帝国南部に脅威は消えず
馬車猪
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シナリオID:2507
オープニング
魔獣の姿は消え、クリーパーの目撃情報もしばらく聞いたことがない。
あの日より前の生活にはまだ遠くても、これからは良いことしかないと無邪気に信じていた。
そんな一般帝国人の望みは無惨に踏み潰される。
「おーい止まれー」
「通行料はらってもらうぜ」
「いいの持ってんじゃーん」
にやにやと嫌らしい笑みを浮かべた男達が、傷んだ街道に陣取っている。
魔獣を打ち倒すには全く足りない木杖も、一般人を痛めつけるには十分な脅威であった。
●数日前
「ようやくですか」
ネーベルベルク伯爵家家令テオドール・ブフマンは顔色の悪さを隠せない。
魔獣とクリーパーの脅威が弱まったと安堵するより早く人間による犯罪が増加した。
他国から戻ってきた難民が生活を再建できず賊に堕ちるのはまだマシな方で、帝国軍や領主の治安維持能力の低下を見抜いて入り込んでくる職業的犯罪者までいる。
ネーベルベルク領では食い止めているつもりだが、周辺地域から流れ込むのを全て防ぐのは不可能だ。
「これで治安が……」
彼は文官としては一流だが治安維持や領地防衛は専門外。
だから帝国軍による治安回復作戦を歓迎する。しかし家令としては素直には喜べない。
「爵位継承に支障がでる可能性も……」
帝国は実力主義を掲げている。
特定の一族が代々統治している土地でも、後継者の能力が足りないと帝国が判断すれば継承は認められないという厳しさだ。
テオドールは己の主の能力と人格を信頼している
だが能力と人格だけでなんとかなると思うほど若くはない。挑戦する機会を得られず無名で終わった才人は数え切れないほどいるのだ。
完全に記憶した通達を再検討する。
帝国の南方軍も動くが、実際に主力になるのは南方軍が冒険者ギルドに依頼し派遣されてくる冒険者だ。
「円滑に作戦を進めるために、ネーベルベルク領に詳しい案内人が必要。これでいきましょう」
ネーベルベルク領復興事業の事実上の責任者による強い働きかけにより、数人の冒険者が確定で参加することになった。
●今
手のひらを開くと、半ばで砕かれた木杖が地面に落ちてさらに砕ける。
アウレーリア・フォン・ネーベルベルクの手のひらに傷は皆無で、縄を打たれた男達はこれから何をされるか想像して体を震わせている。
彼女がキャスターであることを知れば、賊達は泡を吹いて気絶したかもしれない。
「ありがとうございます! ありがとうございます!!」
若い行商が涙を流しながら何度も頭を下げている。
あのまま賊に金や物やひょっとしたら命を奪われたなら家で待つ家族は飢えていた。
いくら頭を下げても感謝の気持ちを表現しきれない。
「俺達に手を出してタダですむと……」
賊の一人が元気を取り戻す。
冒険者と同行してきた帝国軍兵士が威圧的な表情で賊を取り囲む。
が、命令することに慣れた少女が目をやると立ち止まって1列に並んだ。
「タダですまない理由を教えてくれるかしら」
微笑むアウレーリアの目は極北じみて冷たい。
「そう」
返事がないので素直になってもらうことにする。
怒りで沸騰したエーテルが光と熱の形をとり、街道脇の倒木を消し炭に変える。
「最後にもう一度聞くわ」
とても素直に、話してくれた。
●
「参りましたな」
複数の小隊を統率する士官は本当に参っている。
「スポンサーは自称貴族と自称マフィア。盗賊団か食い詰め者か分からない連中がその下に多数いると」
この士官は治安維持任務の経験がほとんどなく、傘下の小隊は戦場の経験すらないほぼ新兵達だ。
しかもこの作戦は期間限定だ。
調査し、追い詰め、確実にいるだろう護衛を打ち倒して首魁を逮捕あるいは殺害するのは不可能に近い。
案内人がいても変わらないと士官は考え、アウレーリアに対する慰めの言葉を考えていた。
「参りました」
