【初夢】身から出た錆?
コースケ
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シナリオID:2728
オープニング
●皇帝
リーンエス王国第二王子ウィリアムは、気が付くと石造りの広間に立っていた。そして目の前には甲冑姿の偉丈夫が立っている。
その後ろには純白のウェディングドレス姿のシルトラース帝国王子、レイウェスト・バルダスがさめざめと涙を流し、よく似た女性によしよしされていた。
偉丈夫は長大な槍をウィリアムに突き付け、厳かに口を開く。
「ウィリアム。貴様、余の息子を辱しめてくれたそうだな?」
レイウェストの父親であるシルトラース帝国皇帝、ヨゼフ・バルダスの圧に押されつつも、ウィリアムは笑みを崩さず質問に答える。
「いいえ。私は一介の冒険者ウィル。ウィリアム王子なんて知らない人ですね?」
「痴れ者が!!」
突き出される槍を身を捻って躱し、全速力で逃走に出るウィリアム。
逃がすまじと皇帝が追いながら槍を振り回し、それを躱したウィリアムの足を何かが掴んで転倒させた。
「くっ……!?」
「大人しく自分をウィリアムと認めるが良い。そして王国を余に差し出すなら許してやろう。今ならレイウェストをくれてやらんでもなーーぐふっ!?」
ウィリアムの喉元に槍を突き付けて勝ち誇るヨゼフ。だが、その姿勢のままヨゼフの身体が浮き上がり、物凄い勢いで天井に突き刺さって動かなくなる。
ガラーンとヨゼフの持っていた槍が転がる音が響いた。
●美姫
「全く。御父様はレイウェストを道具としか見ていない。心底うんざりだわ」
「ありがとう。助かったよ。貴女は……イダ様?」
ウィリアムに頷き、イダ・バルダスはウィリアムの前に立つ。イダはレイウェストと同じ紅玉の瞳を値踏みするようにウィリアムへ向け口を開いた。
「中々の優男ね。瞳の色は減点だけど、金髪と髭を生やしていないのは気に入ったわ。レイウェストとの結婚を認めます」
「……は?」
「母上っ!?」
状況が呑み込めないウィリアムと、レイウェストの悲鳴が重なる。
「息子をこんな風にしておいて、まさか何の責任も取らないつもりではないわよね?」
イダの視線が圧を増し、物理的な圧迫感を伴ってウィリアムを締め付ける。先程ウィリアムの足を掴み、ヨゼフを天井に突き刺したのはこの力だったようだ。
「それとも、まだウィルなんて名を偽って言い逃れしようなんて思ってはいないわよ…………ね?」
「母上、止めてください!」
イダの視線とともに、首が締め付けられる。振りほどこうにも振れることも出来ず、足をバタつかせながらウィリアムは宙に吊り上げられた。
「違うわ! その人はウィリアムでもウィルでも無い。わたくしのアランよ!!」
「!?」
●青の親指
突然割って入ってきた黒いドレス姿の美女が、背中から生えた第三の腕に握られた大鎌を振るう!
狙われたイダはウィリアムを解放し、謎の力場で刃を弾いて相手を睨み付けるが、襲撃者はその視線を無視しウィリアムへ声をかける。その胸には手作りの勲章が(グリゼルダ主観で)輝いていた。
「ああ、アラン! 瞳は無事? この女が貴方を傷付けたのね。許せないわ!!」
彼女はメドゥの指先の幹部、青の親指グリゼルダ。亡くなった恋人をゾンビとして黄泉反らせるため、その素体の材料としてウィリアムの瞳を狙っていたのだが、ウィリアムをアランと混同する傾向があり、それを利用したウィリアムのお願いにより、仲間であるメドゥの指先と刃を交える事もあるちょr――危険な存在である。
「邪魔をしないで! これは私達の問題なの!」
「邪魔は貴女よ! アランは渡さないわ!!」
イダはグリゼルダを追い払おうとするが、グリゼルダも一歩も引かず互いにがっちりと掌を合わせ、第三の腕と力場で押し合っている。
「アランはわたくしのものよ!」
「いいえ、レイウェストの婿にします!!」
「「引っ込んでなさいーー!!」」
二人を中心にエーテルが膨れ上がり、広間が崩壊する程の爆発を起こした!!
●春風の少年
イダから逃れたウィリアムとレイウェストは瓦礫の陰に身を隠していた。
「ふう、酷い目に合った。あちらがやりあっている内にここから脱出しよう」
「何を言っているんだ。大体は君の行いが招いた事だろう! 責任を取って収拾付けるんだ!」
レイウェストの言う通り、 彼にウェディングドレスを着せたのはウィリアムであり、グリゼルダの事も合わせてウィリアムに事態の一端があると言えなくもない。多分。
「いや、これは貰い事故に巻き込まれた様なものだと思うんだけど……?」
「でも、その中心に居るのは君だろう?」
「ええー?」
流石に嫌な顔をするウィリアムだったが、その時瓦礫の山に甘い香りの風が吹き、春色の髪と新緑の瞳を持つ美少年が現れる。
「お困りの様だね僕の花嫁!」
彼の名はトーリ。豊穣を願う【花戦】で、ウィリアムを花嫁に指名した不思議な少年である。
「ウィリアム王子、その少年とはどんな関係で? まさかそちらが本命で、レイウェストとは遊びではないでしょうね?」
「誰よその男? それにいつぞやの泥棒猫! ちょっと目を離した隙にアランに近付いて!!」
「皇帝である余を差し置いて話を進めるでない!!」
イダ達の目が一斉に自分を向くのを見て、ウィリアムは笑みを浮かべつつも冷や汗をかいていた。
(これ、刺される奴かな?)
