青薔薇と共に絵画を完成させよう
岩岡志摩
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シナリオID:2283
オープニング
リーンエス王国の首都近郊に、カペル侯爵領は存在する。
カペル侯爵家は始まりの百家に連なる家柄で、所領は『花の領地』とも呼ばれ、季節ごとに様々な花が咲いているという。
その領都には大きな劇場があり、その周辺には各地から集められた芸人や楽器職人が暮らしている。
他と異なるのは、劇場で演じられるのは芸術としての劇や音楽だけではなく『正確な情報』であること。
カペル侯爵家お抱えの芸人達は各地に出向いて情報を集め、歌や劇といった形で分かりやすく王国民に伝える。
秀でた芸術家でありながらもカペル家、ひいては王家の諜報員、広報員でもある彼等は『青薔薇』と呼ばれ慕われている。
そのカペル領だが、パンクリアース学園の長期休暇前はかき入れ時だ。
王都近郊という立地の良さに加え観光や芸術が盛んな領地のためか、帰省する際に領内へ立ち寄り、土産を買っていく生徒が多い。
人気の品は花や香水。楽器や絵筆、本。そしてワインといったもの。
このような時期に『青薔薇』に所属する絵描き達は、カペル領の商品を宣伝するという役割を与えられていた。
そこで絵描き達は冒険者ギルド支部を介し、パンクリアース学園の生徒や聴講生たちに、絵画のモデルになってくれるよう募集を出す。
その依頼内容には、生徒や聴講生達をモデルとして描く絵画のテーマが『花と贈り物』との記載も含まれていた。
●青薔薇、絵のモデルを募る
今回『青薔薇』所属の絵描き達と、学園の生徒や聴講生を仲介する役目を担うギルド職員アルヒ・ラスカスは、絵画のテーマを皆様に伝える。
「必要な条件は「自分」「花」「贈り物」の3つだ」
テーマや必要な要素こそ絵描きが決めているが、絵の構図やテーマとなる「花」「贈り物」は絵のモデルである皆様が自由に決めていいとのことだ。
アルヒは「花」と「贈り物」を選定するときは、1人につき1種類のみに限られると告げる一方で「色違いなら同じ種類でも大丈夫だ」と付け加える。
「テーマの一つとなる「花」だが、カペル植物研究所にある温室や、カペル領内にある花屋が提供してくれるそうだ」
もう一つのテーマとなる「贈り物」についても、『青薔薇』が手配するとアルヒは告げる。
「自分の手持ちにないものでも、青薔薇に要請すれば、ある程度のものは手配してくれるそうだ」
テーマとなるもの以外でも、モデルとなる皆様の髪型や服装、装飾、描く絵に関する風景や物語性といった世界観の設定も、青薔薇がサポートして用意してくれる。
そして描き上げる絵画だが、1作品につきモデルが1人というわけでもなく、2人以上のモデルが1つの絵におさまる形でも問題ないようだ。
それまで依頼内容を説明していたアルヒは、改めて皆様に向き直る。
「難しく考えることはない。青薔薇はみんなが描いてもらいたいと考えた構想の通りに絵画を仕上げてくれる」
青薔薇は絵のモデルとなる生徒や聴講生達の自主性を重んじていると、アルヒは言明する。
「みんなには、自身がモデルとなる絵の構図を絵描き達と話し合いながら組み立ててもらいたい。絵に仕上がるのであれば、どのような構図でも構わない」
別の見方をすれば、モデルとなる皆様がテーマである「花」「贈り物」を選び、構図として考えた内容を絵描き達が絵画の形にしてくれる、ともいえる。
なお今回被写体をモデルにして描かれた絵画は、被写体となった人達にも全員に1枚ずつ贈られると、アルヒは皆様に伝えていた。
「どうか「青薔薇」の絵描き達が作成する絵のモデルになってほしい」
そう言うとアルヒは話を聞いていた皆様に頭を下げる。
今回カペル領『青薔薇』所属の絵描き達が、テーマに従い皆様と描いてほしい内容を絵画にしてくれるというこの依頼。
この依頼を通して皆様が成したことは、絵のモデルとなる皆様にとって、振り返ってみて楽しいと思えるような思い出となるだろう。
皆様は自分達をモデルにして、どのような絵に仕上げてみたいですか?
