【帝国】エスタル北部市街調査

革酎

コメント 9

シナリオID:2061

オープニング

●謎多きエスタル
 春の陽気が穏やかに降り注ぐ、シルトラース帝国東部鎮守都市エスタル。
 現在のこの町の住民の表情だけを見れば、一年以上前に、帝国全体を襲った幽界樹の圧倒的破壊力と恐怖の闇は、このエスタルだけには何の影響も及ぼさなかったかの様にも見えなくもない。
 今のエスタルは町全体が和やかな空気に包まれ、道行くひとびとは笑顔で平和な日常を謳歌している。
 だが、ここエスタルも一時期は暗闇の底へ叩き落とされていた。この町にも幽界樹は、確かに出現したのである。
 逃げ遅れた大勢の市民は地下の下水網へと潜り、過酷な日々を必死に耐え凌いだ。
 そして長い月日を経たある日、夢の中に現れた謎の女性によるお告げが、ひとびとの心を大いに震わせた。既にエスタルの町には平和が戻ったという、奇妙なお告げ。ひとびとは夢の中で語られた言葉を信じて、再び地上へと出た。
 町は壊滅状態ではあったものの、確かにクリーパーの脅威は去っていた。
 その代わり、地上へと這い出たひとびとを出迎えたのは、草人と呼ばれる様になった、かつての隣人や家族達であった。
 その時から草人達との奇妙な共同生活と、町の復興が始まった。

 ロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドルはエスタル冒険者ギルド支部のロビーで、町の現状についての説明を受けていた。
 リーヴァーに手書きの資料を示しながら、身振り手振りを交えつつ事細かに説明を加えているのは、リブラネスタ冒険者ギルド本部から応援として派遣されてきたドワーフの受付嬢リーミルであった。
「大体のところは分かったが、結局のところ、冒険者ギルドも全容を把握しているとはいい難いんだな」
「えへへへ……まぁ、身も蓋も無いいい方すると、ぶっちゃけそれが、実情なんです」
 何ともいえぬ微妙な表情のリーヴァーに対し、リーミルは誤魔化し笑いを浮かべつつ頭を掻いた。
 要は、エスタルの南部地区以外は不明点が多い為、あちこち調べて欲しいという依頼が圧倒的に多いという訳だ。
 特にエスタル市街北部と中心部は、中々厄介だ。
 市街中心部は幽界樹の痕跡が残されている可能性が高い為に危険度の予測がつかず、一方の市街北部は市街南部から見ると間に中心部を挟む為か、そこまで足を延ばそうという冒険者がまだそこまで数を揃えていないらしい。
 だがエスタルの生き残り市民からすれば、危険度の高い中心部は兎も角として、せめて市街北部は早めの探索や調査を進めたいとの思いが強い。
 もしかすると北部区画に於いても地下の下水網に逃げ込んだ他の生き残りや、或いは草人が大勢、取り残されているかも知れないからだ。
「中心部はある程度、授恵者の人数を揃えた方が良さそうか……ならばロモズ歩兵団は、市街北部を調べた方が良さそうだな」
 リーヴァーが率いるロモズ歩兵団は、大半が一般人で構成されている。下手に市街中心部に足を運ぶのは、今の段階では危険に過ぎた。
「それじゃあ、市街北部の調査をお願い出来ますか?」
「引き受けよう。さて、何が出るかな……」
 依頼票の受付欄に氏名を記入し終えたリーヴァーは、リーミルから崩壊前のエスタル市街地図を受け取り、冒険者ギルドを後にした。
 外に出ると、春の暖かな陽射しが降り注いでくる。
 道行くひとびとは、半数以上が草人という異常な状況。だが、生き残りの市民はこの奇妙な生活を受け入れている様だ。
 リーヴァーには、彼らの本音が今ひとつ、理解出来なかった。が、依頼は依頼だ。引き受けた以上は、確実に遂行せねばならない。
 ロモズ歩兵団の数個部隊が待機しているエスタル市街南門に、リーヴァーはゆっくりと足を向けた。

