夜空に願いを
椿油
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シナリオID:2463
オープニング
●シャルガネ・ツクヨミ地区
夏も終わり。星々が映え、丸く輝く大きな月が眩しい夜。そんな時期に、ここツクヨミ地区では夜のお祭りが執り行われる。月を観て将来を願う、そんな素敵なお祭りだ。
「今宵も綺麗な月が観える。さて、そろそろ祭りの時期じゃのう」
ツクヨミ地区の長老が杖をついて腰を上げた。
「皆の者、祭りの支度じゃ。決して疎かにしてはならぬぞ、あの天に輝く星々は我らを見ていて下さる」
星の意思を大事にする、ロスガリア、いやシャルガネの中でも少し珍しい風習だ。彼らはその風習に則って、飾り付けを始める。
団子を丸め、摘んできた草を供え、祈る。
「どうか、祭り当日も綺麗な星が観えますよう」
大人達は祈り、子供達は飾り付けの製作や団子づくりに勤しんでいた。
「ねぇ母さま! これをみんなで食べるんだよね!」
「ええ、そうよ。今年は冒険者の方々も呼ぶ事になったみたいだから、沢山作ってね」
時は数刻前。
「今年も祭りの時期ですが、期日の決定権は長老様……ではせめて、若い衆が内容だけでも考えておきましょう!」
青年達が集って、いつもと違った内容は含められないかと考えていた。若いからか、発想だけは大量に出て来る。だが、長老が許すかというと話は別だ。
「冒険者の方々をお呼びするというのはどうでしょう?」
「うむ、良いな。風習を知って貰える機会でもあるし、願いが星に届く数も増えるやもしれん」
「後は長老様の許可だけだが……」
長老の娘が、その話を聞いて長老の所へ行った事を知らずに若い衆は会議を続け。
「あら皆さん、冒険者の方々をお呼びするのは許可がおりましたよ!」
「何と!」
というわけである。
そして、祭りがいよいよ開催となるのであった。
夏も終わり。星々が映え、丸く輝く大きな月が眩しい夜。そんな時期に、ここツクヨミ地区では夜のお祭りが執り行われる。月を観て将来を願う、そんな素敵なお祭りだ。
「今宵も綺麗な月が観える。さて、そろそろ祭りの時期じゃのう」
ツクヨミ地区の長老が杖をついて腰を上げた。
「皆の者、祭りの支度じゃ。決して疎かにしてはならぬぞ、あの天に輝く星々は我らを見ていて下さる」
星の意思を大事にする、ロスガリア、いやシャルガネの中でも少し珍しい風習だ。彼らはその風習に則って、飾り付けを始める。
団子を丸め、摘んできた草を供え、祈る。
「どうか、祭り当日も綺麗な星が観えますよう」
大人達は祈り、子供達は飾り付けの製作や団子づくりに勤しんでいた。
「ねぇ母さま! これをみんなで食べるんだよね!」
「ええ、そうよ。今年は冒険者の方々も呼ぶ事になったみたいだから、沢山作ってね」
時は数刻前。
「今年も祭りの時期ですが、期日の決定権は長老様……ではせめて、若い衆が内容だけでも考えておきましょう!」
青年達が集って、いつもと違った内容は含められないかと考えていた。若いからか、発想だけは大量に出て来る。だが、長老が許すかというと話は別だ。
「冒険者の方々をお呼びするというのはどうでしょう?」
「うむ、良いな。風習を知って貰える機会でもあるし、願いが星に届く数も増えるやもしれん」
「後は長老様の許可だけだが……」
長老の娘が、その話を聞いて長老の所へ行った事を知らずに若い衆は会議を続け。
「あら皆さん、冒険者の方々をお呼びするのは許可がおりましたよ!」
「何と!」
というわけである。
そして、祭りがいよいよ開催となるのであった。
解説
【目的】
ツクヨミ地区の祭りを楽しむ。
【出し物】
・月に願う
大きく、ひときわ輝く月がこの時期のツクヨミ地区から観測できます。月の方を向いて心の中で願いを込める、たったそれだけです。呟いても構いませんし、星に向かって「結婚してくれ誰々ーー!!」と叫んだって構いません。願えば良いのです。
・団子と茶を楽しむ
真っ白な団子が用意されています。祭りの最中も食事班が用意し続けるので、沢山食べて構いません。お酒は20歳以上の希望者のみ(ワインやエールではなくシャルガネのお酒です)、残りの方はカフェインの無いお茶が用意されています。夜の祭りなので寝られなくなったら困りますからね!