●やること
カペル領お抱えの芸術家達『青薔薇に属する』絵描き達は、あるテーマに沿った絵画を仕上げるために、パンクリアース学園の生徒や聴講生達から絵画のモデルを募りました。
その仲介を冒険者ギルドが行い、青薔薇からの募集に皆様が応じ、今に至ります。
依頼内容によると、皆様をモデルとして描く絵画のテーマは『花と贈り物』です。
テーマに沿った「花」「贈り物」につきましては、モデルである皆様が自由に指定できます。
「花」はカペル植物研究所にある温室内で育成されているものや、カペル領内にある花屋が提供してくれます。
「贈り物」も『青薔薇』所属のメンバーが皆様の要望に従い手配してくれます。
なお「花」と「贈り物」の選定は、モデル1人につきそれぞれ一種類のみとなりますが、色違いであれば同じ種類でも認められます。
それ以外にも皆様が絵のモデルとなるとき、その髪型や服装、身に纏う装飾の品々、そして皆様がその絵に込めたい世界観(風景や物語性)といったものも、皆様が自由に決めることが出来ます。
髪型や服装、装飾の品々は『青薔薇』メンバーが整え、用意してくれます。
別の見方をすれば、皆様は自分がイメージしたような姿に着飾ることができます。
絵に込めたい世界観も劇場にある大道具類を利用する形となりますが、手配は可能です。
その他にも必要なものがあれば、可能な限り『青薔薇』はサポートし、手配してくれると請け負っています。
また今回皆様に絵画のモデルをお願いするという形になりますので、『青薔薇』より報酬も支払われます。
今回は『青薔薇』が担う様々な分野の中でも、プロの芸術家という一面を皆様が見ることのできる貴重な機会でもあります。
皆様がイメージした通りに着飾った姿を、プロの芸術家でもある『青薔薇』が絵画にしてくれます。
カペル領と『青薔薇』は、皆様のご参加をお待ちしています。
解説
マスターより
リプレイ
「今日はよろしく」
シルヴィア・A・カペルは『青薔薇』所属の画家1人1人に挨拶して回り、差し入れを振る舞うと、画家達は恐縮して受け取る。
「仕事で青薔薇の何名かと面識あるが、画家まで居るとは芸達者が多いな」
ロイ・アウレアも挨拶しながらそんな感慨を抱く。
「カペル領は面白いね。シルヴィ、お招きありがとう!」
「今日はありがとう」
ロイと同伴するテス・アウレアも興味深げに画家とアトリエを見渡し、ロイと一緒にシルヴィアへ礼を述べる。
「絵を描いて貰えるなんて、嬉しいね」
「テスと一緒に描いて貰って良いのかな?」
画家達もテスと笑顔を交わすロイの要望に従い、その形で動く。
「この間結婚したばかりだから、甘い雰囲気なのは許してね」
「まぁ結婚前も仕事以外は一緒でしたが」
テスやロイの言う通り、そこだけ甘い空間が広がっていた。
「故郷のためになる仕事、かつ恋人と揃って絵に描いてもらえる機会。今から楽しみだよ」
シルヴィアの視線は、傍にいるエル=バ=ノイアンに向けられる。
「冒険者ともなるとこういう機会も巡ってくるものなんだな」
――絵として残る……か。なんだか不思議な気分だ。
そう思う一方、ノイアンはシルヴィアに確認する。
「シルヴィアはともかく、俺も一緒でいいのか?」
「君と一緒が良いんだ」
迷いなくシルヴィアが言い切り、ノイアンは言葉に詰まる。
「……そうか。ではよろしく頼む」
そしてエフィルミアは、自分や同伴するナキルがモデルとなる絵の構図を決める。
「学園生として呼ばれているし、ここは学園生らしい絵で行こう!」
なおエフィルミアはこの前日精油入りの風呂に入り、身綺麗にしている。
エフィルミアの案をナキルは賛成する。
(勉強をしている時に、お互いの事が気になっていた。そんな時のふたり――あたりだな)
そんなナキルの目的は。
「一人一枚。それぞれ絵に描いて貰って、お互いに相手の絵を持ち帰ることにする」
その間にもエフィルミアは『準備』を進める。
「こんな荒れた肌じゃ綺麗に描いて貰えないでしょー!」
エフィルミアは青薔薇の用意したボディークリームを、ナキルの肌に塗っていく。
(あれ? 私のボディークリームをぬるということは同じ香りになるって事!?)
