【再起】窮地の悪徳代官
馬車猪
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シナリオID:2373
オープニング
「お代官様、少ないですがお納めください」
スーツを着こなすゴブリンが己の半分も生きていない小娘に頭を下げる。
卑屈な笑みも金塊の輝きも精神の堕落を誘うには十分で、しかし桃髪の代官は微笑んだまま変化がない。
「冗談はやめてもらっていいかしら」
「敵いませんな。しかし本心ではありますよ」
ゴブリンの幹部は卑屈な態度のままにやりとする。
この代官はゴブリンに対する冷遇を隠していない。
部下を採用する際はヒューマンの評価は甘いしゴブリンの評価は辛い。
だが契約は守る。
我が身を危険に晒してでもビッグオウムと御者を守るし一度雇った部下は最初に結んだ契約通りに扱う。
人類社会での地位がまだ高いとはいえないゴールディにとって、無能な善人より利用価値がある邪悪が重要だとこの幹部は考えていた。
「やめないならレイウェスト皇子への献金にしなさい。私は今雇われなの」
「帝国に対しても隙を見せないのはさすがですな」
「っ」
代官の表情が突然変わった。
令嬢然とした上品な態度をかなぐり捨て、事態の急変に気付かぬゴブリンを極力優しく隣の部屋へ突き飛ばす。
その直後、極めて頑丈なはずのセーフハウスの天井がひび割れ光が差し込む。
崩壊は突然で、天井が壊れてまるで冒険者が使うスキルであるかのように破片が室内を襲う。
残像が見えるほどの速度で躱して細剣で大きな瓦礫を砕きながら、代官は天井の向こうにいる何かを睨み付ける。
(私より格上がこんな所にいるなんてね)
かつての宿敵とは次元が違う。
気力を奮い立たせないと戦う前に心が折れてしまいそうだ。
見下ろしてくる瞳は死体じみている。
判断を下すより速く手が出た。
相手が何かをするより速く床を蹴って跳び上がり爪先を狙う。
敵が高位の授恵者だったとしても、足の指を破壊すれば動きが乱れるはずだった。
(うそ)
火花が散って細剣の先が爪先で滑る。
セニャなら戦闘不能になるほどのダメージを与えたのに、それほどの打撃を与えても一部のエーテルを剥がすことしかできない。
見下ろす瞳に生気が蘇る。
セニャの頭の天辺から足の先まで眺め、見た目通りに若いことを確認して満足そうに口元を緩めた。
(怪獣級?)
着地と同時にセニャの全身に汗が噴き出す。
諦めで手足が止まろうとするのを誇りと根性で耐える。
(いえ、そこまで強くはない!)
意識を攻めから守りに切り替える。
敵が圧倒的格上でも、鍛え抜いた回避の技があれば互角に戦えると自惚れていた。
「素晴らしい」
柱を自ら踏み外して落ちてくる。
宙で振るう鉄槌は速くはなく、なのにセニャはこのままでは死ぬと直感し窓へ飛び込み硝子の破片と共に外へ飛び出す。
床に触れたハンマーから衝撃が伝わり、基礎まで破壊されて建物が崩壊した。
●数時間前
「今回は依頼の紹介に集まって頂きありがとうございます」
職員が丁寧に頭を下げる。
「依頼人が到着するまで食事を楽しんで下さい」
ここは帝国南部都市ヴィント。
奪還後は復興が進み、この店のような高級店も営業中だ。
「待たせたかしら」
従業員に案内された桃髪の少女がやってくる。
元は王国の貴族令嬢で、今は出奔して帝国代官をしている平民のセニャである。
「もう少し遅れても大丈夫ですよ」
「いい性格してるわね」
職員をじろりと見て席に座る。
「お互い忙しいだろうから依頼について説明を始めるわ」
王国の貴族派貴族のうまれだが、冒険者に対しては種族に応じた態度ではなく実力に対する敬意で接している。
「これから人と会うから護衛して欲しいの」
相手はマフィアの幹部だ。
