【究石】拝啓、ガークハーグ
革酎
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シナリオID:2468
オープニング
元帝国魔導院エスタル支部長のクライス・アクバーは、目の前に居並ぶ大勢のケンタウロス達への説明を終えて、ほっとひと息ついた。
「以上が幽界樹を打倒する為の紋具の設計思想、及び神石が必要な根拠だ。御清聴、ありがとう」
するとクライスの言葉を、傍らに立つケンタウロスの特異個体ヌロブアが即座に彼らの言葉に訳して伝える。この場でクライスが喋ってきた内容は全て、ヌロブアが通訳としてひと言も余さず完璧に伝え切っていた。
ここはケンタウロス達が住まう帝国東部、所謂、聖地と呼ばれる場所である。
幽界樹打倒の為の紋具を新たに製作するに当たり、クライスはその増幅装置として神石、即ちエーテル石が絶対に必要だと考えた。
そこで単身このケンタウロスの聖地へと乗り込み、ここを根城とするケンタウロス達にエーテル石採掘の交渉に臨んだという次第。
以前、共に中型クリーパーを斃したことで知己を得たヌロブアに仲介を頼んだところ、ヌロブアも幽界樹の危険性は大いに痛感しており、ふたつ返事で引き受けてくれた。
ヌロブアの協力を得たクライスは聖地内のとある広場に、ケンタウロスの主だった重鎮を呼び集めて貰い、こうして説明会の場を設けることが出来たのである。
この後、しばらくの間クライスは待たされることになった。ケンタウロス内でも意見が分かれているらしく、議論する必要があったからだ。
が、結局はクライスにエーテル石採掘の許可が下りた。ケンタウロス達も過日、フィルエス大森林での世界樹との接触を受けて、幽界樹の脅威を同じく身近なものとして感じていたらしい。
「助かったよ、ヌロブア。君のお陰だ」
「私は今後も長老のお歴々に働きかけ、本格的な紋具増産に備えて採掘の増量を打診してみます。共に幽界樹打倒を目指しましょう」
ヌロブアの穏やかな笑みに、クライスは改めて頭を下げた。
この後ふたりは時を置かずして、すぐさまエーテル石採掘に着手した。
●黒い霧への挑戦
それから、二週間後。
クライスはシルトラース帝国南部鎮守都市ヴィントの衛星小都市にして、工房街の異名を取るヴェルターゼンの新市街区内にある大きな紋具工房に身を移していた。
職人風の作業服に身を包んだクライスは工房内の作業台前で、腕を組んだまま静かに佇んでいる。
傍らには、現在復興中のヴェルターゼンに於ける行政の長ブライアッティ・カンディル伯爵の姿もあった。
「これが対幽界樹用紋具の試作品ですか」
「そうだ。ひとまず仮に、試作型凝黒紋具と呼ぶことにしよう」
つい先程完成したばかりの試作品を前に、カンディル伯爵は幾分興奮した様子。
形状は両手で抱えるタワーシールドで、その裏側に空洞部を設置している。エーテル石は、その空洞部内に収められていた。
この試作品を製作する為に、クライスはここヴェルターゼンの紋具職人達の腕を借りた。基本的な設計思想は彼ら紋具職人達でも理解し得たが、エーテル石に対する増幅制御はクライスにしか分からない魔導的知識が必須だった為、最後の仕上げはクライス自身が施した。
この試作型凝黒紋具をクライスは複数、製作した。
「これらのうちのひとつを、どこかで試験しなければならないな。ぶっつけ本番でいきなり帝都の幽界樹に挑むのは、流石にリスクが高過ぎる」
いいながらクライスは、窓の外へ視線を流した。時刻は夜。無数の星が天上に瞬いていた。
その時カンディル伯爵がそういえばと、何かを思い出した様子で自身の頭を軽く小突いた。
「先日ヴィントからの定期連絡にあったのですが、帝国南部のどこかの町に、幽界樹が出現しているのではないかという話がありました。規模から見て、恐らく分樹ではないかとのことでしたが」
