【再起】夜空に飛び立つ前に
馬車猪
コメント 11
シナリオID:2460
オープニング
「だから狙われてるんすよ」
「そっかー」
ゴブリンのエリートである御者と人類のエリートであるはずの授恵者が雑談しながら肉を焼いている。
そこそこ強い鳩の肉なので硬い。
歯と顎が強い2人でも正直辛い。
「冒険者のねーちゃんが料理したら旨かったんだけど」
「エリート中のエリートと比べても意味ないっすよ」
2人でだらだらしているのには理由がある。
今は夜だから危険で飛べず、飛んで逃げられないオウムと御者を守るために授恵者がいるのだ。
「ここ狭くねーの?」
リットがぐるりと周囲を見渡す。
安全に焚火ができる程度には広い空間だが、空間を囲む壁は高く圧迫感があり仮眠所や便所や食料庫などがあって外から見るよりかなり手狭だ。
何より同居人が大きすぎる。
なんだよ文句あるか、という目付きのビッグオウムがじろりと見下ろしてくる。とても大きい。
リットと御者は無言で視線を交わし、焼き立ての肉を献上して許しを請うた。
「しかしあんたらスゲーな。ごーるでぃってスゲー遠くにあるんだろ?」
「こいつにとっては近いっすよ」
御者は自らよりも相棒を誇る。
「大変なのは寝床の確保っす。ゴブリンってだけで白い目で見られる土地もあるっす」
「へー」
スラムで価値なき者として扱われていたリットは、見下しもしないし同情もしない。
「まあそれは我慢すりゃいいんすけど、こいつを狙ってくる奴等は洒落になんねーんっす」
輸送量は限られるとはいえ、人や物をのせて空を飛べるというのは有用すぎる。
オウムも御者も、大きなリスクを承知で狙うのに十分な獲物だ。
「ほへー」
リットは相変わらず理解できていない。
壁は分厚く凶悪な忍び返しもみっしり仕掛けられ、仮眠所も食料庫も小さな砦じみた造りをしている。
出入りを許されているのがリットを含む極少数なのも、悪意ある人間の侵入を防ぐためだ。
「よく分かんねーけど護衛は任しとけ。代官のねーちゃんは出張中だけど俺だって結構やるんだぜ」
鍛えているのにあまり厚くならない胸を張る。
そして、仰け反ったタイミングでビッグオウムに額をつつかれぎりぎりで気付く。
「やべっ」
壁から忍び返しが壊れる音が響く。
食べている間も装備していた盾を大きく振り回し、御者の足を狙った投げナイフらしきものを弾き飛ばす。
「てきしゅ」
言い終える前に眼球の十数センチ先に切っ先があった。
リットは考える前に頭突きを敢行。
米神をすぱりと斬られるのと引き換えに黒ずくめの小刀を腕ごとはね除けた。
「オウムを下げろぉ!!」
既にビッグオウムは仮眠所に逃げ込んでいる。
遅れて逃げ込んだ御者が仮眠所の扉を閉め内側から鍵をかけるのと同じタイミングでリットが反撃に転じる。
剣の質は平凡で剣の技も未熟。
力はあっても当たらなければ無意味。
黒装束は皮一枚の距離での回避と反撃に成功しても冷静で、しかしリットの剣が止まらず反対側の賊の顔を切り裂いたのを見て目を見張った。
「見え見えだぜ!」
偶然でも虚勢を張るのが戦士というものだ。敵に怯えてみせても何の益もない。
リットは歯を食いしばって腕の傷の痛みに耐えて、眼前の敵めがけて思い切りの良い突きを放つ。
剣先が触れる前に煙が視界を塞ぐ。
「てめっ」
敵を見失う。
滅茶苦茶に剣を振ったのは数秒だけで、しかし数秒もあれば黒装束が仲間に手を貸し後退するのには十分だった。
「クソッ。外が突破されたのかよ」
ここは丘のてっぺんにある砦だ。
斜面には森が広がり、代官の飼い狼が群れで侵入者を警戒している。
(俺より格上の授恵者が2人かよ。体格が良くても魔獣じゃない連中、全部ヤられたか?)