ゴールディの有力勢力だからそれだけで犯罪者扱いはされないが外聞はよくない。
「場所はここの郊外にある彼等の隠れ家よ」
後ろ暗い取り引きではない。
ゴールディの財産であるビッグオウムを支援した代官にゴールディから派遣されたゴブリンが礼を言うだけ、ということになっている。
その際に金銭のやりとりがあるかもしれないが記録には残らない、ということにもなっている。
「近くに廃屋がいっぱいあったり、関わる組織や人間の面子を考えると万全の警備はし辛かったりと色々面倒なの」
冷えた飲みもので唇を湿らせ、セニャは疲れた息を吐く。
「だから、名目は警備だけど幹部と私を迎えに来てここまで連れてくれば依頼は成功よ。華々しい依頼じゃなくて悪いけど、報酬は多めに出すから勘弁して頂戴」
強者好きの馬鹿が突然やって来るなど、代官もゴブリンも想像もしていなかった。
●現在。ヴィント郊外
「お代官様逃げてください。あれは駄目だ」
「知り合い?」
粉塵まみれのセニャがゴブリンと合流する。
「ゴールディの恥です。始末は無理でも時間は稼ぎますのでここは……」
「気持ちは有り難く受け取るけど無理ね」
瞬きもせずに崩壊した建物を凝視する。
見つめても見えはしないが、濃厚すぎるエーテルが人の形をしたまま立ち上がるのは容易に分かる。
セニャは覚悟を決めた。
以前冒険者相手に戦ったときのように本気で、以前より鋭さを増した殺意と力を剥き出しにする。
海千山千のマフィアが表情を引き攣らせるほど凶悪で、しかし怪物の気配と比べるとあまりに儚い。
「もう逃げろとは言わないから冒険者を連れて来て。帝国代官だから帝国の街中で逃げる訳にはいかないのよ」
不敵に笑ったつもりが、半泣きに近い顔になってしまっていた。
解説
マスターより
リプレイ
バンビは瓦礫の上に駆け上がる。
移動速度自体はそれほど速くはなく、しかし見てから動き出すまでに必要な時間が超人じみて短い。
粉塵舞う空間から目を逸らさないまま代官の様子も観察する。
セニャの窮地はだいたい本人の自業自得ではあるが、バンビには助ける理由があるから助けるだけだ。
「まったく物語の猛将みたいな方ですわね。お戯れが過ぎるようですのでそろそろ痛い目を見てもらいますわ」
「本当にゴブリナか?」
緑の中指は授恵者8人を警戒しつつ、超高速でエーテルを吸い上げるバンビを見て困惑を顔に浮かべた。
「見ての通りですわ」
集めたエーテルを凝集凝縮させ向きを与えるまで秒もかからない。
見た目だけは普通の魔矢と変わらぬ光の矢が、短時間で攻撃集中した上でロード種ゴブリンの古強者に迫る。
彼女は余程運が悪くない限り躱せる確信があった。
長年溜め込んだエーテルは五体にある程度反映されていて、授恵者としての格にはまだ差があるのだ。
だが絶対的な差ではない。
音も気配も温度も周囲と同じだった場所からベルク・オスマットの黒染めの刃が迫る。
刃を認識できたのは肌から数センチの距離。その距離から動き始めて血管と神経に当てさせない。
(私の命が目的か。そうでなくては)
(そんな感じのことを考えておるのじゃろうな)
どちらも動きは思考よりも速いかもしれない。
このタイミングでバンビの魔矢が到着する。
ベルク相手の攻防に意識と戦力の一部を裂いているため反応が遅れ、肌を焼かれ骨を傷つけられ頭蓋を揺らされた。
リディリディ・トゥラ・イェレミースは化け物相手に泰然としているがそれは外見だけだ。
(射程内ぃ……)
ゴブーナが少し前進して地面にハンマーを叩きつけるだけでここまで届く。
そんな命の危機を把握した上で、今が最も安全な機であることも正しく認識している。
被弾の衝撃でゴブーナの警戒が乱れてリディリディが意識されなくなったのだ。