その思考に至り、エフィルミアが赤面したとか、しなかったとか。
「絵のモデルなんてはじめてです。なんだかどきどきしますね……!」
普段は作る側だというティトリー=R=アルバートは、描かれる側になることを新鮮な気持ちで受け入れる。
「折角だし、殆ど着ない明るい色合いの服に挑戦してみたいな……」
ルベア・ベルニはモデルになる際の衣装について、今まで着ないような服にも視野を向ける。
「そうですね、ルベア嬢は落ち着いた色合いを好むのかなって……これを機会に、明るい色を纏ってみるのもいいかもしれませんね」
ティトリーもルベアの方針に賛意を示す。
「服自体はドレス、二の腕や背中は出さないのはいいとして」
ベアはどういう色が自身に似合うのか、ティトリーに意見を求める。
「……ルベア嬢に似合う色、ですか?」
ティトリーは思案し、2つの色をルベアに提案する。
「そうですね……温かみのある色の銀髪ですから、淡い水色など良いかと思います。すみれ色を差せば、幼くなりすぎずに年齢に見合った落ち着きを印象付けられると思いますよ」
――どちらの色もお好みだと良いのですが。
「淡い水色にすみれ色……うん、派手になりすぎなくていいかも」
ティトリーの案を受け、ルベアも自身の色を吟味していった。
●決める
テスは描かれる時の衣装に着替え、画家達に披露する。
「結婚式の時の白のスーツ。皆に選んで貰った思い出の品なんだ。是非絵に残して欲しいよ」
さらにテスは用意された花を確認する。
「これは花? 花言葉があるから選んでもいいかな」
テスが選んだアイビーには、花言葉にロイと歩む未来への祝福も含まれている。
その近くでは、ロイがテスを描く際の構図を画家達に説明している。
「窓からの光は柔らかいと良いが……」
ロイの説明に従い、テスが窓のある空間へと向かいポーズをとる。
「テスが光に溶けるように。当然花と刺繍も映える様な立ち位置に変えるようなイメージだな」
「カペルの繁栄を願って持てるカリスマを発揮し、最高に幸せな瞬間を描いて貰うよ」
テスは様々な姿勢を見せ、ロイもテスに寄り添っていく。
「心から愛しているよ、私のロイ」
「勿論、オレも愛してる」
テスとロイは互いに愛を囁き、笑みをかわす。
「ティトリーさんは……こう、もうちょっとビシってキメていいと思う」
ルベアはティトリーの衣装案を提示する。
「黒いスーツとか、反対に白でもいいけど……こういう時くらい自信を持っているように見せていいんじゃないかなって」
――って、私に言われたくないわよね……。
「なるほど、ビシッときめる……ありがとうございます、ルベア嬢。黒は……落ち着く色ですね」
ルベアが内心そう呟くも、ティトリーはルベアに感謝を示す。
「で、でも今日は僕も……思い切って、明るい色に挑戦してみようかな、なんて」
そう言ってティトリーは白を基調とした礼服に着替える。
「……表情が見えると、落ち着かないですね。えへへ……」
髪をあげたティトリーが照れくさそうに笑う。
その頃にはルベアも水色の衣装に着替えていた。
普段とは異なり、後ろ髪も髪飾りでアップにしている。
「……うん、とっても素敵です! よくお似合いですよ。可憐な野花のようです」
ルベアの姿にティトリーは感嘆の声を上げる。
「可憐な野花……」
動揺するルベアに、ティトリーは何か誤解したようだ。
「あっ……ええと、誂えられたようなわざとらしさがない、という意味で、その。ほ、褒めてます……!」
「あ、ええと、褒めてくれているのは分かるの、嬉しいし……」
「庭園の薔薇も好きですが、私は木陰に咲いている小花の方が好きだという話で……」
「そ、そう……なのね……」
「あぁ、いや、僕の好みの話はどうでもいいですね忘れてください! あはは……はは……」
(……ぼ、僕はどうしよう……?)
(……ええっと、どういう意味で受け取ったらいいのかしら……)
最後はティトリーもルベアも、お互い挙動不審に陥る。
「別にナキルくんが夏服でおしゃれしたとこみたいとか、そんな下心じゃないんだからね!」
この頃にはエフィルミアも本来の調子を取り戻し、ナキルと衣装を合わせていく。
「夏服ナキルくんプロデュース! バンダナも結紐も似合ってる!」
今ナキルが着ているのは、パンクリアース学園生としての装いをベースとしたもの。
前髪はバンダナであげられ、編み込まれた結紐と度のない眼鏡がナキルの魅力を引き立てる。
「普段とも違うけど、大丈夫かな?」
ナキルは服飾のセンスに自信がなく、エフィルミアに頼りきりだったが、エフィルミアは明るい笑顔で応じる。
「私がプロデュースしたんだから、かっこいいに決まってるでしょ! 自信持って!」
そう請け負うエフィルミアも夏服を纏い、髪を結わえ、ナキルと御揃いのタイを締めた姿に着替えている。
「うん、似合ってるし可愛いぜ。ちょっとドキっとした」
ナキルはストレートにエフィルミアを褒める。
――うん、今日も可愛い……普段より気合入ってるな?