その町の名はガークハーグ。
クライスも知識としては知っているが、実際に行ったことはない。確か、その町にも帝国魔導院の支部があった筈だから、幽界樹が出現していたとしても不思議ではなかった。
「決まりだな。そこで試験を行う。恐らく敵は、配下のクリーパーを従えている筈だ。こちらもある程度の人数を揃えて、この試作品を守らねばならんだろうな」
クライスは紋具工房を出た。すると夕食の買い出しに走っていたリーヴァー・シュランドルと、ばったり顔を合わせた。
「あら先生、どこかにお出かけ?」
「冒険者ギルドにな。次の行き先が決まった」
クライスがガークハーグという町の名を告げると、リーヴァーは一瞬考え込む様子を見せた。曰く、最近どこかの冒険者ギルドで、その町に関わる依頼があった様な気がするのだという。
「それは好都合だな。既に何らかの情報が出回っているなら、色々と推測し易い」
リーヴァーから夕食が入った袋を受け取りながら、クライスは冒険者ギルドへと足を向けた。
解説
マスターより
リプレイ
山沿いの道を、黒いアルパカが曳く一台の荷馬車がゆっくりと進んでゆく。
その荷台に積まれたタワーシールドこそ、元帝国魔導院エスタル支部長クライス・アクバーが試験的に開発した対幽界樹戦用『試作型凝黒紋具』である。ケンタウロスとの交渉の末に獲得したエーテル石を内蔵し、その無尽蔵に近しいエーテルの力で、幽界樹が噴出する黒い霧を黒い岩石に変えて放出するという一種の大気清浄装置だ。
この荷馬車の周囲には数名の冒険者の姿がある。彼らが向かう先はガークハーグ。
帝都から見て南西方向に位置する地方の山麓都市だ。今、このガークハーグは幽界樹が噴霧するものと思しき黒い霧に覆い尽くされている。ここで、試作型凝黒紋具の試験を行う運びとなった。
いよいよ黒い領域へと接近したその時、前方から先行してガークハーグ周辺の敵の動きを観測していたサイラスが渋い表情を浮かべて引き返してきた。
「アルマのいう通りだったよ。連中、音じゃなくて地面に伝わる振動でこっちの位置を掴んでるみたいだ」
無音状態ならば敵からの捕捉を免れるかと推測を立てたサイラスだったが、ガークハーグの街壁近くまで無音状態で接近しても、飛来する巨大な種が正確にサイラスの位置を見極め、更に高速で地上を転がり接近してきたところを見ると、音の有無は全く関係が無さそうだった。
既に円種や分身樹と交戦経験のあるアルマ・ヴァレンタインがサイラスやセリオス・オーガスト、ルアンナ・ミュラーといった面々に、敵として出現し得るこれらの怪物共の情報を先行して伝えていた為、ある程度の予測は立っていたが、サイラスがその推測の裏を取る為に、自ら実地で敵の動きを調べてきたという訳だ。
「技を温存するかどうかも、局面次第ね」
とはルベア・ベルニの弁。彼女もまた、円種や分身樹の存在を知る情報源のひとりだ。
今回のガークハーグ突入は飽くまでも試作型凝黒紋具の試験が目的であり、敵の殲滅は二の次である。極論するなら、例え敵に発見されても、その試験時間さえ凌ぎ切れば良い話だった。
であれば、隠密性に注力するよりも、戦線維持に神経を注いだ方が良いかも知れない。
「こいつを動かせばいずれ敵にも察知される。捕捉されることは想定の範囲内だ」
だから防衛線の構築と維持だけを考えてくれ、とクライスは静かに語った。
「ハンカチで鼻と口を覆っておくのは、有効ですか?」
ミア=リゼルが訊いた。幾分表情が強張っているのは元ロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドルや、元帝国魔導院エスタル支部長のクライスとは、今回が初めての顔合わせとなったことに緊張しているからだろうか。