(ヒューマン視点からするとおひさしぶりですと言った方が良いのでしょうか私の感覚からすると以前にお会いしてから少ししか経っていませんが今回も窮地に立っていますしやはり伯爵令嬢であった以前と変わりがないように思えます。)
思考が凄い勢いで空転している間もエーテルで術を編む精度は桁外れだ。
並の状態異常を無意識に粉砕できるはずの化け物が、激しい戦闘で心身が賦活されているのに抵抗ごと霞状のエーテルに冒され全身の動きを乱された。
「それならば私も変わらず、リーラントさんと呼んだ方がよさそうですね。お肉をあげますから、引っ込んでおいてください」
焼き具合が程よくジューシー、肉食エルフまっしぐらのお肉を断腸の思いで差し出す。
「相変わらずマイペースね。有り難く頂くけど」
セニャは微かに笑う。
受け取る手つきは国王や皇帝から下賜されたかのように恭しく、そして旺盛な食欲を発揮し栄養補給する。
美しいエルフの眉がへにょりと落胆を示す。
そして続いて筋力を衰えさせるエーテルの準備を始まる。
「この付与術は!」
一気に有利を失った賊は、本心から喜んでいた。
そして衝突音。
ベルクを死角に逃さないよう彼女に意識を多く振り向けていたゴブーナに、白銀の戦士が仕掛けたのだ。
「取引を面白く演出する為の粋な計らいとか、我々の昼食の出前という感じでは無さそうですね?」
前方への落下を終えた直後の盾ごと体当たり。
フリーダ=ブロムヴィストの膨大なエーテルが鏡の如く磨かれた盾を太陽のごとく輝かせ、ゴブーナに踏ん張ることを許さず数十メートル吹き飛ばして壁だけ残った宿屋にめり込ませた。
「襲撃はこれだけで終わらない気もしますが、まずは事態の収拾に努めましょう」
悠然とした態度をとることで、遠くからこちらを見るブラックデスの面面を落ち着かせる。
(啓示がいつもの調子ではありません。余程のことですね)
あれはただ強い程度の授恵者に慌てる存在ではない。
「今相手できる状況に無いから帰ってくれ! 復興の目途が付いて馬鹿皇帝と馬鹿妃を仕留めたら相手するから!」
ベルクの叫びは半ば以上本音だ。
優先順位的にゴブーナは下の方なのだ。
今のところ無傷で戦えているが一撃当たれば戦闘などしたくはない。怯懦ではない。現時点で帝国系高練度隠密が貴重すぎるのだ。
(おや?)
(なんじゃ今のは)
フリーダとベルクがゴブーナの反応のおかしさに気付く。
まるで、放り出してきた仕事を思い出したような、戦闘にも強者にも似合わない表情が数秒浮かんで消えた。
(帝国のすみっこの復興に新要素が? いえ今はそれより)
ちらりと見ると、ベルクが気配を消して次の奇襲の準備をしていた。
「緋の鳥籠を以て其処へ縛り付けよ!」
フラメン・ゲフェングニスがゴブーナを中心に発動する。
対象がどれだけ強くてもオブジェクトが消えない限り抵抗不能の足止めだ。
アウレーリア・フォン・ネーベルベルクは高度な術を使った直後に、今度はより高度で容赦のない術を発動させる。
音と光と熱が閃光波の形でアウレーリアから放たれゴブーナに直撃する。
(支援と攻撃特化でぎりぎりの命中。できればこれで)
スタンブラストの効果は行動不能。
成功すれば8人の冒険者と1人の代官で大殊勲が確実になる。
「見事。だが運がなかったな」
幻覚を根性でねじ曲げながら緑髪のゴブリンがじりじりと前進する。
目は半ば眩んでいるが、戦闘能力に変化はなかった。
●
「危機一髪? ってやつだねー、セニャさんまだやれるー?」
アルマ・ヴァレンタインは夏の太陽にも負けず輝いている。
とても多くの能力を引き上げるウェイブ・オブ・インフィニティロアは極めて強力な支援魔法であり、ほんの微かに漏れる力だけでも非常に目立つ。
「えぇ」
紫と金の瞳には困惑の色が濃い。