リーンエス王国第二王子ウィリアムは、気が付くと石造りの広間に立っていた。そして目の前には甲冑姿の偉丈夫が立っている。
その後ろには純白のウェディングドレス姿のシルトラース帝国王子、レイウェスト・バルダスがさめざめと涙を流し、よく似た女性によしよしされていた。
偉丈夫は長大な槍をウィリアムに突き付け、厳かに口を開く。
「ウィリアム。貴様、余の息子を辱しめてくれたそうだな?」
レイウェストの父親であるシルトラース帝国皇帝、ヨゼフ・バルダスの圧に押されつつも、ウィリアムは笑みを崩さず質問に答える。
「いいえ。私は一介の冒険者ウィル。ウィリアム王子なんて知らない人ですね?」
「痴れ者が!!」
突き出される槍を身を捻って躱し、全速力で逃走に出るウィリアム。
逃がすまじと皇帝が追いながら槍を振り回し、それを躱したウィリアムの足を何かが掴んで転倒させた。
「くっ……!?」
「大人しく自分をウィリアムと認めるが良い。そして王国を余に差し出すなら許してやろう。今ならレイウェストをくれてやらんでもなーーぐふっ!?」
ウィリアムの喉元に槍を突き付けて勝ち誇るヨゼフ。だが、その姿勢のままヨゼフの身体が浮き上がり、物凄い勢いで天井に突き刺さって動かなくなる。
ガラーンとヨゼフの持っていた槍が転がる音が響いた。
●美姫
「全く。御父様はレイウェストを道具としか見ていない。心底うんざりだわ」
「ありがとう。助かったよ。貴女は……イダ様?」
ウィリアムに頷き、イダ・バルダスはウィリアムの前に立つ。イダはレイウェストと同じ紅玉の瞳を値踏みするようにウィリアムへ向け口を開いた。
「中々の優男ね。瞳の色は減点だけど、金髪と髭を生やしていないのは気に入ったわ。レイウェストとの結婚を認めます」
「……は?」
「母上っ!?」
状況が呑み込めないウィリアムと、レイウェストの悲鳴が重なる。
「息子をこんな風にしておいて、まさか何の責任も取らないつもりではないわよね?」
イダの視線が圧を増し、物理的な圧迫感を伴ってウィリアムを締め付ける。先程ウィリアムの足を掴み、ヨゼフを天井に突き刺したのはこの力だったようだ。
「それとも、まだウィルなんて名を偽って言い逃れしようなんて思ってはいないわよ…………ね?」
「母上、止めてください!」
イダの視線とともに、首が締め付けられる。振りほどこうにも振れることも出来ず、足をバタつかせながらウィリアムは宙に吊り上げられた。
「違うわ! その人はウィリアムでもウィルでも無い。わたくしのアランよ!!」
「!?」
●青の親指
突然割って入ってきた黒いドレス姿の美女が、背中から生えた第三の腕に握られた大鎌を振るう!
狙われたイダはウィリアムを解放し、謎の力場で刃を弾いて相手を睨み付けるが、襲撃者はその視線を無視しウィリアムへ声をかける。その胸には手作りの勲章が(グリゼルダ主観で)輝いていた。
「ああ、アラン! 瞳は無事? この女が貴方を傷付けたのね。許せないわ!!」
彼女はメドゥの指先の幹部、青の親指グリゼルダ。亡くなった恋人をゾンビとして黄泉反らせるため、その素体の材料としてウィリアムの瞳を狙っていたのだが、ウィリアムをアランと混同する傾向があり、それを利用したウィリアムのお願いにより、仲間であるメドゥの指先と刃を交える事もあるちょr――危険な存在である。
「邪魔をしないで! これは私達の問題なの!」
「邪魔は貴女よ! アランは渡さないわ!!」
イダはグリゼルダを追い払おうとするが、グリゼルダも一歩も引かず互いにがっちりと掌を合わせ、第三の腕と力場で押し合っている。
「アランはわたくしのものよ!」
「いいえ、レイウェストの婿にします!!」
「「引っ込んでなさいーー!!」」
二人を中心にエーテルが膨れ上がり、広間が崩壊する程の爆発を起こした!!
●春風の少年
イダから逃れたウィリアムとレイウェストは瓦礫の陰に身を隠していた。
「ふう、酷い目に合った。あちらがやりあっている内にここから脱出しよう」
「何を言っているんだ。大体は君の行いが招いた事だろう! 責任を取って収拾付けるんだ!」
レイウェストの言う通り、 彼にウェディングドレスを着せたのはウィリアムであり、グリゼルダの事も合わせてウィリアムに事態の一端があると言えなくもない。多分。
「いや、これは貰い事故に巻き込まれた様なものだと思うんだけど……?」
「でも、その中心に居るのは君だろう?」
「ええー?」
流石に嫌な顔をするウィリアムだったが、その時瓦礫の山に甘い香りの風が吹き、春色の髪と新緑の瞳を持つ美少年が現れる。
「お困りの様だね僕の花嫁!」
彼の名はトーリ。豊穣を願う【花戦】で、ウィリアムを花嫁に指名した不思議な少年である。
「ウィリアム王子、その少年とはどんな関係で? まさかそちらが本命で、レイウェストとは遊びではないでしょうね?」
「誰よその男? それにいつぞやの泥棒猫! ちょっと目を離した隙にアランに近付いて!!」
「皇帝である余を差し置いて話を進めるでない!!」
イダ達の目が一斉に自分を向くのを見て、ウィリアムは笑みを浮かべつつも冷や汗をかいていた。
(これ、刺される奴かな?)