・おみくじ
赤、緑、黄、青、白のおみくじがそれぞれ数枚ずつ用意されています。前後二か所からめくれるようになっていて、前後それぞれ違う占い結果が書いてあります。つまり、結果は10通りあります。おみくじ参加の方は「色」「前・後」をプレイングにお書き下さい。同じ色・前後を選んでも同じ内容かどうかは……お楽しみです。
マスターより
椿油です。月に願いと団子とおみくじが楽しめるショートシナリオ(地区の人々が試験的に招いている為)です。
皆様は何を願いますか?それとも、おみくじの内容に一喜一憂しますか?団子を食べますか?プレイング最大までご自由にお書き下さい。
皆様のアツいプレイング、お待ちしております。
リプレイ
●月夜の酒
「まぁ、趣のある素敵なお祭りですわね!」
ネーヴェ・グラヌローザは椅子に腰かけ、配られていた団子とお茶を頂く。少しの間が空いて、今回の依頼に誘ってくれたキーゼへと問いかけるネーヴェ。
「……その、お誘い頂いたのは有難いですが……私達、別れた筈、ですわよね? どうして私だったのでしょう」
キーゼはシャルガネの酒を土産に持って帰ろうかと思案しつつ、問いに答えた。
「こういう風情のあるものが好きだろうな、と思いましたし。それに、遊びに誘うのは構わないと仰ってましたからね?」
「確かに好きですし、構いませんとも申し上げましたけれど。こんなに雰囲気のあるお祭りなら、他の方を誘えば宜しかったでしょうに」
お茶を少しすすりながら、少し微笑むネーヴェ。
「流石にこういうところに遊びに誘う相手はいないですね」
そう言ったキーゼは、ネーヴェを誘いたかったという事だろう。
「あら、あなたならその辺りで声を掛ければ着いてくる女性もいらっしゃるのでは?」
「そちらこそご予定大丈夫でした?」
「先約があれば断ってますから。今日は大丈夫です」
ネーヴェは苦笑いした。元カレ・元カノ同士の会話は少し気まずい気がしていた。だが、久々の会話も悪くない。団子を口に頬張る。
「さ、気を取り直して頂きましょうか。……まぁ、モチモチしていて美味しい。ほら、キーゼさんも召し上がってみて下さいましな」
キーゼも団子を一口頬張る。もっちりした月のように白い団子、口の中にほのかな甘みが広がる。
「やはりコチラのものは食感が独特といいますか、ほかだと馴染みのない感じですよね。それがまた確かに美味しいですが」
「そういえばお酒もあるようですけれど……」
シャルガネ酒にネーヴェは目を移す。
「僕が、飲まない、と言うと思いました?」
「ならお酌くらいは致しましょうか」
キーゼはネーヴェが注いだ酒を静かに受け取る。一口飲み、団子も共に味わう。
「なるほど、単体でも美味しいですが。組み合わせてこそ生きる味ですね……そちらは飲むときは飲みすぎないよう気をつけてくださいね?」
飲まない事は分かっていたが。一応、だ。
「見事な満月ですわね……」
ネーヴェから思わず感嘆のため息が零れる。
「月へ向かって願う風習があるそうですね。願掛け……と言うよりは、決意表明に近いように思えますけれど。キーゼさんは何か御座いますか?」
酒を煽りながらキーゼは答える。
「……特に浮かばないですね。今を十分楽しんでますし」
「いつも何かを願ったりなさらないですよね。あまり信じていらっしゃらないんでしょうか」
