【夏果】子供達と海でトロピカル!
夜月天音
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シナリオID:2351
オープニング
快晴の朝、辺境都市群のヴェルクリエ、冒険者ギルド支部。
「おはようございます! トロピカルな夏が来ちゃいましたね!」
女性職員が訪れた冒険者を笑顔で迎えた。
「もしよろしかったら、こども院『シルフィア』さんからの依頼を受けて貰えませんか? 子供達が海で遊びたがっているそうなのですが、引率の職員が足りずにお手伝いを依頼されているんです。何せ職員の数が少なくて、施設の掃除と残った子供達の相手もあり、てんてこ舞いのようです。子供達も冒険者さん達との交流を楽しみにしていますし、どうでしょうか?」
挨拶を終えるなり女性職員は、ある依頼を持ち掛けてきた。
その頃、こども院『シルフィア』では、
「冒険者さんと一緒に遊びたいなぁ」
「泳げるようになりたいなぁ」
「海の絵を描いたり、みんなに海のお土産持って帰るんだぁ」
「戦い方を教えて貰うぞー」
子供達がわくわくしながら海水浴の準備をしていた。
「海では、私達や冒険者さんの言う事をきちんと聞くのよ」
「タオルと飲み物と……」
「施設に残るみんなには悪いけど、楽しんじゃおう」
職員達も海水浴の準備に忙しくしていた。
「おはようございます! トロピカルな夏が来ちゃいましたね!」
女性職員が訪れた冒険者を笑顔で迎えた。
「もしよろしかったら、こども院『シルフィア』さんからの依頼を受けて貰えませんか? 子供達が海で遊びたがっているそうなのですが、引率の職員が足りずにお手伝いを依頼されているんです。何せ職員の数が少なくて、施設の掃除と残った子供達の相手もあり、てんてこ舞いのようです。子供達も冒険者さん達との交流を楽しみにしていますし、どうでしょうか?」
挨拶を終えるなり女性職員は、ある依頼を持ち掛けてきた。
その頃、こども院『シルフィア』では、
「冒険者さんと一緒に遊びたいなぁ」
「泳げるようになりたいなぁ」
「海の絵を描いたり、みんなに海のお土産持って帰るんだぁ」
「戦い方を教えて貰うぞー」
子供達がわくわくしながら海水浴の準備をしていた。
「海では、私達や冒険者さんの言う事をきちんと聞くのよ」
「タオルと飲み物と……」
「施設に残るみんなには悪いけど、楽しんじゃおう」
職員達も海水浴の準備に忙しくしていた。
解説
昼から夕方までヴェルクリエ近郊のビーチで子供達の引率として海へ行き、遊んだり砂浜で訓練をしたり砂遊びをしたり水泳教室をしたり職員のお手伝いをしたりと海でのひとときを満喫して下さい。
【訪問する海について】
こども院から徒歩1時間。
岩崖が少ない穏やかな海です。潜ると色鮮やかな魚に出会えます。
浜辺には浮き具やボートなどのレンタルと飲食物を提供する海の家が営業をしてます。本日はトロピカルフルーツを使った氷菓子がオススメです。
学術都市という事もあり、海水浴以外に芸術活動を行う利用者も沢山います。
【こども院『シルフィア』について】
そこそこ大きな2階建ての建物です。
畑付き庭、屋根裏部屋、地下室、厨房、浴室、子供達の寝室、多目的室など、様々な部屋があります。
3歳から10歳までの様々な種族、事情を抱える子供達がいます。
院長が留守の中、数人と少ない職員達が日々奮闘しています。
子供達が海に大層浮かれているため、本日は施設よりも引率の方が大変そうです。
※こういう子供や職員と交流したいなどがありましたら、プレイングに記載をお願いします。
※公式NPCとは交流出来ません。
マスターより
オープニングを読んで頂き、ありがとうございます。
海を舞台に子供達の相手をして頂いたり職員の手伝いをして頂ければと思います。
リプレイ
快晴の朝、辺境都市群のヴェルクリエ、こども院『シルフィア』から徒歩1時間の所にある岩崖が少ない穏やかな海。
「海は久しぶりですね……」
「すごい……! これが海……!」
「綺麗ですね」
こども院の依頼を受けて職員達と共に子供達の引率として来たセロンガード・シュタインドルフとアラン・スミシーとミア=リゼルは、眼前に広がる紺碧の海に感嘆した。
だが、
「きれーー」
「ねぇねぇ、はやく遊ぼうよー」