体内の熱を吐き出すように勢いよく息を吐く。
それからほとんど間を置かず、この時点でようやく敵襲に気付いた狼達が慌てて騒ぎ出す。
「ウソだろ」
リットの顔がひきつり全身に汗が噴き出す。
(狼の巣で気付かれずにここまで来るって、一番強い冒険者並みの凄腕ってことじゃねーか!)
勝てる気がしない。
「おいあんた。今から飛べるか。俺は置いて行ってかまわねー」
「無茶言うなっす! 夜間離着陸の危なさ知らないんっすか!」
囁くような音量で会話し、壁の外から聞こえた音に2人ともびくりとする。
犬っぽい呼吸音には聞き覚えがある。たぶん、狼からの「だいじょうぶか?」という声かけだ。
「どうすりゃ……そうだ狼煙だ!」
「どこにあるっす?」
嫌な沈黙が生じ、狼の混乱した吠え声と足音が大きく聞こえる。
数十秒後、半ば以上やけくそになった2人と1体が、建物を1つ燃やして盛大な狼煙を上げ始めるのだった。
●
「緊急依頼です」
真夜中のヴァイセントラフ砦で冒険者ギルド職員が声をはりあげる。
「ビッグオウムが滞在中の砦が襲撃を受けている可能性があります。至急現地に向かい救出または無事の確認をお願いします」
既に日没後だ。
砦がある方向に狼煙らしきものが見えたという情報が届いているが、現地で何が起こっているのか、何かが起きているかどうかもはっきりしない。
「皆さんご存じのようにビッグオウムは本当に重要な存在です。誘拐も殺害も絶対に許すことはできません」
犯罪者がビッグオウムを手に入れたら絶対に酷いことが起きる。
「砦は小山の頂上にあります。冒険者ギルドが送り届けられるのは小山の麓までです。最悪の場合は……」
職員は歯を食いしばり、冒険者に深く頭を下げるのだった。
解説
リプレイ
「これはまあ盛大に砦が燃えてますね。狼煙にしては随分と大きい様子ですが……」
フリーダ=ブロムヴィストは現実を正確に認識した上で冷静だ。
現実逃避で冷静に見える者なら結構な割合でいるが、彼女のような者は豪胆と呼ばれる。
「いつかは狙ってくるヤツらが出てくるとは思ったけどな」
ハヤト=ガラン=ヴォルファングは頭は冷静だが怒りで白い歯を剥き出しにしている。
帝国復興事業、ビッグオウムを借りている冒険者ギルド、人類であるゴブリンにゴールディまで舐められて怒りを抑えきるのは彼ほどの男でも難しい。
「オウム狙いの襲撃者? ゴールディ出身のオレでも、おいそれとオウムと触れ合えねぇってのに許せん!」
ギャメルはもう少し素直に怒りを露わにしている。
すぐに飛び出したい気持ちをぐっと抑えて、ここまで送ってくれたビッグオウムが飛び立つまで地上で護衛をする。
アルベルト・V・シュタールシュヴェーアトは小山の麓で怯えて縮こまる住民候補を見て、代官が以前ついこぼした本音を思い出す。
(有象無象か)
頼り甲斐のある仲間達がいなければ口には出さなくても表情に出してしまったかもしれない。
「俺達がいるからには安心だ!」
戦場にアルベルトの声が響き渡る。
それは住民候補を少し落ち着かせ、敵に冒険者の到着を知らせ注意を引きつける効果がある。
「まだ門は開けるな。声だけで信用せず顔を確かめてからにしろよ」
ギャメルも声を張り上げ小山の上の砦へ指示を出す。
(うまくやってくれよ)
圧倒的な速度で小山を駆け上っているはずのベルク・オスマットに、強い期待を寄せていた。
●