身体能力引き上げの効果にも驚いたが派手さにはそれ以上に驚いている。
「と、そっちのおねーさんがゴブーナさんだっけ。多対一になるけど卑怯とは言うまいねー」
「いわないともそれよりえるふがこわいな」
読心術で読んでしまったリディリディが術の行使を放棄し全力で逃げ出す。
いつの間にかゴブーナが攻撃を止め、一直線にリディリディに全力で向かっていた。
「怪我はないか、セニャ。よく頑張ったな。俺が来たからにはもう大丈夫だ。セニャには指一本触れさせはしないぜ!」
セニャを抱きしめようとするがするりと躱される。
ちょっと傷ついた目をしたアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトが、内心で己に活を入れて真剣な表情になる。
「セニャ、君はよく戦った。疲れもたまっているだろう。無理せずに俺に任せて引いてくれ。あの女は俺が斬る!」
「剣で対抗できそうなのがあなたしかいないのは確かだけど」
代官はフリーダの見事な防御と理解しきれぬ特質を思い浮かべるが、別の任務も重要だと己に言い聞かせて呼び戻すのを諦める。
「逃げてください! 巻き込まれないよう離れて貰った方が助かります!」
叫ぶトーラは凄まじい魔力による圧で大きく見える。
ただの光球が常軌を逸した威力と恐るべき精度を両立し、達人級の回避技術も濃密なエーテルも貫きゴブーナの肌と筋肉を傷つける。
「前衛が足りないわ」
「おしゃべりはそのくらいにしなさい」
緋の鳥籠が倍ほどの大きさになる。
アウレーリアは、効果時間が終わる前にもう1つを使わざるを得なかった。
「……一撃で重体まではいかないと思いたいわね」
炎熱の幻楼を使っても躱せる気はしなかった。
「いけセニャさん! 直撃もらっても死なないけど”死ぬほど痛いぞ”になるから出来るだけ頑張って避けてねー?」
アルマは協力する優しさはあるが容赦はない。
傷はついていなくてもへとへとのセニャに致命傷は避けやすくなる術を使って戦うしかない状況へ追い込む。
「分かってるわよっ」
ちょっぴり涙目になっていることを、つきあいの長い冒険者だけが気付いていた。
「ゴブーナ、貴様は一番やってはいけないことをした」
セニャより早くアルベルトは突撃を開始している。
「貴様はセニャを傷つけた。絶対に許さない! 今回は貴様を斬る!!」
彼の戦術眼は特別な戦術を選ばせない。得意分野が1番強い。
味方には影響を及ぼさない炎の檻に踏み込み、威力を重視した斬撃を斜めに振り下ろす。
基本が大威力なので鋭撃2の効果も大きい。
直撃すれば腕1本切り飛ばしかねない一撃は、しかし片手で振るわれたハンマーで受け流される。
音が1つ加わる。
ハンマーの破壊を狙った黒い刃が、強度を上回れず跳ね返される。
これまでゴブーナの体だけを狙って意識を誘導した効果はあったのだが、目的を達成するためには威力が足りなかった。
「思い切りは良いな」
緋の鳥籠を抜けゴブーナの速度が爆発的に上昇する。
アルベルトが加速しても追いつけない。
ベルクなら追いつき攻撃もできるが、単身で戦うのは危険過ぎた。
術者達が全力で距離をとるのを目を向けずに感じながら、セニャは真正面から細剣を突き出し足止めを試みる。
が、格上に初歩的なこけおどしなど効かない。
「だから言ったのにっ」
声はあっても姿は見えず、相変わらず凶悪な魔弾がゴブーナを死角から襲う。
特別な効果はなくても威力は現時点での冒険者の上限を超えている。
トーラが使うエーテルイミテイトは、使い方によってははるか格上に届く武器になる。
傷と出血が増え、そして増えれば増えるほどゴブーナの機嫌がよくなる。
鋭角的に進路を変更してトーラに迫る。
「盾は耐えられるかな?」