「俺がいちばーーん!!」
「やぁぁぁあ!!」
子供達のはしゃぎぶりに現実に引き戻された。
「勝手に海に入らないように。海は事故が多いから、子供達だけで……」
セロンガードが慌てて、海に突撃をしようとする子供達に注意を飛ばした。
「はやく、はやく」
「オレ、泳ぎ得意だもーん」
「海まで競争だぁあぁ!!」
やんちゃ盛りの子供達が注意を聞く訳がない。
「……」
セロンガードは半分諦めたように肩を竦め、
「他の子達を頼みます。泳ぎ方も教えられる範囲でなら教えますので、よかったら声を掛けて下さい」
残る者達に言ってから、やんちゃ組が海に入る前に合流しようと急いだ。
彼らを見送った後。
「ねぇ、海見るの初めてなのー?」
アランは、元気な5歳の少年ヒューマンに声を掛けられた。
「うん、初めてだよ」
アランは、にこにこと答えた。
「へぇえ、ボクよりもおっきいのに?」
少年は不思議そうな顔をした。大人は何でも知っていると思っているようだ。
「おっきくても知らない事は沢山あるんだよ。特におじさんは冒険者だけど、ずーっと森にこもってばかりだったから」
アランはきちんと質問に答えた。
「じゃぁ、一緒だね! ボクも知らないこといっぱいあるから!」
少年は世間知らずとは思わず親近感を感じ、笑顔を向けた。
「そうだね。一緒だね」
アランはにっこり。
「ボク、ハビィ。一緒に遊ぼ!」
ハビィと一緒に海へ。
「さて、私達も遊びましょうか」
ミアも行動開始だ。
「何して遊ぶのー?」
「早くあそぼー」
「はやく、はやく」
子供達がせがむ中、
「持って来たこのロープを輪っかにして、中に入ります……みなさん、入って下さい」
ロープで輪を作り中に入って皆を誘う。
子供達がロープの輪に入った所で、
「そして、ロープを両手で持って……列になって浜辺を散策します! その名も荷馬車ごっこです!」
ロープを両手で持ち、遊びの名前を仰々しく披露するが、
(と言っても本当はただの迷子防止ですけど)
真の目的は胸の奥だ。
もっと盛り上げようと、
「ガタゴト、ガタゴト」
高らかに荷馬車が走る音を表現する。
「ガタゴト、ガタゴト」
子供達は楽しそうに続いた。
波打ち際に向けて出発だ。
一方。
「冷たくて気持ちいいね」
「うん、気持ちいい」
波打ち際に到着したアランとハビィは、寄せる波に触れたり海に足首まで浸かったりと、海を体感中だ。
「ねぇ、冒険1人でしてるの?」
ハビィが波と戯れながら好奇心旺盛な目で訊ねた。
「いや、同じ年頃の子供と一緒に冒険をしているよ。実はおじさん、冒険を始めたばかりでね……だから、きみたちも、訓練したらエイッとなったらなれるものだよ」
アランは楽しそうに答えた。これまでの冒険を回顧しているのだろう。
「そっかぁ。すご……あ、あれ、面白そう!」
ハビィの目が一層好奇心で輝いたと思ったら、ミアの荷馬車ごっこを発見し裸足で駆け出した。
「靴を忘れているよ」
アランは、脱いだ靴を履いてからハビィの靴を持って慌てて追いかけた。
「ガタゴト、ガタゴト」
子供達の元気一杯の荷馬車の走る音の中。
「浜辺にはいろいろなものが落ちてい……」
ミアは海の危険を教えようとした所で、
「ボクとおじさんもいれてー!」
5歳のヒューマン少年が現れた。
「靴、靴」
遅れてアランが少年の靴を手に現れた。
「あ、ありがとう」
ハビィが礼を言い靴を履いた所で、
「いいよー」
荷馬車ごっこの子供達は口を揃えて言った。
という事で、
「出発です!」
ミアの合図だ。
「ガタゴト、ガタゴト!」
子供達が声を合わせて掛け声を発した。
「浜辺には危ないものもありますから、足元には注意して下さいね」
ミアは中断していた説明を再開した。
「これは貝殻ですね」
ミアは子供達が何かを見つける度に解説をし、
「漂着したクラゲさんですね……触ってはダメですよ」
時には注意もする。
そんな中。
「かっこいい貝を背負ってる!」
狼の少年ハーフビーストが何やら生物を発見し、目を輝かせた。
「ヤドカリさんですね。浅瀬にも色んな生き物がいます」
ミアの解説を聞いた狼の少年ハーフビーストは、
「連れて帰りたいなぁ」
お持ち帰りする気満々だ。
「そっとしておきましょうね。ヤドカリさんのお家はここですから」