斜面の森で警戒する狼の群れを、小柄な人影が最初は気付かせずに気づかれた後も足止めの機会を与えず通過する。
(馬鹿犬どもめ、野生を失い犬にもなりきれぬとは)
北壁と比べればこの程度の地形は整備された道に等しい。
木々の間を飛ぶように移動して難所とそこに籠もる狼群を通り過ぎ、道の位置と罠を覚えていれば簡単に突破できる一帯を純粋な速力で駆け抜ける。
(複数が囮をしてくれてはいるが……)
賊もそろそろベルクに気付くはずだ。
凄腕の隠密であり授恵者でもあるベルクも、これだけの高速を出せば少しは目立ってしまう。
「リット、いざってときは」
「ねーちゃんやにーちゃん達が来てるんだ諦めるなちくしょうーっ!!」
賊に負けそうなら己ごとオウムを斬れでも言っているのだろう。
ベルクは微かに口元を緩め、しかし判断は冷たくリットに忍び寄る黒装束を狙う。
気付かれ、躱される。
黒装束の回避動作は美しくすらあり振り返ったリットが見惚れている。
(シャルガネ系の賊がこんな目立って正面から暴れるわけがない、絶対に本命が潜んでるな)
麓から昇ってくる4つの気配は囮。
技術は高いが戦力ではベルクに劣る黒装束もおそらく囮。
「ねーちゃん!」
リットはこれまでとは別人のように表情を明るくする。
これで助かった、2人いれば御者とオウムを守って敵を倒すのも簡単と思っているのだろうが考えが甘すぎる。
絶対にいるはずの敵が見つからないのだ。
「リット、良く持ち堪えたな! こっからは俺達が来たから安心しろ!」
ほぼ同じタイミングで登り始めたハヤトが追い付く。
「遅れた分は仕事するぜ、なぁ?」
エーテル波を複数種飛ばして情報を引っこ抜く。
いきなり視線を向けられた最後の賊が、土に紛れるための偽装を投げ捨て黒装束に戻る。
偽装を捨ててもハヤトの方が早い。
「うるぁ! こっからが本番だこの野郎!!」
戦闘でなら一騎打ちに勝てる自信がある。
黒装束は技術は凄いが軽い。
3連撃でも重さと鋭さを失わぬハヤトの拳爪蹴牙が、2度に1撃の割合で敵の体を打って格の割には脆い守りと命を崩していく。
(時間を与えたらヤベェ)
ハヤトは目配せしてベルクにリットと御者達の守りを優先してもらい、負傷も覚悟し敵を仕留めるため深く踏み込む。
毒の塗られた忍刀を回避優先の構えと見切りを使ってなんとか回避。即座に手数で勝る反撃を行うのだった。
●
ぐるると殺意を込めて唸っていた狼が冒険者の姿に気付いて大人しくなる。
体格の良い狼がくぅんと愛嬌を振りまく様は喜劇の一幕のようだ。
「お腹すいてるー?」
アルマ・ヴァレンタインは微笑んでいる。
狼はごはんの香りに気付いて機嫌良く尻尾を振り涎を垂らす。
アルマは微笑んだまま、普段は自身の内側にとどめている気配を周囲に広げた。
「セニャさんの代理として言うね。ごはんは後。状況は?」
ただの狼には言葉は操れず、しかしスキルがあるアルマになら理解できる程度には知性がある。
涎はそのままだが精一杯誠実に現状を報告しようとした。
「ギャメルさんー、そっちー!」
アルマの言葉が届くと闇の中を移動していたランタンの光が鋭角的に進路変更。
「先に行ってー」
借り物の松明に火をつけるのを後回しにしてエーテルを強力な波動へ変える。
波動を受けた冒険者達は、真夏の昼を思わせる黄金色の光を立ち上らせその能力を一段上の領域へ到達させた。
「森が犬くせぇな」