地面に対する一撃。
どんな理屈か分からないが直径十数メートルの地面が弾けて本人を巻き込む形で無数の瓦礫が飛ぶ。
天眼では障害物の向こうは見えない。
視覚を除いた五感と第六感で気付きはしたがほんのわずかに反応が遅れ、地形ごと粉砕する威力がトーラを狙う。
回避に失敗した。
だがまだ当たってはいない。
多数の依頼で鍛え上げたエーテルが現実を侵食する。
トーラがいたはずの場所には幻しかなく、幻を通り過ぎたハンマーを無事なトーラが見送った。
「私の負けか」
ゴブーナにアルベルトが襲いかかる。
だが斬撃を防いだハンマーが鎧の腹部にめり込み、噛みしめた歯の間からうめき声がもれる。
「こっちが重傷ー? ううん耐えてるっ!」
アルマは治癒術を使う。
優れた使い手でも同格の授恵者による傷を癒やすには時間がかかるはずなのに、アルマの十字架型鈍器から伸びる光が壊れた体を瞬く間に復元させる。
ヒールは頑張って鍛えているのだ。
「その歳でその域にあるのか!」
悲鳴とも歓声ともとれる声がゴブリンの口から零れ、大部分治っても全快はしていないアルベルトを再び狙う。
トーラも支援しているしその回復力は非常に高いのに、それでも全快には届いてはいない。
「させませんわよ」
セニャが助けに向かうよりも早くバンビの術がゴブーナに突き刺さる。
まるで最初からゴブーナの動きが分かっているようで、実際にかなりの精度で分かっている。
速度で大きく上回れば常に先手を打てるのだ。
わずかに動きを乱したゴブーナに細剣が届く。
アルベルトへ向けられる意識が減って、空振りしたハンマーが進路上の地面を消滅させた。
「いつまでも好きにはさせない」
アウレーリアが十分距離をとった上で魔法火力支援を行う。
多数の小火球はゴブーナに当たるだけでなく、戦闘決着後の略奪を狙っていた賊を貫通して重傷へ追い込む。
アルベルトは歯を食いしばり千鳥雷切斬を放つ。
元より速く精妙な斬撃が威力も精度も5割以上増加する。
動き始めた時点で命中の感触があり、しかし現実に生じたのは刃と肌の間の激しい発光だった。
「ぼろぼろですわね」
バンビは速さの優位を活かして術の最大射程ぎりぎりまで距離をとる。
その隣には壁だけ残った酒屋の陰からリディリディが顔を出しデバフをかけ直している。
ゴブーナが微笑む。血は少なく、喜びは多く、かつてなく充実した精神が力だけは強い体を動かす。
「帝国軍さーん! ここでーす!」
「それは、ないと思う」
ゴブーナの瞳から生気が失せるがサウンドボマーで拡張されたアルマの声は止まらない。
途切れず届く術に体を削られながら、ゴブリンは速度を活かして逃げて行った。
●
矢も光弾も白銀色の盾で防ぐ。近付けば切り捨てる構えを維持したまま、フリーダは瓦礫の調査を続ける賊を放置するしかない。
「冒険者に転職とかしてくれないでしょうか」
相手がチンピラなら罵声なり嘲りなりで時間を無駄にするのだろうが無駄口を叩きすらしない。
複数の金塊は、賊の中でも上澄みを呼び寄せる魔力があった。
「冒険者はどこだっ」
「ここです。誤射を気にせず矢の支援をお願いします」
帝国軍人の怒鳴り声に賊がはじめて焦りを見せ、続くフリーダの返答に目を剥く。
建物越しの曲射は命中は低いが数は大量で、賊も片手間では回避も防御もできない。
フリーダは金塊が埋まっている元建物から離れない。
最も警戒すべきは数だけ多い賊ではなく練度の高い賊であることを理解しているのだ。
(奪われたとしても破片だけ……それでも今回の私の報酬より多いですが)
マジカルポケットの性質上、袋に詰めるなどしてまとめないと金塊1つしか回収できないしできていない。
だが片手で数えられる重要防衛対象が1つ減るだけでかなり楽になる。