普段と違うエフィルミアの髪型やその装いに、ナキルは内心見惚れていた。
そしてシルヴィアやノイアンも、花と贈り物の選出を終え、今は舞踏会で踊る姿を実演している。
「君は随分上達した私のために頑張ってくれたの? 嬉しいな」
劇場の中、シルヴィアは礼儀作法と舞踏スキルを駆使して優雅に動く。
「見合うために練習したからな」
ノイアンもシルヴィアの手を取ったまま、その動きに応じる。
「こうして手を取り合い、君の瞳を見つめていると、世界に二人だけしかいないような……不思議な気持ちになるよ」
シルヴィアがターンをするたびに、ノイアンのスーツに合わせた淡い青のドレスがひらりと弧を描く。
「二人だけの世界、か」
白と青のスリーピーススーツを纏うノイアンも、シルヴィアの動きに合わせて舞う。
「一人ではない世界を教えてくれたのも……シルヴィア。お前だが」
互いの青い瞳に互いを映してくるりと舞い、向かい合う黒髪と白髪が一呼吸遅れてたなびく。
「そういうひとときは歓迎、だな」
ノイアンがそう呟く中、周囲にいる画家達は2人の姿を素早く写し取っていく。
●披露
やがて絵は完成し、まずテスとロイの絵が披露される。
「すごい! 最高に美しいよ!」
テスが絵を絶賛する中、ロイも「テスはどんな時でも美しいな」と見惚れながら、絵の解説を行う。
「片腕でテスを後ろから抱き、手前で白を中心に纏めたアストロメリアとテスの花束を合せ、一見1つの花束に見えるようにした」
ロイが選んだ花はアルストロメリアで、1種類が持つ花色の範囲内におさめている。
「花言葉は色毎にどれも素晴らしいが……何より白がテスに良く似合う」
そんなロイに柔らかい笑みを返し、テスも説明に加わる。
「私の方にはアイビーを配したんだよ。ロイの花と合わせれば美しく映える」
テスはアイビーの花言葉に友人達への変わらぬ心も含まれていることを明かす。
そしてロイの説明は贈り物に移る。
「逆の腕には『添花祭の記念日刺繍』を広げる様に掛けて持つ構図だ」
「私達にとって、これに勝るものはないよね」
テスはロイと頷き合い、共に絵と同じポーズで『贈り物』を掲げて見せる。
それは添花祭の花束を刺繍に落とし込んだ、シルヴィアから結婚祝いとして贈られた添花祭の記念日刺繍だった。
「愛らしいシルヴィがひと針ひと針、縫い上げてくれたんだ」
テスが自慢げに画家達へと語り、それを見たシルヴィアは驚きつつも笑顔を見せる。
「青薔薇への自慢はちょっと照れるけど嬉しいよ」
ここでロイは絵に込めた意図を明かす。
「カペル領は花が特産と言うだけでなく、その美しさを生かした品々があって刺繍すら色彩豊かだとアピールしたくてね」
続いてエフィルミアとナキルの絵も披露される。
2人の絵は合わせることで繋がる構図になっていた。
その絵は、どこかの書庫めいた場所で、夏服姿のエフィルミアとナキルが勉強をしている光景を表現している。
傍らに飾られたピンク色のビオラと紫のパンジーが、絵に華を添え、お互いの手に握られた桜色の羽ペンと星色の羽ペンが贈り物を表現している。
心なしか、絵の中にいる2人は、どこかお互いを気にしているような……。
「勉強してるとこ、様になってきたんじゃない?」
エフィルミアはナキルがモデルとなる際に、礼儀作法やバランス感覚を駆使していたことを知っている。
「ロイさんには敵わないけど、まぁそこそこかっこいいんじゃ――」
「エフィ可愛すぎない!? ねぇナキルさん。天使、天使がいるよ!?」
エフィルミアの言葉にテスの興奮した声が重なる。
「おぉ、ミアだ……可愛く描いて貰えてよかったな」
ナキルもテスの称賛に心から同意する。
「私が可愛いのは当然でしょ!」
照れながらもエフェルミアはナキルに笑みを返す。
続いてルベアとティトリーの絵も披露される。
ルベアとティトリーは構図を相談し、2人が1つの絵におさまった。
絵の中では鈴蘭と芍薬がルベアとティトリーの近くで、その存在を主張している。
「受け取った人は幸運が訪れるっていうし、私に関わってくれる皆に感謝を伝えたい。そういう気持ちで選んだのよね」
(他の人は相手とのことがあるし、ティトリーさんとも最近打ち解けてきたし……と思ってるの、私だけじゃないわよね?)