ギャメルは鼻をむずむすさせて苦笑する。
小山の森の領域は狼のものだ。縄張りを主張する臭いも結構強烈だ。
矢が空気を貫く音が耳まで届く。
「そうだ、気付くよな。各個撃破されたくないから一塊で動くよなっ」
それはギャメルが持つランタンを目印に放たれた矢が2人分で、その射撃位置が5メートルも離れていないことが角度から分かる。
「いてっ」
前へ跳び込むようにして1本を回避するがもう1本が肩を抉る。
衝撃で向きが少し変わったが、ギャメルの方向感覚があれば敵がいる方向を見失わない。
「お返しだっ!」
放った矢の鏃は呪文の刻まれた竜鉄製。
それに込められたギャメルのエーテルが飛び、敵との距離が10メートルを切った瞬間破裂し指向性を持った衝撃波に変わる。
「2人……いや3人いるっ」
暗視能力のないギャメルにはぼんやりとしか見えないが、微かな物音と押し殺した苦鳴が耳に届いてかなりの精度で推測できた。
セリオス・オーガストは足を止めたまま矢を弓へつがえる。
ギャメルが派手に動いてくれているので、敵の注意がギャメルへ向かいセリオスはまだ気付かれていない。
(シューター2にウォーリア……2か)
敵は木と地形を盾にし防戦しながら砦へ向かっている。
今は真夜中だ。
ホークアイと暗視能力を兼ね備えたセリオスがいなければ、敵が1人か2人砦にたどり着けていた可能性はあった。
(射程内で最も価値の高い獲物は)
矢を2本用意しうち1本を強弓につがえる。
(これか)
1本を放ち、即座にもう1本をつがえて放つ。
放つのもつがえるのも時間短縮は難しいはずなのに、鍛え上げたシューターとしての力が《ラピッドショット》を可能にする。
竜鉄製の鏃が軽装のシューターを撃ち抜き地面と木の幹に縫い止める。
死に慣れているはずの黒覆面達が息を飲むほど凄惨な光景だ。
(次は隠れるか守りを固めるか)
セリオスは敵の次の動きを予測し、次の矢をつがえる前に術を使う。
エーテル波が死にかけ1人と生き残り3人を通過する。その気配を記憶したセリオスは、どこに逃げようと味方にもその位置を知らせることが可能となった。
●
「啓示によれば『クソイ=ベこと襲撃が発生したのでロ=ス確定です。はーつっかえ』と呆れ気味ですが、そんな場合ではない気もします」
知っている道も深夜は別の顔を見せる。
暗視能力という便利なものを持たないフリーダは、少々苦労しながら敵勢を迎撃するため森の中を行く。
森林火災はまだ発生していないがどこもかしこも焦げ臭い。
「ともかく砦が焼け落ちてしまうと今後の復興に差し支えがありますし、何とか襲撃者を排除して事態の収拾に……」
フリーダの声を目印に矢や術の集中攻撃があっても耐えられる自信はあった。
が、敵の襲撃は集中攻撃ではなくフリーダにとって馴染みがあるやり方だ。
「シーザーロアですか。やりますね」
視覚経由の情報が少ないので天眼も効果が薄い。
ベルトに引っかけた『ヒカリゴケ』のランタンの光を頼りにして、スキルの効果に特に強くは抵抗せずわざと誘導にのる。
「っ」
シャルガネ風装備の黒覆面ウォーリアが、『ヒカリゴケ』の光で垂らされた白金の戦士を見て微かに動揺する。
「そちらが驚くのですか」
大太刀による斬撃を白金の円盾で受け流す。
強力なスキルを使っていた気もするが、フリーダの防御の技と頑丈さを突破するには全く足りない。そうしているうちにスキルの効果も消えた。