「ゴブーナは撃退しました。金塊は無事ですか!」
駆けつけたトーラは既にマジカルポケットから頑丈な袋を取り出している。
倒れた賊が握りしめた拳をちっちゃな指で軽々開いて中身を袋へ投げ入れ次の目標へ。
非授恵者や格の低い矢は目を向けずに躱せるほど動きが軽快だ。
帝国軍が到着するまでに、金塊は95パーセント以上回収できた。
●
「さて、代官殿。帝国界隈に出没するメドゥの中でも随一の厄介な相手に迂闊に動いて目を付けられた感想をどうぞ」
「厄介な相手を釘付けにしているのは功績になると思わない?」
ベルクとセニャが目を見合わせ、同時に苦笑し同時に肩を落とした。
「すごいよセニャさんー! 傷が筋肉以外にないよー……!」
今回いなければ1人か2人は死んでいたかもしれないアルマはいつも通りだ。
「誇りはぼろぼろだけどね。感謝してるわ」
見覚えのあるもふもふ髪の持ち主にも丁寧に礼を言い、セニャは筋肉痛に耐えながら軍へ挨拶に向かう。
「遅いから余裕がないんだよ……ですわ」
思わずこぼれた本音に図星を突かれセニャが落ち込んだ。
「毎度殺し切れないけれど、放っておくといつまでも邪魔よね。後に回さずどこかできちんと仕留めないと……ね」
冒険者であり帝国貴族令嬢でもあるアウレーリアが、目に強い光を浮かべ決心していた。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:多い8 / 4〜8人
2022年08月08日 11時45分09秒 公開
参加者
相談掲示板
シーフのトーラです。 よろしくお願いします! ゴブーナをなんとかして、セニャさんやブラックデスの人の避難、金塊の回収とやることが多いですね。 出来るならゴブーナを引き離して避難と回収をやれたらと思いますけど、挑発とかして表に出したり出来ないでしょうか? それと、ゴブーナは撃破と撃退どちらを狙いましょう? 今回はキャスターの方も多いですし、足止めを出来れば魔法の集中攻撃が出来るので相性は悪くないかと思うのですけど。 わたしは回避型のシーフとしてはセニャさんに劣ると思いますし、付与を上げてのBS型か、杖を持っての魔法攻撃型、もしくは軽装で避難と金塊の回収いずれかで行くつもりです。 それと、オーブが6000位はあるので、プリズムシャドウ等新スキルの習得も可能です。
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 セニャを傷つける奴は絶対に許さない!これまでは徹底して無視してきたが、今回は別だ。ゴブーナを撃破に向かうぜ! 因みに初期位置はセニャのそばに立つつもりだぜ。
No.4
キャスターのリディリディです。 よろしくお願いします。 私はセニャ・・・、リーラントさんとはお久しぶりに会いますね。 個人的には撃退でも御の字とは思っています。 リーラントさんを助けるということでしたら、撃退でも問題ないのではないでしょうか。 ヒーラーがヴァレンタインさんひとりのみというのがネックですね。 治療はリーラントさんももしかしたら必要としているかもしれませんし・・・。 クラスはキャスターも3人ほどですが、前衛の方も多いですから、ゴブーナの物理攻撃に対応をうまく行えれば良いのですが。 ブラックデスの幹部の方は非授恵者ですし、帝国軍を呼びに行ってもらいたいですね。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー ゴブーナさんに関わる機会がほぼなかったから撃破を狙えるか 撃退するのが精いっぱいなのかは判断がつかないけどー… ひとまず応戦はしないといけないだろうから セニャさんの近くスタートで全体支援にいろいろアガるロアと もう一枠をもう一回遊べるドン!なライフアンカーにするか別のにするか考え中だよ