ミアは優しく諭すものの、狼の少年ハーフビーストは不満顔。
「仲良しのお友達と離れ離れは寂しいでしょう? 海に来たらまた会えますよ」
ミアは微笑みながら言葉を重ね、
「……うん」
少年を納得させた。
ここで、
「誰かお姉ちゃんと先頭を交代しませんか」
ミアは先頭の交代を告げた。
すると、子供達は我先に立候補をして騒ぎ始めた。
「……子供達の相手、手慣れているね」
子供とのやり取りを一部始終見ていたアランが、気楽な調子で声を掛けた。
「はい、病院で小さい子たちの面倒はよく見ていましたから……」
ミアは当時を思い出し、笑みをこぼした。
「なるほど、それで」
アランは得心し、幾度か頷いていた。
「おじさん、海が初めてなんだよ!」
ハビィが、突然間に入った。
「そうですか……初めての海はどうですか?」
ミアは少年の発言を微笑ましく思いつつ、アランに訊ねた。
「あまりに綺麗で驚いたよ。外の世界は凄いね!」
アランは感動を思い出して、声を弾ませた思ったら、
「きみ! そこは深いから危ないよ!」
周囲を俯瞰する事が可能な天眼で、海の深い所へ1人で行こうとする7歳の少年ドワーフに気付き、駆け寄った。
「行って来るよ」
ミアと子供達に言ってから。
ミアはアランを見送った後、
「先頭は決まりましたか?」
新たな先頭役で荷馬車ごっこを再開した。
たっぷりと荷馬車ごっこをした後、
「酸味のあるレモネードはいかが?」
ミアは真っ先に水分補給を子供達に促した。
「飲むー!」
子供達は元気一杯に言った。
「水分補給が終わったら、ビーチフラッグで遊びましょう」
ミアは次の遊びを提案をして子供達を喜ばせた。
「ここにいて下さいね。お友達を集めてきますから」
付近の職員に後を任せて、ピーチフラッグの参加者を集めに行った。
(体を動かしたい子もいるでしょうし、何より迷子防止に最適です)
ピーチフラッグの目的はもちろん迷子防止だ。
「危ないよ」
アランは少年ドワーフに近付いて止めた。
「泳げるようになるための修行だから! 1人でやるんだ!」
少年は力強い声音で言い放った。
「あそこにいるお兄ちゃんが泳ぎを教えてくれるって言っていたから、お願いしよう? 君が事故に遭ったら、おじさんも皆も悲しくなるから」
アランは真剣な面持ちで、セロンガード達を示しながら言った。
「……分かった。だったら一緒に来てくれ……俺、ヴィリアム・イプセ」
察したギースは従うものの、頼む事に緊張するのか付き添いを頼んだ。
「いいよ」
アランは即答し、ヴィリアムと共にセロンガードの元へ。
「……元気ですね」
セロンガードは無事にやんちゃ組に追いついた。
「だってぇ、早く泳ぎたいんだもん」
「海に来るの初めてじゃないのにさー」
「そうだよー」
子供達は元気に不満を口にした。
「油断している時が危ないんですよ」
セロンガードは少し強い調子で釘を刺した。
「……」
子供達は何も言えずだんまり。
「遠くに行かない事を約束してくれるのなら、注意はここまで」
しょんぼりする子供達の顔を見回した後、口元を優しくした。
「約束するー」
子供達は元気に返事をした。
「よし、楽しく海で遊びましょう」
返事に満足したセロンガードは改めて皆と海へ。
海へ到着するやいなや、
「やぁぁぁあ」
「あっちまで競争だぞー」
「俺が勝つからな」
子供達は一斉に海に入り泳いだりと水遊びに興じた。
「……静かですね」
セロンガードは陸で超視覚でしっかりと見張りつつ、まったり。
そうしてのんびりしている所に、
「うわっぷ!?」
水飛沫がセロンガードを直撃。
「へへへん、兄ちゃん、油断している時が危ないんだぞ」
犯人の少年は悪戯な顔で、注意を返して口の達者ぶりを見せた。
「ほう、言ってくれますね」
セロンガードは不敵にニヤリとすると、
「そりゃぁ!」
盛大にお返しだ。
「うぉっ!?」
犯人は全身に水飛沫をかぶった。
「まだまだですね」
セロンガードは、速やかに2撃目を構えた。
瞬間、
「今度はやられねぇぞぉ」
猛ダッシュで、射程外に避難。
「あまり遠くには行かないように」
セロンガードは、攻撃態勢のまま注意を飛ばした。
「楽しそうだね」
アランの声が背後からしてきて、
「ん?」
セロンガードが振り返ると、
「俺、ヴィリアム・イプセ。強くならなきゃ村に帰れないんだ。だから、泳ぎを教えて」