「……代官様が関わる件全てで悪い偶然が起きている気がしますね」
受け流しの動作から反撃の刺突に繋げていきなり不自然に中断。
クリティカルバグが発生して直前より明らかに重い一撃が黒覆面の鎧を貫き肉まで届く。
一撃で倒されることはなくても、当たり所が悪ければ深手になる威力は十分あった。
敵の戦士は、フリーダ1人を引きつけたことでそれ以外の何もできなくなったことを悟らされた。
鋼が破壊される異様な音が響く。
アルベルトのスキルを使ってすらいない斬撃が、もう1人の黒覆面ウォーリアの肩装甲を残骸に変えた。
「そこにいたか」
戦術眼で予測はしていたが暗視能力だけでは見付けられなかったので相打ち、ただし攻防の力に差がありすぎるので不利なのは賊だ。
「無駄だ」
大型盾の位置を微修正した直後に強烈な矢が届き盾に浅く刺さって止まる。
衝撃だけは骨まで届くが表情を動かさず耐えることもできる。
(加速が尽きたことに気付かれる前に……っ)
眉を寄せる。
シーザーロアの効果が自らの心身を縛ろうとしたことに気付いたのだ。今のアルベルトでは、次も確実に抵抗できるとは限らない。
「黒覆面! 貴様等を倒す!!」
情報収集のために生かしておくよう主張する仲間も複数いるが、1人や2人殺すだけなら誰も問題視しない。
「俺の一撃を食らうがよい!」
速く、重く、鋭い斬撃が、厳重に防御された賊の肩から胸を切り裂き致命傷を与えた。
●
「ドーモ、はじめまして。黒装束=サン。ボウケンシャです」
アルマはシャルガネ風を目指した挨拶をしたつもりだが相手は苛ついたようだ。
しかしアルマを狙った矢は飛んでこない。
素速さに勝るバンビが先手を打ち続けていて、シューターという賊側最大火力が有効に使われていない。
(かなり強いよー)
閃光塗弾を使う余裕もなく治療に専念する。
味方は押してはいるが結構傷が深いのだ。
サイドヒール改の治癒の光球とヒール3の強い光が戦場のあちこちへ飛んで、素晴らしい速度で冒険者達の治療を行う。
(上から?)
火事の音に紛れて、高速で走る音が微かに聞こえた気がした。
「仕事を取られちまったな」
ギャメルはにやりと笑って治癒術から光縛封に術を切り替える。
狙うのは物理攻撃しかしてこなかったシューターだ。
複数の冒険者を警戒していた賊はギャメルの術に気付くのが遅れ、出現した六角形の光柱に封じられて15秒間も拘束される。
セリオスの矢が前衛同士の戦いに介入する。
前衛は接近戦の最中なので敵味方識別機能なしの術では危険ではあるが、セリオスの矢は対単体攻撃であるし万一誤射があっても耐えられる程度にフリーダとアルベルトは頑丈だ。
もちろん、不運に不運が重ならない限り外しなどしない。
慎重に狙ったことにより威力と精度が上がった矢が鎧を貫き中まで届き、4本目があたる前に賊の生命力を削り切った。
「ふむ、ずいぶんと手練れなことだ。お前達が慎重すぎない脳筋だったら、御者とビッグオウム誘拐ないし殺害に伴う代官の失態の責を問う召喚状とリット坊の亡骸と対面する羽目になるところだったな」
ベルクが逃げる黒装束を追い抜き立ち塞がる。
速度に勝っているとはいえ移動と足止めを優先すると攻撃頻度が下がるがここなら問題ない。
突然の桃色閃光が黒装束を襲う。
賊は目を開いたままベルクの攻撃を躱すが視力がわずかに低下する。
(いっけー!)