解説

状況:  PCの皆様はリーヴァー・シュランドルと共にエスタル北部市街への調査に乗り出したところからスタートして頂きます。  帝国崩壊からほぼ手付かずの状態が続いている為、数多くの魔獣やクリーパーが潜んでいることが考えられますが、生き残りの市民や草人が身を隠している可能性もあります。  敵性生物の排除と同時に、彼らの存在の有無も並行して調査願います。  尚、参加PCがロモズ歩兵団各隊の隊長、或いは副長、臨時兵長等の称号を持っている場合は、自隊や貸与された歩兵団員の指揮を執ることも出来ます。 敵:  市街南部にまで侵攻して来ないという状況から鑑みるに、然程に強力な魔獣やクリーパーは居ないと見て良さそうですが、廃墟の中に紛れ込んでいる為、奇襲を浴びる可能性はあります。十分に注意して下さい。  何の調査も為されていない場所ですので、現れる魔獣やクリーパーの強さも数も全くの不明です。 NPC:  主なNPCはロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドルです。  その他、市街北部に生き残りの市民や草人も居るかも知れません。  また、ロモズ歩兵団員の副長や団員もそれなりの人数が登場することでしょう。

マスターより

 皆様、こんにちは。  連動『帝国奪還連動 叢とみる夢』でのシナリオをご提供致します。  今回はほとんど全くといって良い程に誰も足を踏み入れていないエスタル市街北部の調査を受け持って頂きます。基本的な状況はOP本文と解説を見て頂ければ結構です。  現れるのは敵性生物ばかりとは限りません。生き残りの市民や、或いは草人等も見つかるかも知れません。どれ程の収穫が得られるかは、皆様のプレイング次第です。

リプレイ

●不気味さと不安の中で
 春の暖かな陽射しの中で、廃墟と化したエスタル北部市街の街並みが、生々しい程の無残な姿で横たわっている。
 そんな中で、幾たび目かの激しい戦闘音が瓦礫の合間に鳴り響いた。
 ロモズ歩兵団重兵3番隊長コルネリウス・アーラ率いる隊が、大蜥蜴によく似た小型クリーパーの群れを撃退しようとしていたのである。
 ふたりの班長ローデス・プレクターとケルフィス・ディクロンはいつもの様にコルネリウスの意図を的確に汲み取り、整然とした動きの中に変幻自在な機動力を織り込んで、次々と現れるクリーパーや魔獣の群れに上手く対処している。
 コルネリウスの放つ範囲攻撃で敵の出足を封じると、重兵達はよく訓練された動きでクリーパー共を片っ端から始末していった。
 ロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドル指揮のもと、北部市街調査隊は順調に敵性生物の排除を続けていたが、今のところこれといった事故も無く、予定通りに制圧区域の拡大が進んでいる。
「幽界樹が居ないと、案外脅威という程の脅威は居ないものですね」
 部下達がクリーパーを仕留める傍ら、コルネリウスは手にした数枚の地図に視線を落とす。冒険者ギルドから借りてきたエスタル北部市街の区画地図と、その地下に広がる下水網の概略図だ。
 もともとエスタルはヴィントやオルセンと並んで、シルトラース帝国の中でもひときわ大きな都市の部類に入る。帝国崩壊前には各区の地図も公共資料として配布されており、下水網もその公共性という観点から、簡単な概略図が作成されていた。コルネリウスは南部街区の冒険者ギルドで事前にこれらの地図を借りており、後は現地で今の状況を書き込めば、正確な現況地図の完成、という訳である。
 と、そこへ弓兵2番隊副長リディリディ・トゥラ・イェレミースが、何ともいえない表情を浮かべて歩を寄せてきた。
 リディリディも麾下の弓兵2番隊を参戦させ、魔獣やクリーパーの掃討に当たっており、順調に戦果を挙げ続けているのだが、矢張り草人の存在がどうにも調子を狂わせている、といった様子だった。
「会話が出来ないというのは聞いてましたけど……こんなに、意思疎通が難しいんですね……」
 ここまでリディリディもコルネリウスも、廃墟の中に佇む草人を発見しては保護し、安全地帯まで誘導してきたのだが、ただ単に戦って斃せば良い魔獣やクリーパーとは異なり、草人はコミュニケーションが難しく、中々こちらのいう通りには動いてくれない為、寧ろ彼らの保護や誘導の方に神経を消耗させることが多かった。
「しっかし、あの草人ってのは本当に何者なんだろうねぇ」
 別方面から臨時兵長として遊兵を率いているサイラスが、やれやれとかぶりを振りながら歩いてきた。
 サイラスも草人を発見し次第、積極的に保護し、安全地帯への誘導を率先して実施している。その際、サイラスはそれとなく草人の感情や情念を探ってみたが、全くといって良い程に何の反応も無かった。
 その余りの無反応さを受けて、南部市街の生き残り市民達はよくこんなの相手にしてコミュニケーションが取れているなと、サイラスは却って驚いた程である。
「この辺に居る魔獣は、別段これといって目を引く様な珍しい奴は居ないな。クリーパーも、特別強そうな奴も居ないし……」
 捜索の合間に糞や死骸等を調べて魔獣とクリーパーの分布を軽く調べていたサイラス。その分析結果自体は、決して悪いものではない。それらはいずれも、北部市街に於ける敵性生物の制圧が簡単に進みそうだという、明るい兆しを語るものであった。
 その時、別方角から、今度は数体の巨大な牛に似た魔獣が出現した。
 リディリディが咄嗟に重力波を仕掛けて動きを鈍らせると、弓兵達やサイラス率いる遊兵達が、ものの数分もかけずにこれらの魔獣を撃退した。