アランの隣にいたギースに頼み事をされた。
「私が教えられる範囲なら」
ヴィリアムの真剣な面持ちを見たセロンガードは即引き受けた。何せ、困っている人を放っておけないから。
「少し見学して行こう」
アランが見守る中、初心者向けの水泳教室が始まった。
「その調子です」
「お、おう」
セロンガードの的確な指導に従い、ヴィリアムは真剣に練習を行った。
「頑張れ、その調子だよ」
アランは、他の子供達と一緒に応援した。
練習からしばらく後。
「練習は一旦、ここまでにしましょう」
熱中症の事も考えて、セロンガードは休憩を告げ皆に塩分を含む飲み物を配った。
「俺、泳げるようになるのかな」
ヴィリアムが水分補給をしながら弱気な事をぽろり。
途端、
「練習すれば必ず泳げるようになりますよ」
「最初よりずっと泳げていたよ」
似た性質を持つ2人、セロンガードとアランが口々に励ました。
「うん、頑張る! 俺は強くなる!」
ヴィリアムは励まされ元気になる現金ぶり。
その時、
「みなさん、ビーチフラッグに参加しませんか?」
ミアが現れた。
「やるやる!」
「おもしろそー」
「俺が勝つからなー」
子供達は皆賛成だ。
「これを飲んでから行きます」
セロンガードは飲み物を掲げてから返した。
「では、旗を立てて準備をしていますね」
用事を終えたミアが行こうとする所を、
「お手伝いが何か必要なら……」
アランが引き止めて協力を申し出た。
「着順を見る係は私がするので、スタートの合図をお願いします」
ミアはありがたく仕事をお願いしてから、現場に戻った。
「任せて」
アランは喜々と引き受けた。
水分補給が終わり次第ミアと子供達に合流し、ビーチフラッグで盛り上がった。
それ以外にも様々な遊びをして夕方になるまで海を堪能した。
「さあ、帰る時間ですよ」
風邪を心配したミアが生活魔法で子供達の体をしっかり乾かしてから、こども院に帰り、美味しい料理に迎えられた。
海が賑わっている頃。
「みんなが出払っているチャンスなんてそうそう無いでしょうから、自分はこちらのお手伝いをしますよ」
こども院『シルフィア』に残ったティトリー=R=アルバートが、職員の手伝いを申し出ていた。
「それは助かります!」
「人手が足りないので」
「冒険者さん達には何から何まで……」
職員達は歓迎した。
「では、お掃除を担当しますね」
ティトリーは早速仕事に取り掛かる事に。
「僕もお手伝いするよ! 僕はリィアン・エルズ」
手伝いを申し出てくれた20歳のヒューマンの男性職員を案内役に、ティトリーは道具を施設から借りて掃除をするべく各部屋に向かった。
まずは寝室だ。
「これは、何とも……大変だったでしょうね」
入った途端、ティトリーは笑みをこぼしてから、ベッドのシーツ交換や掃除をした。ベッドがどれも乱れており子供達の賑やかな起床が想像出来る。
「……広いですね」
浴室は広さに驚いてから、手際よく掃除をしていると、
「手伝ってくれてありがたいけど、君って貴族様だよね。それなのに手慣れていて……」
ティトリーを手伝うリィアンが疑問を口にした。何せ、ティトリーは見るからに身分が高そうな感じなので。
「確かに貴族ですが、引きこもり生活が長くて……せめて自分のことは自分でできるようにならないと……って」
ティトリーは掃除をしながら言った。祝福を授かるまで歩んでいた病弱な人生を思い出しながら。
「そっか。貴族様も色々あるんだな」
リィアンは何かを感じてか深くは追及しなかった。
浴室の掃除が終わると、多目的室と厨房を綺麗に掃除を行った。
時間は朝から昼になる少し前になり、
「時間がある事だし、子供たちに読み聞かせるための物語をいくつか作成しましょうか」
ティトリーは余った時間を多目的室での作業に費やした。リィアンは他の雑事でいない。
「まずは動物たちを主人公にしたおとぎ話から……」
掃除がひと段落した所で、ティトリーは作家としての力を発揮させていた。
「何かいてるのー?」
「わぁ、お話だぁ」
こども院に残っていた子供達が、好奇心から作業を覗きに来た。
「動物さんがたくさん出て来るおとぎ話ですよ」
ティトリーは、儚げな面立ちに優しい笑みを浮かべて子供達の相手を始めた。
「ウサギは出るー? リアね、ウサギ好きなのー」