アウレーリアは白紙の紙にネーベルベルク領とその周辺の地形を描く。
軍事行動に使える精度で、当たり前のように抜け道も載っている。
「一網打尽は無理のようです」
これまで犯罪が起きた場所に起きた日時を記入し、最後に今の日時をこの場所に書き込む。
敵の意図も、敵をどう攻めれば仕留められるかも、この情報があれば直感的に理解できてしまう。
「そ、そうですな」
士官は、領主一族が蓄えた知識と怒りの深さに冷や汗を流す。
「賊の首魁がいる可能性が高いのはこことここです」
今は消えた隣領の1つとの境にある2箇所だ。
あの日の前なら、互いの面子に配慮しつつ逃げ道を完全に塞ぐだけの戦力を集める必要がある、非常に面倒くさい場所だった。
「帝国軍には包囲をお願いしても?」
アウレーリアが示したのは行軍と待機が簡単な場所だ。
「ええ、はい。冒険者だけが最も危険な場所を受け持つことになりますが?」
立場上するしかない質問だが、どんな答えが返ってくるかは士官も分かっている。
その程度で止まるようなら、冒険者などしていない。
●
楽な商売だ。
貴族を名乗るヒューマンも、マフィアを名乗るゴブリンも、貴族とマフィアという名乗りに踊らされる食い詰め達を嘲笑っている。
だがそろそろ潮時だ。
「明日には出るぞ」
「いいんですかい? 明日は集金日ですぜ」
貴族私兵と名乗っている剣士が、暴力の気配が滲んだ顔を歪める。
「受け取りたいならお前1人で残っていいぞ」
「そういうことですかい。新入りを残しても?」
やがて襲ってくるだろう帝国軍に対する足止めにするつもりだ。
「もったいねぇなぁ。とんずらするのは根こそぎ奪ってからでいいだろ」
両手に1本ずつのナイフを弄ぶゴブリンは黒スーツが似合っていない。
授恵者であるのに故郷では成り上がれなかった程度の男だ。
「残るなら勝手にしろ」
ヒューマンはキャスター用の杖を取り出し整備する。
逃げるのはあくまで念のためのつもりだ。
既に徒歩数分の距離まで冒険者が迫っていることに、気付いていなかった。
解説
マスターより
リプレイ
艶々した狼耳や尻尾を見るまでもなく、音を一切立てずに準備運動をするコハクは機嫌よさそうだ。
きりりと引き締まった表情で情報共有を行うアウレーリア・フォン・ネーベルベルクを見るのも楽しいし護衛とデートを兼ねて近くにいるのもとても楽しい。
(情報通り、あの建物に主犯が立て籠もっているのでしょうか)
フリーダ=ブロムヴィストは動きを止めて待機中だ。
身につけている装備の重さを考えれば非常に素早くはあるが装備が装備なので隠密は苦手だ。
(見張りもいるみたいです。啓示には『攻城戦にはちょっと小さすぎますが、逃がすとロ=スになるので頑張りましょう』と出ています。昔から偉い人とバカは高い所が好きと言いますし、2階まで一気に攻め落としたい所です)
白金色の装備に陽光が反射しないよう注意しながら、その時を待つ。
キリアン・フィッツジェラルドは既にいない地元民かその支配者しか知らないような穴場で耳を澄ませている。
蝙蝠のような特殊な感覚ではないが、時間をかければどんな相手がどの程度いて今どういう状況かという情報を集めることは可能だ。
(魔獣の姿は消えても、人間による犯罪が後を絶たないのは未だ帝国の混乱が続いているが故ですね)
雑念ともいえぬ思考が脳裏に浮かんだ瞬間、ダメージが残らない絶妙の膝打ちが脇腹に当たる。
(ここで姉弟の無能を示してみろ、私達を受け入れたネーベルベルクの沽券に関わるぞ。ブフマン卿の過労死とて無くもない。しっかりやれよ、愚弟)
ナタリア・フィッツジェラルドの額にはしっとりと汗が浮かんでいる。
聴覚に集中するのもそこから情報を拾い上げて戦術面から分析するのも心身に負担がかかる行動だからだ。
それはそれとして弟に対しては結構厳しい。
(姉さんに言われずとも、公僕の沽券にかけて下手人をひっ捕らえてみせますよ)