●南部市街との違い
 大半は廃墟と化している北部市街だが、奇跡的に損壊の少ない大きな建物があった。
 石造りの公会堂である。
 遊兵8番隊長アウレーリア・フォン・ネーベルベルクはこの公会堂を今後の継続的な本拠地と定め、各階の片付けや、内部に居座っていた魔獣及びクリーパー共の撃退、損壊部位の補修等に着手した。
 その同じ敷地内には重兵2番隊副長ナタリア・フィッツジェラルドがゲルを設置し、自隊の仮拠点兼簡易診療所として機能させた。
 重兵2番隊は重兵3番隊、弓兵2番隊、或いはサイラス率いる遊兵隊が保護した草人を次々と公会堂敷地内へと誘導し、仮住まいとして彼らを一カ所に集めさせた。
 だが矢張り、コミュニケーションが取れない。単純に会話が出来ない、声が出せないだけなのかと思いきや全くそうではなく、意思の疎通そのものがまるで不可能だった。
 ナタリアの医療や薬学の知識ではどうにも診断が出来ず、かといって植物的な反応がある訳でも無かった。
(一体、どういうことだ? 草人というからには何か植物が関係しているものとも思ったが……)
 内心で小首を捻りながら、茫漠と立ち尽くす草人達を横目で見遣る。よくこんな連中を家族や隣人だとして受け入れられたものだと、南街区住民の精神の特異さを、改めて感じざるを得ない。
 と、そこへハヤト=ガラン=ヴォルファングとフセイン ラファが揃って公会堂敷地内に戻ってきた。ふたりの後ろには大勢の人影が見える。いずれも地下の下水網で発見された生き残りの市民達である。
 彼らの周辺では、一時的にラファの指揮下に置かれている遊兵8番隊員達が護衛する形で陣形を組んでいた。
「いやぁ……何が出るかなぁって思ってたら、予想外に大勢、見つけることが出来たぜ」
 地上や地下を問わず、そして瓦礫の内外も含めて徹底的に捜索してきたハヤトとラファは、地下の下水網で何とか生き延びていた百人足らずの生き残り市民を発見することが出来た。
 捜索の道中、クリーパーや魔獣とも遭遇したが、ハヤトとラファの戦闘力の前では敵ではなく、いずれも簡単に撃退することが出来た。
 ハヤトは個人で行動していたが、その捜索能力、索敵能力、そしてクリーパーや魔獣を次々と撃退する戦闘力は今回の調査隊の中でも抜群の存在感を示していた。緊急事態に陥ることも無かったから、閃光塗弾の投擲合図も結局不要だった。
 ラファも優秀な技量を発揮しつつ、それでも不要な戦闘を避ける方針だった為、最後まで力を温存し、こうして市民達を無事に救出することに繋がったといって良い。
 ところがこの生き残りの市民達は、一カ所に集められている草人達を見た瞬間、恐怖と好奇心、愛情と奇異感が複雑に入り混じった表情を浮かべた。中には見知った顔も見つけたらしいが、南部の住民達とは異なり、誰ひとりとして嬉しさ一杯で駆け寄る、という行動には出なかった。
 ハヤトとラファは思わず顔を見合わせた。南部市街の生き残り市民とは明らかに、草人への態度が異なる。これは一体、どういうことなのか。
「何か、警戒すべき事情でも?」
 ラファが手近の市民に訊くと、想定外の答えが返ってきた。
 曰く、『草人狩り』の皆さんから絶対に草人を信用するなと、非常に強く警告されていたからだ、と。
「草人狩り?」
 その余りに苛烈な響きに、アウレーリアが最初に反応した。
 ここまで順調に市街探索を進め、地図や見取り図を最新の状況に改め、且つ草人に対する観察と考察も同時に進めてきたアウレーリアだったが、ここへ来て思わぬフレーズに出会った。
 南部市街の生き残り市民からはただの一度も聞くことが無かった、草人狩りという存在。
 それは一体、どの様なものなのか。