兎のぬいぐるみを抱っこしている4歳の少女ヒューマンが聞いてきた。
「登場しますよ。この子と同じ可愛い真っ白の兎さんですよ」
ティトリーは、リアが抱える兎のぬいぐるみを撫でながら優しく言った。
「俺、もっとカッコいい話がいい」
5歳の少年リザードマンが不満げな声でリクエストをする。
「このお話の後に作成しますよ。冒険者たちが手強い魔獣と戦う活劇はどうですか?」
ティトリーはこれまた子供の希望に応える。
「おお!! それ見たい!!」
少年は嬉しそうに目を輝かせた。
ティトリーは子供達の相手をしながらゆっくりと、文芸の腕を発揮させオリジナルの2作を仕上げ、王国でも有名な物語を教訓となる寓話になればと写した。
物語の作成を終えた後もティトリーは、あれこれと手伝いをして過ごし、あっという間に夕方となった。
「そろそろ、子供たちが帰ってくる頃ですね」
ティトリーは時間を見計らい、綺麗になった厨房で見事な調理の腕前でサンドイッチを作った。引率の冒険者と職員と子供達の分を。
そして、
「おかえりなさい。疲れたでしょう? 今日はぐっすり眠れるように、寝室も整えておきましたよ。お腹が空いているのならサンドイッチも用意していますよ」
ティトリーは、戻って来た皆を優しく迎えた。
「海は久しぶりですね……」
「すごい……! これが海……!」
「綺麗ですね」
こども院の依頼を受けて職員達と共に子供達の引率として来たセロンガード・シュタインドルフとアラン・スミシーとミア=リゼルは、眼前に広がる紺碧の海に感嘆した。
だが、
「きれーー」
「ねぇねぇ、はやく遊ぼうよー」
「俺がいちばーーん!!」
「やぁぁぁあ!!」
子供達のはしゃぎぶりに現実に引き戻された。
「勝手に海に入らないように。海は事故が多いから、子供達だけで……」
セロンガードが慌てて、海に突撃をしようとする子供達に注意を飛ばした。
「はやく、はやく」
「オレ、泳ぎ得意だもーん」
「海まで競争だぁあぁ!!」
やんちゃ盛りの子供達が注意を聞く訳がない。
「……」
セロンガードは半分諦めたように肩を竦め、
「他の子達を頼みます。泳ぎ方も教えられる範囲でなら教えますので、よかったら声を掛けて下さい」
残る者達に言ってから、やんちゃ組が海に入る前に合流しようと急いだ。
彼らを見送った後。
「ねぇ、海見るの初めてなのー?」
アランは、元気な5歳の少年ヒューマンに声を掛けられた。
「うん、初めてだよ」
アランは、にこにこと答えた。
「へぇえ、ボクよりもおっきいのに?」
少年は不思議そうな顔をした。大人は何でも知っていると思っているようだ。
「おっきくても知らない事は沢山あるんだよ。特におじさんは冒険者だけど、ずーっと森にこもってばかりだったから」
アランはきちんと質問に答えた。
「じゃぁ、一緒だね! ボクも知らないこといっぱいあるから!」
少年は世間知らずとは思わず親近感を感じ、笑顔を向けた。
「そうだね。一緒だね」
アランはにっこり。
「ボク、ハビィ。一緒に遊ぼ!」
ハビィと一緒に海へ。
「さて、私達も遊びましょうか」
ミアも行動開始だ。
「何して遊ぶのー?」
「早くあそぼー」
「はやく、はやく」
子供達がせがむ中、
「持って来たこのロープを輪っかにして、中に入ります……みなさん、入って下さい」
ロープで輪を作り中に入って皆を誘う。
子供達がロープの輪に入った所で、
「そして、ロープを両手で持って……列になって浜辺を散策します! その名も荷馬車ごっこです!」
ロープを両手で持ち、遊びの名前を仰々しく披露するが、
(と言っても本当はただの迷子防止ですけど)
真の目的は胸の奥だ。
もっと盛り上げようと、
「ガタゴト、ガタゴト」
高らかに荷馬車が走る音を表現する。
「ガタゴト、ガタゴト」
子供達は楽しそうに続いた。
波打ち際に向けて出発だ。
一方。
「冷たくて気持ちいいね」
「うん、気持ちいい」
波打ち際に到着したアランとハビィは、寄せる波に触れたり海に足首まで浸かったりと、海を体感中だ。
「ねぇ、冒険1人でしてるの?」
ハビィが波と戯れながら好奇心旺盛な目で訊ねた。
「いや、同じ年頃の子供と一緒に冒険をしているよ。実はおじさん、冒険を始めたばかりでね……だから、きみたちも、訓練したらエイッとなったらなれるものだよ」