アルマによる、徹底的に狙ってしてからの魔矢が胴を射抜いて強い衝撃を与える。
既に多くの血を失っていた黒装束が、自害をすることもできず気絶し転倒した。
「やらせるかよ!」
ハヤトの蹴りが最後の黒装束の右手を蹴り上げる。
小型の忍刀が森の中に消え、しかし左手の刃物は黒装束自身の喉を狙っている。
だが切っ先が喉に触れる前にハヤトの腕が巻き付き拘束。
今度は舌をかみ切ろうとして防具に包まれたハヤトの拳が突き込まれた。
「猿ぐつわ頼む!」
首を適度に絞めて酸欠で気絶させようとするが黒装束の力は自決可能な程度には残っている。
「無茶言うな!」
ギャメルは口ではそう言うが顎骨を固定する形で布を巻きながら解呪2を行使。
無音で発動した自決用の術を抵抗成功させる。生きたいという本能を抑え込むのは、熟練の忍びでも難しい。
彼の背後で、光柱が消えて解放された直後の賊が手加減した一撃を数人がかりで撃ち込まれて気絶していた。
●
熱さでぐったりしたリットとオウムと御者が水を貪っている。
「新しいおやつが届いたよー」
麓から登ってきたアルマが告げると森の中から狼が集まりその後ろにリットが並んだ。
「どうするよ」
ハヤトは戦闘中と変わらぬ警戒を続けている。
あれほどの技量の集団が襲ってくるのも、あれほどの技量があるのに奪って維持して活かすには大変すぎるものに手を出そうとしたのも、相応の黒幕がいるとすれば理解はできる。
「誰の差し金で襲撃したんだ?」
自決阻止のため何度も解呪を使うことになり、麓の騒ぎを宥めるため何度も足を運び騒ぎの原因に黒装束の暗躍があることに気付いたギャメルも表情を険しくしている。
「ここは帝国で代官殿は情報収集に理解のある御仁じゃ」
砦の一室で、ベルクは完全に拘束した結果として拷問じみた状態になった黒装束を1人覚醒させる。
代官の部下によって関係者以外は砦から遠ざけられていて、悲鳴があがっても狼のはしゃいだ声でかき消されるだろう。
「まぁ基本何処もそうだが、手練れが自分の身元が分かる物などつけてるわけがないか」
隠密の技術と高い戦闘力を維持した上で特徴的な装備を使わないのは、ただ強いだけよりずっと手強い。
「これが何か分かるか?」
丁寧に消毒した開錠道具だ。
「シーフズツールにはいろいろと便利なものがある。丁寧に扱えば長持ちするのは生き物と同じじゃな」
くすくすと楽しげに笑っているのに物理的にも精神的にも隙は皆無だ。
最初に使う道具を見せつけるように火で炙り敵の精神を消耗させる。
「どこまでやれば知っていることを吐いてもらえるかな? なに、時間は十分あるとも」
尋問は、長い時続いた。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年09月20日 13時14分44秒 公開
相談掲示板
ヒーラーのギャメルだ。みんな、よろしく頼むー! この依頼の目的は「ビッグオウムと御者を生き延びさせること」か。頑張るぜ! 隠密性が高い黒装束のシーフ。足止めが得意なウォーリア。遠距離大火力と索敵能力のシューター。 ちゃんと対策をとって行動しねぇと、足止めされてるうちに救助対象に被害が出ちまいそうで怖いぜ。 みんなで色々作戦の相談していきたい。 負傷したシーフに関しては、早い段階で超嗅覚を使えば血の臭いで居場所をつかめるかもしれねぇな。 ウォーリアの足止め射程内に入っちまう前に、こちら側が索敵して近づかせないって対策もとれそうだ。
・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしくたのむ とりあえず目的がオウムと御者の救出だからまずは砦に到達しないと話にならんな。 で、とりでまでは最短で220Mだから44へクスなんで足の早いやつでも8,9ターンかかるからまずは急がないとまずいだろうな。 そのうえで奇襲する側に有利とあるから奇襲されることを考えておいた方がいいかもな
ハイスピードキャスターのバンビですわ。 足は並みですが、がんばって走りますわ。 足止めされたら空間爆砕で吹き飛ばします。
おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! まずは戦場にどれだけ早く辿り着けるかも重要っぽいが、220mの距離なら俺とベルクあたりは全力疾走して《疾風足》使えば3ターンで到着できそーだな。 奇襲警戒もあるが3ターン目で宗波でも使えばある程度は対策できっかなってとこか。 それとギャメルの言うように敵さんの血の匂いで察知ってのも出来そーだしな。
せっかちかもしれねぇけど、相談してぇこともあるし書き込んじまうか。 照明について ランタンを持っていく気だが、支障が出るって人はいねぇか? 汎用スキルの暗視の枠をフリーにできるし、照明で敵の注意を引くと有利になるかなって。 光縛封について ウォーリアの殺界突破に使用を検討してるぜ。 殺界の効果はバステとは別でサルベーションとかで解除できねぇ。 けど、強行突破を試みることはできるってルールだ。 殺界してる敵ウォーリアに光縛封かけたら、強行突破しやすいかなって。確実じゃねぇんだけどな。 ただ光縛封の中の敵には攻撃できなくなるから、味方の邪魔にならねぇようにしたい。 砦への接近と分担 隠蔽と速度重視でこっそり近づく人と、敵足止め役の注意を引きつつ砦を目指す人に別れると良いかもって思ったぜ! オレは敵の注意を引きつつ砦を目指すつもりだ。 こっそり動きたいって人は照明の範囲の外にいてもらうとかで。
あっ、言い忘れた! 追加!! 敵ウォーリアの足止めはシーザーロアって可能性もある。 その場合は解呪系のスキルも使えるぜ。執着を喰らいたくない人は抵抗上げて対策しても良いかもな。 ただ今回は救助対象の安全を最優先する都合上、ケガ人に回復を飛ばす余裕がねぇとか、そもそも射程外ってこともありそうだ……。うーん……。
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 とりあえず我とハヤト殿で先行して建物の入り口を確保したほうがよさげかな?
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー 作戦案やランタンの準備どうもありがとー 黒装束の戦闘力は控えめっていうし足の早い人に先行してもらうのが良さそうなかんじ? 大火力シューターさんが見えない死神とかの暗殺スキル持ちだった場合は ゴッソリもってかれそうだし対抗勝負用に看破はもってくとしてー… 狼さんの混乱をどうにかしたいので動物交感あたりで足止め対応にいこうかなあと
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 メインアクションなら移動力の2倍、サブアクションなら移動力分動けるようですし、 横槍を入れられない前提なら移動力4で1ターン12ヘクスの最短4ターンで辿り着けるでしょうか。 とりあえず私は足止め役を迎撃して突破口を開く役目を担いましょう。 先手を取ってシーザーロアを当てて相手の殺界を封じたい所です。
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 今回は黒汗馬に乗って全速力で砦に急ぐぜ。
アルマの動物交感やフリーダの先手シーザーロアは、冒険者側に有利な状況を作れそうだな! オレの行動はこういう流れでいくつもりだ。実際に敵がどう動くかはわからないし、想定通り動けるかは微妙だけどな……。 ・照明を灯し、全力移動で砦を目指す ・砦に着いたら状況確認。砦の門は開けず声でやりとり。敵の侵入がまだなら砦外の警戒に移る ・狼の血の臭いなどを頼りに黒覆面(ウォーリア、シューター)を索敵。戦闘 ・倒した敵を捕縛。情報収集 戦闘での動きはこんな感じになりそうだ。 ・軽傷は後回しで深手を治療 ・攻撃以外の行動を予定しているアルマとフリーダの執着は優先して解除 ・足止めが支障となる状況で、敵の殺界が発動し、かつ味方と敵が別ヘクスなら、敵に光縛封 武器は魔弓と祭刀。移動4。汎用スキルは超嗅覚と位置感覚だ。 それじゃ、頑張ろうぜ!