音声としての出力は一切無くてもこの程度なら雰囲気だけでだいたい分かる。
ホークアイを持つキリアンが、見張り達の意識が散漫になった瞬間を見逃さなかった。
アウレーリアがうなずき、無言のまま腕を振り下ろす。
冒険者8人が一斉に茂みや凹みから飛び出すのは賊にとっては突然で、大型建築物の2階にいる見張り達は見えているのに認識も行動も1秒以上遅れてしまった。
アウレーリアの左眼の奥が痛む。
それは錯覚かもしれないが記憶に焼き付いた故郷焼く炎には痛みが伴っている。
「燃えろ」
見張り2人を巻きこんで、直径十数メートルの炎が建物二階部分とその窓を襲う。
ほとんど間を置かずにストレガ・L・リベルガストラの魔法がその隣を襲うが範囲は小さめだ。
キリアンの短弓とは思えない威力の矢が未だ無傷の見張りを襲い戦闘不能に追い込む。それでも全てを倒すには足らない。
生き残った見張りが大声で警告を発し、しかし眼下の光景が信じられずに目と口を大きく開いた。
(ドラチャリなー。目的外使用はリスクが大きいんだよなー)
鎧ではなく長衣を着込んでいてもサイラスはリザードマン戦士らしく大柄だ。
濃厚なエーテル光を発しながら直進してコハクと衝突。
ぽーん、と勢いよく跳ね飛ばしても止まらず、背中にエーテルを展開してほぼ垂直の道に手形と足型を残しながら炎で焼いた大穴の近くまで登った。
そこまでならまだ理解はできた。
大穴から外れたコハクが、1階の固定された窓を蹴りつて加速し身軽という表現ではおさまらない跳躍を開始する。ダメージを受けるのを覚悟して距離を稼ぎ、自らの強みを最大限有効活用していた。
既に迎撃の準備を整えていた頭も賊もコハクを遮れない。
コハクは2階の外側に沿って90度回り込み、数が少なく警戒も甘い見張り《非授恵者》の至近に着地する。
「やめっ」
賊の言葉は途中で溺れたような音に変わる。
斬撃特化の短剣2本を構えたコハクの顔に、三日月のように裂けた笑みが浮かんで賊の生き残りを強烈に威圧した。
●
1階に最初に殴り込んだのはゴリラだ。
大きいので迫力満点で、しかし冒険者本人と比べれば戦闘力は小粒だ。
「こいつなら勝てるぞっ」
賊は1階唯一の出入り口を数人で固めて防御を試みる。
ゴリラは素手で鉈相手に有利に戦うが手傷を負ってしまい攻めきれない。
だが問題ない。
生命力を共有した主がヒールで支援してくれているし、主には仲間がいる。
白金の戦士が近づいて来る。
手も足も動いていないのに、真正面から落ちて来る。
「参りました。すぐには突破できませんね」
フリーダは剣の間合には遠い距離で構えをとる。
「殺せば死ぬ相手だ。一斉にっ」
上擦った声で言いながら数人がかりでの時間差攻撃。
4撃中3撃が命中し、なのに鉈の手応えが異様なほどにない。
「お先にどうぞ」
エーテル光が明後日の方向に伸びてフリーダとその装備を照らし出す。
白金の刃は全く動いていないのに、視界内の賊にすぱりと切れ込みができる。半秒遅れて悲鳴と鮮血が元館を染め上げ倒れる音が響いた。
「賊共! 貴様等も今日限りだ! 覚悟しろ!」
帝国貴族らしい帝国貴族家出身なアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトが、雄々しく宣言しつつ剣を振らないまま通り過ぎる。
自らの役割が移動攻撃ではなく強敵の捕捉&撃破と心得ているのだ。
「崩壊と引き換えに得た自由。しがらみは皆燃えて消えた。それはつまり、私達を守ってくれる仕組みも消えて無くなったという事だ」
弾ける閃光が痛みで苦しむ賊の目を焼く。
アウレーリアは堂々と玄関から入場し、自らの背後に光の壁を建てる。
「故に誰にも頼らず、自分の力と才覚の範囲で全てを為すしかない。……この国は亡びた今が、一番この国らしいわね」
内心で苦く笑って冷たい微笑を浮かべる。
2階から階段を数段飛ばしで降りてきた賊が、アウレーリアを襲撃者の長と判断して鋭い目を向けた。
(どこにいるのだ?)