アランは楽しそうに答えた。これまでの冒険を回顧しているのだろう。
「そっかぁ。すご……あ、あれ、面白そう!」
ハビィの目が一層好奇心で輝いたと思ったら、ミアの荷馬車ごっこを発見し裸足で駆け出した。
「靴を忘れているよ」
アランは、脱いだ靴を履いてからハビィの靴を持って慌てて追いかけた。
「ガタゴト、ガタゴト」
子供達の元気一杯の荷馬車の走る音の中。
「浜辺にはいろいろなものが落ちてい……」
ミアは海の危険を教えようとした所で、
「ボクとおじさんもいれてー!」
5歳のヒューマン少年が現れた。
「靴、靴」
遅れてアランが少年の靴を手に現れた。
「あ、ありがとう」
ハビィが礼を言い靴を履いた所で、
「いいよー」
荷馬車ごっこの子供達は口を揃えて言った。
という事で、
「出発です!」
ミアの合図だ。
「ガタゴト、ガタゴト!」
子供達が声を合わせて掛け声を発した。
「浜辺には危ないものもありますから、足元には注意して下さいね」
ミアは中断していた説明を再開した。
「これは貝殻ですね」
ミアは子供達が何かを見つける度に解説をし、
「漂着したクラゲさんですね……触ってはダメですよ」
時には注意もする。
そんな中。
「かっこいい貝を背負ってる!」
狼の少年ハーフビーストが何やら生物を発見し、目を輝かせた。
「ヤドカリさんですね。浅瀬にも色んな生き物がいます」
ミアの解説を聞いた狼の少年ハーフビーストは、
「連れて帰りたいなぁ」
お持ち帰りする気満々だ。
「そっとしておきましょうね。ヤドカリさんのお家はここですから」
ミアは優しく諭すものの、狼の少年ハーフビーストは不満顔。
「仲良しのお友達と離れ離れは寂しいでしょう? 海に来たらまた会えますよ」
ミアは微笑みながら言葉を重ね、
「……うん」
少年を納得させた。
ここで、
「誰かお姉ちゃんと先頭を交代しませんか」
ミアは先頭の交代を告げた。
すると、子供達は我先に立候補をして騒ぎ始めた。
「……子供達の相手、手慣れているね」
子供とのやり取りを一部始終見ていたアランが、気楽な調子で声を掛けた。
「はい、病院で小さい子たちの面倒はよく見ていましたから……」
ミアは当時を思い出し、笑みをこぼした。
「なるほど、それで」
アランは得心し、幾度か頷いていた。
「おじさん、海が初めてなんだよ!」
ハビィが、突然間に入った。
「そうですか……初めての海はどうですか?」
ミアは少年の発言を微笑ましく思いつつ、アランに訊ねた。
「あまりに綺麗で驚いたよ。外の世界は凄いね!」
アランは感動を思い出して、声を弾ませた思ったら、
「きみ! そこは深いから危ないよ!」
周囲を俯瞰する事が可能な天眼で、海の深い所へ1人で行こうとする7歳の少年ドワーフに気付き、駆け寄った。
「行って来るよ」
ミアと子供達に言ってから。
ミアはアランを見送った後、
「先頭は決まりましたか?」
新たな先頭役で荷馬車ごっこを再開した。
たっぷりと荷馬車ごっこをした後、
「酸味のあるレモネードはいかが?」
ミアは真っ先に水分補給を子供達に促した。
「飲むー!」
子供達は元気一杯に言った。
「水分補給が終わったら、ビーチフラッグで遊びましょう」
ミアは次の遊びを提案をして子供達を喜ばせた。
「ここにいて下さいね。お友達を集めてきますから」
付近の職員に後を任せて、ピーチフラッグの参加者を集めに行った。
(体を動かしたい子もいるでしょうし、何より迷子防止に最適です)
ピーチフラッグの目的はもちろん迷子防止だ。
「危ないよ」
アランは少年ドワーフに近付いて止めた。
「泳げるようになるための修行だから! 1人でやるんだ!」
少年は力強い声音で言い放った。
「あそこにいるお兄ちゃんが泳ぎを教えてくれるって言っていたから、お願いしよう? 君が事故に遭ったら、おじさんも皆も悲しくなるから」
アランは真剣な面持ちで、セロンガード達を示しながら言った。
「……分かった。だったら一緒に来てくれ……俺、ヴィリアム・イプセ」
察したギースは従うものの、頼む事に緊張するのか付き添いを頼んだ。
「いいよ」
アランは即答し、ヴィリアムと共にセロンガードの元へ。
「……元気ですね」
セロンガードは無事にやんちゃ組に追いついた。