解説
※このシナリオは「夢オチシナリオ」です。シナリオ内容は架空のものであり、アニエピカの世界観に一切影響を与えません。報酬は冒険者ギルドからのお年玉です。
この夢に登場し、やりたいようにやって下さい。
ウィリアムを助けに走るも良し、捕らえて他のNPCに突き出すも良し、自分で手を下すも良し、です。全く関わらなくてもOK。
PC同士で意見を統一する必要もありません。全員で協力して追って来る三人を迎え撃ったり、PC同士対立するのも自由です。
ただ、自分の行動を相談所で公表し合うと互いにプレイングも書きやすいかと思いますので、よろしければ一言宣言して頂ければと思います。
●NPC
ウィリアム・リーンエス……ロスガリア大陸屈指のウォーリア。非常にタフだが追ってくる三人とは一対一でも勝てない。
レイウェスト・バルダス……実力的には平凡なシーフ。
ヨゼフ・バルダス……征竜の武具により大幅にパワーアップしているが、槍を落としているのでまずはそれを探している。
イダ・バルダス……神へ成らんとする超越者。でも今はレイウェストの婚活を推し進めるお節介ママ。
青の親指グリゼルダ……肉弾戦も出来る死霊術師。愛の力(アランからの勲章)でパワーアップ! キメラゾンビは置いてきた。この戦いには着いてこれそうも無いからな。
トーリ……戦闘など直接手を貸す事はしないが、ウィリアムを助けようとする者が頼めば大抵の事は聞いてくれる。
「あの三人を止める力が欲しい? 君達をパワーアップさせればいいかな?」
戦闘力の目安
イダ≧グリゼルダ(愛の力)>ヨゼフ>>>>>>>>ウィリアム>>>レイウェスト
トーリ(圏外)
●状況
場所は崩壊した石造りの広間です。身を隠す瓦礫は大量にありますが、崩落の可能性もあります。夢空間なので終わりが無くずっと広がっています。
中央にヨゼフ、イダ、グリゼルダが居て、そこから50m離れた所にウィリアム、レイウェスト、トーリが居ます。
マスターより
新年あけましておめでとうございます。コースケです。
折角の夢オチシナリオですし、盛大に命を散ったり散らせたりしていいんじゃないかな!(
大体は騒動に巻き込まれているので責任は無い筈のウィリアム王子ですが、本人の言動からぞんざいに扱われているのを見てこういうシナリオを考えてみました。
ウィリアム王子他公式NPCを運営様から、グリゼルダさんをおおくまねこマスター、トーリさんを炙りとろ左門マスターからお借りしております。
ちなみに、イダ妃をはじめNPCの能力などは夢オチシナリオということで私が考えたもので、公式に認められたものではありません。この先に登場するときの参考にはならないのでご注意下さい。
(イダ妃の必殺技『傾国レーザー!』とか考えてたのは内緒)
グリゼルダさんについては【恋瞳】【怨都】、トーリさんについては【花戦】連動ページなどに登場していますので、興味がありましたら目を通して頂ければ!
分からないことなどありましたら、目を覚ましたとき夢の内容をほとんど忘れているオッターが答えます。
以上、よろしければご参加お願いいたします!
リプレイ
●恒例の?
「毎年夢に自国の第二王子が出てくるんですが疲れているんでしょうか?」
婚約者との甘い夢を期待して眠りに着いたヴェルジー伯爵家の次男、ジュスト・ヴェルジーは、刃傷沙汰の中心に居るウィリアムに遠い目をして誰かへ問う。
当然ながら返答は無い。それと疲れと第二王子の夢は関係無いだろう。
「まあ、そんな筈は無いか……」
とは言え、先程もジュスト自身がウィリアムになる夢を見たばかりである。この調子であれば来年は三度くらい見る事になるかもしれない。
「不吉なことを言わないように!」
そうは言われましても、決定権は大いなる意思にあるので此方を責めないで頂きたい。
「そういう事言うと実現するかもしれないだろ!?」
「ジュスト……? もしかして疲れているのか?」
虚空に向かって叫ぶジュストへ、彼の許嫁であるローザリカ・L・ディオールが怪訝な顔で声をかける。
「疲れてない! ……あ、ロゼ。君もこの夢に来たのかい? ところでそれは……?」
「……!?!?」
ローザリカは指摘されて自分が恋人形を抱いている事に気付き、後ろ手に隠して弁明する。
「ち、違うんださっきまでベッドの中で婚約者殿にそっくりで顔が良すぎてムカついてつつくなどしながら微睡んでいたはずなどと言うことは絶対無いからな!?(めっちゃ早口) というか夢のくせになんて不親切なんだ!」
そう言われましても、これ貴女の夢でもあるので。
とは言え、イダとグリゼルダが互いを牽制しながら此方へ向かって来ているため、そんな事をしている場合ではない。
「えーと、そういうのは他所でやって貰えるかい?」
「ウィル、邪魔しては……」
甘酸っぱい顔でウィリアムが二人を嗜め、レイウェストは顔を赤らめてそれを止める。
それに対し、元凶に指摘されイラッと来たジュストが反応した。
「いやこれって殿下が騒動の中心にいる夢に私達が巻き込まれてますよね? ほんっっと大体ご自身の蒔いた種だと思うのですが、反省されてますか?」
顔は笑っているが、相手が自国の王子に詰め寄って説教する程にキレている。
「【初夢】でそれを言う?」
「普段の言動がアレだから、こんなことになってるんでしょう!!?」
などと言いつつも、王国貴族の性か、それともお人好しと言われる性格故か、ジュストは深く溜息をつくとトーリに事態解決の助力を請う。
「あの三人を止める為に貴方の花嫁に力を授けて下さいませんか?」
「え、僕? ここは臣下の勤めを果たすところでは?」
「いっそ、本当に王子が身も心も花嫁になってしまったら万事解決するのでは??」
ウィリアムは抗議するが、ジュストは勢いで押し通す。そんな風に婚約者がキレすぎて壊れている様を、密かに面白がって眺めていたローザリカがジュストを援護した。
「私からもお願いを。うっかりトーリ様の花嫁が何かの攻撃に巻き込まれるともしれません。どうか彼を花嫁らしく屈強にして頂けませんでしょうか」
「うーん。しかしこれはどうなんだろう?」
お願いされたトーリが考え込む。二人は花嫁の味方と言って良いのか?
すると次の瞬間、レイウェストの姿が消え、現れた影がウィリアムに斬り付ける! それに続き光の槍が飛来し、不可視の重力場が辺りを覆い尽くした!