目当ての標的がいなくてもストレガは効率よく戦う。
2階から飛び降りてきても分かる程度に玄関から離れた上で、直径3メートルに達する水流を玄関に撃ち込む。
廊下の一部が抉れて気絶した賊が酷い感じになっているがまあ死にはしないだろう。
「シーフ1!」
2階から仲間の声が聞こえたので1階への攻撃は止めて2階を巻きこむ重力場を展開。
「うむ。ぶっちゃけ降伏しても扱いは変わらないから好きにするといいのだ」
カリスマと実力を兼ね備えたストレガがそういう態度をすると、必殺剣や広域破壊魔法に匹敵する精神ダメージを賊に叩き付けることが可能であった。
「下は駄目だ。上にっ」
賊は決して油断はしていなかった。
「賊共! 逃がしはしない! これまでの罪を償ってもらう!」
密度の高い筋肉質の体は豪奢さの残った通路に釣り合っていても、アルベルトの剣も盾もかなり大きい。
だがその程度問題ない。
圧倒的な腕力と膨大な体力が、装備の進路上の全てを壊して前へ進ませる。
濃厚なエーテルを纏った剣が、格だけはかなりある賊に迫る。
「これだから冒険者はっ」
黒い刃を受け流して失敗を悟る。
アルベルトに対抗するための防御力が数割削られてしまったのだ。
「クソった」
れと言い終わる前に後ろ向きに階段を逆走しようとして、斜め上へ落ちているようにしか見えない白金の戦士に追い付かれる。
「これだからっ」
必殺剣がフリーダに命中。
物理防御は上回りはしたが、豊富な生命力を半分削ることもできない。
「逃げるかっ!」
アルベルトは、身を翻し逃げる賊に容赦しない。
速く重く鋭い斬撃を届かせ背中の装甲もその奥も融けかけバターか何かのように切り裂く。
敵の足は止まらず、しかし倒れるのは時間の問題であった。
●
凶悪な虫型の何かの群れが賊を蹴散らしていく。
姿は幻でも威力は本物で、2階に乗り込んだサイラスの魔力の強さが反映されたそれが非常授恵者の賊を気絶か戦闘不能へ追い込んでいく。
(殺せば強くなれるのかねー。メドゥの指先あたりはそんな感じで動いている気も)
視認から反応までの時間が0に近い。
剣鱗で光弾を防いで、着弾時の衝撃を感じさせない動きと態度で賊へ向かう。
「手ぶらで逃げるのか? おれは楽でいいけど」
焔翼で加速し追いかける。
万力鎖を長射程攻撃手段ではなくほとんど近接武器として扱い、短剣部分に魔力を込めて思い切り突き刺す。
「畜生が」
自称とはいえ貴族とは思えぬ態度で、けれどエーテルの盾を展開する速度はかなりのものだ。
賊の頭は酷い傷を負いはしたがまだ逃走を試みる力は残っている。
(愚弟)
極度の集中状態にあるキリアンは、姉の言葉を言語ではなく純粋な情報として受け取る。
そっと指を放すと、何の変哲も無い矢が風によって進路を変えられながら半壊した建物に入って障害物の間をすり抜ける。
きん、と軽い音をたてて賊最後の障壁が砕け散った。
ナタリアは今まで耐えていた。
ペットという戦力であると同時に弱点でもある存在を運用する弟を常に気にかけ治癒術も使い、しかし支援魔法は温存してきた。
(賊が撤退を決断するなら今からか)
1階も2階も混戦の戦場に大胆に近づき支援魔法を実行。
戦場各所から黄金の光が立ち上り、冒険者の攻勢が一気に激しくなる。もう逃げようとしても逃げられない。
「そこなのだ」
「了解」
祈りとともにエーテルに形を与える。
2階の窓から転がり落ちるように脱出した直後の賊を、六角形の光柱が取り囲む。
このキャスターが内側から全力で攻撃しても2手は必要だ。
ストレガが最後の重力場を建物内に割り込ませる。
身軽なシーフなら突破は可能だが時間はかかる。
「クソが。マフィアから盗む畜生がっ」
「三下でもマフィアを名乗るならマフィア。ならばゴールディとして帝国で悪事を働いた落とし前はつけてもらうのだ」
ストレガ自身はマフィアではなくゴールディの知識階層だ。
だから、故郷の秩序を最低限以上は維持するためにもここにいる。
「しばりつけるのだ」
よく狙ってからの絞蛇呪。
極めて優れた付与術が白いエーテルに巧妙かつ強烈な効果を与え、真っ当に戦えば脅威になる可能性はあったシーフの移動能力を奪う。
すぱん、と小気味よい音が3つ重なって響く。