「大丈夫よ。ガークハーグに入る前に起動するから、私達が黒い霧の中に留まることは無いんじゃないかな」
薄く笑いながら、リーヴァーは荷台のタワーシールドを軽く叩いた。
起動してから、三時間後にはエーテルが枯渇するという設計の試作品だ。だが三時間というのは短い様で、結構な長丁場だ。ガークハーグ入り前から起動しておけば、彼らが黒い霧の脅威に晒されることは万に一つも無いだろう。
「それにしても、よくこんな設計思想を思いついたものね」
荷馬車の傍らを歩くアウレーリア・フォン・ネーベルベルクが、荷台を覗き込んだ。
同じ様に、ナタリア・フィッツジェラルドも感心した様子で一見何の変哲も無いタワーシールドをまじまじと眺める。
「本式の量産が可能となれば、対幽界樹戦の局面は一気に様変わりするだろうな」
それは即ち、帝国奪還への本格的な道筋となる。ナタリアは改めて、クライスという男の驚異的な知見と魔術的素養の高さに内心で舌を巻く思いだった。
●試作型凝黒紋具、起動
ガークハーグの街壁が、一行の視界の中に現れた。
今までは、その外観を見ることも出来なかった町である。が、試作型凝黒紋具が狭い範囲とはいえ、黒い霧を取り払い、周辺の景色を再び陽光のもとに映し出した。
あちこちが崩れ、荒れ放題の凄まじい様相ではあったが、黒い霧が見る間に消失してゆく様は、冒険者達に感嘆と同時に希望の光をもたらした。
タワーシールド周辺には次々と、人間の頭大の黒い岩石が排出されてゆく。かつて黒い霧だったものが、物理的に凝縮されて単なる石ころと化していったのだ。
この状態ならば、直接触れさえしなければ人間の体には無害だ。その威力については、冒険者達が浄化区域内では通常の呼吸が可能となり、多少の精神的嫌悪感といった変調以外はほとんど何も感じていないことから、十分に察することが出来た。
「成程……これは大した装置だ」
セリオスは浄化区域外、即ち黒い霧が充満する安全圏の外側に鋭い視線を走らせつつも、黒い霧を浄化するということが如何に画期的な事実であるのかを身を以て理解した。
「塹壕は要る? 一応、用意はしてきたけど」
アルマに問われ、一瞬だけ考え込んだクライスだったが、すぐにかぶりを振った。特定の位置に居座るつもりは無いらしい。
「早速、来たみたいですよ」
ルアンナが黒い霧の向こうから何かが接近してくる気配を察し、早速その付近に稲光を迸らせた。敵は遅かれ早かれ現れるだろうと踏んでいたルアンナだったが、黒い霧の向こうから現れたその姿には多少、仰天した。
数メートルの高さの分身樹が、根を無数の脚の様に地上を這わせて、自力で接近してきたのである。
「余程、この黒い霧を消されたのがご立腹みたいね」
アウレーリアが間髪入れずに光弾の雨を降らせ、同時にセリオスも後方から矢の連弾を叩き込む。
歩く分身樹はそれなりに強敵ではあったが、アウレーリアとセリオス、そして接近戦担当のリーヴァーといった面々で十分に対処出来た。最初にルアンナが稲光で足止めしたのも大きい。
その間、他の面々は敢えて戦闘には加わらず、力を温存。三時間というのは、意外と長い。交代制を敷くことで長時間の戦線維持を実現しようという訳だ。
しかし休憩組も全く動かない訳では無い。時折飛来する円種は、方角は予測出来ても、タイミングが掴み辛いということもあり、その都度ルベアやサイラス、ミアといった面々が対処した。
「飛び道具は余り慣れてませんけど……」
今後のことも考えて、と弓を装備してきたミア。接近戦を避け、且つ円種という飛来する敵が居る場面では、この選択は吉と出た。
セリオスと合わせて物理的遠隔攻撃が可能な射手が複数居るというのは、戦術的に大きな意味がある。