ルベアの心中は穏やかでないが、鈴蘭を選んだ理由を語り、ティトリーも芍薬を選んだ理由を説明する。
「花言葉は「はじらい」「慎ましさ」「はにかみ」。ルベア嬢を見て、そう思ったんだ」
そして2人の話は贈り物へと移っていく。
ルベアは「1日1日を大切に彩るように」と絵筆を選び、ティトリーは白紙のノートとスケッチブックの中から贈り物を選んだと説明する。
「僕を自由にしてくれるものだから……」
芸術家の顔を持つ、ティトリーならではの贈り物と言える。
最後にシルヴィアとノイアンの絵が披露され、ノイアンがため息をつく。
「すごいな……なんというか、この絵に負けないくらいの幸福をシルヴィアに贈れるといいんだが」
「シルヴィ! 美しい、美しいよ! ノイアンさん惚気ていい案件だと思うよ!?」
ノイアンは少し恥ずかし気に呟き、テスはハイテンションで称賛する。
テスの言う通り、シルヴィアとノイアンが互いに贈った男性用の髪留めと繊細なレース織のハンドカバーを身に着け、華麗に踊る姿が繊細に描かれている。
「ありがとう。お兄様達の絵姿もとても素敵だね。眺めているだけで幸せな気持ちになれるよ」
シルヴィアは礼を述べ、テスやロイ達の絵も称賛する。
「まあ、俺も色々と言葉にしたい気持ちはあるんだが……少し気恥ずかしくてな」
ノイアンは苦笑を見せると、シルヴィアと共に描かれた絵に視線を戻す。
「私達はダンスと縁深いのかもしれないね。新人の頃、踊る子熊亭で窓際の席に座っていた君を踊りの輪に引き込んだ」
昔の記憶を呼び起こされたのか、絵を見ながらシルヴィアがそう呟くと、ノイアンも同じ心境に至る。
「そうだな。お前が誘ってくれたのが最初だった。それからずっと……いや、その前からだが、お前としか踊っていない」
「学園の舞踏会やカペルの予祝祭で踊って、ランタンナイトパーティでは……」
何かを思い出したのか、シルヴィアの頬が少し赤い。
「青薔薇の姫君に恥をかかせてしまっては……本気で命がないな。今後も励むとしよう」
カペル領で暮らす人々の顔が浮かんだのか、ノイアンはそんな誓いを立てた。
●絵
「私はナキルくんの絵を持って帰るね」
エフィルミアの言う通り、本来は1人1枚ずつ複製品が贈られるはずだったが――。
「どれも素敵。小さな複製品とか売って欲しい、絶対コンプする!」
「皆の美しい姿、振る舞いに見惚れたよ。複製品は私もコンプしよう」
そう決めたテスやシルヴィアが強く要望を出し、根負けした画家達は希望通りの枚数を仕上げ、全員に提供した。
「ロイやテスの手元に残ると思うと余計に……だがこうして皆の生きた日々が形となって残るのは……悪くない」
「オレがモデルの絵には「なぜコイツがここに……」とか言われるかも」
ノイアンとロイはそう言い交わし、頬を緩める。
「帰ったらミアが待って居てくれるようなカンジがするんだろうな」
そんな未来を想像できたのか、ナキルは自然と笑顔になる。
「こう言う好きじゃ足りねェって思う時のことを幸せって言うんだよな」
ナキルはエフィルミアにも伝わるように、しっかりとした口調でそう言った。
マスターコメント
ショートシナリオR易しい 報酬:少ない8 / 4〜8人
2022年07月13日 21時23分59秒 公開
相談掲示板
リクエストさせて貰ったシルヴィアだ。 皆、モデルのお誘いに快諾してくれてありがとう。素敵な依頼にして下さった岩岡志摩さんと、仲介してくれたアルヒにも心からの感謝を。今回はよろしくね。 私とノイアンはペアでモデルをする予定。 花と贈り物については未定だけど、同じものを選んでも良いだろうし、気楽に楽しく考えていくよ。良い一日にしよう。
