。 ※アドリブ可 ・初期配置 セニャが寝ていた宿の外で待機中 ・心境及び目的 セニャを護るためドミナを撤退させるぜ! ・台詞 「大丈夫か!セニャ!」 「ドミナ、貴様の過去には興味ない。俺にとって肝心なのは貴様が〈【今】セニャを襲ったということ〉だ。」 「貴様、セニャをどうする気だったんだ?回答次第では貴様を斬る!」 「貴様、俺を本気で怒らせたようだな!」 「頼んだぞ!クロサイトさん」 「恩に着るぜ!オスマットさん」 「・・・で、夢の中で俺はセニャに何をしていたんだ?」 ・全体的な行動(数字の順に行動する予定) 1:異変に気づき次第『チャージング』を使用しセニャの元に駆け付ける 2:セニャの元に駆け付けたら、すぐにセニャに『ヒール』を使用し治療する 3:セニャを庇うように立つ 4:ドミナと戦闘する 5:ドミナとの戦闘終了後、余裕があれば犬型魔獣アンデッドと戦闘する 6:セニャが無事ならセニャの夢の内容を聞いてみる ・戦闘での行動 ドミナに対して『千鳥雷切斬』を使用、その後は『鋭撃3』を使用して攻撃 犬型魔獣アンデッドに対して『鋭撃3』を使用して攻撃 攻撃を受けたら『重点硬化3』を使用 自分の生命が半分を切ったら『ヒール』を使用 仲間の生命が半分を切ったら『ヒール』を使用 敵に近づくときは『チャージング』を使用 仲間との連携を重視 仲間の攻撃魔法に巻き込まれないように気を付ける ・その他 アルベルトはセニャを襲撃されドミナに対しブチ切れています