●時は暫し遡る
「……何だこの状況」
崩壊した広間で繰り広げられる狂態に、北壁山脈の防人出身のベルク・オスマットはしばし呆気に取られる。
だが、すぐに主君であるレイウェストの置かれた状況を察し、その原因である(?)ウィリアムに対する怒りをふつふつと煮え滾らせていた。
「人の主君を何辱めてくれておるかこの痴れ者王子」
ベルクの妹であるヤウズ・オスマットもまた、姉と同じくウィリアム達にブチギレている。
「……人の国の国主様になにを国辱行為かましてくれてるのですかね、このヒューマン共」
加えて帝国崩壊により故郷を離れたところを帝国過激派に拐われホムンクルスにされたヤウズにとって、帝国崩壊を命じたイダ、帝国過激派を率いるヨゼフもまた嫌悪の対象であった。
「さて、どうしてくれようか」
「仕置きならわらわもやるのじゃ」
低い声で冷たくベルクが呟き、ヤウズも柄物を手に姉に続く。共に目が据わり、狐の獣人の証である尻尾の毛がぶわっと膨れていた。
「我は殿下をお助けする。ヤウズはあの痴れ者を止めよ」
「承知したのじゃ!」
プリズムシャドウにより、ベルクがレイウェストと位置を入れ替え、続いてヤウズが光の槍を放ち、重力場を展開した!
●花戦再び
「おおっと!?」
レイウェストと入れ替わりで現れた影――ベルク――の嵐双牙を足に受けたウィリアムだったが、流石と言うべきか腱など歩行に支障となる部位への負傷は避け、続く光の槍による移動阻害も抗って見せた。
だが、重力場だけはどうしようもなく、移動を阻害されてしまう。
「たーおれーるにゃー♪」
そこへ、イダとグリゼルダによる崩壊を免れた筈の石柱が、ウィリアムに向かって倒れて来る。ベルクとヤウズの友人であるフレイヤ・サンライズが、面白半分に魔法で倒壊させたのだ
「いや、夢なのに殺意高すぎない?」
「チッ、逃れたか。大人しく潰れて花嫁として引き渡されれば良いものを」
「そんなのでも一応我が国の王子なのでね。自発的でない嫁入りはご容赦願いたい」
「そんなの……?」
柱を躱して難を逃れたウィリアムに忌々しげに吐き捨てるベルクだったが、咄嗟に重力場を相殺していたジュストが待ったをかけた。二人ともウィリアムの抗議は黙殺している。
「ヴェルジー殿、邪魔をしないで貰おうか」
「お、お姉ちゃんの言う通りにして下さい……!」
「あははははは☆どっかーん♪」
オスマット姉妹はジュストに剣呑な視線を向けるが、ジュストも引くつもりはない。一方フレイヤは戯れの破壊を続けており、崩落は無差別に誰か(イダ達)を巻き込んでいるが、全く気にしていない。
そこへ、先程から首を傾げていたトーリがぽんと手を叩き声を上げた。
「花嫁をかけた戦い! ……つまりこれも花戦だね! ならば全力で応援しようじゃないか!」
トーリが力を授けようと手を翳す。
「トーリ様、ついでに王子を体ごと花嫁姿に!」
「まだ言うの?」
「その願い叶えよう!」
「女体化は勘弁して欲しいな!」
「諦めて下さい王子。花嫁衣装にチェンジする場合195㎝で三十路の男はきついと存じます」
真顔で言うジュストだったが、この男絶対に鬱憤を晴らそうとしている。だが、高位の存在に願いを伝えるときは気を付けなければならない。
かって世界征服の野望を女性の下着に引き換えた者が居たように、夢くらいはジュストを困らせてやろうと機を伺う者が居たのだ!
「可能であれば彼、ジュストにもお力添えを願えないでしょうか。彼は私の花嫁なのです!」
「ロゼ!? 助け……っ!?」
「大丈夫、君と王子ならきっと似合うさ。ふりふりとパワーはあればあるほど可愛いとかなんとか。二人で力を合わせて彼らを撃退してくれたまえ!」
「おー! ならフレちゃんも着ちゃおっかな☆」
ジュストはローザリカに撤回を求めるが、ローザリカは笑顔で突き放し、フレイヤもそれに乗っかる。
「面白そうだね。叶えるよ!」
トーリの宣言とともに、一同を春の風が包み込んだ。
●お約束
風が吹き抜けると、ウィリアムとジュストが居た場所には二人の美女が立っていた。それぞれ青と緑のウェディングドレスに身を包み、手に持つ宝剣とステッキを掲げ高らかに名乗りを上げる!