ぱく、ぱくと無意味に口を開閉させたシーフが最期まで声を出せずに倒れ伏す。
(リーダー格が誰だったか……覚えてないがまぁどうでもいい)
ドラゴンチャリオットの分を除けば無傷なコハクが、シーフと賊を冷然と見下ろす。
(どうせすぐに全員物言わぬ肉塊になるのだから。全員殺せば対象がどうとか関係……)
雑魚護衛は『宣伝』の為、敢えて制圧戦を見た少数の生き残りを逃がすこと考えて……と飼い主が言っていたことを思いだして冷や汗を流す。
だいたい察したサイラスは半死半生の剣士の前に立ち塞がる。
「倒してもいいだろうけどねー」
賊を見る目には奇妙な熱がある。
竜を目指す者として格を上げる機会は見逃さない。
しかし亜人の屍を大量に積み上げても今のサイラスと同程度の強さしか持たない代官とか、賊をかなり殺しているのにサイラスよりずっと弱い運送業者もいるので何が正解か分からない。少なくとも今は。
「運試しだ」
「こんな最期かっ」
サイラスは剣の勝負には付き合わず、大火力の魔法で打ち倒した。
狼尻尾が高く上がり上機嫌に左右に振れる。
血まみれなコハクは、光柱が消えた瞬間スキルで加速し刃物を賊の喉へ当てた。
「そこまで」
アウレーリアが制止する。賊は抵抗を諦め、コハクは満足して得意げな顔になった。
●
テオドール・ブフマンは肝の据わり方も一流だ。
それでも主の凱旋を出迎えるのを我慢するのは難しい。
「ブフマン卿。文官である以上、畑違いの分野まで行わざるを得ないが故の心労は察するに余りある。力こそ総てというなら、物理的な力を由とする武官が後顧の憂いを断てるようにするための文官の実力も評価されるべきだ。人命によって政が動いているのなら、それを支えるのは医師の役目」
ナタリアの押しが強い。
「なので健康面でも、君の世話を焼かせてもらうぞ」
病の有無は調べてみないと分からないが、疲労と神経への負担が積み重なっているのは確実だ。
一流の文官は、色気皆無の逢い引きを強制されることになる。
「応酬した財貨はここです」
キリアン達マジカルポケットの使い手が押収した品を出す。
「ブフマン卿の事務処理におあつらえ向きの武官ならここにおりますよ。姉さんからの無茶ぶりにも、大分慣れて来たことですから」
然るべき手続きを経て盗まれた人々へ返品するために、キリアンは正当ではあるが面倒な手続きを手際よく進めていた。
「ブラックデスに引き渡すのもよいのだ。生かさず殺さず情報を取ってくれるだろう。これの他にアジトはあるだろうし下部組織もあるかもしれんので尋問による情報収集は必要なのだ」
ストレガは本当に最低限だけ手当てして、辛うじて生きてはいる賊を引き渡す。
「啓示でも『いつの世の中も見せしめは高い宣伝効果があります』とあります。授恵者3人のうち2人を捕らえることができたのは僥倖ですね」
フリーダはそんなことを言いながら、賊の万一の反抗と反攻に備えている。
「帝国軍には館とその周辺の制圧を依頼する。捕らえたゴブリンの取り調べはゴールディからの返事が来るまで待つ、ということでよろしいな?」
アウレーリアの言葉に帝国士官が肯きブフマンの弱々しい肯定も聞こえる。
「ギルド等を通じ今回の戦果を積極的広報してもいいだろう」
ブフマンは即座に、必要経費は政務予算より支払うと発言して主を支援する。
(領民宣撫、人心掌握、内外への統治実績アピールはこれで問題ないか。ネーベルベルクの存在感と間接的統治力を周辺地域まで展開できれば理想的だが……)
アウレーリアの内心を聞くことができれば、ブフマンは喜びと一緒に胃の痛みを感じていただろう。
生き残った賊達が帝国軍兵士達により運ばれていく。
それを見送るフリーダは、万一に即座に対応可能な頼り甲斐を感じさせるが同時に浮世離れした雰囲気もある。
「勝利を喧伝する為、啓示に出ていた『シチュー引き回し』というのをやってみたかったです。残念ながら持たせる? シチュー? を用意できませんでした」
「文脈から考えると賊の尊厳か評判を傷つける形の罰だと思うのだ」
ストレガも本人は大真面目だ。
妙な考えに触れすぎるのは危険じゃないかなという常識的な意見を述べる者は、この場にはいないか仕事で忙しくて口を挟む余裕が存在しなかった。