「ナキルだ、よろしくなって言っても、今回はお互いのペア行動ってカンジになるか…? >シルヴィア先輩 誘ってくれてありがとうな。 初めてこう言うことやるけど、ちょっとワクワクするカンジだ。 >ミア そう言う訳で、服装はミアのコーディネートに頼ろうと思ってるぜ。 一番間違いないしな。(ふふんと)」
ロイ・アウレアです。皆様ヨロシク。 シルヴィは記念に残るリクエストに誘ってくれてありがとう。 何を描いて貰うか悩ましく楽しみだ。 花もオレとテスで色違いの同じ花か、或いは何か意味を込めて別種を選ぶかまだ相談中です。 相談板の流れに合わせて、花の種類(色)は早めに知らせる様にするね。
ノイアンだ。皆、よろしく頼む。 シルヴィアはまず、誘ってくれてありがとう。楽しみだな。 絵のモデルというのは…少々気恥ずかしいが。俺はセンスというものがないから、シルヴィアから助言を受けようと思う…。
テス・アウレアだよ!よろしくね シルヴィ、素敵な企画に呼んでくれてありがとうー! カペル領の花は本当に美しいね どれにしようかとても迷うよ どんな絵にするかロイと相談しないと、だね!
ティトリーです。お誘いありがとうございます…! 絵か…見たまま描くのではない、表現者の創意工夫を感じられる分野ですね。自分が描かれるのは、緊張しますけど… よ、よろしくお願いしま…す!
ルベアよ、宜しく。 …こう、絵のモデルになるっていうのが凄く緊張するけど…花も含めて、ちょっと色々考えてみるつもり。
お花が決まったからお伝えするね 私は「アイビー」にしようと思うよ 花…かどうかは悩ましいけど 花言葉があるから、花(*`・ω・´) ということでwこれを選ばせて貰うね ロイの花と添えて持てば絵にしても良さげな気がするよ♪ 皆さんがどんな「花と贈り物」をえらぶかとても楽しみだ
ゴメン、直すね。 自分は『アルストロメリア』にするよ。 色は未定だが、同じ花を使いたい人が居たら教えてくださいね。 被らないように、ここで色を伝えます。
ふふ、皆が楽しんでくれているようで嬉しいよ。 私も商品の宣伝のモデルになるのは初めてだ。皆がどんな「花と贈り物」を選ぶのか、どんな構図にするのか……当日を楽しみにしているね。 テスとロイは選んだ花を教えてくれてありがとう。アイビーとアルストロメリアの花言葉を確認して、とても幸せな気持ちになったよ。 ……っとと、選ぶ花や贈り物は被っても大丈夫と思っているよ。両方同じになったり一人分しかなかったりという事はないと思うし、構図は変わってくると思うしね。気楽に楽しく選んで貰えたらと思う。 >ナキル 依頼ではペアかシングルか選べるようになっているけど、今回はペアが多くなるかなと思っているよ。エフィがプロデュースした二人も早く見てみたいな。 >ノイアン ペアのお誘いをOKしてくれてありがとう。沢山相談させて貰いたいな。ちょっと照れるけど、改めてよろしくね。 >ティトリー 表現者の創意工夫……確かにそうだね。私達がどんな世界観を構築するかも大切になってくる。気負わずリラックスして考えていこう。 >ルベア 絵のモデルになると思うと、私も少し緊張するよ。着てみたい服を着て、お洒落をして観光も出来る機会と考えてみるのも良いかもしれない。ルベアの絵も楽しみにしている。
「さて、ちっと顔出せてねーけど、ミアを含めて 花に関しては大丈夫そうだ。 「ピンクのビオラ」と「紫のパンジー」予定になってるぜ。 >シルヴィア先輩 あぁ、オレも楽しみだからな。期待しててくれて良いぜ。(きりりと)」
エフィルミアですっ。 ご挨拶がおそくなってすいません! シルヴィ姉様お誘いありがとうございますっ。 ナキルくんと一緒に素敵な絵画になってきますよー!
ああ、1人に付き1種類の花と言うだけで 他の人と種類が被るのは構わないんだね。 早とちりして読んでたよ、シルヴィありがとう。 皆の絵がどんな仕上がりかも楽しみに、モデルをさせて貰います。