「信じてないといいますか、地域や信仰の土台で扱い方が変わりますからね。自分が信じたいものへ祈る、願うのは人類の共通点でしょうが……まあ、そういう意味では信じてないのでしょうね」
彼らしいな、と思ったネーヴェ。
さておみくじは、キーゼが白の後面、ネーヴェが白の前面だ。キーゼの方には「全体的に注意散漫気味。注意されたし」ネーヴェの方には「周囲が見えている。良好なり」と書いてあった。
キーゼはネーヴェを道の途中まで送る。
「ここまでで大丈夫です」
ネーヴェは、ゆっくりと帰っていった。
●月見
サイラスは縁側で団子を優先に頬張りつつ、白狼の大福と共に茶を楽しんでいた。餡子や醤油を自前で用意してきていたので、付け合わせて楽しんでいる。
「美味い。やっぱり味が変わるとだいぶ違うなー」
味付きのは大福にはいけないかと思っていると、大福はいつの間にかプレーンな団子をもぐもぐと食べていた。いつの間に取ったのだろうかと横を振り向くと、お婆ちゃんが団子がたんまり乗った皿を持ってにこにこしていた。
それを見て「もう大丈夫です」とジェスチャーを送ったのち、月を見上げる。願い事を捧げる対象の月に対し、ふと思う。
「願いごとなー。鏡とか退魔とか成長、変化とかそういうののモチーフになり易いし、何かを誓う時に上げるオとかでもなければ良いものだよなぁ月は」
願いと言えば決まっている。竜になる事だ。
「何かを誓うとなれば形を移り変わらせるその性質上不誠実となり易いけどね」
月は結構難しい性質を持っているのだ。形が変わり、変化する故に。
(征竜でなくても、邪竜でも一切構わない。というか邪竜がいい。好きに生きて好きに動いて邪魔されな事がないのが一番じゃ無いさね?)
そう願うサイラス。成長は変質する月に対して願いやすい物である。理に適っているのだ。
ミゼリア・L・ステュクスは静かに興味津々であった。月の意思を尊重する彼らに、ハイアルヴを尊重するエルフに近い物を感じ取っていた。確か、ホムンクルスとなる以前はエルフだったはずだ。尖った耳がその証拠だ。
「……冒険者として、たくさんの人を護れるように……がんばります。どうか……見守っていて、ください」
夜天の氏族として、以前もひょっとしたら月に祈る事があったかもしれない。
そしてお団子をたくさん頂いたミゼリア。ホムンクルスだが、食べる事は大好きだ。その後おみくじ箱に目を見やると、青の後面を引いた。結果は「良い仕事が舞い込む」と書かれていた。
「……舞い込む?」
意味を近場にいた集落の人に聞いて、「やってくる」と教えてもらった事に少し喜びを感じつつ。
「あの……すみません。もし……おじゃまじゃなければ……お団子、つくるの、お手伝い……させて、もらえませんか」
ちょっと食べ過ぎた事に引け目を感じていたミゼリア。だが、ホムンクルス故に料理の知識は無いに等しかった。
「無理しなくて大丈夫だよ」
集落のお姉さんが声をかけてくれた。でも、出来るだけ手伝えたらと団子を丸めていく。
「もしかしたら、昔も……こうやって、夜に……星たちの下で、みんなで……お祭り、していたような……気が、します」
●初めての
(ようやくの初デートだがいきなり夜のデートになってしまったが大丈夫だろうか……エデルが嫌がってないといいんだが)