●生き残った経緯
 北部市街に於ける魔獣及びクリーパーの制圧、市街状況の把握、生き残り市民のケア、そして草人誘導と保護等はいずれも順調に進んだ。
 途中ラファが単独で市街に出るといい出した時にはリーヴァーは驚いていたが、
「短期的にその場に居るクリーパーを倒して制圧したといっても、長期的にはまたクリーパーが来るかも知れないし、この手の仕事は私ひとりでやる方が向いてるからね。砂漠よりも全然快適だからね」
 との説明を受け、単独での隠密索敵や敵性生物の形跡調査に出ることが許された。
「ラファなら心配無いから」
 とアウレーリアが太鼓判を押したのも、リーヴァーが決断を下す一助になったことは間違い無い。
 それよりも問題は、北部市街の生き残り市民達からの聞き取り調査の方であった。
 夜になって公会堂での食事の席、リーヴァー、コルネリウス、リディリディ、サイラス、ハヤト、ナタリア、アウレーリアといった面々が、生き残り市民の年長者の一部を呼び集め、今までの生活や草人狩りなる連中と接触した経緯について聞き出す場を設けたのである。
「夢の女神とは、どの様な方なのですか?」
「凄く綺麗なひとで、食糧や資材の在処を的確に示してくれました」
 コルネリウスからの問いには、市民の年長者達は異口同音にその様な回答を返した。そして草人については、彼等は極力接触しない様に務めていたことも明かした。
 また、彼らの下水網での避難生活についてもかなり具体的なことが分かってきた。
 帝国崩壊直後、即ち幽界樹出現から昨年の秋頃までは、結構な数の冒険者が共に避難生活を送り、その冒険者達の活躍で食糧調達や、地下に時々降りてくるクリーパー、或いは魔獣の撃退が為されていた。
 ところが、いよいよ地上へと脱出するとなった時、地上にはまだ多くの敵性生物が闊歩しており、その脱出戦で件の冒険者達は全滅の憂き目に遭った。頼れる戦力を失った市民達は再び、地下生活を余儀無くされた。
 しかし半年程前から、南部市街から草人狩りを名乗る冒険者が現れる様になった。
 彼らは夢の女神のお告げで北部市街に生き残りが居ることを知り、支援物資や食糧を手にして北部の生き残り市民と接触する様になったという。この草人狩り達は地下に降りてきた魔獣やクリーパーも撃退してくれた為、生き残りの市民達にとっては彼等こそが生存の為の足掛かりとなっていた。
 そして同時に、草人狩り達は地上を徘徊する草人だけは絶対に信用するなと、口酸っぱく説き続けた。その理由は、市民達にも分からない。
「草人狩りとは、その名の通り、草人を狩る連中、と見て良いのだろうな」
 今回の調査で草人に直接目を向けていたナタリアは、何となく背筋にうすら寒いものを感じた。地質学を駆使して土地と周辺植物についての情報も掻き集めたが、それでも草人の正体に迫るきっかけは何ひとつ、得られなかった。
 これまでに接した草人はいずれも無害そのものだ。存在自体は奇妙だが、敵対行為を取る個体はひとつたりとて見られない。
 にも関わらず、草人狩りと称する連中が存在するということは、それ自体が異常だ。
 サイラスからは、草人には感情や精神の動きの様なものも感じられないとの話も聞いている。益々以って、草人の存在そのものの異常性が際立ってきた。
「そういやあ、草人っぽい遺体も幾つかあったな。普通の市民じゃなかったと思う」
 サイラスによれば、見た目は人間の遺体ながら、何の腐敗も見られなかったということから、その遺体が草人のものであることは間違い無さそうだという話であった。
「南部の市民の方々も、草人狩りについては何もおっしゃっていませんでしたね」
 リディリディも、強い疑念を抱いた。