アウレーリアとルアンナは火力面では大きな遠隔攻撃担当だが、彼女達とてその魔力は無尽蔵ではない。その為、どうしても物理的遠隔攻撃が必須となる。
前衛、即ち接近戦はサイラス、ルベア、リーヴァーが担当。クライスも格闘魔導師として接近戦は可能だが、今回は試作型凝黒紋具からのデータ採取に注力する為、戦力として数える訳にはいかなかった。
回復担当はアルマとナタリア、そしてミアが射手兼任で三交代制を敷いた。
敵勢力内で長時間の戦線を維持するには、如何に効率的に戦力の時間配分を計算するか――ここが最も重要なポイントとなる。
そういう意味では、冒険者達は間違い無く最善の策を取ったといって良い。
●激闘の予感
今回は流石に素材確保は無理かなぁ、と内心でぼやきつつ、サイラスは襲い来る円種の対処に集中した。
高速で地上を転がって駆け廻り、蔦を伸ばして攻撃してくるという動きは事前情報として仕入れてあったが、いざこうして接敵してみると、これが中々手強い。
自爆される前にアウレーリアやルアンナが強力な魔術を叩き込んで仕留めてくれている為、今のところは大きな被害は出ていないが、それでも矢張り相当に神経がすり減らされる。とてもではないが、のんびり素材を集めて廻れるだけの余裕は無かった。
一方、セリオスは襲撃の合間を縫って浄化区域内で廃材を掻き集め、臨時のバリケードを張ることに時間を費やした。防衛線を維持出来るばかりでなく、敵の出足を鈍らせることでこちらからの先制攻撃も可能となる。廃材集めの際に周辺を捜索すれば、それだけ敵の発見も早まるから、一石二鳥どころか三鳥という効率の良さを発揮した。
「次は私が足止めをかけるわ。分身樹を見つけたら、一気に薙ぎ倒してくれるかしら」
「はい、お任せ下さい。その後の交代の際は、また私が足止めを担当しますね」
襲撃の合間に、アウレーリアとルアンナは事細かに打ち合わせを交わした。
既に一行はガークハーグの街中へと足を踏み込んでいる為、退路の確保も重要となってくる。アウレーリアは事前に入手していた町の見取り図を覗き込みながら、東門への撤退ルートに関してもルアンナと綿密なすり合わせを欠かさない様にしていた。
それにしても、歩く分身樹の出現は一向に減らない。
ルベアが接近戦で蔦や種弾丸を引き受けつつ、ミアが遠隔攻撃を担当し、ナタリアが回復と支援魔術でふたりをサポートする傍ら、クライスは相変わらず荷台の試作型凝黒紋具と周辺の大気状況を交互に観察していた。
「そろそろ場所を移動する」
ルベアとミアでやや小ぶりな分身樹を仕留め終えたところで、クライスが一同に声をかけた。この近辺の黒い霧は大方、浄化された。次に向かうのはここから少し南に移動した辺りだという。
「三時間もあれば結構な範囲が浄化出来そうね」
呼吸を整えながらルベアが荷台を覗き込んだが、これに対しリーヴァーが苦笑を浮かべてかぶりを振る。
「でも、その後はまた黒い霧が充満し始めるわ……ここの幽界分樹を斃さない限りね」
そのひと言にルベアのみならず、ミアとナタリアも緊張の色を浮かべた。
矢張りこの町にも、幽界分樹が居るのか――予測はしていたが、リーヴァーの口からはっきりと語られたことで並々ならぬ戦慄が脳裏を過っていった。
「この町の中心となる広場に、魔導院がある。であれば帝都の幽界樹本体がここに幽界分樹を派遣してもおかしくはない。エスタルの様にな」
クライスの説明に、ナタリアは成程と相槌を返す。
幽界樹本体がシルトラース帝国内の各都市に、どの様にして幽界分樹を派遣しているのかは未だ推測の域を出ていないが、クライスは龍脈が関わっていると見ているらしい。
その研究はまだこれからだが、これだけの規模の黒い霧が町全体を覆っているという事実から見て、幽界分樹がガークハーグ中心地点に根付いていることは、まず間違い無い。