「だってぇ、早く泳ぎたいんだもん」
「海に来るの初めてじゃないのにさー」
「そうだよー」
子供達は元気に不満を口にした。
「油断している時が危ないんですよ」
セロンガードは少し強い調子で釘を刺した。
「……」
子供達は何も言えずだんまり。
「遠くに行かない事を約束してくれるのなら、注意はここまで」
しょんぼりする子供達の顔を見回した後、口元を優しくした。
「約束するー」
子供達は元気に返事をした。
「よし、楽しく海で遊びましょう」
返事に満足したセロンガードは改めて皆と海へ。
海へ到着するやいなや、
「やぁぁぁあ」
「あっちまで競争だぞー」
「俺が勝つからな」
子供達は一斉に海に入り泳いだりと水遊びに興じた。
「……静かですね」
セロンガードは陸で超視覚でしっかりと見張りつつ、まったり。
そうしてのんびりしている所に、
「うわっぷ!?」
水飛沫がセロンガードを直撃。
「へへへん、兄ちゃん、油断している時が危ないんだぞ」
犯人の少年は悪戯な顔で、注意を返して口の達者ぶりを見せた。
「ほう、言ってくれますね」
セロンガードは不敵にニヤリとすると、
「そりゃぁ!」
盛大にお返しだ。
「うぉっ!?」
犯人は全身に水飛沫をかぶった。
「まだまだですね」
セロンガードは、速やかに2撃目を構えた。
瞬間、
「今度はやられねぇぞぉ」
猛ダッシュで、射程外に避難。
「あまり遠くには行かないように」
セロンガードは、攻撃態勢のまま注意を飛ばした。
「楽しそうだね」
アランの声が背後からしてきて、
「ん?」
セロンガードが振り返ると、
「俺、ヴィリアム・イプセ。強くならなきゃ村に帰れないんだ。だから、泳ぎを教えて」
アランの隣にいたギースに頼み事をされた。
「私が教えられる範囲なら」
ヴィリアムの真剣な面持ちを見たセロンガードは即引き受けた。何せ、困っている人を放っておけないから。
「少し見学して行こう」
アランが見守る中、初心者向けの水泳教室が始まった。
「その調子です」
「お、おう」
セロンガードの的確な指導に従い、ヴィリアムは真剣に練習を行った。
「頑張れ、その調子だよ」
アランは、他の子供達と一緒に応援した。
練習からしばらく後。
「練習は一旦、ここまでにしましょう」
熱中症の事も考えて、セロンガードは休憩を告げ皆に塩分を含む飲み物を配った。
「俺、泳げるようになるのかな」
ヴィリアムが水分補給をしながら弱気な事をぽろり。
途端、
「練習すれば必ず泳げるようになりますよ」
「最初よりずっと泳げていたよ」
似た性質を持つ2人、セロンガードとアランが口々に励ました。
「うん、頑張る! 俺は強くなる!」
ヴィリアムは励まされ元気になる現金ぶり。
その時、
「みなさん、ビーチフラッグに参加しませんか?」
ミアが現れた。
「やるやる!」
「おもしろそー」
「俺が勝つからなー」
子供達は皆賛成だ。
「これを飲んでから行きます」
セロンガードは飲み物を掲げてから返した。
「では、旗を立てて準備をしていますね」
用事を終えたミアが行こうとする所を、
「お手伝いが何か必要なら……」
アランが引き止めて協力を申し出た。
「着順を見る係は私がするので、スタートの合図をお願いします」
ミアはありがたく仕事をお願いしてから、現場に戻った。
「任せて」
アランは喜々と引き受けた。
水分補給が終わり次第ミアと子供達に合流し、ビーチフラッグで盛り上がった。
それ以外にも様々な遊びをして夕方になるまで海を堪能した。
「さあ、帰る時間ですよ」
風邪を心配したミアが生活魔法で子供達の体をしっかり乾かしてから、こども院に帰り、美味しい料理に迎えられた。
海が賑わっている頃。
「みんなが出払っているチャンスなんてそうそう無いでしょうから、自分はこちらのお手伝いをしますよ」
こども院『シルフィア』に残ったティトリー=R=アルバートが、職員の手伝いを申し出ていた。
「それは助かります!」
「人手が足りないので」
「冒険者さん達には何から何まで……」
職員達は歓迎した。
「では、お掃除を担当しますね」
ティトリーは早速仕事に取り掛かる事に。
「僕もお手伝いするよ! 僕はリィアン・エルズ」
手伝いを申し出てくれた20歳のヒューマンの男性職員を案内役に、ティトリーは道具を施設から借りて掃除をするべく各部屋に向かった。