「わたくしに逆らう者は粛清よ! 絶対王政のプリンス☆️ウィル!!」
「暴君と嫁の間で板挟み! 逆らえない哀愁のカウント☆ジュスティーヌ!!」
「「二人は花嫁!!」」
「フレちゃんもいるよん♪」
それぞれ背後に青と緑と赤のエーテル光を背負うウィルとジュスティーヌにおまけのフレイヤがポーズを取る。
それを見たローザリカは艶華扇をの陰で笑いを隠し、ベルクは声を上げて大笑いしている。
「わたく……僕は何故あんな言動を……?」
「……解りました。さっさとこんな悪夢は終わらせますわよ」
ウィルは戸惑いをみせているが、お嬢様言葉を直そうともしないジュスティーヌは、経験則による諦めから目に光なく一刻も早く事を済ませようと杖を握る。
ちなみに名乗りを上げるのお約束だからです。
「ウィル。その姿はどういう事です? ……まさか、レイウェストの婿でなく嫁になる意思を示しているのですか?」
「まあ待てイダよ。あやつを余が娶れば、労せずして王国が手に入る。プリンス☆ウィルよ。余の妻となれ」
「いいえ。あれはレイウェストにあげるんです!」
「…………」
「ああっ!? アランの瞳から光がっ!!?」
后妃と皇帝がウィルを巡って言い争い、ウィルの目からもハイライトが消え、グリゼルダが悲鳴を上げる。
事態の混迷は進む一方であった。
●崩壊の進む広間で
「みんなー☆どっかん祭、はっじまっるよー♪」
トーリにより超越者級の力を得たフレイヤは、その破壊力にも頓着せず柱や壁に魔法をぶっ放していた。それにより崩落が進み、瓦礫が自分にも降りかかってくるがそれも気にせず走り回っている。
「へ、殿下、ここは危ないですので急ぎ離脱を……!」
一方、ヤウズはレイウェストを押し止めていた。
「だがウィリアムが!」
「ウィリアム殿下? え? あそこにいらっしゃるのは花嫁のウィルさんでは? 結婚は当人達の問題なので自力で何とかされるのでは?」
「……う、うむ?」
夢であるせいか、それとも主への忠誠心の現れか。普段のおどおどした彼女とは別人の様な早口で丸め込み、ヤウズはレイウェストを退避させる。
「え、ちょっとー? レイウェストも当人達の中に入ってるんだけどー?」
「ではウィルさんは頑張ってください」
それをウィルが呼び止めるが、ヤウズは尻尾をふわり、と揺らして振り返ると、にっこりと柔らかく笑みを浮かべて別れを告げる。
直後、先程の何十倍もの重圧がウィルを襲い、放たれた光の槍が今度は崩れかけの天井を貫いて瓦礫を降らせる!
ついでに、ヨゼフとイダへも超弩級のエーテル弾を放って爆破するのも忘れない。
「彼女も力を得ていたの?」
「片方だけに力を貸したら一方的な戦になってしまうからね。勿論あと二人もパワーアップ済さ!」
ウィルが瓦礫を宝剣で切り払う横で、力を使い果たし掌サイズにデフォルメ化した状態のトーリが解説する。
「僕を花嫁と言うなら、もう少し手心を……っ!?」
トーリに文句を言おうとしたウィルは、直後襲い来る暴風雨の様な乱擊に反応しそれを受け流す。だが、何発かは捌ききれず、足を切り裂かれていた。
「ふむ。借り物とは言え、痴れ者を成敗できるなら悪くない」
先程とは倍以上の手数でウィルを襲ったベルクは、確かな手応えに口角を上げる。
「よくもアランを傷付けてくれたわね! 瞳が傷付いたらどうするのよ!?」
そこへグリゼルダが乱入して来るが、ベルクは身体を半歩引き振り下ろされる大鎌を躱すと、反撃の暗爪刀「狐爪」を振り抜く!
暗爪刀の黒刃はエーテルにより切れ味を増しており、グリゼルダの大鎌が切断され、腕を深く切り裂いていた。
「そう吠えるな。不埒者の目など我にとってはどうでも良いこと。何なら目玉を抉り抜いてそなたに渡しても良いが?」
「えっ♪」
ベルクはうっすらと笑みを浮かべ、切られた腕を押さえるグリゼルダへ提案する。
「そこは喜ばないで欲しいな!」
ウィルの声には必死さが滲んでいた。
「花嫁に触れて良いのは僕だけだからね?」
「無礼なっ!?」
此方ではローザリカがイダに真紅月脚・改による蹴りを入れる。先程のヤウズの攻撃もあり、イダの身を覆う力場が霧散する。
続けてジュスティーヌが風の精霊に働きかけ、不可視の波紋の中心にイダを捉えると、次の瞬間に爆発的な衝撃波として荒れ狂わせた!
「くっ、字数など気にせずエフレムを連れて来ていれば……!」
「止めて差し上げなさい。マスターが死んでしまいますわ。諦めて引いて下さいませ」
膝を付くイダに、ジュスティーヌがステッキを突き付け退場を迫る。一刻も早くこの事態から解放されたいからだ。
だが、イダはそれに応じなかった。
「……神であるこの身を傷付け、下がらせようとはあまりにも不遜!! 人の身を越えた程度で調子に乗るなっ!!!!」
イダの黒髪が瞳と同じ紅に染まり、今まで以上の圧が発せられる。それは物理的な圧力となりジュスティーヌを襲う! だが、その前に飛び出したローザリカが身を挺してそれを防いだ!
「なんて事を!?」
「たまには……君を、守らせておくれ……よ。君は弱い……癖にそういうの、嫌がるんだから……」
ジュスティーヌ、いやジュストはローザリカを抱え、零れ出そうな本心を押さえ叫ぶ。
「そんな訳にはいかないだろ! 俺は……男なんだから!!」
「いいや。今は……僕、の花嫁……だろう?」
ローザリカはジュストの頬に手をあて微笑むが、力を失いその手が落ちる。
「ロゼ!!」
「邪魔が入ったがまあ良いわ。すぐに後を追わせてあげる」
絶叫するジュストに向け、イダは手を伸ばした。
●大☆暴☆走
「あははははは☆なんかすっごいこと出来るようになった♪ ウケるw そーだ! ベルぴょん達にも見せに行かなきゃ☆」
ヨゼフの落とした征竜の槍を拾ったフレイヤは、それを手に魔法を使えば爆発的に効果が高まる事を発見していた。
「フレイヤ殿、それは……?」
レイウェストを避難させ戻って来たヤウズは、フレイヤの足元で黒焦げになっている皇帝に仰天している。
「これ? 私が拾ったのに『余の槍を返すがよい』とか言って向かってくるから魔法撃ったらこんななったの☆頭アフロだし超ウケるよね?」
「ええ……」
皇帝が酷い目に合うのは構わないが、流石にこの暴走は目に余る。既に建物の柱は全滅し、天井も崩れて瓦礫の山となっていた。
「あの……せめてお姉ちゃんは巻き込まないで……!」
必死に訴えるヤウズだが、フレイヤは取り合う様子もなく槍にエーテルを込める。
「だってとある偉いお方に頼まれたから仕方ないんだよ〜☆ と・い・う・訳で☆どっかん祭の最後はど派手に締めよっか♪」
ヤウズが止める間もなく、フレイヤは槍にエーテルを込め真上に向かって打ち出した。
「全部ぜーんぶどっかーん☆」
超越級のエーテルを込めた征竜の槍は、
グリゼルダとウィリアムと切り結ぶベルクを――
イダの攻撃から身を挺してローザリカを庇うジュストを――
そしてヤウズとフレイヤを含む世界全てを巻き込んで――
爆☆発☆四☆散!!!