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 ゴブーナを殺るには残念ながら少々準備不足になると思う。 だから撃退にしておく方がいいだろうな。 私もセニャ殿の傍からゴブーナと一戦交えに行くとしよう。
キャスター、アウレーリアです。宜しく。 別に何か手加減をするものではありませんが、セニャの救出や金塊の回収など、同時並行でやる事が多いですから、撃破までは手が回らないでしょうね。 非受恵者の友軍の損害を度外視してまで、仕留めるべき局面でもないでしょうし。 帝国軍を含め、彼らには戦闘より回収の方を手伝ってもらいましょうか。 私はゴブーナの拘束を担当いたしましょう。 新スキルの出番、と言いたいところですが、Orbの持ち合わせが心許ないので出発までに取れるかは微妙です。グラビティフィールドなど従来スキルでの対処を念頭に。 前衛の方が釣り出していただけるようでしたら、誘引先での足止めなど合わせます。
なるほど。 思っている以上に強敵の様で撃退狙いが多い様ですね。 帝国軍が来るか生命半減で撤退するとのことですけど、帝国軍が戦闘に巻き込まれて被害が出るのも良くないでしょうし、まずは生命半減での撃退を第一目標に、余裕があるなら撃破を狙う……というのはどうでしょう?
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 見たところゴブーナ担当が多い様子ですし、 こちらは金塊の回収と火事場泥棒への対応を行おうかと思います。 帝国軍が来るまでどの道時間がかかりますし、 ブラックデスの構成員も授恵者相手への戦力としては数えられません。 となれば少なくとも火事場泥棒の中にいる授恵者達は抑えて置かなければなりませんので。
わたしもゴブーナの対応に回りますね。 とりあえず、杖での魔法攻撃メインで行くつもりですけど、BSで命中低下や攻撃低下に変更も可能なので、そちらが良ければ言って貰えたら。 それと、セニャさん達の避難と金塊の回収のためにもゴブーナを移動できないかと思うんですけど、アルベルトさんかフリーダさんにドラゴンチャリオッツをお願いできないでしょうか?
>ドラゴンチャリオッツ それではこちらでドラゴンチャリオッツの準備をしておきます。 初手に仕掛けて金塊から引き剥がした後に金塊の回収作業に入る事にします。 ただ、注意を引いてしまった場合は、注意が逸れるまでは交戦する形になるでしょうか。
ありがとうございます! フリーダさんが狙われた場合の保険も兼ねて、マジカルポケットを持ち込んでわたしも回収ができるようにしておきますね。 別件のお願いがあるんですけど、どなたか魔法攻撃5を装備していく方にエーテルイミテイトでコピーをさせて貰って大丈夫でしょうか?
あと一日くらいで出発になったねー、相談の進行とかどうもありがとー! ボクは予定通り開幕ロアで全体支援と初期タゲ?のセニャさんにライフアンカー あとは治療強化ガン積みしての回復に専念するつもりだよ うまいこと攻撃を回避してくれたりで手が空いた場合は天眼でもって ブラックデスの人たちが巻き込まれそうな位置にいたら声をかけてみたりするね 火事場泥棒さん達が被害に遭う分には是非もないよネ!ってことでー… あと魔法攻撃5つけていく予定なのでコピってもらっても大丈夫だよー
ありがとうございます! わたしはアルマさんに支援をもらったら、距離をとって魔弾での攻撃に回りますね。 保険としてヒールも持っていきます。
でおくれましたが、ゴブ―ナさまにぶち込みますのでよろしく。