まずは寝室だ。
「これは、何とも……大変だったでしょうね」
入った途端、ティトリーは笑みをこぼしてから、ベッドのシーツ交換や掃除をした。ベッドがどれも乱れており子供達の賑やかな起床が想像出来る。
「……広いですね」
浴室は広さに驚いてから、手際よく掃除をしていると、
「手伝ってくれてありがたいけど、君って貴族様だよね。それなのに手慣れていて……」
ティトリーを手伝うリィアンが疑問を口にした。何せ、ティトリーは見るからに身分が高そうな感じなので。
「確かに貴族ですが、引きこもり生活が長くて……せめて自分のことは自分でできるようにならないと……って」
ティトリーは掃除をしながら言った。祝福を授かるまで歩んでいた病弱な人生を思い出しながら。
「そっか。貴族様も色々あるんだな」
リィアンは何かを感じてか深くは追及しなかった。
浴室の掃除が終わると、多目的室と厨房を綺麗に掃除を行った。
時間は朝から昼になる少し前になり、
「時間がある事だし、子供たちに読み聞かせるための物語をいくつか作成しましょうか」
ティトリーは余った時間を多目的室での作業に費やした。リィアンは他の雑事でいない。
「まずは動物たちを主人公にしたおとぎ話から……」
掃除がひと段落した所で、ティトリーは作家としての力を発揮させていた。
「何かいてるのー?」
「わぁ、お話だぁ」
こども院に残っていた子供達が、好奇心から作業を覗きに来た。
「動物さんがたくさん出て来るおとぎ話ですよ」
ティトリーは、儚げな面立ちに優しい笑みを浮かべて子供達の相手を始めた。
「ウサギは出るー? リアね、ウサギ好きなのー」
兎のぬいぐるみを抱っこしている4歳の少女ヒューマンが聞いてきた。
「登場しますよ。この子と同じ可愛い真っ白の兎さんですよ」
ティトリーは、リアが抱える兎のぬいぐるみを撫でながら優しく言った。
「俺、もっとカッコいい話がいい」
5歳の少年リザードマンが不満げな声でリクエストをする。
「このお話の後に作成しますよ。冒険者たちが手強い魔獣と戦う活劇はどうですか?」
ティトリーはこれまた子供の希望に応える。
「おお!! それ見たい!!」
少年は嬉しそうに目を輝かせた。
ティトリーは子供達の相手をしながらゆっくりと、文芸の腕を発揮させオリジナルの2作を仕上げ、王国でも有名な物語を教訓となる寓話になればと写した。
物語の作成を終えた後もティトリーは、あれこれと手伝いをして過ごし、あっという間に夕方となった。
「そろそろ、子供たちが帰ってくる頃ですね」
ティトリーは時間を見計らい、綺麗になった厨房で見事な調理の腕前でサンドイッチを作った。引率の冒険者と職員と子供達の分を。
そして、
「おかえりなさい。疲れたでしょう? 今日はぐっすり眠れるように、寝室も整えておきましたよ。お腹が空いているのならサンドイッチも用意していますよ」
ティトリーは、戻って来た皆を優しく迎えた。
マスターコメント
参加者の皆様、参加して頂き大変ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
子供達と海へ行きトロピカルなひとときを過ごして頂いたり、子供院に残り職員の手伝いをして頂き、大変ありがとうございました。
ほんの僅かでも楽しんで頂ければ、幸いです。
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜10人
2022年08月10日 18時45分35秒 公開
大成功
相談掲示板
ごきげんよう、ヒーラーのミア=リゼルです。子供たちのお世話ができればと…よろしくお願いしますね。
はじめまして!アラン・スミシー、駆け出しの冒険者、 ヒーラーだよー。 忙しいと聞いてお手伝いに来たよ。施設に居る子と 同じ年頃の子と旅しているから、 子供達の話を聞いてお土産話してあげたいんだ!よろしくー!
こんにちは、シューターのセロンガードです。 よろしくお願いいたします。 海は事故が多いです故、しっかりと子供たちを見張らなければなりませんね。
あ、あの… 施設のお掃除とかに人手がいるかなと思って。もうすぐ出発ですけど、よろしくお願いしますね。
みんなよろしく! 自分たちも楽しくなるつもりで行こうね!