●朝
ジュストは目を開くと、枕元の恋人形へ手を伸ばすと抱きしめて丸まり、込み上げてくるものを堪えていた。
「よしよし。本物の代わりに僕が慰めてあげるから」
すると恋人形が優しく頭を抱きしめる。
「まだ覚めてないのかよ!?」
「毎年夢に自国の第二王子が出てくるんですが疲れているんでしょうか?」
婚約者との甘い夢を期待して眠りに着いたヴェルジー伯爵家の次男、ジュスト・ヴェルジーは、刃傷沙汰の中心に居るウィリアムに遠い目をして誰かへ問う。
当然ながら返答は無い。それと疲れと第二王子の夢は関係無いだろう。
「まあ、そんな筈は無いか……」
とは言え、先程もジュスト自身がウィリアムになる夢を見たばかりである。この調子であれば来年は三度くらい見る事になるかもしれない。
「不吉なことを言わないように!」
そうは言われましても、決定権は大いなる意思にあるので此方を責めないで頂きたい。
「そういう事言うと実現するかもしれないだろ!?」
「ジュスト……? もしかして疲れているのか?」
虚空に向かって叫ぶジュストへ、彼の許嫁であるローザリカ・L・ディオールが怪訝な顔で声をかける。
「疲れてない! ……あ、ロゼ。君もこの夢に来たのかい? ところでそれは……?」
「……!?!?」
ローザリカは指摘されて自分が恋人形を抱いている事に気付き、後ろ手に隠して弁明する。
「ち、違うんださっきまでベッドの中で婚約者殿にそっくりで顔が良すぎてムカついてつつくなどしながら微睡んでいたはずなどと言うことは絶対無いからな!?(めっちゃ早口) というか夢のくせになんて不親切なんだ!」
そう言われましても、これ貴女の夢でもあるので。
とは言え、イダとグリゼルダが互いを牽制しながら此方へ向かって来ているため、そんな事をしている場合ではない。
「えーと、そういうのは他所でやって貰えるかい?」
「ウィル、邪魔しては……」
甘酸っぱい顔でウィリアムが二人を嗜め、レイウェストは顔を赤らめてそれを止める。
それに対し、元凶に指摘されイラッと来たジュストが反応した。
「いやこれって殿下が騒動の中心にいる夢に私達が巻き込まれてますよね? ほんっっと大体ご自身の蒔いた種だと思うのですが、反省されてますか?」
顔は笑っているが、相手が自国の王子に詰め寄って説教する程にキレている。
「【初夢】でそれを言う?」
「普段の言動がアレだから、こんなことになってるんでしょう!!?」
などと言いつつも、王国貴族の性か、それともお人好しと言われる性格故か、ジュストは深く溜息をつくとトーリに事態解決の助力を請う。
「あの三人を止める為に貴方の花嫁に力を授けて下さいませんか?」
「え、僕? ここは臣下の勤めを果たすところでは?」
「いっそ、本当に王子が身も心も花嫁になってしまったら万事解決するのでは??」
ウィリアムは抗議するが、ジュストは勢いで押し通す。そんな風に婚約者がキレすぎて壊れている様を、密かに面白がって眺めていたローザリカがジュストを援護した。
「私からもお願いを。うっかりトーリ様の花嫁が何かの攻撃に巻き込まれるともしれません。どうか彼を花嫁らしく屈強にして頂けませんでしょうか」
「うーん。しかしこれはどうなんだろう?」
お願いされたトーリが考え込む。二人は花嫁の味方と言って良いのか?
すると次の瞬間、レイウェストの姿が消え、現れた影がウィリアムに斬り付ける! それに続き光の槍が飛来し、不可視の重力場が辺りを覆い尽くした!
●時は暫し遡る
「……何だこの状況」
崩壊した広間で繰り広げられる狂態に、北壁山脈の防人出身のベルク・オスマットはしばし呆気に取られる。
だが、すぐに主君であるレイウェストの置かれた状況を察し、その原因である(?)ウィリアムに対する怒りをふつふつと煮え滾らせていた。
「人の主君を何辱めてくれておるかこの痴れ者王子」
ベルクの妹であるヤウズ・オスマットもまた、姉と同じくウィリアム達にブチギレている。
「……人の国の国主様になにを国辱行為かましてくれてるのですかね、このヒューマン共」
加えて帝国崩壊により故郷を離れたところを帝国過激派に拐われホムンクルスにされたヤウズにとって、帝国崩壊を命じたイダ、帝国過激派を率いるヨゼフもまた嫌悪の対象であった。
「さて、どうしてくれようか」
「仕置きならわらわもやるのじゃ」
低い声で冷たくベルクが呟き、ヤウズも柄物を手に姉に続く。共に目が据わり、狐の獣人の証である尻尾の毛がぶわっと膨れていた。
「我は殿下をお助けする。ヤウズはあの痴れ者を止めよ」
「承知したのじゃ!」
プリズムシャドウにより、ベルクがレイウェストと位置を入れ替え、続いてヤウズが光の槍を放ち、重力場を展開した!