一連の騒動を引き越した組織は1人残らず捕縛か抹殺された。
周辺に少数いたゴールディ関係者が礼のつもりでその情報を拡散したことで、組織の影響を受けていた犯罪者も大人しくなったらしい。
マスターコメント
ショートシナリオR普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年10月13日 22時51分57秒 公開
参加者
相談掲示板
皆様、この度はお集まりいただきありがとうございます。 本作戦は先に説明がありました通り、賊徒を一匹残らず駆除するだけの簡単なお仕事となります。 なんの気兼ねも要りませんので、皆様の持てる限りのお力で囲んで叩き潰してくださいませ。 それではどうぞ、宜しくお願いいたします。
No.2
サイラスだ、よろしくなー とりあえず連携とって云々するタイプの依頼ではないと とりあえず二階の略奪品の位置とかさっさと確定させんとかなー。そこにシーフ出るだろうし まあ普通に行くなら護衛狩と幹部級対応とかに分かれるか?壁ぶち抜ける、壁登れる、飛ぶ手段があるとかなら強襲はいけるだろうと。単体主体にして、一階とかの護衛対応は範囲メインとか
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 2階から直接襲撃をかけられるとベストではありますが、 見張りの多さもありますし1階からの陽動とセットで踏み込みたい所ですね。 あらかじめ屋敷の見取り図が得られるとベストですが、 無いなら強襲しての出たとこ勝負になるでしょうか?
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 俺には、2階に直接乗り込む方法は無いからな・・・ 1階の正面玄関から殴り込むしかないかな。 とりあえず、1階n護衛を蹴散らした後で2階の幹部(特に剣士)を撃破するかな。
ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。 シューターのキリアン共々宜しく。 2階に突入するにはシーフの壁走りやホライゾナルジャンプが要されそうな気はするが、見張り常駐の為とはいえ窓が開きっぱなしとなればキリアンが煙幕弾なり曲射・極なりで任意のターゲットを狙えそうな気がするな。 その際、距離補正もあるだろうから、ある程度は近づかなければならないのだが。 私からは光縛封を、首謀者確保の要に使うくらいだな。 タイミングや用途としては直接ヤツを捕縛するか逃げ場を塞ぐか……そこは戦況次第か。
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 二階の窓から入らない限りは出入口は正面玄関しかないのなら友軍の一部はそこで待機させて塞いでおくのだ? 私も1階でしたっぱのしていくのだ。
No.7
無理矢理で良いなら出来なくもないよ?家まで接近さえ出来るなら武器納刀ドラチャリとかでダイナミックエントリーさせるとか。ただし軽装でない場合、家の至近まで行くし窓が無いと厳しいが。 まあとりあえず希望者いたら放り込むとは書いとこうかと。 後派手にやって混乱してる所、或いは一箇所ぶち抜いてそこから奥まで押し通るでも良いかなと。 俺はチャージングの改造内容的に行けるかもしれんから試して、ダメなら一階からそうする
顔だし遅くなってごめん。 シーフコハク、よろしくね。 そして何回か話題に出ているシーフなのでサイラスに打ち上げてもらって壁走って二階にダイナミックエントリーしたいと思ってる、まる。
とりあえず、最初に二階へ窓から爆炎か空間爆砕を放り込んでから入ろうと思います。 突入の露払いになると思うので、タイミングを合わせましょうか。 逆もまた然りで、二階から飛び降りて逃げる者がいるかも知れません。 一階から上がられる方は、その辺の対処も考慮されると良いでしょう。 一応、帝国軍にも後詰はやっていただきますが。授恵者を逃がすと止められないと思うので。 屋敷の見取り図は領主一族の権限で手に入るかどうか、試してみます。 いけたら共有いたしますね。