●彼女の決意
 深夜になって、ハヤトとサイラスはラファを支援する為に公会堂を飛び出していった。
 恐らくラファひとりでも十分に任務をこなすことは出来るだろうが、矢張り不測の事態に備えて、バックアップとなれる者が居た方が良いというのが、彼らの判断だった。
 一方、コルネリウス、リディリディ、ナタリア、アウレーリアの四人は冒険者ギルドへの報告内容を纏める為に、夜遅くまで資料作りに勤しんでいた。
 途中、リーヴァーが四人の為に夜食を用意してくれた。一同は手を休め、その間にリーヴァーが作成中の資料のチェックに入るという格好となった。
 ところが――。
「団長、この調子なら北部市街の生活安定化も早く終わりそうですね」
 コルネリウスからの呼びかけに対し、リーヴァーは反応を返さなかった。どこか、心ここに非ず、といったぼんやりした顔つきであった。
 今夜に限っていえば、仕事に集中出来ていないリーヴァー。コルネリウスは珍しいこともあるものだと、思わず他の三人と顔を見合わせた。
「どうか、なさったんですか?」
「あぁ、いや、済まない。少し考え事を……」
 リディリディの心配そうな声に苦笑を返したリーヴァーだが、やがて表情を改めて、四人に視線を戻した。
「どうせ、いずれ分かることだろうし……もう、良いかもな」
 妙なひとり言を放ったリーヴァー。益々、意味が分からない。だが次にリーヴァーが放ったひと言は、ロモズ歩兵団の隊長及び副長の面々に、ちょっとした衝撃を与えた。
「まだ正式には誰にも伝えていないが、私は近々、ロモズ歩兵団を去るつもりだ」
 その突然の告白に、リーヴァー以外の四人は完全に言葉を失い、驚きの視線を互いに交わし合うばかりであった。
 しかしリーヴァーは、これは前々から考えていたことだと言葉を繋げる。
 元々ロモズ歩兵団はエスタル~ヴィント間辺りから王国に流れてきた帝国難民が、自分達の故郷を取り戻す為にと組織された集団である。そしてヴィント奪還が成った時点で、その目的の半分は既に達成されていた。
 加えてエスタルでの問題も解決すれば、歩兵団員の故郷への帰還を妨げるものは事実上存在しないこととなる訳で、歩兵団の当初の設立目的も達成されたことになる。
「歩兵団は組織としては残す。カルケルーア・ロモズを第二の故郷としている歩兵団員も多いからな」
 しかしリーヴァー辞任後は、ロモズ歩兵団が危険な任務に赴くことは無いだろう、とも語った。エスタルでの問題解決後には、歩兵団員は故郷やカルケルーア・ロモズでの平和な生活を送り、自警団戦力としての歩兵団を維持するに留めさせる、というのがリーヴァーの思想であった。
「団長職は、誰かに引き継ぐのですか?」
 アウレーリアからの問いに、リーヴァーは勿論だと頷き返す。歩兵団長の肩書は、現在隊長職、もしくは副長職に就いている授恵者の中から選出する、とリーヴァーは明言した。
 更に現在空席となっている重兵総長、遊兵総長、弓兵総長の三職についても、この際だから選出する腹積もりなのだという。
「まぁ、まだ少し先の話だ。今すぐに歩兵団を放り出す、なんてことはしないよ」
 リーヴァーは、薄く笑った。
 だが、四人の授恵者達は尚も表情が硬い。決して、軽く笑い飛ばせる話ではなかった。