「あの円種を飛ばしてきているのも、きっとその幽界分樹かな……そう考えたら、全て納得がいくね」
アルマはガークハーグ中央方面に視線を転じた。確かに、円種が飛来する方角は全て、町の中心を起点としている。
矢張り、ここには幽界分樹が居るのだ。
●離脱
やがて、駆動時間目一杯となる三時間が経過しようとしていた。
「そろそろ撤収かい?」
やや小ぶりな分身樹をセリオス、アルマと共に仕留めたところでサイラスが訊いた。クライスとリーヴァーが揃って頷き返すと、アウレーリアが再び町の見取り図を開いて、東門までの最短経路を確認した。
「ここからは撤退戦だから、もう戦力の温存も必要無いわね」
「私も結構なデータを取らせて貰った。今後、何かに活用出来れば御の字だな」
クライスと肩を並べて試作型凝黒紋具の試験結果をメモに書き留めていたナタリアが、珍しく満足げな笑みを浮かべた。余り大っぴらに喜ぶのは不謹慎かも知れないが、矢張り魔術的な学術研究は一定の楽しさが得られる様だ。
ともあれ、一同は黒アルパカに曳かせた荷馬車を先頭に、東門を目指した。
その間、後方左右から次々と分身樹が襲い掛かってきたが、最早全力を出し切って良いということもあり、ルアンナとアウレーリアの超火力魔術で次々と薙ぎ倒し、接近を許さない。
飛来する円種に対してはセリオスとミアで早々に撃ち落とし、その弾幕を抜けて近づいてきた個体をルベアとサイラスで仕留めていった。
やがて東門近くまで距離を詰めた時、西方から地鳴りを伴う唸り声の様な震動が伝わってきた。
「いよいよ、本性を現したというところでしょうか」
ルアンナが振り返りつつ、眉間に皺を寄せる。それまでただ円種を飛ばし、分身樹を各所にばら撒くだけだったガークハーグの幽界分樹が遂に、その力を解放しようとしているのだろうか。
しかし繰り返しとなるが、今回の任務は飽くまでも試験だ。敵の殲滅ではない。
「ここからは攻撃よりも回復が重要ね。三人共、頼んだわよ」
リーヴァーがアルマ、ナタリア、ミアに頷きかけた。
敵はガークハーグ領内から出てこない。それは間違い無い。それ故、敵の勢力圏を抜けるまでに生き残れれば脱出は可能という訳だ。
回復担当の三人の力が大いに重要となるのは、ここからだといって良い。
それまでも対分身樹、対円種戦闘で諸々の支援術や治癒術で仲間達を助け続けていた三人の治癒師達だが、最後の踏ん張りどころだとして気合を入れ直した。
勿論この三人がここからの生命線となる以上、サイラスもルベアも、そしてセリオスもリーヴァーも、治癒師達の防衛に全力を注ぐことになる。
「多少の討ち漏らしは、無視するか」
「ナタリア、ミア、アルマを守ることだけに全力ね」
サイラスとルベアもお互いに認識を合わせ、頷き合う。
地上を追撃してくる分身樹はアウレーリアとルアンナで足止めと迎撃を担当し、飛来する円種は治癒師以外の残りの面々で対処することとなった。
それから小一時間程が経過した。
一同は無事にガークハーグを脱出し、ヴィント方面の馬車道脇に腰を落ち着けて疲労回復に臨んでいた。
「それで、成果の方は?」
ナタリアが問いかけると、クライスは十分にデータは揃ったと頷く。これでいよいよ、本格式凝黒装置の量産に着手出来るということらしい。
「今回も素材は無理だったかぁ……ま、知り合いの手伝いが出来たから良いか」
何ともいえぬ笑みを浮かべ、サイラスはリーヴァーに向けて小さく肩を竦めた。リーヴァーは、幽界樹から採れる素材に需要があるのかと苦笑を返すばかりであったが。
ルアンナとアウレーリアは、荷台に腰を下ろして何度も深呼吸を繰り返している。撤退戦に於ける彼女達の火力は大いに有効だった。このふたりが居なければ、分身樹の接近を許していたことは間違い無い。