●花戦再び
「おおっと!?」
レイウェストと入れ替わりで現れた影――ベルク――の嵐双牙を足に受けたウィリアムだったが、流石と言うべきか腱など歩行に支障となる部位への負傷は避け、続く光の槍による移動阻害も抗って見せた。
だが、重力場だけはどうしようもなく、移動を阻害されてしまう。
「たーおれーるにゃー♪」
そこへ、イダとグリゼルダによる崩壊を免れた筈の石柱が、ウィリアムに向かって倒れて来る。ベルクとヤウズの友人であるフレイヤ・サンライズが、面白半分に魔法で倒壊させたのだ
「いや、夢なのに殺意高すぎない?」
「チッ、逃れたか。大人しく潰れて花嫁として引き渡されれば良いものを」
「そんなのでも一応我が国の王子なのでね。自発的でない嫁入りはご容赦願いたい」
「そんなの……?」
柱を躱して難を逃れたウィリアムに忌々しげに吐き捨てるベルクだったが、咄嗟に重力場を相殺していたジュストが待ったをかけた。二人ともウィリアムの抗議は黙殺している。
「ヴェルジー殿、邪魔をしないで貰おうか」
「お、お姉ちゃんの言う通りにして下さい……!」
「あははははは☆どっかーん♪」
オスマット姉妹はジュストに剣呑な視線を向けるが、ジュストも引くつもりはない。一方フレイヤは戯れの破壊を続けており、崩落は無差別に誰か(イダ達)を巻き込んでいるが、全く気にしていない。
そこへ、先程から首を傾げていたトーリがぽんと手を叩き声を上げた。
「花嫁をかけた戦い! ……つまりこれも花戦だね! ならば全力で応援しようじゃないか!」
トーリが力を授けようと手を翳す。
「トーリ様、ついでに王子を体ごと花嫁姿に!」
「まだ言うの?」
「その願い叶えよう!」
「女体化は勘弁して欲しいな!」
「諦めて下さい王子。花嫁衣装にチェンジする場合195㎝で三十路の男はきついと存じます」
真顔で言うジュストだったが、この男絶対に鬱憤を晴らそうとしている。だが、高位の存在に願いを伝えるときは気を付けなければならない。
かって世界征服の野望を女性の下着に引き換えた者が居たように、夢くらいはジュストを困らせてやろうと機を伺う者が居たのだ!
「可能であれば彼、ジュストにもお力添えを願えないでしょうか。彼は私の花嫁なのです!」
「ロゼ!? 助け……っ!?」
「大丈夫、君と王子ならきっと似合うさ。ふりふりとパワーはあればあるほど可愛いとかなんとか。二人で力を合わせて彼らを撃退してくれたまえ!」
「おー! ならフレちゃんも着ちゃおっかな☆」
ジュストはローザリカに撤回を求めるが、ローザリカは笑顔で突き放し、フレイヤもそれに乗っかる。
「面白そうだね。叶えるよ!」
トーリの宣言とともに、一同を春の風が包み込んだ。
●お約束
風が吹き抜けると、ウィリアムとジュストが居た場所には二人の美女が立っていた。それぞれ青と緑のウェディングドレスに身を包み、手に持つ宝剣とステッキを掲げ高らかに名乗りを上げる!
「わたくしに逆らう者は粛清よ! 絶対王政のプリンス☆️ウィル!!」
「暴君と嫁の間で板挟み! 逆らえない哀愁のカウント☆ジュスティーヌ!!」
「「二人は花嫁!!」」
「フレちゃんもいるよん♪」
それぞれ背後に青と緑と赤のエーテル光を背負うウィルとジュスティーヌにおまけのフレイヤがポーズを取る。
それを見たローザリカは艶華扇をの陰で笑いを隠し、ベルクは声を上げて大笑いしている。
「わたく……僕は何故あんな言動を……?」
「……解りました。さっさとこんな悪夢は終わらせますわよ」
ウィルは戸惑いをみせているが、お嬢様言葉を直そうともしないジュスティーヌは、経験則による諦めから目に光なく一刻も早く事を済ませようと杖を握る。
ちなみに名乗りを上げるのお約束だからです。
「ウィル。その姿はどういう事です? ……まさか、レイウェストの婿でなく嫁になる意思を示しているのですか?」
「まあ待てイダよ。あやつを余が娶れば、労せずして王国が手に入る。プリンス☆ウィルよ。余の妻となれ」
「いいえ。あれはレイウェストにあげるんです!」
「…………」
「ああっ!? アランの瞳から光がっ!!?」
后妃と皇帝がウィルを巡って言い争い、ウィルの目からもハイライトが消え、グリゼルダが悲鳴を上げる。
事態の混迷は進む一方であった。
●崩壊の進む広間で
「みんなー☆どっかん祭、はっじまっるよー♪」
トーリにより超越者級の力を得たフレイヤは、その破壊力にも頓着せず柱や壁に魔法をぶっ放していた。それにより崩落が進み、瓦礫が自分にも降りかかってくるがそれも気にせず走り回っている。
「へ、殿下、ここは危ないですので急ぎ離脱を……!」
一方、ヤウズはレイウェストを押し止めていた。
「だがウィリアムが!」
「ウィリアム殿下? え? あそこにいらっしゃるのは花嫁のウィルさんでは? 結婚は当人達の問題なので自力で何とかされるのでは?」
「……う、うむ?」
夢であるせいか、それとも主への忠誠心の現れか。普段のおどおどした彼女とは別人の様な早口で丸め込み、ヤウズはレイウェストを退避させる。
「え、ちょっとー? レイウェストも当人達の中に入ってるんだけどー?」
「ではウィルさんは頑張ってください」
それをウィルが呼び止めるが、ヤウズは尻尾をふわり、と揺らして振り返ると、にっこりと柔らかく笑みを浮かべて別れを告げる。
直後、先程の何十倍もの重圧がウィルを襲い、放たれた光の槍が今度は崩れかけの天井を貫いて瓦礫を降らせる!