マスターコメント

 皆様、お疲れ様でございました。  リプレイ本文中には詳しく描写していませんが、皆様が用意された行動は、必要なものについては概ね実行され、その全てが成功裏に終わっております。それらの行動は判定基準として採用し、北部市街調査完了と、生き残り市民の全員救出に至っております。  最後のリーヴァーの進退云々は、まだもう少し先の話です。また辞任に関するシナリオは別途用意してリリースする予定ですので、それまでお待ち下さいませ。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準7 / 4〜8人

2022年04月21日 14時41分06秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ナタリア・フィッツジェラルド

    ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 別件の出発に備えて、取り急ぎの挨拶を。 現段階では、汎用スキルは医療薬学に加えて地質学の持参を予定している。 草人関連は無論、なぜ彼らが現れたのか、人間を如何にして草人に変えるのか……そのメカニズム解明における情報収集としてな。

  2. No.2

    キャスターのリディリディです。 よ、よろしくお願いします・・・。 えっと、今回は街の調査なのですね。 市街北部ということですので、中心部を調べる前段階的なものと捉えて良さそうですね。 弓兵2番隊の副長をさせてもらっているので、団員の皆さんに協力してもらって調査を行おうと思っています。 草人とは私含めて、団員も今まで接触したことがないでしょうから、慎重にコミュニケーションが必要かもしれません。 危害を加えることはないと聞いてはいますが・・・。

  3. コルネリウス・アーラ

    ウォーリアのコルネリウスです。 遅くなってしまい、すみません。 私は重兵3番隊に協力してもらいながら、班を分けて調査を行っていく予定ですね。 地下を中心に回り、下水網を調べていきたいと考えています。 草人は私も初めて会う事になりますね。生態についても出来るだけ調べたいところです。 力は強いとの事ですし、万が一事故が起きてはエスタルの方々との交流も含め今後に支障もでますから、慎重になるに越したことはないかなと私も思います。

  4. アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

    キャスター、アウレーリアです。宜しく。 私は遊兵8番隊と共に調査を実施します。 ひとまず幽界樹のような高い危険は無いようですが、何が起きるかは分かりませんね。 今後の継続的な調査に備え、ベースキャンプ候補地の下見なども行う心算です。 草人については、どう取り扱ったものでしょうね。 目下敵対的ではありませんし、健常な市民とも共生できているのは幸いですが……。 直接コミュニケーションを試みる前に、周辺への聞き込みが必要ですか。 偶発的に生じたものか、意図して生み出されたものかの調査も重要でしょう。 ホムンクルスのような例があった後では慎重にもなります。

  5. フセイン ラファ

    キャスター?のラファよ …歩兵団にあまり関わりないから正直なんとも、ね せっかくだしアウレーリアの手伝いでもしようかしら

  6. No.6

    サイラスだ、よろしくなー とりあえず地上を遊兵借りていこうかと

  7. ハヤト=ガラン=ヴォルファング

    おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな! 双波、超嗅覚、超嗅覚当たりで色々と調べ回ってみるつもりだぜ!

  8. ナタリア・フィッツジェラルド

    出発は明日の朝になったな…… 急な話で悪いが、医療薬学を取り下げて植物共感に切り替える。 草人のメカニズム解明において、土壌に何がしかの力が秘められて、その結果発生したのか。 仮にそれで草人が発生したと仮定して、それ以外の植物の生育は?草人にも植物共感が通じるのか? これらを調べる方向に切り替えたくてな。

  9. アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

    ありがと、ラファ。手伝ってくれるのね。 心細ければ単独行動にならないよう、私の兵も付けましょう。 過去の地図と照らし合わせて、現況を記録してくれるだけでも助かります。 ナタリアも調査は程々にね。彼らを家族友人と考える者も多いでしょうから。 あまり人外の被検体扱いしては駄目よ。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0