ケン・Z・ブラッドリーはエデル=マグノリアと付き合い始めてまだそこまで経っていない。急に夜デートに誘った事に若干心配していたが、暫く待ってエデルは嬉しそうにやってきた。エデルが遅れたわけではなく、ケンが早く着きすぎたのだ。
「お待たせ。それじゃあ、行きましょう?」
ゆらりと恥ずかしそうに手を振るエデル。ケンはしっかりと彼女の手を握り、歩き始めた。
まずはおみくじを引く。ケンは赤の表面、エデルはというと。
「おみくじ、こういうのドキドキしちゃうわね。えっと……あ」
つい、同じ物を選んでしまった。
(ど、どうしましょう。でも、こういったものは選び直しはタブーでしょうし……)
くじ屋のお爺ちゃんがにこにこしている。
「えっと、あの、これにするわ」
くじに書いてあったのは、ケンは「戦闘でより活躍できるでしょう」エデルは「依頼で良い結果が訪れます」冒険者向けらしいおみくじ結果だ。
「団子作り、手伝いましょうか」
「そうだな」
申し出に反対する人は集落には居なく、むしろ歓迎であった。一緒に団子を丸めていく二人。
「試食してみるか? はい、あーん」
「あ、あーん……」
わざと周りに見せているのではないだろうか。エデルが若干訝しんでいるのを集落の人達はにこやかな笑顔で見つめていた。
(照れるエデルもかわいいなぁ)
ケンもにこにこしていた。
月に二人が何を願うかというと、エデルの脳裏に浮かんだのはまず「病の根絶」であったが、ケンの顔を見てふと考えが変わった。
(ケン様との、この大切な縁が、ずっと続いて欲しい)
(エデルとずっといきていけますように)
二人が願い終えた所で、ケンが聞く。
「で? エデルは何を願ったんだ?」
エデルの照れながら「別にそんな大した事は」と言いたそうな顔を見て、ケンは。
「そうか……じゃぁ、俺も秘密だな」
団子と茶を楽しむケンとエデル。
「月見団子食いながら月見酒ってのも乙なもんだな」
「とても、贅沢な時間だわ」
最初は月を見ながら団子を食べているケンだったが、次第にエデルの方ばかり向くようになっていた。
「……どうしたの?」
「ん? 横に月よりきれいな華があるんだからそっちに目が行くのは当然じゃないか」
エデルと肩を寄せ合い、顎を近づけ。
「好きだよ、エデル」
耳まで真っ赤になった、初々しいエデル。
「嫌ではないの、あの……照れてしまって、頭が、ふわふわして」
晩はゆっくりと暮れていった。
「まぁ、趣のある素敵なお祭りですわね!」
ネーヴェ・グラヌローザは椅子に腰かけ、配られていた団子とお茶を頂く。少しの間が空いて、今回の依頼に誘ってくれたキーゼへと問いかけるネーヴェ。
「……その、お誘い頂いたのは有難いですが……私達、別れた筈、ですわよね? どうして私だったのでしょう」
キーゼはシャルガネの酒を土産に持って帰ろうかと思案しつつ、問いに答えた。
「こういう風情のあるものが好きだろうな、と思いましたし。それに、遊びに誘うのは構わないと仰ってましたからね?」
「確かに好きですし、構いませんとも申し上げましたけれど。こんなに雰囲気のあるお祭りなら、他の方を誘えば宜しかったでしょうに」
お茶を少しすすりながら、少し微笑むネーヴェ。
「流石にこういうところに遊びに誘う相手はいないですね」
そう言ったキーゼは、ネーヴェを誘いたかったという事だろう。
「あら、あなたならその辺りで声を掛ければ着いてくる女性もいらっしゃるのでは?」