ついでに、ヨゼフとイダへも超弩級のエーテル弾を放って爆破するのも忘れない。
「彼女も力を得ていたの?」
「片方だけに力を貸したら一方的な戦になってしまうからね。勿論あと二人もパワーアップ済さ!」
ウィルが瓦礫を宝剣で切り払う横で、力を使い果たし掌サイズにデフォルメ化した状態のトーリが解説する。
「僕を花嫁と言うなら、もう少し手心を……っ!?」
トーリに文句を言おうとしたウィルは、直後襲い来る暴風雨の様な乱擊に反応しそれを受け流す。だが、何発かは捌ききれず、足を切り裂かれていた。
「ふむ。借り物とは言え、痴れ者を成敗できるなら悪くない」
先程とは倍以上の手数でウィルを襲ったベルクは、確かな手応えに口角を上げる。
「よくもアランを傷付けてくれたわね! 瞳が傷付いたらどうするのよ!?」
そこへグリゼルダが乱入して来るが、ベルクは身体を半歩引き振り下ろされる大鎌を躱すと、反撃の暗爪刀「狐爪」を振り抜く!
暗爪刀の黒刃はエーテルにより切れ味を増しており、グリゼルダの大鎌が切断され、腕を深く切り裂いていた。
「そう吠えるな。不埒者の目など我にとってはどうでも良いこと。何なら目玉を抉り抜いてそなたに渡しても良いが?」
「えっ♪」
ベルクはうっすらと笑みを浮かべ、切られた腕を押さえるグリゼルダへ提案する。
「そこは喜ばないで欲しいな!」
ウィルの声には必死さが滲んでいた。
「花嫁に触れて良いのは僕だけだからね?」
「無礼なっ!?」
此方ではローザリカがイダに真紅月脚・改による蹴りを入れる。先程のヤウズの攻撃もあり、イダの身を覆う力場が霧散する。
続けてジュスティーヌが風の精霊に働きかけ、不可視の波紋の中心にイダを捉えると、次の瞬間に爆発的な衝撃波として荒れ狂わせた!
「くっ、字数など気にせずエフレムを連れて来ていれば……!」
「止めて差し上げなさい。マスターが死んでしまいますわ。諦めて引いて下さいませ」
膝を付くイダに、ジュスティーヌがステッキを突き付け退場を迫る。一刻も早くこの事態から解放されたいからだ。
だが、イダはそれに応じなかった。
「……神であるこの身を傷付け、下がらせようとはあまりにも不遜!! 人の身を越えた程度で調子に乗るなっ!!!!」
イダの黒髪が瞳と同じ紅に染まり、今まで以上の圧が発せられる。それは物理的な圧力となりジュスティーヌを襲う! だが、その前に飛び出したローザリカが身を挺してそれを防いだ!
「なんて事を!?」
「たまには……君を、守らせておくれ……よ。君は弱い……癖にそういうの、嫌がるんだから……」
ジュスティーヌ、いやジュストはローザリカを抱え、零れ出そうな本心を押さえ叫ぶ。
「そんな訳にはいかないだろ! 俺は……男なんだから!!」
「いいや。今は……僕、の花嫁……だろう?」
ローザリカはジュストの頬に手をあて微笑むが、力を失いその手が落ちる。
「ロゼ!!」
「邪魔が入ったがまあ良いわ。すぐに後を追わせてあげる」
絶叫するジュストに向け、イダは手を伸ばした。
●大☆暴☆走
「あははははは☆なんかすっごいこと出来るようになった♪ ウケるw そーだ! ベルぴょん達にも見せに行かなきゃ☆」
ヨゼフの落とした征竜の槍を拾ったフレイヤは、それを手に魔法を使えば爆発的に効果が高まる事を発見していた。
「フレイヤ殿、それは……?」
レイウェストを避難させ戻って来たヤウズは、フレイヤの足元で黒焦げになっている皇帝に仰天している。
「これ? 私が拾ったのに『余の槍を返すがよい』とか言って向かってくるから魔法撃ったらこんななったの☆頭アフロだし超ウケるよね?」
「ええ……」
皇帝が酷い目に合うのは構わないが、流石にこの暴走は目に余る。既に建物の柱は全滅し、天井も崩れて瓦礫の山となっていた。
「あの……せめてお姉ちゃんは巻き込まないで……!」
必死に訴えるヤウズだが、フレイヤは取り合う様子もなく槍にエーテルを込める。
「だってとある偉いお方に頼まれたから仕方ないんだよ〜☆ と・い・う・訳で☆どっかん祭の最後はど派手に締めよっか♪」
ヤウズが止める間もなく、フレイヤは槍にエーテルを込め真上に向かって打ち出した。
「全部ぜーんぶどっかーん☆」
超越級のエーテルを込めた征竜の槍は、
グリゼルダとウィリアムと切り結ぶベルクを――
イダの攻撃から身を挺してローザリカを庇うジュストを――
そしてヤウズとフレイヤを含む世界全てを巻き込んで――
爆☆発☆四☆散!!!
●朝
ジュストは目を開くと、枕元の恋人形へ手を伸ばすと抱きしめて丸まり、込み上げてくるものを堪えていた。
「よしよし。本物の代わりに僕が慰めてあげるから」
すると恋人形が優しく頭を抱きしめる。
「まだ覚めてないのかよ!?」
マスターコメント
お待たせしました。
満員でないので文字数に余裕があるかと思っていたのですが、ゲストが多いのでそんな事は無かったぜ……。
とは言え大幅に文字数がオーバーした訳では無いので、大事な部分の描写はほぼ入っております。楽しんでいただけると幸いです。
ご参加ありがとうございました!
今年もよろしくお願いいたします。
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜8人
2023年01月22日 00時42分35秒 公開
大成功
相談掲示板
やぁ、夢の中だから『王党派貴族の責務? 知らないなぁ』のジュストだよ。 成立した時に備えて行動表明をしておくと、トーリ様にお願いしてウィリアム王子を助けて頂こうかな、と。 夢の中だし多少はピンチになっても……と思わないことはないから、ギリギリで助かれば御の字って感じで。 そんなわけでよろしくね。
やほー、フレちゃん3乗! ちなみに私はぜーんぶ爆破します☆( どっかーん♪