「ここからいよいよ、本格的に帝都奪還の道筋が開けた、ということになるのかしら」
幾分疲れた表情ながら、アウレーリアはガークハーグ方面に視線を向けた。
山脈に近い地方都市は再び、その全体が黒い霧に覆われようとしている。だが幽界分樹さえ斃してしまえば、あの忌々しい黒い結解は失われる筈だ。
それは即ち、帝都の幽界樹本体攻略にも繋がる。
一条の光明が、見え始めていた。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年10月02日 11時21分58秒 公開
相談掲示板
ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 実験自体は3時間で終了……といっても、この黒い霧の中では諸々の能力にマイナスペナルティがあるから、いつもの感覚で戦いにくいか。 幸いにしてヒーラーは3名居るからバックアップには事欠かなく、キャスターも居るからグラビティなどで敵の行軍を遅らせる事も可能か。
No.2
サイラスだ、よろしくなー とりまシーザーロアだと依頼の内容的に多分持たんしカバリング持ち込みする予定 パッとみた感じ前衛が少ないから前?と言いたいが、北西から南西中心にあちこちから来るとみて柔軟な方がいいかね。 火力1方向に集中して貰ってる間他方に突っ込んで塞ぐとか、護衛専念とか臨機応変に。
ヒーラーのミア=リゼルです。よろしくお願いしますね。 3時間……となると、スキルの残り回数に注意しながらの戦闘となりますね。私は状態異常回復スキルと…それと、祈雷+魔弓&炸光矢で範囲攻撃を。ただ炸光矢は対象識別ではないので、取り回しには注意しますね。 戦いながら、街の様子も窺いたいところですが…余裕があるかどうか。
シーフのルベアよ、宜しく。 種型クリーパー…って、【若木】にも出た円種のことかしらね。 勿論性能は違う可能性もあるけど……どちらにしろ、私は前ね。 円種なら性質は身を以て知ってるから対処法は分かるし、違うなら違うでその辺の情報も先に集めてから耐久したいしね。
・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む 3時間だから割と長丁場だしな。長期戦できる体制を整えたほうがいいだろうな スキルの残弾などもそうだが休めるときに交代で休憩なども考えたほうがいいだろうな
キャスターのルアンナです。3時間の長期戦ですか…。 攻撃スキルはなるべく温存して、相手の動きを鈍らせるものを多く入れた方が良いでしょうか。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー 3時間ってラウンド数だとー…とにかくたくさんだ…交代制もありかも 回復や解呪系をメインに野営セットなりショートスリーパーも準備していくね 敵が【若木】に出てきた円種や分身樹と同じ感じなら 振動で感知してくるのとか跳ねてたり遠くから飛んでくる円種の『自爆(裂開)』で 直径3ヘクスにBS扱いの黒い霧をまき散らすのとか予備知識で説明も入れておこうかなあと 字数が足りてればだけど
若木に関しては弟も参加していたが、最初の一回だけだな…… 何にせよ、情報有難う。 それで、長期戦にあたり私からはリジェネレーションとライフアンカーで持久戦に備えておくつもりだ。
ご挨拶遅くなってごめんなさい、アウレーリアです。宜しく。 キャスターの戦闘力はスキル頼みの部分が大きいですね。 全ての交戦で使っていたらすぐ切れてしまうでしょう。 例えば敵数が増えてきたら範囲攻撃使用、といった条件を設定しようかと。 班分けの場合も、ルアンナとは手分けしましょうか。