「そちらこそご予定大丈夫でした?」
「先約があれば断ってますから。今日は大丈夫です」
ネーヴェは苦笑いした。元カレ・元カノ同士の会話は少し気まずい気がしていた。だが、久々の会話も悪くない。団子を口に頬張る。
「さ、気を取り直して頂きましょうか。……まぁ、モチモチしていて美味しい。ほら、キーゼさんも召し上がってみて下さいましな」
キーゼも団子を一口頬張る。もっちりした月のように白い団子、口の中にほのかな甘みが広がる。
「やはりコチラのものは食感が独特といいますか、ほかだと馴染みのない感じですよね。それがまた確かに美味しいですが」
「そういえばお酒もあるようですけれど……」
シャルガネ酒にネーヴェは目を移す。
「僕が、飲まない、と言うと思いました?」
「ならお酌くらいは致しましょうか」
キーゼはネーヴェが注いだ酒を静かに受け取る。一口飲み、団子も共に味わう。
「なるほど、単体でも美味しいですが。組み合わせてこそ生きる味ですね……そちらは飲むときは飲みすぎないよう気をつけてくださいね?」
飲まない事は分かっていたが。一応、だ。
「見事な満月ですわね……」
ネーヴェから思わず感嘆のため息が零れる。
「月へ向かって願う風習があるそうですね。願掛け……と言うよりは、決意表明に近いように思えますけれど。キーゼさんは何か御座いますか?」
酒を煽りながらキーゼは答える。
「……特に浮かばないですね。今を十分楽しんでますし」
「いつも何かを願ったりなさらないですよね。あまり信じていらっしゃらないんでしょうか」
「信じてないといいますか、地域や信仰の土台で扱い方が変わりますからね。自分が信じたいものへ祈る、願うのは人類の共通点でしょうが……まあ、そういう意味では信じてないのでしょうね」
彼らしいな、と思ったネーヴェ。
さておみくじは、キーゼが白の後面、ネーヴェが白の前面だ。キーゼの方には「全体的に注意散漫気味。注意されたし」ネーヴェの方には「周囲が見えている。良好なり」と書いてあった。
キーゼはネーヴェを道の途中まで送る。
「ここまでで大丈夫です」
ネーヴェは、ゆっくりと帰っていった。
●月見
サイラスは縁側で団子を優先に頬張りつつ、白狼の大福と共に茶を楽しんでいた。餡子や醤油を自前で用意してきていたので、付け合わせて楽しんでいる。
「美味い。やっぱり味が変わるとだいぶ違うなー」
味付きのは大福にはいけないかと思っていると、大福はいつの間にかプレーンな団子をもぐもぐと食べていた。いつの間に取ったのだろうかと横を振り向くと、お婆ちゃんが団子がたんまり乗った皿を持ってにこにこしていた。
それを見て「もう大丈夫です」とジェスチャーを送ったのち、月を見上げる。願い事を捧げる対象の月に対し、ふと思う。
「願いごとなー。鏡とか退魔とか成長、変化とかそういうののモチーフになり易いし、何かを誓う時に上げるオとかでもなければ良いものだよなぁ月は」
願いと言えば決まっている。竜になる事だ。
「何かを誓うとなれば形を移り変わらせるその性質上不誠実となり易いけどね」
月は結構難しい性質を持っているのだ。形が変わり、変化する故に。
(征竜でなくても、邪竜でも一切構わない。というか邪竜がいい。好きに生きて好きに動いて邪魔されな事がないのが一番じゃ無いさね?)
そう願うサイラス。成長は変質する月に対して願いやすい物である。理に適っているのだ。
ミゼリア・L・ステュクスは静かに興味津々であった。月の意思を尊重する彼らに、ハイアルヴを尊重するエルフに近い物を感じ取っていた。確か、ホムンクルスとなる以前はエルフだったはずだ。尖った耳がその証拠だ。
「……冒険者として、たくさんの人を護れるように……がんばります。どうか……見守っていて、ください」
夜天の氏族として、以前もひょっとしたら月に祈る事があったかもしれない。
そしてお団子をたくさん頂いたミゼリア。ホムンクルスだが、食べる事は大好きだ。その後おみくじ箱に目を見やると、青の後面を引いた。結果は「良い仕事が舞い込む」と書かれていた。
「……舞い込む?」
意味を近場にいた集落の人に聞いて、「やってくる」と教えてもらった事に少し喜びを感じつつ。
「あの……すみません。もし……おじゃまじゃなければ……お団子、つくるの、お手伝い……させて、もらえませんか」
ちょっと食べ過ぎた事に引け目を感じていたミゼリア。だが、ホムンクルス故に料理の知識は無いに等しかった。
「無理しなくて大丈夫だよ」
集落のお姉さんが声をかけてくれた。でも、出来るだけ手伝えたらと団子を丸めていく。
「もしかしたら、昔も……こうやって、夜に……星たちの下で、みんなで……お祭り、していたような……気が、します」
●初めての
(ようやくの初デートだがいきなり夜のデートになってしまったが大丈夫だろうか……エデルが嫌がってないといいんだが)
ケン・Z・ブラッドリーはエデル=マグノリアと付き合い始めてまだそこまで経っていない。急に夜デートに誘った事に若干心配していたが、暫く待ってエデルは嬉しそうにやってきた。エデルが遅れたわけではなく、ケンが早く着きすぎたのだ。
「お待たせ。それじゃあ、行きましょう?」
ゆらりと恥ずかしそうに手を振るエデル。ケンはしっかりと彼女の手を握り、歩き始めた。
まずはおみくじを引く。ケンは赤の表面、エデルはというと。
「おみくじ、こういうのドキドキしちゃうわね。えっと……あ」
つい、同じ物を選んでしまった。
(ど、どうしましょう。でも、こういったものは選び直しはタブーでしょうし……)
くじ屋のお爺ちゃんがにこにこしている。
「えっと、あの、これにするわ」
くじに書いてあったのは、ケンは「戦闘でより活躍できるでしょう」エデルは「依頼で良い結果が訪れます」冒険者向けらしいおみくじ結果だ。
「団子作り、手伝いましょうか」
「そうだな」
申し出に反対する人は集落には居なく、むしろ歓迎であった。一緒に団子を丸めていく二人。
「試食してみるか? はい、あーん」
「あ、あーん……」
わざと周りに見せているのではないだろうか。エデルが若干訝しんでいるのを集落の人達はにこやかな笑顔で見つめていた。
(照れるエデルもかわいいなぁ)
ケンもにこにこしていた。
月に二人が何を願うかというと、エデルの脳裏に浮かんだのはまず「病の根絶」であったが、ケンの顔を見てふと考えが変わった。
(ケン様との、この大切な縁が、ずっと続いて欲しい)
(エデルとずっといきていけますように)
二人が願い終えた所で、ケンが聞く。
「で? エデルは何を願ったんだ?」
エデルの照れながら「別にそんな大した事は」と言いたそうな顔を見て、ケンは。
「そうか……じゃぁ、俺も秘密だな」
団子と茶を楽しむケンとエデル。
「月見団子食いながら月見酒ってのも乙なもんだな」
「とても、贅沢な時間だわ」
最初は月を見ながら団子を食べているケンだったが、次第にエデルの方ばかり向くようになっていた。
「……どうしたの?」
「ん? 横に月よりきれいな華があるんだからそっちに目が行くのは当然じゃないか」
エデルと肩を寄せ合い、顎を近づけ。
「好きだよ、エデル」
耳まで真っ赤になった、初々しいエデル。
「嫌ではないの、あの……照れてしまって、頭が、ふわふわして」
晩はゆっくりと暮れていった。
マスターコメント
月見への参加ありがとうございます。願いは月へと確かに届いたでしょう。
また、おみくじの結果は特に気にしなくてもいいですし、今後の指針にしても構いません。
また次のシナリオでお待ちしております。
ショートシナリオ易しい 報酬:少ない6 / 4〜10人
2022年09月20日 05時12分25秒 公開
大成功
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